約 4,593,543 件
https://w.atwiki.jp/i_am_a_yandere/pages/1086.html
1 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/04/23(水) 23 32 38 ID sNl+0M+K ここは、ヤンデレの小説を書いて投稿するためのスレッドです。 ○小説以外にも、ヤンデレ系のネタなら大歓迎。(プロット投下、ニュースネタなど) ○ぶつ切りでの作品投下もアリ。 ■ヤンデレとは? ・主人公が好きだが(デレ)、愛するあまりに心を病んでしまった(ヤン)状態、またその状態のヒロインの事をさします。 →(別名:黒化、黒姫化など) ・転じて、病ん(ヤン)だ愛情表現(デレ)、またそれを行うヒロイン全般も含みます。 ■関連サイト ヤンデレの小説を書こう!SS保管庫(本保管庫) http //yandere.web.fc2.com/ ヤンデレ臨時保管庫 @ ウィキ(臨時保管庫) http //www42.atwiki.jp/i_am_a_yandere/ ■前スレ ヤンデレの小説を書こう!Part14 http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1204261770/ ■お約束 ・sage進行でお願いします。 ・荒らしはスルーしましょう。 削除対象ですが、もし反応した場合削除人に「荒らしにかまっている」と判断され、 削除されない場合があります。必ずスルーでお願いします。 ・趣味嗜好に合わない作品は読み飛ばすようにしてください。 ・作者さんへの意見は実になるものを。罵倒、バッシングはお門違いです。議論にならないよう、控えめに。 ■投稿のお約束 ・名前欄にはなるべく作品タイトルを。 ・長編になる場合は見分けやすくするためトリップ使用推奨。 ・投稿の前後には、「投稿します」「投稿終わりです」の一言をお願いします。(投稿への割り込み防止のため) ・苦手な人がいるかな、と思うような表現がある場合は、投稿のはじめに宣言してください。お願いします。 ・作品はできるだけ完結させるようにしてください。 ・版権モノは専用スレでお願いします。 ・男のヤンデレは基本的にNGです。 2 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/23(水) 23 37 25 ID PdxkNS+F -‐ ´ ̄ ̄`ヽ、 -‐ ´ ̄ ̄`ヽ、 -‐ ´ ̄ ̄`ヽ、 / / `ヽ ヽ \ / / `ヽ ヽ \ / / `ヽ ヽ \ //, / ヽハ 、 ヽ //, / ヽハ 、 ヽ //, / ヽハ 、 ヽ 〃 {_{ノ `ヽリ| l │ i| 〃 {_{ノ `ヽリ| l │ i| 〃 {_{ リ| l.│ i| レ!小l● ● 从 |、i| レ!小l● ● 从 |、i| レ!小lノ `ヽ 从 |、i| ヽ|l⊃ 、_,、_, ⊂⊃ |ノ│ ヽ|l⊃ 、_,、_, ⊂⊃ |ノ│. ヽ|l ● ● | .|ノ│ /⌒ヽ__|ヘ ゝ._) j /⌒i ! /⌒ヽ__|ヘ ゝ._) j /⌒i ! |ヘ⊃ 、_,、_,⊂⊃j | , | \ / | l>,、 __, イァ/ /│. \ / | l>,、 __, イァ/ /│ | /⌒l,、 __, イァト |/ | . / /| | ヾ |三/ {ヘ、__∧ | / /| | ヾ |三/ {ヘ、__∧ |. | / / |三/ // ヽ | `ヽ | | ヾ∨ /ヾ 彡 |. `ヽ | | ヾ∨ /ヾ 彡 | | | l ヾ∨ / ヒ 彡, | ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ┃ちゅるやさんAは、 1乙を唱えた! ┃ ┃ちゅるやさんBは、 1乙を唱えた! ┃ ┃ちゅるやさんCは、スモークチーズを欲しがっている。 ┃ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 3 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/23(水) 23 43 45 ID JZRmxXR0 3 4 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/24(木) 00 55 56 ID 8rvuLuFC 4 5 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/24(木) 02 44 51 ID Uj7HMpBS 1 乙 6 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/24(木) 02 48 27 ID rkzo8kjy ナイス 1乙……! 素晴らしい乙……! 7 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/24(木) 04 38 25 ID 9lD4ju2W 1乙 8 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/24(木) 06 05 52 ID g2jL+wwz 1お兄ちゃんの乙を独占したいの 9 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/04/25(金) 01 03 30 ID 4FqnX7n3 高1春 男 高校に入学して1ヶ月がたった。 地元の中学からこの高校に入学したのは俺だけだったので不安もあった。 でも、友人もでき、問題なく学校生活を送っていた。 部活はテニス部前から興味があった。それだけだ。 順調にどこにでもいる高校生になっていった。 高1夏 男 学校生活にも慣れてきた頃、クラスで気になる女子ができた。 彼女はクラス、いや学年でもトップクラスの容姿だった。だが漫画に出てくるような容姿端麗、頭脳明晰 というような娘ではなく、成績は中の下くらいだった。性格はおとなしく、化粧もしていないようで、同じようにおなしい 性格の友人とグループを作っていた。 10 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/04/25(金) 01 03 57 ID 4FqnX7n3 高1秋 男 夏休みが終わり、2学期が始まった。 彼女は夏休み前と変わっていなかった。 もし、派手な風貌になっていたらどうしようと身勝手な心配していたので安心した。 そんな風に彼女を見ていたら目があってしまった。 あわてて目をそらした。俺は女子にはまったく免疫がないんだ。 文化祭が近づいているので放課後も残って準備することが増えてきた。 俺は意図せず彼女と同じ班になっていた。 黒板の希望するグループのところに自分の名前をさっさと書いて友人とふざけていたら 彼女もこのグループに来てしまったのだ。 俺はただでさえ女子に免疫がないのに、気になる娘がそばにいるととても平静ではいられない。 放課後の作業も部活だとか塾(嘘)だとか言って逃げまくっていた。 しかし、いざ文化祭が近づくとそんな言い訳も通じなくなり、いやいや参加していた。 俺は異常だと自分でも思う。好きな娘と事務的な用事について話すだけでも嫌なのだ。 心臓がバクバクいって自分のヘタレた部分を見せ付けられるようでとても耐え切れないのだ。 文化祭は2日間に渡って行われる。 周りの友人はクラスだの部活の女子だのを誘い一緒に校内を回るようだ。 だが俺にはそんな発想はまったく無かった。 はっきり言って好きな娘ができても恋人になりたいなどと思ったことはない。 前に述べたようにヘタレなのものあるが、何より俺は自分に自信が無かった。 成績ははっきり言って悪い。運動も部活はしているが試合に勝ちたいとかそういう気持ちはなく、 いわば、前からの興味と運動不足を気にしてのことだった。 最後に容姿だが、これは実は周りからの評判は悪くない。といっても女子に免疫のない俺が女子の評判を耳にする機会などあるわけもなく、 もっぱら、男連中からだ。まあ要は信用ならない情報だ。 当日は部活の出し物のない時には教室の出し物に顔を出すことにした。 教室に行くと彼女が居た。 俺達のグループで入るのは彼女だけのようだ。目が合ってしまったのでしかたなく平静を装って彼女の方に向かう。 いつから当番をしているのかと尋ねてみるともうすでに3時間もここに居るそうだ。 俺は彼女に自分に任せてくれてかまわないと伝えたのだが、しかし 彼女は友人も男子とどこかにいってしまっているのでいいと返してきた。 俺は困ってしまった。彼女にこの場を任せるように言ったのは自分のためでもあったのだ。 俺は文化祭前に何が何でも彼女を落とすと豪語していた友人の登場を願った、心の底から。 すると友人ではなく誰だか知らない男が現れ、彼女に話しかけた。誘っているのだろう。 しかし、彼女はそれを断っているようだ。男はしばらくねばっていたが、やがてあきらめていってしまった。俺を睨み付けて・・・ 結局文化祭が終了するまでの間俺はずっと彼女と一緒にいた。 その間彼女には10人以上のお誘いがあった。 しかし彼女は誰の誘いにも乗らなかった。そのせいで俺は10人以上に睨まれるはめになってしまった。 でも、彼女も彼女だと思う。相当なイケメンもいたのに振ってしまうなんて持ったいない。 イケメンをふって10分に一度「人あんまり来ないね・・・」「うん」なんて会話しかできない俺といるなんて矛盾している。 もしかしたら彼女も俺と同じ気持ちなのかもしれない 俺と同じで異性が苦手なのだ。 ちなみに彼女を落とすと豪語していた友人は前日にはもう振られていたらしい。 それを聞いて俺はホッとした。 身勝手だと思う。 彼女と二人になってしまった時には来い!そして誘え!と思っていたというのに。 11 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/04/25(金) 01 04 34 ID 4FqnX7n3 高1冬 男 俺の耳に恋愛の噂はあまり入ってこない。 俺自身が好きな人をまわりに言ったりしないせいだと思う。 クラスの中で三角関係が起きていたことなど、三角関係に決着が付いた後に知った程だ。 だが、噂の当事者が学年でも評判の美少女となれば話は別だ。 彼女に好きな人がいるらしい 俺は正直ホッとした。付き合っているという噂ならショックを受けただろう。 しかし、好きな人がいるというのはいいことだと思う。 自分のことは棚にあげるが、彼女にはいい恋をしてもらいたいと思う。 はっきりいって俺のような青春は駄目だ。 それに好きな人がいるらしいという段階から聞ければ、付き合っていると聞いてもショックは和らぐだろう。 2月14日はバレンタインデー 中高生男子にとっては審判の日だろう。 女の友人でもいれば気軽に構えてられるのかも知れないが、俺のような人間にそうはいかない。 というか、俺自身はそんな気にしてないのだが、同じ系統の人間が俺を巻き込んで騒ぐのは迷惑極まりない。 結果の見えているのにいつまでも教室にいるのは見ていて哀れになる。 俺はさっさと部活に行くことにして教室を出た。 その時についいつもの癖で彼女を見てしまう。 目が合う。合ってしまった。 後悔した死ぬほど 勝手に期待していた身の程知らずの男と思われただろうか。 彼女は意中の相手にチョコを渡すことはできなかったようだ。 彼女の性格なら十分にありうることだ。 普段、親しくしているならまだしもそうでない相手にチョコを渡すことは告白に等しい。 彼女は家で泣いたりしたのだろうか 12 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/04/25(金) 01 05 50 ID 4FqnX7n3 即興で書いたのを勢いで投下しました。 うん、ごめん 13 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/25(金) 01 23 25 ID l41RQECY ねぇちゃんを鈍器で打ったらヤンデレになっちゃったよぅ・・・うっ・・・うっ・・・ 14 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/25(金) 01 24 12 ID 4+RlTjWH いんや、面白かったぜ! スピーディーで良かったよ。 続きに期待してます!! 15 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/25(金) 01 42 03 ID aQ3WnBEo 続きに期待 でも、誤字脱字が目立ったから、一度推敲してみることをオススメする 16 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/25(金) 06 08 48 ID 1Il//wuQ 誤字脱字以前の前にsageろ そんで辞典片手に20回は読み直せ。あまりに酷すぎる。いままで読んだSSの中で一番最低だ 謝るくらいなら投下するな。即興で書いたとか言い訳するな。即興かどうかなんてこっちは知ったことじゃない ハンパなもん投下する奴が一番タチ悪い。中学生レベルなら身の程をわきまえろ 17 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/25(金) 06 33 36 ID ivsGyO8x どのへんにヤンデレがあるの? どのへんにヤンデレがあるの? 18 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/25(金) 07 54 51 ID l41RQECY 携帯小説レベルと言われても仕方ない出来 19 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/25(金) 08 47 35 ID 5S3SRATj 12 GJ!! 続くのかな? だとしたら全裸で待機してるよ 20 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/25(金) 08 53 30 ID cpVrKqtR 16 喚くなハゲ 21 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/25(金) 09 02 36 ID 1Il//wuQ 21 黙れ糞虫。日本語も読めないゲロカス以下は死ね。今日中に死ね 22 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/25(金) 09 08 42 ID 1Il//wuQ 自爆った… 20ね は、恥ずかしくなんかないんだからね!言い過ぎたことを後悔なんかしてないんだから! 23 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/25(金) 09 12 36 ID kxQIA+gg 何か暴れている奴は腐女子のような気がするな 24 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/25(金) 09 15 11 ID kxQIA+gg 批判者というのは自分に書く能力がないのに態度だけは偉そうなのはどうしてなんだろうか? 25 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/25(金) 09 24 44 ID hf5zHBt6 文法的な間違いってどこかな? 26 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/25(金) 09 24 47 ID NZ0Pv+NW ID変えて擁護乙 27 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/25(金) 11 31 35 ID a0ffIId0 気に入らなきゃスルー それくらい常識だろ 28 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/25(金) 11 55 35 ID h9LX2Vum これから病んでくるじゃない?なぜ騒ぐ?わっかった!みんな中毒だヤンデレの! 29 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/25(金) 11 56 30 ID kxQIA+gg ヤンデレみたいな彼女が現実にいたらいいんだけどね 30 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/25(金) 12 01 24 ID kxQIA+gg 鋸を持ったヤンデレに襲われる夢を見た奴が勝ち組なんだよ!! 31 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/25(金) 12 36 15 ID ks/S5VkT 女にストーカーされたあげく刺された夢を見た私が参上 32 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/25(金) 12 43 55 ID 2KNIWV7m 31 なんと言うレズ 33 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/25(金) 15 55 40 ID ks/S5VkT 男だよ 34 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/25(金) 17 47 46 ID 2KNIWV7m ほんとは知ってたんだけどなにか俺の中で期待があったのかもしれない(´・ω・) 35 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/25(金) 18 24 30 ID sNNVpEsu それは本当に夢だったのかな? 36 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/04/25(金) 18 45 54 ID yR4FV587 五時脱字なんてこのヤデレスレには似あわないよ 37 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/25(金) 19 45 24 ID SGNkNkQw 36 つっこまないぜ 38 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/25(金) 21 09 32 ID yaTEmfKK , -‐ァ‐- 、 / ´ .. ヽ , -‐ヤ . rt ァ;゙´ ,」 \ ` ̄`ヾ `ヾ 7 シ. ヽ ト-、 ` ツ . \ l ㍉ 、 . .、\ , . ヾ、 . .、 . ㍉ミゝ、 、 ` ‐㍉ミミミミ、 ヽ. _,` =ミミミミ 、 `7 - ニ..ミ三彡ヘヽ\ ` /´ / ヾ \ヽ 、,/ / ヾ. ヾ\  ̄/ __/ ヾ .ヽヾ、 / ヽ ヒョウロンカキドリ 山梨県 富士樹海 他の鳥が作った巣に難癖をつけ、攻撃する習性を持つ しかし自分では巣を作らない ケイタイ虫と呼ばれる寄生虫を飼っており、それによって 凶暴化しているという学説も有る 39 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/04/26(土) 08 05 45 ID eYlfZSYl 投下します。 十一話目です。ちなみに、九話から死闘編ということになっております。 40 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/04/26(土) 08 09 12 ID eYlfZSYl * * * ああ、愉快愉快。 あの金髪女ったらあんなに取り乱しちゃって。ざまーないわね。 そんなに彼の姿が見えないのが不安でならないのかしら。 全く情けない。アタシなんか彼の姿が見えなくったって幸せな気分でいられるっていうのに。 ま、無理もないかも。あの女、葵紋花火の友達は彼だけ。 知人と呼べそうなのは体目当てに誘ってくる性欲猿みたいな男子生徒たちだけ。あ、彼のお兄さんも知り合いかな? ともかく、彼が居ない時の葵紋花火はデパートのおもちゃ売り場で迷子になった子供みたいな感じ。 他に頼れる人がいないんだもん。その唯一の人がいなくなったんだから、取り乱しても当然か。 沸騰した頭で考えてでたらめに行動したって、なんの結果も生み出せないのに。 彼が今どこにいるのか、突き止められはしないのに。 あまりのおかしさに喉だけでくつくつと笑ってしまった。肩もちょっと揺れてる。 もう、お昼なんか要らないかも。あの女の焦る顔を見ているだけで腹一杯。 「どうしたの澄子ちゃん? いきなり笑ったりして」 「ん? んーん、なんでもないない」 話しかけてきたのは机をくっつけて一緒にお昼を食べている桃ちゃん。 桃ちゃんの箸はあまり進んでいない。小さなお弁当箱の中身は半分も減ってない。 この子の神経の細さじゃ、さっきの光景を見たショックに耐えきれないから当然か。 「……ねえ、大丈夫かな。私たち」 「何が?」 「だってほら、さっきの……さっきみたいに、葵紋さんが……」 「大人しくしてればなんともないよ。だってアタシたち、誰にも言ってないから気付かれてないでしょ? あの子たちみたいに群れたりするからいざとなった時狙われるんだよ。平気平気」 「そう、だよね……うん。ありがと」 そう言って桃ちゃんはようやく箸を動かした。 でも口が開いてない。小振りなコロッケを半分に割って食べているようじゃそのうちに昼休みは終わってしまう。 アタシと桃ちゃんは彼に憧れる同士。 と言っても桃ちゃんは内気な性格だから彼にアピールしない。アタシもさりげなく止めてるし。 だって積極的になり出したら敵として認識しなければいけなくなる。できるなら、それは避けたい。 あまり頼りにならない勘だけど、昔のアタシと桃ちゃんは似てる気がする。 内気なところとか、声が聞き取りにくいところとか、諦めから物事に取り組むところなんかが。 アタシは彼と気持ちよく話すために普段から明るく振る舞っているけど、内面ががらっと変わったわけじゃない。 一人で部屋に居るときや、彼が葵紋花火に話しかけるところを見ていると一気に気分が落ち込んでしまう。 それでも彼が優しくしてくれると、彼を掴まえて独占したくなる。 なにかのきっかけがあれば桃ちゃんも今のアタシみたくなる可能性もある。ないとは言えない。 だからアタシは彼と桃ちゃんをなるべく接触させない。 罪悪感もある。だけど、彼はアタシだけの恋人なんだから仕方がない。 それにもし桃ちゃんまで本気になったら、排除しなくちゃいけなくなる。 アタシは一応桃ちゃんのこと友達だと思ってるから、できればそれは避けたい。 41 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/04/26(土) 08 10 17 ID eYlfZSYl 「さっきの……葵紋さんが殴った子。どんな様子なのかな」 「さあ。さすがにそこまでは。大事にはなってなければいいんだけど」 桃ちゃんは小さく頷いた。あんな子を心配するなんて優しいね。 アタシがさっき口にした言葉は嘘。本当はとっくに大事になっている。 葵紋花火は昼休みになると同時、彼を狙う有象無象の輪の中に突っ込んでいって、いきなりグーで殴った。 自分が心配している時に、あーだこーだと彼の行方を推測する人間達に腹を立てたと思われる。 腹を立てていたのはアタシも同じだけど、さすがに殴らなくても。 殴られた子は吹き飛ばされて、机を三つほど巻き添えにして床に叩きつけられた。 とっさに隠したみたいだけど、口から溢れる血と一緒に、折れた歯が床に落ちるのをアタシははっきり見た。 手加減ってものを知らないのかしら。それともただ後先を考える余裕がないだけ? そのままずっと心を乱したままでいればいい。 校内で暴れ続けていればさすがに教師の目に留まる。 停学、もしくは退学処分になればあの女の目障りな金髪を目にすることがなくなる。 桃ちゃんが箸を置いた。まだ中身の残ったままの弁当箱に蓋をして、嘆息する。 「葵紋さんが暴れたのって、やっぱり彼が今日休んでるのが原因かな」 「たぶん、そうだと思う」 「でもたまには休むことだってあるだろうし。どうしてあんなに荒れてるんだろ。 彼が休むたびにあんなんじゃ、私落ち着いて学校に行けないよ」 「たまたま、二日目とぶつかったんじゃない? 大丈夫だって。アタシたちは絶対に狙われることなんかないから」 「うん……うん、そうだね。ありがと、澄子ちゃん」 弁当箱を布でくるむと、桃ちゃんは自分の席へと戻っていった。 アタシは唇だけを動かして呟く。 「なんにも心配要らないよ。もうすぐ恋に悩む必要すら無くなる。 ……彼はアタシが手に入れたんだから」 彼の居場所を知っているのはアタシだけ。 彼が昨晩何を食べたか、何をしていたのか知っているのはアタシだけ。 彼の全て、心も体も考え方もコントロールできるのはアタシだけ。 今はまだだけど、これからそうなっていく。アタシがそうする。 そして、最後。 これこそが葵紋花火にとっては最大の屈辱。 ――――彼の初めての味を知っているのはアタシだけ。 42 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/04/26(土) 08 11 37 ID eYlfZSYl * * * 「知ってるんだろ、アニキならもちろんさ。なんたってお兄さんなんだからな」 短いなかに俺への悪意が強く感じられる、花火の言葉。 これでもこいつにしては抑えている方だろう。本来なら胸ぐらを掴み上げられてもおかしくない。 そうしないということは、ここへは話を聞きに来たのだろう。 「どうなんだ、アニキ」 「わからん」 「…………は、なんだって?」 「わからないんだ、本当に。弟は昨日学校から帰ってこなかった。で――」 「その後で変なメールが送られてきた。そうだろ?」 花火がスカートのポケットから携帯電話を取り出し、開く。 画面に映っているのはメールの文章だった。 でも、これは……。 「あいつが私にこんなメールを送ってくるはずない。絶対にありえない。 昨日あげたチョコ、あいつは貰ってくれた。大切に味わって食べるって言ってくれた。 だから、急にこんなメールを送ったりするほど気変わりするわけがない」 花火の言うとおり、メールの文章は弟ではなく、弟になりすました誰かが送ったとしか思えないものだった。 いきなりだけど、大事なお願いがある。 二度と僕に近づかないで欲しい。 僕の前に姿を現さないで。 僕は花火のことが好きじゃないんだ。 花火が僕のことを好きじゃないのと同じで。 さよなら、花火。 「こんなの、こんなのあいつじゃない! 誰かがあいつの携帯を奪ったんだ! あいつと仲のいい私を嫌ってる誰か、男か、女か、年上年下同い年……どいつでもいい! 昨日この学校であいつを奪った奴がいるんだよ! 許せるかっ、そんなのっ!」 花火の掌が机を激しく打った。瞬間的に椅子ごと揺らされたような錯覚を覚えた。 「答えろ、考えろ、思い出せ! 何か一つぐらい心当たりがあるんだろ、アニキ!」 教室中を静寂に陥れる叫び声。しかし、隠し切れていない怯えが裏にある。 花火の手が小刻みに揺れる。 弱い。今の花火には弱さだけがある。俺に怒りをぶつけてきた時の勢いは欠片もない。 でも、俺には励ましの言葉を言う権利や、状況を利用して軽口を叩く勇気もなくて。 可哀想だけど、もっとも誠実に、期待を裏切るような言葉を言うしかできない。 「悪いけど、本当に知らないんだよ。俺のところにもそれと似たようなメールが来た。妹にもだ。 昨日はずっと寝ずに待っていたけど、帰ってこなかった。連絡をとろうとしたけど返事もない。 とりあえず今日まで様子を見てみて、明日になっても同じようだったら警察に連絡するよ」 「遅いんだよ、そんなんじゃ。 明日まで待つだって? 明日まであいつが無事で居られる保証は? 警察が発見する確率は? 一日もあれば、人間一人ぐらいどこにだってバレずに移動させられるんだぞ。 アニキはあいつのこと心配じゃないのかよ」 「……まったく心配していないわけじゃない」 「なら、こんなところで座ってないであいつを捜しに行きなよ。 捜してるのは私だけだ。本気で心配してるのも私だけ。どいつもこいつも憶測するか、待つしかしない。 もうこの際、なりふり構ってられない。アニキにも手伝ってもらう」 右手首を掴まれた。力の全く籠もっていない手が強引に体を引っ張り上げようとする。 振り解こうとすればできたけど、今の花火を拒絶することはできなかった。 過去に花火を傷つけた罪悪感が、従う以外の選択肢を許さない。 もしかしたらまだ完全には嫌われていないのかもしれない、なんて甘い考えが脳裡を掠める。 そんなことはありえない、と自分に言い聞かせると少しだけ寂しくなった。 43 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/04/26(土) 08 12 37 ID eYlfZSYl 花火の手に引かれるまま椅子から腰を浮かせ、後をついていく。 教室の入り口前に辿り着いたところで、突然花火が止まった。背中にぶつかりそうになるのをなんとか堪える。 見物人でも溜まっていたのだろうか。花火の肩越しに進行方法を見遣る。 見えたのは、腕を組んで入り口のど真ん中に佇んでいる葉月さんの姿だった。 「どけ」 花火の声を聞いても葉月さんは動かない。眉さえぴくりとも動かさない。 ただまっすぐに目前の相手を見据えているだけ。 「詳しく話を聞かせて欲しいの。さっき、そこの彼の弟のことを話していたでしょう」 葉月さんの目が俺を捉えた。その目が少しだけ細くなったのは何故だ。 もしや、怒っている? ――あ、そういや葉月さんには弟のことは一言も話していなかった。 相談されなかったからのけものにされたとでも思ったのかもしれない。 こっちにそのつもりはなかったけど、ごめんなさい。 葉月さんの視線が花火の方を向く。真摯な目をして、ふざけた調子のない声で喋り出す。 「私も彼の弟が心配なの。あなたの言うとおり何かがあったとしたら助けないといけない。 動くなら早いほうがいいもの。そうでしょう?」 「……その通りだ」 「それじゃあ、私も一緒に捜すから」 「いや、その必要はない。協力しないで欲しい。私とアニキの二人だけで探す」 葉月さんの表情が怪訝なものに変わった。おそらく今の俺も似たような顔をしていることだろう。 花火はなぜ葉月さんの協力を拒む? 人を捜すなら人海戦術をとった方が有利だということはわかるだろうに。 「どうして協力したらいけないのかしら? 理由は?」 「……話す必要がない。これは私とあいつと、アニキの問題だからだ」 「そんな理由じゃ納得できないわ。弟君のことを心配しているのは私だって同じよ。 もし何かあったりしたら私だって困るもの」 「……なに?」 「だってそれは、将来……他人じゃなくなるんだから。無事でいてもらわなきゃ、私の計画が崩れちゃうわ」 うつむきながら葉月さんが呟く。昨日もだったが、言葉だけでは葉月さんの考えを読めない。 計画ねえ。将来の計画、進むべき未来の予想図、これからやりたいこと。 俺には模型作りの趣味以外にやりたいことがすぐに浮かばない。 同い年でありながら先のことを考えている葉月さんは立派だと思う。 まあ、そんなことはどうでもいい。今考えるべきなのは花火が葉月さんの協力を拒む理由だ。 44 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/04/26(土) 08 14 11 ID eYlfZSYl 「そんなわけだから、私も弟君を捜すの手伝うから」 「お前の名前は?」 「私? 葉月よ」 「葉月……葉月。そうか、お前が、か」 花火の声が幾分低くなった。 「二年D組の、葉月。お前もか。お前もそうなのか」 花火が一歩踏み出す。表情は俺の位置からは見えない。しかし声を聞く限り、穏やかであるとは思えない。 正面から向かい合っている葉月さんの様子も少し違う。表情が固くなったというか、あまり動かなくなった。 ふと気づいた。昼休みだというのに、葉月さんと花火の近くにいる人間は俺一人だ。 そのせいで緊迫した空気に俺まで飲み込まれた気分になる。 関係者ではあるのだが、にらみ合いに混ざっているわけでも、こうなった原因を作ったわけでもないので立ち位置の判断に困る。 もしかして、二人を止める役どころをクラスメイトに期待されていたりしないだろうな。 実家が道場を開いていて自身も武道を習っている葉月さん。ぱっと見てもじっと見ていてもアウトローに見える花火。 葉月さんには過去四回ほど投げられたことがある。花火には一度殴られたことがある――こっちは自業自得だが。 ともあれ、口論で事態が収まらないのだとしたら、体を張らなければならない。 二人の衝突を見過すことなどできないのだから。 葉月さんが口を開く。それだけのことで驚いて心臓の鼓動が速くなる気がした。 「私も、って? 私が今あなたに何かしたかしら」 「私にじゃない。あいつに、だ」 「あいつ……弟君のこと?」 「葉月、お前のことはあいつから何度か聞いた。 私と一緒にいるとき、あいつが女のことを話すのは少ない。せいぜい自分の妹のことぐらい。 だが、最近になってお前のことも話題に上るようになった。 そのことを、気にしすぎだと思っていなくて良かった。警戒していて、良かった。 私の予想通りに、葉月――お前は、あいつを奪おうとしていた!」 目の前にいる花火の肩が少し揺れた。そして、たったそれだけで事態は急変した。 45 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/04/26(土) 08 16 00 ID eYlfZSYl 拍手の快音に似た音がひとつ生まれた。しかし誰かが拍手したわけではない。 言うなれば、葉月さんと花火が協力してできた音だった。 花火の右拳が葉月さんの顔面を真正面から狙った。それを葉月さんが両手を使って止めたのだ。 葉月さんが口を開く。いつもより声が一段階低い。 「……そっか。あなたもやっぱり弟君のこと」 「ああ。お前と同じでな!」 花火の体が小さく傾ぐ。左足のシューズが床から離れている。 この動きが蹴りだと気づいた瞬間、左足が跳ね上がり、葉月さんへ向かっていった。 蹴りを受け葉月さんの体勢が低くなる。 途端に背筋が寒くなった。葉月さんが倒れる――と思ったが、そうはならなかった。 予想だにしなかったことだが、今度は俺の体に衝撃が走る番だった。 蹴りを出したはずの花火の体がいきなり俺の体にぶつかったのだ。 そう、花火は後ろに下がった。蹴りを放った体勢のまま。 「は…………はああ?」 何が起きた? 蹴りを受けた葉月さんじゃなく、どうして攻撃した花火が下がる? 「く、お前……!」 「やめて。あなたは誤解してる。私はあなたが心配するようなこと、考えてない」 「そんな台詞は聞き飽きた!」 右腕を花火に掴まれた。腕を引かれ、体を振り回される。 強制的に葉月さんのもとへと押しやられる。 このまま抱きついてしまおうか、なんて考えたがすぐに思考を止め、次にもつれる足を止める。 花火に一言文句を言うために振り向く。 目に映り込んだのは、右足を振り上げた花火の姿。足の軌道は床と水平。高さはみぞおちまで。 衝撃に備えるのが間に合わない。反射的に目を閉じる。 右方向への強制的な浮遊感、いやむしろ、転倒する感覚。 脇腹に痛みは覚えない。だというのに明らかに体は傾いていた。事実、立っている位置が変わっていた。 花火と向かい合っていたはずの場所から、葉月さんを背にして右にいた。 目の前に黒板の右の壁に貼られている時間割がある。今日の五時間目は国語。 「ち、奇妙なことを!」 声がした方向を向く。花火が目を剥いていた。視線の先にいるのは俺ではなく、葉月さん。 葉月さんの立ち位置は一切変わらない。花火の蹴りを食らったような様子もない。 「もう一度言うわ。やめて頂戴。 こんな言い方嫌いなんだけど、私は護身術みたいなものを習っているから、さっきみたいなことをされると体が反応するの。 最初の蹴りは足が伸びきったところを掴んで押した。さっきのは彼を右に動かして、あなたの蹴りを腕で逸らした。 反撃しようとすればできた。けどやらなかったのは、反撃したくなかったから。 頭に血の上ったあなたじゃ無理。私の膝を床に付けさせることはできない」 「そんなの、絶対だなんて言えるか!」 「ああ、もう――――少しは話を聞けないの!?」 46 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/04/26(土) 08 17 17 ID eYlfZSYl 耳をふさいでしゃがみたくなるほどの大音声。間近で聞いたから鼓膜が本当に痛い。 葉月さんが花火を指さしながら言う。 「私は弟君のことなんか――じゃない。弟君を狙ってたりしないわよ! だってわたしが、……き……なのは、別の人なんだから! 勘違いされちゃ困るわ! 本当に困る! もし誤解されたらどうするのよ!」 ……うむ。なんていうか、照れる。 葉月さんが好きなのって、俺――なんだよな、たぶん。昨日バレンタインチョコもらってないから自信ないけど。 でも、ここまで必死になって弟との関係を否定されるとちょっとだけ嬉しい。ライバルが一人減った気になる。 必死の叫びを聞いた花火はまだ納得できていない顔をしていたが、握り拳を解いていた。 「今の言葉、本当だな?」 「ええ。彼だけじゃなく、クラスにいる全員に誓ってもいい」 「そうか。なら――謝る。すまなかった」 花火が会釈ぐらいの角度で頭を下げた。意外にも、花火は自分が悪かったときは非を認めるらしい。 「わかってくれたならいいの。それじゃ、早速弟君を捜しに行きましょ」 「……それは駄目だ。やっぱり断る」 「ええ? どうしてよ。やっぱり誤解してるんじゃ」 「違う。ただ単に一人で捜しに行こうと思い直しただけだ」 花火が入り口方向、葉月さんのところへ歩き出した。 葉月さんが花火の前に立ちふさがった。しばし二人が見つめ合う。 ほどなくして、葉月さんがため息をついて道を譲った。顔には諦めが浮かんでいる。 ふと、思い出した。花火が教室に来たのは俺を弟捜索の応援に駆り出すためだったはず。 なのにいきなり一人で捜しに行くなんて、どういう心境の変化があったんだ。 「花火、俺を連れて行くんじゃなかったのか?」 「……もういいよどうでも。ていうか、着いてこないでくれ、アニキ」 扉に左手を懸け、肩越しに花火が俺を見た。 「アニキ。やっぱり、あんたは最低な人間だ」 ――え? 「ちょ、ちょっとあなた、なんてこと言うのよ。彼はそんな悪い人間じゃないわよ」 「葉月、あんただってそう思うはずだ。今はまだでも、アニキとの関係を続けていればいつか必ず」 「……どういうことよ、それ。返答次第じゃただでは済ませないわよ」 葉月さんが花火へと詰め寄る。花火は首を廊下へと向け、教室から出て行った。 「待ちなさいよ! どういうことなのか説明しなさい!」 昼休み終了のチャイムが間もなく鳴る時間帯、教室に戻る生徒が行き交う廊下に葉月さんの声が響く。 花火の足が止まる。窓から指す陽光を反射する、流れるように滑らかな金髪も一拍遅れて動きを止める。 「はっきり言ってやろうか、葉月」 「ええ、言ってみなさいよ。彼のどこが悪いって言うの?」 「私からすれば存在自体なんだけど、あんたに言っても無駄だろう。 ひとつだけ言わせてもらうよ。アニキの絶対的な欠点。 人の気持ちに不誠実なところ。平気で裏切るとか、いつまでも相手の気持ちに答えないとか。 忠告しておいてやる。アニキに関わったら、いつかあんたまで不幸になるよ」 「そんなのっ……」 「言いたいのはそれだけ。じゃあ」 言い終わると花火は歩き出した。 葉月さんはその場に立ちつくし、階段のところで花火の姿が見えなくなる頃になってようやく口を開いた。 「仕方が……ないじゃない。駄目だって、まだ無理だって。 私には……待つことしかできないんだもん。あなたなんかに何がわかるのよ」 泣いてはいなかったが、声は悲しみに沈んでいた。 拳は固く握りしめられ、小さく震えていた。 昼休み終了を告げる鐘の音が鳴る。 葉月さんにかける言葉を見つけられなかった俺は、鐘の音を聞いて心が安らぐのを自覚した。 47 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/04/26(土) 08 17 57 ID eYlfZSYl 十一話はここで終了です。それではまたお会いしましょう。 48 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/26(土) 08 24 38 ID uHljBazC うおおぉ! リアルタイムGJ! 兄貴の記憶にない過去が気になるなあ 49 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/26(土) 08 48 36 ID tCb0nO5E 初期に保健室でクロロホルムの話をしていたのは澄子ちゃんではなく桃ちゃんでいいの? 澄子ちゃんとはキャラが重ならないから、どこ行っちゃったのかな?と思ってたんだ。 50 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/26(土) 10 31 27 ID CzLvOW/t 確かに兄貴ってびっくりするほど行動しないよな。 もう少しアクションがあってもいいと思うんだけど。 その辺含めて後で語られるのかな。 楽しみにしてます。 51 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/26(土) 13 09 35 ID H+tKNrpX GJ!やっと来たぜ新作。こりゃ、長いことになりそうだな。葉月さんはこれからヤンデレにはならない…かな?結局病みそうなのは誰だ?花火?妹?澄子? 52 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/26(土) 13 27 12 ID w26y1BI/ 新作だと? 53 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/26(土) 14 04 38 ID tCb0nO5E つうかさ、クリスマスにはラブコメっぽかった澄子ちゃんがいきなり病んでるのはなぜ(?_?)。 おいらが一話見落としているのか、それとも弟視点話で澄子ちゃんが独白してくれるのか・・。 54 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/26(土) 14 05 04 ID obck4Il3 47 葉月さんは可愛いなあ それにしても、ここまでボロクソに言われる過去の兄はどんなんだったのだろうか。 今はただ鈍いだけだが 55 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/26(土) 14 24 53 ID KbLm19Xk いや、これは全員病んでるんじゃないのか? 56 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/26(土) 17 54 00 ID 6XAW3pct 50 タイトルに傍観者と銘打ってるわけだしいいんじゃないか? あまり積極的に動きすぎると看板に偽りあり、ってことになっちまうしな 57 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/26(土) 22 09 42 ID CDAbNtRH 傍観者なのにクソミソ言われてるのも妙な話だが 58 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/26(土) 23 03 30 ID UCq/AwTP 連載当初は確かに傍観者だったよ。そこからどんどん周りに巻き込まれたんだろ 59 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/26(土) 23 43 28 ID UvqDZ014 花火に殴られた娘が可愛そうです。 弟を無事見つけられたら反省してほしい 60 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/26(土) 23 49 18 ID 5GOgZQ5A 実は本当の傍観者は弟の方なんじゃね? 61 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/27(日) 00 44 21 ID F+toZw+R どっちにしても主人公なんだから兄貴は最後にカッコよく決めてくれると信じてる。 さすがにこの状況でいつまでも傍観者を気取ってはられまい。 62 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/27(日) 00 46 00 ID tyGbB3JU 記憶の一部分が無いことやら、告白された美人への返事やら 複雑な家庭環境やらどうみても自分が関わってるのに傍観者 のごとく問題を静観するだけで投げっぱなしだしな 思考も解決しようとするのではなく問題先送りにしてるだけだし よく考えるとダメ人間な気がw 63 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/27(日) 03 14 56 ID sf04hmCW ヤンデレの主人公なんて基本ヘタレな気もするがw ただまぁ、妙に感じ方が奇妙なのもあるな。誰が喋ってても言葉の意味を考えようとはしてないし 64 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/04/27(日) 06 19 40 ID QhHgTSQ+ 65 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/27(日) 12 55 33 ID dHJVDZqA まぁ書き手が書きにくくなっちゃいかんからあんま詮索しないほうがいいだろうがな。 あっ後みんなおはよう。ツンデレっ娘に怒られてたらいつの間にか眠くなってヤンデレっ娘に 監禁される夢見たよ。すっごく幸せだった。 66 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/27(日) 18 07 36 ID JZZlC6BC 馴れ合いうぜえ 67 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/27(日) 19 30 17 ID U8TKeMm8 65 ヤンデレの夢はごくたまに見るけど夢の中でもまだ監禁されたことがないから正直少し羨ましい 血とかはないけど中~重度の依存症気味の女の子 やはり脳内の理想のヤンデレ像とかヤンデレ娘に言われてみたい言葉が影響しているんだろうか 68 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/27(日) 19 55 27 ID izKGek9N ヤンデレとか実際いいもんじゃないぞ たとえ顔がかわいくてもね、やめてほしくなる 69 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/27(日) 19 55 59 ID +r8g0N6n 去れ 70 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/27(日) 20 17 30 ID /PKThdUc 68 そりゃ三次元だろ。 たぶんだけど俺らは大半が二次元のヤンデレ萌えだと思う。 70年~90年代のヤンデレが出てくるやつ見た奴はとくに。 71 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/27(日) 20 18 06 ID YMec9AVg このタコが 72 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/27(日) 20 41 26 ID dHJVDZqA 67 監禁は愛の究極体だということがよく分かったよ 68 君はいったいここをどこだと思ってるんだい? 73 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/27(日) 21 20 52 ID izKGek9N すまん別に批判してるわけじゃないんだ 実際俺も体験するまではこのスレの話読んで俺もヤンデレに愛されたいなーとか思ってたし 74 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/27(日) 21 22 00 ID +r8g0N6n \み会行きたくない… orz ……orz /orzorzorzorzorzorzorzorzorzorz . . \ orz orz 彼女にアニオタだってバレ/orzorzorzorzorzorzorzorzorzorz . . \ノジョにフられた…… orz … /orzorzorzorzorzorzorzorzorzorz . . \ …… orz 友達と喧嘩/ ■■■ ■ ■■ ■■■■■ . . .... .. \orz 女の子のアドレス30件しか /■ ■ .■ ■ Λ_\ ……orz …orz / ■ ■ ■ ■ リア充→ / 彡ミ゛ヽ;\ … 経験人数が一/ .■ .■ ■ ■ / / ヽ、ヽ、\ … ∧∧∧∧∧ / ■■■ .■ ■■■■■ / /;; ヽ ヽ l\< 自 >/ orzorzorzorzorzorzorzorzorzorzorz  ̄ ̄ ̄(_,ノ  ̄ ̄ ̄ヽ、_ノ ̄< 虐 > orzorzorzorzorzorzorzorzorzorzorz < 風 >orzorzorzorzorzorzorzorzorzorzorz ―――――――――――< の 自 >―――――――――――― 36名前:学生さんは名前 < 予 慢 > OTL セックスしすぎて… 東大に入って、昨日の駒 < 感 > OTL 彼女が… orz 彼女に運ばれて、今日の < !! > 高学歴なのに… orz /∨∨∨∨∨\ 友達が… OTL mixiで… 24 名前:学生さんは名前が/ \ 合コンで… orz 彼女から着信あるとマジで/ リア充[ピーーー]よ!\´ OTL イケメンなのに… 連続ですごいかけてくる /∧_∧ ∩ \サークルが… orz 正直しんどいです… /( ;´Д`)ノ______ \ orz 180cm65kgで… / (入 ⌒\つ /| \ 女の子が… OTL 427 名前:学生さんは/ ヾヽ /\⌒)/ | \ バイトの… 童貞に戻りたい…orz/ || ⌒| ̄ ̄ ̄| \ 75 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/27(日) 22 40 22 ID OKmGdIja お茶会を全裸で待つ。 76 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/28(月) 00 58 36 ID KKL5Vf+f 主人公の男が引きこもりだったらヤンデレはどんな行動をとるのか… 77 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/28(月) 01 13 16 ID HyG/K924 監禁する手間が省けるだけです 78 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/28(月) 01 22 17 ID 9UNdHfr7 社会復帰を全力で阻止する 79 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/28(月) 02 15 30 ID enBNyxon 78 えぐいな…だが興奮を禁じえない 80 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/28(月) 09 36 20 ID oNPhMG0c 75 例大祭終わるまで待ってやれよw 81 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/28(月) 11 53 43 ID BuOZBwvN 『殺し愛』の一部のパターンはヤンデレだと思っている私は異端でしょうか? 殺し合う=愛し合う的な思考回路のヒロインはやっぱヤンデレとは言えないんかなー 82 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/28(月) 13 00 16 ID Ohei2eNI 78 最悪じゃんwww と思ったらそこから妄想が膨らんで萌えた。 男「初めて女友達できた^^」 女「!」 83 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/28(月) 13 08 00 ID 6nIYF+Oi 82 つまり世話焼きでツンデレな幼馴染が駄目駄目NEETの主人公を働かせようとして 紆余曲折ながら嫌々NEETは仕事始めるんだけど 段々と働くことが楽しくなってきてそこで幼馴染は寂しさを感じるんだけど主人公のためだと思って我慢しとく でもあるとき主人公が女と親しく話してるところを見て、 「あの女誰なの・・・?」 的な感じで主人公を追い詰め始める的な?w 84 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/28(月) 13 35 05 ID 0BVZQyst むしろ引きこもらせた原因を作ったのがその娘っていうね 85 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/28(月) 15 28 06 ID zz9erowk 愛ゆえに! 素敵……そういうのシビれちゃう…… 86 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/28(月) 18 11 06 ID 0BVZQyst というか昔そういうヤンデレもの考え付いて途中まで書いた 投げたけど 87 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/28(月) 19 41 36 ID Ohei2eNI 86 さあ、お前の「ヤンデレ.txt」の中にある文章を素直にここに出しなさい(`・ω・´) 出さないと俺の知ってるヤンデレの番長に焼きいれてもらうからな。 88 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/28(月) 22 43 22 ID TyV8OtB8 ふと思い出したことだが、 7,8年くらい前に何かの宗教の女教祖が逮捕された事件があったな その女教祖はある好青年(確か名前はユタカ)にベタ惚れしてて、 自分の宗教の信者達には「ユタカ様」と言わせて自分と同じように敬わせていたんだと しかし、信者の中に 「ユタカ様とドライブしてみたい」とか「ユタカ様ってかっこいい」と言う女がいれば、 「お前には狐がとりついておる!」と言い出し、 他の信者たちを呼び、集団リンチで殺していたそうだ この女教祖が逮捕された後の話は、 その時俺がヤンデレに興味がなかったせいか、どうなったのかはよく覚えていない 89 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/28(月) 23 35 13 ID aXXMwxmi 88 前半の文でカルタグラを思い出し 中の文でこの女痛いなと考え 後半でカルタグラの再プレイを決めた 90 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/29(火) 22 11 24 ID JI5inxaN ヤンデレを3日間ほど徹底スルーしたらどうなるんだろう 91 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/29(火) 22 24 48 ID vrW15ifj 前スレ落ちた? 1000いくかと思ったのに 92 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/29(火) 22 39 12 ID BnF9RCyL 90 1週間というSSが保管庫にあってだな 93 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/30(水) 01 39 50 ID b2ceXhLE 90 今の未来日記が似たような状況だと思う 94 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/30(水) 01 43 41 ID WjciKzqG 90 腕組まれたり添い寝されたり、やりたい放題される 95 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/30(水) 15 16 55 ID dKFi3s8/ ヤンデレ女にやりたい放題されたいな。 ああ二次元が出てきてくれたいいのに 96 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/30(水) 15 49 53 ID AZsNBQud 94 「ほら男くん。腕くんでみようね…」 「お、女さん…そ、それなんか違う…!!」 「ん~?じゃあ上に乗っかっちゃうよ」 「ああ!!女さんの体温は感じるけど、かなり違う気が!!」 「……ワガママばかり言うと!!」 「あだだだだ!!!!」 ヤンデレ柔道娘? 97 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/01(木) 12 11 47 ID 7Pwbiol6 捕手 98 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/01(木) 13 04 30 ID J3V1WISz 投手 99 名前: ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/05/01(木) 13 17 48 ID i6U3Ixs2 86だけど、短いが一応形になった というわけでこれから投下する 100 名前:ヒキコモリと幼馴染 ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/05/01(木) 13 18 45 ID i6U3Ixs2 「お、7777だ」 僕がよく行く、全員が固定ハンドルネームをつける馴れ合い掲示板がある。 今日もいつものようにいったら、アクセスカウンターが7777という、縁起のよさそうなキリ番になっていた。 「七誌さん、おめでとう~」 「ちくしょー、俺が踏むつもりだったのに!」 「七誌オメ」 すぐに掲示板にそんなカキコミがならんだ。 ちなみに七誌とは、僕のハンドルネームである。 7777、いかにもいいことがありそうな数字じゃないか……といっても、ヒキコモリの分際でにいいこともなにもないか。 僕は、そのキリ番を踏んだことを少しうれしく思いながらも、その喜びはすぐにこの“ヒキコモリ という、負け組としかいいようのない、自分の境遇に対する絶望に上書きされてしまった。 僕は一つため息を吐くと、掲示板にキリ番を踏んだことの報告をし、そのまま別のサイトを開いた。 ちょうどそんな時だ。俺の部屋の窓ガラスがコツコツ、と鳴ったのは。 カーテンがしてあり、外の様子は窺い知れないが、その音の原因ははっきりと分かってる。 だから、僕はそれを無視して、またサイトを眺める。 「信也くん、起きてるよね」 うるさい。 その声自体は、大して大きくもなく、いや、むしろ遠慮がちで、うるさいという形容詞からは程遠い声だ。 だが、僕にとっては、うるさくて、不快でしかたがなかった。 ヒキコモリ続けて早半年。 教師なんて言うまでもない。心配し、そして叱責してきた父、媚び諂ったかと思えば、何をどう考えたのか知らないが、自殺未遂までしてみせた母。 彼らですら、とうの昔に僕に干渉し、社会復帰させることを諦めてしまっている。 それなのに。 そんな中、この糞女――古閑風香、僕の幼馴染だ――だけは、未だに僕に対して接触を謀ってくる。 いい加減にして欲しかった。 彼女が知っている昔の僕とは違って、もはや現実世界をまともに生きていく気なんて微塵もなく、 パソコンの中のささやかな幸せや楽しみが世界の全てとなっている僕にとっては、現実世界をまともに生きている彼女は、それだけで、存在するだけで、僕にとっては猛毒にも等しい。 その猛毒が、積極的に自分にアプローチをはかってくるのだ。 小鳥のさえずりの様な可愛らしい声も、小動物のような、キョトキョトとせわしなく動く仕草も、僕にとっては、聴覚や視覚に訴えかけてくる毒に他ならない。 それなのに、彼女は僕の気持ちなどまったく顧みず、どんな罵声を浴びせようと彼女は毎朝毎晩僕にいちいち接触を試みてくる。 うんざりだった。 もう僕は経験から、どんな誹謗中傷も意味を成さないことを知っている。 だから僕が取る選択はたった一つ。 無視だ。 息を殺し、じっと彼女が立ち去るのを待つ。 しかし、いつもはしばらく無視すれば立ち去るというのに、今日はいつになっても立ち去らず、それどころか、起きてるのは分かってるだの、出てきてくれだの、僕に声をかけてきやがる。 時計を見ればもう九時、とっくに学校は始まってるはずだ。 と、そこで気づいた。今日は土曜日、休日だ。 最悪だ。もう寝た振りしていてもしょうがない。僕はパソコンをカチカチを弄り始めた。 「あ、やっぱり信也くん起きてたー。ねえ、今日はいいことあったんだから、久々に外に出てみようよ」 なんてヤツだ。僕がこれだけ無視しているのに、まったく意に介した様子も無く、明るい口調で話しかけてきやがった。 最悪だ。 僕はヘッドホンをつけると、大音量で音楽を流し始めた。そろそろ寝ようと思っていたのに、とんだ災難だ。 しかも、こんな生活をしている僕に、いいことなんてあるわけないだろ。しいて言えばあの掲示板のキリ番を踏んだくらいだ。 その思考に至った瞬間、背筋に寒気が走った。 いや、まさかそんなはずはない。僕がいつもアクセスしている掲示板でキリ番を踏んだことなんて知っているはずもない。ただの偶然。ただ僕の気を引くためのでまかせがちょうど当たったってだけだ。 101 名前:ヒキコモリと幼馴染 ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/05/01(木) 13 19 42 ID i6U3Ixs2 音楽で彼女が何を言っているかは分からないが、まだ彼女がいて、何かを言っていることも分かる。 彼女は何を言っているのだろうか。まさかとは思うが、僕を監視していたりするのではないか。 僕は、ヘッドホンを外した。 馬鹿馬鹿しい。ただの偶然なのに。 自分で自分に嘆息する。ヒキコモリ生活のせいだろうか、こんなくだらない妄想に囚われるなんて。これは彼女の言に従うわけではないが、少し外に出たほうがいいのかもしれない。 「ね? 一緒に神社まで散歩しようよ、ほら、いい天気だよ」 外にでるっていっても、てめえと一緒に出る気なんてさらさらねえよ。 「ほら、紅葉でも見たいって言ってたよね? 神社なら綺麗だよー」 僕はガタンと跳ねた。 当然、僕が彼女にそんなこと言ったわけじゃない。家族とだってもう随分会話してないんだ、まして他人なんかとそんな会話をしているわけが無い。 しかし僕は思い当たる節があった。 あの掲示板に、紅葉の写真が添付されたときに、見に行きたいと書いていたのだ。 いいことがあったとか、紅葉を見に行きたがってるとか、どうして知ってるか。 誰でもすぐにこの思考に至るだろう。 『アイツはこの掲示板を知っていて、俺の固定ハンドルも知っている』 糞っ! 胸糞悪い。一体どこから洩れたんだ! つまり今までずっと僕のカキコミは彼女に駄々漏れだったってことか。 思わずキーボードを机に叩きつけて破壊しそうになった。しかし破壊してしまえば、外界と接触を取らざるをえなくなるため、すんでのところでそれを堪えた。 「死ねこのストーカー女! 気持ち悪いんだよ! 警察に通報するぞ!!」 意味が無いと分かっていながらも、窓の向こうのアイツに向けて悪態を吐く。 返事は、無い。 糞っ! 再び悪態を吐いた後、僕はこの掲示板のブックマークを削除するために、ブラウザのブックマーク一覧を開いた。 ブックマークにマウスの矢印を重ねて左クリック。 それを実行しようとした瞬間、窓ガラスがコツン、と鳴った。 誰もいないものと思っていた僕は驚いて、その拍子に右クリックしてしまった。 そのことによって掲示板は更新され、現在の書き込みが表示された。 その更新されていた内容。それを見て、僕は愕然とした。 「どうして分かってくれないの?」 「私はあなたのことを思っているだけなのに」 「誰がなんと言っても、私だけは信也くんの味方だから」 僅か数分の間に書き込まれていた書き込み。 そして、その書き込みを行っているハンドルネームは一つだけではない。 この掲示板の、主に書き込みをしている住人全員のものだった。 愕然とし、咄嗟に窓ガラスのほうを向く。 窓ガラスにはカーテンがかかっていて、外の様子は窺い知れない。 でも……。 僕はゴクリと唾の飲み込み、深呼吸をすると、意を決してカーテンの前まで歩く。 目を瞑り、開き、勢いよくカーテンを開けた。 朝の眩しい陽光が注がれる。 反射的に目を覆い、そしてその手を序々にずらす。 そこにあったのは、ただの何の変哲も無い庭だった。 はあ……と安堵のため息を漏らす。 まあ特にあの女がいなかったからいなかったからといって、何の問題の解決になる訳でもないのだが。 それでも安心して、カーテンを閉じると、もう一つため息を吐いて、天井を仰いだ。 そして、風香と目が合った。 思考は停止し、目のピントは固まってしまったかのように、彼女の目から逸らす事ができない。 天井板の一部を外し、天井から風香が僕を見ていた。 「信也くんのこと、ずっと見ているよ」 102 名前: ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/05/01(木) 13 20 04 ID i6U3Ixs2 投下終了です 103 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/01(木) 13 36 31 ID WnfULUJc これは神作品の予感!!! GJ!! 104 名前: ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/05/01(木) 13 50 58 ID i6U3Ixs2 神作品も何も、続き書く予定ありません 105 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/01(木) 14 01 51 ID Dh/6G0Ao 住人は全員風香の自演かw GJ 106 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/05/01(木) 14 55 05 ID kaumOuSf GJ! 他の言葉は見つからぬ 107 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/01(木) 14 55 38 ID kaumOuSf すまない。ageてしまった 108 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/01(木) 15 55 18 ID 7Pwbiol6 それでも続編を望む 109 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/01(木) 16 04 21 ID bH11oGiA GJ! でも、この展開だと続きは書けないよな 出来たとしても質が下がりそうだしさ…… なので、違う短編も書いてみて下さいなw 自分的には、とても良かった 110 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/01(木) 16 26 49 ID Hu78xs5+ 「こ~こはど~この箱庭じゃ?」を思い出した 111 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/01(木) 16 40 29 ID aDjeonJL 110 俺も俺も 112 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/01(木) 20 11 32 ID rwAih/+8 ところで5/3のやみなべ祀行く人居る? 今回は都産祭の一環で今までより規模が大きいみたいなんだけど 前回のようにクレームがきて当日会場が混乱しないか不安だ… 113 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/01(木) 20 51 51 ID WnfULUJc 104 続きを書いてくれたら近所のヤンデレあなたに差し上げます。 更にさらにさーらーに、もう一人、予備のヤンデレもおつけします。 114 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/01(木) 22 37 42 ID T5hsuvVS このスレの人間は肉体的にはドMなのに 精神的にドSな人間が多いと思うのだが、どうだろう? 115 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/01(木) 23 17 25 ID Dh/6G0Ao 心も体もMな俺が参上 116 名前: ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/05/01(木) 23 49 10 ID i6U3Ixs2 108、 113 もし続き書くとしたら、登場人物の背景や性格が微妙に俺好みではないので、その辺を直した別物を書くことになるでしょうね プロットにしたらほぼ同じものですが 110-111 元々このプロットはホラーものとして書いたものなのであながちはずれでもありません しかしヤンデレ好きになった今考えてみると、アレはいいヤンデレ というわけで、連投臭くなってしまいますが、第三話を投下します 117 名前:ぽけもん 黒 ロケット団復活 ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/05/01(木) 23 50 13 ID i6U3Ixs2 空が微かに白み始めたころ。 香草さんが大きな伸びをして起床した。 「……起きてたの?」 香草さんは木の根元にもたれかかっている僕を見るなり、そう言ってきた。 「火の番が必要だからね」 「相談してくれれば、私だって……」 香草さんは珍しく柔和な態度をとっている。これが見れただけでも、半徹夜の価値はあったかもしれない。 「無理しなくていいよ。その代わり、今からよろしく。僕はこれから少し寝るよ」 僕はそう告げると、寝袋に包まって即時に夢の世界に旅立った。 ―――――――――――――――――― 「……なさい!」 甲高い何かが聞こえる。まったく、なんだよ人が気持ちよく寝てる時に……。 「起ーきーなーさーいー! 一体いつまで寝ているつもりよ!」 耳朶を叩き壊さんばかりの大声と、甘い香りで目を覚ました。 声のした右のほうを向けば、鼻の頭がぶつかりそうなほどの超至近距離に香草さんの顔があった。 反射的に飛びのこうとしたが、両手両足が寝袋で封じられているため、飛びのくことも出来ずにただ変なポーズをとっただけになってしまった。首がグキリとなる。 「あいたっ!」 「もう、なにバカやってんのよ。もうアンタ以外準備出来てるんだからね」 「あ、朝飯は?」 「……あの鳥が木の実摘んできたわよ。それと虫も! 信じられる? 虫を食べるのよ!?」 うわー、露骨に不快そうだなあ。 虫かあ……まあ僕も食べたことが無いわけでもない。都会の人間はあまり食べないみたいだけど、若葉町なんか思いっきり田舎だからなあ。 「あ、ゴールド起きたです! 木の実食べるですー? それとも虫食べるですー?」 軽快な声とバサバサという羽音が聞こえた。頭を少し持ち上げてみれば、ポポが僕のほうに飛ぶように跳んでいるところだった。 待て待て、ちょっと待て、まさかそのまま……。 僕の顔から見る見る血が引いていく。その憂慮どおり、彼女は両膝で僕の腹の上に着地した。 当然声にならない悲鳴を上げた。意識を失うほどでないだけ、昨日よりはマシだったが。 「どうしたです? 具合悪いですー?」 「な、なんでもないよ。大丈夫だから早く僕の上から降りて……!」 軽い拷問だ。早くどいて貰わないといろんな秘密を意味もなくゲロってしまいそうだ。 ポポは多分事態を理解できていなかっただろうが、僕の上からはどいてくれた。 「あ、虫潰れちゃったですー」 体を起こして見てみれば、ポポの鉤爪には潰れた虫と思しき液体と物体が付着している。彼女は体を器用に丸めて、それをペロペロと舐めていた。 他人の食生活にとやかく言う気は無いが、これは結構キツイ光景だな。 ちゃんと契約して登録したら、そういうのは控えてもらうようにしよう。 僕はその後、普通に木の実を食べると――この木の実がやたら苦かった。どんな錯乱状態でも一瞬で正気に戻りそうな苦さだ。甘い木の実もあるというのに――、荷物を片付け、火を消し、そのまま吉野町に向けて出発した。 「あのさ、昨晩考えたんだけど、折角人数増えたんだし、協力しない?」 「協力?」 「そう、ポポに僕らの上を飛んでもらって周囲の警戒をしてもらうのさ。草むらの中じゃあまり早いうちから野生のポケモンが分からないだろう? 上から見て、それを伝えてもらって、早期発見早期撃退ってね。それに多分鳥ポケモンが目立つ位置にいるってだけで虫ポケモンは逃げ出すはずだし」 「いらないわよ、そんなの」 「まあまあそう言わずに、物は試しだと思ってさ。いいね、ポポ?」 「分かったですー!」 ポポは素直でいいなあ。前方を肩を怒らせて歩いている香草さんに見習わせたいよ。 と、思っていたら、早速ポポが大声を出した。 118 名前:ぽけもん 黒 ロケット団復活 ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/05/01(木) 23 50 34 ID i6U3Ixs2 「ポケモンいたですー!」 「どの辺ー?」 「あっちのほうにいるですー!」 あっちかよ! 思わぬ不意打ちに僕と香草さんはこけそうになる。 そういえば、野生で暮らしていれば方角を指す言葉なんて知っているわけが無いな。 「ポポー、一度下りてきてー」 教えないといけないな、と思ってポポを下ろした。 「どうしたです?」 「あっちってその方向さ?」 「あっちですー」 ポポはビシッと翼を二時の方向に向けた。 「『蔓の鞭』」 香草さんがその方向に二本の蔓の鞭を伸ばせば、何かにぶつかった音と短い悲鳴が同時に聞こえ、その後草むらを僕達から遠ざかるように走り去る音が聞こえた。 やっぱり思った通りだ。草むらにおいて二人は相性がいい。……ポポの問題さえ解消できれば。 「よしポポ、勉強の時間だ」 「勉強? それ食べ――」 「食べられないよー。勉強ってのは、頑張って頭をよくしようってことだよー」 「勉強したらいいことあるです?」 「食べ物たくさん食べられるようになるよー」 「やるですー!」 ポポの扱い方がちょっと分かってきたかもしらない。 「何『ちょろいな!』みたいな顔してんのよ、気持ち悪い」 な、中々厳しいな……。 「やっぱり役立たずじゃない。だから私はあんなのとは」 「はいはいはいはい」 ここで全自動愚痴聞きマシーンになってもよかったが、時間が勿体ないから悪いとは思いつつ流す。 ああ、間違いなく彼女は怒るんだろうなあ……。 予想通り、彼女は大声でわめき散らしている。でも暴れたりしないからまだマシか。 「いいかポポ、正面が十二時、背後を六時とする。で、こっちの翼のほうを三時、こっちの翼のほうを九時だ。覚えた?」 「覚えたですー」 「よし、じゃあ次はそれぞれの間を三つに分けるんだ。十二時と三時の間に一時と二時、三時と六時の間に四時と五時、六時と九時の間に七時と八時、九時と十二時との間に十時と十一時。分かった?」 「よ、よくわかんなくなったです……」 「あはは、一気にやりすぎたか。まあ三時六時九時十二時さえちゃんと覚えてくれれば、後は適当でいいから。じゃ、出発しようか」 ポポは再び飛び上がり、香草さんは僕が走ってなんとか追いつけるような速度で進みだした。 ポポは混乱していたみたいだったが、実際は割とよく理解できていたみたいだ。 ここからは本当に順調だった。ポポが指示した先に香草さんが蔓の鞭を伸ばし追い払う。ほとんど歩を止めることすらなく、昼までにかなりの距離を進んだ。 僕にもっと体力があればもっと進めただろう。 もっとも、人間離れした体力があれば、だが。 「ぜはーぜはー」 「情けないわね」 肩で息をしている僕に、香草さんは理不尽な言葉を浴びせてくる。 「は、早いよ、進むの」 「普通よ、このくらい」 大部分の人間にとっては普通じゃないんだ。 昼食のために止まったが、もう動き出せそうに無い。 「木の実とってきたですー」 「お、ポポ、おかえりー」 ポポが木の実を摘んで戻ってきた。 「何か水がある場所あった?」 「なかったです……」 うーん、木の実のおかげでかなりの節水になってるから、吉野町まで水分補給できる場所がなくても大丈夫といったら大丈夫なんだけど、それでも不安だなあ。 「まあいいや、じゃあお昼にしようか」 「はいですー!」 こうして僕とポポは木の実を食べだした。 今度の木の実はやけに冷たい。先ほどまで火照っていた体が、今はもう寒気すら感じる。 僕とポポは普通に談笑しながら木の実を食べていたが、香草さんは僕らから距離をとって、会話に加わろうとするどころか近づこうとすらしない。 119 名前:ぽけもん 黒 ロケット団復活 ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/05/01(木) 23 51 43 ID i6U3Ixs2 うーん、中々難しいなー。 元々他の種のポケモン嫌いに加えて、天敵の鳥ポケモンだから、ポポと仲良くするのは相当難しいだろう。 でも、僕はどうせならやっぱり皆仲良く旅をしたい。 その旅がたとえ途中までの短いものであったとしても、だ。 「もう行くわよ」 僕が木の実を食べ終わったころ、見計らったように香草さんが声をかけてきた。 僕はこんな短い休憩では満足に疲労がとれるわけもなく、本音を言えば一歩も動きたくなかったが、早く体を温めないと明らかにやばい気もする。 「ポポ、もう大丈夫? 多分また休憩無しで日が暮れるころまで飛びっぱなしになると思うんだけど」 「大丈夫です……。それより寒いから早く動きたいです……」 ポポが食べた実も、僕が食べた実と同じ実だったみたいだ。香草さんだけが、僕らの様子を見てキョトンとしている。 彼女のそんな顔が可笑しくて、にやけそうになるのをなんとかこらえる。 もうこれ以上怪我を増やしたくないし。 ポポが空高く舞い上がったのを確認すると、僕達は再び歩き出した。 時たまポポが野生のポケモンの存在を伝え、遭遇する前に香草さんがそれを迎撃するだけで、他のトレーナーや人に会うことも無い。 速度的には僕達はかなりハイペースだし、最後尾からのスタートなんだろうから、出会ってもおかしくはないと思うんだけどな。 そんなことを考えていたとき、ポケットに入っていたポケギアが突然激しく振動した。 ポケギアの画面を見れば、宇津木博士からメールが来ていた。 香草さんとポポに止まってもらって、そのメールを確認した僕は、我が目を疑わずにはいられなかった。 「そ、そんなことって……」 「どうしたのよ?」 香草さんは怪訝な顔をしながら僕のところまで歩いてきた。そして僕のポケギアの画面を見て、僕と同じような強張った表情を浮かべた。 「ロケット団復活ですって!?」 「し、信じられない……」 「どうしたですー?」 僕らの様子が気になったのだろう、ポポも地上に降りてきた。 「ポポ、字読める?」 「読めないですー」 ポポは元気に右の翼を掲げながら言った。 「だよねえ……。ロケット団って知ってる?」 「知らないですー」 ポポはさらに元気に右の翼を掲げながら言った。 「だよねえ……。ロケット団っていうのは、とっても悪い人たちの集団のことだよ。ポケモンを正式な契約無しに捕獲して売りさばいたり、自身の技を使って犯罪行為をしたり……三年前に壊滅させられて解散したって聞いたんだけど……」 「それで、そのろけっとだんってのがどうかしたです?」 「復活したんだよ……それで、宇津木博士から、『この辺での目撃情報はまだ無いけど、一応念のため、今は使われていない旧街道を使うように』って。その街道は通行には不便なんだけど、見通しがいいから、多分警察の人たちが何人か派遣されてるんだろうね」 「で、どうするのよ」 香草さんがズイッと僕の視界の前に来た。 「どうするもこうするも……旧街道のほうに――」 「何ふぬけたこと言ってんのよ! 他のパーティーがちんたらしてる隙にリードするチャンスじゃない!」 僕の言葉を最後まで待ってもくれない。 「で、でも、もしロケット団と会ったりしたら――」 「所詮チンピラの集まりじゃない! それに、三年前壊滅させたのだって、私達と同い年くらいのパーティーだったらしいじゃない! なら大丈夫よ!」 僕の言葉にかぶせるように彼女は自信満々に言った。一方の僕は、彼女が自信を持てば持つほど、自信が無くなっていく。 「そ、そんなのただの噂話じゃないか……」 「昨日も言ったでしょ? 私は、誰にだって負けないんだから」 その赤い双眸には、強い光が宿っていた。 はあ……と僕は軽くため息を吐いた。彼女にはかなわないな。 「分かったよ。でも、一つだけ約束して。戦闘中……もし戦闘になったらだけど、ちゃんと僕の指示を聞いてよ。昨日みたいに暴走するのは無しだからね」 「う……そんなの、分かってるわよ!」 彼女の頬がぽうっと赤く色付く。一応昨日のことは恥ずかしく思っているんだな。 「たとえ逃げる、っていう指示でも、だよ」 120 名前:ぽけもん 黒 ロケット団復活 ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/05/01(木) 23 52 17 ID i6U3Ixs2 「うう……分かったわよ!」 彼女はかなり癪なようだ。声がほとんど怒り声になっている。まあ彼女のプライドから考えたら逃げるなんて絶対に嫌なんだろうなあ。 でも、古くの言葉にすら、三十六計逃げるにしかず、なんていうものもあるくらいだ。逃げることの有効性は確かなものなのに。 「じゃあ、逃げるときの合図を決めとくよ。僕がリュックに手を入れたら即座に戦闘を中止して、僕の後を追って一目散に逃げてね」 僕はそう言って、リュックから手のひらサイズの筒を取り出した。 「にゃんにゃかにゃんにゃんにゃーん。シルフカンパニー製、怪しい光曳光弾ー」 僕はそれを頭上に掲げながら、だみ声を作って言った。少しでも場を和ませようと思ってだ。 「……ナニソレ?」 しかし、僕の期待を見事に裏切って、彼女はポカーンとしている。 「怪しい光と同じ効果がある曳光弾。だから絶対に光を見ないでね」 「いや、そうじゃなくて、その前の」 「アレ? 知らない? そういう感じのシーンのある有名なアニメあったじゃない?」 「……知らない」 うっわー、完全に滑ったな、こりゃ。 「ま、まあいいや、そういうことだから」 僕は無理やり話を終わらせると、逃げるように歩き出した。 ものの三十分で後悔した。 僕の足とスタミナはあっさりと限界を突破した。 というわけで、今僕は香草さんに蔓の鞭でずるずると引きずられている。 もうだめだ、休憩しようと言ったら、アンタなんかに付き合ってらんない、と香草さんが蔓の鞭で僕を縛り上げ、そのまま引きずって歩き出したからだ。 草がうっそうと生い茂っているお陰で痛くは無いが、ズボンとリュックは黄緑色に染まっていることだろう。 僕を引きずったまま香草さんは無言で日没間際まで歩き続けた。 日没間際なので、当然夜目の利かないポポは木の実を探すこともできなかった。 「……なにこれ」 僕が差し出したものを見て、香草さんは不服そうな顔をしている。 「何って、乾パンと水だよ」 「見れば分かるわよ、そんなの。……それよりもどうしてこんなものしかないのって聞きたいの」 「しょうがないだろ。香草さんが日が暮れるまで止まってくれないからポポは木の実を探しにいけなかったし、火を使ったら野性動物やポケモンは逃げても、ロケット団は逆に寄ってくるだろうし」 「……」 文句を言いつつも、香草さんはきっちり完食していた。 そして今日も昨日のようにメタモンガムを噛み、就寝の準備をする。 ちなみにポポが、「ポポもそれ食べたいですー」と言ってきたので、一応の効能を説明してガムをあげたら、噛むのもそこそこに飲み込んだ。大丈夫だよな? 人体に対しては無害なはずだよな? ガムの効能を説明している間も、飲み込んだことを叱っている間も――ポポは「おいしくないです……」とか言っていてまともに聞いてなさそうだったが――、 香草さんはずっと不機嫌で――と言っても昼間のような過激な不機嫌さではない。空気を澱めるような、ダウナーな不機嫌さだ――、僕達のそばに寄ろうともしかなかった。 はあ……と軽くため息を吐いた。 ポポは僕のため息の意味が理解できないのか、ぼおっと僕を見ている。 「香草さん」 僕は藪の中で横になっている香草さんに声をかける。 「……」 返事がない。もう寝てしまったのだろうか。……いや、この空間を伝わってくる不機嫌オーラで分かる。彼女はまだ起きている。 「……何?」 「今晩は火を焚かないじゃない? だから用心のために固まって寝たほうがいいと思うんだけど……」 「絶対イヤ」 即答だ。予想通りだけどさ。 僕はその後、一言も言葉を発しなかった。 ポポは当然すぐに寝てしまったし、そして……。 「……香草さーん」 小声で呼びかける。しかし返ってくるのは規則正しい寝息の音だけ。 よし、もう寝たみたいだな。 僕は香草さんの……というか大部分の草ポケモンの性質上、夜に弱いということが分かっていた。だから僕がちょっと待っていれば香草さんはすぐ眠ってしまうわけで……。 僕は寝ているポポを抱きかかえ、同じく寝ている香草さんのすぐそばまで移動した。 121 名前:ぽけもん 黒 ロケット団復活 ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/05/01(木) 23 53 07 ID i6U3Ixs2 月の光に照らされた香草さんの寝顔はとても美しく、どこか幻想的な雰囲気すら纏っている。 こうして見つめている分にはいいんだけどなあ……。 はあ……、とまた一つため息を吐くと、僕も眠った。 「起きるですー」 頭とペシペシと叩かれる感覚。どこか舌足らずな声。 それらで僕は目を覚ました。 ポポの幼い顔が僕を覗き込んでくる。 「おはよう。香草さんは?」 「離れて木の実食べてるです」 ポポの指すほうを見れば、こちらを見ながら無表情で木の実を食べている香草さんがいた。 「そうか……。ポポはさ、香草さんの態度、気にならない?」 「気になるって何がです?」 「いや、かなり距離とってるだろ?」 「草ポケモンは皆近づいてくれないです」 ああ、そういえばそうだ。ポポにしてみたら、香草さんの態度は当然のものなのか。うーん、色々考えさせられるなあ。人間とポケモンの共存はもちろん、ポケモンごとの共存も難しい問題なんだな。 そんなことについて考えながら食事を終え、再び吉野町に向かって歩き出した。 やはり行進は順調そのもので、まともに遭遇したポケモンは一人もいない。 相変わらず空気は最悪だったが。 今日は僕は昨日の疲れもあり、午前中から引きずられることになってしまった。 やはりほとんど会話もないまま昼食を取り、ほとんど休まずに歩き続けた。僕は歩いてないけど。 そうして、日が傾き始め、そろそろ吉野町に着くかな、と思ったころ。 僕達の上を飛んでいたポポが、大きな声を出した。ポケモンを見つけたときより焦っているように見える。 「十二時の方向に、全身真っ黒の怪しい人たちが三人いるです!」 僕は慌てて蔦をほどき、体勢を立て直した。 「服に赤い字で何かかかれてない?」 「書かれてるです!」 やっぱり! ほぼ間違いなくロケット団だ! まさか町の入り口近くで張っていたのか!? どうしようかと考えていると、向こうにも目の効く者がいるのか、こちらに気づいたらしい。高らかな笑い声が聞こえてくる。 「ハーッハッハ!」 「我々はロケット団だ! ガキ共、おとなしく――」 ロケット団の演説は途中で中断した――いや、させられた。 草むらの間を縫う、低い蔓の鞭が三人の足を絡め取り、逆さ吊りにしたのだ。 彼らの着ている服は、やはりロケット団のものだった。 ロケット団は人間の男が一人にポケモンが男女二人か。多分、どっちもコラッタかな? 「コ、コラ、人の話は最後まで聞けと――」 男が何か喚いたが、香草さんはそれをまったく意に介さず、左の林に向かって高く放り投げた。 罵声、絶叫、悲鳴。その三つの声が順番に発せられた。 その声もかなりの距離飛び、林に突っ込むころには聞こえなくなった。 唖然とする僕とポポ。 「なんだ、やっぱり大したことないじゃない」 平然としている香草さん。 「香草さん! いくらなんでも死んじゃうよ!」 「別に死んでもいいじゃない。どうせゴミよ。それに、多分生きてるわよ。ちゃんと加減したから」 あ、あれで加減したって言えるのか?」 「で、でも警察にちゃんと突き出さないと――」 「警察に一体なんて言うのよ? そんなことしたら私達が迂回しなかったことがばれちゃうじゃない」 そ、それはそうだけど……。 僕は何も反論できなかった。 香草さんはしばらく僕を見ていたが、話は終わり、と言うようにプイッと向き直り、そのまま無言で進み始めた。 僕は僕で、かけるべき言葉が見当たらず、一瞬の逡巡の後、彼女を追って歩き出した。 ポポも困惑しているようだが、僕達に続く。 そうして、それからすぐ僕達は町に着いた。 122 名前: ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/05/01(木) 23 54 29 ID i6U3Ixs2 と、いうわけで投下終了です 話は全然進んでいませんが 123 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/02(金) 01 09 06 ID DnlCmsuZ 122 非常にGJ! 香草さんはツン→ンデ→ヤンとみた! 蔓の鞭って拘束に便利ですよね 124 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/02(金) 09 39 21 ID yX3Vqd3Z 122 ずっと待ってたよ、gj! 香草さんかわええw 125 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/02(金) 11 44 25 ID YUUYxXst ぽけもん 黒キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!! 126 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/02(金) 22 41 53 ID PMsXYit9 ロケット団がちょい役すぎるな。たった数行じゃないか。 127 名前: ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/05/03(土) 08 57 53 ID yChHOa4d ロケット団の宿命ですw 128 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/03(土) 10 02 02 ID xYjM7rLE ヤンデレな幽霊のSSはありませんか 129 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/03(土) 11 00 39 ID aPnxtwm4 「今日はすごい雨だなぁ…」と思ってたら、ふとこんな事考えた。雨の中、ヤンデレに言われたいセリフはなんだろう 130 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/03(土) 11 46 42 ID fRKPB0kl 雨に濡れながら主人公を待ってるっていうのは定番だけに人気もあるのでは 131 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/03(土) 12 21 01 ID CyM/iuM7 主人公に頼まれて一緒に空手の練習をしていたヒロイン。 ある日、主人公が乗っていたバスが高速道路で大規模な事故に巻き込まれる。 ヒロインは初めのうちこそ楽観していたが、次々と舞い込んでくる絶望的な知らせに精神を疲弊させられていく。 日付や時間の感覚をなくしたヒロインは、主人公と二人きりで練習していた場所で待ち続ける。 周囲が闇に染まっても、どしゃぶりの中でも、毎日毎日、ずっとずっと…… みたいな妄想が浮かんだ。 132 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/03(土) 14 53 39 ID yxzQn2KP 131 それヤンデレかな? 133 名前:触れられない優しさ[] 投稿日:2008/05/03(土) 15 32 59 ID ZfWXD8eZ 書いてみました 投下してみます 128 書いてみた ――か、体が動かない。どうやら金縛りにあったらしい。また、か…… 「こんばんはぁ、健ちゃん」 僕の脳の中で甘ったるい女性の声が反響する。その声の主は、僕が愛した女性の声だ。名前を由梨という、二年前に事故死した彼女の。 「ふふ、また来ちゃった」 目を開けると、向日葵のように微笑む、生前のままの由梨の姿があった。透き通るような長い黒髪も、陶器のような白い肌も、睫の長いぱっちりとしたかわいらしい瞳も…… 「健ちゃぁん……さっき、どこ行ってたの?」 そして異常なまでの僕への独占欲も。全て生前のままの彼女だった。 134 名前:触れられない優しさ[] 投稿日:2008/05/03(土) 15 33 54 ID ZfWXD8eZ 「い、いや……別に」 声が出せないので心の中で呟く。幽霊ってのは心の中まで覗けるのか、声が出せなくても会話はできた。 「別にって……私に言えないことなの……?」 悲しみとも怒りともつかない声が脳内に響く。聴覚を介せず、直接脳に語りかけてくる声からは逃れられない。 「私には分かるよ。健ちゃん、女の家にいってきたんでしょ?」 そう、確かに僕は今晩女の子の家に行ってきた。でも、別にやましいことをしてきたわけじゃない。言い訳はできないのは分かっているが、説明したところで、彼女が理解してくれるか怪しかった。 「健ちゃん……私のこと嫌いになったの?忘れちゃったの?」 由梨が僕の頬に手を伸ばす。だが、彼女の半透明の手は僕の体をすり抜ける。幽霊である彼女は、生きている僕の体に触れることはできないのだ。それでも彼女は幾度となく触れようとした。そしてその度にうなだれた。 「嫌いにもなってないし忘れてもないけど……ごめん」 「……なんで謝るの?」由梨は無表情で僕を見下ろしていた。見る者すべてを凍り付かせるような目で。それは、僕が由梨以外の女の子と話したりご飯を食べたりしたときの表情。 そしてなまじ美しいだけに、恐ろしかった。 135 名前:触れられない優しさ[] 投稿日:2008/05/03(土) 15 34 24 ID ZfWXD8eZ 投下終わります 136 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/03(土) 15 57 57 ID xYjM7rLE 135 GJ!! まさか書いてくれるとは思わなかったよ!! ありがとう! 137 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/03(土) 16 03 55 ID ZfWXD8eZ 136 いや、なんか恩きせがましいこといってすいませんでした 要は閃いたといいたかったんです あとsage忘れすみませんでした… 138 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/03(土) 16 23 46 ID Fj87ocXr 137 素晴らしい、もっとくれ! 139 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/03(土) 19 06 38 ID iGVVwY+0 112 微妙に遅レスですが、やみなべ祀一般参加で行ってきました。 やみなべ祀としての規模自体は前回とあまり変わっていないという印象でした。 ただ、他のイベントと合同&雨でしたので会場に入る時が多少混雑していたかな? 前回盛り上がった落書きスペースのヤンデレしりとりは健在で、前回は最後の文字 が1番目の文字に繋がるように終了しましたが、今回は中央部分に書かれていた 中に誰もいませんよ に繋がった後、最後は よろしく誠君 でめでたく終了。 と思ったらなんとヤンデレしりとりIFバージョンとして第2弾が開始。 こちらの方も最後が ん になる言葉で終了。 またこれも前回あったナイスボートでの外周埋めですが、今回はあまり埋まらず 途中から前回参加した方がネタを交えて1人でナイスボートを埋めて こちらも終了。 そして終了間際、女性スタッフの方が来てヤンデレしりとりの内容を途中まで音読 してくれるというサプライズがありました。 アフターイベントは前回同様ヤンデレカルタ大会でした(自分は不参加)。 なお、次回開催は11/3、川崎で開催を予定しているみたいです。 ヤンデレのマグカップ(ヤンデレカルタ大会参加者に抽選でプレゼントされた)欲しかったな・・・。 140 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/03(土) 19 45 31 ID yxzQn2KP 川崎だと……!?地元だ……。 141 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/03(土) 20 25 10 ID xTbUXORb 地球なんて言うからには、この惑星は球体なわけで。今僕を苦しめるこの暑さを知らずにいる人々がたくさん居る。 それはひどく不公平だと思う。 完全に自分勝手な考えではあるけども、訂正するつもりはないし、異論も認めない。 暑苦しいのは気候だけで十分だ。 夕方の空が藍色に染まっていくのを縁側で眺めながら、僕は夕涼みをしていた。 涼は景観から、と取り付けた風鈴は少しも揺れていない。 ふと聞こえた吐息に僕はため息を吐いた。続いて振り向く。 背後には一式の敷き布団とそこに横たわる少女。 艶やかな黒髪が汗ばんだ肌に纏わりついて、ほんのり朱に染めた頬と喘ぐような吐息。乱れた浴衣姿と寝具は情事の余韻のようでもあるが、実際はそんなに色っぽいものでもない。 彼女は僕が奉公している屋敷の娘さんで、時代が時代なれば『お嬢さま』と『下男』なわけだ。そんな僕らが関係を持つなど有り得ないし、あってはならない。 142 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/03(土) 20 26 26 ID xTbUXORb では、一体何なのだ。 その答えはとても込み入ったものではあるが、端的に言うなれば僕の『仕事』なのかもしれない。 僕は縁側から這うように彼女の下へ向かった。 僕の接近に築いた彼女は、探るようにその手を辺りに漂わせた。彼女の腕は周囲のものを気にせず漂い、枕元の水差しにぶつかってしまう。けれども水差しは倒れない。間一髪伸ばした僕の腕が受け止めていた。 ふと下を見遣れば僕の胸の中に彼女が居た。 艶やかな黒髪と同色の目隠しと猿轡。それらがよく映える白磁の肌。 純粋に、極々純粋に、綺麗だと思った。 僕は慣れた手つきで目隠しを取る。それを巻いたのは僕なのだから外す手つきが慣れているのは当たり前だ。 目隠しの下、血の色の瞳が真っ直ぐに僕を見つめていた。 途端に痛みを覚え、声を洩らす。痛みを感じた右腕は彼女のそれに力強く握られていた。彼女の白磁には幾許の青筋が走り、長い爪が僕の肌に食い込んでいる。 僕は視線で彼女に拘束を解くよう促す。しかし、彼女は首を横に振る。 143 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/03(土) 20 28 38 ID xTbUXORb 仕方無く僕は左手だけで猿轡を解いた。手元が覚束ないのでひどく手間取る。 自由を得た彼女の唇はまさしく水を得た魚のように言葉を紡いだ。 「愛しています」 僕は気にしない。 彼女は言葉を紡ぐ。次々に、次々に。 愛しています。 愛しています。 愛しています。 愛しています。 愛しています。 「うるさい」 僕が制止の言葉をかけると彼女は微笑んだ。 「やっと聞いてくれた」 彼女の笑みがあまりにも可憐で見取れてしまった。 それがいけなかった。 しまった。と考えた頃には既に彼女の左腕が僕の首に伸びていた。 柔い細腕のどこにこんな力があるのかと思うほどに強く、万力のように締め付けられる。 意識を失いそうになる。 しかし、すんでのところで僕の意識は『仕事』を果たす目的に踏みとどまった。 「ごめん」 水差しを強かに打ちつけた。 144 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/03(土) 20 30 55 ID xTbUXORb 夕焼けはとっくに終わっていて、風鈴を月明かりが照らしていた。 僕の傍らで安らかな寝息をあげる彼女の黒髪を梳く。愛しさとかが胸の内に湧き上がるものの、首筋に残る赤い手形に寒気を感じてしまう。 でもこれが僕の『仕事』。 元来彼女の家の家系は狂気に囚われやすいらしく、更に女性はそれが顕著に現れる。彼女も例に洩れず、狂気と正気の狭間で揺れている。 僕らの家系に代々与えられる仕事はその狂気を受け止めること。 彼女たちが狂気に堕ちてしまわぬように、よき伴侶を得るその日まで。 145 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/03(土) 20 31 20 ID xTbUXORb つまるところ、僕が感じるこの思いは作り物なわけで、僕は彼女にとっての繋ぎでしかない。 彼女が僕を愛していることすら、その場しのぎでしかないかもしれない。 故に望む。 彼女がいつの日か本当に愛しい人と結ばれるなら、それが本当に幸せであるように。 僕がその時には死んでいるようにと。 それまで僕は死ねない。 彼女が呟く。 「愛しています」 それはきっとただの音の羅列に過ぎず、意味なんて無い、見出しちゃいけない。 「僕もだよ」 言ってから気付いた。この想いはきっと報われない。 僕は少しだけ涙した。 月は霞んで消えてしまい、僕と重なった。 146 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/03(土) 20 33 24 ID xTbUXORb 誰もいない! (゜Д゜≡゜Д゜) 投下するなら今だ! ってノリでやった 反省はしない 後悔はしている 147 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/03(土) 20 51 52 ID 6Yz5zL3h 146 しかしいるぜ。 なんだか情景がきれいな感じだ、GJ 148 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/03(土) 21 17 03 ID bV45Habb 短編投下します 例によって書きながらなのでちょっと時間かかるかもしれません のんびり見ていただければ幸い 149 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/03(土) 21 19 14 ID xYjM7rLE 148 全裸でお待ちしております 150 名前:はやくおおきくなあれ ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2008/05/03(土) 21 26 22 ID bV45Habb ぴちゃりと―― 小さな水音がするのは、彼女の行儀が悪いからだ。誰も食べ方など教えなかったし、教えたところで 彼女は覚えようとしないだろうし――覚えなかったとしても、誰もこまりはしなかったから。地下室に いるのは彼女と私だけで、それ以外に人の目はなく、誰にはばかることもなかった。 思う存分に、 思うがままに、 彼女は食事を楽しんでいる。 「――――――」 私はそれを見ている。美味しいかい、とも、慌てなくてもいいよ、とすらいわない。 ただ、見ている。 見ているだけだ。決して手は出さない。地下室に存在するモノは椅子が一つきりで、その椅子を私は専有して いる。自然、彼女は剥き出しになったコンクリートの上に座ることになるが、それを苦と思う様子はない。 そもそも―― 彼女が何かを思うのか、私はよくわからなかった。ものを食べているとき、嬉しそうにしているから、感情は あるのだろうが――それが本当に『嬉しい』という感情なのかも、私にはわからない。 誰も彼女に教えなかったから。 生まれたばかりの赤子、どころではない。生まれるまえの胎児にすら等しいのだ。 「――――――」 私は無言のままに部屋の中を一瞥する。部屋、というのもおこがましい。箱、と呼称するのが 正しいであろう空間。地下の深く深く深く深くに封じられた地下室。壁を突き破ったところで、 その先にはどこまでも続く土の重圧があるだけだ。外へと繋がる戸と、換気のための目に見えな 穴。外部と繋がるのはそれくらいのものだ。 外部。 その言葉にどれほどの意味があるのだろう? 彼女は、外を認識していない。彼女にとって、外 など存在しないのではないか。私はただ、『どこからともなく現れて食べ物をくれる人』としか思 われていないのではないか。 そう、思った。 「――――――」 視線を部屋から中央に座る少女へと移す。水溜まりのなかに膝を曲げて座りこみ、口も身体 も汚しながら一心不乱に食事を続ける少女。小さな少女だ。抱きあげれば壊れてしまいそうな、 生きるために必要最低限な筋肉すらない壊れかけの少女。かつては白かったウェディングドレ スは、今では真っ黒に染まっている。 ただの黒ではない。汚れて、澱んだ、黒ずんだ色。かつては紅かったものが、時間とともに 黒くなって――ウェディングドレスは、黒と白に染まっている。 水溜り。 色は紅で、存在は血だ。食べ物から滴り落ちる血を浴びて、食べながら、少女は笑っている。 微笑んでいる。 嬉しそうに。 幸せそうに。 自身と同じ体構造のモノを食べながら――微笑んでいる。 151 名前:はやくおおきくなあれ ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2008/05/03(土) 21 34 40 ID bV45Habb ぴちゃり、 ぴちゃりと――だらしなく食べるたびに、口から毀れた血と肉が血だまりの中で跳びはね、彼女の ウェディングドレスを染めていく。自身が食べた記録を積み重ねるように。 私は、 私はそれを見ている。何も知らない少女の、何も知らずに食人行為を重ねる少女を、ただ見ている。 見つめて、 観察し、 待ち、 焦がれている。 「――――――――」 そんな私の視線に気づく様子はない。彼女は微笑んでいるが、その頬笑みは私へと向けられた ものではない。誰にも向けられることのない、ただの純粋な感情の発露。だからこそ――それを 私は尊いと思うし、見つめているのだ。 微笑んでいる。 自分の肩から生えた腕と、食べているものが同じカタチであることにも疑問を思わず。皮をち ぎり指を食み腕を噛む。切りとられたそれを、嬉しそうに食べている。 彼女は、 純粋だった。 何も余計なものを与えられていない、余分なものを与えられていない、人間として究極すぎるほど に先鋭化された存在。道具を遣うこともできず、言葉を話すこともできず、そんな存在さえ知らない。 与えられたものを甘受し、ただただ満たされて育ってゆく。 そこに不幸はない――幸福はないから。 そこに絶望はない――希望はないから。 地下の深くの、閉ざされた世界。 まるで楽園だ。神の作りあげた世界のようだ。けれどここには禁断の木の実もなければ 蛇もいない。楽園はいつまでも閉ざされていて、外に出ることはない。少女は知恵をつけ ることもなく、永遠は永遠として続いている。 それを、 私は、 「――――――――」 少女が腕を食べ終わる。切断面から洩れた血が地面に水たまりを作り、その上にはこぼした 肉片がいくつも浮かんでいる。もったいないと、純粋にそう考えたのだろう。少女は尻を突き あげるようにして四つん這いになり、ぴちゃぴちゃと、血だまりを舐めはじめる。 手でかきよせるようにして肉をあつめ、舌ですくうように食べる。真っ赤な唇。真っ赤な舌。 紅く紅く、血よりも紅い彼女の臓器は、何よりもの生きている証左だ。 ぴちゃぴちゃと、 ぴちゃぴちゃと――血を舐める音だけが、静かな箱に響き渡る。 152 名前:はやくおおきくなあれ ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2008/05/03(土) 21 42 57 ID bV45Habb 美味しいとも、 不味いとも、 彼女は言わない。言うことができない。その口はただ、肉を食むためだけにある。その体 は育つためにある。 足りない。 まだ、足りない。 何が? 時間が。 あるいは、全てが。 足りていない。 「――――――」 だから私は見る。ただ、見つめている。閉ざされた世界での少女の成長を。姿を。 四つん這いになり血を舐めるその姿を。猫のようだ。失われた動物のように、彼女は 音を立てて血を舐める。跳ねた血が、文様のように彼女の肌に痕をつける。生まれて から一度として陽の光を浴びたことのない肌は白く、一度として切ったことのない髪 もまた白い。すべては白かった。それが少しずつ、血と時間で紅く黒く染まっている。 育っていく。 汚れて、穢れて。 彼女は、育ってゆく。 「――――――――」 私は何も言わなかった。彼女が満足がいくまで舐め終わるのを待ち、更には満足げに眠る まで動きすらしなかった。椅子に座り、彼女の生態を観察する。彼女にとっては――私は此処 にある椅子と同じようなモノに過ぎない。視線をやることもなく、丸くなって眠りについた。 いつものように。 そして私はいつものように椅子を立ち、眠る彼女の元に歩み寄る。濡れたタオルで彼女の汚 れた肌と、血の跡がつく髪を丁寧にぬぐい取る。時間をかけて、優しく。起こさないように、 傷をつけることのないように。最後に彼女の下着を脱がせ、確認し、新しいのを履かせて傍を 離れる。 寝た子を起こす趣味はなく、 私は何の声をかけることもなく、閉ざされた箱を後にした。 ……ぱたん。 153 名前:はやくおおきくなあれ ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2008/05/03(土) 21 48 30 ID bV45Habb ――箱。 それは彼女の部屋だけではなく、この場所全てがそうだと言えるのだろう。 箱。 閉ざされて、開かれることのない箱。 そもそもが蓋の存在しない箱。蓋の開け方は失われてしまった。強引に外に出たところ でそこは土の壁があるだけであり――数百メートルと続く壁を越えて『上』へと出たとこ ろで、そこはもはや人の住む世界ではないのだろう。 かつてから変わっていなければ、だが。 だがもはや確かめる方法はない。『上』で変化が起き、誰かが来てくれるのならばわか るかもしれないが――それはただの夢物語である。 世界は閉ざされている。 箱は閉じ切っている。 ずっと昔から、そうであったように。 ――だからここは楽園だ。楽園の内側だけで循環する、外側を必要としない閉じた 世界。 彼女と、 私と、 二人しかいない――楽園。さながらアダムとイブのように。 「……いや、」 久しぶりに声を出して否定する。彼女のいる部屋にいる間は、声を出すことができない から。自分の声を聞くのは自分だけだ。 いや、と否定する。 さながら、ではない。 ある意味では――本質的には。 そのものだ、と自嘲するように呟いた。 「……構わない」 そう、 構わないとも。 世界にいるのは私と彼女だけであり、それだけで世界は成り立っている。楽園は閉ざされている。 彼女は禁断の果実を食べることなく、幸せを甘受して生きている。だからこれは私だけの苦しみだ。 一足先に禁断の木の実を食べてしまった、彼女よりに先に食べてしまったという、それだけのことなのだ。 構わない。 今更――悔やむはずもない。 世界には私と彼女しかおらず、 私は彼女を――愛しているのだから。 そうだ。 そのはずだ。 世界はそうやって成り立っている。 154 名前:はやくおおきくなあれ ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2008/05/03(土) 21 54 36 ID bV45Habb かぶりをふり、私は余計な思考を振り払う。悪い癖だ。どうしても考えてしまう。彼女が 成長すれば成長するほどに、考えてしまうのだ。 思考は余計だ。 思索は無意味だ。 後悔も躊躇も必要がない。 世界はこうなっているのだと、受け入れるしかない。 狂ってはいない。 初めからこうだっただけだ。 私たちはこうあることしかできず、 それならばきっと――外のほうが狂っているに違いない。禁断の木の実を食べ、楽園を捨て、 自ら滅びるほどに発展し繁栄した外のほうが。 それでも―― 「神様を――恨まずにはいられない」 アダムのように、私は呟く。 イヴのように、私は呟く。 私たちがアダムとイヴならば、それを作った神がいる。 比ゆではなく。 確かに――いるのだ。ただ神と名づけることしかできないだけで、それは私たちと同じような モノなのだろうけれど。この地下室を造ったものは、確かに存在する。 彼は、 彼女は、 何を考えて――こんなものを作ったのか。 希望をこめてか。あるいは絶望とともにか。不幸のどん底からのがれるようにか、希望を求めるためにか。 それとも。 私は思う。それを作ったのも、あるいは私なのではないかと――思わずにはいられない。 だとすれば、自業自得としかいいようがなく、 「――――――ははは」 いつものように私は笑った。 何度目か数えきれない思考は途絶えることなく、私は笑う。 閉ざされた箱の中で、笑い声は反響し、消えることはない。 155 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/03(土) 22 03 04 ID T4P/z52t 書き上げてから投下しろ 156 名前:はやくおおきくなあれ ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2008/05/03(土) 22 05 57 ID bV45Habb いつも通りはいつまでも続く。次の日も私はいつものように食べ物を持って彼女の部屋を訪れ、 いつものように彼女はそれを食べた。その日は左足で、彼女はそれを抱きかかえるようにして食べていた。 血だまりの中で。 食べにくいのか、貪るたびに彼女の体が揺れ、必至で挑むように食べている。 ゆらゆらと、 白い髪が、 白い身体が、 黒い婚姻服が揺れる。 ゆらゆらと、揺れている。 振り子のように揺れる姿を、私は椅子に座ったまま見つめている。手をのばしても届かない距離だ。 彼女から手を伸ばしたことは一度としてなく、私から手を伸ばしたこともまた、ない。 まるで箱だ。 お互いが箱に詰められていて、外側を知り得ることはないのだ。彼女にとって、私など、食べているソレ と大差はない。 私にとって―― 私にとって、 彼女はどうなのだろうと、考えた。 「――――――」 考えるだけだ。決して答えは出さない。出す必要もない。 初めから出ているのだから。 言葉にする必要など――どこにもなかった。 いつものように彼女は食事を終え、いつものように寝転がる。今日は珍しく食べる量が少なく、 床に散乱する肉と血だまりはそのままだった。身体が倒れたときに、ばしゃりと大きな音と ともに血だまりが跳ね、波のように広がった。 仕方なく、私は血だまりを踏むように歩き、彼女のもとへと歩み寄る。身体を拭くためには 場所を変えなければならない。だが、そうすれば彼女は起きてしまうだろう。思案し、先に確 かめることにする。黒いウェディングドレスのスカートをまくり、下着を下ろし、 「――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――」 手が止まる。 視線が固まる。 意識は硬直し、心音だけが、高く深く跳ねた。 ずりおろした白の下着は、汚れていた。 外側からではなく。 汚物でもなく。 初めて。 初めて――内側から、紅く汚れていた。 ――初潮の、紅。 「――――――――は」 何よりも先に笑いが漏れた。 手よりも視線よりも先に、それらを全て忘れたように、口からは笑いが出た。 「は――――はははははは」 視線は穢れた下着にとまったままに、口だけが我を忘れたように笑い始める。はは、ははは、と。 彼女が起きるかもしれない、など思いもしなかった。何を考えることも放棄して、笑っていることを 意識できないほどに――私は笑う。 笑う、 笑わずにはいられない。 待っていたものが――ようやく訪れたのだから。 そうして、私は。 157 名前:はやくおおきくなあれ ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2008/05/03(土) 22 15 15 ID bV45Habb 「×××××」 初めて、彼女の名前を呼んで、 その体を、押さえつけた。 小さく、細く、壊れそうな体を――壊すかのように押さえつける。白い髪が散らばり、 押さえられた頬が血に埋まる。眠りについたばかりの彼女は、浅い眠りから叩き起こされた。 目を覚ます。 目を開けて――私を見た。 初めて。 おそらくは初めて、彼女は私を認識した。背景の一部でしかなかったモノが、突如として自身の 身体を押さえつけていることに驚くように目を開いて。そのことに私の方が驚いてしまう。彼女が 驚くとは思わなかった。何をされているかわからず、世界の一部として受け入れるかと思ったのだ。 構わない。 驚くが、驚くまいが――このあとの展開が変わるはずもない。 「――――――――」 彼女の視線を見返しながら私は動いた。ずりさげた下着はそのままに、めくりあげたスカート もそのままに。血を受けて黒く染まるウェディング・ドレス。逃れられないように、細い両手首 を片腕で抑え込み、 残る片腕で、自らの服を脱ぎ、性器を露出させる。 「――――――」 彼女は無言だった。無言のまま、私を見上げていた。何も言わない。何をされるかも、 わかってはいないのだろう。私が動いていることに驚いているだけで、行為そのものに 頓着はしていない。 構わない。 反応を――求めているわけではない。 委細気にすることなく、私はすでに張りつめていた性器を、何ひとつ愛撫していない 彼女の秘所に突き刺した。愛液ではなく――血に濡れる秘所へと。 短剣のように。 「――――――――!!」 流石に劇的な反応があった。行為の意味は知らずとも、痛みだけは明確な事実として存在する。 突然内臓を抉られたようなものだ。無理やりに押し開かれた秘所の痛みに、彼女は暴れようとする。 無理だ。 細い腕は暴れれば自ら折れそうなほどに弱いのに――逃れられるはずもない。ばしゃばしゃと、血の 水たまりをかき混ぜるように動くことしかできない。逃れることができない。一部で繋がり、一つとな った体は、前へ進むことすらできない。 悲鳴をあげる。 声ではなく、 音を張りだすように、彼女は痛みからのがれる悲鳴を叫んだ。 ――ああ。 良い音だ、と思う。それは初めて聞く彼女の音だった。微笑みではない、彼女の内側 から発せられる意図だった。他人から与えられるとはこんなにも良いものなのか。突き さした性器は痛いだけで快楽などなく、その音によって恍惚を得る。 縛っていた手を放し、彼女を後ろ向きに組み伏せるようにする。自由になった手をばた ばたと動かすが、やはり血をかき混ぜるだけだ。必死に前へ――私から離れようとするが、 しゃくとりむしのように前後するだけで、一歩として前へは移動しない。 ばしゃり、 ばしゃりと、血が跳ねる。 血の海で、溺れている。 158 名前:はやくおおきくなあれ ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2008/05/03(土) 22 23 09 ID bV45Habb 初めての性行為を心地よいとは思わない。知識でしか知らなかったことを体験したところで、 快感があるはずもない。痛い。ただ痛い。彼女が突き刺される痛みに悲鳴をあげるように、私は 締めつけられる痛みに臓器を持っていかれそうになる。当たり前だ、たった今、今日、初めて変 わったばかりの体なのだ。性交渉に向いているとは思えない。 けれど、 向き不向きに関わらず、 彼女はもはや、未熟ではない。 未成熟ではない。 熟している。 果実は、熟れた。 受け入れることができる。 子供を造ることができる。 それだけが全てだった。 無作為な前後運動を繰り返す。自身は動かない。後ろから抱き締めるように彼女の 身体を固定するだけでいい。彼女は這って逃げようとし、逃げられずに戻ってくる。 鈍感な往復運動。内臓で内臓が擦られる。 熱い。 痛くて、熱い。はちきれそうなほどに。 堪える理由など、どこにもありはしなかった。 迷いなく、 繋がったままに、 解き放つ。 「……………………!!」 一瞬――視界が白く、真っ白に染まる。自身の腰が意志と関係なくはねる、抱きしめた 彼女の身体が同じように跳ねるのがわかる。同じように、彼女の意識もまた白ずんでいる のかもしれない。意志を、力を、生命を、絞り込むように彼女の中へと放出する感触。 注ぎこまれる感触が、彼女をむしばんでいる。 腰がはねる。止まらない。二度、三度と放出し、そのたびに彼女の身体が痙攣する。逃 げようとしていた身体が止まる。力の抜けた身体が血の海に突っ伏し、だらしなく開いた 口から唾液とともに舌が零れ、無意識で血を舐めていた。 そっと―― つきさし、今は萎えたそれを抜き取る。白と紅に汚れてたそれを抜き、しまうことなく、 私は彼女を見下ろす。 動かない。 死んではいない。初めての外的接触に意識だけが飛んでいる。私もそうしたかったが―― 最後の力を振り絞るように立ち、彼女の箱を後にした。 ……ぱたん。 159 名前:はやくおおきくなあれ ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2008/05/03(土) 22 38 20 ID bV45Habb 戸を開け、しめる。それだけで世界は隔離された。 「……………………」 小さな部屋だ。箱状で、彼女が生きる部屋と大差はない。地下深くに沈められた世界は、 二つの箱が繋がりあうような構造になっている。本来ならば向こうが居住区であり、こちら が生命維持のための部屋だったに違いない。地上から離れても、長く長く生きていられるように。 再び『上』が命溢れる世界になるまで逃れるために。 生命維持。 それは――間違っていない。確かに向こうの部屋が停滞ならば、こちらの部屋は生命だ。 ――禁断の果実がここにある。 彼女が食べることのなかった果実が、私の前に広がっている。 ずるずると戸に背を預けて座り込み、私の箱を見遣る。箱は狭い。純粋な大きさは彼女の箱と 変わりないのだろうが、モノがあるかないか、という一点で印象の差がわかれている。 彼女の箱には、椅子しかない。 この箱には椅子はない。椅子を埋める間もないくらいに――みっちりと、機械類が詰められている。 命を維持するための機械と、 命を造るための機械が。 「………………ようやく、」 私はひとりごとを呟く。ここにいるのは独りではないが、独り言でしかない。 彼女たちは、聞きはしない。 眠りにつく彼女は、ただのモノでしかない。 それは命だ。 食糧にして――命だ。 「…………前へと、進めそうです」 私は呟く。笑いたかった。けれど、きっと笑いは浮かんでいなかっただろう。 むしろ――笑ってほしかった。 彼女に。 彼女たちに。 私は見上げる。隣の部屋で成長する××××と同じ姿を。巨大な試験管に詰まった彼女の姿を。 箱の中にみっちりと詰められた試験管の群れを、その中で眠り続ける彼女たちを。無限に造られ ながらも生殖機能を持ち得ない彼女たちを。 ――楽園は完全だ。閉ざされている。死すらなく、子供を作る必要などない。 酷い冗談だ。この中にいる限り死ぬことはなく、それが故に子供を作る機能がないだなんて。 それを得たければ、外で育てるしかないだなんて――コレを食べながら。 禁断の木の実。 すべてが、それだ。彼女そのものが。それを食べてしまった以上、二度と楽園へは戻れない。 私は、独りでは生きられない。 だから幾度となく続けるのだろう。彼女が子を成すまで。私以外のモノが生まれるまで。自分以外の 他者が生まれるまで。たとえ同一のモノから生まれたとしても、それは別のモノだろうから。 愛すべきダレカが生まれるのを願って――私はぼんやりと、立ち並ぶ試験管を、 私と同じ姿をした彼女たちを、ずっと見つめていた。 世界は狂っている。狂ったダレカが作ったから。初めから狂った私たちは、独りでなくなることを祈り、願う。 はやくおおきくなあれ、と。 (了) 160 名前:はやくおおきくなあれ ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2008/05/03(土) 22 41 17 ID bV45Habb 投下終了です。時間かかってごめんなさい ふと思い立って投下した短編ですが、相変わらず主人公側が病んでるとか色々アレです 血の池でカニバリするドレスの女の子は好きですか お茶会はもうしばらくかかりそうです 待ってくれてる人、ありがとうございます 161 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/03(土) 22 44 42 ID Mcfx0Opk よし、今から見る 162 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/03(土) 22 45 17 ID 6Yz5zL3h 160 お茶会の人か! 途中鬱入りそうになったけど、相変わらずの独特の世界観で乙でした。 いない君はいつでも待ってますよ 163 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/03(土) 23 12 08 ID xYjM7rLE カニバリは苦手だ… 164 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/04(日) 00 55 55 ID cxdzbSC4 彼は刈ったばかりの芝生の上に横になってる 私の全てを魔法みたいに変えてくれたのに 酷く思いつめてた あなたが私にしてくれたように あなたの全てを私が変えてあげた でも今あなたの目は死んでる だいたいそんな感じ ギャグ漫画日和 165 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/04(日) 02 00 18 ID Q4rBVE8/ 139氏も書いていますが一応やみなべレポ。 大雨の中、都産祭という合同イベントなのでかなりの人数が開始前からセンター前に並ぶ。 今回は並んでいる最中もしくはカタログ購入時に18歳以上の人は身分証を提示して 証明のためのリストバンドをつける形でした。 最近の東京都はこの辺の問題に敏感だし、前回はそれで一悶着あったのでこの手間は センターを気持ち良く利用するためには必要だと思います。 で、中に入って3Fへ。 今回はやみなべ・ハルヒ・初音ミク・クィーンズブレイドが同室で開催。 やみなべのサークルは大まかにハルヒ・スクイズ・オリジナル。比率はオリジナルが多めで前回より ハルヒ・ひぐらし・シャッフルが減少。(ハルヒは隣が普通のハルヒオンリーだったからかも?) 前回・前々回あったサークルさんが来ない卓は今回は全くなし。 そして毎回恒例落書きコーナーが、これまた毎回恒例超カオスに。 外周で「ヤンデレしりとり」と「NiceBoat」が同時勃発。外周を埋めつつ周囲の絵や文のために グネグネと曲がるしりとりは圧巻。 NiceBoatはヤンデレしりとりに食われる形で早々に止まるも、途中から馬鹿が「ひとりBoat」を決行。 「NiceBoat」「良好小船」「内酢棒斗」「誠ボート」「ブルーアイズアルティメットNiceBoat」 「ドロー!NiceBoatカード!ドロー!もうやめて誠はとっくに生首よ!」とネタを混ぜながらも NiceBoatで外周一周も成し遂げる。おつかれ、自分。 終了間際には女性スタッフがヤンデレしりとりの文を読み上げるというお遊びが始まり、 中にはかなり際どい文章も。「できちゃった…あなたの子供」を書いたのは自分ですごめんなさい。 終了後はアフターイベント。4イベント共同じゃんけん大会とやみなべアフターであるヤンデレカルタ。 前回ヤンデレカルタはスタッフがその場で読み上げていましたが、今回はカルタ付属の読み上げCDを使用。 景品は非売品ポスター、非売品マグカップ、売品カルタ+読み上げCDでした。 最後に主催者様の挨拶で次回からは、神奈川に入り川崎で開催とのこと。 今回も前回に引き続き個人的にヤンデレ娘に改造したフィギュア(Pinky st)を持ち込んだところ はるか昔にこのスレに投下したフィギュア+SSを見たという方と遭遇、驚きました。 以前の作品(Wikiじゃない保管庫の彩 味香(仮))のに加えてもうふたりほどいますので 折角だしアップしてみます。 ttp //xtp0001.s3.x-beat.com/cgi-bin/up/source/Sonata_24612.jpg ttp //xtp0001.s3.x-beat.com/cgi-bin/up/source/Sonata_24613.jpg 長文失礼しました。 166 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/04(日) 07 09 37 ID Hd6oCBIQ 160 カニバリズム大好きな俺には超GJ! この狂った感じたまらんw いない君はずっと待ってるのでゆっくり書いていってね! 167 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/04(日) 11 53 43 ID NDne1Qh0 146 こういうの好きだ GJ! 168 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/04(日) 12 00 17 ID mXK3jQCC 165 >途中から馬鹿が「ひとりBoat」を決行。 >NiceBoatで外周一周も成し遂げる。おつかれ、自分。 本人かw 連休中だからか懐かしい人達帰ってきてるなあ。皆さん、乙 169 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/04(日) 13 03 30 ID sVl/SzWw ほトトギすの人まだかな。そろそろ終盤だからかなり待ち遠しい。 170 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/04(日) 15 34 10 ID y/qEogVB 無形氏は俺のよm(ry 171 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/04(日) 23 14 27 ID MUzDDzl7 紳士なら全裸で待て 172 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/05/05(月) 08 22 51 ID VyAnuljW みなさんおはようございます。 今日も元気に、ヤンデレ娘に(性的な意味で)迫られる妄想に励みましょう。 第十二話、投下します。 173 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/05/05(月) 08 24 19 ID VyAnuljW 「掃除用具入れ、異常なし、と」 しけった匂いを放つロッカーの扉を閉める。使い倒された扉の金具が大袈裟な音を立てた。 窓の外に目を向ける。夕方の太陽が放つオレンジ色が雲に映り、鮮やかな光景を作り出していた。 俺が何をしていたのかというと、校内の各教室巡りである。授業が終了してからこの時間までずっと続けていた。 そして、最後の教室である多目的室に到着し、何の収穫も得られなかったことに落胆した。 弟が隠されている場所を探し、一度も入ったことのない多目的室までやってきたが発見できず。 すでに頻繁に利用される教室は全て見回った。男子トイレと、女子トイレまで人がいないタイミングを見計らって調べた。 職員室に備え付けられている更衣室まで掃除という名目で入り込んだ。しかしどこにも弟はいない。 校舎の中で探していない場所というと校長室ぐらい。 しかし、いくらなんでも頭髪に相当の白が混じっている年齢の人間が弟をさらったりはすまい。 残るは部活に所属する人間が動き回るグラウンドと体育館のみだ。 俺がこうしているのは、つい一時間ほど前、帰りのホームルーム終了後に葉月さんから話を持ちかけられたのが始まりだった。 「今日は暇がある? もしあるんなら、今日は弟君を探しに行かない? やっぱり心配だもの。本当に事件に巻き込まれたのかもしれないし。あなただって、そうでしょう?」 もちろん頷いた。昼休みに花火と一悶着あったせいで、朝よりもずっと弟のことが気にかかっていたから、 葉月さんに声をかけられなくても探しに行くつもりだった。 葉月さんは今、俺の近くにはいない。 俺が学校内を捜索、葉月さんが弟の友人知人に直接話を聞きに行く、という役割分担で動いているからだ。 まあ、妥当な配役である。葉月さんが校内でうろちょろしていたらいろんな人に声をかけられて動きにくいだろうし、 俺は弟の友人知人なんてろくに知らない。 人付き合いのスキルにおいて俺よりも葉月さんの方が上回っているのはほぼ確実だ。 さりげなく話を聞き出すなら、話慣れしている人間の方が上手くやれる。 印象の薄い人間の方が、あちこち探っていても人目につきにくい。 そういうわけで、俺は一人で放課後の校舎を隅から隅まで見て回っているわけである。 多目的室から移動し、振り出しの地点である弟の教室へと向かうことにした。 校舎の一階にある弟の所属するクラスへ向かう。 廊下から窓ガラスの向こうの教室を見ると、誰も残っている人間はいなかった。 遠慮なしに入り口のドアを開ける。 そうしたら俺の目の前に弟が立って――いれば楽なんだけどなあなんて思ったが、もちろんそんなことは起こっていなかった。 この教室には、去年文化祭の準備で一週間ほどお世話になったことがある。 当時の弟の席は窓側の列の中ほど、夏場に窓から差し込む日差しを避けられる壁のある箇所だったはず。 かつての弟の席の机の中や、鞄掛けフックには何も残されていない。机の上の落書きまでない。 果たしてここが現在も弟の席であるのかどうかはわからない。それでも意味もなく座ってみた。 窓の外を見る。空はいつのまにか黒の成分を増量させ始めていた。 もうじき夜が来る。夜になると人に限らず捜しものをするには困難な状況になる。 それに部活をしているわけでもないのにいつまでも校内に残っていたら、教師に目をつけられてしまう。 というわけで休憩終わり。同時に再スタート。 まだ捜索していないグラウンドと体育館へ向かうため腰を浮かす。 174 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/05/05(月) 08 25 26 ID VyAnuljW 廊下を歩いていると、突然制服の上着の内ポケットが振動した。素早く小刻みに動く携帯電話を取り出す。 電話をかけてきているのは葉月さんだった。通話ボタンを押して応答する。 「もしもし、葉月さん?」 「……あれ? 声……」 「もしもーし。聞こえてる、葉月さん。俺だよ」 「あ、うん。聞こえてるよ。ごめんね、一瞬誰か別の人にかけちゃったかと思っちゃった。 電話を通して聞く声って普段と結構違うんだね」 「そう?」 「うん。顔が見えてないからかな。よくわかんないや」 俺は葉月さんに限らず、声の調子で相手の表情をなんとなく読めるのだが、葉月さんはそうではないのだろうか。 普段の連絡の手段に電話ではなくメールを活用するのは、電話するのが苦手だからか。 ――ん? 待てよ。 「葉月さんって、電話苦手じゃなかった? なんで今は?」 「……うん、ちょっとだけ苦手。でも今は、今だけは別だよ。 あなたの声が聞きたかったの。なんだか不安だったから。 弟君が居なくなったから、もしかしたら次はあなたの番なんじゃないかって思っちゃって」 「……ありがとう、心配してくれて。でも俺は大丈夫だから」 「うん。声聞けたから、安心した」 それは何より。 俺がさらわれることなんてことはありえないから無駄な心配ではあるが。 弟みたいな人気者ならともかく、俺をさらって得をする人間などいないはずだ。 まあ、俺が葉月さんと仲良くしている様子を妬んだ男や女にとっては腹いせになるだろうけど。 「それじゃ私、今から学校に行くね。一緒に帰ろう」 「え、ちょっと待って。学校にくるって、葉月さん今どこに居るの?」 「学校から歩いて二十分かからないくらいの場所。走れば十分もしないうちに着くから、待っててね」 「いやいや、葉月さんこそ待って! そのまま帰った方が安全だって。わざわざ学校に戻らなくても」 「いいの! 一緒に帰りたいんだから、そうするの!」 「それは嬉しいんだけどだからってここまで…………って、もう切ってるし」 携帯電話からはツーツーという無機質な音が聞こえてくる。 こちらからかけ直そうかと思ったが、葉月さんを説得しているうちに葉月さん自身が学校に到着するかもしれないので、諦めた。 呆れてやれやれと呟くべきか、嬉しくてにこにこと笑うべきか。 二つの選択の中間、ため息を吐き出す行為をとった後、携帯電話をしまった。 葉月さんがここまでするのは心配しているからだろうが、なぜ心配しているのかというと、 まだ俺のことを好きでいるからなんだろう。 俺は以前葉月さんに告白された。 だから気持ちに応えるため、なんらかの返事をしなくてはならない。 昼休みに花火が俺を非難したのは、俺が葉月さんと中途半端な関係を続けているから。 花火は昼休みのやりとりで、葉月さんの抱く思いと、それに対する俺の反応を読んだ。 告白されたのに、俺が白黒つける回答をしていない、と。 175 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/05/05(月) 08 26 17 ID VyAnuljW 葉月さんのことを好きか、嫌いか。 嫌いという回答はまずありえない。そんなことは欠片も思っていない。 それではどう思っているのか。胸に手を当てて自問する。 答えはすでに準備してあった。 「俺は葉月さんのこと――大事にしたい。仲良くしたい」 声にすると、心の中のもやは晴れる。 でもこの答えは葉月さんの期待しているものではないはず。 要は、あなたはいいお友達です、ということ。 少し言葉の捉え方を変えれば、いいお友達でしかありませんよ。 もし言ってしまったら、葉月さんは離れていってしまうのではないか――いいや、離れていく。 だったらこのまま答えを保留し続けてもいいはず。 嫌なことから逃げて何が悪い? 一体俺を、誰が責められる? 176 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/05/05(月) 08 27 15 ID VyAnuljW 不意に、開け放たれた窓から風が吹いてきた。 冷たい風。冷たくて、思考までがぬるま湯状態から、この季節に蛇口から流れる水ぐらいまで冷えた。 「……そんなんじゃ駄目だろ、俺」 誰が責めるか? 二人いる。まず俺、もう一人は花火。 昼休みに葉月さんが呟いた言葉で、葉月さんは俺との今の関係を快く思っていないということが知れた。 でも、答えを出すまで待ち続けるとしたら、葉月さんはいつまでも悲しい顔を隠し続ける。俺に気付かれぬように。 最低じゃねえか。 真剣な気持ちで告白してくれたのに、友達の関係のままでいたいからって応えない。 大事にしたい? 仲良くしたい? 相手を思うなら真剣な気持ちで応えるべきだろ。 これから仲良くしていくうちに好きになっていくかも? ――本当にそうか? それは具体的にいつになる? というか、これから先がどうこうという時点で話が違っているだろう。 今の俺が、葉月さんをどう思っているのか。それを葉月さんは知りたがっているんだ。 あえて問い質さずともわかっている。すでに答えは出ている。 全ての始まり、葉月さんに告白されたその日、その時に、確たる答えを導き出していた。 言おう。葉月さんが校門に現れたとき、面と向かって口にしよう。 ごまかし続けるより、嘘を吐くより怖いけれど、言わなくてはならない。 決断すると、不思議なことに足取りがふっと軽くなった。 すっきり起きられた朝に、緩やかな陽光の注ぐ庭で、晴天を見上げながら鳥のさえずりを耳にしているよう。 静かで、気持ちがどこまでも落ち着いている。 頭の中のざらざらした感覚が一切合切払われていた。 俺は今まで告白への返答のことで悩んでいたのだ、と悟ると同時に、罪悪感を覚えた。葉月さんに対して。 だって、あなたの告白の返事を考えていたら頭の中が重くなっていました、なんて言ったら可哀想だ。 むしろこっちの方で葉月さんが傷つくかもしれない。 ……このことは言わなくてもいいよな。言うべきことではないし。言うべきは俺の気持ちだし。 結局、一つ答えを出した代わりに、一つ内緒にすることが増えた。 ま、いいか。 頭の中が完全に自由になるよりも少し悩みを抱えている方が俺らしい。 それに、葉月さんのことで悩まなくなったらそこで関係が終わってしまいそうだ。 葉月さんが俺の家に来て妹を一回、俺を数回ぶん投げたあの日、俺が言った言葉は嘘じゃないんだから。 177 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/05/05(月) 08 29 54 ID VyAnuljW 一階廊下側の窓はたった一つだけ開いていた。俺の位置から五歩前方。 非模範的生徒になろうとしてもなれない俺の足は勝手にオープン状態の窓へ寄っていく。 無視するのも忍びないので、窓を閉じたうえで鍵をかける。 窓の向こうに見える中庭はすでに明度を低くしたテレビ画面のようになっていた。 こんな暗い中、葉月さんを家まで送っていくのか。 嫌だなんて一切思わない。問題は送っていく途中ではなく葉月さん宅に着いてから。 葉月さんの家の玄関、のさらに向こう側、家の中からじっと見つめられている気がするのだ。 家に住んでいるのは葉月さんと葉月さんの両親だけらしいから、視線の主は父親か母親のどちらかだろう。 俺が葉月さんを暗くなるまで連れ回していると思われている、なんて誤解されているかもしれない。 そうなった誤解を解かなければならないわけだが、解くことができるかがわからない。 もしあまり印象を持たれていなかった場合、言葉選びを間違ったり視線を一瞬逸らしただけでミッションオーバーになりうる。 クラス一実年齢と後ろ姿から推測される年齢がかけ離れている、と高橋に評されている俺である。 説得失敗する可能性が濃厚だ。 上手くやる方法はないかなんて考えていたら、ふとあることが浮かんだ。 気だるさが体外に自然放出される。前のめりになるところを、窓枠を掴みガラスに額を押しつけることで耐える。 「あーあ……そうだったよ」 今日一緒に葉月さんと帰れるかわからないじゃないか。 告白の返事をして、その後でどんな反応が返ってくるかいまいち予想できない。 いや、予想したくない。考えると返事する気が削がれそうだ。 だって、だってだぞ。もし泣かれたら―――――― 「あああああ、やめやめやめやめ、止め!」 額をぐりぐり窓に押しつける。次に打ち付けようとしたところで、ガラスが割れる光景が浮かんだので停止する。 ネガティブな想像をしたらネガティブな気分になるだろうが。ただでさえ背景は薄暗いってのに。 ともあれ、まずすべきは校門に現れるはずの葉月さんを迎えることからだ。それ以外は考えるな。 たとえ、中庭を一人で横切ろうとする女子専用制服を着た人影が通り過ぎたとしても。 校舎の出入り口へ向けて歩を進め――急停止した後にバックステップ、という行動を体がとった。 今し方目にした光景をスルーするなと脳が拒んだだけである。断じて舞台に備えて演技の練習をしているわけではない。 中庭を観察する。校舎内に目もくれず歩いていくのは確かに同じ高校の女子生徒だった。 葉月さんではない。暗い中でもはっきりわかるぐらい身長に差がある。 髪型も違う。葉月さんは黒のロングだが、視線の先にいる彼女はショートヘアー。 スカートは短い。といってもそれは女子用制服のデフォルトである。 だが彼女のようなか細くないのにしまっている足は、全女子に共通しているわけではない。 みんなああだったらいいのになあという感想はさておいて、観察を続けるべく腰をかがめて移動開始。 校舎内から女子生徒を追い抜き、気付かれぬよう窓の下に隠れ、女子生徒の顔を観察する。 ふうむ、んー……暗くてわからん。 というか、何をやっているんだ俺は。 なんで人気の無くなった校舎内で一人かくれんぼをしている。まるで女子生徒のストーカーじゃないか。 改めて自問しても答えは出ない。なんとなく、中庭を歩いている彼女のことが気になっただけ。 とはいえ、誰かに見つかったら答弁しようがないな。 もうしばらく、女子生徒が誰かわかるまで先生が来ないよう祈るのみだ。 178 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/05(月) 08 31 26 ID mtcrNc77 支援いたす 179 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/05/05(月) 08 34 47 ID VyAnuljW 中庭にいる彼女と校舎内の俺が距離を空けて肩を並べた時、突然窓ガラスが揺れた。 人為的なものではない。おそらく強風が吹き付けてきたのだろう。 「わひゃあっ!」 小さな悲鳴が聞こえた。女子生徒の方を見ると、彼女はスカートの前を両手で押さえていた。 さらに窓が揺れる。女子生徒のスカートの後ろ側が風によってめくれる。 「もう、何するんですかいきなり!」 女子生徒は俺に背を向けるように反転して尻を押さえ、風に向かって抗議の声をあげる。 俺はというと、心の中で風にエールを送っていた。いいぞ、もっとやれ! だが、応援の甲斐無く風は活動を止めてしまった。 彼女のスカートの中身は、俺と女子生徒の位置関係、および膝上十センチ以上は死守すべきと たたき込まれてきたかのような彼女の鉄壁の守りによって、一切見えなかった。 「まったくもう。人が居なくてよかったですよ。きっと見えちゃってたもん」 いいえ、見えませんでした。ですが見たかったわけではありません。 俺はただ必死にスカートを押さえる女の子の姿を見たかっただけ。 ふわりと浮く柔らかなスカートの裾や、さりげなく露出度の上がった白いフトモモ、必死に二本の手で抵抗する女の子の仕草がいい。 同じクラスの女子からは引かれ、男子からは同意を得られない嗜好かもしれない。 だが、悪いことだろうか? 女子のスカートというものは隠れた向こう側が見えないからこそ魅力があるのだ。 向こう側を知っている、もしくは常時見えている状態であれば興味をそそられない。 そんなものは、引いたら必ず目当てのものが出てくるガチャガチャのようなものである。 ロールプレイングゲームの二周目のボスを倒しても、一周目の時のような感慨も湧かないのと同じだ。 俺は今後「風が吹いてもスカートは役目を全うすべきの会」の代表者として活動し高橋をはじめとする友人から仲間に 引き込んでゆきゆくゆくは春一番と緑風と秋風と寒風の吹き始める季節のそれぞれに会合を開いてゆく所存だ。 「……なんてな」 もちろん本気ではない。自分でもわけ分からなくなってきた。 きっと気分が軽くなっているせいだ。そうに違いない。 180 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/05/05(月) 08 35 30 ID VyAnuljW さて、俺は女子生徒が風によって翻弄される光景を目の当たりにしたが、下半身だけに集中していたわけではない。本当だ。 まず、声を聞いた時点で相手の見当をつけられた。丁寧語が印象に残ったからだろう。 続けて、中庭にいる女の子の容姿と予想した相手の容姿を比べた。結果はほぼ一致。 最後に、彼女が俺に背中を向けている間に目を凝らし、女子生徒の顔を確認した。 相手は予想の通り、木之内澄子ちゃんであった。 その澄子ちゃんは、制服の乱れがないかを確認した後で再度目的地へと進路をとった。 今は建物の死角に入ったから姿は見えない。 「怪しい……」 傍から見れば一番怪しいのは俺であるが、それは除外して澄子ちゃんに焦点を絞り込む。 現在の俺の目的は弟の捜索。 弟が自分の意志で俺や花火に黙って失踪したのでなく、何者かの手によって姿を現せない状態にあるとしよう。 そう仮定した場合、第一容疑者は澄子ちゃんということになる。 理由は二つ。 その一。彼女には弟をさらう動機がある。 澄子ちゃんは弟に恋している。 もっとも、身を焦がすような恋をしていても容疑者候補に挙げるには足りない。 それだけで容疑者にしたてられるなら、花火や弟のファンクラブの子たちも疑わしくなる。 しかし彼女には他の女子と違う点がある。 それこそが理由その二。彼女には前科がある。 去年の文化祭の一日目、弟は行方不明になった。犯人は忍者のコスプレをした澄子ちゃん。 事実を知っているのは俺だけだ。もう二度と同じことはしないと信じていたので、かばうつもりで葉月さんと妹には伏せていた。 けれど、同じ事態になった以上はもうかばいようがない。 涙を流しながら縋り付かれても、俺は澄子ちゃんを第一容疑者として認識する。 その第一容疑者が夕方の学校の中を一人歩いている。怪しむのが当然だ。 181 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/05/05(月) 08 37 20 ID VyAnuljW 急いで靴を履き替えて外に飛び出す。早足よりちょっと早いぐらいの速度で中庭へ向かう。 地面の砂利を踏む音を立てないよう歩くという小細工を使っているつもりだが、音は少なからず発生する。 砂利の音と緊張感が俺の精神をやすりで削るように縁からじわじわと削りカスに変えていく。 削り取られて少し五感が鋭くなった気がした。錯覚を事実として強引に認識。 腕利き諜報員のつもりで建物の陰から中庭を観察する。 澄子ちゃんはすでに中庭にはいなかった。しかし、概ね行き先は絞り込める。 もし澄子ちゃんが弟をさらったなら、今から隠し場所へ向かう可能性が高い。 校舎内は俺がすでに見て回った。弟が校舎にいないことは九割方確信できる。 校舎内に弟がいるなら、澄子ちゃんは中庭から一直線に校舎へ向かい、俺と遭遇するはず。 しかしそうはならなかった。つまり、まだ俺が捜索の手を伸ばしていない体育館かグラウンドに向かった、ということ。 ヤマをはろう。倉庫と床下のスペースがある体育館か、部室棟と屋内練習場の建ち並ぶグラウンド、どちらか。 部活見学さえやらなかった俺は、運動部の部室の内部がどうなっているのかは知らない。 体育の授業で剣道場や弓道場に入ったことはあるが、隅から隅まで見たことはない。 体育館はまだ馴染みがあるが、詳しく知っているかというと否。 「――ふうむ」 顎に右手の指を添えて唸ってみる。 葉月さんはいつやってくるかわからない――いや、そろそろ正門をくぐった頃かも。 なんにせよ、二月の寒空の下歩き回っては体調を崩しかねない。 待たせないためにも、ここは戸の総数の少ない体育館へ向かおう。 部室棟はちょっと数が多い。野球部、サッカー部、ラグビー部、陸上部、テニス部、……エトセトラ。 その点、体育館は正面、裏口、舞台の袖、左右に一つずつだから比較的少ない。 澄子ちゃんがすでに中に入っていたら中から鍵をかけるかもしれないが、澄子ちゃんは間の抜けた部分があるのでかけ忘れる可能性がある。 初対面した日にクロロホルムの効果のほどを知らずにそれに頼ろうとしていたこと、 文化祭の日に弟を自分の体で引きずって移動させていたこと、 クリスマスイブに弟を見失った後でいい年したサラリーマンにつきまとわれていたこと。 あのドジが再発したならば、運良く弟の隠し場所にビンゴするかもしれない。 もし期待以上の成果があったとしても俺は行動しない。すぐに教師を呼び、事態を収拾してもらう。 俺が一人で突っ込んでいっても返り討ち、もしくは二人目の犠牲者になるだけ。 情けないが、自分の実力も図れずに動くよりはずっとマシというものだ。 182 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/05/05(月) 08 39 46 ID VyAnuljW 足下の怪しい夕刻の渡り廊下を通過し、体育館前へ到着した。 正面入り口の両脇には電灯が設えられていた。 おかげで入り口に至るまでの階段で足をおそるおそる差し出さずに済んだ。 スライド式のドアを開こうとしてみるが、開かない。 諦めて別の入り口へ向かってみる。 時計回りにぐるりと体育館を回ってみたが、どのドアも開いていない。 てことはハズレか。悔しさの中に一滴の安堵がこぼれ落ちて波紋が生まれる。 仕方なく正面入り口前に戻り、葉月さんに連絡をとるため携帯電話を取り出す。 通話ボタンを押す直前、ディスプレイ以上に頼りになる光源の電灯に何気なく視線を向ける。 「む、ん? ……あれ?」 正面入り口のドアが開いている。 わずかではあるが、右と左のドアの間に隙間ができている。ここに来た時には開いていなかったのに。 入り口に近寄り、隙間に両手の指を入れて開くと、重い手応えと一緒にドアは動いた。 何故だ? 誰か忘れ物を取りに戻ってきた生徒がいる? 違うか。生徒に体育館の鍵を管理させるほどこの学校の教師はユルユルではない。 すると見回りにやってきた教師が開けた可能性が濃厚。 その次に、澄子ちゃんが開けた可能性が浮上する。 俺が他の入り口を探している最中に入れ違いで体育館の正面入り口から入り、鍵を閉め忘れるというドジっぷりを発揮した、とか。 中にいるのが教師か、澄子ちゃんか。 どちらにせよ、中に入ってみなければ。もちろん誰にも見つからないように。 体育館のフロアを覗きこんでも人影は無い。見回りをしている教師なら懐中電灯を使うはず。 おかしい。静かすぎる。人が居るなら足音や、戸を開ける音が聞こえるのが普通。 それがない。すなわち誰も居ない、もしくは隠れている。 もしも後者であるなら、隠れる理由はなんだ? 見つかりたくないから、見つかる訳にはいかないから。 たとえば、他人に知られたくない何かが―――― 静寂を打ち砕くような轟音。体育館内の壁とガラス、おまけに自分まで揺れる気がした。 突然の音は正面入り口からやってきていた。外灯の明かりがドアの窓枠の向こうに見える。 入る時は左右どちらかのドアを全開にしたままだったはず。それが今では閉めきられている。 ということは。 「誰かが、閉めた」 としか考えられない。 見回りの教師が今頃来て、体育館の入り口を閉めていったならまだいい。 それ以外なら。俺が中にいることを知りながらドアを閉め切ったのなら、その目的は? 「まさか、俺を、閉じこめ」 「――るのが目的ですよ、先輩」 183 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/05/05(月) 08 42 16 ID VyAnuljW 不意に聞こえてきた女の声に体が反応する。勝手に足が後退したせいで背中と壁がぶつかり、また驚いた。 「そのっ、声は」 「はあい。木之内澄子ちゃんですよ。いつか先輩の義妹になる、恋する女の子です」 左から右、右から左へと目を泳がしても暗いだけで、澄子ちゃんらしき人影はない。 どこだ、一体どこから喋っている。 「先輩、今アタシを探してますね。よーく見えますよ、ここからなら」 「ここってどこだよ! 姿を見せろ!」 「あれあれ? 焦ってますねえ先輩。怖がらなくてもいいですよ。ここにはアタシと、彼だっているんですから」 彼? 三人称で言われてもわからんぞ。 「でも、先輩が一番早くここに辿り着くなんて思わなかった。 てっきり葵紋花火がくるものだと思って色々用意していたのに。 まあ、いいです。アタシの邪魔をする人、彼を奪っていく人。そんな人たちには相応のやり方で応えます」 花火? 邪魔? 奪って? 応えます? 何を言っているんだ。わからない。耳と脳を繋ぐ回路が混線してるせいだ。 腹部に違和感。同時に耳障りなモーターの音。 攻撃を加えられたわけではない。制服のポケットに入れていた携帯電話が動いただけ。 慌てて止めようとするが、手をコントロールできない。内ポケットは右と左どっちにある? 駄目だ、わからない。制服を脱いで床に敷き、携帯電話を探る。 ……よし、見つけた。 本体を開いて、電源ボタンを押そうとして――首に冷たい異物が触れていることに気付いた。 首をぐるりと巻いているこれは、鉄線? 「見ーつけた、せんぱい」 声がとても近くから聞こえた。 強制的に冷められた頭を働かせて、澄子ちゃんの位置を探る。 前、居ない。左、右、居ない。肩越しに背後を見る。誰もいない。 前後左右以外の方向でこんなに接近できる居場所は。もしや。 ゆっくりゆっくり、緩慢に首が上がる。 直上を見上げたとき、そこには。 「ようやく、アタシを見つけられましたね。 まったくもう…………先輩ったら、ほんとうに、キヅくのが、オソインデスネ?」 俺の頭上に居ながら、目と鼻の先で不気味に微笑む澄子ちゃんを見て、その場に尻餅をついた。 澄子ちゃんの口から漏れる音は聞こえない。何か言っているようだったけど、耳が働かない。 次第に霞んでいく意識の中、鉄線が首に食い込む痛みと、携帯電話の放つ緑の光だけを認められた。 振動音と、床を跳ねる音が重なっていく。 ぶぃぃぃん、がたがた。 ぶぃぃぃぃん、がたがたがた。 ぶぃぃぃぃぃん、がたがたがたがた。 いつまでも、音は鳴り止まない。 184 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/05(月) 08 43 31 ID VyAnuljW 十二話は終わりです。 ちなみに最終回ではありません。次回がエピローグなわけでもありません。続きます。 185 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/05(月) 08 47 25 ID 5FZBvvDq 184 リアルタイムGJ! 186 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/05(月) 08 49 04 ID mtcrNc77 184 ぎゃあああぁぁあ!!!! 危ない危ないと思って読んでたら案の定捕まりやがった! 葉月さん、葉月さーん! たーすーけーてー! やっぱり下手人は澄子ちゃんか。ちょっとは信用してたんだけどね。 心臓がばくばく言ってます。超GJ 187 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/05(月) 16 43 15 ID 03Zdusic 184 GJ! でも、鉄線って体重なんてかけたら首切れない? 188 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/05(月) 17 33 52 ID +RqJeO+8 まさかの主人公生首→ヤンデレのターゲットは弟だから物語はそのまま続行 →傍観者編終了、新章突入 189 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/05(月) 18 44 43 ID 03Zdusic その後葉月さんはnice boatするんですね、わかります 190 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/05(月) 20 29 58 ID vKVVyCW/ 別れ話をスルーする女はヤンデレですか。 191 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/05(月) 20 33 12 ID mtcrNc77 190 かなり近いと言わざるを得ない。 192 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/05(月) 21 16 02 ID vKVVyCW/ そうかー、(´・ω・)親父うらやましす 193 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/05/05(月) 21 53 28 ID DN9Kek6c だが我々は突っ込まない 194 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/05(月) 22 06 13 ID vqPF+91Z sage 195 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/06(火) 00 42 33 ID 0Hny20+I ↓が突っ込みなら俺にヤンデレの友達が出来る 196 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/06(火) 00 52 42 ID ErT801K5 そんなこたぁない。 197 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/06(火) 01 17 29 ID uLnTxaht ヤンデレ なのに 友達? とんだ矛盾だな 198 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/06(火) 01 20 28 ID zn9wmRD9 195 ←友達→ ヤンデレ ―恋愛感情→ 男 …ということだろう、たぶん。 199 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/06(火) 01 26 15 ID uLnTxaht ヤンデレは惚れた男以外にはただのヤンだぜ? 200 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/05/06(火) 01 32 50 ID h+i77S8x 病みもしないだろ、男以外は華麗にスルー
https://w.atwiki.jp/i_am_a_yandere/pages/1055.html
551 名前:ほトトギす ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2007/05/26(土) 12 19 13 ID OltU+Q9A 「日ノ本くん、もうご飯食べたの?」 先輩は振り返った。 「そ、そうです。もう食べて、おなか一杯なんで、今日のところは・・・」 「トイレ往って来て」 「え?」 「トイレに往って、全部吐いて来て。おなかの中を空にすれば、充分食べられるでしょう?」 「そ、そんな・・・」 「なぁに?まさか“食べない”なんて云わないわよね?」 先輩が近づいてくる。 (どうしよう・・・。どうしよう・・・・) 「おはようございます」 「「!?」」 突然の声。 ちいさいのに、良く通る澄んだ声がした。 僕らは慌てて振り返る。 「朝歌ちゃん?」 「ひ、一ツ橋?」 僕らは驚く。 こんな場所で会うことの無い人物。 ちいさな後輩がそこにいた。 なんでここに? 僕の疑問を他所に。 「どうも」 一ツ橋はいつもの調子で感情の無い挨拶。 言葉もないまま。 僕と先輩は顔を見合わせた。 552 名前:無形 ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2007/05/26(土) 12 21 03 ID OltU+Q9A 投下ここまでです。 では、また 553 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/26(土) 12 23 31 ID YJ8cNPrc 爪~~ 554 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/26(土) 12 27 13 ID WX8xEiZW 552 GJ! 綾緒怖いよ綾緒(;´Д`)ハァハァ どう転んでも地獄になりそうな主人公うらやまし……いや、カワイソスw 555 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/26(土) 14 56 36 ID 3K59P5rZ さすがに主人公に同情したw イヤ包丁で刺されるとかだってまさしく死ぬ程痛いんだろうけど 拷問はリアルに痛さが想像できる分主人公に同情できるわw 556 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/26(土) 16 15 47 ID 0AcTYoI0 552 盗撮か…?盗撮なのか! 嘘だといってよバー(ry 557 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/26(土) 17 29 11 ID zTh7TY+t 552 日ノ本君……今まで君の事ヘタレとか言っていたけどゴメンね(´・ω・`) こんな目にあわされていたら、そりゃ綾緒が怖くなるわw 遂に後輩が来ちゃってこれからどうなるのか次回が楽しみ過ぎでつ 火に油のような気もするけど先輩ガンガレ! 558 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/26(土) 19 25 17 ID ExTkJAZ4 流れを断ち切るようで悪いが、ヤンデレがたくさんでる作品には良心があるキャラが一人ぐらいいると良いと思うのは俺だけか? 559 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/26(土) 20 11 35 ID RjUUasya 552 GJすぎw もうヤンデレお腹いっぱいだぜwww 560 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/26(土) 20 45 40 ID NkwawKEU 559 とらー! 561 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/26(土) 21 40 10 ID 5a4nIDKp 一ツ橋ならなんとかしてくれるっ! キモウトとキモアネから主人公を守るんだ! 562 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/05/26(土) 23 50 46 ID f0v1EcC1 仄暗くじめじめとした、陰気なオーラがあるのに加えて、鍵がついている地下室は人の寄り付かない場所のひとつ。 ホラー映画の舞台になるといっても過言じゃない。本来は家の倉庫になっているのだけれど、私はその一部を借りて、薬用植物を育てている。 また、薬品を作るときにもこの部屋は利用する。 この部屋に人が入ってくることはほぼないけれども、私はこの部屋の鍵を内側から掛けた。 一人泣いていることしかできない惨めな姿を誰にも見せたくなかったから―。 他の家族はともかく、お兄ちゃんならば私に対して優しくしてくれるから、 私がいないとなればまずこの部屋を探すだろう。 でも、私の大好きなお兄ちゃんでも、今の私は見せたくない。 否、お兄ちゃんだから見せたくない・・・。 帰ってきてから高ぶった感情を抑えきれずにいるため、持病の喘息の発作が出てしまっている。 ぜいぜいと肩で息をするのに混じって嗚咽している光景は我ながら惨めで、ただただ痛ましい・・・。 薄暗い部屋にぼうっと浮かび上がる蛍光塗料の塗られた時計の針は八時少し前を指している。 まだ、お兄ちゃんは帰ってくるかもしれない時刻だ。 もし、いつもの『用事』が雌猫につき合わされているということと同義であれば、だけどね。 私の座る椅子の付属の机にある写真立てのお兄ちゃんの写真に目がいった。 こんなときでもお兄ちゃんの事を考えるだけで不意に笑みがこぼれてくる。 と、同時に何故なのか分からないが再び涙腺を刺激し、 目にゴミが入ったわけでもないのにとめどなく涙が頬を伝う。 私はお兄ちゃんを横から取っていくようなデリカシーのない、 というよりは非常識な人の存在というものを考えなかった。 というのも、私はお兄ちゃんの周りの女子は皆、 お兄ちゃんの引き立て役としか見ていなかったし、現にそうだったから。 私を見捨てていくようなことをお兄ちゃんがする訳ないし、疑うなんて恥ずべきだ、なんていうのもちょっぴり。 でも、あの北方とか名乗った雌猫は違った。まさに不意打ちだった。 自分勝手な理屈に正論で返したにもかかわらず、さも私が悪いかのようにされてしまった。 まさに盗人猛々しい、そんな感じだった。 お兄ちゃんも私と帰ってくれなかった。でもそれは圧力が掛けられていたからで責めちゃいけない。 当然、相手に悪意があるのだから私だって座視しているわけにはいかない。 563 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/05/26(土) 23 52 12 ID f0v1EcC1 お兄ちゃんに圧力をかけて無理やり振り回す、なんてことが許されるわけがない。 そんな事をするのはあれが人じゃないから。あんなさも落ち着き払った嫌味な表情の下には、 醜い本性が隠されているのは明確。そんな雌猫は早く駆除して、しかるべき方法でお兄ちゃんからも解毒する。 それでおしまい。 ただそれだけのことなのだ。 あはは、なあんだ、すごく明快で簡単。 奇襲されたからといってそれで終わっちゃうわけじゃないんだから、今考えるのはあれの駆除法だけ。 でも、毒で駆除するにしても、時期というものがある。もう少し雌猫について情報を得なきゃいけないよね。 軽率な行動で猫さんを倒しても犬さんに連れて行かれちゃ、話の種にもなりはしない。 そこで私は寛大だから、動物でも少しくらいは猶予を与えてやることにした。 もちろん、その間に警告は発し続けてあげよう。 警告に応じたからといって、必ずしも助けてあげるとは言っていないけどね。 気づけば喘息の発作も幾分和らぎ、頬をとめどなく伝った生暖かい涙もひいていた。 ガラリと机の引き出しを開けるとそこには、去年私が栽培してた、ベラドンナの根がある。 ただの植物の根っこだなんて思わないでね。 実はこれから毒が造れるのだから。アトロピン―。正しく使えば薬、でも誤った使い方ならば毒にもなる。 雌猫の駆除には十分すぎるかなぁ? 上で人の声がする。おそらく、お兄ちゃんが帰ってきたのだろう。 それにもかかわらず、迎えにいかないなんてやっぱり失礼だ。失礼どころか妹としては不覚、である。 対策も決まったのだから、何もなかったかのように、私の最高の笑顔でお迎えしなきゃ、ね。 564 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/05/26(土) 23 53 43 ID f0v1EcC1 一階にのぼっていき、 「お兄ちゃん、お帰りなさい。」 と言ったはいいものの、お兄ちゃんは玄関にいなく、むしろ家の外にいるようだ。 玄関の扉を開けると、そこにはお兄ちゃんが立っていたのだが、それとお母さんと、面識のないスーツのおじさんとそれから、何よりも驚いたのはあの雌猫、全ての悪の権化がいたことである。 端に大きな黒塗りの車があったような気がするが、そこまで気が回らずにいる。 とっさに何が起こったのか理解できなかった。まさか、私を殺しに来たなんてこともないだろう。 「どうかしたのですか?」 率直な疑問を口をつついて出てきた。 「遅くなったので、あなたのお兄さんをお送りさせていただきました。」 「本当にわざわざありがとうございました。」 慇懃な態度でお母さんが頭を下げている。 「あれ、お兄ちゃん、自転車はどうしたのかな?自転車で学校に行くから必要だよね。」 「ああ、自転車も運んでもらえてさ。じゃ、どうもありがとうございました。」 クスリと例の悪意ある、虫唾を走らせる笑いを頬に浮かべながら、あの雌猫はそれに応じた。 「では、失礼しました。」 スーツの男はそう言って一礼すると、車にあの雌猫を馬鹿丁寧に乗せてどこなりへと、帰っていった。 565 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/05/26(土) 23 56 02 ID f0v1EcC1 「すごいわね、お抱えの運転手なんて、さすが資産家。」 車が去ってしまってからお母さんが驚きを隠し切れずにぽつりと言った。 お母さんはそれからいろいろとお兄ちゃんに、北方家についてや、 雌猫について話題を振っていたので、私としては不満だった。 それよりももっと不満だったのは、あの嫌味な笑いに含まれていた、 私に対する勝ち誇ったような態度である。 本当にあれを早く駆除しなきゃいけない、 ということをあの毒々しさによって改めて再認識させられる。 お兄ちゃんとお母さんの話を聞くところによれば、北方家は維新期に政府側 として戦った小大名の子孫らしく、廃藩置県以後に貿易と政略結婚で莫大な資産を築き上げたのがもともとらしい。 また、明治期以降は子供に女ばかり生まれて、女系の家だったそうだ。 そんなどうでもよいことが耳に入った。 お兄ちゃんが帰ってきたにもかかわらず私は不機嫌だったが、 とりあえずここは自分を抑えてチャンスを待とうと私は決めたので、 さっさと床につくことにした。起きるのが遅れて、お兄ちゃんのお昼ご飯が粗末になったらいけないから。 566 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/05/26(土) 23 57 28 ID f0v1EcC1 ピピピピという無機質な電子音が数回すると、いつものように起きるわけでもなく、耳障りな音を早く止めるために松本弘行は枕元にある目覚ましに手を伸ばしたが、視界をまばゆいばかりの光が覆った。 寝ぼけ眼でベットに面した窓を見ると、厚手の遮光カーテンは窓の両端に留めてあった。 そのせいで直射日光をもろに食らっていたので、この部屋はまだ梅雨にもなっていないというにもかかわらず、夏を先取りしたように蒸し暑い。熱いだけなら許せるが、最近はむしむしと蒸してくる日もある。 さらに+α、暖房が入ってたみたいだ。23℃だったが。 ありゃりゃ、やってしまいましたか・・・。あるときは冷房20℃で切タイマー無しで一晩中かけて、シベリア気分を満喫し、今日はここだけ時空転移して常夏の東南アジアですよ。 常夏のハワイやタヒチなら涼しくて許せようが、この蒸し暑さは東南アジアだ。 落ち着いてみるとこの寝衣も寝汗でびっしょりだ。 シベリアでも東南アジアでも風邪はデフォルトで引けそうな感じだ。 とにかく、窓を開け風を取り入れることにする。 もう、梅雨も近いから焼け石に水だか、そこで敢えてこうすることにしよう。 スイッチが入ってないコンピュータに制御されながら、ゆっくりとクローゼットの中から制服を取り出し、それを機械的に着ていく。一番上に着るブレザーのボタンを留めている途中、理沙が僕を起こしにきた。 「お兄ちゃん、朝だよ、早く起きてね。」 そういいながら、ドアを開ける。 「ああ、理沙、おはよう。」 とっさに欠伸が出てきたので、口を手で押さえながら間の抜けた声で言った。 ということで、今現在おきましたよ的オーラをもろに放ってしまっている、をいをい、じつに間抜けだな。 「あはは、お兄ちゃん、今、間抜けだって思ったよね?」 はい、残念ながら見透かされていました。いや、ポーカーフェイスは苦手なんだから仕方ない。 でも敢えて反論してみたくなった。 「わが妹よ、僕はこの良き日の清清しい健康的な朝の目覚めを満喫していたのだよ。」 と、ラノベに出てきたキャラクターならこういうのだろう、という感じで言い切ってみたい年頃なんですよ。 「いや、部屋が蒸してて、ぜんぜん清清しいとかじゃなくて・・・」 と言った理沙の視線がカーテンへ行き、エアコンのリモコンへと向けられる。 「まあ、一人で起きたんだから、お兄ちゃんは成長したんだよ、きっと。」 と今にも笑い出しそうなのを抑えてます、という感じでのたまわれた。 はいはい、一歩前進しましたよ、亀の一歩前進。 567 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/05/26(土) 23 58 18 ID f0v1EcC1 早起きしたので、朝食を流し込むように食べていたいつもとは大違いで、一口一口きちんと咀嚼しながら食べ進める。 今日の朝食は和食で魚なのでまさに早起きしていないと厳しい一品である。 ゆっくり朝食を堪能し、歯を丁寧に磨き終わった頃、見事なまでに見計らったようにインターフォンが鳴った。 ピーンポーン 朝の忙しい時間に誰だろう、といらだつ母がインターフォンに出ると、すぐにやや驚きを含んだ顔で僕に受話器を替わった。 しっかし、こんな時間に誰だろうか? 「どちら様ですか?」 「おはよう、ご機嫌いかがかしら?」 相手に感情を読み取らせないまでの澄明な声の響きだった。 「驚いたかしら?あなたのクラスメートの北方時雨よ?」 さらり、と同じ声のトーンで続ける。前までは彼女に気が引けてしまう、というかびくびくしている感じだったが、 何日か彼女と接するうちに随分と慣れてきたのか、平然と答えられた。 「ああ、北方さん。おはようございます。こんな時間にどうしたの?という感じですが、インターフォンでというのもなんですから、とりあえず家に入ったらどうですか?」 「いいえ、あなたを迎えに着ただけだから、気は使わなくていいわ。」 まぁ、実際のところ僕はもう学校へ行く支度ができているに等しかったのだが、まだ理沙が準備できていないので少しばかり待ってもらうことにした。 「お兄ちゃん、今の人、誰だった?」 すかさず理沙が聞いてきた。 「ああ、北方さんが迎えに来てくれたみたいだけど、理沙の準備ができるまで少し前で待ってて貰ってる。」 北方さん、という固有名詞が彼女の感情を少し逆なでしたようだが、曇らせた顔をすぐに元の笑顔に戻して言った。 「ううん、お兄ちゃん。お弁当の準備はできてるから、私のことは気にせずに、先に行っていいよ。でも、そのかわり今日の昼食、私、お兄ちゃんと一緒に食べれたらいいな、って思っているんだけど、お兄ちゃん・・・いい?」 「あ、うん。いいよ。じゃ、悪いけど僕は先に学校行ってるからね。」 「じゃ、気をつけてね、ロードレースはほどほどにね。」 いやにあっさりしているのが、少し気になったが、大した変化ではなかろう。 568 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/05/26(土) 23 59 35 ID f0v1EcC1 玄関のドアを開けると、自転車の傍に立っているのは目が覚めるような美人。 その美人、北方さんは僕に向かって柔らかに微笑んだ。 僕ははっきり言うと、彼女のポーカーフェイスがわずかながら崩れた感じがするこの笑みが好きだったりする。 最初に口を開いたのは僕のほうだった。 「やあ、北方さん。おはよう。」 「二度目だけれど、おはよう、理沙さんはどうしたのかしら?」 「ああ、先に行ってていいといってたから、先に行くことにしようと思って。」 「あら、てっきり私、理沙さんに嫌われているのかと思ってしまって・・・いい妹さんね。」 そんな事を話しながら、自転車を学校に向かってこぎ始める。 しかし、素朴な疑問が一つ。 「あれ、北方さん、教えてないはずなのにどうして僕の家知ってるの?」 「昨日、松本君をあなたの家まで、私は家の者に送らせたでしょう、 そのときに松本君が教えてくれたルートを通ってきたから、知っていて当然ね。」 「ははは、そうだったっけ。」 適当に笑ったが、一度通っただけのルートを覚えられるというのは、なかなかすごいことだ。 いつもは疾風怒濤の勢いで通り抜ける閑静な住宅地や駅前をゆっくりと通り抜け、授業開始十五分前には学校に到着。 いや、なんという、計画的且つ健康的な朝だ。しかも北方さんは僕の家によっていない場合、遅くとも授業開始の五十分前、 すなわち八時十分には学校に到着しているらしい。 全く、どんな一日のスケジュールで動いているのか見てみたいものだ。 ぜひその情報機密をわが国の科学技術の発展のために、って、どうせ計画性と実行性のない三日坊主の僕には役に立ちませんよ。 「ああ、松本君。」 自転車置き場に自転車を停めながら、思い出したように言った。 「今週の週末、そうね、土曜日は休日だから、土手のほうへ、サイクリングにでも付き合ってくれるかしら?」 「梅雨になってしまうと、そうそう晴れることもないから、たまにはいいかしらと思って。」 唐突な申し出で、あまり考えられなかったが(もっとも、考えようとしなかったが)、二つ返事で承諾した。 というのも、昨日の北方さんのお父さんの話を聞いて彼女の力になりたいと思ったからだった。 569 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/05/27(日) 00 01 00 ID f0v1EcC1 その日は何の代わり映えのない、よく言えば平和な一日を過ごした。 昼休みに理沙と洋食系のお昼ご飯を食べて、いろいろとお互いのクラスについて話したり、なんだりして当たり障りなく過ぎていった。 北方さんは図書委員の仕事が大変らしく、昼休みと放課後の時間を取られてしまったようで、今日はあっさりと家へ帰ることになったので、 最大戦速で戦域離脱を果たし、ラノベ・アニメ・ネットの三本仕立ての大巨編の激務をこなすことができた。 いやはや、過去の自分を省みないのが漢と思っている僕は省みないのだが、こういう革命的生活が共産主義なテスト結果に繋がって、 先生にマークされるという結果に繋がっているわけですよ。 というわけで、激務で体力を消耗したのでさっさと寝ることにしますか。 この日の夜に階下の地下室に明かりが燈っていたことは、松本弘行には知るよしもなかった。 うららかな陽気の日々が何日か続き、北方さんは僕を毎朝迎えに来て、何度か彼女の家に招かれ、 理沙は昼食を準備してくれて、お昼休みに一緒に食べて、いつだったかの北方さんと理沙の火花散らすような紛擾はなく、 日めくりカレンダーを何枚か重ねて破ってしまったのではないか、という感じで時は過ぎ去っていった。 そして、今日は土曜日。北方さんとサイクリングする予定の日である。 理沙はその事を承知しており、最初は自分もその日に予定があったから、そっちに来てくれないか、 と粘っていたが、すぐに折れて、昼食を用意してくれることになった。 どうも理沙は北方さんのことが好きでないらしく、距離を取りたがっているように感じられたが、 それでもこんな兄のためにいろいろとしてくれる妹というのも、古今東西探しても珍しいものだろう。 僕が幸せ者であることを痛感させられます、はい。 570 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/05/27(日) 00 02 20 ID slnBDuWI ピーンポーン 北方さんが来たようだ。 「松本君?出発の準備、できたかしら?」 「いや、まだ少し時間がかかるので、中で待っていてください。」 「じゃ、悪いけれど、そうさせて貰うわ。」 それでリビングでコーヒーを出して少しばかり待っていてもらうことにする。 「どうぞ、もしかしたらブラックコーヒー、ダメかもしれないと思ったけれど、大丈夫なら、どうぞ。」 そういって勧めた。 「ありがとう、いただくわ。」 言葉だけからは、いつもの清澄というかクールな声が機械的に想像されてしまうのだが、 ごく普通の体温のこもった暖かい印象の言葉が返ってきたので、驚きを隠せなかった。 「あら、私の顔に何かついているのかしら?」 その暖かさの分だけ、冷ややかな視線があることにそのとき、僕は気づかなかった。 それから十数分ほどして、理沙がピクニックに行くときのような装備をいくつか持ってきて、 出発する準備ができたことを教えてくれた。 やはり、これだけ用意してくれたのに、理沙を連れていかない事に気が引けたので、 理沙にも来るように勧めたのだが、遠慮がちにやんわりと断った。 「お兄ちゃん、お兄ちゃん。今日帰ってきたら、私の、理沙のわがまま一つだけ聞いてくれるかな?」 理沙はあまり僕にいろいろと要求することなどないのだが、珍しく何かおねだりするときは、 彼女の一人称は私、から理沙、に代わる。 今日はいろいろと準備して貰ったし、いつも僕のために弁当を作ってくれる理沙のわがままの一つや二つくらい、 聞いてあげてもいいんじゃないか、そう思ったのですぐに受け入れた。 「じゃあ、お兄ちゃんが帰ってくるまでに考えておくからね、楽しんできてね。」 にこにこと屈託のない愛らしい笑顔に自然とひきつけられそうであった。 しかし、その後に続いた、くれぐれも気をつけてね、という小さくつぶやくような言葉に僕は気づかなかった。 571 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/05/27(日) 00 03 24 ID f0v1EcC1 理沙から渡された荷物を自転車の大きな前かごに入れ、先に自転車を走らせていた北方さんの後に続く。 通学途中の住宅地や駅前を通り抜ける。 いつもはわき目も振らずに帰ってくることが多いのだが、時々外食するときに使う店の前も通っていった。 途中、登下校時に全速力で走っていく僕のことを知っているクラスメートの何人かに会って、 北方さんと一緒にいることを物珍しそうな目で見られ、またあるものは冷やかしてきたのだが、 北方さんに倣ってさらりと受け流してみた。 これには、北方さんもご満悦であったようで失笑していた。 そんな感じで、北方さんといろいろと話しながら、車輪を走らせていたが、これが結構疲れるものだ。 彼女の言う川べりの土手というのは、サイクリングロードとして整備されており、 桜の並木道があるところでもあった。 季節はもう遅いけれども、あそこで毎年のようにお花見をしに来る人が多いそうである。 もう梅雨が近くなっていたので、この土手周辺に見える人影もまばらで閑散としていたが、 周りに住宅地や無粋な工業地区もなく、田んぼや畑が広がるばかりで、ここがどこか非日常な、 それでいて新鮮さのある風景だった。 572 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/05/27(日) 00 04 38 ID slnBDuWI 追い風が吹いているせいと僕が疲れているからなのかも分からないが、北方さんは異常に自転車をこぐのが早かった。 ふはは、追い風なら僕にも吹いているはずなのに、不公平だ、不平等だ。 運動不足の僕には持久力がないからか、いやはや、さっぱり追いつくことができない。 途中、間が開いてしまって、何回か北方さんに待っててもらった。 「くすくすくす、疲れた?」 いたずらっぽい笑顔を向けて僕にそう聞いてきた。 いや、だから、疲れたとかそんなレベルじゃなくて、それを既に通り越してしまっている。 「見ての通り・・・、第一、何でそんなに自転車をこぐのが早いのかわからない。」 「なぜでしょう?」 いや、そんなにこりと質問されても、分かるわけがないってば、いや、何か彼女のことだ。 また、悪巧みでもしてこっちの自転車が遅くなるようにでも細工しているのだろうか? 未だに足が安定して地に着いていない感じで、いかにも考えていますという表情をして、 こめかみに人差し指を当てて考える人のポーズを取る。 「今、私が細工したとか、そんなこと考えたでしょう?」 おお、いかん。またしても見透かされていたようだ。思ったことが顔に出る体質、 というかここまでラノベの世界じゃないとありえないような把握のされ方をすると病気だよな。 しかし、この病気はいい加減、何とかならないのか、小一時間問い詰めたいところだ。 「ふふふ、あなたの私に対するイメージはどんなものなのかしらね?」 うわぁ、唐突に学校で見せるようなポーカーフェイスで聞いてきた。冗談で聞いていると分かっていても、 何か漠然とした、恐ろしいものがある。一種の白痴美に似たような美しさ、と最近では感じられるのだが、 いや恐ろしいもんは恐ろしい。 573 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/05/27(日) 00 05 54 ID slnBDuWI 「疲れたなら、ここで休憩でも取る?」 ふと見ると、今まで気づかなかったが、少し落ち着いてみると、ちょうどここに一里塚のように木が植えられて、 しかもあずまやまであるという、まさに休憩には絶好のポイントであることに気がついた。 しかしうまく謀った、もとい計算したような感じで、北方さんの如才のなさに恐れ入った。 「じゃ、そうしようか。」 「理沙さんが用意してくれた食事を食べるには少し早いから、これでもどうぞ。」 と言って、羊羹を一切れ、手渡してきた。 確かに腕時計をみると十時になったばかりだった。たしかにこれでは昼食には早すぎる。 羊羹は嫌いじゃないし、糖分は貴重なエネルギー源だしちょうどいいだろう。 「前に和菓子、好きじゃないって言っていたけれど、それ、私が作ったのだけれど・・・・食べてくれないかしら?」 そう、少しはにかんだように言ってきた。 一口、口にする。 和菓子が嫌いと言うことはないのだが、大概甘さがしつこくて、嫌になってしまうことが多い。 けれども、北方さんの作ってくれたものは非常に甘さを抑えた上で、素材自体の味を生かしているようだった。 外見も几帳面な北方さんが作っただけあって、端正に仕上げてあり、 手作りではそうそうお目にかかることのできない一品だろう。 だから、少しもためらうこともなく、自然と賛辞の言葉が出てきた。 「とても、美味しいよ。」 彼女の抜けるように白い肌が少しだけ紅潮して見えたのは、 きっと陽気のせいだけではないだろう。 574 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/05/27(日) 00 07 08 ID slnBDuWI お茶とサンドイッチに舌鼓を打ちながら、休憩をしているときにさっきの質問をしてみることにした。 「北方さん、何であんなに自転車こぐのが早いの?」 「ふふ・・・・あれ、電動自転車よ。」 「へ、電動?電気ですか?」 「そうよ、じゃ自転車を取り替えてみる?随分、楽よ?」 なんという、そんな落ちでしたか・・・細身の彼女が疲れずいられるのも何か理由があると思ったが、いくらなんでもそれはないだろ・・・・。 「あー、ブルジョアに負けた!!!」 「くすくす、では労働者のあなたに命じます、はやく乗ってみたら?」 で、結局お互いの自転車をかえることになった。 いわゆる電動自転車というのが、こんなに楽なものだとは思わなかった。 さっきとは打って変わって、心に余裕がある状態であるから、土手から見える新緑の光景もまた一味違っていた。 対して、僕の自転車に乗っている北方さんは表情にこそ出さないが、結構きつそうな感じだ。 少し、ペースを下げて話をすることにポイントを置くことにした。 最初はこの前の中間試験で化学は点が取れた、とか英語が厳しかったとかの話をしていたが、彼女の両親の話になっていた。 575 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/27(日) 00 07 21 ID 8pvXGbhz 支援 576 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/27(日) 00 08 03 ID 8pvXGbhz 私怨 577 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/05/27(日) 00 08 12 ID slnBDuWI 「そういえば、松本君。うちの父がこの前、何か失礼なこと言わなかったかしら?」 「え、失礼って・・・普通に人のよさそうな人だと思ったけれども・・・。」 彼女のお父さんは娘に嫌われていると言っていた記憶がふと、蘇った。 北方さんはフッと短く冷笑してから、僕にどんなことを話してきたのかをもう一度聞いてきたので、 話された内容をいくつか話した。 「・・・父は私のことを娘などと考えてくれたことなどなかったくせに、今頃になって・・・。」 「あんまり、話さないほうが良かったみたいだね。機嫌を悪くしたなら謝るよ。」 「いいえ、あなたは悪くない。それより、続きを話して。」 「それから、北方さんのお母さん、もう既に他界されていることと、 僕に北方さんと親しくしてほしいということ。」 両者ともを自分の口で言うのははばかれる内容であったが、 聞かれたのであらかたの内容をしゃべってしまった。 「・・・・・。」 内容を聞いて、切れ長の目に一刹那、強い光が宿ったのに気づいた。 彼女の持っていた家族の集合写真にも母親がうつっていなかったが、 母親には随分ひどい目に遭わされた、そう聞いていたので嫌悪が表れたのであろう。 少ししてから、北方さんは口を開いた。 「私の母は本当はまだ、死んでいないの・・・。」 開口一番、僕が想像した答えとは別の答えが返ってきて驚きを隠せずにいた。 「私の母は・・・」 578 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/05/27(日) 00 09 05 ID slnBDuWI そう北方さんが言いかけたとき、僕は土手の端のほうを走らせていた自分の自転車が急に鈍い音を立てたのに気がついた。 そして坂の傾斜に向かって、ぐらりと大きく傾いたような感覚がして―。 危ない―、そう直感で感じ取ったときには壊れていく自転車ごと土手を転がり落ちていた。 不思議と何とか自分で転がり落ちるのを止まろう、いや、止めようとできなかった。 何度か、体を打ちそのたびごとに痛みの感覚が薄れていく。 そのいくつかも体を地面に打ち付ける痛みだけでなく、何かもっと重くて硬い何かも体を打った。 慣れてきた?いや、痛みに慣れるというよりは寧ろ気絶する、そういったほうが正しかった。 さっきまで自分が乗っていた自転車が突然壊れ、自分の何よりも愛する人が体を自転車の一部や 地面に打ちながら土手を転がり落ちていくのを、北方時雨はなす術もなく立ち尽くして見ていることしかできなかった。 絹を裂くような叫び声と嗚咽が誰もいない川辺に響いた。 579 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/27(日) 00 10 40 ID 8pvXGbhz 紫煙 580 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/27(日) 00 12 03 ID slnBDuWI うわー、無駄に長くなってしまった、そんな感じの第五話です。 読んでくださった方ありがとうございます。 こんな感じですが話は続けるので、今後もよろしく。 581 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/27(日) 00 12 17 ID 8pvXGbhz 支援 582 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/27(日) 00 12 53 ID zx1A7W1I 580 GJ!! 583 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/27(日) 00 34 33 ID GuWtP6KP どーしてもケンゾーさんの髭面が浮かんでしょうがない、、、 584 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/27(日) 01 38 19 ID TEqhtzQj 583 よく分からないがとにかくソープへ行け 585 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/27(日) 10 30 09 ID B1XmPAna 580 おバカな主人公の松本君に似合わぬシリアスなピンチktkr まあ彼なら大丈夫なような気がするがw 次回wktk 586 名前:向日葵になったら ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/05/27(日) 12 23 51 ID nfd27eRQ さつき姉が僕の住むアパートの一室にやってきて一晩が過ぎた、二日目。 今日は朝から雨が降っていた。 朝に目が覚めたときカーテンのすき間から空を見ると、青い色が見えなかった。 部屋の空気はわずかに湿っている気がした。 雨は強く降っているわけではなく、雨雲から命令されて嫌々降っているように思えた。 風は弱く、空を覆う灰色の雲は長く居座るつもりのようだった。 実際、(僕の勘よりはあてになる)天気予報も僕の感じたままのことを言っていた。 さつき姉は朝に弱い。 その事実を知ったのは僕がまだ小学校に通っていたころのことだ。 登校するときは僕がいつもさつき姉の家に行った。 おばさんに挨拶をしてから、さつき姉が家から出てくるまで待つ。 玄関を開けるときのさつき姉は、いつも目を瞑っていた。 僕の記憶の中に、さつき姉が朝から活発的になっている様子は存在しない。 いつもさつき姉はふらふら歩いた。僕はさつき姉に声をかけながら歩いた。 学校に着く数分前になるころさつき姉の意識はようやく覚醒しはじめ、隣を歩く 僕を確認すると手を握ろうとしてくる。 僕は手を握られないようにランドセルに手をかけたり、走って逃げたりする。 その繰り返しが、小学生のころの僕の日常だった。 さつき姉は相変わらず朝に弱いようだった。 時刻はすでに7時数分前をさしているから、僕の目ははっきりと覚めている。 だというのに横になったままのさつき姉は身じろぎ1つしない。 昨晩さつき姉にからかわれた仕返しに起こしてやろうかとも思ったけど、 やめておくことにした。 特に理由はない。しいて言うならば、早く顔を洗いたかったからだろうか。 洗面所に行き、顔を濡らして髭を剃り、顔を水ですすぐ。 蛇口から流れてくる8月の水は、目を覚ましてくれるほど冷えてはいなかったけど、 変わりなく水としての役目を全うしてくれた。 さっぱりとした思考で考える。 今日は雨が降っているけど、さつき姉はどうするんだろう。 本でも読みながらじっとしてくれたら嬉しいんだけど。 587 名前:向日葵になったら ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/05/27(日) 12 25 18 ID nfd27eRQ 焼いた食パンを台所で食べ終わった頃、さつき姉がやってきた。 「惣一、おはよ」 「おはよう」 「ね、今何時?」 台所には時計を置いていない。 全く必要がないというわけではなく、単に狭い部屋に数多くの時計は必要とされないからだ。 居間の壁にかけてある時計を見て、両手で指を8本立ててさつき姉に見せる。 「そっか。よかった、早起きして。今日はいろいろやりたいことがあるから」 さつき姉はそこまで言うと、洗面所で蛇口をひねった。 鏡に向かって顔を向けているが、2つのまぶたは閉じられたままだ。 あの様子ではまだ意識が覚醒していないと思われる。 僕は居間に敷かれたままの布団を畳むと、続いてテーブルを定位置に置いた。 買い物に行こうとさつき姉が言い出したのは、パンを食べ終えたあとだった。 実を言うとそれまでの間にさつき姉は一度倒れた。 僕が駆け寄ってさつき姉の体を抱き起こすと、小さな寝息が聞こえてきた。 寝ていた。大きく口を開けながら。 口は開けたままなのに、鼻で呼吸をしていた。 僕は肩から力を抜くと、さつき姉を仰向けにして頭の下に枕を敷いた。 さつき姉は僕の左で、雨に濡れたコンクリートの地面を踏みしめながら歩いている。 「もう! 惣一が起こしてくれなかったのが悪いんだからね! 今日は久しぶりに一緒にでかけようと思っていたのに!」 だったら早めに言っておいてほしかった。 さつき姉がしっかりと伝えてくれていれば僕は頬をつねってでも起こした。 いや、それぐらいでは起きないか。 さつき姉は一度眠ってしまうと、死んだように動かなくなるのだ。 以前さつき姉が夏休みの宿題を片付けるために徹夜をしたことがあった。 徹夜した次の日には、丸一日ベッドの上で眠りこけていた。 僕は、その時のことをよく覚えている。 なにせ、丸一日中僕の手を握ったまま眠っていたのだから。 588 名前:向日葵になったら ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/05/27(日) 12 27 12 ID nfd27eRQ アパートを出て、50分ほどバスに乗って、近くにあるコンビニで弁当を買い、 案内板を頼りにして海水浴場にやってきた。 さつき姉の予定では、今日は海水浴場にくるつもりだったらしい。 雨が降ったから予定を中止するかと思いきや、さつき姉はこうやって海を見に来ている。 さつき姉は傘を持ちながら、人の居ない砂浜を見下ろしている。 ため息をひとつ吐くと、まぶたを少し下ろして憂いの目をつくった。 「残念ね。せっかく惣一と一緒に海に来たのに、これじゃ面白さ半減よ」 「半減しただけ?」 「そ。水着を買って、泳ぎもしないのに海水浴場にやって来て着替えて、 貸し出されたパラソルの下でのんびりとして、というのをやってみたかったから」 疑問に思った。 ただ海にくるだけならいつでもできるだろうし、なにも今日である必要は無い。 ぼんやりするだけなら、僕は居てもいなくても同じじゃないか。 僕が思ったことを口にすると、さつき姉はうーん、と呻いた。 「違うのよ。惣一と来るっていうことに意味があるの」 「僕と?」 「うん。私が惣一の部屋に泊まっているうちにやっておきたかったから。 こんなところ、1人でくるものじゃないわよ。基本的にはね。 男の人はナンパをするために1人で来たとしてもおかしくないけど、 女の人が1人で海水浴場に来てぼんやりとしてたらなんだか変じゃない」 僕は目を動かして灰色の空を見たあと、さつき姉に対して頷いた。 頷いたのを見て、さつき姉は思い出したように声を出した。 「ねえ、もしかして惣一もナンパとか、したりするの?」 「なんでそう思うのさ」 「いいから質問に答えなさい」 さつき姉は少しだけ眉根を寄せた。 別に隠すようなことはないし、そもそも隠すものが無いので正直に答える。 「ナンパはしない」 「本当に?」 「しようと思ったことはあるよ。……ちょっと違うか。 僕の想像の中にいる僕が、ナンパしようかどうか考えたことがある」 「……よかった。駄目よ、ナンパなんかしちゃ。 遊びに行きたいんなら私を誘ったらいいわ。私はご飯は割り勘にする女だから。 今日みたいにね」 さつき姉は時刻を確認すると、屋根のあるベンチのところへ向かった。 僕もベンチに座り自分の弁当を取り出して、次にさつき姉の弁当を差し出した。 さつき姉の後ろにある雨の降る様子を見ていると、さつき姉に問いかけられた。 「想像の中の僕、とかいう言葉をよく使ったりするの?」 「普段は使わないよ。今日はさつき姉が二度寝した横で小説を読んでたから、 なんとなく言ってみたくなっただけ」 ふーん、と呻いてから、さつき姉は食事を再開した。 589 名前:向日葵になったら ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/05/27(日) 12 29 15 ID nfd27eRQ 海水浴場から離れてバス停に向かう途中、お土産屋に立ち寄った。 遠く離れた街までやってきたから、家族や友達に買うためのお土産を選ぶのだろうと 僕は思ったのだが、さつき姉はどうやら違うことを目的にしているらしかった。 さつき姉はキーホルダーが大量に吊るしてある回転式ディスプレイを、何度も熱心に 回しながら難しい顔で睨み付けている。 お土産屋の中は人がいなくて閑散としていた。 店内の広さは僕の部屋をひとまわり大きくしたくらいのもので、壁にまで商品が置かれていた。 外観はお土産屋の看板がなければ素通りしてしまうほどに地味で、あまり繁盛していない のではないかと僕は思った。 今日は、雨が降っているせいで誰も店内に入ってこないどころか、路地を歩いている人すらいなかった。 「惣一、これ」 さつき姉の声に振り向くと、目の前に目玉が現れた。 形容しようもなく、目玉そのものだった。本物ではないが。 目の前にかざされた目玉のキーホルダーは直径が1cm少々の大きさでとても軽く、 銀色のリングには200円と書かれたシールが貼ってあった。 「それ、買いなさい」 「なんで? キーホルダーなら間に合ってるんだけど」 「いいから買いなさい」 同じやり取りを繰り返しても、さつき姉は強硬な姿勢を崩さない。 仕方なくレジに行って会計を済ませると、さつき姉も同じものを購入した。 さつき姉は右手で目玉のキーホルダーをぶら下げ僕に差しだし、左手のひらも差し出した。 「交換しましょ、このキーホルダー」 「……なんで? 同じものじゃないか」 「別々に買った、って点では別物でしょ。 私は惣一のものを持つから、惣一は私のを持ってちょうだい」 買わされた理由もわからないうえに、交換する意味も掴めない。 とはいえ、断る理由はない。 僕はキーホルダーをさつき姉に渡して、さつき姉のキーホルダーを受け取った。 「今日から私が居なくて寂しくなったときは、それを見て紛らわしなさい。 私も寂しくなったときは同じことをするから」 2人でお土産屋の外に出ると、空の色はたいして変わっていなかったものの、雨はまったく 降っていなかった。 バス停に着いて到着したバスに乗り、降りてから自宅に帰るまでの間、僕は右のポケットに 入った目玉のキーホルダーを適当にいじった。 何度触っても変わりなく、プラスチックの滑らかさしか感じられなかった。 590 名前:向日葵になったら ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2007/05/27(日) 12 31 06 ID nfd27eRQ 部屋に戻ってきてから、僕は携帯電話を置きっぱなしにしていたことに気づいた。 着信を確認すると、大学の友人の1人から何度か電話がかかってきていた。 かかってきた番号に、折り返し電話をかける。 4コール目で繋がった。 『もしもし? 北河君?』 「うん」 『どうして出なかったの? どこかに行ってた?」 「まあ、ちょっと散歩にね」 『ふーーん』 部屋の時計で時刻を確認すると、長針は4時を差していた。 時刻を確認できるだけの間隔を空けて、友人の声が聞こえた。 『聞いてくれますか、北河君』 「それって、聞いてくれることを前提にしての質問だよね」 『実は私、山川は本日朝7時に目を覚ましたところ、隣に彼氏が寝ていないことに気づきました。 あれ? どこにいっちゃったの? と口には出さず彼氏を探して部屋を右往左往する私。 トイレ、浴室、冷蔵庫の中、ゴミ箱の中を覗き、首を傾げながらテーブルを見ると!』 「見ると?」 『合鍵は返しておく 俺たちはこれで終わりにしよう。 と書かれたメモを発見しました』 僕はほう、と言いそうになった自分を抑えて、次の言葉を待った。 『というわけで、明日の夏祭りアンド花火大会は北河君と行くことが決定されました。がちゃり』 「がちゃり、じゃないよ。なんで勝手にそんなことを決めてるんだ」 『いいから付き合いなさい! これは決定事項です!』 「……まあ、別にいいけどさ」 『よろしい。では明日の朝北河君の自宅へ迎えに行きます。シャワーを浴びて待っていてください』 友人の山川はこういう冗談をしれっと口にする。 性質の悪さが子供っぽくて面白いから、僕にとっては気の合う友人の1人だ。 「わかった。じゃ、明日会おう」 と言ってから、僕は通話を終了した。 携帯電話をテーブルの上に置いてから水でも飲もうか、と後ろを振り向くとさつき姉が 真後ろに立っていることに気づいた。 「惣一、今のは誰? ずいぶん楽しそうだったけど」 言葉の中に隠しきれない不満の色が混ざっている。やけに機嫌が悪そうだ。 「大学の友達」 「女の子でしょ? 女の子よね? 女の子なんでしょう?」 「う……ん。そうだけど」 なぜ言葉を繰り返したのはわからないが、喋るごとに目と眉がつりあがるさまから察するに、 さっきの電話の内容が面白くないものだったらしい。 山川の声はよく通るから、真後ろに立っているさつき姉にも聞こえていたはずだ。 さつき姉は不機嫌から微笑へと表情を変化させた。 「そうなんだぁ。女の子の友だちねぇ」 頷く動作を繰り返しながら、さつき姉は台所へ向かい夕食の準備を始めた。 包丁とまな板のぶつかる音が、昨日とは違い甲高く響いた。 591 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/27(日) 12 32 39 ID nfd27eRQ 次回へ続きます。 592 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/27(日) 12 55 26 ID Syk0eZLV 最近投下も多いし保管庫も順調で調子がいいな 職人様と保管庫管理人様GJです 593 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/27(日) 13 27 40 ID Bk2z3+GI 590 一服もった翌日とは思えないほのぼの展開にマターリ でもさつき姉はまだ何かたくらんでそうでw いつの間にか480KB越えてるな、次スレ立ててきます 594 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/27(日) 13 30 18 ID Bk2z3+GI 立ててきました ヤンデレの小説を書こう!Part7 http //sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1180240137/ 595 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/27(日) 16 43 09 ID aqP1ZS1J 594 ねぇ、どうしてみんなPart7のところにいっちゃうの・・・? どうして私を一人にするの?なんでかな?どうしてかな? あっ、そうか、そうだよ私わかっちゃった! P a r t 7 が あ る か ら い け な い ん だ 。 乙 596 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/28(月) 01 16 14 ID D8neUUqs ねえ、ど、どうしても行っちゃうの? わかった・・止めないよ。行って欲しくないけど・・ でもきっと戻ってきてくれるもんね! だから私、悲しくないよ。じゃあ、行ってらっしゃい。帰ってきたら、ずーっといっしょだからね! じゃあいってらっしゃい!! http //sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1176605863/ あれ、どうしたの?行かないの?・・ふふ、やーっぱりあなたも一緒にいたかったんだね。 ダメだよ、クリックしても行けないってことは、ほら、もともとそういう運命だったんだよ。 だ・か・ら、ずーっと一緒。あなたは、私と一緒にいるの。 ・・・行かせないんだからっ!!! 597 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/28(月) 12 26 20 ID xh81Vut7 「電波的な彼女」(集英社スーパーダッシュ文庫)に登場する堕花雨はヤンデレっぽいな。 前世から主人公に仕える騎士とか言ったり、主人公のピンチには駆けつけたりするところはかなりイイ。 598 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/28(月) 15 56 33 ID NVdWZOU6 596 いけねーwww 599 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/28(月) 16 26 55 ID LHLyR6Ff 597 雨はヤンデレとは違うと思うんだ。むしろ美夜こそがヤンデレだと、私は主張したい。 600 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/28(月) 23 54 31 ID XJTuBkHm 雨は主であるジュウ様が例えば他の女とくっついても 辛くても黙って我慢するからな、単に前世云々言っている電波美少女だ 美夜の方がよっぽどヤンデレだしw 昔レイプされたせいで心が壊れちゃって ジュウ様が好きなのに素直に好きと言えないで、いい友達止まりでいて んでジュウ様に好意を寄せていた委員長殺す時は歓喜していたからな 最終的にはジュウ様を殺してジュウ様との思い出を完結させて美化しようとして んで殺す寸前にジュウ様助けにきた雨に対し 「……なんで、邪魔するの? せっかくジュウ君と二人きりで、いい感じに終わりそうだったのに、台無しじゃん」 で「邪魔なのよ、あんたは! 邪魔なの!」 あの切れ方はいつもジュウ様と一緒にいる雨に対しての嫉妬を感じたねw そして雨に護身用のスタンガンまともに喰らっても怨念で立ち上がり、雨を殺そうとするあの姿はまさしく病んでいるw んで結局雨を庇ったジュウ様をナイフで刺しちゃって、刺された痛みを無理矢理抑え込みながら微笑むジュウ様と流れる血を見て正気に戻って 「こ、こんなの違う、こんなの違う、ジュウ君、違うんだよこれは、これは違うの、これは、信じて、わたしは、わたしはね、本当は……」 まぁ全て言い切る前に雨にスタンガンで止め刺されたんですがw しかし長いな、コレ。まぁ埋めネタだと思って流してくれたら幸いッス 601 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/29(火) 06 47 16 ID LZH3xKXm 知らない人のために補足。 美夜をレイープしたのはジュウ君ではありません。頭のおかしいサラリーマンです。 602 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/29(火) 09 15 19 ID w9fXHkk5 まあ、なんだ。 あんまここで話す事じゃねえやな。 つうわけで興味をお持ちになった方はこちらへ。 エロパロ板 http //same.u.la/test/r.so/sakura03.bbspink.com/eroparo/1171037946/l10 603 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/30(水) 11 01 05 ID 2QP3LuSo 容量まだあるからヤンデレ関連の雑談はこっちでいいのかな 埋めネタを待ちつつ 604 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/30(水) 15 44 48 ID HS3I2NJi Part7建ってたんだな気づかなかった でもなんで? 605 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/30(水) 15 49 04 ID tFW0wJgA 604 ナニイッテンダ オレタチニハ6スレちゃんガイルジャナイカ 606 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/30(水) 22 45 10 ID hK5TBuj7 藤子Fの短編にでてくるロボットの話がヤンデレだと思った今日この頃。 主人公の少年にデレた結果 自分を女性化したり主人公の女友達に嫌がらせしたり最後には主人公に 「アナタノタメデス」 と自分で自分を騙す嘘をついて自己正当化したり…… まあ萌え要素は皆無の作品だが 607 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/31(木) 22 15 40 ID FDvRUO+h キモウトのドラミちゃんがミーちゃん(ドラの彼女)をドラ焼きの具にする急展開マダー? 608 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/31(木) 22 17 31 ID wBFZiGSg 607 無理あるだろその展開wwwww 609 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/31(木) 22 46 12 ID rpZeIlfO では、ジャイ子が兄の似顔絵をスケッチブックに描きまくっていて その事実をひた隠しにしている、というのはどうだろうか 610 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/31(木) 22 53 19 ID DYK+MQP2 609 それだ! と言おうと思ったが貴様には死んでもらう 611 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/31(木) 22 59 12 ID zOQut7Pn 自宅に来たのび太を帰したくない ↓ 靴を隠してしまえば帰れないわ という行動に出た女の子がいたが彼女はヤンデレの素質ありだな 612 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/31(木) 23 13 08 ID j2cdc+Z7 611 最終的には そうだ、足を切ってしまえばいいじゃない! となるわけだな。 613 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/31(木) 23 40 45 ID FDvRUO+h 609 口には出せない妄想をスケッチブックに書くことでかろうじて兄への気持ちを抑えている妹。 そんな彼女の前に青いタヌキが現れる。 そいつは一冊のスケッチブックを取り出し言う。 「このスケッチブックに描かれた事は現実になる」と。 半信半疑の妹だが何とは無しに「兄に抱き締められている自分」の絵を描く。 次の日、兄の友人の骨川が無惨な死体となって発見された。 忘我にある兄は温もりを求めて妹の体を抱き締める。 妹は抗いがたいスケッチブックの魔力に取り付かれて行く…。 これじゃどっちかてーと喪黒福蔵の仕事だな。 614 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/31(木) 23 53 06 ID rpZeIlfO オマイの想像力に脱帽したw 615 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/01(金) 04 38 51 ID DFNbtShq 牡丹燈籠とかヤンデレじゃね? ネタが古いけど 616 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/03(日) 13 02 26 ID AWqSsNM3 誰も覚えて無いだろうけど埋めがわりに前スレにおいてった奴の続き。 前スレのを読んで無くても多分意味わかると思うけど、まあ埋めネタと思ってくれ。 目が覚めた。 部屋の白い天井はいつもと変わらず少し薄汚れている。 何か素敵な夢を見ていた気がするのだけれど、上手く思い出せない。 ため息をついて私は起き上がった。また今日も振り向かないあの人と、 あの人の可愛いあの子のいる学校に行かなくちゃいけない。私が休んでもあの人は 気にしないだろう。寂しい、淋しい、私の予測。けれどきっとあの子は心配して しまうだろう。悲しい、哀しい、優しい事実。2人で見舞いになど来られた日には、そんなのは堪らない。 そんなのは耐えられ無い。許したく無い。 重たい頭の霞を払うべく顔を洗って部屋に戻ってくると、急に今朝の夢を思い出した。 もしくは今朝の夢が私のベッドに腰かけていた。 白いタキシードの目の細い………きっとこういうのを優男って言うんだろう。 黒いシルクハットを組んだ足に載せている。 「もしかして悪魔さん?」 「覚えていていただけましたか」 「今思い出したのよ」 617 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/03(日) 13 04 21 ID AWqSsNM3 私はこの異常な事態を全く異常だと受け止められていなかった。 昨日の月明かりの下で出会ったこの人。1人、ひとおり、独りの私の前ににあらわれた。 「本当にあの人を私のものにしてくれるの?」 「ええ。ただし条件がありますが」 悪魔さんは微笑みながら言った。 「あなたの声を一部いただきます」 私は笑って、嗤った。 「いいわ。声なんていくらでもあげる。けれどひとつ聞いてもいいかしら」 「なんですか」 「一部ってどういうこと?」 「それは学校へ行ってからのお楽しみです」 悪魔さんは立ち上がってこちらへ近付いてきた。 「契約成立ということで宜しいですか?」 「ええ。お願いするわ」 私は瞳を伏せた。悪魔さんがの細い指が顎を捉えて上を向かせ、唇をなぞって行く。 私の中の、なにかが溶け出して流れて行くのがわかった。 「契約完了です」 悪魔さんは微笑みながら言った。 うん、ここまでしか無いんだ。本当に済まない。 618 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/03(日) 13 19 54 ID j3WZZpLi 617 すまないなんて言っても 続きを書くまで許してやらない てことでGJ! 619 名前:埋めネタ[sage] 投稿日:2007/06/04(月) 00 11 02 ID nQXPpt1R 最近妹がおかしい。 なにをしているかわからないが、俺の部屋にときどき忍び込んでいるようだ。 帰ってきてから部屋の中を荒らされていないか確認しても、何もなくなっていない。 しかし、何かしていることは間違いないはずだ。 妹は昔から、俺に対してきつく当たる。 いわゆるツンデレという奴だ。 比率は俺の大好きなツン9割、デレ1割……ではない。 ツンが99%、デレが1%というところだ。 妹が俺を兄として扱ってくれるのは、親戚が集まる正月ぐらいのものだ。 それ以外はごみのような扱いだ。 以前、妹の後ろに立ったことがある。 決して、何かしようとしたわけではない。断じてない。 だというのに、振り返りざまに回し蹴りを放たれたのは何故だろう。 そのときに見えた妹のスカートの中は白だった。 俺としては青と白のストライプであったら嬉しかった。 今日のスカートの中は黒だった。 俺がそのことを知っているのはなぜか? 答えはひとつしかないだろう。今日はとび蹴りだったのだ。 今日も1人でBBSPINKのヤンデレスレを覗いてみることにする。 ちなみに俺は18歳だから問題ない。 まあ、去年から覗いているから関係ないけどな。 さて、今日の書き込みは…… 620 名前:埋めネタ[sage] 投稿日:2007/06/04(月) 00 12 00 ID nQXPpt1R 『 666 名前: 私のお兄ちゃん [sage] 投稿日: 2007/05/XX(日) 20 32 58 ID B1XmPAna 「だめえ、お兄ちゃぁん!」 「なんだよ、お前から誘ってきたんだろ」 私は今、お兄ちゃんに襲われている。 お兄ちゃんが突然、私を部屋に呼んだかと思ったら、ベッドに押し倒したのだ。 「誘ってなんか、いないよぉ……」 「嘘つけよ、いつもあんなやらしい下着履いて、俺に見せびらかして…… お前、本当はこうしてほしかったんだろ?」 お兄ちゃんが私のスカートをめくって、太腿を撫でた。 太腿をこねて、つまんで、容赦なくなぶる。 私はすでに動けない状態になっている。 だって……本当はこうして欲しかったから。 いつも黒とか赤の勝負下着を履いているのは、いつお兄ちゃんに襲われてもいいように。 お兄ちゃんを怒らせるためにいつも私は冷たく当たっている。 本当は、本当は自分の体で迫りたいけど……恥ずかしいから、無理。 「や、やあぁ! そこ、だめぇ!」 「へえ、今日の下着は黒か。どこでこんなの買ったんだよ」 「そんなの、言えないよ!」 「言えよ、ほら」 お兄ちゃんが、ショーツの上から私の入り口を指で弄った。 耐えなくちゃ、耐えないと……興奮して、出てきちゃう。 でも、すぐに理性の壁は決壊した。 「あっ、だめ……乳首、だめぇ!」 「へえ、綺麗なピンク色してるな。今まで男に触らせたことないんだろ」 「あ、あぁぁ……んんっ」 お兄ちゃんが私の乳首を咥えて、下で転がした。 耐えようとしても、私の理性は働かない。 こんな優しい愛撫には、耐えられない。 もう、だめ――――っ! 「ん――――っ!」 耐え切れず、私は秘部から愛液を出してしまった。 恥ずかしさで、失神してしまいそう。 私が、毎日お兄ちゃんを想ってオナニーをしてることとか……淫乱なところとか、ばれちゃう。 お兄ちゃんは私の乳首から唇を離すと、ショーツを脱がした。 そして……。 』 621 名前:埋めネタ[sage] 投稿日:2007/06/04(月) 00 13 03 ID nQXPpt1R ……これは、いいな。 俺に妹属性はないが、なんとなく興奮する。 よし、期待レスでもするか。 『 667 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2007/05/XX(日) 23 58 08 ID B1XmPAna wktkwktk 』 ……あれ?IDが同じ?なんで……? 俺が書き込んだ?いや、俺は長文を書くなんてできないぞ。 仮に酔って書いたとしても、5行ぐらいで終わるはずだ。 だとしたら、俺以外の、この家に住んでいる人間がやったということか? この部屋に出入りする人間というと、俺と妹と―――― 「お兄ちゃん……とうとう見ちゃったんだね」 妹の声が、耳のすぐ近くで聞こえた。 まさか、この文章は――! 「おやすみ、おにいちゃん。明日は学校に行かなくていいからね。 ううん、明日も、あさっても、その次の日も、ずっとずっと……あははっはははははは!」 埋め! 622 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/04(月) 01 44 43 ID 6XQkOeeY こ、これは・・・ 623 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/04(月) 03 21 08 ID xcXryOKx 鬱っぽい感じのヤンじゃなくて、躁病っぽいハイテンションなヤンが見てみたい。 624 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/04(月) 20 20 07 ID 6DIa0wjA 実験 「見つけた! この人だっ!」 「えっ?」 通勤途中、電車の中で俺はいきなり女子高生に腕を掴まれた。 まさかこの俺に痴漢の冤罪がかかろうとは思わなかった……。 まてまてまて、俺は片手にかばん、片手はつり革だぞ! 周りの乗客が一斉に俺に視線をよこす。 女子高生はつり革を持った俺の右腕に絡みき、頭を摺り寄せてくる。 「にゅふふー。」 とか言いながら絡むのはやめていただきたい。 「そいつ、痴漢なのか?」 声のした方――後ろを振り向くと、ガタイのいい学生が俺を睨んでいる。 待てよ、どう見ても痴漢じゃねーだろ! そいつはポキポキと拳を鳴らしながら、俺に近づいてくる。 ダメだこいつ、絶対に「電車男」を見てる! 逃げようにも、つり革を掴んだままの状態じゃ転倒することは必至だ。 八方塞がりとは、この事だな。 俺は諦めて目を閉じ、歯を食いしばった。 ふと、右手の荷重が無くなった。……何もこない。 625 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/04(月) 20 33 32 ID 6DIa0wjA ドン!という大きな音が鳴る。 ……俺は恐る恐る目を開けてみた。さっきの学生が 電車の隅に寝転がっている。そして、拳を天にかざした女子高生。 何、これ? 「もう大丈夫だよ、ダ→リンv」 何が? 626 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/04(月) 20 51 49 ID 6DIa0wjA 俺はこっそりと電車から降りたところを押し倒された。 「どこ行くの? v」 そりゃあ、きみの居ない所へ。 それに語尾にハートをつけるな。 「あ、もしかしてテレてるんだ v かわいいv v」 「いつまでも電車の扉の前で寝転がってたら踏み殺されそうなんだが。」 「あ、ごめんね――いたっ。 さっきので手首をひねっちゃったみたい……。」 よく見ると小柄な子だ。 150cmも無いような印象を受ける。 そんな子が大男をK・Oしたのだから怪我くらいはするだろうな。 仕方が無いので医務室に連れて行くことにした。 627 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/04(月) 20 52 39 ID 6DIa0wjA 難しい。 628 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/04(月) 20 59 51 ID nQXPpt1R 627 正直な感想を述べよう。 武闘派ヤンデレ、イイ!ダーリン! 629 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/04(月) 21 15 16 ID 6DIa0wjA 埋め完了 630 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/04(月) 21 18 14 ID iEXfw0h2 や、やめろ・・・くるなっ! うわああああああああああああああああああああああ・・・・・・・・・ 埋め 631 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/04(月) 21 22 02 ID 6DIa0wjA 逃がさない逃がさない逃がさない逃がさない 逃がさない逃がさない逃がさない逃がさない 逃がさない逃がさない逃がさない逃がさない 逃がさない逃がさない逃がさない逃がさない わかってくれた? 632 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/04(月) 21 30 05 ID nQXPpt1R ヤンデレスレは! 633 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/06/04(月) 21 31 44 ID fmSJSNco エロエロよ~!
https://w.atwiki.jp/i_am_a_yandere/pages/1065.html
201 名前:慎 ◆UPiD9oBh4o [sage] 投稿日:2007/08/18(土) 23 10 46 ID N9Pvw1hJ 序曲後の幕開けまでの幕間 「…とこんな感じなんでけど」 「で、結局ヤンデレってなんなんだよ。さっぱりわからない」 奈津子の話を聞き終えた後、俺は今一度たずねてみることにした。効いてみてもさっぱりわからない。 奈津子曰く、ヤンデレというジャンルに属する女性の話らしい。しかしヤンデレというのがいまいち俺にはわからなかった。 そう、この話を聞くきっかけになったのも、奈津子がヤンデレについて講義を突然始めて俺がわけわからんといったからだ。 だがこういった話をされてもやはりわからないものはわからない。むしろややこしくなった感もある。 「だから、相手のことを病むほど好きになることだって。簡単じゃん!何でわからないの?」 「抽象的過ぎる。具体化してくれ」 「じゃぁツンデレなんて何よ。ツンツンデレデレなんて、抽象的過ぎるにも程があると思わない?」 「ありゃステレオタイプができてるからな。そういった意味では具体化されてる。」 とりあえず、適当に答える。まぁ抽象的だというのには反対はしない。勘違いされてるとか言うが、それも仕方がないような気がする。 そもそも、キャラとしては昔からいたキャラなのだから今更騒ぐのもどうかとも思うが。 「ふん、ステレオタイプができてるからって、そもそもの言葉の意味が具体化されてるわけではないよね?」 あぁ言えばこういう奴だ。たく… 「具体例。」 「へ?」 「具体例挙げてみー?」 俺はとりあえず例を聞いてみることにした。そうすれば少しはイメージがつかめるだろうと思ったから。 「相手のことが好きすぎて監禁しちゃったり、嫉妬して鋸で主人公の彼女殺したり、わけがわからなくなって空鍋炊いたり、次々と人殺したり。」 「ずいぶん物騒だなぁ…」 「まぁね。病んでるから、判断力とか常識とか飛んでるのよ、きっと。」 まて…そう言われるとまさか絵里の一件もヤンデレ…ははは、まさかな。 俺はあのことはあんまり思い出さないようにしている。思い出して寝れなくなる日もあったしな。そう、今のも一瞬の思い過ごし。戯言だ。 俺はすぐに奈津子の話のほうに意識を戻した。今の考えを消し去るために。 だが、そんな折、ふと俺は思い当たることがあった。そこで奈津子に聞いてみた。 「俺の男の先輩なんだが、片思いが過ぎて、飛び降りかけたりしてたらしいんだが この場合どうなるんだろうか。ヤンデレってやつに当てはまるのか?」 「男のヤンデレは私からすればNG。以上」 202 名前:慎 ◆UPiD9oBh4o [sage] 投稿日:2007/08/18(土) 23 11 38 ID N9Pvw1hJ 奈津子の返事は速かった。そりゃもう、俺が言い終わる前に言うような勢いだった。 「さいですか…」 じゃあ男のヤンデレなんか思いついても話しちゃ駄目なのか…厳しい。 「犯罪じゃん。だって」 自信満々に答える奈津子。 「ストーカーって言うのよ、そういうのは。ヤンデレとは違うわ。」 まったくどんな自信だ…たくっ。どこがどう違うのかわからないという突っ込みはOKなのだろうか? まぁここはあえてスルーしてやることにしよう。 「わかったよ。てか、お前やたら男に厳しくないか?そこまではっきりとNGって言わなくたっていいじゃないのか?」 「う~んなんか男のだとやっぱりストーカーチックになってしまうのよね…私はうまく話が思いつかないわ。」 考えてみれば一理ある。女の子が病んだほうが話もすいすい行くだろうしな。 何よりいわゆる一つの萌え要素、てのになるんだろうし、不都合が何も無い。 これが男が絡んでくると…世間的に見れば一気に重大犯罪だ。十代の子に対する犯罪も十だ…やめよう。 われながらあほすぎる発想だ。女でも重大犯罪に変わりは無いのだがその辺は不問にしといたほうがいいのだろうか 「でね、続きがあるんだけど…え~と…やぁようこそ奈津子ハウスへ」 「おい、突然なんだ!?」 「この序曲はサービスだからまずは聞いて落ち着いてほしい」 「もう聞いたぞ?ていうかサービスだったのか?」 「そうね、またなんだわ…ごめんなさい。仏の顔もって言うしね、許してもらおうとは思ってないわ」 「はなからそんなこと思ってないだろ」 「でも、この話を聞いたとき、慎ちゃんはきっと言葉では言い表せない「病んでるなぁ」みたいなものを感じてくれたと思うんだ」 「さぁどうだかな」 奈津子はむすっとした顔になった。だがそんな顔されても奈津子が何を言ってるのか俺にはさっぱりわからんのだから、どうしようもないのだが。 「んん、もう…殺伐とした世の中でそういったものを忘れてほしくない、そう思ってこの話を考えたのよ」 ていうか殺伐とした世の中に、さらに殺伐としたものもってこられても…たくっこんなネタまで考えて…やれやれ。 続きを大人しく聞けとな?はぁ… 「で、続きは?そこまで言うからにはもうできてるんだろ」 「うん!じゃあ続きを行くね。第1幕始まり始まり~」 さて、物語の幕が開くようだ。どうなることやらさっぱりわからない。その分楽しみではあるが。 少しはやる気持ちを抑えるように、俺は手元にあったペットボトルのお茶を一口飲むと、俺はまた奈津子の話へと意識を持っていった。 203 名前:慎 ◆UPiD9oBh4o [sage] 投稿日:2007/08/18(土) 23 12 58 ID N9Pvw1hJ 投下終了。今回は奈津子が慎太郎に思いついた話という形で進めます。 また監禁される男はかなりの馬鹿に書いてます。ご了承を。 途中短編投下宣言された方ごめんなさい。 204 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/18(土) 23 16 13 ID 20wzF9he こちらこそ、ごめんなさい。 更新してなかったです。 次から気をつけます。 205 名前:かすみ 1/5[sage] 投稿日:2007/08/18(土) 23 16 43 ID 20wzF9he 昔から変なヤツだった。 小学生低学年の時は家の庭で一日中、アリを指で潰してた。 小学生高学年の時は学校の水槽に農薬を撒いて、浮いてきた魚を見て笑ってた。 中学生の時は子猫を川に投げ捨てて、恍惚とした表情を浮かべていた。 高校生になったヤツは、ついに人を傷つけた。 「ゆうくん」 そして、その事件で停学中のヤツの声が、背中から聞こえてきた。 ここは・・・俺の部屋だ。 なんで・・・なんで・・・ヤツが。 「かすみ」 俺は恐る恐る後ろを振り向く。 「ひっ」 息を呑んだ。 長い黒髪。白い肌。病的なまでに濁った瞳。 そして、いたるところについた・・・ドス黒い・・・血。 「お、お前まさか・・・」 喉が張り付くように渇き、自分の声とは思えないほどかすれていた。 「心配しないで・・・ちゃんと、みんな息の根を止めてきたから」 そういうと、シトシトとゆっくり俺に近づいてくる。 (なんで、なんでコイツが俺の部屋に!?) 俺は恐怖の余り、座っていた椅子から転げ落ちる。 「と、とうさん!かあさん!」 力の限り叫ぶ。 それでも、いつもよりは声出ていないが、下の階にいる二人には聞こえるはずだ。 しかし、下からの反応は無い。 「・・・うそだろ?」 かすみは口を大きく横に開き、悪魔のような笑みを浮かべる。 『ちゃんと、みんな息の根を止めてきたから』 かすみの言葉を思い出す。 「まさか」 「だって、ゆうくんのお父さんもお母さんも、ゆうくんに会わせないって言うんだよ」 ヤツが一歩近づくたびに、俺は尻餅をついたまま、後ろに下がる。 「ゆうくんがアリを潰すのが楽しいって言ってたから、私もやってみたんだよ。 ゆうくんが水槽当番で水を取りかえるのが大変って言ってたから、私がそんなことしなくてよくしたんだよ。 ゆうくんが子猫を可愛がるから、私は悲しくなったんだよ。 ゆうくんが私以外の女と一緒にいるから、ゆうくんを私だけのものにしたくなったんだよ」 背中に壁があたる。 もう、下がれない。 206 名前:かすみ 2/5[sage] 投稿日:2007/08/18(土) 23 17 46 ID 20wzF9he 「えへへ」 「ひっ」 追い詰められた俺の顔に、顔を近づけてくる。 そして、振り上げられた右手には・・・光を反射する・・・ナイフが握られていて。 「ゆうくんは・・・かすみのものだよ」 それが空を裂く音が聞こえた。 「う・・・あ・・・がぁっっ」 左肩が熱い。 肩を見ると、そこから血がダラダラと流れ、袖を真っ赤に染め上げていた。 「おいし」 切りつけ血のついたナイフを、目を細めながら舐めている。 狂ってる。 「ゆうくんも気持ちよくしてあげる」 パサリと落ちる、白いワンピース。 病的なまでの白い肌。 下着を着けていないその白い肌には、無数の傷がまるでファッションのように走っていた。 手首。首筋。胸。腹。脚。そして、秘部。 「ほら、女の子のおまんこ・・・ゆうくん見たことないよね」 自分の指で秘部を大きく開き、俺に見せる。 「どう?興奮した?」 かすみは左手だけで器用に俺のズボンとパンツを下ろす。 「これがゆうくんのおちんちん・・・ふふ。元気だね」 ありえない。 俺は脱がされた自分の下半身を見て驚いた。 なんで、こんな状況で勃ってるんだ!? 勃起している感覚はない。恐怖のせいか体が少ししか動かないっていうのに。 「じゃあ、いくね」 かすみが俺の上にゆっくりと腰を下ろす。 「んっ・・・んっっ・・・ぁぁっ・・・はぁっ」 207 名前:かすみ 3/5[sage] 投稿日:2007/08/18(土) 23 18 48 ID 20wzF9he 真っ白なかすみの顔が上気して、紅くなっていくのがわかる。 「ゆうくんの初めて・・・奪っちゃった」 初めて。 実は違う。俺の初めては、アイツ。 多分。もうこの世にはいないであろう・・・俺の大切な人。 「・・・違うの?」 かすみの目が濁り始める。 「あの女?あの女なの?・・・これはゆうくんの初めてじゃないの?」 「うっ・・・がぁっ」 かすみの細い指が俺の首を絞めつける。 両手の爪が首に食い込んで、血が流れていくのがわかる。 ・・・両手? 俺は痛みにこらえながら、かすみの傍を見る。 ナイフが無造作に床に転がっていた。 「どうして・・・私の初めてはゆうくんにあげたのに、ゆうくんの初めては私じゃないの?」 かすみに気づかれないように、ゆっくりと左手を伸ばしてナイフの柄を握る。 「おかしいよ。そんなの・・・不公平だよ・・・ゆうくっんっっ!」 かすみの顔が苦痛にゆがむ。 俺の左手に握られたナイフが、かすみの脇腹を薙いだのだ。 「どけ!」 俺は体を起して、かすみを突き飛ばす。 かすみの反撃に備えて、俺はナイフを構える。 しかし、かすみは一向に起き上がる気配を見せない。 倒れた時に頭でも打ったのか? 「かすみ」 俺は立ち上がってかすみの顔を覗き込む。 濁ったままの瞳が俺を睨んでいる。 意識はある。だが、小刻みに震える体と言葉を発することのできない口。 先ほどの俺と同じ。 「・・・毒?」 体を麻痺させる薬品か何かがナイフに塗られていたのだろう。 208 名前:かすみ 4/5[sage] 投稿日:2007/08/18(土) 23 20 13 ID 20wzF9he 全裸で倒れているかすみ。 脇腹と股間から血を流していた。 「本当に処女だったんだ」 俺はかすみから目を離さないようにしながら、ベッドに腰掛ける。 っ。 腰かけた時に、左肩に痛みが走った。 そういや、さっき切りつけられてたんだった。 あまりの展開に忘れていた。 「病院行かなきゃダメかな」 俺が肩を見るためにかすみから目を離した・・・その瞬間。 「ぅぁっ!?」 右足の甲に鋭い痛みを感じた。 恐る恐る覗き込むと、、小さなバタフライナイフが俺の足の甲に深々と突き刺さっていた。 「かすみ」 「ひどいよ・・・ゆうくん・・・せっかく、無防備な体さらしたのに・・・何もしてくれないなんて」 かすみがゆらりと立ち上がる。 「ゆうくんの精液頂戴」 「く、くるな!」 「ゆうくん・・・だいすき」 俺はかすみに押し倒され、犯され、そして、果てた。 209 名前:かすみ 5/5[sage] 投稿日:2007/08/18(土) 23 21 05 ID 20wzF9he その後、俺が目を覚ましたのは病院のベッドの上だった。 翌朝、新聞配達員が、玄関にベッタリと血がついているのを発見。 警察が駆けつけ、俺を保護してくれたらしい。 両親は死亡。俺は出血こそ多かったものの、致死量には至らなかったらしい。 そして、肝心のかすみはその日以来、行方知らずとなった。 あの日から10年がたった。 俺は結婚して子供も幼稚園にあがった。 幸せだった。 かすみのことなんて、完全に忘れていた。 「・・・おかえり」 「おかりなさい」 その日、俺の帰りを家で待っていたのは、最愛の妻と子供ではなかった。 血濡れた白のワンピースに身を包んだ、女性と少女。 「ゆうくん・・・今日から家族三人で暮らそうね」 210 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/18(土) 23 22 47 ID 20wzF9he 終了です。 慎さん。間にわりこんでしまい、本当にすみませんでした。 211 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/19(日) 05 51 16 ID qDeBnKqv 203 210御二方の処女(一番槍)は俺が貰いました。 GJ!!! 俺もヤンデレになる特訓してこよう 212 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/19(日) 07 36 19 ID /q9RcvhG 203 ダークな展開になりそう、ガクブルしつつwktkしております。 それにしてもあんな目にあったのにまだヤンデレを理解してないのか、慎はw 210 狂うほどの愛があればそれでOKなんじゃないかなあ てことでGJ! 213 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/20(月) 08 55 33 ID IoGRKAqe つーか、間違ってたら叩いてくれてかまわないんだけど、 よく狂った人の愛がヤンデレって言ってるの見るけど、そりゃただグロいだけであって、 本当は嫉妬なんかによって病んでいく様子をヤンデレって言うんだよな? まぁ、スレ違いだったらスルーしてくれ 214 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/20(月) 09 38 48 ID HQ2zPfAy ヤンデレの定義合戦になるからね、そういうの言い出すと。 自分と愛しの彼との世界を邪魔されたくないから、他の女とかを殺したりするのが主流っぽくなっているけど、 個人的には彼を静かにじっくりゆっくりねっとり絡め取っていくのを読んでみたい。 そう思って自分で書いてみようとしたけど、難しいなこれorz 215 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/20(月) 09 44 31 ID iR2xTkgi 213 原理主義的な考えでは、そうなるっぽい。 でも、拡大解釈的な考えでは、それもヤンデレに含めるみたい。 まあ213の質問は、ここでも何度か繰り返されてきて、最後には「心で(ヤンデレを)感じるんだ!」という感じのレスで、幕引きになったんだけどね。 216 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/20(月) 09 49 58 ID IoGRKAqe 214 215 ありがとう、二人のレスでなんか納得できた 217 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/20(月) 09 59 52 ID kR3Cu+Fn そうか、ヤンデレってもともとはツンデレと同じく、 時間経過によって変化する感情の概念だったか。 1に書いてあることではあるけれど、なぜか間違った理解をしていた…… 218 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/20(月) 12 58 23 ID QT4NarRL やはりそこに愛を感じないとダメだろ 219 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/20(月) 17 07 53 ID eq2Sszje ただ愛とは無関係に狂ってる人が、ついでで愛しちゃいますよみたいなのはゲンゲロ 220 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/20(月) 18 17 26 ID MoHhUkkI でもまあ、もともと常識からハズレてたとしても愛する故に「更に」狂うなら… すまん、余りつっこむとまずいな定義問題は。スルーしてくれ 221 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/21(火) 00 25 11 ID mnaltvOR ここのSSのキャラは大体が話の冒頭から病んでることが多くないか。 最初はごく普通の片思いだったけど、次第に精神や行動がおかしくなるヒロインっていたっけ。 222 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/21(火) 00 28 30 ID NYFHOLVi それなんて、言葉様? 223 名前:名無しさん@ピンキー[age] 投稿日:2007/08/21(火) 04 50 00 ID OJqwQCuA ヤンキーのヤンデレを見てみたい・・・ 224 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/08/21(火) 05 04 51 ID hBd6oOyv 前スレにあったな あと空鍋忘れんな 225 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/08/21(火) 06 45 13 ID ZxWvXHiH 糸電話も忘れちゃだめだよ 226 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/21(火) 10 29 13 ID nJw3ZVqg 223 怖さ2倍か、Mにはたまらんな 227 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/21(火) 14 55 03 ID cZsCNxcq そこはむしろ、どちらかといえば真面目な主人公に合わせてヤンキー辞めてしまうところだろ それでも受け入れてもらえなくて、どうすれば受け入れてもらえるか試行錯誤していくうちに病んでいくわけだ 228 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/21(火) 16 54 48 ID kxJ++Udz 227 SO!RE!DA!!!!!!!!!! 229 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/21(火) 17 47 24 ID AgEPsUca 223 案外厳しいかもしれん。実力行使に出てもあんまり違和感無いから 230 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/21(火) 20 46 44 ID fgNzD58F ヤンキー娘大好きないじめられっ子ショタに馴染むために更生を決意してお淑やかに鉄壁の笑顔で表情を固めるんだよ でも時々無理が生じてピキってなって 「………」とかって笑顔のまま無言になっちゃったりして人目のない所でコンクリの壁を拳からの血が滲むまで連打したりしてんだよ でもショタが探しに来たらどうしたんです?みたいな表情で笑顔を浮かべるんだよ。握り締めた拳から血ぃダラダラ流してる癖に あとヤンキー時代の悪い仲間が冷やかしや脅しに近づいて来たら「ちょっとお話しをしてきますね」とかショタに言っておいて路地裏でそいつら狩ってたり、 ショタを虐める連中を陰で粛清していて、その連中とショタが顔合わす時にはショタの背後から鬼の形相でプレッシャーを掛けてショタの平穏な学校生活を演出してたり… ヤンキー娘には無限の可能性があるんですよ? 231 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/21(火) 21 14 43 ID kcTMTlC8 230 なんかいんぱら思い出したw でもそういうラブコメチックで明るい(?)ヤンデレもいいなw 232 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/21(火) 21 27 31 ID WfHRahef ヤンキーでデレデレか 233 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/21(火) 21 31 27 ID OzNsSo8Y 病みヤンデレ 234 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/21(火) 21 39 46 ID lH5Gjmt4 面白いんだが、そのままだとあんまり狂気が感じられないからヤンデレとしては物足りないという人がいるかも 病みっぷりを強調するなら自分の過去を知る不良仲間を文字通り抹殺しているとか もう一つの顔を使って恋敵もぜんぶ抹殺しているとか ショタの両親なり兄弟姉妹なりが自分の正体に気付きそうになったら抹殺しているとか 235 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/21(火) 22 15 21 ID iTZfzZVR でもそれだとなんだかただの悪女とかみたいでヤンデレとは違うなあ 元々暴力的だから他のに比べると殺害に怖さがあんまない 現実にあったら怖いんだがな 236 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/21(火) 22 38 59 ID VU0luEsa ヒロインの病みっぷりに気付いて主人公がヒロインを受け入れて病みとデレが激しくなるSSないですか? 237 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/21(火) 23 17 02 ID 3MU2kdDv 「上書き」はそんな感じじゃないの? 238 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/22(水) 01 16 03 ID r2FNZwMr つひぐらしの罪滅し編のレナ 239 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/22(水) 01 50 38 ID lzeUJtGa レナはヤンデレではなく、只のキチガイだと思う 240 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/22(水) 03 20 06 ID LSLAsdDb 239おま・・・消されるぞ!! 一応聞くが、まさか後ろに鉈持った女の子なんていないよな? 241 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/22(水) 04 04 30 ID S+qO4G1H 240 おいおい、本当にそんな奴がいるわけないだろwwwww そんな女なら俺の後ろに あれ? 242 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/22(水) 05 04 27 ID mC4ZJvez さっきから玄関から視線のようなものを感じるんだが、調べたほうがいいかな? もう寝ようかと思ったんだがなんか気になる 243 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/22(水) 06 59 31 ID r2FNZwMr ピンポーン 244 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/22(水) 08 33 52 ID 9HRbXfrw 開けてよ…開けてよ… ひぐらしのスレ今見てきたとこだったからこの流れに一瞬目を疑ったぞwwwww 245 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/22(水) 09 20 03 ID DO0rdRgn ストーカーは、ストーカーをする相手を間違えると今までの力を全て失う事が某漫画で判明。 ヤンデレも同じ事が言えるのでしょうか。 246 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/22(水) 15 05 19 ID S+qO4G1H 245 ヤンデレとストーカーは違います そもそも彼女達が 間違える なんてことはしません 247 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/22(水) 15 16 28 ID nU7TCcjY ヤンデレは例え目がつぶれてても匂いで相手がわかるし 第6感がすぐれているので間違えるなんてありえません 間違えるのはヤンデレになりきれてない証拠です 248 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/22(水) 15 32 19 ID DO0rdRgn イイエ、ソレハリソウロンデス 249 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/22(水) 17 02 26 ID OsZp7dGj ハイ、ソレハボブデス 250 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/22(水) 17 33 19 ID 7/6J3f5O ヤンデレはたとえ死んでも、彼の近くの人として生まれ変わりますよ? たとえば○○君(主人公)が幼い頃、彼に対するあまりにも執着心が強い女の子、△△ちゃんがいたとする。 ある日彼がよその女の子と話しているところをその子が発見、詰め寄ろうとして道路を渡ってるときに車にひかれ、死んでしまった。 その後しばらくして彼には妹が生まれた。 そして妹が小学校に上がろうとするある日のこと。 「お兄ちゃん……実はわたし、△△なんだ。 そう、お兄ちゃんが6歳のとき死んじゃった女の子。 すごく仲がよかったよね、お兄ちゃんと。 でもそのすぐ後に生まれた妹に生まれ変わったんだ。」 彼は普段からたまに大人びた仕草を見せる妹の思いがけない告白に呆然としながらも、よその女の子と接触するたびに△△ちゃんから受けた凄惨な「おしおき」を思い返して身震いするのでした。 そう、彼には少し前、初めてのガールフレンドができたのです。昨日は彼女を家族に紹介したばかりでした。 「もう離れないよ。だって妹だもんね。 ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっと ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっといっしょ。 あの女よりもあの女よりもあの女よりもあの女よりも あの女よりもあの女よりもあの女よりもあの女よりも。」 満面の笑みを見せる妹、言われてみれば△△とそっくりな笑い方をする妹の手には、彼女の…… 「あの女にはおしおきしたから、次は○○君だよね。 あ、お兄ちゃんって呼ぶほうがいい? 間をとって○○君お兄ちゃんにする? さ、おしおき……うふふふふふはははははははふふふ ははははははははははははははははははははははははははは ははははははははははははははははははははははははは」 251 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/22(水) 18 14 12 ID NqBegY0q いやすべてのヤンデレが妖怪とか怪奇現象というわけでは…… 252 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/22(水) 21 07 21 ID KJrVLwdh 平和なヤンデレってのはありえないのかなあ。見てみたい気がする。 253 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/22(水) 21 50 14 ID cBUrM/12 平和なヤンデレ…、それって読後感すっきりで、 ヤンデレ属性以外の人から見てもまあハッピーエンド、みたいなヤンデレ? 254 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/22(水) 21 51 18 ID 8M/WgEod 主人公を独占しようとあれこれ画策するんだけどドジなので全く上手くいかないという、ヤンデレドジっ娘で一つ 255 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/22(水) 22 08 29 ID NtbaHIl3 ちっちゃくてかわいいみんなにマスコット扱いされるドジな女の子がヤンデレ。 主人公を含めた仲良しグループの女全員を殺そうとするんだけどいつも失敗。 ナイフは怖いからペーパーナイフで刺そうとするがあっさり折れて冗談だと思われる。、 毒は手に入らないから正露丸をご飯に混ぜて飲ませるが、勿論死なない。 高所恐怖症だから突き落とすことも出来ない。 彼を閉じ込めたいけど拉致監禁は出来ないから、家に招いて美味しいご飯でもてなして帰りたくなくするがご飯すら失敗。 最後の手段で足を切ろうとするが、血を見ると気絶してしまうので正座を強制して痺れて立てなくしようと考える。 でも彼一人に正座させるのも失礼なので自分も正座して、彼以上に痺れてしまって一歩も動けなくなる。 256 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/22(水) 22 17 31 ID x/J+KKxg 255 よし、それでいこう。 257 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/22(水) 22 25 02 ID Y1aRclk4 255 なんというヤンドジw 258 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/22(水) 22 41 38 ID 3qo/KBqP 255 ぜひそのネタで書いて頂きたい。 259 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/22(水) 22 42 40 ID dHJiIWTq 255 これは流行る 260 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/22(水) 23 24 18 ID lnGCZxsC 255 このヤンドジください!是が非にも。 261 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/23(木) 00 04 32 ID HsgCBYnE 255 お前さんは俺の中にある新しい扉を開けた ありがとう!! 262 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/23(木) 00 16 42 ID O4D9eMZ2 255 その発想はなかった! そして俺を萌え死にさせる気かw 263 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/23(木) 00 17 24 ID fnOLjxmQ 255 声は籐野らんでひとつ 264 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/23(木) 00 37 45 ID 7wFebw7Y 新ジャンル「ヤンドジ」 265 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/23(木) 00 41 36 ID R/mXdq67 / / / ! ! ! ヽ , / / 斗--、 | | | ,ィT , ヽ ! | | | / \ /| .ィ ヽ .|. ト、 | | | /!/ ⌒ヽ| / | ./⌒ヽV |. | V < _ / 〈 {} |/ レ {} }| ./ヽ | < |. 小{ _,,.. - 、-.,_ レ{ .|ヽ | / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 厶ヘ ハ 、 {ハ/ V | \_! _ ! | 空気読まないように生きるのも ヽ / `t / < 楽じゃないwww ___,r| \ { / / \____________ / / | \ ヽ `_⌒ ィ ´ (⌒) / / | \ ´ ∧>、 ノ ~.レ-r┐、 / / | \ / !\ `ー- 、 ノ__ | .| | | 266 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/23(木) 01 07 36 ID YyVw0Wah ヤンドジ!ヤンドジ! 267 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/23(木) 03 05 01 ID 74pgFU1W おーい!誰かVIPに新ジャンルスレ建ててこい! 268 名前:名無しさん@ピンキー[age] 投稿日:2007/08/23(木) 03 07 38 ID kXmu6Pxh さあ、小ネタでもいいから全員 255を書かないか? 初めてでもいい。ヤンデレ旋風・・・いや烈風を巻き起こせ! 269 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/23(木) 03 08 55 ID kXmu6Pxh 268てへっドジっちゃった(はーと ×ヤンデレ ○ヤンドジ 270 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/23(木) 03 59 50 ID rN6/Ewn3 255お前はヤンデレ神が遣わした預言者か!? 271 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/23(木) 05 26 53 ID d1mQ/T8X 255の才能に嫉妬 272 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/08/23(木) 08 02 09 ID HJTKs6Y5 255 なんという天才 これは書くしかない 続き投下します 273 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/08/23(木) 08 03 42 ID HJTKs6Y5 「なぁ……もういいだろ。そろそろ離せよ」 隣に座ってくっついてくる如月更紗にそういうと、彼女はまーだだよー、とふざけたように 言って上目遣いに見てきた。どういう態度をとればいいかわからずに、僕はまた沈黙してしま う。それを確認して、如月更紗はうれしそうに笑ったまま、頭を僕の肩に乗せるようにしてく っついてくる。 そんなことが、かれこれ十数分も続いていた。 もっとも、正確な時間はわからない――今隣り合って座っている位置からだと校舎の時計は 見えないし、空を見上げても月と星ばかりで、時間の経過はわかりやしない。気のせい程度に 月が動いているだけだった。 夏の暑さに、夜風が心地いい。 如月更紗と触れ合ったところだけが、熱を持ったように暑くて……けど、それは不快じゃな かった。 不快じゃないんだけれど…… 何やってんだ僕、と思わなくもない。 冷静になって今の状況を客観視してみれば、真夜中の屋上でいちゃついているようにしか見 えない。こんなことをしにきたはずはないのだが、気づけばこうなっていた。 右手には、未だ魔術短剣を握っている。 これを手放すつもりはない――けれど、使う気もない。左手は如月更紗に絡めとられていて 動かすこともできない。屋上のフェンスにもたれかかるようにして、二人並んで座っている。 正面、離れたところにある入り口扉は沈黙を保っている。 夜は静かで、 僕ら二人の他には、誰もいない。 「離すのが嫌ならせめて話せよ……いい加減、わけがわからなくなってきた。そろそろ解決編 にはいってもいいころだろ」 「犯人は滅亡しました」 「またずいぶんと急展開だな!?」 「解決編、といわれてもね」 言って、如月更紗はすりよるように体を動かした。すぐ間近から、甘い香りがする。如月更 紗の香り。血のにおいでも、死のにおいでもない。生きている彼女のにおい。 そのにおいが、 触れたぬくもりが、 如月更紗が生きていると、伝えてくる。 生首じゃなくて――生きていると。 しばらく体をこすりつけ、居心地がいい場所を見つけたのか、如月更紗は動きを止めて言葉 を続けた。 274 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/08/23(木) 08 04 35 ID HJTKs6Y5 「私としては困るのよ。解決するべき謎なんて一つとしてないのだから」 「お前にとってはそうかもしれないが、僕にはいろいろあるんだよ……」 「たとえば?」 「たとえば――」 言いかけて、僕は考える。 解決しなければならない謎は、本当に残っているのか? 僕は此処にきた時点で、此処にいる時点で、姉さんのことは振り切ったはずだ。姉さんの死 の真相も、姉さんを殺した三月ウサギのことも、すべてはもう関係ないはずだ。僕を慕ってく れていた神無志乃も、僕を必要としていた姉さんももういない。 残ったのは、僕と、如月更紗だけだ 如月更紗さえいれば――それでいい。 ……もういいんじゃないのか? 心の中にいる僕がひっそりとささやく。もういいんじゃないかと。ここで終わっていいんじ ゃないかと。ハッピーエンドと、ここでエンドマークをうってもいいんじゃないか。すべてを 捨てて、如月更紗といつまでもいつまでも幸せに生きました――それでいいじゃないか、何が 悪い。 何もかもが悪い。 ささやいてくる自分自身に突っ込みをいれる。何が悪いって、悪いに決まってる。ハッピー エンドなんて冗談じゃない。 終わるときは――死ぬときだ。 まだ、終わるわけにはいかない。 終わることを、僕は選ばなかった。 続くことを、選んだのだから。 如月更紗と、共に。 「……如月更紗。ハッピーエンドとまではいわなくても、そろそろ何も問題なくハッピーって 言い切ってもいいものなのか?」 言葉を選んだ僕の問いに、如月更紗ははっきりときっぱりとただの一言で返答した。 「無理」 「またあっさりと切り捨てたな!?」 「それは無理なのよ冬継くん――そうとも無理なのさ冬継くん。何も問題がないというには 、問題がありすぎる」 「…………」 問題が――ありすぎる。 解決編には、まだ遠い。 如月更紗の言葉を、ゆっくりと、ゆっくりと心中で咀嚼する。問題。問題が残っている。い ったいどんな問題が残っている? もはや、姉さんも、三月ウサギも、関係ない。狂気倶楽部 との接点は―― ――狂気倶楽部。 275 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/08/23(木) 08 05 37 ID HJTKs6Y5 「……あ」 「思い出したかい?」 横からささやく如月更紗の声には、どこかいたずらめいた響きがあった。最初からわかって いて言わなかったに違いない。如月更紗とはそういう奴だ。 畜生。 「そういや……そんな問題がまだ残ってたな」 「そうとも、そうだとも冬継くん。私はこの屋上で、最初に、こういったはずよ――貴方は命 を狙われている、と」 そうだ。 そうだったのだ。 いくら姉さんのことをきっぱりと振り切ったからといって――そんなこととは関係なく、僕 は既に狂気倶楽部からマークされているのだった。だからこそ如月更紗は僕を守るといったの だし、だからこそ―― あの夜に。 白い服を着た少女に、殺されかけたのだから。 チェシャ。 アリス。 裁罪の、アリス。 狂気倶楽部にとっての切り札。『なかったこと』にするために、『終わらせる』ためにやっ てくる、容赦のない殺人鬼。 「あの夜、お前が助けてくれなかったら……僕は首をはねられて死んでたんだろうな」 「猫は首だけになっても死なないそうよ」 「僕はそんな不思議人間じゃないんだ……」 白いドレスを身にまとった殺人鬼。僕の命を狙う彼女。 それが、まだ残っていた。 いや――それだけじゃない。 「それに、神無志乃を殺した、お前の『姉』もいるんだったな……」 そうだ。 如月更紗のふりをして、神無志乃の首をはねたあの女が。如月更紗と同じ顔をし、同じ体躯 をもつ双子の姉妹。 許すわけには、いかない相手。 けれど、隣から帰ってきたのは予想外の反応だった。如月更紗は僕につっついたままわずか に首をかしげ 「…………ん?」 と、不可思議そうにつぶやいた。 心底不思議そうな、納得のいっていないつぶやきだった。そんな反応がどうして帰ってくる のかがわからない。僕は思わず如月更紗のほうを向いて、 目があった。 如月更紗も、僕を見ていた。大きな瞳にまっすぐに見据えられて、吸い込まれてしまいそう な錯覚を覚える。瞳に、夜の星が映っていた。 揺るぐことなく、 如月更紗が、僕を見ている。 276 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/08/23(木) 08 06 44 ID HJTKs6Y5 「冬継くん」 「なんだよ」 「ひょっとしてひょっとしてひょっとしてとは思うのだけれど」 「だから、なんだよ」 再度問いかける僕に対し、如月更紗は、僕を見たまま、恐る恐ると言った風に言う。 「私、話していなかったかしら?」 嫌な予感がした。 半端なく嫌な予感がした。 次に如月更紗の口から測れる言葉は、心底ろくでもない言葉に違いないという確信があった 。そしてその確信を肯定するかのように、如月更紗は僕を見つめたまま、どこか投げやりに、 あっさりと。 「私の姉さんが、裁罪のアリスだということを」 寝言に耳を、ぶちまけた。 「……………………ナニソレ」 「…………」 「……おい」 「…………」 「初耳だぞ、それ」 「…………」 「まったくもって聞いてなかったぞ僕はそんな大切なことを今まで一度たりとも!」 「星がきれいね、冬継くん」 「あからさまに話をそらしてんじゃねえ! どうしてそんな大事なことをお前は話してないん だよ!?」 「だって」 如月更紗はすねたような顔をして、遠くに視線をそらして、ほうり捨てるように言った。 「冬継くんが私を置いて愛人のもとに逃げたからよ」 「愛人!? 誰だそれは!?」 「ラ・マンと言ったほうがいいかしら」 「誰も呼び名を変えろとは言ってねえ!」 もしかしなくても神無志乃のことか。 そういえば……あの夜は話の途中で神無佐奈さんがきて、肝心の会話は途中で途切れたんだ ったか。もしあの件さえなければ、確かに如月更紗はゆっくりと話せていたのかもしれないが …… その後も監禁されたり逃げたりで、まともに話すどころか、あってすらないからな、僕ら。 仕方がない……のか。 致命的な仕方なさだけれど。 277 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/08/23(木) 08 07 54 ID HJTKs6Y5 「頼むから如月更紗、僕にもわかるように初めから順序立てて話してくれ。正直僕は、お前ほ ど狂気倶楽部に詳しいわけじゃないんだ」 さぐったといっても、基本的に秘密主義な集まりだから、そこまで深くはわからなかったん だよな……そもそも『そういう集まりがある』というところにたどり着くほうが大変だったの だ。 それでも。 裁罪のアリスの噂は――聞いていた。都市伝説のような、まがまがしいものとして。どこま でが本当でどこからが嘘かなんてわからないけれど、それがろくでもないものであることだけ はわかる。 …………。 そんなモノに命を狙われてるって、どこまで悲惨なんだろうな、僕。 「そこまで難しい話ではないのよ、冬継くん。裁罪のアリスというのはね」 勝手にへこんで いる僕に対して、如月更紗はいつものように朗々と、謡うような言葉で言った。 「誰か個人のことを指すのではなく、裁罪するモノのことを――『アリス』と呼ぶのよ」 狂気倶楽部の、秘密を。 「…………裁罪する、モノ?」 どういうことだろう――それは。 個人を指すのではない。 狂気倶楽部とは、つまるところごっこ遊びではなかったのか。 困惑する僕に対し、如月更紗はすりよったまま、子供に言い聞かせるように、ゆっくりと話 し出す。 「冬継くんのお姉さんが三月ウサギであったように、私がマッド・ハンターであるように、私 の姉さんが白の女王であるように――狂気倶楽部は、誰もが役割を演じている。童話にそって 、物語にそって」 「それは――知ってる」 そこまでは知っている。物語の登場人物になぞらえて二つ名を騙り、狂った物語を語る。そ れこそがお茶会であり、狂気倶楽部なのだと僕は知っている。 そこまでは、いい。 問題はそこからだ。 「お前の言葉だと……同じようにいるんじゃないのか、『アリス』を演じてる人が」 アリス。 不思議の国のアリス。 永遠の、少女。 それこそ、狂気倶楽部のような集団では人気すぎる、役柄の取り合いがおきてもおかしくは ない『役』だとは思うのだが。 ……そういえば、三月ウサギもマッド・ハンターも、(厳密には鏡の国ではあるものの)ハ ンプティ・ダンプティや白の女王も、アリスの登場人物なのか。 物語。 お茶会。 符丁なのか……偶然なのか。「お茶会」だからこそ、姉さんはマッド・ハンターである如月 更紗は仲がよかったのかもしれない。 278 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/08/23(木) 08 18 00 ID HJTKs6Y5 「初めはいたわ、始まりはいたのよ――ただし、永久欠番となったけれど」 「…………」 「その代わりに、都市伝説として『裁罪のアリス』という人物が物語れた。そして狂気倶楽部 の人間は、誰かの罪を裁くとき――役柄をアリスへと代えるのよ」 「なんとなく……わかった」 裁罪のアリスなんて「人物」は存在しない。 その代わりに、狂気倶楽部の人間は誰もが裁罪のアリスになることができる。いや――なる ときがある。 罪を裁くとき。 狂気倶楽部にとって不利益な誰かを殺すときに、彼らは/彼女たちは、アリスを名乗るのだ。 ・・・・・・・・・・・・・ 物語を終わらせるものとして。 だからこその、都市伝説。 たとえば、如月更紗の姉が、白の女王であると同時に『裁罪のアリス』でもあるのだ―― 「って、ちょっと待った」 「……?」 いきなり話をぶったぎった僕に対し、如月更紗は目を丸くする。その表情はちょっとかわい かったが、今はそんなことを考えている場合ではない。 「まさか、あの夜に僕を襲ったのって」 「そうだよ」 あっさりと。 如月更紗は、肯定した。 「白いドレスに身をまとった首撥ね女王――白の女王陛下。そしてあの時は同時に『裁罪のア リス』として冬継くんを殺しにきたのは、私の姉さんだよ」 「…………」 本当にろくでもない回答が帰ってきた…… あのときに一言でもいってくれれば、あとの展開が楽だったのに……ああでも、やっぱりあ のときにもそんな余裕はなかったし…… 否。 そもそも、向こう側が気づかれないようにしていたのか。たぶん、『白の女王』は、はじめ からすりかわるつもりだったのだろう。そのために、できるかぎり言葉をしゃべらず、如月更 紗と同一の顔を隠していた。 伏線は、いろいろ張っていたわけだ。 たぶん……姉さんのことをふっきらなければ。如月更紗の家にいかなければ。この屋上にく ることなく、図書館に向かっていれば。 僕は――その伏線にひっかかっていた。 その果てにどうなっていたのかは、考えたくはない。考える必要も、ないだろう。今、僕は こうして屋上にいるのだから。回りくどい白の女王の計画は、終えたと考えてもいいはずだ。 ただ一点。 彼女が何のためにそんなことをするのかが、わからないけれど。 279 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/08/23(木) 08 18 43 ID HJTKs6Y5 「姉さんは」 僕の疑問を読み取ったかのように、如月更紗はぽつりと、 「私のことを壊したいほどに好きで、殺したいほどに嫌っているから」 その声は。 聞いたこともないくらいに――弱弱しい声だった。力のない、今にも消えてしまいそうな声。 それは、たぶん。 その言葉は、他の誰でもない、如月更紗の本音だったのだろう。 双子の姉妹。 双子の、狂気倶楽部。 彼女たちの間に何があったのか、僕は知らない。それは立ち入れることではないし、決して 立ち入っていいことではないはずだ。 それはまた、別のお話。 そういうことなのだろう。 「……つまり、ただの嫌がらせか」 茶化すように僕が話をまぜっかえすと、同じように如月更紗は唇の端をつりあげて、からか うように答えた。 「そうね。妹によりつく悪い虫を――いじめたかったのだろうね」 …………。 悪い虫、か。 アリスにはそういえば、芋虫とかもでてきたな。 妹への嫉妬、か。妹へとよりつく相手の。妹がよりつく相手の。妹が幸せも許せないし妹が 不幸でも許せない。 かけら。 ハンプティと、ダンプティ。 「……なあ、如月更紗」 「なぁに、冬継くん」 「お前のその話聞いてると……お前があの屋上で近づいてこなかったら、僕は平穏だったんじ ゃないのか?」 いってからそうでもないことに気づく。如月更紗がこようとこまいと、『裁罪のアリス』は 襲ってきていたはずだ。ただその中身が、白の女王……如月更紗の姉でないというだけで。そ ういう意味では、アリスに狙われていることをはっきりとしてくれた分だけ、如月更紗がきて くれてよかったというべきなのだろうか。 いや……それでも。 白の女王がこなければ、神無志乃は死ななくてすんだはずだ。 けれど。 如月更紗がこなければ、僕は、如月更紗と出会うことはなかった。 どちらなんて、選べない。 どちらかを――選ぶしかない。 はじめから。 如月更紗も、神無志乃も、姉さんもだなんて……そんなことが、できるはずが、なかったのだ。 僕は立派な人間でも、 真人間でもないから。 抱えることができる相手なんて――一人で精一杯だ。 手をつないで、 寄りかかって歩いていくことしか、できない。 280 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/08/23(木) 08 19 26 ID HJTKs6Y5 「そうでもないよ。姉さんがこなくても、他のアリスがきていただろうし。そもそも――」 案の定、如月更紗はそういって。 それから、 今までとはがらりと表情をかえて。 僕を見上げて、こういった。 「私もまた、裁罪のアリスなんだよ、冬継くん。君を殺すように命令された――ね」 …………。 右手には、魔術短剣を握ったままで。 左手は、如月更紗につかまれていて。 二人の他には、誰もいない。 僕と、 彼女の、 二人だけだ。 だから僕は、いつものように「へぇ」とだけ頷いた。如月更紗は目を細め、 「……驚かないのかい?」 「そんなことだろうとは」僕はため息を吐いた。「思ってはいたんだよ」 チェスのポーンがクイーンになるように。 狂気倶楽部の誰もが裁罪のアリスに成るというのならば。 如月更紗がそうであたっとしても、おかしくはない。 それだけのことだ。 「……逃げないのかい? 私は、君を殺すためにいるかもしれないのに」 「お前な」 僕はもう一度、深々とため息を吐いた。 なんというか……今更馬鹿みたいな話だけど、実感した。如月更紗は、如月更紗なのだ。 なぜって。 そんな物騒なことを言う如月更紗の顔は――にやにやと、にやにやにやと、とても楽しそう に笑っていたから。 「お前が僕を守るって言ったんだろ……あの言葉を、嘘だなんて思えねえよ」 それに、殺すだけなら、いつでもできたはずだ。 否――そんな理屈はおいといて。 如月更紗がそんなことをするはずないだろうと思う程度には、僕はもう、こいつに入れ込ん でいたのだ。 そうでなければ、今、此処にはいない。 「そういってくれて」 僕の言葉に如月更紗は、僕に抱きつくようにしたまま、器用にも肩をすくめた。 「私はうれしいかぎりだよ」 その言葉に――きっと、嘘はないのだろう。 如月更紗は、僕を好きだといっていた。 彼女が僕を好きでいてくれて、守るためにそばにいてくれている。 それだけは――もう疑うことが、できるはずもない。 「なあ、如月更紗」 僕は再び、彼女に問いかける。 ふと、疑問に思ったのだ。 如月更紗は、僕を好きだといってくれた。 それはいったいいつから、そしてどうしてなのだろうと――そんな、普通な学生同士のような 質問をしたくなったのだ。 けれど。 その質問をする機会は、永遠に失われた。 281 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/08/23(木) 08 20 16 ID HJTKs6Y5 かつん、と。 音一つない夜の屋上に――音が響いたからだ。 「…………」 「…………」 かつん。 かつん。 かつん。 気のせいではなかった。僕と如月更紗は声を殺し、音を殺し、耳をすます。かつん、かつん 、かつん。上ってきている。音は屋上と校舎を区切る扉の向こうから聞こえてきていた。かつ ん、かつん。上ってきるのだ。 誰かが、屋上に来ようとしている。 誰か。 考えるまでもなかった。この状況で、屋上を訪れるのが、他にいるはずもない。 かつん。 音を聞きながら、如月更紗が体をよせ、そっと耳に唇を近づけてささやいた。 「決着の時間さ、幕引きの時間だよ。いつまでも冬継くんがこないので、しびれをきらしたの だろうね」 そうか、と僕は今更ながらに納得する。如月更紗が動かなかったのはこのためか。 向こうから、きてもらうために。 もともとこの場所を指定したのは白の女王なのだ――なら当然のように、僕を殺すために何 らかの罠があってもおかしくない。そうでなくとも、明かりのない夜の校舎を歩くには危険すぎる。 そのアドバンテージをなくすために、屋上で待ち構えていたのか。 相手が痺れをきらして、校舎中を探し出すまで。 あるいは、如月更紗が此処にいることだけは知っていて、やってきたのかもしれない。 どちらにせよ―― 決着のときだ。 僕は右手に握る魔術短剣を、強く強く強く握り締める。 これが、最後なのだ。 決着をつけなくてはならない。今更のように、僕は覚悟を決める。その結果――たとえ人を 殺すことになったとしても。この町を永遠に離れることになったとしても。 彼女を――打倒する。 僕は如月更紗に、言いいたいことがあるのだから。 282 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/08/23(木) 08 21 04 ID HJTKs6Y5 かつん、かつん、かつん。 かつ。 音が、途切れた。 気配がある――それは気のせいなのかもしれないけれど、たしかに気配があった。 扉の向こうに、誰かがいる。 そっと、僕は如月更紗を抱きかかえたままに、立ち上がる。如月更紗もまた、僕に身を寄り 寄せたままにたち、左手でキャリーケースをひきよせた。 どくん、と。 僕か如月更紗の心臓の音が、聞こえたような気がした。 その音を掻き消すようにして。 ――ぎぃ、と。 扉のノブが――回った。 「ほぉら、ほぉら、見てごらん――アリスがやってくる。お茶会を終わらせるために」 そうして。 如月更紗の言葉に答えるようにして――ノブが回りきる。一拍の間をおいて、重い鉄扉がゆ っくりと、ゆっくりと、ゆっくりと開いていく。 扉が、開いていく。 その向こうには。 暗い校舎から、ゆっくりと、月明かりに照らされていくそこには。 「…………白の、女王――」 如月更紗とまったく同一の、顔。 あの時、あの夜に見た、神無志乃の首を跳ね飛ばしたあの顔が、そこにあった。変わること のない表情を浮かべて、月明かりの中、その顔が、 ・・・・ ・・・・・・・・・・・・・ その首が、すとんと地面に落ちて撥ねた。 続く 283 名前:いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs [sage] 投稿日:2007/08/23(木) 08 23 15 ID HJTKs6Y5 以上、投下終了です 書いてて思ったけれど本当に裏ルート……楽しめていただけたら幸いです 強調点ふってるところがいくつかありますが、ズレてます。ごめんなさい 284 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/23(木) 08 26 47 ID hH6Xw1AI リアルタイムGJ!! 続きが非常に気になる 285 名前:伊南屋 ◆WsILX6i4pM [sage] 投稿日:2007/08/23(木) 08 28 39 ID Mj73xpsy 一番槍GJは頂いた。 アリスのデザインが問題点になるのは分かっていたけどいざとなるとわりかし凹む…。 この際全キャラデザインをVer2.0にアップデートするしか! という内輪では二回目な話。 286 名前:伊南屋 ◆WsILX6i4pM [sage] 投稿日:2007/08/23(木) 08 29 18 ID Mj73xpsy 一番槍じゃねえ…orz 287 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/23(木) 09 06 32 ID 4xkL06fv 283 更紗と冬継君のデレっぷりに身悶えして萌えた。 そして今回で結末がさらに予想できなくなった…… wktkと不安が止まらない 288 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/23(木) 09 09 51 ID G9fNGH9t 283 GJ! うわ…、裏だけあってテンポが速いな。 286 伊南屋さん、それは全キャラ別々のアリスVerってことすか!? あと、某SS投稿掲示板サイトのその他板の『EX=Gene』 に出てくる華神さんがヤンドジに近いかな~とか思うのです…。 病みまくってるわけではないですが…、まあ軽くズレてます。 289 名前:伊南屋 ◆WsILX6i4pM [sage] 投稿日:2007/08/23(木) 09 19 11 ID Mj73xpsy 288 最初、「なにをバカな事を…」と思ってしまったけど、成る程そうか……誰しもがアリスになれるのならば、それは逆に現時点で顔を晒しているアリスのデザインを少なくとも「白の女王ではないアリス」という事にすれば更紗とのデザイン問題は解決されるのか。 290 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/23(木) 12 17 10 ID +vnpqrPk 283 GJ! 「愛人のもとに~」発言前後のさりげない嫉妬がイイ! 更紗可愛いよ更紗 291 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/23(木) 12 22 52 ID ZrfKlO2A 283 GJ! お茶会シリーズはプロのものみたいに待ち遠しいw 292 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/23(木) 13 47 53 ID eFvv16U2 もうね、出版しろ 293 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/23(木) 13 56 38 ID 5kbIL8og いない君といる誰かのHPを見ているだけで凄いと思うのですよ 294 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/23(木) 14 02 01 ID SVmAol79 あれ? ゲーム化とか言ってなかったっけか? あと選択肢有りな紙媒体ではかなり読みにくい気が。 というかヤンデレって一般に需要あるんだろうか。 295 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/23(木) 15 36 01 ID ZMIviEdW この方の文章は、紙媒体で購入すると 繰り返し表現が行数稼ぎに見えてしまう希ガス。 296 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/23(木) 23 17 30 ID L0qxBvt1 なに、気にすることはない 297 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/24(金) 00 18 35 ID 9OXj3OBb 283 あーうー いつもながら読んでいて不安になる 例えまとめて出版されても休みながら読むよw ヤンドジは考えてみたら視点をどこに置くかが難しかった 神の視点だとヤンドジ娘と周囲のズレの解説が必要だから、みんなの心情描写が入り乱れて読みづらいし 298 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/24(金) 01 06 54 ID y4l1tHkh 294 何、ルート別に本を出せば問題ない そうすれば二倍量売れて読者も選んで読めてみんなハッピー 299 名前:伊南屋 ◆WsILX6i4pM [sage] 投稿日:2007/08/24(金) 01 33 44 ID xklRQrCy 昨日描いたっきり投下するの忘れてた 如月更紗 http //imepita.jp/20070824/055220 絵柄の変遷にともないデザインは補正がかかっております。あしからず。 300 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/24(金) 01 42 02 ID xfu0K3iV ん?なんかみれないんだが・・・ 301 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/24(金) 01 43 18 ID 5l7mEwpD おっきした 302 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/08/24(金) 01 45 27 ID QT51TBcr 彼の病院へ行くこともままならず、そのまま自転車の車輪をゆっくりと転がし、 すれ違ったクラスメイトの蔑視の混じった冷たい視線を背中に浴びているのを感じながら、私は家に帰った。 居間でお手伝いさんが出してくれた、父が貰ったという玉露と戸棚にしまってある前に作った羊羹とに手をつけた。 羊羹を見るたびに松本君の為に練習したときの事を思い出す。 基本的に私は料理が苦手ではないのだが、作るのに苦労した覚えがある。 彼の為に作るのだから、という理由でこの家に出入りしている、三人いるお手伝いさんの手を借りずに試行錯誤を重ねた。 本だけに頼りながら、作っていたので形にはなったのだが、それでは誰にだってできること。 細かいミスはいくつもあったが、その細かいミスを克服するのが一苦労だった。 自分の学習効果の無さにただあきれるくらいに何度と無く失敗を繰りかえした。 眺めている写真に写った彼の姿を思い浮かべながら、時間が矢のように過ぎていった。 とりあえず、羊羹を自分で作ってみて、ミスがなくなった頃に、初めて私は彼と接触を取った。 あのとき私が彼に聞いた、和菓子と洋菓子のどちらが好きか、という質問はそんな自分なりの努力の上にしたものであったから、 あっさりと洋菓子と答えられてしまったことに失望感を隠せなかったのだ。 しかし、私はあの質問に別の意味もかけていた。 303 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/08/24(金) 01 46 27 ID QT51TBcr 和菓子と洋菓子―。 すなわち、私とあの害物。 いつだったか、彼が私の黒髪が落ち着いていながら、美しいと褒めてくれたことがあったが、それに相対して、あの害物はブロンドの髪と小柄な姿。 私だけでなく、普通の人であればその日本人離れした容姿であり人の目を引くだろう。 それは、私も同感であり、私を和菓子に、あの害物を洋菓子に例えた。 しかし、それはあまりに突飛すぎる話であると後になってみて、気がついて人知れず赤面した。 確かに常人ならば、会ってすぐに、私があの害物よりも好きか、と聞くなどとは思わないだろう。 しかし、私は純粋に羊羹を努力して作れるようになった事と彼をずっと想い続けてきたことに対する見返りが欲しかったのかもしれない。 だから、あれほど常人からすれば、不可解で愚かな質問を呈してしまったのかもしれない。 304 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/08/24(金) 01 47 33 ID QT51TBcr そして私は羊羹を食べ終わり、学校に持ち込んでいる歴史系の本を開く。その際にカード状の何かが落ちてきたことに気がついた。 それは例の村越という、私と一つ違いとは到底思えない程の、まるで小学生と言ったほうが相応しいような女の子の連絡先が記されていた。 考えてみると、あの少女に関して、妙なことばかり思い浮かぶ。 前もそうだったが、私が彼女に思うところがあって確認を取ろうとすると、既に彼女はその姿を消している。 それに、害物からすれば先輩格の人間までも味方につけているにも拘らず、親友と思われる彼女に協力を仰がず、 それどころか村越という名の女子は正面きってでは無いが、四面楚歌の私に協力するという。 さらに、今、最も不可解なのは、私は彼女の電話番号を伝えたが、私の電話番号を相手は知らない。 にも、関わらず、彼女は私に連絡する、協力すると、しながらも私の連絡先を素人はしていないことである。 相手が既に私の電話番号を知っているという可能性はありえない。 委員会でも、今までにこなしてきた自分の仕事でも、日常生活でもあんなに目立つ子であるにも関わらず、接触することはおろか、会ったことすらない。 私の学校は生徒数が多いから単に私がその存在を認識していなかっただけ、そうも言えるが、私の電話番号を知っているわけが無い。 305 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/08/24(金) 01 48 25 ID QT51TBcr 連絡網などという旧時代の異物が廃止されたこの学校において、私が電話番号を共有しているのはただ一人、松本君のみだからである。 そうすると、尚の事、彼女の行動が理解できない。 松本君から電話番号を手に入れるということは、彼女と村越という子に何らかの接点があることになる。 否、なんらかの接点、というレベルで私の電話番号を教えるだろうか? 深いつながりがあるのかもしれない。 しかし、朝に彼女は私に松本君の情報を教えて欲しい、そう要求してきた。 これは松本君との深いつながりを否定する材料とできるかもしれない。 もしそうなると、害物から流れてきた、というところだろうか。 しかし、それは何故だろうか? ろくに内容を頭に入れることができなかった歴史書を閉じ、学校の用具と一緒に鞄にしまってから私は自室に戻った。 自室に引かれている電話から村越という名の彼女に電話をかける。 306 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/08/24(金) 01 49 46 ID QT51TBcr 繰りかえされる呼び出し音が焦燥感を駆り立てる。 時間に追われているわけでもないのに、なぜか迫り来る不安感と自分のむき出されている猜疑心から、 一刻も早く、村越さんと接触を取って、どうして自分の電話番号を聞かなかったのか、ひいては電話番号を知っていたのか、ということを確認したかったのだ。 無機質な音が繰りかえされる中で、結局のところ自分はあの害物の手のひらで転がされているような、嫌悪感が増幅していった。 この不安をどこにもって行けばいいのか。松本君に打ち明ければ、彼ならばきっと私の為に協力してくれるだろう。 でも、父の言いつけを破ることで、私は非を作るわけにもいかないし、第一に松本君を心配させるだけなので選択できない。 かといってクラスメイトに話せば、それこそ害物の思う壺。担任の田並先生ならば話は聞いてくれるだろうが、十人並みの対応しか取れない。 それどころか不安の原因である、あの害物と話し合いで解決しようとする可能性もある。それは危険極まりない。 「…あ、あの……、……もしもし?どちらさま……ですか?」 電話の受話器を伝って、唐突に聞こえてきた声に不意をつかれ、咄嗟に体を強張らせた。しかし、狼狽の色を相手に見せないようにしなければならない。 まだ彼女がどの陣営に属するのかわからないままであるから。 「…北方です。」 「き、北方先輩ですか?」 いつものように、震えた何かを恐れるような声が受話器の奥から聞こえてきた。紛れも無く、これは村越智子の声だろう。 「そうよ。」 いつも多くのクラスメイトに対する機械的な対応と同じような対応をした。 307 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/08/24(金) 01 51 36 ID QT51TBcr 「あ…あの、その、用件は…何でしょう?」 私はいつもどおりの対応をし、彼女自身も私がどのような態度を取るか知っているはずなのに、今回は奇妙なまでに緊張や恐れ、というレベルを通り越したひどく狼狽の色がその声から感じ取れた。 しかし、私は彼女を安心させて話しやすくしよう、などと思うことも無く、淡々と自分の用件を続けて言った。 「今朝、あなたは私にあなたの電話番号を伝えてくれた。 けれども、あなたは私の電話番号を知らない。 だからあなたに私の電話番号を伝えようと思って。 それともあなたは私の電話番号、知っているのかしら?」 どのような反応をするか気になったので、そこで話を断ち切った。 他意がなければ、そのまますぐに電話番号を聞くであろう。 しかし、何か腹に一物、であれば咄嗟に反応が遅れるとか、ぼろが何か出るに違いない。 めぐらした罠に彼女がかかるのを待つことにした。 暫くしてから、彼女は口を開いた。 「えっ、あの?私、先輩の電話番号聞いていませんでしたか?」 「ええ、そうよ。だから、電話番号を伝えようと思って。」 「……わ、わかりました。…め、メモをとります。」 狼狽していた彼女がより一層、取り乱していくのが感じられた。彼女に対する、あの害物と裏で繋がっているのでは、という疑いが強まる。 それとも、狼狽してしまうほど、私と接触を取りたくない理由が何かあるのだろうか? 「村越さん」 「は、はいっ!」 「あなた、何か私に隠していること、むしろ、話さなければならない事、かしら…何かあるのでしょう?」 一言一言を少しずつ切って強調して言った。 「何もありません、私は先輩にお知らせしなければならないほどの重要な事を知っていません。」 即答だった。 不自然なまでに間髪いれず、まるで聞きたくないとでも言うように、即答された。 しかも、さっきまで狼狽していたのが演技だったかのように、淀むことなくはっきりと言った。 308 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/08/24(金) 01 52 51 ID QT51TBcr 「先輩こそ、電話番号、いいんですか?」 「そうね、電話番号は教えるわ。 でも、あれだけうろたえていたあなたが、それだけはっきりした受け答えを行えた、というのは釈然としない、かしら。 あなたは、何か知っていることがあるのでしょう?」 「………。」 「小さいことだと言っても、もしかしたら何かの助けになるかもしれないでしょう?」 「重要なことじゃない、ですよ。」 「重要かどうかは、情報を得た私が判断すること。とにかく、何かあったら知らせてくれる、そういったわよ?」 「………はい。」 観念したような声で搾り出すように承諾の意を伝えてきた。 そんな彼女の声を聞きながら、先程の恐怖や狼狽にさいなまれている彼女の声が私にはどうも演技か何かのような空々しさを感じていた。 彼女はやはり、あの害物と協力している、悪くすると、私を貶める側の人間なのかもしれない。 「では、話しますよ…。先輩がどう感じるか考えると……私は話したくありませんが…」 309 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/08/24(金) 01 53 43 ID QT51TBcr ちぎれた瑠璃色の美しいしおりがゴミ箱に捨てられている部屋 棚の上の装飾のない、素朴なノートの36ページ目 今日はあまり気分がよくない。 夏に相応しくない雨が降っていることもあるだろう。 病院食が不味いこともあるだろう。 数週間も外に出ていないで、行動が定められている以上、テレビも特定の番組しか見られないこともあるだろう。 そういえば、アニメの放送内容も近々変わるらしい。確認はしておく。 しかし、今日はそんなありがちな事が原因で、メランコリーを感じているわけではない。 何故だろう? そんなのは、昨日、僕が理沙を拒んだ事が関連しているに決まっている。 その行動は、いろいろな事が原因で、元から不安定だった理沙を切り捨て、悲しみの淵に追いやることになった。 後悔しているかといえば、否だ。 自分の決断が間違っている、とは思わない。しかし、心は痛む。 昨日の心からの決意が僕を勇気付けてくれはしたが、やはり後ろめたさは残る。 数週間に渡って、顔を合わせ続けている、僕の大変な手術の執刀もした医師は好々爺で、今日の診察の際も、僕が考え事をしているのを見て、 退屈していると取ったのか、趣味のつりの話をしてくれて、退院したら教えてくれると言って来た。 つりに興味の無い僕だったが、生き生きしたこの老人の話に耳を傾けることに苦痛を感じなかった。 その老医師の話では、退院はそう遠くないと言う。 リハビリの器具が重く感じる。 310 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/08/24(金) 01 54 38 ID QT51TBcr 126号室・松本弘行というプレートが掲げられた部屋 真紅の本の下に置かれたノートの38ページ目 うだるような暑さが襲ってきた。冷房の利きが悪いのか、今日が以上に暑い日なのか。 この天気の大きな変化では、偏頭痛持ちだと言っていた、北方さんは頭痛に苦しんでいるだろう。 腕のギプスははずしている為、蒸れて気持ちが悪くなることは無いが、汗が肌を伝い、服が皮膚にぺたりと張り付いて気持ちが悪い。 リハビリを続けているが、なかなか苦しいものがある。 放課後の時間を見計らって、家に電話をかけてみたが、理沙は電話に出てこない。 未練がましいとは、わかりつつも自分のエゴの為にか、電話をかけている。 五回かけても駄目だったので諦めることにする。 そういえば、夏休みはもうすぐだ。僕はもう少しで退院だという。 机の上の真紅の装丁、北方さんの本を再び読んでみた。 理由は特に、これといったものは無いが、北方さんに似ているヒロインとその結末が気になった、そんなところだと思う。 理沙がここのところずっと病室を訪れていたが、思い返せば、北方さんのお父さんの提案で、二人ともここにこないことになっていた。 理沙は弊履(へいり)の如く約束を破ったが、北方さんにはここのところ会っていない。話すらしていない。 だからこそ、本の中の髪長姫と彼女を重ねているのだろうか? 311 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/08/24(金) 01 55 43 ID QT51TBcr リノリウムが味気なく、窓も一つしかない光の届きにくい部屋 走り書きされているノートの41ページ目 ここ数日の間、この日記をつけていない。 理由は、本をずっと読んでいたことと、その数日間に北方さんのお父さんが電話をかけてきたので、それに対応していたことである。 北方さんの本の内容は衝撃的であった。 あらすじを述べると以下の通りだ。 ある老夫婦は長い間、求めていた子供を授かる。しかし、それは難産になり、妻は母子共に助かるために魔女のラプンツェルを望む。 夫は魔女にラプンツェルを分けて貰い、子供は無事に生まれるが、ラプンツェルとの交換条件で子供は魔女の元に引き取られる。 この少女は魔女に酷使され苦しみながらも、長い黒髪を持つようになり、美しくなっていった。 ある日、魔女の住む森の近くで、自身の父親の死体を発見する。これは、妻と魔女が殺したものだった。 彼女が年頃になった頃、彼女はたまたま狩りの最中、森に迷い込んだ王子と出会い、魔女の目を盗んでは逢引きするようになった。 これを知った魔女は怒り、王子の許婚の王女は八方手を尽くして、ヒロインを苦しめ、二人の仲を裂く。 それに悲観したヒロインは去り行く王子を横目に墜死を試みる。 が、失敗し、彼女は失明する。本来ならば再び王子との逢瀬を迎えるはずだが、そうではなく悲劇的な結末に終わっていた。 北方さんのお父さんは、自分の身の回りに変化が無いかということと、最近、北方さんの立場があまり良くないから、退院したらまた、助けてやってくれということを、言っていた。 また、娘を慮って、教師陣にも喝を入れてきたという。その娘を思う気持ちがあるならば、どうして北方さんが幼い時に虐待を止められなかったのか。 思うところを口にしたら、悲しげに君しか彼女の傍にいてやることはできないよ、とつぶやくように言っていた。 なんとなく、この物語を北方さんが好んで読んでいる理由がわかったような気がした。 このヒロインと自分を重ね合わせて、僕の傍にいたい、と祈願するように言っていたのだとすれば、心が痛む。 物語のような結末にはしたくない。 312 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/08/24(金) 01 57 03 ID QT51TBcr 面会人も無くいつもどおりの静謐さを崩さない部屋 切抜きされた新聞と共に棚に置かれているノートの44ページ目 (左ページに切り抜かれた新聞記事が貼ってあり、適宜、赤線が引いてある) 今日も暑い日のようだ。ミンミンという蝉の鳴く声が鬱陶しい。 北方さんの立場があまりよくないという彼女のお父さんの話を聞いて、北方さんの事が心配でたまらない。 冷静で隙を作らず、誰とも価値観を共有しない、そういう状態でいるのは本人自身厳しいことだろうし、周りが悪意をもって彼女に接していたとすれば、殊更だ。 南雲が今日、僕に夏休みの宿題と新聞を片手に面会にやってきた。 南雲は成績がよく、冷静な性格で僕の親友である。 一、二週間くらい前だったか、理沙が僕のところに出入りしていた頃、僕に友人の南雲が北方さんの立場が悪い、むしろいじめに近い状態になっていることを示唆するような連絡を受けた。 スタンガン事件の事と、理沙の事でいろいろと悩んでいてその時は恥ずかしい話だが、気に留めることができなかった。 その南雲曰く、最近はどんどん迫害がエスカレートしているという。僕と南雲の仲間は北方さんが悪い人ではないことを気づいているので、悪意をもって接することはしないという。 南雲は北方さんにアプローチをかけてみたり、教師の協力を仰いだりしてみたらしいが、北方さん自身が自分の殻に篭っているので、どうすることもできなかったことを伝えた。 さらに、彼女はここ数日の間、北方さんが休んでいるとも言っていた。 南雲が持ってきた新聞記事は一面にでかでかと載っていた。 北方さんのお父さんが何者かに刃物で刺されて、重傷の状態で病院へ搬送されたという。 細かいことは知らなかったが、彼の会社は相当規模が大きく、ここ数日、大きな商談があって山口を訪れていたという。 テレビでもそう報道していた。 北方さんは一層、悲しい思いをしているだろう。 こんなときに病院を出ることができない自分が嫌だ。 断るかもしれないが、北方さんと会う必要がある。電話を明日にでも、かける事にする。 313 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/08/24(金) 01 57 48 ID QT51TBcr 壊れた時計の部品が床に転がり放置されたままの部屋 折れた鉛筆と一緒に置かれたノートの46ページ目 目覚まし時計が止まっていた。 それだけのはずだった。 電池を取り替えようとして外蓋を開けたら、何か見慣れぬ機械があった。 電子工作に詳しい友人の中津曰く、盗聴器だという。 誰の差し金かはすぐにわかった。 おそらく、この情報を元に北方さんへの攻撃をしたのだろう。 北方さんへの迫害の首謀者も予想が悪い意味で的中した。 最初は怒りのあまり、盗聴器が仕掛けられていた時計を床に叩きつけ、壊した。 が、ただ寂寥感と悲しみだけが襲ってくる。 北方さんは電話に出てくれない。事態はかなり深刻なのかもしれない。 心配だ。 314 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/08/24(金) 01 58 55 ID QT51TBcr 時計の部品が跡形もなく綺麗に片付けられて何事も無かったかのような物静かな部屋 水濡れで字が見にくくなっているノートの48ページ目 また、この数日の間、この日記をつけていない。 理由は今回はきちんとあり、理沙が仕掛けたと思われる盗聴器が発見されたことである。 発見されて、僕は怒りを覚えた。 監視されていたことに怒りを覚えたわけではない。 その得た情報をいじめに使うことになってしまったことにやり場の無い怒りを感じる。 自分が自らまいた種が北方さんを苦しめることになっていたことが自分への怒りになっていく。 友人の南雲は義侠心を奮い起こして、北方さんを救おうとした。 しかし、彼女を助けて当然の僕は逆に、彼女を苦しめてしまった。 電話に彼女が出てくれないのもそのせいかもしれない。 もしかしたら、取り返しのつかない事態になりつつあるのかもしれない。 でも、まだ何とかなると信じている。いつも何とかならないことだと思っていたことを何とか成功させることができたのだ。 だから、ここで諦めたくは無いと思う。 盗聴器は破壊したから、もう漏洩した情報によって北方さんが苦しめられることは無い。 でも、彼女自身は心に傷を負っている。 それを癒すことができなければ、僕は彼女を愛している、などと言う資格はない。 それと同時に、何とか理沙にストップをかけなければならない。 それこそが、兄である義務だと思うから。 最近、休養は完全なはずなのに、疲労が取れずにいる。 リハビリもうまくいっているのだ。ここで、ダウンするわけには行かない。 もう、退院まで後、数日だ。 315 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/08/24(金) 02 00 15 ID QT51TBcr 朝、いつものように寝ぼけ眼をこすりながら、厳しい目覚めを迎える。 冬ほどは苦痛ではないのだが、やはり朝起きるのは厳しいものがある。 今日は退院の日だというのに、僕はあまり浮かれる気分にはなれない。 その証拠に寝汗の気持ち悪さが、窓の外に見える美しい青空の清清しさに勝っている。 身体ももう十分に動くに等しい。しかし、それは感慨深いものではなく、 土手から落ちる前には当たり前だった事が当たり前に行えるようになっただけの事なのだが。 到底、感慨などには浸ってはいられない。 退院後に自分がしなければならないことが山積みであることは明白なのである。 食べ慣れて、もはや酷いという感想すらも抱かなくなった朝食―。 生ぬるい味噌汁を口を湿らせ、不味いご飯を口にしながら、骨の取り除かれている鮭に手をつける。 前ならば、下らない冗談を言っていたであろう光景にも取り合わない。 いつもどおりに、例の好々爺の診察を受け、満面の笑みを浮かべた彼はとうとう退院であることを告げ、次は釣堀で会いましょう、などと茶目っ気に言った。 この老医師が手術してくれ、僕の為に少なからず心を砕いてくれたことに対して、素直に感謝の意を述べた。 それから、この老医師は看護婦に命じて、彼が全ての退院する患者にするように手品を見せてくれた。 なかなか、技も巧緻で、冗談も織り交ぜられたそれは僕の片頬を自然と緩ませた。 それから、僕は部屋にある自分の道具を退院の為に片付ける。 ベットの掛け布団やらシーツ、それからカーテンは既に取り外されている。 入院している間は、このベットの近くの棚に届いた手紙が届けられるのだが、退院する今日、珍しくその場所に手紙が置いてあった。 綺麗な封筒に達筆な見覚えのある字。 宛名に松本弘行様、とだけ書いてあることに気がついた。 差出人の名はそこには記されていなかったものの、それが誰がよこした手紙かは一目瞭然だ。 背筋が寒くなるような嫌な予感と共に、封をはさみが無かったのでビリビリと乱暴に破る。 中に記されている内容を見て僕は愕然とした。 316 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/08/24(金) 02 02 32 ID QT51TBcr 拝啓 松本君、ご退院おめでとうございます。 本来ならば、松本君の退院を祝い、迎えに行くことが当然だと存じておりますが、訳あって手紙のみである事をお許しください。 こんな他人行儀な書き方をするなんて、変な感じだけれども、気にしないでいただけますか? これは、何もかも決着をつけるため。 決着をつける、と唐突に書き出されても、あなたは混乱するだけ、それは分かっています。 松本君が入院している間に、いろいろな事情があって、私はいろいろと考えました。 そして、結論するところは私は松本君に会うべきでないし、その傍にいるべきでない――という事。 あの日、私が松本君に言った「あなたの傍にいたい」という言葉。 こう聞くと、その言葉が真実でなかった様に感じられるかもしれません。 けれど、私は今でもあなたを愛している気持ちにかわりは無いです。 何故会えないかは、ニュースを見ているならば、そして、あなたの親友が伝えてくれた事から察していただけますか? あなたの親友は、いろいろと裏で私を助けようとしてくれたようで、私は感謝しています。 全て事が済んだら、彼らに北方が感謝していた、そうお伝えください。 そして私が一番感謝しているのは、松本君、あなたです。 あなたと出会えて、わずかな期間だったけれども、無意味と思われた生に意味を見出すことができた。 私はあなたと同じクラスであり続けた長い間、何もアプローチが取れずにいたけれど、あなたの事が好きでした。 あなたの存在だけが私の行く先を明るく照らしていたのです。 人に嫌われる蛾であっても、その行く手を照らす光だけが私を拒まずにいたのです。 その光を求めるあまり、一種の憎悪を心の奥底に秘していた時期もありました。 それは、ご想像の通り、あなたの妹さんに向けられていたものです。 そのために、今、自分はこの運命を迎えることになるのだということを悟っています。 ただ、あなたと同じ時間をあなたと同じ様に過ごしてこれたことが夢の事のように思い出されます。 しかし、このままでは松本君に悪い影響を与えてしまうのは明白です。 それはあまりに忍びないことです。 全てが終わってからも、愚かな女であったと蔑まれるのは御免蒙りたいものです。 かなり長くなってしまい、しかも未練がましくなってしましたが、この辺りで切らせていただきます。 願わくば、私の存在など早く忘れ去って欲しい、それだけです。 敬具 追伸 和菓子と洋菓子、今はどちらのほうが好きですか? 317 名前:和菓子と洋菓子[sage] 投稿日:2007/08/24(金) 02 03 37 ID QT51TBcr 一文一文を読むごとに切々と悲愴感と決意を感じた。最後まで達筆な字で記されており、彼女の意思を覆す事はできないようにも感じられた。 しかし、これほどまでに悲しい結末があっていいのだろうか。 そんなことは絶対にあってはならないし、バットエンドは許さない、そう僕は心に決めたではないか。 にも関わらず、ここで諦めるわけにもいかない。 僕のうぬぼれ云々を無視しても、彼女は死にたくない、そう、心の中では思っているに違いない。 そのとき、血相を変えた看護婦が入ってきた。そして、青ざめた僕を引っ張って、電話台の前につれてきて、受話器を握らせた。 「もしもし、松本理沙さんのお兄さんですか?」 「は、はい、そうですが。」 「こちら大村病院のものなんですがね、実は、あなたの妹さんの理沙さん、服毒自殺を図ったんですよ。」 再び、後頭部を殴られるような衝撃を受けた。 「もしもし?まだ、毒物が強いものものらしく、現在急いで、応急処置が取られているところです。」 「あなたのお父さんが、あなたの退院を迎えに行く際に、倒れている理沙さんを発見したのですが……すぐに来てもらえませんでしょうかね?」 わかりました、とだけ言葉少なに答えて受話器を置いた。 A.北方さんの理不尽で無意味な自殺を思いとどまらせる B.兄としての自責と義務から病院へ搬送された理沙の元に向かう C.どちらを選択することもできず、どうすればいいのかわからなくなってしまった 318 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/24(金) 02 05 29 ID QT51TBcr 以上です。 次回で最終回、というわけではないのでそのつもりで。 お目汚し失礼しました。 319 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/24(金) 02 08 39 ID L6UUqBKK リアルタイムGJ! 投下乙です!! rァA 320 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/24(金) 02 12 31 ID cJpPwEqt 318 GJ! 色々裏がありそうでどれを選んでも明るい未来が見えねぇw 本通りなら北方さん失明フラグか… 321 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/24(金) 03 09 32 ID DUF7aLFO 上書きの続きはまだかなあ 322 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/24(金) 04 33 36 ID b7zQ9akP その看護婦は本当に看護婦かな…?ニヤニヤ 323 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/24(金) 04 40 38 ID RmwHbSLg 317 初期の頃は松本君のお馬鹿さを笑って読んでいたのにいつの間にかこんな事になっちゃって。 明るい未来が見えないけど北方さん派としては彼女だけでも救ってほしいのさ。 てことで選択肢選べるならA 324 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/24(金) 12 15 14 ID /eyWITqa Aだって? 俺は……俺はBだ。 #160;........... 遺書がまともだからこそ逆にヤバいと思うぜッ! だいたい妹を放っておけるわけがねえ! それに北方さんはああやっていつでも弘行を待つようなヤツなんだ。 遺書まで届けておいて何も備えてない訳がないッ! 彼女を止めるほど危険なことはねえと予想するぜッ! 無理心中につきあいに行くよーなもんだからな。 325 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/24(金) 13 32 32 ID 6XHNIdsW 最初からずっと北方さんを見守ってきた俺はAを選ぶぜ 326 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/24(金) 15 07 38 ID 6d01pzQn 318GJな作品投下乙です。 俺は半官びいきなんでAを選んで欲しい。 幼少時代に母親に虐待され、やっと見つけた愛しい人に大怪我を負わせてしまい、 想い人に会うこともできず、周囲からの誤解と偏見に塗れて孤独に耐える。 これで自殺したら救いが無さ過ぎるんだぜ… 322看護婦さんが本物である確率は2分の1…ニヤニヤ 327 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/24(金) 17 47 13 ID s10+ZQpz 最近、キモウト、キモ姉好きかつヤンデレ好きの俺はヤンデレ小説を見るとキモウト分が足りなくて、キモウト小説を見るとヤンデレ分が足りなくて不完全燃焼なんだ。 かと言って両方含まれてる小説はすでに読んじゃったし… 俺はどうすればいいんだ? 328 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/24(金) 18 04 37 ID 6HCir2vs とりあえず、筆を取れ。 329 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/24(金) 18 34 58 ID dvXzRt97 そろそろ、嫉妬スレとキモ姉とキモウトスレとヤンデレスレは統合するべきなんだがな・・・ これは正に任天堂とソニーとセガを合併させたぐらいの衝撃だぜw 330 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/24(金) 19 01 09 ID rgfQBwoS 何がそろそろなのかわからんが 別に現状維持でいいだろ、統合するメリットもないし 331 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/24(金) 19 10 25 ID YQhxHQi7 流石に、それら全部統合したらカオス度がヤバイことになる気が…。 332 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/24(金) 19 12 51 ID /4aVZPct 327 あれ、俺がいる 333 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/24(金) 19 44 47 ID xfu0K3iV 327じゃあ、二次創作モノだけど・・・ ttp //www.ne.jp/asahi/uriel/undead/homepage/foradult/tien.htm 334 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/24(金) 20 28 09 ID +j3OrJBb 327 実際に自分でヤンデレとかキモウトとか製作するよろし(`・ω・´) なんと言うことでしょ~、今まで暇過ぎて平凡だった日常が、あっという間にブラックに染まってしまいました~。 335 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/24(金) 20 42 24 ID 6HCir2vs 333 相変わらず、エヴァ系の二次創作は地獄だな。 336 名前:伊南屋 ◆WsILX6i4pM [sage] 投稿日:2007/08/24(金) 23 41 55 ID xklRQrCy 画像の回転は各自よろ グレーテル/聖域 http //imepita.jp/20070824/832130 337 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/24(金) 23 52 16 ID RmwHbSLg 336 背景あるのって珍しい カワユスw 338 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/25(土) 00 11 47 ID 4tCuYsCo 327 サキュバスの巣にでも行くとよろし。 329 つかもともと嫉妬修羅場スレから派生したスレなんだよな。ここもキモ姉妹も。 キモ姉妹スレは当初削除しろ、削除しろ言われまくりだったが。 よくここまで成長したものだ。 339 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/25(土) 00 51 29 ID b7UHEM/x 338 キモ姉妹は派生というより お調子者が荒らし対策で黙って勝手に立てたスレだからなあ。 元々必要ない重複スレだったからそりゃ叩かれるというか。 今でもどっちに投下するか迷うって作者さんたまに見かけるし。 340 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/25(土) 01 36 26 ID GafcOh4r まあ唯一明確な存在価値があるとしたら キモ姉とキモウトの両方が出てくる作品かな これは姉スレにも妹スレにも投降し辛いだろうし ヤンデレというほど病んでないならここにも持ってきにくいだろうし 341 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/25(土) 01 53 37 ID mc1H43oy 和菓子と洋菓子の人GJ! Aで 342 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/25(土) 02 18 01 ID hOtIQyeQ 各作者GJ ヤンデレ+ハッピーエンド(正負両方の意味で)が好きという俺は北方さんには全力で生きて欲しい あと今更ながら 255に感銘を受け書けもしないSSに取り組んで悶絶中 誰かサイダネ下さい 343 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/25(土) 02 28 35 ID Eb4oOWjB 342 失敗を重ねてから監禁成功していただきたい 344 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/25(土) 12 05 06 ID O+Y56tV4 エアマスターの登場人物は全体的に病んでる気がするんだが どうだろう 345 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/25(土) 12 53 21 ID 5NmSoNgG 329 あっちは人が多いし荒らしとか説教厨が居るし合わない。 346 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/25(土) 12 54 22 ID 5NmSoNgG キモ姉妹スレは平和だけど。 347 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/25(土) 13 01 24 ID RpmaySt/ ヤンデレだらけです。ぜひ一度… http //sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1185376097/l50 348 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/25(土) 13 01 28 ID 5tjedcyo キモ姉妹立てた人は賢いな・・・w スレを分散することによって、荒らしを分散させたし 名作品もあちらに投稿されているし、一石二鳥だよw 349 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/25(土) 13 31 29 ID XiY6mELc 実験的作品の続きが読みたい…作者さんみてるかな? 350 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/25(土) 15 48 37 ID mPP+Kggb 345 そんな理由でもったいないな、まとめで作品ぐらいは読んでも損はないと思うぞ 351 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/25(土) 19 36 01 ID UOhwOojG 348 キモ姉妹スレの名作品ってどれよ?あっちにはあんまり行かない俺にはわからん 352 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/25(土) 20 40 12 ID vmgpIKYk 351 キモウトなら綾シリーズが俺は最高だな。 353 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/25(土) 20 41 17 ID nSn1dzz8 全ての完結作品、特に『籠の中』は是非読むべきだ 354 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/25(土) 21 06 00 ID HFqkmS+u てゆーかいい加減スレ違いだからあっちでやってくれないか。 355 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/25(土) 21 42 55 ID 5NmSoNgG 350 どう言う意味かkwsk 356 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/26(日) 00 43 43 ID zr2HIWTO 余所スレの話題をわざわざここでするな長々と 357 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/26(日) 01 48 49 ID qyDNIngt ヤンキーデレを書いてみてるが、 ヤンキー少女のイメージがすっげぇ90年代なんだけど、これでいいんかな。 358 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/26(日) 01 57 30 ID +bC9FFvk 357 あれか、「ああっ?ヨーヨーぶつけんぞ!」ってやつか。 wktk 359 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/26(日) 02 37 44 ID ILv7qhnx 357 ヨーヨー?それは楽しみだ 和菓子と洋菓子の人の選択肢のCとか選ぶとどうなるんだよ なんか予測できないか? 360 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/26(日) 05 32 15 ID DNQ/tzPb ヤンデレ大全には竜宮レナが出ているそうです。 これはもう買わないっきゃないね。 361 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/26(日) 05 48 29 ID WXcByhlW どうでもいいけど、ひぐらしってサイレンのパクリだよな 一章だけやけに出来が良いのも頷ける 362 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/26(日) 08 35 02 ID vqoA6ndA 361 パクリというか、参考にした作品の一つだから似ているのはしょうがない 363 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/26(日) 09 01 34 ID Z1J0d6ff 360 レナってヤンデレではないだろ 364 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/26(日) 09 23 52 ID jENU7zoN 360 361のSIRENで思い出したが、 恩田美奈は出るだろうか・・・ 彼女は立派なヤンデレなんだが 365 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/26(日) 09 28 54 ID MULPUq+i サイレンってゲームのSIREN? そして一章って鬼隠しのことか? それなら確か、ひぐらしの方が先に発売されてなかったっけ。 SIRENが2003年で、ひぐらしが2002年だと思ったんだが。 366 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/26(日) 09 37 36 ID ont0BS9V 363 罪滅し編「だけ」を見れば充分ヤンデレだと思う 疑心暗鬼の病状が発症しても主人公には心開いて電波垂れ流して洗脳しようとするし、 親友が主人公に色目を使うって鉈でぶちのめすし 奇病という踏み台があるもののレナの一人称の文章が最初はほのかな好意を暖めているピンク色からグロい赤色に変わる過程もまさにヤンデレ 367 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/26(日) 10 04 40 ID zr2HIWTO はいはい http //idol.bbspink.com/test/read.cgi/hgame/1176207104/ http //sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/ascii2d/1176178896/ 368 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/26(日) 10 23 43 ID bLFuVEdZ 360は >これはもう買わないっきゃないね。 つまり「買う必要なし」という意味の発言だと誰か気付いてあげて下さい>< 369 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/26(日) 10 26 34 ID aK+QtMzX だよね。 普通、「買うっきゃない」 だし 370 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/26(日) 14 48 43 ID HK3FyGRa 過去ログにもあるが、竜宮レナがヤンデレだと言ってる奴はヤンデレの在り方を正しく示してくれている 1を読みなおすべきだな 371 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/26(日) 15 43 03 ID jSvSnaCm あれもヤンデレ、これもヤンデレってのもアレだが 公式に明確な基準があるわけでもないのに、これは違う!これも違う!というのも考え物かも ツンデレの定義はこうだ!新参は何も解ってない!とか「喚き散らす」人をたまに見かけるからふと思った 372 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/26(日) 16 40 06 ID zr2HIWTO 邪悪系や狂気系と混同しちゃうのはなんでじゃろうなんでじゃろう 愛でポイントが全く違うのに 373 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/26(日) 17 08 58 ID DNQ/tzPb 371 中身がタラコだろうがおかかだろうがおにぎりはおにぎりだが、 流石に米で出来てるからと言ってカツ丼をおにぎりと言い張れば叩かれるのは当然。 374 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/26(日) 17 10 55 ID xZHsF7yc じゃあ、狂気系の女がヤンデレになる、というのはこのスレ的にオーケー? 人殺し女が男に惚れて以来、男を手に入れるためだけに行動するとか。 375 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/26(日) 17 21 53 ID F7107xsR 味噌で煮ようが塩で焼こうが鯖は鯖・・・ってね 376 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/26(日) 19 01 19 ID HK3FyGRa 371の言いたいことも充分にわかっているつもりではあるんだけどな 最近、某同人ゲームが出たじゃないか。アレのせいで竜宮レナのようにヤンデレは勘違いされそうだなぁとは思うわけよ 377 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/26(日) 20 22 44 ID zR3Hs6Ur ブームを起こした人の尻馬に乗って適当に作ったものが、ブームに後から乗ってきた勘違いした人に支持されていつの間にか母屋を乗っ取ることはよくある。 ロリブームしかりショタブームしかりツンデレブームしかり。 ジャンル分けの言葉が出来る以前からヤンデレキャラはいたわけで、 言葉とともにブームになってしまった今、元からのヤンデレ好きが危機感を抱くのも仕方がない。 378 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/26(日) 21 42 36 ID WXcByhlW ツンデレとか、もはや有って無いような物になったしな レナがヤンデレに分類されるんなら、終焉も近いなあ そもそもあいつデレ無いような。 379 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/26(日) 22 40 54 ID 1+e70uRB 圭一の事は好きみたいだけど異常なまでに圭一に執着してる訳じゃないし、 ルートによっては圭一を譲ってもいいような感触を受ける場合もある。 なんか違うと思う。個人的には一途というより友達思い。 強いていうなら罪滅しはヤンデレじゃなくてデレツンデレ。 380 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/26(日) 23 12 14 ID zr2HIWTO まあお前らそろそろ 367な 381 名前:リッサ ◆TKvIZfGFpk [sage ] 投稿日:2007/08/27(月) 03 03 19 ID JEaV9oY7 何だか荒れているようですがSS投稿させていただきます、毎回のようにアレなタイトルですが、まあ気にしないでください。 私の彼は変身ヒーロー① 2月8日 晴れ 今日は私、雨宮燈歌にとっては最悪な日だった、しかし幼馴染で腐れ縁のアイツ… 井上良太郎にとっては人生最高の日だったのかもしれない。 それは何故か…そう、あの幼馴染はよりにもよって…この私が毎年のように…いや …今年は、今年こそはアイツへの想いを告白しようと思って火傷しながら手作りで 作ったシフォンケーキを、前フリもなく現れては壊した緑色の化け物を…アイツは 腰に巻いたベルトを使って変身して…見事なキックで倒してしまったのだ。 「僕がみんなを守るんだ」 良太郎はそう言った、何でも前日、この男は人が苦労してチョコケーキを作って いる間に善良な宇宙人にさらわれて、あいつらと戦えるように体を改造されていた らしい。まあ良太郎は将来の夢だった自衛官試験を落ちてちょうど浪人になっていた し、元々正義感が強くて人のために戦うのが好きだったからいいのだろう…必殺の キックで敵を倒しているときなんて本当に嬉しそうだったし…それに。 「スゲーうまそうじゃん、このくらい問題ないって」 良太郎はそういって、グシャグシャになった私の特製ケーキをおいしそうに食べて くれた、たとえ改造人間でも…何が何でも彼は優しい男なのだ。 でも、だからこそ私は満たされない。そんなチャンスがあっても私は彼に告白できなかったのだ。 腐れ縁がにくい、この、兄弟のように固く結ばれた友情という絆がにくい。 嗚呼、いつかこんな私にも彼に告白できる日が来るのだろうか…。 382 名前:リッサ ◆TKvIZfGFpk [sage ] 投稿日:2007/08/27(月) 03 05 21 ID JEaV9oY7 私の彼は変身ヒーロー② 3月14日 曇り 今日も今日とて良太郎はトレーニングに励んでいた、この二月でようやく敵とも戦いなれてきた頃だったが それでも足りないのか、良太郎は日々格闘技のジムに道場破りに行ったり、ロードワークやら筋トレに励んでいた。 「おいおい、短大はいいのかよ燈歌」「あのねえ、アンタのことなんか頬っておけるわけないでしょ、あぶなっか しいったらありゃしない」 休憩中、公園のベンチで汗を拭きながら彼はそういった。もちろん私はいつものようにそう返した…もっと素直に なりたい。でも、そうなれないのがもどかしい。 私は良太郎が好きだ、彼が命の危険にさらされるようになってから余計に日々そう感じるようになった。こうやって つらい日々でも笑顔でトレーニングをしている彼が好きだ、わたしの考えたメニューを参考にしてトレーニングしてく れている彼が好きだ…愛しい、こうして彼の汗の匂いが漂っている空間にいるだけで発情している自分に気がついたの は何時だろうか?こうして偶然公園のベンチで会える様に…そう見せかけて彼の行動を追跡、マップを作ったのは何時だろうか…。 「はい、これあげる…頑張ってね、ええと」 「仮面ライダー、仮面ライダーファウストだ」 そういって私は特製ドリンクを彼に渡した、ありとあらゆる強壮作用のある食物やサプリメントと… 私の、昨日、彼の逞しい体に犯されることを想像して自慰したときの…その愛液を混ぜ合わせたものだ、そ うだ、私の愛がたっぷり詰まったモノだから…飲めば無敵のスーパーマンになれるよね…それにいつか、そ れを飲み続ければ私のことも…。 その彼の、ごくごくと無理をしながらドリンクを飲み干す姿を想像して、私は今晩も自慰した。 …もう、私は彼のことしか考えられないのかも知れない。 383 名前:リッサ ◆TKvIZfGFpk [sage ] 投稿日:2007/08/27(月) 03 06 37 ID JEaV9oY7 私の彼は変身ヒーロー③ 4月25日 雨 死にたい、もう駄目だ、良太郎に嫌われてしまう…。 昨日、戦いに巻き込まれた時に私は良太郎…ファウストに助けられた、しかしその時私を かばった良太郎は背中に傷を負ってしまったのだ、さいわい跡が残るくらいの怪我にはなら ないようだし、良太郎も笑顔で気にするな、とは言ってくれたが…なんて事だ、私が原因で 彼は傷ついてしまったのだ…。 最愛の人を傷つけてしまった、そんな自分が許せない。 だから私は自分の腕にナイフで大きな傷を付けた、もうこんなことはさせない、絶対にし ない…そんな戒めのために。 良太郎の怪我は翌日あっさり完治した。むしろ良太郎は逆に私の手の怪我を心配してくれ るような事態になってしまった…こんな私にも優しいんだね、良太郎…おれのせいだ、嫁に もらってやるから…そう言ってくれたこと…冗談でも嬉しいよ、良太郎…でもいい加減 私の気持ちにも気づいて欲しいなあ…。 384 名前:リッサ ◆TKvIZfGFpk [sage ] 投稿日:2007/08/27(月) 03 07 50 ID JEaV9oY7 私の彼は変身ヒーロー④ 6月30日 晴れ後曇り 今日ははしたない事に短大で喧嘩してしまった、でも原因が原因だから仕方のない事だと思う。 だってあいつらは良太郎を馬鹿にしたんだから…。 「さっさとあんな奴等殺しちまえよ、化け物が」 そんな言葉を聞いたのだ、あいつらをひっぱたくのなんて当たり前だ、彼はみんなを守ってく れるヒーローでいて…それでいて…私にとっての…。 「すごいだろ燈歌、これならどんな敵だって一撃だぜ!」 「うん…凄いと思うよ…」「…ん?ずいぶんしおらしいなあ」 新型武器の暴導索…ドラッヘントードスを構える良太郎、ここはこの会話に乗ってあげて、憎 まれ口のひとつでも叩けば彼は喜ぶのだろうが…彼を、いつもの憎まれ口で傷付けるかも知れな いという事におびえている自分がいた。 嫌われるのが怖い、でも告白してこの関係が壊れるのが怖い、どうすればいい…助けて、貴方 のためなら何でもするから、死んでもいいから…だから、私を助けて良太郎…。 385 名前:リッサ ◆TKvIZfGFpk [sage ] 投稿日:2007/08/27(月) 03 09 10 ID JEaV9oY7 私の彼は変身ヒーロー⑤ 7月21日 曇り 今日、私は良太郎に告白した、結果、成功した。 もう我慢が出来なかった、関係が壊れる事の心配よりも我慢の限界の 方が先だった…何せ彼の仲間の…女ライダー、仮面ライダードラッヘンが現れたのだ。 いきなり凄い力を持って現れたあの女…高寺=グレイスは、敵宇宙人と人間のハーフ だか何だか知らないが、一般人は邪魔だと私を彼から引き離した、そして彼もそれを承 知してしまったのだ。 先輩ずらしたあの女は、彼の新しいトレーナー役も勤めた。その結果、彼はどういうわけ か新フォーム…グラムフォームにパワーアップすることもできた…つまり、私は立場を完全 に奪われたのだ。 やめてくれ、もう私を彼から引き剥がさないでくれ、お願いだからやめてくれ。 私はとうとう良太郎を家に呼び出して彼に告白した、手段を選ぶ事など出来なかった。 媚薬混入料理、裸エプロン、いきなりのキス…何といわれてもいい、彼がすきなのだ だからこそ何でも出来る…その結果、私は、彼を、モノに出来たのだ。 「良太郎…大好き…大好き…だから私だけを…見て」 「うん…俺は…お前だけを…愛するよ…」 良太郎はそういってくれた、王子様は…私を選んでくれたのだ。 386 名前:リッサ ◆TKvIZfGFpk [sage ] 投稿日:2007/08/27(月) 03 11 14 ID JEaV9oY7 私の彼は変身ヒーロー⑥ 10月1日 雨 良太郎に裏切られた、良太郎はあの女と、キスをしていた。 ユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイ…。 殺すべきか、死ぬべきか、重要な選択だからこそ、じっくり悩んでみよう。 10月3日 訂正、彼は私を裏切っていなかったらしい、彼はあの女に無理やり迫られてああ なったらしい。ビデオの音声拡大と問い詰めの結果、そう判明した。 彼はもうあんなことはしないと自分の手に傷を付けた、まったく私と同じ箇所にだ 少し嬉しい、原因はどうあれおそろいなのだ。 愛してるよ良太郎、だからもうこんなことしないでね、本当は私だってこんな事した くないんだよ、でも二人を邪魔する要素が多すぎるから…あいしてる、あいしてる、もう 放したくないから…だから… 「あの女は、消してあげる」 11月12日 取りあえずあの女を殺す事に成功した、嬉しい、やってみれば簡単なものだ。 普通に彼女を自宅に呼び出した後、睡眠薬入り料理を食べさせて…首を絞めて めったざしにした後、首を切り落とした、無敵の宇宙人もあれでは死んでしまっ ただろう。死体を解体したときに処女だったみたいなので、幕を破ってタバスコ瓶を突 っ込んであげた、いい気味だ。良太郎を奪おうとするからこういう目に会うのだ。 …でもこれだけでは足りない、彼を完全に私のものにするにはまだまだ不安定要素が 多すぎる…やはりアレをするしかないのだろうか?。 387 名前:リッサ ◆TKvIZfGFpk [sage ] 投稿日:2007/08/27(月) 03 13 41 ID JEaV9oY7 私の彼は変身ヒーロー⑦ 日付不明 とりあえずアレをするために、あの女の死体からドラッヘンのベルトを奪った、残りは刻んで冷蔵庫にポイ、だ。 その後、私は敵である宇宙人の後を追い、彼女のが敵と同じ惑星のハーフということを利用して…彼らの根城で あるUFOを発見、認識IDである彼女の血を機械に読み取らせて彼らの基地に侵入した。 そこから先は容赦のない虐殺大会の幕開けだ。敵の首領、それから幹部も会議中にドラッヘンの必殺技である マイクロミサイル100連発と、連続キックをかまされればよける暇もない、命乞いする敵を徹底的に殺してやった 苦しんで死ね、それが良太郎に対して貴様らの出来る唯一の償いだ。 12月28日 うれしい、良太郎が来てくれた、良太郎はこんな僻地…というか宇宙にただようUFO にまで会いに来てくれたのだ…しかも理由は私に会いに来てくれたから…らしい。 でも少し残念だ、良太郎は私を殺したかったらしい。 …なにがいけないのかなあ、きみをばかにしたにんげんと、だましたにんげんをころ したんだよ。それにもうわたしたちいがいのにんげんはみんないらないじゃない、りょう たろうはやさしすぎるもん、あいつらがいるかぎり、きみはまただまされてほかのおんな にもてあそばれることになって…てのきずがふえることになるんだよ。 あいしてるよりょうたろう、だからわたしは、きみがわたしをまもってくれたおれいに きみとあんしんしていられるせかいをつくってあげる。だからちきゅうも…いちどきちんと こわしてあげるからね。あんしんして…このへいしたちは、みんなきみと、わたしのなかまだから。 私の彼は変身ヒーロー⑧ それからいっぱい日が過ぎた、あの日、UFOのなかで暴れまわった良太郎は無敵の私に 対して無理に必殺技を使った結果、手足が効かなくなってしまったようだ、うそつき宇宙 人のインチキ改造ベルトのせいだろう…でも私はそれに感謝した。なぜなら彼は手足が動 かなくなった分、私に依存しなくては生きていけなくなってしまったのだ…ベルトもはず してしまえば宇宙での活動は不可能だろう、逃げる事も、連れ出す事も不可能だ。 殺してくれ、良太郎は今日もそんな悲しい事を言う。私は嫌だと答えると彼のオムツを 取り替えて、寝返りを打たせて、鼻水を口で吸引して、さらに食べようとしない食事を口 移しで彼に飲み込ませた…良太郎、覚えてる?今日はあのときと同じ日…バレンタインデ ーなんだよ…ほら、ケーキもおいしいでしょ?また焼いてみたんだよ…。 ごくり、と彼はついに自力でケーキを飲み込んだ…最初は抵抗して叫ぶばかりの彼だった が、今日までにここまでおとなしくなってくれた…後数日もすれば私の言う事を聞くように なってくれるだろうか?そしてまた…私のことを愛してくれるだろうか?もしもそうなって くれたら、私は二人だけの結婚式を挙げたいなあと思っている…プレゼントは当然私だ、そ してそのまま子作りをして、三人で幸せな家庭を築くのだ。 愛してる、良太郎…大好きだよ。 FIN 388 名前:リッサ ◆TKvIZfGFpk [sage ] 投稿日:2007/08/27(月) 03 15 03 ID JEaV9oY7 以上で終わりです、本当はヤンダムの最終回も描きたかったのですが、取りあえずこの辺で。 お付き合いいただきありがとうございました。 389 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/27(月) 03 24 26 ID MBQUZkY/ 一番槍GJ! 390 名前:名無しさん@ピンキー[age] 投稿日:2007/08/27(月) 03 45 51 ID +jasPFrf 幹部カワイソスwwwwwwwwwGJ! 391 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/27(月) 04 02 03 ID i48kun1n GJ! 作品毎にヒロインの凶悪っぷりが上がっててGOOD 392 名前:伊南屋 ◆WsILX6i4pM [sage] 投稿日:2007/08/27(月) 14 24 11 ID xcGSwsg8 http //imepita.jp/20070825/804160 置いときます 393 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/27(月) 14 28 55 ID Ym1kOFtC こんかいはタイトル無しですか? 394 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/27(月) 14 32 12 ID flrdyHLQ タイトルが無くても分かる、これは間違いなく冬華。 (*´д`*)ハァハァ 395 名前:伊南屋 ◆WsILX6i4pM [sage] 投稿日:2007/08/27(月) 15 01 30 ID xcGSwsg8 あぁ、タイトル忘れてたか。 ヒトカタ/人形 がタイトルです。 追加 恋する神無士乃は切なくて/幹也くんを想うとコスプレだってしちゃうの http //imepita.jp/20070826/795060 …タイトルについてはその…ゴメン。他に浮かばなかった。 396 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/27(月) 16 31 17 ID qnWNtIpW 395 GJ! だがしかし >幹也くんを想うとコスプレだってしちゃうの どう見ても冬継君の間違いです本当に(ry ゴメンね、ついつい言いたくなっちゃったんだゴメンね。 397 名前:伊南屋 ◆WsILX6i4pM [sage] 投稿日:2007/08/27(月) 17 23 14 ID xcGSwsg8 …ソウダネ 398 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/28(火) 01 44 43 ID h1JpwEL/ 言いたくないが、何様だ? 399 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/28(火) 03 13 40 ID Mt9yJY1H 398 まあ落ち着けよ。ここの住人はなんでもGJしちゃうから職人が調子に乗っちゃうのは仕方ないさ。 400 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/08/28(火) 04 34 28 ID lbrLZ+QH ま、それはそれとして。 395久しぶりに志乃が見れて嬉しいのであった。 そういえば志乃以外お茶会の登場人物達って 皆ひんぬーだったっけ。
https://w.atwiki.jp/i_am_a_yandere/pages/1177.html
1 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/08(木) 23 42 07 ID XYiRIWTj ここは、ヤンデレの小説を書いて投稿するためのスレッドです。 ○小説以外にも、ヤンデレ系のネタなら大歓迎。(プロット投下、ニュースネタなど) ○ぶつ切りでの作品投下もアリ。 ■ヤンデレとは? ・主人公が好きだが(デレ)、愛するあまりに心を病んでしまった(ヤン)状態、またその状態のヒロインの事をさします。 →(別名:黒化、黒姫化など) ・転じて、病ん(ヤン)だ愛情表現(デレ)、またそれを行うヒロイン全般も含みます。 ■関連サイト ヤンデレの小説を書こう!SS保管庫 @ ウィキ http //www42.atwiki.jp/i_am_a_yandere/ ■前スレ ヤンデレの小説を書こう!Part20 http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1226635080/ ■お約束 ・sage進行でお願いします。 ・荒らしはスルーしましょう。 削除対象ですが、もし反応した場合削除人に「荒らしにかまっている」と判断され、 削除されない場合があります。必ずスルーでお願いします。 ・趣味嗜好に合わない作品は読み飛ばすようにしてください。 ・作者さんへの意見は実になるものを。罵倒、バッシングはお門違いです。議論にならないよう、控えめに。 ■投稿のお約束 ・名前欄にはなるべく作品タイトルを。 ・長編になる場合は見分けやすくするためトリップ使用推奨。 ・投稿の前後には、「投稿します」「投稿終わりです」の一言をお願いします。(投稿への割り込み防止のため) ・苦手な人がいるかな、と思うような表現がある場合は、投稿のはじめに宣言してください。お願いします。 ・作品はできるだけ完結させるようにしてください。 ・版権モノは専用スレでお願いします。 ・男のヤンデレは基本的にNGです。 2 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/08(木) 23 47 28 ID be9wfhq9 1乙 3 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2009/01/08(木) 23 48 18 ID BBHtzqf8 1 おつです。 4 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/08(木) 23 52 15 ID A2uwStz6 1 お兄ちゃん乙 5 名前:tuktukZ[] 投稿日:2009/01/08(木) 23 59 58 ID 2x3Kc5/6 なんか作ってくださいよー 初心者です 6 名前:sage[] 投稿日:2009/01/09(金) 00 21 24 ID m1hB8xQQ 1乙です 7 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/09(金) 00 23 09 ID m1hB8xQQ 6ミスりました 8 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/09(金) 00 24 56 ID NaFRM9SG 1乙ですね・・・ふふ・・・ 9 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/09(金) 00 49 33 ID E+AYtRGC 1 おつ 10 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/09(金) 16 38 33 ID PlcTQN2t いちもつ 11 名前:乙>1[sage] 投稿日:2009/01/10(土) 15 42 44 ID uRJk/BY5 ヤンデレの焔 1 少しいじめっ子だけど、みんなのリーダー そんなノブ君の周りには、いつも元気な友達がいっぱい ノブ君に恋心なのはミッチャン 周りが見えない性格のミッチャンは時にやることが行きすぎちゃうことも…エヘ ノブ君とケンカした子を追い込んで消しちゃったり、ノブ君の親友に嫉妬して腐った魚食べさせようとしたり でもでもミッチャンはいつも真剣 こんなにノブ君のこと想ってるのはミッチャンだけだもん そんなミッチャンはライバルのことが気になります 最近何かとノブ君にベタベタするのはランちゃん ノブ君もその子が気になってるようだけど… 絶対にノブ君は渡さないんだから …え? 今度その2人がお泊まり旅行? 絶っっっ対に許さないんだから! あんな泥棒猫に盗られるくらいなら…… 12 名前:乙>1[sage] 投稿日:2009/01/10(土) 15 44 04 ID uRJk/BY5 ヤンデレの焔 2 天正10年6月2日 山城国本能寺にて明智光秀の謀叛により織田信長戦死 13 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/10(土) 16 14 21 ID ZV1VV9Uq 過去スレの雑談で似たようなネタあったなあ 皆考えることは同じなのかw 14 名前:変歴伝[sage] 投稿日:2009/01/10(土) 20 00 22 ID eka351fP 初投稿です。 歴史物で、史実の人物も出てきます。 エロは、まったく自信がありません。 では、どうぞ 15 名前:変歴伝 1[sage] 投稿日:2009/01/10(土) 20 44 52 ID eka351fP 五畿七道の一つ、山陰道は多くの旅人達でごった返している。 それに目を付けた商人が水や食べ物を路上で売っているのが見える。 所変わってここはとある森の中。 「…迷っ…たこ…こはどこ…だ…」 「業盛(なりもり)様、食べながらしゃべるのは止めてください」 口の中を干し葡萄でいっぱいにしていた業盛に、平蔵は水を差し出した。 業盛が水で口を潤すと、今度は干し柿に手を出し始めた。 この二人、さっきまでは都を目指して山陰道を歩いていた。 大江の関も越えて、後少しで都に着く所だった。しかし、途中の道で、 「平蔵、見てみろ。あの森を」 業盛の指差す方を見てみると、赤松がうっそうと茂った森があった。 「あの森がどうかしたのですか?」 平蔵は訳が分からず聞いた。 「まったく、お前も鈍いな。今の季節は秋。秋といえば松茸だろ。 あれだけ赤松が生えていれば松茸もたくさん生えているに決まっているだろう」 業盛はにやにや笑っていた。きっと松茸を売って大金持ちになった妄想でもしているのだろう。 この性格はいつまで経っても変わらないな、と業盛は思った。 「業盛様、いけませんよ。私達は平清盛様の元に行かなければならないのですよ。 都まで後少しなのですから早く行きましょう」 「まったく、お前は糞真面目だな。その松茸を手土産にすれば、我々の心証も上がるだろう。 私が、ただの金儲けのために松茸を採る訳ないだろう」 そうは言っているが、業盛の顔には金という字が書いてあった。思わず、思います、と言いそうになった。 「ですが業盛様、赤松が生えているからといって松茸が生えているとは限りませんよ」 平蔵はごく当然のように言ったが、 「あれ…?」 そこに業盛はいなかった。 業盛は平蔵の話に飽きて、とっとと森に向かって行ってしまったのだ。 「業盛様…人の話は最後まで聞きなさいと、あれほど言ったのに…まだ分からないのですか。 まちなさーい」 平蔵も、業盛を追って森に向かった。 そして、今に至るのである。 16 名前:変歴伝 1[sage] 投稿日:2009/01/10(土) 21 12 28 ID eka351fP 「まったく、松茸は採れぬわ、迷うわ、最悪だな」 業盛は不機嫌そうに言った。 あなたのせいでしょう、と平蔵は言いかけたが、疲れるだけなので言うのを止めた。 さっきからどれほど歩いただろう。平蔵は空を見上げた。日は傾き、もうすぐ夜になろうとしていた。 「もう日が暮れます。これ以上動いては余計に迷いますので、今日はここで野宿にしましょう」 平蔵は辺りに落ちていた枝を拾ってくると焚火を始めた。 平蔵は乾燥米を、業盛は未だに干し柿にかぶりついていた。 「まったく、とんだ災難ですよ」 平蔵は焚火に枝を突き刺し、いじくりながら言った。 「ま…いいで…はない…か。明…日辺りに…は出ら…れるだ…ろう…」 干し柿で口の中がぐちゃぐちゃになり、しゃべりにくそうに話している業盛に、平蔵が水を差し出した。 「食べながらしゃべるのは止めてください、と何度も言っているではないですか。 それに、いい加減その呼び方止めてください」 平蔵はそう言ったが、業盛はなにがなんだか分からない。 平蔵は、やれやれと頭に手を置いた。 「私の名前は赤井源蔵景正。いったいどこから平蔵なんて出てきたのですか」 「あれ…お前の通称って、源蔵だったんだっけ。てっきり平蔵だとばっかり…」 「…もう…いいです…平蔵で…」 平蔵はひどく傷ついたようだ。 こんなくだらない口論を、二人はしばらく続けたが、だんだん馬鹿らしくなってきたので、 どちらからとなく、この口論は終結した。 17 名前:変歴伝 1[sage] 投稿日:2009/01/10(土) 21 43 08 ID eka351fP 夜も更けてますます寒くなった。平蔵は焚火に枝をくべて暖を取っていた。 業盛はその内眠ってしまった。平蔵も残りの枝をくべると眠りについた。 次の日、二人はすさまじい体のかゆみで目が覚めた。蚊やダニが、業盛と平蔵の体を蹂躙していたのだ。 歩いている時、業盛はひたすら体を掻きむしったので、血がにじみ出てしまい、 平蔵は出来たぶつぶつを、爪で押し潰し、体じゅうが十字の爪痕だらけになってしまった。 しかし、本当に悲惨な目にあったのは業盛だった。 獣の糞は踏むわ、蜘蛛の巣に突っ込むわ、蚊が執拗にたかってくるわで散々な目にあった。 怒り狂った業盛は、刀を抜いて枝を伐採し、森に火を付けようとして平蔵に止められた。 日が暮れる頃、二人は虫の息だった。特に業盛が。 「見てください業盛様、虫の死骸の山ですよ」 これは比喩でもなんでもなく、本当に虫の死骸の山が出来ていたのだ。 「一騎当千ですね、業盛様」 「それは…嫌みとして受け止めていいか…平蔵?」 「いえいえ、どんなことでもここまでやればたいしたものですよ」 「嫌みと認識して間違いないようだな…」 二人はこんな会話を交わしたが、この夜も蚊やダニにやられ、二人は惨劇を繰り返してしまった。 その日、業盛の歩いた後には虫の死骸の山が出来たのは言うまでもない。 業盛が虫の死骸の山を築いて五度目になった時、今日も今日とて業盛は虫の死骸の山作りに精を出していた。 虫の死骸の山も三合目に達した頃、二人は歩いている道が整備されていることに気付いた。 街道に出られるかもしれない。二人はそう確信した。 しかし、しばらく歩いていると、街道ではなく村に出てしまった。 二人は少し落胆したが、街道に出る道が分かるかもしれないと考えを改めた。 幸い、すぐ近くに家があったのでここから攻めることにした。 「誰かー、誰かいませんかー」 業盛が戸を叩きながら言った。すると若い女性の声が返ってきた。 「どなたでしょうか?」 出てきた女性は長い髪が印象的な美しい女性だった。二人とも思わず見惚れてしまった。 「お侍様ですか…」 刀を見た女性は一瞬顔をしかめた。 「私達はまだ誰にも仕えていないから、まだ侍ではないな。 この刀だって、使ったといえば木の伐採と、虫の死骸の山作りぐらいだ」 業盛が笑いながら言った。それに釣られて女性も笑い出した。 「面白い人ですね。それで、ここになにか…?」 「実は私達、道に迷ってしまい街道に出る道を探しているのですが、 もし知っているのならば教えて欲しいのです」 「街道に出る道ですか…今すぐ教えてもいいのですが、今日はもう遅いのですし…どうでしょうか? 今日はここに泊まっていきませんか?」 彼女はそう言うが、実際はまだ日も沈んでいないので遅いとはいえないが、 せっかくの好意を無駄にするのもよくないので、二人は彼女の提案を受け入れることにした。 18 名前:変歴伝 1[sage] 投稿日:2009/01/10(土) 21 44 36 ID eka351fP 今日はここまでにします。 変な文章になっていたらごめんなさい。 投稿の仕方にも多少不安がありますが、間違っていたらご指摘ください。 お願いします。 19 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/10(土) 21 53 59 ID 2a1xnsXz 歴史モノって珍しいんで楽しみというか。 ところで書きながら投下してるんですかねえ? 不都合が無いのであればある程度事前に書いておいてからまとめて投下の方が良いと思うけど 20 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/11(日) 03 43 57 ID 6SL5xfl8 GJ!! 次回に期待!! 21 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/11(日) 16 43 40 ID h6XKE3lO 今さらヤンデレとか 22 名前:変歴伝 1[sage] 投稿日:2009/01/11(日) 18 09 26 ID LSgCYW8W いまさらですが、出来たら修正お願いします。 書き出しの17行目の、 この性格はいつまで経っても変わらないな、と業盛は思った。 の所を、 この性格はいつまで経っても変わらないな、と平蔵は思った。 に修正してほしいのですが、お忙しくなければお願いします。 23 名前:変歴伝 [sage] 投稿日:2009/01/11(日) 18 28 11 ID LSgCYW8W 投稿します。がんばります。 24 名前:変歴伝 2[sage] 投稿日:2009/01/11(日) 18 56 48 ID LSgCYW8W 軽い感じで来てしまったが、いまさらになってこの女性になにか不安を感じてしまった。 男二人を家の中に入れることになんの躊躇いもない所が、その際たる所である。 もしかしたら、寝込みを襲って身包みを剥ぐつもりなのかもしれない。 だが、それならば常に警戒をしていればいいのであり、襲い掛かってくるのなら、 その時は軽くひねって街道への道筋を聞き出して、さっさと村から出てしまえばいいのである。 まあ、日頃から鍛えてきたので、そこらへんのごろつきと戦ってもかつ自信はある。 業盛は考えを改めることにした。 女性は菊乃(きくの)と名乗った。ニッコリ笑って、警戒心もなにも抱かせない笑顔だった。 「菊乃さん、旦那さんとかはいないのですか?」 平蔵よ、なぜそのようなことを今聞く。 「いいえ、いませんが、それがなにか?」 菊乃の答えになにを満足したのか、平蔵は右手を握り締めていた。狙っているのか?彼女を? 「菊乃さん、私達になにか手伝うことはありませんか?」 平蔵がまたなにか言い出した。なにを言っているのだ、こいつは…。 「せっかく泊めて頂くのに、なにもしないというのも、後ろめたいですし…ねぇ…」 平蔵がこっちを向いて目配せしてきた。なぜこっちを向く。 「そうですか…でしたら明日、お米の収穫があるのでそれを手伝ってもらいたいのですが、いいですか?」 「喜んで!」 俺に選択の余地はないのか? 「決まりですね。明日はよろしくお願いしますね、菊乃さん」 有無を言わさず平蔵が決め付ける。こいつ、こんな性格だったけ、と今更ながら平蔵にそんな疑念を持ってしまった。 菊乃は所用があると言って出て行ってしまった。二人きりになり、平蔵が話し掛けてきた。 「いやー、業盛様のわがままも、たまにはいいことがあるのですね」 そうだな、と業盛もそのことに同意した。そして、自分の性格に嫌気が差してきた。 一時の利益に目が眩み、このような事態を招いてしまったのだ。 いい加減、この性格を本気で直したいと思った。 平蔵の遠回しの嫌みを聞き流していると、菊乃が帰ってきた。帰ってくるなり夕食の支度を始めた。 25 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/11(日) 19 08 04 ID f0gEb6Hj ですから書きながら投下するのはお控えください ここはあなたの専用スレではありません ちゃんと一定量書き終えたものをまとめて投下してください 26 名前:変歴伝 2[sage] 投稿日:2009/01/11(日) 19 11 37 ID LSgCYW8W 料理が出来ると真っ先に平蔵が食い付いた。業盛はしばらくそれを眺めていた。 どうやら、痺れ薬などは入っていないらしい。入っていたら、さっきの嫌みの仕返しが出来るのに…。 「あの…お気に召しませんか…?」 菊乃が心配そう聞いてきた。 痺れ薬が入っていないのなら、食わないなんて法はない。業盛は野菜の汁物を啜った。 味は…美味かった…。 やることもなかったので、明日の収穫に備えて早めに寝ることになった。 二人の寝息が響く中、業盛は少し離れた所で寝ている菊乃の動作に意識を集中させていた。 なにかおかしな動きをしたら、すぐにでも行動できるようにしていたが、そのような素振りはまったく見せなかった。 やはり思い違いだったようだ。そう思うと急激に眠くなってきた。 明日は収穫の手伝いがある。早く寝なければ。業盛はゆっくりとまぶたを閉じた。 業盛が寝息を立て始めた頃、菊乃はふと起き上がり、業盛の方を見た。 顔は暗くてその表情を伺うことは出来なかった。 そして、なにかを呟いたようだが、声が小さくて聞き取ることは出来なかった。 しばらくして、菊乃は再び横になった。それから再び、菊乃が起きることはなかった。 27 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/11(日) 19 13 03 ID 7Z8+62uL さすがにスレのテンプレを守らない人にはNGしておいた 許容できる範囲を越えている 28 名前:変歴伝 2[sage] 投稿日:2009/01/11(日) 19 47 28 ID LSgCYW8W 寝起きは最悪だった。まだ日が上がらぬうちに平蔵に叩き起こされたのだ。 俺は無駄な警戒のせいで寝不足だ。こいつはいいな、得な性格をしていて。 準備は着々と進んでいく。野良仕事用の服に着替え、鎌を持ち、出発した。 田畑には既に人が集まっていた。まずは稲刈りである。平蔵は、業盛と田畑を一つ隔てての作業となった。 業盛はひたすら稲を刈り取っていった。しかし、刈り取るというよりむしろ、引き千切っていると形容した方がいい。それに、刈り残しも目立った。 そんなことも業盛は気にせず、あたかも黄金の野を駆けるイナゴのごとく田畑を蹂躙した。 さすがに危機感を感じた菊乃が止めに入った。 「あの…鎌はそんなに力を込めてやるのではなく、もっと力を抜いて、引くように切って下さい。こんな風に…」 そう言って、業盛の手を取り教えてくれた。肘が菊乃の胸に当たった。意外と…でかいな…。 これが俺ではなく、平蔵だったら昇天ものだろう。あいつ、菊乃さんのこと狙っているみたいだし。業盛は少し面白く思った。 菊乃の教えを踏まえて、業盛は稲と格闘していた。少し前より、かなりマシになっていた。 慣れてきたので刈り取る速度を上げようとすると、ちょうど休憩の時間になった。 業盛は菊乃から渡された握り飯にかじりついていた。 なんとなく横の田畑を見てみると、平蔵が他の女性と親しく話しながら握り飯を食っていた。乗り換え早いな、あいつ。 そう思いつつ、少しからかってやろうと平蔵の元に向かった。 「平蔵、誰と話をしているのだ?」 「な、業盛様!」 平蔵がこちらを見て言った。なんだその「いい所なのだから邪魔しないでくれ」と言いたそうな顔は。 あいにく、お前の邪魔をするために声を掛けたのだから、そんなことは百も承知で話し掛けているんだよ。 「で、平蔵。誰と話しているんだ?」 そう言って横の女性に目を向けた。 目に掛かる程伸びた前髪で暗いという様な印象を受けたが、鼻筋ははっきりしているし、体も引き締まっていて、菊乃とはまた違った美しさを醸し出していた。 言ってしまえば、菊乃を陽の美と例えれば、彼女は陰の美と例えられた。 「彼女は葵(あおい)さん。さっき知り合いました」 業盛と目が合った葵は、目を逸らしてしまった。警戒されてるなぁ、おい。 「…景正様…この人…誰…?…あと…平蔵って…?」 人見知りが激しいらしく、蚊の様な声で平蔵に話し掛けた。通称ではなく、忌み名(実名)の方で呼ばせている様だな、平蔵よ。 「この方は天田業盛。私の主人です。あと…平蔵はなんでもありません…」 「…そうですか…景正様のご主人様ですか…。…私…葵です。…初めまして…」 「そんなに構えなくていいよ。改めまして、私の名前は天田三郎業盛。三郎と呼んでもらっても構わないよ」 そう言って微笑み掛けたが、彼女はまた目を逸らしてしまった。とことん警戒されているらしい。 「…ふぅ…どうやら嫌われてしまった様だな。まぁ、後はお二人、仲良くしてくださいな」 そう言って業盛はその場から離れた。ささやかな殺意と共に。 29 名前:変歴伝 [sage] 投稿日:2009/01/11(日) 19 49 58 ID LSgCYW8W 今日はここまでです。出来れば一日これぐらいのテンポで進みたいです。 頭と腰が痛いです。へんなところがないか不安です。 30 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/11(日) 19 53 33 ID 8cUkxi39 29 次から書き終えてから投下しような?大抵みんなコピペで投下してるだろうし 変なところといえばそのくらいだ。GJ 31 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/11(日) 20 33 18 ID Z2KqBogB まあ、過去にも書きながら投下していた人はいたし完全に悪いってわけじゃないんだが、 やっぱり間が空きすぎなのでそこは改善してもらえれば。 話はどこか暗い雰囲気があって面白そうなので期待。 32 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/11(日) 20 47 15 ID pm+XQn99 ヤンデレ家族は来ないか。 33 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/11(日) 20 51 30 ID 4U6lTPL2 書きながら投下禁止なんてテンプレのどこにも書いてないけどな それどころかぶつ切りでの作品投下もアリとまで書いてるし 34 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/11(日) 21 00 15 ID 6GxcQIWZ 33 書きながら投下だと他の作家さんが投下しづらくなるからかな マナーってやつです 35 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/11(日) 21 44 58 ID ttLQ0peD まさか、紙に書いたやつを直接スレに打ち込んでるのか? にしては時間かかりすぎだが まあ紳士は待つのも仕事のうちだ 36 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/11(日) 22 24 38 ID rCfrNZfi 人気あるスレは言うことも違うね。 37 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/11(日) 22 26 04 ID vEVb72ME 普通書き溜めてからコピペして投下するだろ 38 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/11(日) 23 19 06 ID P5XT5u54 33 それとは意味が違う 39 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/12(月) 00 17 26 ID gzaQ0t+t みんな病んでるな 40 名前: ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2009/01/12(月) 09 46 20 ID hgEnhONI ぽけもん 黒 投下します 第11話です 41 名前:ぽけもん 黒 激戦! 桔梗ジム! ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2009/01/12(月) 09 50 38 ID hgEnhONI しばらくポポの頭を撫でた後、もういい時間だったので一度ポケモンセンターに戻って昼食をとった。二人に尋ねたところ、二人とも体力はまだまだ余裕とのことだったので、フラッシュを部屋に置くと僕はジム戦に挑むことに決めた。 この城都地方には八つのポケモンジムという施設があり、その施設でジムリーダーと呼ばれる国から任命されたプロのトレーナーにバトルで勝って、 勝った証であるバッジを八つ集めないと石英高原へと続く唯一の道であるチャンヒオンロードには入れないようになっている。 当然、石英高原に行けなければチャンピオンリーグに参加は出来ないわけであって、となれば当然チャンピオンとなって殿堂入りすることもできないわけである。よって、トレーナーはまずこの城都地方の八つのジムを制覇しなければならないわけだ。 ポケモンセンターを出発した僕たちは、程なくしてこの街のジムに着いた。白塗りの大きな体育館みたいな形をしていた。体育館と歴然と違う点は、壁面に大きく赤い文字で「ポケモンジム」と書かれている点か。 分かりやすいな。僕たちがジムに入ろうとすると、ちょうど二人の人間がとぼとぼと出てきた。うち一人は腕に包帯を巻いて、首から吊るようにしている。大方、ジムリーダーに挑戦して返り討ちにあったのだろう。 さすがジム戦、といったところか。やはり一筋縄ではいかないだろう。気を引き締めないと。 ドアを開けた僕の目に映ったジムの内観は、外観とは異なり異質なものだった。 床は土で出来ていて、白線が大きな長方形を作るように引かれていた。さらに白線の内側の地面は、低部と高部を比べると僕の背丈の半分はあるだろうと思われるほどの大きな凹凸がなだらかにあり、平らな場所がほとんどない。 確か桔梗市のジムリーダーであるハヤトさんは鳥ポケモンをパートナーにしていたはずだ。それにあわせて、飛べる者に有利に働くようにジムを作ってあるのだろう。自分に有利な環境で戦うってことは戦術的には正しいことなんだろうけど、なんだか卑怯な気がする。 「お、君も挑戦者?」 入り口の向かい側、正面の壁のすぐ傍に片目を覆い隠すほどの長い前髪を持った男と、ポポに似た見た目のポケモンが二人いた。つまり相手もポポと同じ種族ということだろう。 ジムリーダーの使うポケモンはある程度規制されていて、序盤のジムではジムリーダーはそんなに高い経験を積んだポケモンは使えないようになっている。 しかしポケモンの年齢や経験自体は低くてもジムリーダーによって鍛え抜かれている上に、ジムリーダーの的確な指示と道具の使用があるから、決して侮れはしない。 「はい、そうです」 僕はその男の呼びかけに答えた。 「じゃあ、早速始めようか。ハタ、クウ、大丈夫だね?」 彼は脇に控える二人のポケモンに指示を出している。この様子からすると、彼がジムリーダーのハヤトさんみたいだ。 「大丈夫です」 「はい、行けます」 そう答えて二人の少女が進み出た。年齢の低いほうでもポポよりは年上に見える。なにより、二人ともうちのポポより大分賢そうな顔つきをしている。いや、賢そうな顔つきをしているから年上に見えるだけなのかな。 42 名前:ぽけもん 黒 激戦! 桔梗ジム! ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2009/01/12(月) 09 51 30 ID hgEnhONI 「いいんですか? 先ほどバトルがあったみたいですけど」 「構わないさ。先ほどの彼、気絶してしまって、しばらくここで休ませていたんだよ。だから僕らは十分に体力を回復している。それに、最初から相手にもならなかったしね」 随分と自信があるようだ。そしてこの自信は実力による裏づけのないものではないだろう。 「僕はハヤト。見てのとおり、ここ桔梗市でジムリーダーをしている。知ってのとおり、鳥ポケモンをこよなく愛する、鳥ポケモン使いさ」 愛するって、この人は何で自分のフェチを告白しているんだろう。それ以前に、一夫多妻制を公言してはばからないような人だな、この人は。そりゃあ、ジムリーダーだから多くの女性を養えるような財力は持っているんだろうけど……。 そういえば、ジムリーダーという人種は皆パートナーとするポケモンにかなりの偏りがあるんだっけ。そう考えると、なんだか変態集団みたいだ。 ……いやいや、僕は何を考えているんだ。目の前の人のせいで、一瞬パートナーイコール恋愛対象、みたいなおかしな錯覚を覚えてしまった。そ、それはおかしいぞ! そしたら僕だってそういうことになってしまうじゃないか! ハヤトさんは僕の葛藤など知る由も無く、話を進める。 「それに、僕のパートナーで今回君達の相手をする、ハタとクウだ」 「ハタです」 そう言って、年下のほうの子が軽く会釈した。こっちがハタさんか。すると年上に見えるほうがクウさんだな。 「クウです。よろしく」 「僕はゴールドです。よろしくお願いします。こっちが僕のパートナーの香草さんと、ポポです」 僕が紹介するのにあわせて、二人も軽く会釈した。 「ほう、君も中々話の分かる人間みたいだね。いい趣味をしている。しかし、そっちの草ポケモンはないんじゃないかい? 草ポケモンなんて所詮は鳥ポケモンに踏みにじられる存在、それ以外に価値はないね」 「き、聞き捨てならないわね。何か言った? 鳥なんて劣等種族好きの変態」 ハヤトさんの変態的かつ挑発的な発言に香草さんが噛み付いた。 香草さん、それブーメランだよ。身内にもダメージだよ。劣等種族って、それじゃあポポの立場はどうなるのさ。 「劣等種族ってなんですか?」 そう思っていたらポポが僕に小声で尋ねてきた。よかった、無知は罪って言うけど、時には身を助けることもあるんだね。 ハヤトさんはやれやれ、といった様子で、香草さんの発言を意に介していないようだ。 「とにかく、誰が戦うか決めようよ」 「私がいく!」 「ポポがいくです!」 僕が言うと、二人同時に名乗りを上げた。はあ、予想通りとはいえ、困った。 「何よ、アンタみたいなバカじゃ相手にならないわよ!」 「香草サンのほうがバカです! あいしょうを考えてないです!」 「な、アンタだけにはバカって言われたくないわよ! このバカ!」 「バカじゃないです! バカは香草サンです!」 「そもそも、アンタ、サンまで含めて私の名前だと思ってるでしょ! 私の名前は香草チコなんだから!」 「で、でもゴールドは香草サンって呼ぶですよ?」 「さんは敬称だよ。ええっと、敬称っていうのは、丁寧な言い方っていうか……」 「分かったです。じゃあチコって呼ぶです」 「……アンタに呼び捨てにされるのもなんか癪ね」 「あー、二人ともやめようよ」 「ハハハハハ、随分と愉快な子供たちだね。まだ僕に挑むには色々と早いんじゃないかな?」 ハヤトさんが野次を飛ばしてきたが、いちいち構っていては話が進まないので無視する。 「じゃ、じゃあじゃんけんで決めよう! じゃんけんで! それで、勝ったほうが先に戦う、負けても勝っても一回交代。これなら文句ないでしょ?」 「あるわよ!」 「あるです!」 予想通りの二人の返答に、僕は額を抑えた。 43 名前:ぽけもん 黒 激戦! 桔梗ジム! ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2009/01/12(月) 09 52 12 ID hgEnhONI 「二人とも、自分一人で十分だって言いたいのは分かるけど、相手はジムリーダーなんだよ? こんなことでもめてる場合じゃないよ」 「ふん、あんな変態、私の敵じゃないわ!」 「おお、頼もしいね。せめて彼女達のウォームアップになればいいけど」 ハヤトさんはこっちの発言が聞き捨てならないのか、単純に暇なのか、さっきからいちいち口を挟んでくる。 もうハヤトさんうっとうしいんでしばらく黙っててください。 「分かったから、はい、ジャンケン――」 と、ここまで言って気づいた。 「そもそも、ポポはジャンケンできないね」 翼だしね。手ないしね。 「ジャンケンってなんです?」 ポポは不思議そうに小首をかしげている。尋ねてくるのが遅いよ……。 「このバカ!」 香草さんはポポに向かって怒鳴る。このままだとまた口げんかになるのは目に見えていた。だから僕は再び喧嘩になる前に慌てて打開案を打ち出した。 「じゃ、じゃあクジで決めよう! 赤い色がついていたほうが先に戦う、それ以外のルールはさっきと同じで」 というわけで、僕はティッシュを使い急遽即席のクジを作った。 「はい、じゃあ同時に引いて――」 と、ここまで言って気づいた。 「そもそも、ポポはクジを引けないね」 翼だしね。手ないしね。 「クジってなんです!」 今度は抗議するように翼をバサバサと震わせる。どの道遅いよ……。 「……もう黙ってなさい」 香草さんも、もう馬鹿にする気力もないらしい。 「しょうがない、香草さんがクジ引いて、あまったのがポポのってことにしよう」 「ホントに……しょうがないわね」 香草さんは手で半眼を覆いながら、クジに手を伸ばした。引かれたティッシュの先には、赤いインクがしみこんでいた。 「赤ね」 「赤だね」 「赤です」 「じゃあ香草さんが先行だね」 ようやく順番が決まった。 まさかバトルじゃなくてバトルの順番を決めるだけでこんなに疲れることになるなんて。 僕は安堵の息を吐きながら香草さんの肩に手を置いた。 「やった! さあ来なさいでかいほう! ギッタギタにしてやるわ」 香草さんはとても嬉しそうに白線の内側に入る。 「おいおい、鳥ポケモンに対して草ポケモンを出してくるとは。この僕も随分と舐められたものだね」 ハヤトさんは前髪を掻き揚げながら言った。 「うっさい! 早くしなさい!」 「君みたいな品のない子供相手に本気を出すのは大人げないってものだね。いっておいで、ハタ」 ハヤトさんの言葉を受けて、ハタさんも白線の内に進み出た。 「では、これより若葉町出身ゴールド対桔梗市ジムリーダーハヤト、試合を開始します。」 突然、そんな言葉がアナウンスされた。驚いてあたりを見回せば、ちょうど両者の中間あたりの端に、審判と思しき、赤と白の二つの手旗を持った男が立っていた。胸にはピンマイクと思しきものが付けられている。さすがジム、なんだか本格的だ。 彼は続けて、試合のルールを説明した。ルールと言っても、普通のバトルのものと特に変わらないものだった。 違うところといえば、白線の外に出てしまったら負けになってしまうことくらいだ。同意を求められたので、僕、ハヤトさん共に同意した。僕達の同意を受けて、審判は赤い旗と白い旗を高く掲げ、一気に振り下ろした。 「試合、開始!」 そのアナウンスがなされるやいなや、ハタさんはすぐに上空へ飛び上がった。 「香草さん、蔦で相手の足を掴んでそのまま地面に引き摺り下ろすんだ!」 「言われなくても!」 44 名前:ぽけもん 黒 激戦! 桔梗ジム! ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2009/01/12(月) 09 53 06 ID hgEnhONI 「ハハハ、ハタはそんな蔓なんかにつかまるほど遅くは……」 ハヤトさんが言い終わらないうちに、ハタさんは蔦につかまりそのまま地面に強烈に叩きつけられていた。 地面に叩きつけられたハタさんは小さく痙攣するのみで、ハヤトさんの呼びかけにも、審判のカウントにもまったく反応しない。 「ふん、目障りな小鳥ごときが、この私に勝てるとでも思ったわけ? 生物として格が違うのよ、格が」 香草さんはハタさんを見下ろすと、そう吐き捨てた。 「は、ハタ戦闘不能!」 審判がテンカウントを終え、そう宣言すると、救護班と思しき人たちが慌ててハタさんを担架に載せてフィールドの脇に運び出した。 「やりすぎだよ香草さん! 引き摺り下ろすだけだって言ったじゃないか」 僕は思わず香草さんに怒鳴る。ハタさんの様子はただ事ではなかった。気絶くらいで済んでいればいいけど、もし命に関わるようなことがあったら一体僕はどうすればいいんだ。 「アンタはいちいちやり方が消極的過ぎんのよ! 敵に容赦なんていらないわ! それに、殺すほど強くはやってないわよ」 その自信は一体どこから来るのだろうか。でも、ポケモンは人間と違って丈夫だし、香草さんがそういうのなら大丈夫なのかな……。 僕は白線の外でハタさんに応急処置なのか治療なのかを施している救護班の人を見やる。救護班の人はスプレーのようなものをハタさんに浴びせている。 傷薬の類だろうか。スプレーを浴びせられること数十秒、どういう原理かは分からないけどハタさんは意識を取り戻した。僕はほっと胸を撫で下ろす。 「ほら。言ったとおりでしょ。さあ! 早く来なさい次の鳥!」 香草さんは語気荒くハヤトさんに呼びかける。なんと好戦的なのだろうか。 「約束が違うです!」 もう香草さんは誰にも止められない。僕にはそう思われたが、そう思ったのは僕だけだったのかもしれない。自分に代わらず再び対戦しようとしている香草さんにポポが食って掛かった。 「知らないわよそんなの!」 見事な否定だ。めちゃくちゃなことを言っているというのに、ここまでくるといっそ清々しくすらある。でもあっさりその清々しさに従うわけにはいかない。 「香草さん、ルールは守らないと」 「……分かったわよ」 香草さんは僕の予想に反してあっさりと引き下がった。絶対にまた一騒動起こすかと思ったのに。 「クウ、早く相手を倒してあの女をフィールドに引きずり出してやれ。敵討ちだ」 ハヤトさんは心中穏やかではないらしい。口調はまだ冷静だけど、雰囲気からは怒りの感情が透けて見える。自分の自慢のパートナーがあっさりと一撃昏倒させられたことにプライドが傷つけられたのか、それとも自分の愛するものが酷く痛めつけられたことに対して怒ったのか。 「はい、マスター」 クウさんは凛とした表情で、フィールドに足を踏み入れた。 両者がフィールドに出揃うと、再び審判によって戦闘開始が宣言された。 今回は間違いなく空中戦になるだろう。それなら先に後ろをとったほうが有利になる。 45 名前:ぽけもん 黒 激戦! 桔梗ジム! ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2009/01/12(月) 09 53 50 ID hgEnhONI 僕の予想通り、二人ともバトル開始直後に宙に浮いた。 「ポポ、電光石火で相手の後ろに回りこめ!」 「クウ、電光石火で回避」 ハヤトさんが僕の仕掛けるのを待っていたのか分からないけど、僕たちが初手を取ることができた。ポポは素早くクウさんの背中側に回り込む。しかし相手も高速で回避した。だが、電光石火のキレはクウさんよりポポのほうが上に思える。 「ポポ、追いつけるぞ! 追いついたらそのまま背中に飛び掛るんだ!」 僕はこのまま一気に押し切れると踏んで、ポポにそう指示を出した。 僕はこの時点ではまだ気づいていなかった。ハヤトさんの戦略にまんまと乗せられていたことに。 クウさんは素早く、上下左右、縦横無尽に、自然界に比べれば圧倒的に狭いジムの内部を器用に飛び回る。最高速度はポポのほうが上なのだが、急な方向転換の所為で中々追いつけない。 しかし僕は彼女の動きを見ているうちに、急な方向転換をとる前にはある程度減速することに気づいた。これでクウさんの行動を少しだけど先読みできる。僕はそれを踏まえてポポに指示を出す。 僕の指示のお陰か、クウさんに攻撃がかすり始めた。後一歩。後一歩で相手に大きなダメージを与え、地面に落とすことができる。 何度目か、再び壁が迫ったときだった。このまま進んでいけば確実に壁に激突する。しかもクウさんの飛んでいる角度からして、彼女は急な方向転換をせざるを得ないと思われた。 これはチャンスだ、と思った。クウさんが減速したところに突っ込んでいけばいいだけだ。実際、ポポにはそれができるだけの速さがあった。 「ポポ、速度を上げるんだ!」 だから僕はこんな指示を出した。 いよいよ壁が迫ったとき。クウさんは今までと違い、まったく減速することなしにV字に曲がって壁を回避した。僕は勝ちを確信して、完全に油断していた。 嵌められた。そう気づいたときには、もはやポポはすぐに止まれるような速度ではなかった。しかもポポはクウさんと違い、急カーブの類の技術を持っていない。 ぶつかる! 僕は怖くて目をつぶった。しかし、衝突音は聞こえてこない。僕は恐る恐る目を開けると、ポポは壁の手前でかろうじて止まっていた。僕はホッと胸を撫で下ろす。 「ポポ、場外! 勝者クウ!」 が、レフェリーの声によって僕はすぐに現実へと引き戻された。なんとか壁にはぶつからなかったものの、白線からは明らかにはみ出していたのだ。 「ゴールド、ごめんなさいです……」 ポポは明らかに肩を落として、ふらふらと戻ってきた。目の端には涙の粒が浮かんでいる。 「謝るのは僕のほうだよ……あんな見え見えの策略にまんまと乗せられて……。周りが見えていなかった。ポポは良くやったよ。お疲れ様」 そう労いの言葉をかけたものの、ポポは相変わらず落ち込んだままだった。 今回の敗北の責任は明らかに僕にある。慰めとかそんなのじゃなくて、本当にポポが落ち込む必要は無いのに。 溜息を吐きそうになるのを寸でのところで堪えた。今溜息をついたりなんてしてしまったら、ポポが負けたことでポポに落胆しているのだと誤解されかねない。 「ハハハ、バトルは単純な強さばかりでやるものでないことが分かってもらえたかな。特に、そちらの凶暴なお嬢ちゃんには」 勝ったハヤトさん上機嫌だ。 その挑発を受けて、香草さんは目を細めてハヤトさんを睨みつける。 「殺……」 「殺しちゃダメだよ香草さん!」 物騒な単語を吐きながら、ゆらりと体を相手のほうに向けた香草さんをすぐさま宥める。 彼女なら、本当にやりかねない。 「だってあいつら卑怯じゃない!」 香草さんは僕の制止を振り切ろうと僕に食って掛かる。 「ハハハ、卑怯でもなんでもない、ただの戦略さ。まあ君みたいな野蛮な子には分からないかもしれないけどな」 またこの人は余計なことを……。 「殺……」 もうすぐさま飛び掛らんばかりの香草さんの進路を塞ぐようにして香草さんを抑える。 「だからダメだって香草さん! アレは僕が迂闊だったのもいけなかったんだ」 ハヤトさんの言うとおりだ。バトルは単純な強さばかりでやるものではない。もしそうなら、トレーナーなんて何の価値もない。 46 名前:ぽけもん 黒 激戦! 桔梗ジム! ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2009/01/12(月) 09 55 13 ID hgEnhONI 相手の種族、性格、相手トレーナーの傾向、そして自分のパートナーの種族、性格、自身の傾向、そして持っている道具、地形、天候、他諸々。 それらを考慮し、最善と思われる作戦を考え、パートナーに分かりやすく指示を与え、パートナーが自分一人で戦うよりも有利に戦えるようにする。 それこそトレーナーの役割だ。僕は、ポポや香草さんの強さに甘えていたのかもしれない。なにせ二人ともとても強いから、僕が特に何も考えず、何も指示を与えなくても彼女達は結果を出せてしまった。 そのことが僕自身の怠慢を生んだのかもしれない。しかし、同じ失敗は二度は繰り返さない。 クウさんの能力、ハヤトさんの考え、香草さんの能力と性格、それらを考慮し――それをすべて考えられていたというのは僕の思い上がりかもしれないけど――、僕は作戦を考えた。 「だから今度は……」 僕は作戦を伝えようと香草さんに顔を寄せる。一瞬、香草さんが驚いた顔をしたかと思うと、次の瞬間には僕の腹部に香草さんのボディーブローが突き刺さっていた。 こうかは ばつぐんだ! 「ご、ゴールド!?」 体中からいろんな体液を噴き出しながら地面に倒れた僕に、目線を合わせるように彼女も屈みこむ。 体重の乗ったいいパンチだった。格闘技のことは良く知らないから、本当のところどうなのかは分からないけど。 僕の属性は間違いなくノーマルだな。一撃で瀕死になりそうだ。 「ち……違うんだよ。ちょっと……耳打ちをしようかと思って……」 僕は自分の目に浮かんだ涙を拭いながら、誤解を解こうと説明する。 香草さんは僕にあまりいい感情を持っていないのを忘れていた。でも、さすがにこんな力で思いっきり殴られるのは想定外だったな。 「大丈夫!? で、でも、急にあんなことしたアンタがいけないんだからね!」 彼女はツンと僕から視線逸らす。 そうだよね、好きでもない相手にいきなりにじり寄られれば、そりゃあボディーブローだって出ちゃうよね。しょうがないよ、うん。 「うん……そのとおりだよ。昼ご飯が喉の辺りまで上がってきたけど、もう大丈夫だよ……。それでさ、ちゃんと耳打ちするから、香草さんには絶対に指一本触れたりしないから、だからちょっと耳を貸してください」 僕はそう言いながら起き上がると、荒い呼吸を整える。 「だ、だからそういうつもりじゃなくて……」 香草さんの弁明は嬉しいけど、今はそんなフォローを長々と聞くつもりはなかった。 香草さんの耳に口を近づけると、僕は今回の作戦を説明する。 香草さんに近付くと、彼女の頭の葉っぱから漂ってくる甘い香りがことさらに強調されて感じる。 それに、ただ耳打ちしているだけなのに、香草さんは「ひゃ!」とか、「はうっ!」とか、悩ましい声をあげてくる。耳が弱いのかな。でも、こう、僕の精神衛生上あまりよろしくないから、できれば抑えてもらえると嬉しいんだけどな……。 「焼き付け刃の作戦が俺に通用するかな?」 「やってみなくちゃ、分かりませんよ」 不敵に微笑んでくるハヤトさんに対して、僕も笑みを返してやった。 香草さんとクウさんはフィールド上で互いに睨みあっている。 「挑戦者ゴールド、チコ対ジムリーターハヤト、クウ……バトル開始!」 今度も、審判のバトル開始の宣言と共にクウさんは空中へと飛び上がった。 「香草さん、蔦で捕まえて!」 僕の命令に答えて、香草さんは無数の蔦をクウさんに向けて伸ばす。が、クウさんの速度はポポよりは遅いとはいえハタさんより上、しかもハタさんのときのように油断してないときた。 クウさんは先ほどのポポとのバトルでの疲労もあるはずなのに、まったくそれを感じさせない。先ほどのように何もせずに捕まえることは難しそうだ。とはいえ、ここまでは予想通りだ。 「香草さん、眠り粉!」 僕が指示を出すと、香草さんの頭の葉っぱと袖口から、無色の粒子が噴出した。 細かい粒子に太陽の光が乱反射して、香草さんの周りがキラキラと輝く。 それは、とても戦闘中とは思えないような幻想的な光景だった。 「フフ、自分の周りを眠り粉で覆ってしまえば攻撃されないと考えたのかい? 甘いね! クウ、風起こしで彼女の周りの眠り粉を吹き飛ばせ!」 47 名前:ぽけもん 黒 激戦! 桔梗ジム! ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2009/01/12(月) 09 56 26 ID hgEnhONI クウさんは空中で激しく羽を羽ばたかせることによって香草さんの周りに立ち込めていた眠り粉を吹き飛ばした。しかし、これこそ僕の狙いだった。風を起こすために羽ばたいている間は、彼女の移動は制限される。 「香草さん!」 「分かってるわよ!」 香草さんは強風の中で瞬時に数本の蔦を束ね、クウさんに向けて勢いよく伸ばす。 「風起こしで身動きがとり難くなっている内に蔦で捕らえる作戦か。甘いね! そんな柔な蔦ごとき、この風で容易に切り裂ける!」 「この私を、その辺の柔なのと一緒にしないでよねぇ!」 確かに、一本じゃこの風に耐えるのは難しいだろう。でも、何本も束ねた蔦ならば、多少の風じゃ容易には切り裂けないはずだ! 僕の予想通り、蔦は見事にクウさんを捕らえた。 「何!」 「おおおおおおおおおおおおおおお!!」 ハヤトさんは慌てるが、もうすでに勝負はついていた。香草さんは雄叫びと共に、クウさんをブンブンと振り回し、勢いをつけて壁に向かって投げつけた。壁にしたたかに叩きつけられたクウさんは、そのままずるずると地面へと落下した。 「ク、クウ場外! 勝者チコ! よって挑戦者ゴールドの勝利!」 審判によって、僕の勝利が高らかに宣言された。 「今度はちゃんと加減したわよ?」 またやりすぎだよ、と諌めようとする僕を制するように彼女は言う。 加減したといっても、相手は今度も気絶してるみたいだけどね……。 戦いを終えた僕とハヤトさんは、フィールドの中央で向かい合った。 「クソッ、俺の負けだ。草ポケモンだからといって、甘く見ていたようだ……。だが、彼女達の実力はまだまだこんなものじゃない。それを誤解しないで欲しい。 それと、これがこのジムのバッジ、ウイングバッジだ。それにこれも持っていくといい。これは技マシン31、泥かけだ。君のパートナーに覚えさせるといい」 「ありがとうごさいます」 僕はハヤトさんからバッジを小包を受け取った。 「ウイングバッジ、ゲットだぜ!」 僕はバッチを高く掲げると、天井に向かって大きな声でそう言ってみた。 「どうしたの突然」 香草さんに怪訝そうに見られた。僕は慌てて弁明する。 「い、いや、なんだかこう言わなきゃいけない気がしてさ」 「ふーん。変なの」 そう言って、香草さんは上機嫌にクスクスと笑った。 48 名前: ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2009/01/12(月) 09 58 22 ID hgEnhONI 投下終了です サブタイトルはあまり考えずにつけてるので、本文の内容とそぐわなくてもご了承ください 49 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/12(月) 10 06 41 ID UqF7+w/V 待ってました!GJ 50 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/12(月) 10 14 37 ID EAWUoW1i グッジョブ!! 51 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/12(月) 10 49 44 ID WFSrqLvP GJ- 52 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/12(月) 11 14 00 ID FHldhcFj キター!!!!!! GJ! 53 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/12(月) 11 15 26 ID SVOaVGJ9 やはり、ヤンデレはレナみたいな女の子に限るわ 54 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/12(月) 11 24 37 ID cpwpISGN 53 帰れ 55 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/12(月) 12 51 33 ID 1qV+KQ5J GJ! そういやジムリーダーで思いだしたけど 金銀にはアカネにミカンが・・・ゴクリ。 56 名前:変歴伝 3[sage] 投稿日:2009/01/12(月) 13 59 19 ID +i2fP80o 投稿します。 前回は管理者、閲覧者の人たちに迷惑をかけて申し訳ありませんでした。 コピペの意味がよく分からず、しばらく考え込みました。 次からはこのようなことがないようにがんばります。 ではどうぞ。 57 名前:変歴伝 3[sage] 投稿日:2009/01/12(月) 14 01 12 ID +i2fP80o 休憩時間が終わり、作業が再開した。 こつをつかんだ業盛は、速度を上げて稲を刈り取っていき、さらに刈り取った稲を干す作業も行った。 全作業を終わらせ家に帰る頃、すでに日は沈んでいた。 「あーよく働いた。今日はぐっすり寝て明日の出発に備えるとするか」 「…そうですね…」 なにやら平蔵が暗い。その理由は考えるまでもない。少し鎌をかけてみるか…。 「そんなに葵さんと離れるのが嫌か?」 「い…いえ、そんなことは…」 動揺しているな。分かり安すぎる。 「そう隠すな。今日、お前等二人を見ていたが、よっぽど気が合った様に見えたぞ」 「た…確かにそうですが…これ以上出発を延期するのは…」 まったく、そんなことを心配しているのか。だったら仕事を手伝うなどと言わなければいいものを…。 まあ、仕方がない。少し助け舟を出してやるか。 「菊乃さん、もうしばらくここに滞在したいのですが、よろしいですか?」 「えっ…まあ…いいですけど…どうかしたのですか?」 「いえいえ、たいしたことではありません」 平蔵は驚いて業盛を見ている。ここは一つ、いいことを言っておかないと。 「お前の決心が付くまでここにいるがいい。お前が葵さんとどうなろうと、私はなにも言わないよ。まあ、悔いを残さないことだな」 そう言うと、平蔵が泣きながら「ありがとうございます」と頭を下げて言った。 そんな顔を見て、いまさら見返りを期待しているなど口が裂けても言えない、と業盛は思った。 次の日から、平蔵がニコニコしながら農作業に向かっている。 農作業は葵さんと話すための口実でもあるが、まあ、作業自体はやっているので文句は言われないだろう。二人の仲が深まっていくのは、遠くから見ていても察することができる。 そして、見ているこっちは非常にいらいらした。 帰り道、平蔵が駆け寄ってきて言った。 「業盛様、明日、葵さんに家に招待されることになりました」 速いなあ、おい。平蔵、お前、彼女になにを言ったんだ。いくらなんでも展開が速すぎるだろう。 「これも全て業盛様のおかげです。本当にありがとうございました」 平蔵が笑顔で頭を下げた。前言撤回。やっぱり見返りを要求しよう。それも倍の量を。 家に帰ってから、平蔵から散々のろけ話を聞かされ続けた。むかむかしてきたので業盛は夜風に当たりながら散歩にしゃれ込むことにした。 58 名前:変歴伝 3[sage] 投稿日:2009/01/12(月) 14 02 07 ID +i2fP80o 急がなくては。決心が付くのに時間が掛かってしまった。 私は胸の辺りを少し撫でた。冷たい、ひんやりとした感触が伝わってきた。 これは決別の証。今までの全てと決別するための証。 あの女はまだ待っているのだろうか。私は待ち合わせている森に向かった。あそこならば誰にも見られる心配はないからだ。 女は待っていた。腕を組んで、さぞ不機嫌そうな顔をして。 「あんた、私をこんな時間に呼び出してなんの用だい」 女の顔は怒りで酷く歪んでいる。醜い。彼はなぜこのような女に声を掛けたのだろう。こんな女と話すのも虫酸が走るが、言わなければならない。 「…あ…あの…」 このような時に、私はいつものようにどもってしまう。それが口惜しかった。 「…もう…これ以上…景正様に声を掛けないで…ください」 言った。途切れ途切れだけど言えた。すると女の顔が少しずつ赤くなってい った。 「はあ、あんたなに言ってんの?私が誰に声を掛けようと私の勝手でしょう。なんで私があんたにそんなことを咎められなきゃなんないのよ」 やはりこれだけでは分からないらしい。低脳な女だ。ならば低脳でも分かるように説明しなければなるまい。 「…どうしても…どうしてもなんです…。…私…景正様が他の女性と話しているのを見ていると…胸が苦しくて…苦しくて耐えられなくなるんです。…だから、もう景正様に声を掛けないでください。それだけでいいんです。お願いします」 「はあ?あんた、頭おかしいんじゃないの?そんなことで胸が苦しくなる?医者に見てもらったほうがいいんじゃないの?そんなくだらないことに呼び出して…時間の無駄だったわ」 これだけ言っても分からないか…。所詮はけだもの。けだものは男に腰を振るしか能がないのだ。私が理解を求めたのが間違いだったのかもしれない。 女は私に背を向けている。考えるより先に、私は胸から包丁を取り出して女にぶつかった。 女が振り向いて驚いたような顔をした。その顔は滑稽だった。 最初からこうすればよかったのかもしれない。けだものと交渉してもなんの進展もないことぐらい初めから分かっていた。でも、やはりどこかに良心が残っていたのかもしれない。でも、それも吹っ切れた。 私は包丁を捻りながらさらに深く、深く突き刺していく。グチュ…グチュという嫌な音が響く。 女は私に抵抗らしいことをしなかった。ただ「やめて…助けて」と、か細くつぶやくだけだった。 いい加減その声も聞き飽きてきた。私は突き刺している包丁をえぐるようにして引き抜いた。勢いよく血が噴き出してくる。包丁には太い管が巻きついていた。 「…見て…包丁引き抜いたら、あなたのはらわたも出てきちゃった。…もう、助からないわね…」 私はおどけて言ってみせた。女はこの世の終わりでも見るような顔をして自ら血の海にその身を浮かべた。 私は女の脇腹からはみ出ているはらわたを踏み潰した。グチャ…という音と鼻を突き刺す悪臭がした。 私は笑っていた。変わった。変われたのだ。今だったらなんでも出来そうだ。こんなにすがすがしい気持ちは何年ぶりだろう。 「あーあ、服が汚れちゃった」 服は女の返り血で黒く染め上げられていた。 「この服はまたいつかのために取っておこっと」 またいつか、この服を着なければならないときが来るかもしれないし…。 そういえば景正様、いつも菊乃さんと一緒に来てたなあ。あの人とはどんな関係なんだろう? …もし付き合っていたら…どうしよう?その時は…。 私は月を見上げて笑っていた。月は狂おしいほど美しい満月だった。 59 名前:変歴伝 3[sage] 投稿日:2009/01/12(月) 14 04 39 ID +i2fP80o とんでもないものを見てしまった。あの葵さんが…蚊も殺せそうにない葵さんが人を殺したのだ。 森に入っていく葵さんを付けてみただけなのに、なぜこのようなことになってしまったのだろう。 このことを平蔵に告げねば。そして二人を別れさせなければならない。 恨まれるだろうなぁ。しかし、これも平蔵のことを考えてのことだ。 家に帰るなり、平蔵に今さっきあったことをすべて告げた。平蔵はポカンと口を開けている。 「業盛様、なにを言っているのですか?葵さんがそんなことをするわけないでしょう」 「本当のことなのだ。葵さん…いや、葵に近付くのは危険だ。明日は葵に話しかけられても無視しろ。家にも行くな。いいな」 「なんで業盛様にそのようなことを言われなければならないのですか。業盛様、言いましたよね。 『お前が葵さんとどうなろうと、私はなにも言わない』と。あれは嘘だったのですか?」 「嘘じゃない。本当だったさ。しかし状況が変わったのだ。お前がこのまま葵と付き合ったら、お前は間違いなく殺される。 私はお前のためを思って言っているのだ。頼むから言うことを聞いてくれ」 これだけ言っても平蔵は首を縦に振らなかった。再び説得しようとしたが平蔵は聞きたくないとばかりに横になって寝てしまった。 こうなってしまっては平蔵はてこでも起きない。仕方がない。明日、時間いっぱい説得しよう。それで駄目なら強硬手段に出るしかない。 来てほしくない朝が来た。今日、平蔵が帰らぬ人になるかも知れないのだ。 目の前で知人が死ぬのはとても後味が悪いことだ。朝起きて再び平蔵を説得する。しかし平蔵はしつこいとばかりにさっさと支度して出て行ってしまう。 人がこれほど言っても話を聞かない平蔵にいい加減いらいらしてくる。 平蔵は今、葵としゃべっている。今まではなんとも感じなかったが、葵の平蔵の見る目がおかしい。目に輝きがなく、まるで底なし沼でも覗くかのように淀んでいる。 それは背筋をなめられるかのような嫌悪感を抱かせた。 もう時間がない。早く説得せねば。 「平蔵、考え直したか?」 葵の家に行く準備をしている平蔵に問い掛ける。 「まだ言っているのですか?いい加減にしてください。私は考えを改める気はありません。そろそろ時間なので失礼します」 やはり駄目か…。仕方ない。やはりこうするしかないらしい。 「平蔵…」 平蔵に呼びかける。平蔵が不機嫌そうに振り向く。 俺は平蔵の腹部に殴り掛かった。 「な…業盛様、なんのつもりですか!」 平蔵は跳躍して避けた。当然のように平蔵が驚き、非難の声を上げる。 「もはや…もはやこれしか方法がないのだ」 再び一歩踏み込んで平蔵に殴り掛かる。しかしそれは誘いの手だ。本命は平蔵が一歩引いた直後に回し蹴りを叩き込むことだ。だが平蔵はこれを読んでいた。回し蹴りを腕でいなした。 「業盛様、あなたがそこまでして私と葵さんの仲を裂きたいのは分かります。ですがお願いします。行かせてください」 「駄目だ。何度も言うが行ったら殺される。私は助けられる友を助けずに後悔をしたくないのだ。そのためなら、私はお前の手足をへし折ってでもこの村から出て行く」 平蔵は構えを崩さない。今まで平蔵と組み手をして、平蔵が俺に勝ったことはない。構えを崩すことは敗北に繋がる。 しかし、平蔵が構えを解いた。諦めてくれたのだろうか。 「業盛様、私があなたと戦って勝てるとは思いません。今まで何度も負けているのですからね。…ですけど、私にもあなたに勝てるものがある」 平蔵が足元を蹴り上げた。砂が舞い上がり一瞬平蔵を見失った。平蔵はその隙に逃げ出した。 しまった。平蔵は俺より足が速かったのだ。くそ、撒かれたら探すのが面倒になる。 そう思い走り出そうとすると誰かに手を掴まれた。 「き…菊乃さん…」 手を掴んだのは菊乃さんだった。 「放してください。このままでは平蔵を見失ってしまう」 「業盛…様、行かないで…ください…」 なぜこのような時そのようなことを言い出すのだろう。菊乃さんは保護欲を掻き立てるような潤んだ瞳で見つめてくる。しかし、今はそれ所ではない。平蔵の…友の危機なのだ。 俺は菊乃さんの手を振り払った。後ろから声が聞こえる。泣き叫ぶ悲痛な声だ。胸が痛くなったが、今はそれを拭い去り平蔵を追った。 60 名前:変歴伝 3[sage] 投稿日:2009/01/12(月) 14 06 40 ID +i2fP80o 投稿終了です。 とりあえずこれでいいのでしょうか。 非常に不安です。 また、少し忙しいので、しばらく書けません。 では、またいつか。 61 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/12(月) 14 43 28 ID 8N0NcqAz GJ 62 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/12(月) 15 43 42 ID oVR3cw+d 60 乙乙、盛り上がってまいりました。 菊乃さんにもぜひ病んでもらいたいw 63 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/12(月) 18 53 23 ID YCbnbYKd パソコン慣れしてないのかな? ともかく応援するぜ 64 名前: ◆UDPETPayJA [sage] 投稿日:2009/01/12(月) 20 49 02 ID ZYnT4MCg お久しぶりです。 本来ならもうすこし間隔をあけて投下すべきなんですが、 パソコンの利用時間が限界に迫っていて、次はいつ使えるか分からないので今投下します。 ご容赦下さい。 65 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/12(月) 20 49 53 ID LwRP0GbY GJ!! 葵さん病むの早いなw 66 名前:天使のような悪魔たち 第9話 神坂 明日香 ◆UDPETPayJA [sage] 投稿日:2009/01/12(月) 20 51 24 ID ZYnT4MCg 「迎えに来たよ、お兄ちゃん。」 声の主は身長145cm・茶髪のツインテールで、フリフリのスカートを身につけた幼女…そう、明日香だった。 お兄ちゃん、なんて呼ばれたのは小学校時代以来だ。懐かしいなぁ。 「こんな時間に一人で出歩くなんて、変なオジサンに捕まっちゃうぞ?」 俺は軽くジョークを飛ばす。こういうときの明日香のリアクションもお決まりだ。 「私だっていつまでも子供じゃないんだからね!」 「いや子供だろ、見た目は。」 すかさず的確な突っ込みを入れる。明日香は「もー!お兄ちゃんてば!!」と怒って――― ばふっ、といきなり俺に抱きついてきた。かすかに石鹸の香りが漂う。月明かりに照らされた茶髪が、とてもきれいだ。何で今日はそんなことが気になったんだろう…… 「お兄ちゃん…すき。」 「…俺もだよ、明日香。」 くしゃくしゃ、と髪を撫でてやる。明日香はまるで額を撫でられた猫のように身をよじる。猫にしては少々大きいが…かわいい。 だが、次の言葉で俺の中からそんな余裕は消し飛んだ。 「ちがうの…私はお兄ちゃんを、お兄ちゃんとしてじゃなくて…」 「…え?」 「異性として、一人の男の子として……神坂飛鳥を………、愛してます。」 ―――おい明日香、冗談にしてはちょっと重すぎないか? たしかにちっちゃいときはよく「大人になったらお兄ちゃんとケッコンする!」なんて言ってたけど、 大きくなるにつれて、この国の婚姻制度を詳しく知るようになってからは言わなくなったはず…俺の記憶が正確ならば。 「ずっと昔から…ううん、産まれた時から好きだったのかもしれない。いつでもお兄ちゃんとひとつになるのが夢だったの。 ……でもお兄ちゃんはいつもいつも、私を妹としてしか見てくれなかった! もう我慢できないの…胸が痛くて苦しくて裂けちゃいそうで…。」 「………本気、なのか? ―――だとしても、それだけはだめだ明日香! 俺たちは兄妹だぞ!?」 俺は明日香の肩をつかんで、引き離した。明日香の眼からは涙が流れている。…おかしい、明日香の瞳はもっと澄んでいた。なのになんで、こんなにくすんでいるんだ? ……分からない。いったい何を考えているんだ? 67 名前:天使のような悪魔たち 第9話 神坂 明日香 ◆UDPETPayJA [sage] 投稿日:2009/01/12(月) 20 52 02 ID ZYnT4MCg 「やっぱりお兄ちゃんはそう言うんだね? でも大丈夫だよ。お兄ちゃんをばかにする奴がいたら私が消し去ってあげる。 こんな婚姻制度を作ったやつらがいけないんだよね、だったらみんな殺してあげる。お兄ちゃんは私だけのもの……誰にも渡さない。」 それだけ言って明日香は、俺の眼前に手をかざしてきた。そして瞬いたのは…黒い光だ。 なんで 黒い光 なんて言葉が出てきたのかは自分でも分からない。だが、もっとも近しい表現だと思う。 ―――もしかして……俺は、この光を知っているのか? 68 名前:天使のような悪魔たち 第9話 神坂 明日香 ◆UDPETPayJA [sage] 投稿日:2009/01/12(月) 20 52 54 ID ZYnT4MCg * * * * * 次に目が覚めたとき、俺はベッドに横たわっていた。起き上がろうとする、だが、それは叶わなかった。手首足首を何かでベッドの脚に拘束されていたからだ。 じゃら、と金属質の音がする。これは…極限まで実用性を重視した以下略の……… 「おふぁよ、おにいひゃん。」―――明日香だ。 さっきまで身に纏っていた可愛らしい服はどうしたんだろうか。何で明日香は裸なんだろうか? そして、ソコで何をしているんだ? ぴちゃ…ぺろ…じゅる… とても卑猥な音がする。そして、俺の相棒に何か生温かい、ぬるぬるした感触が与えられている。―――っ! ダメだ、もう! どぷっ…びゅる… 俺は迸りをそこに…明日香の口内に放ってしまった。明日香はソレを、実に旨そうに飲み下した。 その上気した表情はもはや妹などではなく、立派に一人の女としてのものだった。その姿に、俺の情欲も掻き立てられてしまう。……だめだ、妹に感じるなんて絶対に! 「…まだ、できるよね。ほら、見てお兄ちゃん。」 明日香は俺に跨がり、自分の大事な部分を俺に見せびらかすようにして拡げた。 初めてみるソコはピンク色で、お漏らししたかのように糸をひきながら粘液が垂れ落ちている。産毛すら見当たらない分、細かいところまでくっきりとわかる。 そして、その真下には俺の……… 「――――もうやめろ、明日香! 今ならまだ引き返せる!」 「引き返して、どこに行くっていうの? 私の帰るところはココだよ。」 明日香は、ゆっくりと腰を落とした。その狭い入り口に尖端が埋まり、徐々に進行してゆく。そして、とうとう……… 「――――っ!」 純潔の証である鮮血が流れた。もう引き返せない、俺たちは…堕ちてしまった。 「…うふふ……やっとひとつになれたね、お兄ちゃん。」 明日香の目尻にはうっすら涙がにじんでいる。痛いのだろうか、もしくはそれ以上に感動しているのか…? ゆっくりと、運動が再開された。 はっきり言って、首を締め付けられかのようにきつい。明日香のなかは、体格相応に狭かった。 「~~~~っ!! はぁ、はぁ…っ…ああああああっ!」 「……やめてくれ…明日香、痛いんだろう!? なんでそこまでするんだよ!」 「はぁ…はぁ…きまって、るじゃ、ない…っ! すき、だから…あああっ!」 もはや苦痛をこらえるその姿を見てはいられなかった。だから俺は顔を背けた。………後悔したよ。またもや信じられないものを見つけたから。 69 名前:天使のような悪魔たち 第9話 神坂 明日香 ◆UDPETPayJA [sage] 投稿日:2009/01/12(月) 20 53 51 ID ZYnT4MCg そこに転がっていたのは、結意だった。ただし、ナイフを心臓の部分にに突き立てられた状態の。 …もう訊くまでもないだろう。誰がやったかなんて、明白だ。 「…ああ、そいつね…邪魔だか、らっ……ころ、しちゃった……あぁん!いい!もっと、もっと突いて!お兄ちゃあん!」 いつの間にか苦痛をこらえた声は、嬌声に変わっていた。さっきまでよりスムーズにピストン運動が行われている。分泌される液も、徐々に量が増している。 明日香が動くたびに、にちゃ、にちゃと粘っこく糸をひく。…俺は悪い夢でも見ている気分だった。夢なら早く覚めてくれ――― 「ふふふふ…あは、あはははははははっ! 気持ちいい、気持ちいいよお兄ちゃん! あはははははは!あはははははははははっ!!!」 この世のものとは思えない、不気味な笑い声を上げながら欲望をぶつけてくる明日香。 …もう、我慢できなかった。俺は再び迸りを、今度は明日香のなかに直接放つ形になった。 「あはっ…いーっぱいでてるねぇ…お兄ちゃん。」 明日香は再び、結合部を見せつけてきた。そこは、明日香の透明な粘液と俺の迸とわずかな鮮血とでべとべとになっていた。 そして明日香は、もう一度手を額にかざしてきた。 70 名前:天使のような悪魔たち 第9話 神坂 明日香 ◆UDPETPayJA [sage] 投稿日:2009/01/12(月) 20 54 51 ID ZYnT4MCg ―エピローグ― あれから1ヶ月が経った。 明日香の力は私のソレを上回っていた。なぜなら、対象物を消滅させるだけではなく… 自らの力によって消し去ったものに限り、もとどおり再生できる力を持っていたのだから。でも、その力には心当たりが有る。……彼が、その力の持ち主だから。 あの日からずっと明日香は、飛鳥を完全に手中に納めていた。朝は普通にご飯を食べ、学校へ行く。帰宅し、夕食を済ませたあとで記憶を すり替える 。 それがどういうことなのかって? 簡単よ。今の飛鳥は、二つの別の記憶を交互に与えられてるの。 昼は今まで通り、仲の良い兄妹。その中に、妹と 繋がった 記憶は含まれていない。 夜になれば、再び…いえ、飛鳥にしてみれば、あの日以来ずっと犯され続けているようなものね。明日香はうまい具合に、夜の記憶だけを繋げているの。 ちゃんと学校には行っているから、行方不明なんてことにはならないし… 飛鳥も、そのときは記憶自体がないのだから振る舞いも至って普通、誰にもバレはしない。さすがは私の妹ね。 でも、それも長くは続かないだろう。 なぜなら、明日香の命は……もう長くはないから。 もともと、私の中にある3本の染色体は突然変異によるもの。遺伝性のものなのか、そうではないのか、未だにはっきりしない。では飛鳥と明日香は? 二人目まではまさに奇跡だった。都合よく、私と同じように3本多く持って生まれたのだから。 ただ、私とは能力が異なっていたはず…当然ね。そう簡単に全く同じとはいくはずもないわ。 でも、母さんはその子を実験の道具にはさせたくなかったみたい。だから当時父さんの研究グループの一員だった、斉木博士にその子を託した。それが、斉木 隼くん。 飛鳥は、もともとは斉木博士の子供。交換を提案したのは、むしろ斉木博士からだった。隼くんと同い年だし…もちろん染色体は46本、一般的な人間。 飛鳥と明日香は、実は血が繋がっていなかったの。ただ、それは絶対に秘密にしなければいけなかった。今となっては、多少後悔しているけれど… では明日香は? その答えは簡単だ。私と瓜二つな容姿。加えてほぼ同じ能力、成長の停止…ことごとく私と同じ。 もうお分かりでしょう。明日香は、父さんが私のバックアップとして造り上げた、クローン体。 ただ今の技術では完璧なクローンなんてものは造れない。結果、明日香の細胞はあちこち穴だらけ、欠けたパズルのよう。 もうすでに細胞の劣化が始まっているわ。このままなら、あと数ヵ月で…… でも、お兄ちゃんと幸せになれて幸せよね、明日香。大丈夫よ…ちゃんと、あとから飛鳥も同じところに送ってあげるから。そうしたら、独りぼっちじゃなくなるでしょ? 私が全ての罪を背負ってあげる。だから…精一杯今を生きなさい、明日香。 -Bad end- 71 名前: ◆UDPETPayJA [sage] 投稿日:2009/01/12(月) 20 57 20 ID ZYnT4MCg 明日香ルート終了です。 お騒がせしてすみませんでした、以後気をつけます。 60へのgjは僕をすっ飛ばしてお願いします。 60 gj! wktkで期待してます。 72 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2009/01/12(月) 22 30 36 ID 16arPOqI GJ!!! 明日香…ブワッ 73 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/12(月) 22 31 20 ID 16arPOqI sage忘れ…orz 74 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/12(月) 22 32 46 ID NHpBVS3D 73(´;ω;`)ブワワッ 75 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/12(月) 22 40 01 ID QiAJufK1 71 GJ! 結意派の俺にはつらいけど、別ルートでの救済を……! あと、いろいろ残ってる謎が気になります。続き待ってます。 76 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/12(月) 22 54 22 ID 5H3nrFKn GJ!! 77 名前: ◆UDPETPayJA [sage] 投稿日:2009/01/13(火) 00 11 07 ID DHmMVECW 携帯からです。 70の 幸せになれて幸せよね を、 幸せになれてよかったわね に脳内保管しといてください。 日本語おかしいことに気付きましたorz 78 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/13(火) 00 50 23 ID SQFSy48l 前スレの埋めがちょっと怖い 79 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/13(火) 04 23 55 ID cGqRGD6A いつもまとめサイトの更新だけチェックしてこのスレにはあまり来ないんだけど 更新された作品読んでたら笑ってついこっちに来てしまった スレ内のちょっとした揉め事も一緒に転載されるんだなw 80 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/13(火) 08 06 16 ID z4rkLFjT 71 GJ! ちょっと弟くんに冷たくない?って思ってたが実弟じゃなかったのか あれ、じゃあ子ども作れないってのは嘘? 続き気になります 81 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/13(火) 12 29 48 ID KP4MJRMS 79 消すの忘れてた(´・ω・`) 82 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/13(火) 16 27 37 ID nKyzD1Jz 書くのここじゃないかもだが、保管庫にログを置いてくれた方に激しくGJといいたい!マジ嬉しい。 83 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/13(火) 19 30 28 ID zUdDulz3 そういやpart16以降のログは保管されてないの? 84 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/14(水) 20 58 31 ID SuPxi5IE ヤンデレ家族と傍観者の兄楽しみだわあ 最終話も近いみたいだし裸でいるのも我慢できそうだ 85 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/14(水) 21 08 23 ID Xv2m5oKr なんと甘い見通しだろうか 貴様にヤンデレの心が読めるのか 86 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/14(水) 21 12 55 ID rO5Tw7Au 84「読めない・・・けど、85の考えてることは分かるよ」 って事だろ。 裸で待機の84(*´Д`)ハァハ(PAN!! 87 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/14(水) 21 20 40 ID SuPxi5IE 85 ブログにオチは考えてあるって書いてあったからつい分かったような気になっちまったようだ ちょっとヤンデレの邪魔して刺されてくる 88 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/15(木) 03 02 57 ID oMf9LPPg 朝歌さんを待ちくたびれたんですが… 89 名前:ヤンデレウイルスβ2 ◆iIldyn3TfQ [sage] 投稿日:2009/01/16(金) 00 10 35 ID OWRYLE9i 久々なのでID間違えてるかも、はわわっ。 投稿予告で、いいんだっけ。投稿しますよー。 90 名前:ヤンデレウイルスβ2 ◆iIldyn3TfQ [sage] 投稿日:2009/01/16(金) 00 11 15 ID OWRYLE9i TIPS 金城康二 保菌形態β 主人公 金城さとる 保菌形態α ヤンデレ好きのキ▲ガイ科学者。 金城篝 αの感染者。 佐藤亜麻 βの感染者。 蒲公英 該当情報、皆無。 外見的にちょっと背が伸びて精神年齢↑なとらドラの大河・・・ロングヘアーが好きなだけですサーセン。 誰だってハレムの夢を抱くことが、ある/あった/あるかもしれない。 だが、このウイルスの保菌者は墓穴を掘ることになりかねない。 俺だって好きで何股してる訳じゃないんだ。 人は問うだろう。「ならば何故なんだ」と。 s 単純明快。ハーレムを築きたいから。 /s 感染者を一人でも放置プレイすることは、悲惨な結末を招くからだ。 異性とは彼にとって爆弾。感染者の扱いはさながら無数のリード線。 ただ爆発を解除することができず遅延させるだけの効果しか意味を成さない。 それしか期待できないのは、映画と違い皮肉ではあったが。 『運命に、邂逅する夜』英訳の如く結末が転がりかねる状況で彼は生きる。 「え?結末ってデッドエンドのことですよ。」 金城康二のとある独白。 91 名前:ヤンデレウイルスβ2 ◆iIldyn3TfQ [sage] 投稿日:2009/01/16(金) 00 12 10 ID OWRYLE9i 「はははぁー、やぁ蒲公英ちゃん。お久しぶり」 「・・・どうも」 金城夫妻の家にして、悟の研究所であり、康二の実家。 研究室を彷彿させる長方形型な白の建物の目前には、悟と篝二人、それと年頃の女性がいた。 たんぽぽ、タンポポ、蒲公英。 可憐だとか、飾り気のない栗色の髪は色艶やかなものではなく、 むしろ粗暴な様を際立だった顔立ちに、肩口に掛かったくせっ毛の少女だ。 「しかし、蒲公英さんも変わりましたね」微笑む金城篝。 「・・・いつまでも子供では要られませんから」ぷいっと顔をそらす蒲公英。 目は吊り上っており、そこはかとなく猫か虎を連想させた。 全体的な体つきはパーカーによって遮られるが至って平均的に見える。 「ささっ、とりあえず入ってよ」手招きする悟。 「ぇ? 」吃驚した様子で開口したままの蒲公英。 「ささ、どうぞ」篝に背を押され、仕方なく玄関へと。 おっとりとした容姿と雰囲気の篝だが、 意外にも押しが強いことを今更ながら蒲公英の脳裏に浮かび上がる。 「あ、ちょっ・・・えっ?」 「ははは、いっつもギャップで驚かれるんだよねー」 白のコントラストな病院ちっくな外見とは打って変わって和風な作り。 彼女が悟を訝しげな表情で睨めば篝がお盆を持って開口一言。 「ふふ、悟さん。でもこれ以上感染させたら八つ裂きにしますよ」 「ははは、母さんや。果物ナイフが首に当たってるんですけど?」 「当ててるんですよ」「さよですか・・・あ、一応定員にはなってるけど」 92 名前:ヤンデレウイルスβ2 ◆iIldyn3TfQ [sage] 投稿日:2009/01/16(金) 00 13 25 ID OWRYLE9i まったく顔の笑ってはいない伴侶に、苦笑いしつつも悟はコーヒーを啜った。 「なら、今回勘弁してあげますね、あなた」 「さて、こんかい呼んだのはだね・・・」 かなり使い込んだ様子の大学ノートを取り出す悟。 その表面にはでかでかと にっき。かねしろこうじ と明記してある。 「実は、我が息子に面白いことを発見してねっ。まぁノートなのだけれども」 「古ぼけた日記帳じゃないですか?それがどうしたと?」 したり顔で悟は少女の眼前でプラプラと左右に振らした。 案の定に蒲公英は顔こそ伏せれど、目はノートを追っている。 「昔、うちの息子が君を不用意に傷つけたことはなかったかい? 遠ざけたことは? 嫌悪したことは? 無視したことは?」 思い当たる節があるのだろう、彼女の瞳は意識的にとある方向へと向く。 眸には明らかな困惑と、一握りの焦燥の色が浮かべられた。 半ば奪い取ろうとする蒲公英の手から逃れると、 悟はさらにはもったいぶるような素振りで。 「その事実は、ここに入っている。 もっとも、私が知ってはいるのだけれども君が見たほうが面白いだろしね」 「も~悟さんったら悪趣味ですね~♪」 万年バカップルの二人を見やって蒲公英は訝しげな表情。 「精々面白い展開に発することを祈るよ。そろそろ、かn」 「あいつ、・・・いや、そんなわけ、・・・でも・・・」 沈黙が場を制すること数分、少女の顔には驚愕、焦燥、恥辱、安心、様々なモノが入り混じっていた。 93 名前:ヤンデレウイルスβ2 ◆iIldyn3TfQ [sage] 投稿日:2009/01/16(金) 00 14 33 ID OWRYLE9i 「さて・・・」 悟が眼鏡を掛け直し、口を開いた瞬間。 蒲公英は茶渋の立たない茶に眸を写すと呆然とした少女の顔が浮かんだ。 湯飲みを包み込むと振動を表す波動が起きていた。 上方を見上げようとして顔を上げると勢い良く和室の戸が開く。 バタンッと地を振るわす轟音が和室に響く。 「おいっ、親父。なんなんだっ、バイト先に電話までして呼び出して!! 今日給料日だってのにッ!」 「おお、当事者が来たことだし、失礼するよ」 ノートの持ち主が現れたのだ。 当の本人は息子の心情などそ知らぬ様子で離れへと移動する。 息が荒くなった青年は、久しい幼馴染を視線の端に捕捉して。 「っ!? お前、それは俺の」なにやら拙い事だけは理解し。 「ふぅ~ん、そんなに見られたくないのか」 長らく顔を合わせなかった彼方の顔が驚愕のあまり目を見開く。 その様子に満足してか見せびらかして蒲公英はニヤつく。 「ッ!!!てめぇ、人んちに入って何をしているっ!?」 彼は、蒲公英に近寄って手ごとノートを掴む。 蒲公英の手からノートを弾いたことに安堵して前のめりで畳みにぶつかる。 足を払われたことに気づくのは世界[しかい]が九十度変わってから。 畳の上に無様な受身を取る康二に対して、蒲公英はすぐ馬乗りになって彼の両手を塞いだ。 こころなしか、彼方の表情が崩れ、朱色に染まっている。 94 名前:ヤンデレウイルスβ2 ◆iIldyn3TfQ [sage] 投稿日:2009/01/16(金) 00 14 58 ID OWRYLE9i 彼の心臓は、ドクッ、と少し異常な速度で鼓動を早めた。 ドクッ、ドクッ、ドクッと異常動作を繰り返す臓器に、 ハッと我に返って康二は蒲公英を振り払おうとする。 幾ら中肉中背の青年とはいえ、馬乗りになって両手を封じる少女に。 否、少女の真実を知りたいという決意に、青年は勝てないのだ。 「この感覚っ!! たんぽぽっ、どけっ!」 自らの体[たいえき]がうごめくような感触。 わだかまる不可思議な感触、感覚を、彼は理解っている。 ヤンデレ、ウイルス、タイプβ だが突き放そうとするも、鍛える筈の身体でも暴力幼馴染の方が腕力で勝っていた。 「おいっ、これ以上近寄るなよっ!!」 「なんだって、こーじ君? え、どけたらいいじゃ、ぐすっ、ないか」 彼女から雨が降ってきた、ぽつり、ぽつりと。 次第に、どしゃ降りへと変わり、康二自身は辿りそれが何なのかを知る。 「お前、泣い――――」 「―――泣いてなんかないっ!」 「大体、なんなんだよっ! あの日記。 お前はあの時も、オレ様の思いを踏みにじってっ!!」 「仕方ないじゃないかっ!」 「人の想いを切り捨てることが仕方ないっていうのかよ、テメェは!?」 (あの時は愛おしかった君が歪むのを恐れて。 でも、不器用な助け方しか俺にはできなかっんだよっ) 金城康二の事情を知らない。だからこそ、よりあの行為は最低最低だった。 95 名前:ヤンデレウイルスβ2 ◆iIldyn3TfQ [sage] 投稿日:2009/01/16(金) 00 17 32 ID OWRYLE9i 「さて・・・」 悟が眼鏡を掛け直し、口を開いた瞬間。 蒲公英は茶渋の立たない茶に眸を写すと呆然とした少女の顔が浮かんだ。 湯飲みを包み込むと振動を表す波動が起きていた。 上方を見上げようとして顔を上げると勢い良く和室の戸が開く。 バタンッと地を振るわす轟音が和室に響く。 「おいっ、親父。なんなんだっ、バイト先に電話までして呼び出して!! 今日給料日だってのにッ!」 「おお、当事者が来たことだし、失礼するよ」 ノートの持ち主が現れたのだ。 当の本人は息子の心情などそ知らぬ様子で離れへと移動する。 息が荒くなった青年は、久しい幼馴染を視線の端に捕捉して。 「っ!? お前、それは俺の」なにやら拙い事だけは理解し。 「ふぅ~ん、そんなに見られたくないのか」 長らく顔を合わせなかった彼方の顔が驚愕のあまり目を見開く。 その様子に満足してか見せびらかして蒲公英はニヤつく。 「ッ!!!てめぇ、人んちに入って何をしているっ!?」 彼は、蒲公英に近寄って手ごとノートを掴む。 蒲公英の手からノートを弾いたことに安堵して前のめりで畳みにぶつかる。 足を払われたことに気づくのは世界[しかい]が九十度変わってから。 畳の上に無様な受身を取る康二に対して、蒲公英はすぐ馬乗りになって彼の両手を塞いだ。 こころなしか、彼方の表情が崩れ、朱色に染まっている。 彼の心臓は、ドクッ、と少し異常な速度で鼓動を早めた。 ドクッ、ドクッ、ドクッと異常動作を繰り返す臓器に、 ハッと我に返って康二は蒲公英を振り払おうとする。 幾ら中肉中背の青年とはいえ、馬乗りになって両手を封じる少女に。 否、少女の真実を知りたいという決意に、青年は勝てないのだ。 96 名前:ヤンデレウイルスβ2 ◆iIldyn3TfQ [sage] 投稿日:2009/01/16(金) 00 19 04 ID OWRYLE9i いつの間にか彼女の手からノートが零れ落ちていた。 『○月△日、キチガイからおしえられた。 ぼくのからだはへんだって。だれかをふこうにするって。 たんぽぽをきづつける? いやだ、いやだ。そんなの。 それぐらいならっ』 「なぁ、オレ様がどんな思いしたと思ってんだッ!? どれだけお前のことを考えていたと思ってるんだ!? 幾星霜の月日がお前への告白で埋め尽くされたっ! オレ様がどんな思いでお前からの告白を、 待ち望んで、渇望して、あの日をになったと思う!? 思いもしなかったさ! 拒絶をこめたものだなんてよっ!」 目を逸らそうとした俺に覆いかぶさるようにしながら。 蒲公英は一度言葉を切り、口調を変え―――否、戻した。 それは、青年が過去に知っていた、少女そのものの貌。 興奮した様子の少女は、むしろ幅を狭めるように。 近づく唇、高鳴る鼓動、うごめくウイルス。 馬乗りになった幼馴染を俺は、 振り払うことなんて出来るはずもなかった。 「ボクは君の事とても好きだったよ。今でも愛しています。 君が遠ざけた理由なんてもうどうでもいい。 君がたとえ亜修羅の道を、悪道の道を進もうとも、 私はあなたのためだけに、尽くし続けます。 だから、ボクに誓いの口付けをさせて下さい」 97 名前:ヤンデレウイルスβ2 ◆iIldyn3TfQ [sage] 投稿日:2009/01/16(金) 00 20 41 ID OWRYLE9i そして少女からは自らの花言葉を篭めて永久の誓言となる、 青年からは好いているからこそ危惧した最悪の口づけを交わした。 無垢な生娘のぎこちない仕草のまま、 だけども濃厚で、淫妖に貪るように。 接吻を終え、たらり引いた銀糸を拭うと彼は独白するように、口を滑らす。 「俺は、お前をまきこみたくなかったのに・・・」 「なんで? ボクなら君のウィルスに掛かってもいいよ。 ねぇ? 知ってる、ボクの、蒲公英の花言葉って」 「どーでもいいっ、お前はコレの凶悪さを知らないからいえるんだよ」 生を享けてから、四捨五入して二十年。 彼はウイルスを自意識である程度抑えることは可能になった。 だが、自意識を制御できない条件下、それも粘膜接触となれば感染を免れない。 頭が蕩けたように、視線が定まらない表情で蒲公英は虚空を見つめていた。 目が濁ったように、どろどろした何かを以って少女は彼方を睨んでいた。 「はーい。おめでとー。」クラッカーを鳴らす馬鹿が登場する。 『カップル誕生おめでとー☆』と掲げる母親、篝もいた。 「ッ!? ・・・糞親父ぃーーー!」 「あらあら、大変わねーあなた。でも、お腹を痛めた子と旦那がするなんて母さんうれし泣きしちゃうわ」 どうにも今回の主犯格だと確信し、蒲公英を押しのけて。 「蒲公英良く聴け。ここ、数日。多分胸が心理的に締付けられるような感覚になるが、気にするな。 それはまやかしだ。いつわりだ。何一ついい事などない」 だが、遅かった。 すでに彼女の胸には感染が相乗して、恋慕が募り、そして―――. 98 名前:ヤンデレウイルスβ2 ◆iIldyn3TfQ [sage] 投稿日:2009/01/16(金) 00 21 45 ID OWRYLE9i ヤンデレウイルスとは感染者にとってみれば麻薬そのものだ。 母さんたち慢性的な感染者になれば異なるが初期の感染は重い。 躯の芯まで蕩ける快感、保菌者への緊縛する一筋の喪失感。 一度感染すれば保菌者との接触を是が非でもしたくなる。 だが、感染者が一定期間距離を保つことで死滅させることができる。 だが一定期間保菌者との接触を行えば定期的な菌の育成が出来てしまう。 次第に、想いは黒く冥く、濁った想いが拡張させていくのだ。 そこが恋患いと違う最大の点である。 金城さとるの効果は十人というリミッターが掛かるが、 金城康二の場合は無尽蔵に感染を広めていくことが可能だ。 先天性遺伝子 ・・・固体値によった誤差。 金城康二が安全に暮らすには感染を最小限に留めておきたいのだ。 それだから洗脳ともいえる選択肢の誘導や心理学で亜麻を左右させた。 善悪を置いてなお、彼が生き残るためには仕方の無いことであろう。 少なくとも行動を起こすのは彼の目の届く範囲だけと確約させている。 むしろだからこそ亜麻一同のようなに過激行為を起こす場合があるのだが。 「あなたの体の一部ホルマリン漬けにさせて」とか 「私の体(もしくは体液)入りのご飯食べて」とか 「あの、・・・その、私いじめられたいから切り裂いてください」 とか 自己主張をやんわりと趣向を改悪して、正して。 とりあえず血液の見ない方向へ回避している事実はあったりなかったり。 99 名前:ヤンデレウイルスβ2 ◆iIldyn3TfQ [sage] 投稿日:2009/01/16(金) 00 22 13 ID OWRYLE9i 感染が一次症状となった幼馴染を押しのけて。 白衣姿の父親を鷲掴みにして外へと連れ出した。 「てめぇ、好い加減にしろよ」 「お父さんに向かっててめぇはないでしょぉ♪」 「・・・もう一度繰り返す、好い加減にしろ」 「なーんのことっかなー♪」 「とぼけるな。何故だっ!てめぇ、あんなモノ模造しやがった!」 金城康二に日記を綴るメルヘン染みた趣味はない。 ならば、だ。巫山戯たことを仕出かす人間に検討が付く。 「何故、お前があんなもの書きやがった」 「おやおや、僕は嘘をついた覚えは無いよ? 蒲公英ちゃんには『ここに事実が入っている』とはいったケド、 でもしかし康二自身が書いた日記だとは言ってない」 「それが僕お手製の悪戯でもネ」すっ呆けた様子の実父。 「はハHA、葉刃派ハhaは。ふざけ」 渾身の一撃を見舞おうとして康二が躯を捻ると、 的確な掌底が水月へと間髪なく打ち込まれる。 「かハッ!?」肺から消費するはずだった空気が吐き出され膝を突く。 「やっぱり君は理解してないね・・・」 「はぁっ、何がだ、糞親父」強がる位みせるのが男の意地だ。 達観した眼差しで、眼鏡を押し上げる 光が乱射する硝子の向こうで覗くのは漆黒の眸。 「君は我が愛しのヤンデレ篝との息子だ。 だが、それと同時に君は永遠の研究材料なんだよ」 否。漆黒と云うには違和感がある。 濁り。 精神を摩耗しきったような、 濁りきった濁流のようなその眸――――深淵[ふかみ]に覗きこまれ。 それはそう、実験対象を見る冷静な/冷徹な/冷酷な瞳で。 にこやかな表情とは裏腹に感情の篭ることを知らない。 100 名前:ヤンデレウイルスβ2 ◆iIldyn3TfQ [sage] 投稿日:2009/01/16(金) 00 22 52 ID OWRYLE9i 背筋に伝う冷気と、何かを感じた康二は悪態をつく。 「ほざいてろ、キチガイマッド」 「うん、ありがと~♪ 天才とキチガイは紙一重なのだよー」 自らが望むのは振り切れた所だ、と称すキチガイ。 燦然たる夕日から逃げる吸血鬼のように、 混濁とした闇黒へ生者を誘うかのように、 白衣を翻して玄関の戸をゆっくりと開ける。 悟の背中からは何も察することはできない。 「本当にね、人間って二種類しかいないんだよ。 異常を許容するか、それとも異物と知りながら奥底に仕舞うか」 世界一大嫌いで、異物である筈の親父の背中が、 扉の向こう側へと消えていった実父のそれが、 何故か少しだけ寂しく感じ取れたのだった。 金城康二、つまり俺は已むに得ない状況で、遺憾なくヤンデレウイルス送信中。 なお公共電波では感知できないので無視してよろしい。 拝啓、天国に逝って欲しいお父様、蒲公英は真心の愛を意味するらしいです。 ――――――管理人さんへお願い――――――――――― s /s のタグなっているところは、取り消し線が表現できるようお願いします。 101 名前:ヤンデレウイルスβ2 ◆iIldyn3TfQ [sage] 投稿日:2009/01/16(金) 00 24 33 ID OWRYLE9i 95 ミスりました、すいません。_|~|○ 二話目もお疲れ様だじぇー。というわけで、お疲れ様でした。 102 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/16(金) 11 52 27 ID uXP8Z887 ぐっじょぶ! 103 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/16(金) 16 37 05 ID 4+Y8MHtT ヤンデレウイルス大好きだ! GJ! 104 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/16(金) 18 40 57 ID q6d36th+ よかった GJ 105 名前:変歴伝 4[sage] 投稿日:2009/01/16(金) 19 51 43 ID kcgAUQqH 余暇が出来たので投稿します。 お願いします。 106 名前:変歴伝 4[sage] 投稿日:2009/01/16(金) 19 53 01 ID kcgAUQqH ここまで来れば大丈夫だろう。業盛様は葵さんの家を知らない。 撒いてしまえばこっちのものである。 それにしても業盛様はどうしたのだろう?あれほど応援してくれていたのに。 業盛様は嘘を言うような人ではない。 だから葵さんが人を殺したと聞いた時、 馬鹿なという気持ちと、もしやという気持ちが同時に浮かんだ。 しかし、その気持ちはすぐに消えた。 葵さんがそんなことをするはずない。きっと業盛様が見間違えたのだ。 そうでも考えないと自分の考えを正当化できなかった。 葵さんは今まで見たこともないような笑顔で出迎えてくれた。 この笑顔を見ると葵さんが人を殺したなどとは露にも思えない。 やはり、業盛様の勘違いなのだろう。 中に入ると料理が準備されていた。囲炉裏には鍋が掛けられている。 そこから食欲をそそるいい匂いが漂う。 早速料理にがっつく。 旨い。それしか言えなかった。菊乃さんの料理も旨かったが葵さんの料理はもっと旨かった。 食べながら葵さんが尋ねてきた。 景正様、き…菊乃さんとはどんな関係なのですか…?」 「菊乃さん?菊乃さんは私達が今滞在している家の主人だよ。それがどうかしたのですか?」 「い…いえ、景正様は菊乃さんのことをどう思っているのかな、と思いまして…」 「どう思うって…それはやっぱり美人だと思うけど…」 「…私よりも…ですか…?」 平蔵は彼女の放つ威圧感に一瞬圧倒された。なんなんだ。このどす黒くて嫌な空気は。 「ねえ…景正様…。私、今日奮発してお酒を買ってきたのですけど…飲みますよね…?」 この時、彼女の言動、仕草に気付くべきだったのだ。 平蔵は気付けなかった。単なる嫉妬だと思ったのだ。 しかし、それは嫉妬の一言で片付けられるようなものではなかった。それはなにもかもを憎悪し、そして破壊する狂気だった。 平蔵は酒が飲めなかった。しかし、断れるような空気ではなかった。 仕方なく、平蔵は猪口に注がれた酒を一息で飲み干した。 飲み干した時、葵の口が半月の様にゆがんで見えた。 「あ…あれ…?」 手から猪口が滑り落ちた。…体が…痺れて…。 「景正様…どうしたのですか…」 葵が言った。心なしかその言葉にはおかしみが含まれていた。 「あ…あお…あお…い…」 舌が痺れてうまくしゃべれない。目もかすんできた。 「景正様…眠たければ眠ってもいいのですよ…。 これからは私が…いつまでもずっと…ずっと…ずっと…一緒にいてあげますから…」 その場に崩れ落ちた。指先一つ動かすことも出来ない。 ああ…業盛様…申し訳ありません…。 あなたの言葉を聞いていれば…こんなことには…こんなことには…。 もう…私は…私は…私は… 視界がどんどん薄れる中、最後に聞こえたのは葵さんの心底嬉しそうな笑い声だった。 107 名前:変歴伝 4[sage] 投稿日:2009/01/16(金) 19 54 02 ID kcgAUQqH 「くそ、平蔵の野郎、どこに行きやがった」 いらいらして思わず素が出てしまう。 もう平蔵は葵の家に行ってしまったのだろうか?だとしたらもう手遅れだろう。 もう殺されているだろうか?いや…違うかもしれない。 わざわざ家に招くのだから、もしかしてじっくりと殺そうとしているのかもしれない。 拷問だろうか…。 竹串、やきごて、鞭打ち、爪剥ぎ…考えてみればいろいろな拷問が思い浮かぶ。 考えるだけで指を隠したくなる。 業盛は嫌な想像を振り払い、再び葵の家を探す。 日が暮れて始め、辺りの家が蝋燭に火を灯し始めた。 うっすらとした蝋燭の火の光が星の様に見えた。 「どうすればいいんだ!ちくしょう」 お手上げだった。もう少しで完全に日が暮れる。 そうなれば葵の家を見つけるのは不可能だ。業盛はその場にへたり込みたくなった。 完全に日が暮れて、空も地上も星だらけになった。 業盛は松明を片手に葵の家を探していた。 いい加減に諦めようと思っていると、おかしなことに気付いた。 行灯の付いていない家が一つあったのだ。 直感だったが、業盛はその家に足を運んでいた。 戸の近くに来てみて、業盛はその異変に気付いた。 戸を通しても漂ってくる、鼻を刺すような…血の臭い。 葵の家はここだ。どうやら拷問ではないらしい。 しかし、遅かったのには違いない。 それにしても、どんな殺され方をすればこんなに臭いが漂ってくるんだ。 打ち首か?串刺しか?もしくはバラバラか? 見たくはなかったが、せめて平蔵の墓ぐらい立ててやらねばならない。 意を決して戸を開けた。 108 名前:変歴伝 4[sage] 投稿日:2009/01/16(金) 19 55 13 ID kcgAUQqH 目の前には葵がいた。いや、倒れていた。 頭はいびつな形にゆがんで、目玉が飛び出し、歯も折れている。 背中は何度も刺され、際限なく流れる血が血溜りを作っている。 戸を何度も引っ掻いたらしく、爪は剥がれて、戸には引っ掻き傷と血が生々しく残っていた。 平蔵はいなかった。家の中は激しく争ったらしく、鍋や椀が散乱していた。 平蔵がやったのだろうか。一瞬の隙を突き、頭を砕いて逃げた…。 あれ…おかしいぞ。平蔵ほどの力のある男が、 女性のような柔らかい頭を殴れば一撃で殺せるはずだ。 しかし、この死体は殴られた後、激しく抵抗しているのだ。 平蔵がわざと力を抜いた。いや、ましてや平蔵がここまでやるはずがない。 せいぜい気絶させるぐらいだろう。 平蔵ではないのなら、これは第三者がやったのだろう。 だとすれば、ずいぶんと残酷な性格であることが分かる。 力を抜いて何度も何度も、まるで、いたぶるかの様に殺している。 よっぽどの恨みがあるのか、もしくは無差別か…。 だとすれば、平蔵はどこにいるのだろう? その第三者が殺してしまったのだろうか? ならばここに平蔵の死体があるはずなのに…。もしくは連れ去ったのかも…。 だが、なんのために…? さまざまな考えが浮かんでは消えていく。 結局分かったのは、葵が誰かに殺され、平蔵が消えたということだけだった。 109 名前:変歴伝 4[sage] 投稿日:2009/01/16(金) 19 56 28 ID kcgAUQqH 投稿終わりです。 今回は少し調整するため少し短めです。 申し訳ありません。 110 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/16(金) 20 23 42 ID +6CEGLo5 109 GJ……しかしこれは怖いなw 111 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/16(金) 20 52 49 ID q6d36th+ GJ! 112 名前: ◆UDPETPayJA [sage] 投稿日:2009/01/17(土) 19 44 08 ID ADEi3wlQ 投下します。 注意点として、 ・擬人化のような表現がありますが、擬人化ではありません。そこは後々… ・主人公の設定上、女装する場面がのちのち出てくるかも。アッーな展開には絶対しませんが。 113 名前:血塗られしソードマスター 第壱話:御影 ◆UDPETPayJA [sage] 投稿日:2009/01/17(土) 19 45 48 ID ADEi3wlQ 佐久本 朱里(しゅり)は、一言でいうと風変わりな男だ。 中性的…やや女性的な顔立ち。加えて、肩にかかるくらいの長さで、生まれつき色素が薄いのか、やや茶がかった色をしている髪の毛。 そのせいで幼少の頃から頻繁に女子と勘違いされ、高校一年になった今でもそれは変わらずにいる。 文化祭の出し物として、朱里の属する1年3組ではメイド喫茶を開いたが、そこで男子生徒のなかでただ一人女装させられてメイドとして働かされたことは有名だ。 何しろ、3組の売上高はその年では2位以下に倍以上の差をつけたのだから。 朱里は世間で言う、いわゆるモテるタイプだが、女子に告白された回数と男子に告白された回数はさほど変わらないという事実が、朱里がそこいらの女子生徒よりも美女…も とい、美人であるという裏づけとなっている。 両親は朱里が4歳のときに交通事故で他界。祖父に引き取られ、今の今まで育てられてきた。当時、朱里を引き取ろうという親族はいくらでもいたのだが、 財産目当ての者は一人としておらず、生前朱里の両親に世話になったというあるという人ばかりだった。 しかし祖父が名乗りを挙げれば、あっさりとそれに従った。否、それがベストだと皆思ったのだ。 祖父の教育の賜物か、はたまた両親に似たのか、朱里は人当たりのよい性格を持っており、誰とでも分け隔てなく接することができた。 それは昨今の社会情勢からしたら希少価値、天然記念物クラスといえよう。 朱里がモテるのは単に容姿だけではなく、そういった要素が手伝っている部分もあるのだろう。 そんな朱里がソレの存在を知ったのは、東京に今年初めての雪が降り積もった二月半ばのこと。――祖父、佐久本 武雄の葬儀が執り行われた日であった。 葬列は式場いっぱいにまで及び、その中にはテレビニュースなどでよく見かける、財界の顔ぶれもわずかながら含まれていた。 式自体はとてもシンプルなものだった。武雄は晩年より「儂は昔から念仏というものが退屈で仕方なかった」と愚痴をこぼすかのごとく言っていたので、 念仏はまるごと省略されることとなったのだ。にも関わらず、焼香を済ませ、遺影に一礼をして席に戻るという行程だけで二時間は費やされた。 朱里は武雄の人徳を、今更ながら実感したのだった。 夜、宴会室を借りきって行われた、いわゆる 故人を偲ぶ会 。生前の武雄を懐かしむ人もいれば、涙を見せる者も… まさに、十人十色を体現したかのような空間となっていた。 だが、朱里は浮かない表情をしていた。彼の頭に今あるのはひとつの思念だけ。それは、武雄のことではなく…ある一本の刀のことだった。。 その刀は、代々佐久本家に伝えられてきた逸品だ。鍛え上げられてからすでに三百年は経っているらしいが刃こぼれどころか錆びひとつなく、 鞘から抜けばぬるりとした鈍い光沢…見事な職人業だ。 鍔のすぐそばにはこう刻まれている。それはこの刀に付けられた名前なのだろう。 <松代 鳩蔵作 / 御影> 114 名前:血塗られしソードマスター 第壱話:御影 ◆UDPETPayJA [sage] 投稿日:2009/01/17(土) 19 46 43 ID ADEi3wlQ 祖父の遺言は、 偲ぶ会 の直前になって顧問弁護士より親族に伝えられた。残された遺産は法にのっとり分配。当然、孫である朱里は多く受けとることになるが、 反対するものはいなかった。これも朱里の両親、そして武雄の育て方がよかったからだろう。朱里は、十分すぎるほどに信頼されていたのだ。 財産分与については何の滞りもなく完了した。だが、最後に弁護士が伝えた一文には、一同はわずかにどよめいた。 「 御影 を朱里に継がせること。ただし、これに関しては代理人ではなく必ず本人が所有せよ、とのことです」 朱里は誰に対してというわけでもなく、漠然とこう呟いた。 「みかげ、って何?」 御影は、祖父の居間に飾られていた。実は朱里も何度か目にしたことはあるのだ。しかし、ソレ=御影だとは思わず、今の今まで全く気にも止めなかった。 だからこそ、御影が何であるかが分からなかったのだ。 その疑問に答えたのは祖父の弟であり、代理人として朱里の継ぐ財産を預かり成人するまで管理する財産管理人を選任された、仁司(ひとし)だった。 仁司の語るところによると、御影とは300年以上昔、江戸時代末期に松代 鳩蔵という職人によって鍛えられた太刀だそうだ。 しかし鳩蔵は御影を鍛え終わると、完成したばかりのソレを使い、実の娘を殺害するという凶行―むしろ、狂行というべきか―を犯し、自らもそのまま腹を斬り、果てた。 それ以来御影は色んな…主に侍と呼ばれる人たちの手に渡ることとなるが、所有者となった者たちは皆、変死している。 変死というのは、乱心し御影を辺り構わず振り回し、血の海を作ってなお飽きたらず、自害して果ててしまうという悲惨な死に方を指している。 御影は俗に言う、 呪いの太刀 というものなのだ。 だが唯一例外があった。それこそが武雄の…そして朱里の先祖にあたる、矢坂 晋太朗という侍だ。 彼はこのいわくつきの刀を手にしたが、 終生誰一人として殺すことはなかった。故に、御影はその男の一族に代々受け継がれることとなった。 実際、晋太郎の血を引く者のなかで、御影に 飲まれた ものは今日まで一人も現れなかった。この話をそのまま受け止めるなら、 次の御影の継承者には確かに朱里こそが相応しいが…彼はまだ成人すらしていない。 皆が皆、太刀の呪いなんてものの存在を鵜呑みにしているわけではないが、単純に、刀なんてものを与えていいのだろうか、という思慮がこの空間を占めていた。 だが一同は朱里を見やり、そして安堵すを覚える。この子なら大丈夫だ。呪いが実在したとしても、ちゃんと己を御せるだろう。 そういった、確信めいた期待を朱里に抱いていた。 115 名前:血塗られしソードマスター 第壱話:御影 ◆UDPETPayJA [sage] 投稿日:2009/01/17(土) 19 47 45 ID ADEi3wlQ そして今に至る。朱里はテーブルに盛られた料理のなかから、好物である鶏料理を皿にとり、もぐもぐと食べていた。 これも武雄が生前から言っていたのだが、「儂は葬式でしけた面をされるのはごめんだ。せめて、料理くらいは豪華にしよう。満腹は人を笑顔にするものだ」と。 故人の意思を尊重したのか、宴席に出された料理は懐石弁当なんて無粋なものではなく、本格的なバイキング形式のものだった。 武雄のこういった性格も、親子三代に遺伝しているのだろうか。武雄は長い生涯のなかで、明確な敵対関係を作ったことはなかった。 その息子…朱里の父親、佐久本 健司(けんじ) も然り。朱里は、冒頭で説明したとおりだ。 定められた全ての日程が終わり、家路につく朱里。頭の中には未だに 御影 のことが巡っていた。 ――どうすればいいんだろう…とりあえず、僕の部屋に飾っておけばいいかなあ。朱里はそんなことを考えていた。祖父に比べると割と能天気な性格のようだ。 がちゃり、と玄関のドアの鍵を回し開ける。日付が変わって午前一時、家のなかは真っ暗だ。外同様に冷えた空気が充満しており、廊下は氷のように冷え切っている。 素足で踏み入ると、とたんに足が冷たくなる。 慣れた手付きで電気をつける。十年以上ここで暮らしているのだ。目を瞑ってもこれくらいたやすい。そのまま朱里は祖父の居間の襖を開いた。 武雄が入院して以来、この部屋へは久しく入らなかったが…御影の存在が気になったのだ。なんだかんだ言っても朱里も年頃の青少年、好奇心は人並みにある。 ただ、珍しいことにそれが性的関心に向けられたことは一度もないのだが。 そして、ソレはすぐに見つかった。掛け軸の下に飾ってある、黒い鞘に納められた太刀。朱里はそれを手にとり、抜いてみた。 ずしり、と手に伝わる重さ。きっとそれは御影自身の重さに加えて、今までに御影によって流されてきた血の重さも含まれているのだろう。 見つめていると、吸い込まれそうなほどの艶。朱里はとたんに身震いし、すぐに鞘に納めようとした。だが―― 「――痛っ…」 わずかに指先を切ってしまった。この程度なら絆創膏で大丈夫なのだが、朱里は、必要以上に狼狽してしまった。 朱里は決して臆病なわけではない。むしろ、どんな困難にも立ち向かう、祖父譲りの強い精神の持ち主だ。 その朱里がこれなのだから、常人なら足が震えて立てなくなるだろう。 朱里は、御影をもとの場所に置き、自室へと向かった。普段の朱里ならそんなことはないのだが、今は家に独りきりという、この状況が怖かった。 だから、部屋に入ってすぐお気に入りのアーティストのCDをかけ、特に何を見るというわけでもないのにテレビをつけた。 たとえ電気がもたらす擬似的なものでも、人の声がするというのはそれなりに心強いものだ。 朱里はそのままベッドに伏し、恐怖心が薄くなるにつれて、逆に増してくる睡魔に身を任せ、夢の世界に墜ちた。 116 名前:血塗られしソードマスター 第壱話:御影 ◆UDPETPayJA [sage] 投稿日:2009/01/17(土) 19 48 45 ID ADEi3wlQ ―――朝、朱里は目覚まし時計が鳴るより早く目を醒ました。昨晩からつけっぱなしだったテレビは、ちょうど星座占いを映し出していた。 それによれば、今日のワースト1位は乙女座。奇しくも、朱里の生まれ月だった。挽回のラッキーアイテムは、紫のニーソックス……朱里は朝っぱらから複雑な気分になった 。 とりあえず朱里は、学校の制服に着替えることにした。クローゼットからエンジ色のブレザーとチェック柄のズボンを取りだし、代わりに喪服を収納する。 ……一瞬、星座占いの解説を思い出した朱里。今日はその通りに紫色のニーソックスを履くことに決めた。 なぜそんなものを持っているかというと、文化祭にて女装メイドに扮したときに用いたからに他ならない。 着替えを終え、パンでも食べようと台所に向かった。時計の針は6時57分を指している。学校に行くときははいつも7時半に出発しているのだ。 少し時間がなかったため、今日は買い弁にしようと考えていると、台所の方から香ばしい薫りが漂ってきた。 ――なんだろう…ここには今は僕しかいないはず。誰かいるのか? 朱里は歩を早め、台所にいる侵入者の姿を捉えた。 その侵入者…いや、少女は腰まで長く伸びた銀色の髪をもち、すらりと引き締まったスタイルをしていた。背は朱里と同じくらい、170センチ前後といったところか。 きりっとした切れ長の瞳をはじめとする、端正な…まるで人形のような顔立ち。まさに、美少女という呼び名がふさわしかった。 「おはよう、朱里」美少女は口を開いた。「朝ごはん、今できたところなんだ。温かいうちに食べてほしいな」 「…君は、いったい誰?」 当たり前の質問だ。朱里の記憶の中には、この少女の存在は含まれていなかったのだから。しかも、飛びきりの美少女だ。 そんな少女がいきなり朝ごはんを作ってくれているなんて、まったく意味が分からないだろう。 だが…次に少女の口から発せられた名前は、聞き覚えのあるものだった。 「ボクは美景だよ。美しい景色って書いて みかげ って読むんだ」 「……みか…げ…!? まさか、そんな!?」 「そう、君が思ってるとおり。ボクの父は松代 鳩蔵。銘刀・御影を作ったそのひとだよ」 「じゃあ君は…御影なのか!? 本当、に…っ」 朱里の唇に、突然温かく、柔らかいものが触れた。…それは美景の唇だった。舌を無理やりねじ込み、朱里の口内を食いつくさんばかりに舐め回す。 朱里はわけがわからず、ただなすがままにされる。 ちゅ…といやらしい音を立てて唇が離される。唇と唇に、唾液の橋がかかっている。朱里は、自分の心臓の鼓動が激しくなっているのを感じた。 「つれない顔しないでくれ。ボクはもう、キミだけのものなんだよ。自分で言うのもなんだけど、こんな美少女を独占できるんだよ? それとも、オンナノコには興味ないのかな?」 「そ…ういうわけじゃないよ。…わけがわからないだけ」 「そう…じゃあ、期待して待ってるよ。とりあえず、学校に行かなきゃ、だね。ほら早く食べて? 今朝は朱里の好きな鶏肉にしたんだよ」 美景から離れた朱里は、おぼつかない足取りで椅子に座り、コップに注がれた牛乳を流し込み、料理に箸をつけた。 夢か現か、今の朱里にはわからないことだらけだ。だが、そんな中でもひとつ発見があった。 美景は、料理が上手だ。 (続) 117 名前: ◆UDPETPayJA [sage] 投稿日:2009/01/17(土) 19 50 40 ID ADEi3wlQ 終了です。 「天使のような」の方は完成しだい投下します。 118 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/17(土) 21 49 19 ID 5zpBYqME GJ 119 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/18(日) 09 38 41 ID Ece7CzbX これはいいお嫁さん 120 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/18(日) 20 04 03 ID j3P7y22b なんてうまやらしい。 121 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/18(日) 22 36 41 ID GxVa5xTH 馬がやらしいとな!? 122 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/18(日) 22 42 31 ID dNA4qiOw 雌馬 これは新しい 123 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/18(日) 23 02 01 ID UXU0J9nK 馬はどちらかというと男に使う感じだよな、種馬、馬並とか 124 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/18(日) 23 17 20 ID SKad6gzg 女が男に馬乗りになって 「あなたの…馬並みに大きい……」 「私だけの種馬になって下さいね…」 ここまで浮かんだ。 125 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/18(日) 23 24 15 ID /S1MgeEh 「私の愛馬は凶暴です」 126 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/19(月) 00 04 35 ID jFccUO2o 「なるほど…エロい事…するんだ…」 127 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/19(月) 00 05 38 ID KhWuHvzR 「そう…エロい事だ。」 128 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/19(月) 00 44 17 ID ww8ryHt0 不愉快だわ 129 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/19(月) 14 55 52 ID r8K70LR9 どこかにヤンデレ美少女に変化する妖刀落ちてないかなと思いました。 130 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/19(月) 16 19 00 ID NUg0CoQv 117 ストーリー的には面白そうだし、全然GJなんですが、気になった点を一つ。 御影とは300年以上昔、江戸時代末期に松代 鳩蔵という職人によって鍛えられた~~ 大政奉還が1867年。 現在が西暦2009年。 300年前は幕末(江戸時代末期)ではありえません。 重箱の隅をつつくようで申し訳ないのですが、 ヒロインの出自に関わる重要な設定事項だと思ったので一応申し上げました。 お気を悪くしたら申し訳ありません。 では、続編期待しております。 131 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/19(月) 17 00 48 ID zFUjXq86 家に日本刀が2本あるが可愛い女の子に化けてくれないかな? ついでに言えば、飼ってるクロの縞縞柄のぬこがぬこまたとかになって、(性的な意味で)襲ってくれないかな? ついでに言えば、できればヤンデレで(ry 132 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/19(月) 17 22 24 ID 9BMJUVZx 木刀と模擬刀ならあるんだけどだめかな? 小太刀はロリになりそうだけど 133 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/19(月) 18 35 29 ID hQpp5fme 刀擬人化は修羅場スレの九十九の想いがあるな 134 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/19(月) 20 18 40 ID 7UBIesI3 131 猫又とかババアじゃねえか お前も物好きだな 135 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/19(月) 20 27 10 ID zFUjXq86 134 人間に10年ぐらい買われた猫が・・・じゃ、なかったっけ? 猫にとっての10年ではない、人間にとっての10年なのだ。 つまり、炉利ッ子というわ(ry 136 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/19(月) 20 44 47 ID 7UBIesI3 135 20年じゃなかったか? 10年くらいだと普通に生きるだろ 137 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/19(月) 20 56 42 ID zFUjXq86 ほう?20年とな!食べごろではないか!(以下自重 138 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/19(月) 21 48 46 ID TpyT12wL バレンタインのチョコに尿を仕込む女子集合 ttp //imijiki.blog7.fc2.com/blog-entry-285.html 139 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/19(月) 23 01 30 ID /LjFmKVp 擬人化と言えばこのスレでは妖しの呪縛が近いか 一話で中断してるのが惜しい 140 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/19(月) 23 24 48 ID Q5JcWH0o 133 あれ好きなんだけど止まってるなぁ と言うよりあのスレ全体が止まってると言った方が良いかな・・・ 141 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/19(月) 23 27 27 ID hQpp5fme 全盛期は勢い50以上あって日に投下5本とか来てたのにな… 悲しいもんだ… 142 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/19(月) 23 30 16 ID /LjFmKVp 他スレの話はその辺りで止めとけ 143 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/20(火) 00 37 51 ID 67fNEbgL 擬人化+ヤンデレか… 物凄く良い… 144 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/20(火) 03 15 09 ID vweVORex そういや自分は3スレとも見てるけど何で分割したんだろう・・・ キモ姉妹スレは分かるけどココと嫉妬ではどういう風に 使い分けてるのだろうか? 145 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/20(火) 04 18 19 ID +qHSBRMA 144 ここ…ヤンデレならOK 嫉妬スレ…嫉妬や三角関係などが絡んでいればOK(病んでなくても) キモウトスレ…キモ姉・キモウトが出ればOK 深く考える必要はないと思われる。現状でも混合してるし。 とりあえず、ここに居る俺らは皆ヤンデレが大好きだ!それで十分じゃないか! とキモウトヤンデレ好きな俺が叫んでみる。 146 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/20(火) 06 00 57 ID Vb1w8Ak8 まぁもともとはスレ数からみてもわかるように嫉妬修羅場が最初にできたんだが ヒロインが2人以上いて修羅場をしなくてもいいから ヤンデレを出せと言うことで分派してヤンデレスレができて そのヤンデレスレからキモウトキモ姉スレが特化スレとしてまた分派した感じじゃね? 147 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/20(火) 06 19 53 ID yUWuCmEf キモスレはあそこの初代 1が荒らし誘導で勝手に立てたんだ、 おかげで初期は重複だなんだで散々揉めた。 今もあるかは知らないが荒らしが便乗してストーカースレとか言うのも立ててた。 148 名前:144[sage] 投稿日:2009/01/20(火) 09 50 35 ID vweVORex 成る程 そういう棲み分けだったのか アリガト エロい人方。 149 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/21(水) 10 31 37 ID gIhlGT0P ヤンデレに『さっきのどういう事ですか?ねぇねぇ』とか言われたいものだ 150 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/01/21(水) 13 11 51 ID e+dNf17c 姉か妹、もしくは従姉妹と一緒に外出してるところをヤンデレに見られたい
https://w.atwiki.jp/i_am_a_yandere/pages/1157.html
1 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/06/04(水) 13 30 42 ID VeqZuhpd ここは、ヤンデレの小説を書いて投稿するためのスレッドです。 ○小説以外にも、ヤンデレ系のネタなら大歓迎。(プロット投下、ニュースネタなど) ○ぶつ切りでの作品投下もアリ。 ■ヤンデレとは? ・主人公が好きだが(デレ)、愛するあまりに心を病んでしまった(ヤン)状態、またその状態のヒロインの事をさします。 →(別名:黒化、黒姫化など) ・転じて、病ん(ヤン)だ愛情表現(デレ)、またそれを行うヒロイン全般も含みます。 ■関連サイト ヤンデレの小説を書こう!SS保管庫(本保管庫) http //yandere.web.fc2.com/ ヤンデレ臨時保管庫 @ ウィキ(臨時保管庫) http //www42.atwiki.jp/i_am_a_yandere/ ■前スレ ヤンデレの小説を書こう!Part15 http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1208961158/ ■お約束 ・sage進行でお願いします。 ・荒らしはスルーしましょう。 削除対象ですが、もし反応した場合削除人に「荒らしにかまっている」と判断され、 削除されない場合があります。必ずスルーでお願いします。 ・趣味嗜好に合わない作品は読み飛ばすようにしてください。 ・作者さんへの意見は実になるものを。罵倒、バッシングはお門違いです。議論にならないよう、控えめに。 ■投稿のお約束 ・名前欄にはなるべく作品タイトルを。 ・長編になる場合は見分けやすくするためトリップ使用推奨。 ・投稿の前後には、「投稿します」「投稿終わりです」の一言をお願いします。(投稿への割り込み防止のため) ・苦手な人がいるかな、と思うような表現がある場合は、投稿のはじめに宣言してください。お願いします。 ・作品はできるだけ完結させるようにしてください。 ・版権モノは専用スレでお願いします。 ・男のヤンデレは基本的にNGです。 2 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/04(水) 13 41 25 ID uoExHnAq ; i l] l] ; =、___;; 」、 /` ー- --─ 7 ヽ. i `ヽ. , / パ_ i i -!、ハ , .i ./ , / ´| ハ パハ | i | |. i イ /,ア;ニ;ヽ V .オ`i`i | ,ハノ 1 |. , i ,〈 .ト | トノ.ノ レ ! 乙けーね! .| ヽ、ヘレ| ゝ , ,,| | | | i |ヽ| | ,. -‐ァ ,.イ | | | | | |ヽ.、, i _ノ / |; ! .| | | ト、, `,7T i´ヽ! | ! | | ,.ヘ! | `ヽ」ヽ、! / レ (,,,. | !/ ヽ、|へノ ヽム n、 、 びしっ! | ./ Yヽ、/ /´ ´`i  ̄、 |〈 〉 7 i ノ、 ,くゝ、 、 イゝ / ノ r ´ヽ〉 3 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/06/04(水) 15 17 17 ID jyiSPYEf しかし 1ぬるぽ 4 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/04(水) 16 37 12 ID RL3zNSkk 3 しかしガッ 5 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/04(水) 21 26 27 ID hLF2tzhC 問5 ヤンデレヒロインに絶対言ってはならないNGワードを答よ。 6 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/04(水) 21 39 35 ID 4ne9SBoD 今日から一緒に帰るのやめないか? いや、俺もさ、お前以外との友達付き合いがあるしさ 7 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/04(水) 21 43 14 ID l5osXX8Y 俺、これから○○(違うの女の名前)さんに告白しようと思うんだ。 8 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/04(水) 21 51 58 ID 9OLdn/Nd 俺、女に興味ないんだ。 9 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/04(水) 21 56 21 ID 903TpF+D 俺、女なんだ。 10 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/04(水) 21 58 34 ID JOT1DfDK A.お前ん家、おっばけやーしきー! 「お前ん家、おっばけやーしきー!」 ↓ 「お化けいそうな家だな!」 ↓ 「そんな所に愛するお前を住まわせておけるわけない!」 ↓ 「ほら、何をしてるんだよ。うちに来い!」 ↓ 同 居 11 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/04(水) 22 38 13 ID U+NwFers 10 あるある 12 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/04(水) 22 40 48 ID meCLUN3Z 5 こなたは俺の嫁 13 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/04(水) 23 33 37 ID 4nQ+dUVr 5 ○○さんがお弁当を作ってくれるからもう俺に弁当は作らないでくれないか? 14 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/05(木) 00 26 28 ID 1rdEtT1A 5 お前はずっと俺の親友だ 15 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/05(木) 00 39 05 ID J2MV1Sk/ 何を言っても何も言わないよりはいいはず 16 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/05(木) 00 57 09 ID CYnUDJa/ 5 1「お前ウゼーわ…もう話しかけんなよ」 2「お前が近くにいると勘違いされんだよ。迷惑だからもう近寄んな!」 3「わり、お前に告ったの、アレ罰ゲームだから。お前なんかにマジになるわけねーだろ?」 4「やっぱお前ダメだわ。○○じゃないとな」 5「お前キモイ…」 6「近寄んなっつったろこの豚がッ!! ああ、ごめん○○。コイツストーカーでさ…」 7「お前のこと大嫌いだから。顔も見たくない」 8「一回ヤッただけで彼女面すんなよな」 さあ、(刺されるの)どーれだ? 17 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/05(木) 01 30 39 ID PJBH6tjb 1 ぜんぶ! 18 名前:17[sage] 投稿日:2008/06/05(木) 01 31 34 ID PJBH6tjb 16 19 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/05(木) 02 37 40 ID HqLQi5da 16 全部刺される気はしないなあ 強いて言うなら4辺りか? 20 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/05(木) 07 55 41 ID b7MhH0Wo 16 8は刺殺フラグ立つだろうけど、ヤンデレとはまた違う気も。 21 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/05(木) 09 40 41 ID pHmkdH0F もうこの流れ飽きた 22 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/05(木) 10 17 25 ID fKraHHMb 16 5と7は逆に悦ばれる危険が・・・ 23 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/05(木) 10 17 43 ID js4aBjvO じゃぁもうくんな 24 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/05(木) 12 43 31 ID tnodCV7y 16 その関係のヤンデレって、関係がなりたってる背景しだいじゃない? 男の方が病んでるような展開もありかも 25 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/05(木) 13 17 21 ID HqLQi5da http //news.www.infoseek.co.jp/topics/society/n_misui__20080605_22/story/20080605_yol_oyt1t00310/ これが逆ならなあ…… 26 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/05(木) 19 59 19 ID GCoaIzad テレビの「逢わせ屋」すごかったな。 心身を病んで入院した先で看護士学校に通いつつ病院でバイトする男に惚れてどっぷり依存。 「何度も電話してるのに何で出ないのよ!」などと切れる。 しばらく距離を置こうといわれても電話攻撃はやめず、 そしてついに男に逃げられ、探してもらうためにテレビに依頼。 すばらしい。 惜しむらくは、男が患者に適当に手を出してみただけっぽいのと、 女が二目と見られぬデブスで、しかも「新しく好きな人が出来たからすっぱり忘れるために会いたい」なんて言ってたことだ。 27 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/05(木) 21 59 28 ID HqLQi5da 現実なんてそんなもんだ 28 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/05(木) 22 09 51 ID mRv1Q4cr 患者に適当に手を出す看護士? それってm(ry 29 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/05(木) 23 19 40 ID mA5cRH/E じゃあ、看護婦だったら?・・・・あれだ、遊びのつもりで適当に手を出したらいつの間にか本気になってて、退院の日が近づくと退院を引き伸ばそうとわざとケガさせて、ばれてクビになって病院にいったらもう退院してて、探すために「逢わせ屋」に たのむ!ってことでいいだよね? 30 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/05(木) 23 28 49 ID HeK9cz40 日本で物語で最古のヤンデレは清姫? 31 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/05(木) 23 52 21 ID csuLFtqA イザナミは? 32 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/06(金) 00 36 18 ID 6WzpC2tt カン太がサツキに監禁されるのか あの家なら出来そうだ 33 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/06(金) 01 32 00 ID KY0j/2Fs 29 男が弱い立場萌え派って結構いるよね(*´Д`) モテる男がヤンデレに捕まるってのは昔のドラマに多すぎて飽きた。 34 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/06(金) 16 23 25 ID vXFEoU+A 阿部定は? ……病み方が尋常じゃないぞ。 35 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/06(金) 16 31 08 ID SGhFpifo 三次元はスレ違いです 36 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/06(金) 19 41 33 ID vXFEoU+A 35 実在したのか!? 俺はどこかのホームページの小説のヒロイン?を挙げたのだが… 37 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/06(金) 19 53 53 ID d8arAbPr 36つ阿部定事件 38 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/06(金) 21 45 23 ID oh6tlwxo ヤンデレ好きなら阿部定事件くらい知っといて損はないよ wikipediaでも見とけ 39 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/06(金) 22 20 11 ID ALllMdit 思わず股間を押さえてしまった。 KOEEEEEEE! 40 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/06(金) 23 13 29 ID vXFEoU+A 写真と資料見ました。 思わず股間を握りしめてしまいました。 えげつねえ…………… 41 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/06(金) 23 31 49 ID vXFEoU+A 主人公浮気→病み娘キレる。 泥棒猫を殺害後、病み娘、男を尋問。 口論の末、男刺殺され、阿部定エンド… その後病み娘と男の陰茎を見た者は居なかった。 そんな話はイヤだ。 42 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/06/07(土) 08 27 13 ID whDEkMlS 傍観者まだ? 43 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/07(土) 15 00 28 ID D2DTyvdl 42 いい加減うざい 作者の事も考えろ そしてsageろ 44 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/07(土) 16 50 26 ID IU+LpQKq 例大祭も終わったしいない君はそろそろ来るかな? 45 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/06/07(土) 16 57 14 ID whDEkMlS 43 傍観者の作者はおめーのもんじゃねーだろ。声援にいちいち嫉妬してんじゃねーよ。 46 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/07(土) 17 03 26 ID lun7lzim 45 一々反応すんなガキ。 そしてsageろ 47 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/07(土) 17 14 25 ID BvGuqp8E 46 触っちゃらめええええええええ 48 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/07(土) 18 45 43 ID wyZohCG3 貧乳ヤンデレに天然巨乳の魅力を語ってみたい 49 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/07(土) 18 53 23 ID 8ymfuQY6 俺にだって 守りたいものがあるんだ! 50 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/06/07(土) 19 15 55 ID whDEkMlS 46 ヤンデレスレらしくパスを受けたらボールを回せってorz せっかくネタを振ってもこれだもんなあ。そのくせクダラネー雑談ばかりしやがって。 51 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/07(土) 20 02 13 ID D2DTyvdl 50 とりあえず 私は長くからここに居て空気嫁てますよ みたいな発言する前にsageてな 52 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/07(土) 20 18 29 ID SJUWdUTi 48 俺は逆だ、天然巨乳に貧乳ヤンデレの魅力を語ってみたい。 あ、天然のヤンデレは居ないかw 天然って馬鹿だし。 53 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/07(土) 20 58 47 ID hY3BUn7J むしろ馬鹿なヤンデレもそれはそれで・・・ 愛ゆえに病んでくれれば謀略術数に長けてたり戦闘力に長けてたりしてなくてもいいんだ 54 名前:部屋とナイフと暗殺者[sage] 投稿日:2008/06/07(土) 21 20 36 ID NZ2KX8FX 俺の後ろにはアイツがいる。 俺は女性にモテない。何故なら、イージスシステム真っ青の防空…対女性能力を持った幼馴染みが居るからだ。 歩く武器庫、妄想保管庫、女性キラー等の二つ名を持つアイツは今日も誰かを始末する。 今日、廊下で告白してきた女の子、かわいそうに。 たぶん今頃、 鉄道自殺 させられているだろう。 …オマエは何で俺の部屋でナイフを磨いている。 そして、何本隠し持ってる。 わざわざおもむろに太股のホルダーから警棒引き抜かなくて良いから。 「アンタの事、ずっと守ってやるからな…」 アイツは俺の目の前でセーラー服を脱ぎ、防刃ベストとサラシ、パンティを脱ぐと、風呂場に入っていく。 …まるで熟練の暗殺者が返り血を流すように。そして、殺した相手の体臭を落とすように。 風呂から出て来た。相変わらず胸が無い。 本人曰く「掃除に支障きたすし、防具が付けられないから別に良い」らしい。 そして、ベッドで三戦交える。 この生活はアイツの両親が逃げるように海外赴任してからずっと続いている。 もう初体験から四年たったのか。 そんな高二の夏。 55 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/07(土) 21 24 04 ID Rpqv+M2U 53 それはあるな。 盲目的にというか純粋に病みつつ愛してくれれば素晴らしい。 ヤンデレ娘と一緒にお風呂に入って主人公の体を洗っている時に「何か」に気が付いて 詰問とかたまらん。 56 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/07(土) 22 16 57 ID udoNiAs7 天然=バカ じゃないだろ 天然はバカってよりずれてるんだろ 57 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/07(土) 23 07 18 ID 2FA9pauA 54 別に文体が似てるとかじゃないのに深見真作品を思い出した。 58 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/07(土) 23 46 37 ID SJUWdUTi 56 余計ダメじゃんww しかし、もうそうしてたら普通のヤンデレよりゾクッて来たわ。 普段は天然なのに主人公が好きな人が出来たとか言ったときだけ目つきが変わるあれ。 59 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/06/08(日) 14 34 15 ID C3xv1c1J こんにちは。 ヤンデレ家族が、午後二時三十分ぐらいをお知らせします。 投下します。 60 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/06/08(日) 14 35 30 ID C3xv1c1J 自宅にたどり着くまでに要した時間は、これまでの下校時間の記録を塗り替えるほどのものだった。 しかしそれは非公式。なぜなら、俺はタイムなど計っていないから。 日頃、時刻を確認できる道具を携帯電話しか持たない俺には、ストップウォッチなど縁遠い代物だ。 とはいえ、仮に持っていたとしても今はそんな些細なことを気にする余裕は無かったから、計りはしなかっただろう。 自宅の敷地を出てすぐそこにある電柱に手をついて、息を整えながらそんなことを思う。 何かに寄りかからないと立っていられない。これほど必死になって走ったのは久方ぶりだった。 別に走るのが久しぶりな訳じゃなくて、死力を尽くすのが久しぶり。 葉月さんと一緒に下校し送り届けた後、自宅へ帰るまでの道のりを結構なハイペースで走るという日常を 送らされてきたため、俺の心肺は錆び付いてはいない。 それでも、ペース配分など無視して足の動く限り地面を蹴り続けたら、さすがにバテる。 やれやれだ。どうしてここまで必死になれる。 妹に助けを求められたぐらいで、ここまで後先考えない行動を取るとは。 「シス……こーん、な、俺…………」 自覚した。というか、自分の体で証明してしまった。 そりゃ、前々から弟や妹に対して甘いと気付いていたが、まさかここまでとは。 弟が十四日帰ってこなかった時でもここまで変貌しなかったくせに、妹のこととなるとこうまで変わる。 誰がどう見たって妹想いの兄貴そのものじゃねえか。 否定しても、チャック全開にして歩いていたのにその事実を認めない男みたいに、嘘吐いているのが丸わかり。 「……かっこ、悪うござん、した」 俺は何も言わずに背中で語り、遠くから弟と妹を見守る男でいようと思っていたのに。 自宅を取り囲む塀を支えにして、玄関へ進む。 止まっていた時間は一分にも満たないぐらいだったが、呼吸を自分で制御できるぐらいにまでは回復した。 今朝は自宅で目を覚まさなかったから妹の顔を見ていない。 でも、たぶん家にいるだろう。弟を待つために。弟が帰ってきたらいの一番に出迎えるために。 だから、誰かが家の玄関を開けたら真っ先に飛び出すはず。 助けを求めてきたのは、玄関を開けた相手が妹にとって恐れの対象だったからだ。 果たして誰が妹の前に現れたのか。 答えは、玄関を開けて家の有様を見て、ようやく明らかになる。 61 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/06/08(日) 14 37 02 ID C3xv1c1J 玄関のドアを開けた。 飛び込んできたのは昨日の朝に見た我が家の玄関の光景、そのままであった。 いや、一つ違った。 見慣れない靴が一足、転がっている。 置いてあるのではなく、文字通り投げ捨てたかのように放置されていた。 家族の誰かがそんな不作法をしたのならば、真っ先に靴を揃える俺であるが、今日はそうしない。 見慣れない靴、それすなわち家族以外の誰かが入り込んでいるという証拠だ。 見たところ、靴の種類はスニーカーで、サイズは俺のものと比較したら小さめ。 女……か? これだけじゃわからないけど、可能性は高い。 ――――いや、相手の詳細など誰でもいい。 「おーい、妹? いるか?」 呼びながら、靴を乱暴に脱ぎ捨てる。不作法は承知の上。後で揃えるだけだ。 とりあえず、真っ先にリビングを覗き込む。 キッチン、テーブル、ソファー、天井、異常なし。 どこも散らかったりしてないし、誰も居やしない。 ……てことは、他の部屋。 妹が居そうなところといえば、弟と妹が共同で使用する部屋ぐらいしかない。 妹からメールが送られてきてから、すでに十分以上経過している。 どこかに連れ去られた、なんてことになっていなければいいのだが。 弟に続いて、もし妹までさらわれたら、どうすりゃいいんだ。 一番ろくでもない長男が残ったって、意味がないのに。 弟と妹が危ない目に遭わないように面倒を見るなんて単純なことすらできず、 俺一人だけ無事でいるなんて、端から見たらただの無責任な男でしかない。 人にどう思われようと、今更何しても遅いからどうでもいい。 ただ、弟を無事に家に帰し、妹を助けられればそれでいい。 時間が惜しいので、一番妹がいる可能性の高い場所を当たることにした。 弟と妹の部屋。二人の名前が、ベニヤ板の上に木で象った文字で書かれている。 そういえばこの表札を作ったのは俺だったっけ。久しぶりに思い出した。 たぶん弟も妹も覚えてないだろう。俺が忘れてるぐらいなんだから。 それはともかくとして、ドアを軽く三回叩いて、声を掛ける。 「俺だ。……入っていいか」 しばし待つ。が、返事はない。 「あと十数えて返事しなかったら勝手に開けるぞ」 一応予告をしておく。 もしここで返事があれば、入る必要はない。 はやる気持ちを抑えつつ、十からカウントを始める。 ゼロまで数え終えても妹からの返事はなかった。物音すらしない。 予告の通り、ドアノブをひねって二人の部屋に入る。 62 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/06/08(日) 14 39 10 ID C3xv1c1J 「なん…………だ、これは」 部屋中がひっくり返されていた。 正確に言えば、部屋に置いてあるあらゆるものがでたらめに床に散らばっていた。 弟と妹がそれぞれ使っている机。 二つともが机の上をまっさらな状態に変えられていた。引き出しも不揃いに出されっぱなし。 本棚の中身は全て床にぶちまけられ、辺り一面に本の海が出来ている。本棚も倒れて、背中を見せている。 テレビなんかも床に直接置かれ、台と離ればなれになっている。 それ以外にも、文房具やら服やら壁掛け時計やら、なんでもかんでもが床にあり、四方の壁がすっきりしてしまっていた。 しかし、中でも一番ひどい有様になっていたのは二段ベッドだ。 弟と妹、どちらが上か下か知らないが、今となっては知ったところで無駄なこと。 上のベッドと下のベッドが、別々に分離した状態に変わり果てていた。 誇張ではなく、本当に言い表したまま、上のベッドを支える四隅の支柱がへし折れていた。 下段のベッドは本来ならあり得ない、横倒しの直立状態になっていた。布団ももちろん剥がれている。 そして、上段のベッドは壁に斜めに寄り掛かっていた。 おそらく、置いてあったベッドをそのまま倒したら上のベッドが壁にぶつかり、支柱からぼきりと折れてしまったのだろう。 どう考えてもこれは、悪意のある人間の仕業だ。 とすると、妹が無事であるとは、限らない。 「誰? …………お兄さん?」 小さな声を耳にして、乱れていた思考が落ち着きを見せた。 「その声、妹か? 無事か? どこにいる?」 声は聞こえども姿は見えず。 災害に遭った後みたいな部屋の様子では、妹がどこに隠れているのかわからない。 「怪我はないよ。 それより…………駄目」 「なにが駄目なんだ」 「見せられない。隠れてなきゃ」 「なんでだよ」 もしかして、顔に怪我をしてしまって、そのせいで……? 「居るもん。あの人がまだ、部屋の中に」 部屋の入り口から前方、左右、天井、ついでに後方まで確認する。 「誰も居ないぞ? お前が気付いてないうちに帰ったんじゃないか」 「…………居る。そこ」 「どこだよ」 「………………ベッドの裏」 ベッドへと目を向ける。 無惨な有様になってはいるが、ベッド単体としての形はまだ保たれている。 横倒しになった下段のベッドは、死角を作り出していた。 妹以外の気配は感じられない。 しかし、耳を澄ますと一定の間隔で呼吸の音が聞こえる。 これ……まさか寝ているのか? 自分で部屋を荒らしておいて、逃げもせずにその場で寝るなんてどんな馬鹿だ。 だけど、これはチャンス。捕まえるなら今しかない。 床を見て武器になりそうなものを探してみるが、分厚い辞典ぐらいしか見あたらない。 仕方なく、辞典を片手にしてベッドへと忍び足で近寄る。 ベッドを背にして裏側を覗き見る。 まず見えたのは、ニーソックスを履いた長い足。 さらに覗き込むと、スカートが見え、次にセーラー服が見えた。 寝ているくせにその胸がやけに隆起している。いや、そんなことはどうでもいいのだ。 それより、目にした制服のデザインが、俺の通う高校の女子の制服だったことに気になった。 誰だ? 俺の家を知っていて、部屋を荒らし、妹には危害を加えない、そんな人間は。 澄子ちゃん……は無いな。体型がまるで違うし、ここにいる可能性は低い。 弟のファンクラブの子? 中には荒っぽい子がいるかもしれないけど、いまいち解せない。 他に弟に好意を抱いているのは――――花火がいる。 63 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/06/08(日) 14 41 45 ID C3xv1c1J ニーソックスに、絶対領域に、スカートに、女子用の制服に、でかい胸。 以上の特徴を持ち、かつ俺の家を知っている人間。 そんなやつ、花火ぐらいしか居ない。 でも、花火は何をしている? 何をしに来た? 俺の家を荒らして嫌がらせなんかしたって、俺への恨みは晴れないだろう。 それ以外で花火が動く理由というと、姿を消した弟の捜索。 ――――そうか。こいつ、そのつもりで。 「来るのが遅いよ、アニキ」 びっくりして、辞典を取り落としそうになった。 今度は俺が花火の死角に入る番だった。 花火に対して、俺はどれぐらいの警戒をするべきだ? 部屋を荒らしたのだから、最大レベルの警戒であたるべきかもしれないが、 寝ていたということは、花火はもうこれ以上のことをする気はないのかも。 妹を傷つけていないのも、きっと目的を果たすのに必要ないからだ。 「そんなに警戒するなよ。私はただ、この部屋を調べに来ただけ。 用が済んだら、さっさと帰るよ」 「……じゃあ、なんでまだここに居る? ここまで荒らしたなら、これ以上調べる場所なんてないだろ」 「用があるからだよ。私一人じゃ見えないものがある。別の人間から見た、現状を教えて欲しい。 アニキ。何か手がかり――――あいつの居場所を掴めたか?」 「いいや、特になしだ」 隠れてて良かった。もし向かい合っていたら、嘘を吐いていることが絶対にバレていた。 居場所はともかく、誘拐の実行犯の正体はわかっている。 けれど、教えるわけにはいかない。 他の人間ならともかく、花火にだけは。 「ふうん、そう。 ところで、ちっさい妹に聞いたけど、アニキは昨日家に帰ってこなかったんだって?」 「……まあな」 「どこに行ってた? 夜通し遊びまわってたわけじゃないんだろ。 今のアニキの性格じゃ、そんなことしないのは知ってる。聞きたくもないのにあいつが教えてくれたからな。 ごまかしても、無駄だよ」 心の中で舌打ち。弟め、要らないことまで喋りやがって。 一番無難な答えができなくなってしまったじゃないか。 「……友達の家に泊まってたんだ」 「嘘くさい。自分の性格を理解してない。なにより、昨日の状況でそんなことをするはずがない」 「何を根拠に……」 「あいつから色々聞かされたって言っただろ。 まず、アニキはとにかく現状維持に努める。その代わり、新しいことや変化を望まない。 だからこそ、あいつが居なくなったことに不安になった。 今の状況で、一日連絡を取らずに、自分の家族、特に妹をさらに不安にさせるようなことはしない。 昨晩何の連絡もなかったという時点でおかしいんだよ」 大当たりだ。ここまで理解されてて、ある意味嬉しく思う。 仮に高橋の家に俺が泊まったとしよう。 その場合、真っ先に俺は家に連絡する。友人の家に泊まるから今日は帰らない、と言う。 弟だけじゃなく、俺まで居なくなったらさすがに両親まで不審に思うだろう。 いや、もしかしたら昨日の朝の時点で、すでにもう。 だから、昨日澄子ちゃんを見かけなければ俺は弟捜索を打ち切って家に帰っていた。 「あの女、葉月の家に泊まったなんてことはまず無い。そうすれば連絡しないのも頷けるけど。 アニキはあの女を恋人にする気なんかないんだろ。返事を保留にしているのがその証拠だ。 彼女にするほど好きじゃないのか、タイミングが掴めないのか知らないけどさ。 本気じゃないなら、彼女にはしない。返事をせずにごまかし続ける。 関係の変化よりも維持を優先。それがアニキの接し方。 そういうところが、いや、そういうところも含めて――――最低だ」 64 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/06/08(日) 14 43 32 ID C3xv1c1J なるほどね。わかっていたけど、昨日の別れ際の台詞はそういう意味だったんだ。 好意を寄せられていると知りながら、好きだと告白されていながら、何の返事もしない。 そりゃあ、腹も立つだろう。クラスの皆も同じ事を思っているはずだ。 「花火。葉月さんに、俺は返事をしようと」 「ああ、そんなことはどうだっていいんだよ。返事しようがすまいが、私には関係ない。 アニキと私を関わらせる要因は、あんたの弟だけ。 あいつの居場所さえわかればこれ以上何も言わず、消えるよ。 ……で、結局アニキは昨日どこにいたんだ? 家族の誰にも連絡を入れず、友達の家以外で、どこで夜を明かした?」 「それは――――」 言えない。 地下倉庫に居たことを知られてしまったら、さらに追求され、犯人のことまで問い詰められる。 もし喋ってしまったら、澄子ちゃんが危ない。 去年の文化祭で、花火が自分の名前を呼んだ軽薄な男に対して奮った暴力的な一面。 あの場は弟が収めてくれたが、そのまま放って置いたら、あの男は顔をひしゃげさせられていただろう。 大げさな表現ではない。本当に花火は実行してしまう。 しかも澄子ちゃんは弟をさらった人間だ。 自分にとって一番大切に思うものを奪われたら、人は一体どんな行動をとるのか。 例えば俺の場合だったら。だったら――――どうするんだろ。というか、何が大事なんだ? 妹だろうか。……恥ずかしいけど、さっきは必死に走ったぐらいなんだからそうなのかもしれない。 でも、妹が居なくなって、俺がどんな気持ちになるのかはわからない。その時が来ないとなんとも言えない。 取り乱す様はすぐに思いつくけど。 俺の例えはともかくとして、花火だったらどうなるか。 弟が居なくなって、会いたくもない俺まで捜索に使おうとするぐらい焦った。 葉月さんが弟を狙っている人間だと早とちりして殴りかかった。 怒りの矛先が定まったら、そんなの、止まらなくなるに決まってる。 「それは、何?」 「昨日、俺は…………」 「早く言えよ。こうやって話してるだけで不愉快なんだ。私が冷静でいるうちに答えろ」 「言いたくない」 「はあ?」 「言いたくないし、言う必要があるほど大した場所には行ってない」 ここはなんとかしてごまかすしかない。 花火だって、俺と話すのはあまり好きじゃないんだから、深く追求はしてこないはず。 「俺にだって内緒にしたいことがあるんだ。だから聞かないでくれ。 弟捜しは、これからまた…………?」 気配を感じて、右を見る。 ベッドを挟んで向かい側にいた花火が、回り込んできていた。 無機質な瞳が俺を見下ろしている。 「今の、なんだ」 何の感情もこもっていない花火の声。 「聞こえなかったのか。私は、昨日アニキがどこで何をしていたか聞いてるんだ」 「……だから、答えるほどのことじゃ」 突然伸びてきた腕に襟を掴まれた。 続けて振り回されて無理矢理立たされ、壁に押しつけられる。 「ぐっ!」 背後の壁と、いまさら爪先に落ちてきた辞典がさりげなく痛い。 襟を捻られ、締め上げられる。 呼吸できないほどではないが、徐々に踵が浮いてきているのがわかる。 「気にくわない答えだ。最高にイライラする。 アニキよ、あんたに聞いたのは質問の答えだ。 昨日どこにいたのか。そんな簡単なことすら答えられないか。いつもそこまで忘れっぽいのか」 「ああ、実はそう――――」 「へらへらするんじゃねえ! 言いたくないの次は、忘れただ? 言ってることが変わってるぞ! ごまかそうとしてるのバレてんだよ! 卑怯者!」 襟を締める花火の手が顎にくっついた。さすがに苦しい。 でも、言う訳にはいかない。言ったらそこで、澄子ちゃんは。 65 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/06/08(日) 14 45 37 ID C3xv1c1J 花火を見つめ返す。目があった瞬間に、明らかに不快そうな顔つきになった。 「むかつく。去年顔を合わせてから今までで、一番殴りたい顔つきだ。 それとも、最初からその気か? 私に殴られたいか? その方が、アニキの気持ちも正直になるから、そうした方がいいか?」 「好きにしろ。殴るだけの正当な理由が、お前にはある」 「好きに? …………ははっ、それは無理。まだ、今は無理さ。 私がアニキを好きにしたら、たぶん、良くても半殺しにするだろうから。 だから、そうだね。今は」 突然内臓に鋭い衝撃が走る。痛みがのど元に達する前に、より固く、強いものが腹に突き刺さった。 腹を抱え悶絶しないよう耐える。 今度は、背負い投げの形で放り投げられた。 柔道のように畳の上に着地せず、本と小物と家具の破片だらけの床に、背中から衝突した。 手加減無しだった。手加減していたなら、俺は花火に手の届く位置に落ちたはず。 投げっぱなしの背負い投げは、俺を一メートル以上、花火から遠ざけた。 背中と腹から襲い来る痛みが混じり、感覚をそれだけで占領する。 胃をへこまされたみたいに感じるが、吐き気は起こらない。 昨日の昼から何も食べていないことに感謝した。 横を向いて痛みをこらえていると、目の前に花火の足の爪先が見えた。 それ以外に見えるのは床だけだ。余裕なんかひと欠片もありはしない。 「これぐらいにしておくのが後々楽だ。 下手に怪我でもさせたら、あいつが気付くからな。 ……さて、アニキ。返事はしなくていいから、首を動かして答えろ。 昨日何をしていたか忘れたなんて嘘で、本当は覚えてるんだろ?」 頷かない。頭は動かせるけど、床に置いたままにする。 「こんだけやってもだんまりか。だったら」 うつぶせにさせられた。背筋を避けて連続で踏まれる。 足の裏じゃない。一点集中した痛みからして、踵だ。 肩に衝撃が走ると大量の空気が押し出されて息苦しい。 内臓を蝕む痛みはさらに深刻化する。 それでも、まだだ。 せめて、花火の気が済むまで耐えさえすればいい。 俺が白状したら澄子ちゃんの安全は保証されない。 自分の選択で最悪の選択を回避できるなら、これぐらい耐えてみせる。 「……なるほどね。そういうわけか。それなら、口を簡単に割るはずないよな」 なんだ? いきなり蹴るのをやめた? これで終わったのか? それならそれで構わないけど、なんだ、今の花火の台詞は。 何かに気付いたような……? 66 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/06/08(日) 14 47 09 ID C3xv1c1J 「そこまで強情になるってことは、誰かをかばっているんだろ。 誰か。つまりそいつがあいつをさらった犯人、もしくは犯人に繋がる関係者だ」 ――気付かれた! まずい、ごまかさないと! 「ち…………、違う! 俺はただ、お前が……気にいらない、から……言わないだけだ」 「嘘つけ。ますます怪しいな。そこまで必死になるなんて。 別にアニキから本当に嫌われてようと、とっさに吐いた嘘で嫌いと言われようと構いやしない。 どうせ、私があいつと結ばれるまで、仕方なく持っている関係に過ぎない」 嘘吐いたことまでバレバレかよ。ちくしょう。 ――ん、おかしい。 なんで「嫌われようと構わない」、なんてわざわざ言ったんだ? 言う必要なんかない。黙ってても、花火が俺のことを虫けら程度に思っていることは伝わってる。 俺は花火が嫌いじゃない。 対して、花火の認識は「俺は花火を嫌っている」となっているはず。 だけど――――だけど、なんだっけ。 駄目だ。体の痛みが頭の回転を鈍らせてる。 「アニキが口を割らないなら、こっちにも考えがある」 花火の足が動いて、視界の外へ消えた。遠ざかる気配が感じられる。 回復して、体勢を立て直すなら今しかない。 呼吸は落ち着いてる。痛みは完全に消えてないけど、ピークは過ぎた。 後は手と足だけど――――うん、こっちも動く。 両手で床から体を剥がして、折った膝を滑り込ませる。 右膝を立てる。首を上げて、前方を見やる。 そこに居たのは俺を見下ろす花火。 「嫌だ…………やめて。怖いよ、助けて…………おにいちゃん、おにいちゃん」 それと、花火に髪の毛を掴まれ腕で抵抗する、虚ろな顔をした妹だった。 「花火、一体何をしてる!」 「あれ、もうそんな声が出せるまで回復したのか。 頑丈だな。その辺の不良なんかよりよっぽどタフだよ。感心する」 「質問に、答えろ」 「うるせえよ。今から答えるところだ。 …………今から試すんだよ、アニキ、あんたをさ」 なんだと? 妹を使って、一体何を試そうって言うんだ。 「分からないってツラだな。ま、言うより見てもらった方が早い、と」 花火が妹の髪を放し、両肩を掴んでまっすぐ立たせた。 そして、一瞬だけ微笑み――――平手で叩いた。 乾いた音が響いた。手加減をしていない。動いた右手が振りぬかれてる。 「や、やめ……やめ、て。お願い」 「…………ふん」 鼻で笑い、今度は反対側の頬を打つ。 妹は頬を押さえて、その場に尻餅をつくように座り込んだ。 67 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/06/08(日) 14 48 21 ID C3xv1c1J 歯ぎしりの音。俺の顎が噛み合い、擦れ合ってできた音。 頭に血が上ってくる。拳の震えが肘、肩、首、頭まで伝わってくる。 「何してやがる! 妹は関係ないだろうが!」 「ああ、たしかに関係はない。何にも悪いことはしていない」 「この……こいつ! だったら手を出すな!」 「騒ぐなよ。音がでかいだけで、腫れることはない。 今回の誘拐に関しては、ちっさい妹は悪くないよ。 でも、個人的に妬む理由がある」 妹の髪が大雑把に掴まれ、顔が持ち上がる。 俺の目と妹の目が合う。 妹は泣いていた。顔をくしゃくしゃにして、涙を流し続けていた。 口が動いているけど、動きだけで声は出ていない。 しゃくり上げる嗚咽だけがはっきり耳に届く。 「手を離せ! 今すぐにだ!」 「断る。こうする理由が、私にはあるんだよ。 ちっさい妹は、同じ家に住んでいるってだけで、あいつにくっついていられる。 風呂にも一緒に入っている。同じ部屋で寝てる。 簡単に言うと、私はちっさい妹に嫉妬してるんだよ。 あいつに近づこうとする大量の女の群れよりも。 あいつをさらった今回の犯人よりも、かもな」 花火がしゃがんで、妹の顔を横から覗き込んだ。 小さな悲鳴と共に、妹がさらに顔を強張らせる。 「どうしてだろうな? なんで妹のくせに、血の繋がった姉弟のくせに、あいつに近づくんだ? 胸は小さい。背は低い。目の前で部屋を荒らされても何も言えない。今も、泣きじゃくるだけ。 そんなやつは、あいつにふさわしくない。そうは思わないのか?」 「わ、私…………お兄ちゃん、お兄ちゃんが好きだから…………」 「ああ、そう。本当、憎らしいよ。 あいつに近づいているところも、私にこんな想いをさせるところも。 …………なあ、アニキ。どうしたらいいと思う?」 「そんなことより、手を」 「聞けって。真剣な質問なんだから。 私が、もう二度と不安な思いをしないために、ちっさい妹をどうすりゃいいのかな? 全身の毛を剃ろうか? 顔の形が変わるまで痛みつけようか? 両手足を折ってやろうか? ああ――でも、そんなの面倒だし、あいつがさらに構うようになったら困るから、いっそのこと――」 殺してやろうか。 68 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/06/08(日) 14 49 37 ID C3xv1c1J 聞こえた瞬間には体が動いていた。 間合いを詰めて、右足を花火の顔目掛けて奔らせていた。 しかし、空振り。 体勢を崩して、その場にくずおれた。 足を叩いて一喝。 立ち上がって振り返る――――と同時に、脇腹に伸びた足がめり込んだ。 吹き飛ばされる。机にぶつかり、椅子を巻き込んで倒れた。 痛みへの反応が喉を閉ざす。冷や汗が肌に浮かぶのが分かる。 「いい一撃だったよ。あと二三センチで私の鼻は折れてたろうな」 拳を床について、肘を伸ばす。すかさず肘に蹴りを入れられて、また床にぶつかった。 「いくら私が相手でも、まさか女の顔を蹴ろうとするなんてね。 さすが、小学生の頃に頬を切りつけただけはあるよ。 これがアニキの本性さ。凶暴で、残忍で、冷酷で、大事な人間以外は思いやらない。 体には犯罪者の習性が刻み込まれてる。血には異常者の遺伝子が受け継がれている。 肉親を好きになるところなんか、親そっくりだ。 あいつにそんな一面がなくて、本当にほっとするよ」 「お前…………知って、るのか……?」 「まあな。あいつに聞いた。というか、カミングアウトされたよ。一方的に」 嘘だろ。 絶対に誰にも言うなって、ことあるごとに言ってるのに。 弟の奴、何を考えて……? 「さあてと。お返しを、させてもらおうかな」 悪寒。と同時に顔面に蹴りを見舞われた。 痛みが鼻から後頭部まで突き抜ける。涙腺を刺激され、涙が出た。 鼻腔を生温くてどろどろしたものが流れる。血の匂いが口の中を満たした。 髪を掴まれる。目の下から流れ落ちた血が床に落ちて跳ねた。 続けて俺の顔が床に叩きつけられる。 一回、二回、三回と。 途中から目を瞑っていたから、もっと多かったかもしれない。 聴覚にも聞き取る余裕はなかったようだった。 それでも、花火の声だけは律儀に拾う。 「……まあ、こんなもんでいいか。 あいつに問い詰められたら、アニキが暴力を振るったから喧嘩したって言えば済むレベルだ。 血も滴るいい男になったじゃないか。間違っても惚れたりはしないけど」 ダメージを受けた箇所は脇腹と顔面だけ。 それだけで体の命令が隅々まで行き渡らない。 あっさり満身創痍。簡単すぎる。 69 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/06/08(日) 14 55 24 ID C3xv1c1J 髪を解放された。床と顔面がぶつかってから、襟を掴まれて上体を起こされた。 「二つ、選択肢をくれてやる」 眼前に花火の左手の人差し指があらわれた。 「一つ。私の質問に正直に答えて、これぐらいの怪我で済ませる」 そんなの、できるか。 あの子――名前は思い出せないけど――を危険な目に遭わせるわけには。 花火の左手の中指が立った。二つ目の選択肢。 「二つ。質問に答えず、このままここでちっさい妹と一緒に、仲良くずたずたにされる。 これじゃ駄目か。ベッドにくくりつけられ、ちっさい妹が痛めつけられるところを最初から最期まで見る、にしよう。 こっちの方が、アニキには堪えるだろう?」 「…………ん、が」 「ん?」 「俺が…………大人しく、言うとおりに、すると」 「私が、言ったとおりのことをするんだよ。あんたは答えるだけでいい。 言うまでもないだろうけど、私の労力はどっちにしても変わらない。 ちっさい妹をいたぶるのも、犯人をぐちゃぐちゃにするのも同じことだ。 真剣に考えな。妹の身の安全と、弟をさらった誘拐犯の手助け。こう言えばわかりやすいだろ」 俺が選べば、片方だけ助かる。 でも、選ばなかった方はそこで終わる。 「どう、して…………俺が」 「そんなこと自分で考えろ。でも、自分は何も悪くないとか、自分には関係ないなんてふざけた考えはするな。 弟妹を守るのは、兄の役目だろ。状況を受け入れろ。とっくに普通じゃないんだ。 アニキの漫然とした平和な日常は、とっくに崩壊してるんだ」 迷う。どちらが大事かなんて、わかってるのに。 ふんぎりがつかない。 本当は等価値なのか。俺にとって、妹と澄子ちゃんは。 選ぶって、こういうことなんだ。 複数の内の一つを手にして、他を切り捨てる。 そんな経験、一度もない。十七年生きてきて、覚えている限りでは。 背中を横倒しのベッドに押しつけられた。 逃げられない俺に、花火が顔を近づけてくる。 そして、あることに気付いた。 「こんなこと、本当は言いたくなんかないんだけど、なり振りに構う余裕がないから言ってやる」 花火の目の下には隈が浮かんでいた。 目尻には乾いた涙の跡。 金色の髪もところどころ跳ねていて、艶が失われていた。 「私が、あいつを無事に連れ戻してやる。絶対にだ。だから――早くあいつの居場所を教えろ」 それらは、花火が弟を想ったゆえの行動。言葉は、命令でも脅迫でもなく、願い。 弟を助けるために、花火はここまで必死に捜し回った。 ならば、その思いに応えることに、俺は。 「教えてくれ…………アニキ」 俺は、迷わない。 70 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/06/08(日) 15 01 19 ID C3xv1c1J * * * 時が過ぎ、花火が立ち去った部屋の中。 俺と妹はまだその場から動けなかった。 妹が動けないのは、未だに花火の恐怖から覚めていないからだろう。 俺は、心に引っ掛かるものがあって、機能低下した頭でずっと考えていた。 ただ、答えを導き出す以前に、問いが思い当たらない。 なんだっけ。 たしか、俺は倒れていたはず。そう、こうやって。 前のめりに倒れる。両腕と両足が伸び、大の字になった。 床の木目を見ていると、問いを思い出した。 花火がどうして、俺に嫌われても構わないと言ったのか。 嫌い嫌いと言ってくる相手を好意的に思う人間なんて、そうそう居ない。 俺みたいな、相手を嫌いになる資格のない人間はともかくとして。 ――――まさか、いや、でも。 もしも花火が、俺の考えに気付いていて、あんなことを言ったのなら。 「……はっ、ははは、は…………くだらねえ」 自意識過剰にもほどがある。 花火が、俺に嫌われたいと願っているなんて、馬鹿な答えだ。零点だ。 あいつは俺のことをなんとも思ってない、虫けら程度に思っている、というのが正解だろう。 俺にどう思われても、花火はどうだっていいはずなんだから。 ぺたぺたという音が聞こえた。ゆっくりと近づいてくる。 俺の体が動いていない以上、妹が立てた音だと考えるのが妥当。 「お兄さん、そこ……危ないよ。早く、早くどいて」 何が危ないというのだ、妹よ。 お前が俺を心配するだなんて、二月の中旬から桜が咲き綻ぶんじゃないか、ハハハハハ。 「ベッド、ベッドが」 ベッド? そういや、支柱が真っ二つに折れてたな。 スケールモデルのベッドならともかく、1/1サイズはまだ敷居が高くて手が出せない。 というか、そこまでいったら家具屋の仕事だ。 修理、いや買い換えることになるな。思わぬ出費で我が家の家計は真っ赤っか。洒落にならん。 「倒れ、倒れそ……ううん、倒れるって!」 妹の目は恐怖のあまり節穴に? 俺はとっくにうつぶせに倒れているぞ。 「駄目…………だめえっ! 危ない!」 妹にのしかかられた。 これは初体験。体の天地を逆転させた相手が背中に乗るって結構悪くない。 でも、軽いな。もっとたくさん食べろよ。花火みたいに巨乳になれないぞ。 セクハラ発言を心の中で身内に対してしつつ、斜め下を見る。 俺の右手の甲は、床に落ちた本の上に乗っていた。 肘は浮いている。 もし今、花火に肘を踏まれたら折れるのは間違いない。あの女、えらい馬鹿力の持ち主だから。 骨折って意識が覚醒した状態で心臓マッサージや人工呼吸されるより痛いのかな。 なんて考えると同時に、肘に衝撃が走った。 色々あり、もはや痛覚のメーターは麻痺している。 その状態で受けた今のダメージは、先刻のどれよりも深刻だと理解した。 腕が折れていた。 支柱が肘に乗っていた。 目を疑う。信じられない。現実味が無い。あっさりしすぎている。 じわじわじわじわ、頭のてっぺんから爪先まで痛みが浸透する。 黒板に爪を立ててひっかいた時の擬音が神経を伝導していく様を想像した。 ああ、ちくしょう。 痛えなあ。 71 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/08(日) 15 02 57 ID C3xv1c1J 以上で今回は終了です。 次回、死闘編の決着。またここでお会いしましょう。 72 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/08(日) 16 42 11 ID HY6Y9NiA 一番槍GJ! 73 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/08(日) 17 44 58 ID sDqUvg+3 うっわ花火超ムカつく! 74 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/08(日) 18 31 23 ID JmqxEm6V 視点がやられる方だから非常にムカつくな。 澄子、または葉月と戦うのは明白だし、 ボコボコにされて新たに顔の傷が追加されるフラグだなw まあ、兄か弟が空気を読まずに止めそうだけど。 75 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/08(日) 19 26 17 ID vYbHf5sd 果たして兄貴は五体満足で最終回を迎えられるのか! 衝撃の死闘編完結までGJはとっておきましょう。 71乙。 76 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/08(日) 19 36 56 ID LiiA365m なんか兄貴がここまで現状維持というか優柔不断だと 過去に相当な事があったんだろうなと思えてくる。 77 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/08(日) 20 33 03 ID 3WT7NoCU 76 あぁ、やっぱり過去はまだ語られてないんだ なんか作中で当たり前のように話題にあがるもんだから、読み飛ばしたかと思ってた 78 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/08(日) 21 45 55 ID UCX0DCy0 花火やりたい放題だなぁ 凶暴で、残忍で、冷酷で、大事な人間以外は思いやらない。 これってそのまままるっきり花火に返せるんじゃないのか 79 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/06/08(日) 22 01 48 ID lU3QqJUX 来週日曜の最終回が楽しみだな。 80 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/08(日) 22 15 27 ID f9d917ly 79 勝手に終わらすなよ 81 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/08(日) 22 36 13 ID sDqUvg+3 78 まるで自分の姿がうつった鏡に罵倒しているようなものねw 82 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/08(日) 22 52 13 ID C1mhThDW 79 (兄の命が)最終回ってことですね、わかります 冗談はさておいて、死闘編最終回ってことだろ 83 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/08(日) 23 03 23 ID oi8QEnfz GJ! ああしかし兄貴いいな こういう普段は人畜無害の癖に本性は冷たい。 だけど好きな奴にはとことん甘いという、ルルーシュみたいなシスコンは大好物です 84 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/08(日) 23 39 53 ID /8kC0GLJ 間違いなく花火にとってのハッピーエンドはありえないだろうな 85 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/09(月) 00 36 47 ID YZjjosiW 一方的に罵倒されたり理不尽な暴力にさらされたりしすぎだろ それでも受身かつ自罰的な精神のあり方が変わらないとか、この兄貴異常にタフだ・・・ 86 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/06/09(月) 00 40 11 ID bzXHmMm6 弟はなぜ両親のことをばらしたのか気になります。 次回がまちどうしい 87 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/09(月) 01 10 01 ID MQzsU8QU 弟→誘拐されるが、少なくとも身の危険はない。 兄→弟が行方不明となるや、いきなり顔見知りの女が現れて、一方的に人格批判と罵倒をされたのち、弟の捜索の途中で誘拐犯に監禁され、縛られたまま一晩放置されて強制野宿、 その起き抜けに腹部を圧迫され気絶し再び意識喪失、起きるも、気絶させられたクラスメートの女子に誤解から詰問を受け、それを無理やりかいくぐって、気絶から起きてすぐであるにも関わらず、妹の危機に全力疾走で帰宅、 着くも、再び現れた顔見知りの女に投げる殴る蹴るなどの暴行を加えられ、罵倒され、妹を人質に脅迫され、破壊されたベッドに潰されて片腕骨折。 これはひどい。いっそヤンデレ家族といじめられっ子の兄に改題すべきとか思っちゃうほど。 頼むから兄貴に救いを与えてやってください……。 88 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/09(月) 01 34 16 ID a5GU6kyQ 87 兄はそろそろ怒っても良いと思う 89 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/09(月) 01 41 17 ID ygjKQ4PD そういや、全然傍観できてないな むしろメイン被害者 でも葉月さんに好かれてるというだけで十分過ぎるほど救われてるじゃないか 90 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/09(月) 02 00 20 ID C4CY0qJW 兄貴カワイソスwww 俺なら数発で半死にになってるな。 兄貴、本物のタフだな。 91 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/09(月) 04 50 46 ID 1vBJBpd6 実は弟が兄を憎んでるんじゃないかと邪推してしまうな 葉月さんの性格を知りながらチョコあげてみたり花火に両親のこと話してみたり 誘拐も実は狂言で兄を苦しめるつもりで燈子を利用しただけだったりして 花火が兄を嫌わなければならないって言ってたのも 弟が兄を嫌っている→私も嫌わなければならないってことだったりしてと妄想 92 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/06/09(月) 06 31 14 ID Rivw5zkW 83 おまいがそんなこと言うから、 兄貴→ルルーシュ 弟 →ロロ 妹 →ナナリー って考えちゃったじゃないか。 93 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/09(月) 06 32 27 ID Rivw5zkW sage忘れた。すまぬ 94 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/09(月) 06 48 36 ID QMPZ1bLx GJ! 兄貴当分プラモ作れないな 案外それに1番怒ったりして。 95 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/09(月) 08 35 03 ID UUJAZtko 92 なぜか俺は弟がスザクっぽいとおもってるのだが・・・ 96 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/09(月) 14 29 30 ID YbZh7+do 95 んじゃ葉月さんはC.C.だな 97 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/09(月) 17 28 09 ID nL1ST453 コードギアスの小説みたが、 ロロはルルーシュの妹 ナナリーに嫉妬してたが あれもヤンデレ? 98 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/09(月) 17 28 38 ID UUJAZtko 96 葉月さんが兄貴に 「童貞」とかいうんですねわかります 99 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/09(月) 18 37 16 ID ygjKQ4PD 97 ヤンデレだとしても、男のヤンデレは死ぬべきだ 98 それはそれで見てみたいw 100 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/09(月) 19 19 52 ID wwCpe+ZC 男のヤンデレは生まれてきたこと自体が犯罪。 存在がウザいから首吊って死ね。 101 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/09(月) 19 22 07 ID 2E62HCXl というかコードギアス自体が・・・ 102 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/09(月) 20 34 41 ID BAY3I4h3 84 花火にとっては弟さえ自分を受け入れてくれるならハッピーだろ。 他のすべての人間は邪魔でしかないんだし。 しかしこの状況をあっさり受け入れるなら弟も相当の人でなしになるな。 103 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/09(月) 20 58 11 ID v5xLwfVp そういえば傍観者の投下スピード速くなってるな。 読み手としては嬉しい事この上ないが無理は禁物だぜ。 次回にwktk! GJ!! 104 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/09(月) 21 08 57 ID C4CY0qJW 俺の昼寝の夢・~ヤンデレに戦闘車を与えたら~ 「●●君はやらせない!●●君を殺そうとするのは死ね!」 ぶつぶつ呟きながら重機関銃で集落を掃討。 「こちらマイレディ52!CAS要請!ポイントは…」 近接航空支援を要請し、愛する人に近づく泥棒猫を消す。 「こちらエリック23、デッカイのをプレゼントだ!巻き込まれるなよ!」 泥棒猫の乗っているパールライダー61は密林の敵もろとも燃料気化爆弾の餌食に… その戦いで昇進した女の子は部下として愛する人を配置、いつも二人+機関砲手で出撃 ゲリラの掃討から大攻勢まで戦い抜いた二人は終戦後結婚。 部隊婚を行う。しかし新たな敵が!女士官 対 女性事務官 の戦いが… そこで起きちまった。 105 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/10(火) 01 56 37 ID /2nMHf7K 続きよろしく 106 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/10(火) 23 29 54 ID b/zwtTk5 あの名曲+ヤンデレ スーダラ節 チョイト一杯のつもりで飲んで♪ いつの間にかはしご酒♪ 気が付いたらどっかで監禁♪ 君は受付の木村さん♪ ア、ホレスーイスイスーダラダッダスラスラスイスイスイ♪ (略) 107 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/06/11(水) 00 30 48 ID 3Wxplgdo 病めば病むほど強くなる 病拳 108 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/11(水) 01 08 12 ID JA9Zgdx9 此処でもキモウトスレでもsageない奴が増えてきたのは気のせいだろうか? 109 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/11(水) 03 56 07 ID Os9sQ5He 投稿します。 ヤンデレになるきっかけまでの導入部分です。 プロットみたいなものですね。 110 名前:変身少女[sage] 投稿日:2008/06/11(水) 03 56 47 ID Os9sQ5He 【変身少女】 ≪あのさ、俺たち少し距離を置いて付き合わないか≫ 祐(ゆう)くんが目の前でそう、あたしに告げた。 「えっ、あ……うん」 その時は頭が真っ白でそう言うのが精一杯だった。一瞬、何を言われたのか 分からず、祐くんにただ笑顔を見せようと、私はニコニコしていたと思う。 「俺さ、ずっと忍(しのぶ)の事大切な友達だと思っているから。それに、忍は 美人だし頭もいいしさ。俺も羨むくらいの女の子だから、大丈夫」 「……そんな気にしないで」 私の言葉を聞くと、祐くんは少しホッとした様に自分の家に入っていった。 私はこの時、祐くんとのこの関係はこれからもずっと続いていくものだと少しも 疑わず、その場で≪バイバイ≫と手をずっと振っていたのを覚えている。 祐くんとは小学校5年の時に初めて出合った。私よりも少しだけ背の大きいその 男の子は、私の隣の席に座ると手を差し伸べてきた。 「今日からよろしく」 「……えっ」 「いや、俺、隣にこんな可愛い子が座るなんて思わなかったからさ、ラッキー だったかなって」 その男の子は小声で私に囁いた。 「……あの……かわいい?」 「そうだよ」 顔が真っ赤になった私をからかう様に、男の子は舌をぺろっと出してあっかんべー をした。 111 名前:変身少女[sage] 投稿日:2008/06/11(水) 03 57 39 ID Os9sQ5He それから祐くんと私はずっと一緒。祐くんはスポーツ万能で勉強もそこそこできた。 お喋りも面白くてクラスの人気者。対する私は内気で眼鏡をかけていて、クラスでも 目立たない存在だった。でも、そんな私を祐くんは全く気にせずに、いつも話しかけて きてくれて仲間に誘ってくれた。そんな優しい祐くんを私はすぐに好きになっていった。 「お前、忍の事好きなんだろ」 「あぁ、好きだよ」 「……ちょっ、……祐くん……」 「じゃあ、結婚するのか?」 「そんなの分かるかよ。まだ子供だぞ、俺」 「そんなブス、好きなんて変わっているな」 「……何だと!」 「……祐くん……いいから」 「お前、変わってんな~。こんな女とよぉ」 「謝れ!」 「何だやるのか?」 「うるせぇ、忍を馬鹿にするな!」 こんな事もあった。でも、凄く嬉しくて、私はその晩ずっと祐くんの事だけを考えて 眠れなかった。 ≪んっ、あ……んくっ≫ 中学1年の時、初めてのキス。キスがしたいと言われて、俯いたままの私を強引に 引っ張って行って祐くんは校舎の影で唇を合わせてきた。凄く恥ずかしいのに、そうされる 事で、祐くんに愛されているんだと認識できた。私も祐くんが本当に好きなんだ。 そう思うと、下半身が熱くなる。体の力が抜け、何をされてもいいという気持ちになってくる。 私は、その夜に自慰というものを始めてした。祐くんにセックスされる妄想をしながら。 112 名前:変身少女[sage] 投稿日:2008/06/11(水) 03 58 12 ID Os9sQ5He その一週間後。私は母親に頼んで、コンタクトレンズを作ってもらった。今までろくに 手入れをしていなかった髪を美容室に行って綺麗にカットを入れてもらう。 【少しでも祐くんに相応しい女の子になろう……】 勉強の時間も増やした。祐くんと同じ高校に行くためには、私のテストの点は余りにも 低かった。塾に行き、夜にまた勉強をする。祐くんは一緒にいられる時間が減ったと怒ったけど、 2年生の3学期になる頃には祐くんと同じ位の点を取れるようになった。 「あの、付き合ってもらいたいんだけど」 「……はい?」 「ずっと、見てました。その、好きです」 この頃、私の周りで変化が起きる。私に告白してくる男の子が現れる様になった。小学校の時、 ブスとか言われていたのに……。 「……ごめんなさい」 そう、私には他の選択肢はない。私の外観や優等生の仮面だけ見て告白してくる男子。 そんな男の子は全く興味が無い。その頃、私の胸は同級生と比べても大きかった。 腰まで伸びた黒髪、大きな胸、切れ長の目。母親も自分の娘がモデルのように成長してくれた と近所に自慢するようになっていた。でも、そんな事私には関係ない。だって、この体は 祐くんの為にあるんだもの。 「……くっん、あっ、あ、ぁぁ……いいよぉ……祐くぅん」 ≪くちゅ、ちゅっく、ちゅぷ……≫ 真夜中にいつもやっている事。この頃のあたしは、毎日自慰に明け暮れていた。祐くんも、 進学校に進むために有名な塾に通っている。だから、一緒に帰るのは週に1度か2度だけ。 その寂しさが、私を自慰の世界に引き込んでいく。祐くんはキス以上の事をしてくれない。 お互いを大事にしようねと、優しくしてくれている。 2度程、胸を軽く揉んでくれたけど、それ以上の事はしてくれなかった。その度に私の ショーツの中にある産毛はびっしょりと愛液に濡れ、体から溢れる淫欲がそれ以上の 行為を欲する。私は妄想の中で、公園のトイレの中、校舎の屋上、誰もいない保健室と 犯される場所を変えながら、自慰に没頭するようになっていった。 113 名前:変身少女[sage] 投稿日:2008/06/11(水) 03 58 39 ID Os9sQ5He 「よしっ、これで一緒の学校にいける」 「……うん」 「それにしても、忍も頑張ったなぁ。まさか、一緒の高校に行けるとは思ってなかったよ」 「……祐くんの為だから……私、頑張ったんだよ」 高校受験は無事、希望した高校に合格することができた。これで、また3年間は一緒に いられる。私は嬉しくて小躍りしそうだった。そして、これで堂々と祐くんと……。 受験勉強に縛られた1年半は、苦痛以外何ものでもなかった。でも、それもこれで報われる。 私と祐くんは、他の人が羨むようなカップルになるはずだ。 ≪あれ?何で私、泣いているんだろう≫ 高校1年の夏、私は自分の部屋で自問自答していた。 ≪あのさ、俺たち少し距離を置いて付き合わないか≫ これ、どういう意味だろう。私、何か悪い事したのかな?うんん、男子からの告白は 全部断っているし、エッチな事だって自慰だけ。祐くんに気に入られるように、エステに 行ったりして綺麗になる努力だってしている。そう、何にも問題ないよね。そうだ、きっと 高校生らしく、目立たないように付き合っていこうってことだと思う。私は携帯を開くと、 祐くんに電話をかける。 ≪現在、電波の届かない状況にあるか、電源が入っていないためかかりません……≫ あれ?充電し忘れちゃったのかな。几帳面な祐くんにしては珍しいな。う~ん、今日は 凄く祐くんに会いたい気分だ。そうだ、家に直接会いに行けばいいんだ。 私と祐くんの家は、歩いて10分も離れていない。小学校の同じ学区内で、直ぐに行ける 距離だ。自転車に乗ればそれこそ、5分で会える距離にいる。 114 名前:変身少女[sage] 投稿日:2008/06/11(水) 03 59 01 ID Os9sQ5He 【驚くかな。最近、祐くんの家に行ってないし。学校で距離を置いて、こっちで会えばいいんだ】 祐くんの家の近くまで来た時、玄関の前に2つの影を見つける。祐くんと……妹さん? あれ、祐くんは確か一人っ子だよね。 「祐……」 玄関の前の影が重なった。影と影が重なり、一つになる。やがてその影は2つに別れ、 祐くんは玄関の中へと消えていった。そして、もう一つの影が私の横を通り過ぎる。 ボサボサの髪に眼鏡。冴えない少女。目立たない少女。地味な少女。 ≪誰よ……貴方……≫ 声が出ない。それはどこかで見たような少女だった。そう、遠い何処かで。それは……。 ≪何で、こんな子が祐くんと……キス……何で……こんな地味な……なんで……なんで……≫ 私は猛スピードで家に戻った。布団を頭から被り、大声で泣く。 「私は、祐くんの為に綺麗になった、処女だっていつでも捧げられる、祐くんは、私だけに 優しくて、そう、私だけに優しいのよ。あんな地味で眼鏡で、ブスな子が祐くんと釣り合う 訳がないじゃない!」 何度も、何度も叫ぶ。声が枯れるまで。わたしは、一晩中叫んで泣いた。 【おしまい】 115 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/11(水) 04 00 53 ID Os9sQ5He 直球ですが、プロットはこんなもんでいいのかな? ヤンデレは初めての挑戦ですが、壊す過程は楽しいですね。 116 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/11(水) 07 25 04 ID uTMTWeB8 115 イイよイイよー 忍カワイソス、祐くんからさらにひどい仕打ちをされそうだけど それが楽しみな俺がいる 117 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/11(水) 09 19 55 ID Kh+xds0n 佑くんはB専か地味専かw あるいは目立たない女の子救済部隊か 118 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/11(水) 09 45 09 ID EWGCc9GF いやいや、誠ということも考えられるぞ 119 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/11(水) 09 59 48 ID RF03uV/Z 忍と謎の地味娘の因縁?らしきものが気になる。 120 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/11(水) 11 02 47 ID 0/cNddCK 119 地味娘と忍に因縁があるわけじゃなくて、昔の地味だった忍自身と地味娘がダブって見えただけだとおも。 121 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/11(水) 13 03 04 ID uiXYhhC2 俺もおにゃのこに祐君と呼ばれたい… 122 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/11(水) 14 58 50 ID /xcQPi75 地味なのに可愛くてヤンデレ気質とか・・・ 何というストライクゾーン!! 123 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/11(水) 16 52 45 ID J8eccUW0 変身の「変」の部分を最初に見て間違えて「変名おじさん」と読んでしまった俺ガイル。 とりあえずGJ。早く続きが読みたいぜ。 124 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/12(木) 01 12 27 ID yMVbCASj 110です こんなにたくさんの感想いただきありがとうございます。 お茶濁しのプロット投下でしたが、続きを書いてもいいという方が いらっしゃるので拙い文章ですがもう少し書いてみたいと思います。 もう少しだけ時間をください。 よろしくお願いします。 125 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/12(木) 06 18 57 ID 6P7FNUR5 見たことがある、というあたり、もしかしたら忍が見たのは過去の自分の幻影なのかもしれない 126 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/12(木) 18 06 36 ID 9KNA1QgK 106のネタに影響され一曲。 元曲 仰げば尊し 1.殺意が見えたぞ~お前の顔 女の気配にも敏感すぎ~♪ 思えば~俺~の弁当 酸っぱい♪ 今~こそ中身を教えてくれ~♪ 2.包丁しまえよ~危ないから何故に俺ん家の台所に♪ 忘るる間ぞ無き往く年月~そろそろ同棲五周年~♪ 127 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/12(木) 19 46 41 ID nzVI9vPb 元曲 21世紀の精神異常者(和訳) 忍び足 鉄の包丁 あの女の匂いがすると叫ぶ 彼とのエデンへの入り口 21世紀の精神異常者 血の棚に有刺鉄線 泥棒ネコを火葬する薪の山 恋敵は嫉妬の炎に蹂躙される 21世紀の精神異常者 死の種は撒かれ、盲目の愛が始まる 愛に飢え、近づく女は血まみれ 彼にに必要な女は自分以外にいない 21世紀の精神異常者 128 名前:変身少女[sage] 投稿日:2008/06/12(木) 21 45 03 ID yMVbCASj 投稿します。 110からの続きです。 129 名前:変身少女[sage] 投稿日:2008/06/12(木) 21 45 33 ID yMVbCASj 【眠っている時は天使が誰にでも平等に幸せをくれるって……そう思ってた】 祐くんがこちらを見てニコニコと微笑んでいる。白いタキシードに身を包んでカッコいい。 あれ?私、両手を広げて何やってんだろ。花束?私……手に小さな花束を持ってる。 泣いているんだ……私、泣いてる。祐くんのタキシード姿を見ながら……。 ≪ピピピッ……ピピピッ……ピピピッ……≫ 「ん……夢?……あれ、どんな夢だったっけ」 最悪の目覚めだった。ひょっとすると、目の下にクマが出来ているかもしれない。 ベッドから起き上がると、クラクラ目眩がする。目覚ましを止めると、時計の針は朝6時を 指していた。姿見を覗き込むと案の定、目の下にクマができ、黒髪がピョンとはねた 無残な自分の姿があった。 「洋服のまま寝ちゃったんだ。シャワー……浴びてこよう」 ふらふらと浴室に向かうと、デニムのパンツと白い半そでのレースシャツを脱ぐ。 「うっ。ベトベトだ」 寝汗を掻いたのか、しっとりと濡れた下着が肌にまとわり付いて気持ち悪い。ブラジャーと ショーツを洗濯カゴに無造作に放り込むと、浴室でシャワーを浴びる。 「また、少し大きくなった……」 自分の胸を下から支えると、ずっしりとその手に重さがかかる。形のよい乳房が片手から 溢れるほどになっていた。男の子には分からない悩みだろうが、胸が大きくなりすぎるのも 考え物だ。肩は凝るし、運動だってやりにくい。何より、昔、さりげなく祐くんに好きな女性の タイプを聞いた時、胸の大きな子が特に好きって感じじゃ無く、普通でいいとか言ってたのが とても気になる。 シャワーを浴びていると昨日の記憶が蘇り、重い不安感が圧し掛かってくる。 「祐くん……」 昨日の女の子は誰だったんだろう。遠めに見て祐くんとあの女の子はキスしているように 見えた。お下げで眼鏡の女の子。もしかしたら、見間違いかもしれない。たまたま来ていた 親戚の子かも。目にゴミが入って取ってあげていたという可能性もあるし。 「そうよ、何かの見間違い。わたし、祐くんを疑ったりして一人で落ち込んで泣いたり。 そんな事じゃ、本当に嫌われちゃうよ」 一人で落ち込み、怒り、泣いていた自分が何だか恥ずかしくなってくる。 「私、変な女の子なのかな。直ぐ考え込んだり、妄想したり……オナニー好きでエッチだし」 シャワーの温水を内腿に近づける。ザーという音の中に、くぐもった吐息が混じる。 「んっ……ちょっとだけ……なら」 肉襞を激しい水圧が刺激する。水圧で押し広げられた肉襞からぷっくりとしたクリトリスが 顔を覗かせる。ビリビリとした刺激と、ゾクゾクっとした電流が体を駆け巡る。 「ふぁっ、んんっ……んっ、い……それっ……そこ、いいっ」 右手で左乳房の乳首を摩擦し、抓る。激しく指先が上下に動き、乳首がツンと勃起してくる。 それを指先で弾き、乳輪を親指でこねくり回す。 「ごめんっ、疑ったりしてっ、んっ、だから、ふぁっっ、好き……好きぃ…してくださ……い ……祐く……っっ!」 トロトロした愛液が水とは違った感覚で太ももに絡み付いて、気持ち悪い。 タオルでふき取るが、まだ感じているのか、膣内からまた新たな湿り気が溢れてくる。 「また、やっちゃった…………自己嫌悪……うぅっ、……反省」 行為が終わると、いつも罪悪感が襲ってくる。こんなエッチな女の子じゃ祐くんに 相応しくないんじゃないか、という自責の念だけが心を支配する。。 「早く、用意しよう……」 130 名前:変身少女[sage] 投稿日:2008/06/12(木) 21 45 55 ID yMVbCASj 今日、早く目覚まし時計をセットにしたのには、ちょっとした理由があった。 祐くんは両親が共働きのせいか、毎日学食か購買部のパンを購入している。 だが、水曜日は4時間目が体育の授業の為、どうしても他の生徒よりも一歩出遅れてしまい、 人気のパンや限定数の定食などは食べられない。そこで、わたしはそれを理由にその日だけ 祐くんにお弁当を作っていた。そうとでも理由をつけないと、祐くんは恥ずかしいと言って 絶対お弁当は受け取って貰えないからだ。 「泣いて、落ち込んで、寝たわりにはちゃんと目覚ましセットしてるし。習慣て恐ろしい」 エプロンを付けて腰まである髪を後ろゴムで縛り、ポニーテールにする。料理をする時の わたしのスタイルだ。 「祐くんを疑った罪滅ぼし。うん、今日は頑張って作ろう」 祐くんの好きなおかずをたくさん作る。ピーマンの肉詰め、卵焼き、ポテトサラダ。 「今日はお弁当に愛のメッセージでも入れて見るかなぁ」 ご飯に海苔と桜でんぶでハートメッセージでもと考えたのだが、ここで手が止まる。 《距離を置いて付き合わないか》 昨日の祐くんの言葉。自分でも少しは遠慮しないと。 「友達の前であからさまにそういう事するのは……やめよう。………んー。うーん。 …………そうだ!」 ご飯の部分に隙間を空け、6本のウインナーを並べる。焼き串でそこに 《I LOVE 祐》の文字をつけた。 その上に、ご飯とウインナーを覆うように海苔でそれを隠す。 「お弁当のノリを食べると、ウインナーからメッセージが出るようにしてみました」 自画自賛ぽく、ガッツポーズをとる。これなら、友達にもばれないですむ。 祐くんだって、喜んでくれるだろう。これを見たときの祐くんのリアクションを 想像すると、おかしくて笑みがこぼれる。 「えっと、最後の仕上げ」 お弁当に入れる、お箸の先をペロリと嘗める。 「えへへ……間接キス。」 この位は許されるよね。 「ちょっと、忍。そろそろ学校に行く時間じゃない?」 「えっ。あ、もう、そんな時間!?」 母さんの声で現実に引き戻される。多分、今のわたしを他人が見たら、完全に引くだろう。 この妄想癖、何とかしないと……。残ったウインナーと卵焼きをあわてて口にほお張り、 2分で歯磨きを終えるとわたしは陸上選手並のダッシュで家を飛び出した。 「おはよっ」 「あっ、うん……おはよう」 学校に行く途中、わたしは祐くんの家に寄る。わたしの家の方が学校に遠い為、 登校は必ずこの順番になる。 そこから二人でバス停まで向かい、学校前までバスに乗るのがいつものコースだ。。 「はい、お弁当」 わたしは作りたてのお弁当を祐くんに手渡した。学校で手渡しても良かったんだけど、 そこはわたしの祐くんへの配慮というやつだ。 「忍……いいのに」 「遠慮しないでいいよ。これはお昼にコッペパンしか食べられないであろう、 可哀想な祐くんに対するわたしの配給なのさ」 ちょっとふざけた口調で祐くんに甘える。 「ほら……いつも悪いし」 「ふふん。たいした物なんか作って無いから安心したまえ。どうせ、がっついて ろくに味わいもしない人に、手の込んだお弁当なんかもったいない」 「……そっか。じゃあ貰っておくよ」 あれ?ノリが悪いなぁ。いつもなら、どうせ美味しくないだから味わうなんて 無意味だよ、とか返してくるのに。 バス停までの間、さりげなく祐くんと手を繋ぐ。祐くんの手から温もりが伝わってくる。 それは、わたしと祐くんの絆の証し。そうしている時間が、わたしは一番好きだ。 131 名前:変身少女[sage] 投稿日:2008/06/12(木) 21 46 21 ID yMVbCASj お昼になった。高校で別のクラスになっているわたしと祐くんは、校舎の端と端で かなり距離がある。しかも、今日はグラウンドにいるはずだから、会うにはかなりの 労力が必要になる。 「屋上での一緒のお弁当。今日は来るかなぁ」 祐くんにお弁当にを渡した時は、屋上でよく一緒に食べていた。ただ、他の生徒に 見られるのを極端に嫌がる祐くんは、誘っても2回に1回しかOKしない。まして、 昨日のあんな事言った後だから、来る可能性はほぼゼロに近いと思う。 「でも、反応みたいなぁ。どんな顔して食べているんだろう」 わくわくしながら屋上でお弁当を食べていると、お昼休みも後10分になった。 「よし、顔だけでも見に行こう」 自分のお弁当箱をバックに仕舞うと、祐くんクラスへと足早に向かう。 「あの、立花くんはいますか?わたし、A組の如月っていいます」 「いないよ。そういえば、今日は昼休みずっといないなぁ」 そう言われて教室を覗くと、確かに祐くんの姿はそこにはなかった。 「……あっ、そうですか。ありがとうございます」 軽く会釈をすると、帰ろうとする。 「忍……」 振り向くとそこには祐くんの姿があった。手にはわたしのお弁当箱を持っている。 「今日、外で食べたんだ。屋上には……来なかったね」 誰にも聞かれないように小声で話す。 「……あぁ」 「で、感想は?」 「え、うん。美味かったよ。俺の好きなものばかりで。ピーマンの肉詰め、卵焼き、 ポテトサラダ。どれも忍にしては上出来だった」 「……それだけ?」 「……ん?なっ、何だよ、それだけって」 「……いい……何でもない」 わたしは軽くなったお弁当箱を手に取ると、とぼとぼと肩を落としてクラスに向かった。 途中でトイレに寄って便座に腰かけると、深いため息をつく。 「……馬鹿……鈍感……ちょっと位、感動してくれてもいいじゃない」 リアクションを期待していたわたしは、あまりのリアクションの薄さにがっかりしていた。 《ねぇ、今日、見た?立花君》 トイレの外で女子の声がする。立花君って、言っていたような。 《A組の如月っていう人と付き合っているんじゃなかったの?》 《中庭で三井さんとお弁当食べてたでしょ》 「!?」 《あんな子とお弁当箱食べるんなら、私も誘えば良かった。A組の如月と付き合って いるって聞いてたから諦めてたのに》 《如月って、結構男子に告白されているっていう美人でしょ》 《そうそう、今日もさっき来てたわよ》 《それより、立花君。その如月から貰ったお弁当平気で返してたけど、あれの中身、 ごみ箱に捨ててたわよ》 《えっ、それマジ?》 《私、見ちゃった。中庭のごみ箱にお弁当捨てて、そこにお弁当箱隠してた》 《それ、本当ならちょっと幻滅。酷いことするのね》 《本当も本当。だってその後、その子のもって来たお弁当食べてたもん》 《あっ、午後のチャイム鳴っちゃった。早く行こ》 「…………」 嘘だ。 「…………」 何言ってるの。そんな事ある訳無い。 「…………」 祐くんが、祐くんが、そんな事するわけないじゃない。 「…………」 だって、今日も手を繋いで来たんだよ。お弁当渡して。 「そんなのっ、嘘に決まっているじゃないっっ!!」 132 名前:変身少女[sage] 投稿日:2008/06/12(木) 21 46 38 ID yMVbCASj トイレのドアを力一杯殴る。ガンッという音がトイレに響き渡った。その拍子に 空のお弁当箱がタイルの床に転がる。そして、お弁当箱蓋が開いた。全く何も入っていない 空のお弁当箱。 「何も……入ってない……?」 わたしはそれに違和感を感じる。おかずを分けていた仕切り紙、中に入っていた楊枝。 【全部入ってない】 私は誰もいない廊下を全速力で走った。中庭のごみ箱を見るために。例え1%でもいい、 あの女の子達の話を、わたしの不安を裏切ってと祈りながら。誰もいない中庭に置いてある ゴミ箱の中を確認するために。 他のゴミと一緒に。 《それは……あった……》 蟻が群がっている。ぐちゃぐちゃになったそれは入っていた。慌ててご飯をかき分けると、 6本のソーセージが現れる。 「……駄目」 そのソーセージを拾い上げる。 「食べちゃ駄目……」 群がっていた蟻を払い落とす。 「食べちゃ駄目って言ってるでしょっ!これはっ、祐くんの何だからっ!」 両手ですくい上げた6本のソーセージ。それを大事に抱え上げる。 「汚れちゃった。奇麗にしなきゃ。祐くんにこのままじゃ食べて貰えない」 口元に汚れたソーセージをもって行く。 「奇麗にしなきゃ……ね」 《…………ぴちゃっ》 133 名前:変身少女[sage] 投稿日:2008/06/12(木) 21 46 56 ID yMVbCASj 「……忍、先に帰ったんじゃなかったのか」 わたしに祐くんが話しかける。そう、わたしの祐くんが来た。 「今日は委員会で遅くなったから、祐くんを待ってたんだ」 「手、どうしたんだ?」 包帯の巻かれたわたしの手を見ながら、祐くんが心配してくれる。 「ぶつけて怪我したの。心配しないで。たいした事ないから」 「そっか……悪いな……あの、忍……実は、俺さ……」 「気にしないで。ねぇ、何を謝っているの?それより、今日は部活でお腹減ってない?」 「そりゃ、サッカーやってりゃお腹は減るけど……」 私は包みに大事にしまっておいた≪それ≫を差し出す。 「残りで悪いけど、祐くんウインナー好きでしょ?」 「……あぁ、好きだけど」 「あげるね。もったいないから食べて」 楊枝に刺した一本のウインナーを祐くんに差し出す。 「これ、何で焦げ跡で数字が書かれているんだ?1とか0とか」 「何でかな。気にしないで食べて。美味しいよ」 わたしは、1本のソーセージを口に頬張る。 「……サンキュ。もらうよ。折角だしな」 わたしはソーセージを飲み込んだ。祐と書かれたソーセージ……美味しいよ。 【眠っている時は天使が誰にでも平等に幸せをくれる】 ……全く……本当に当てにならないね……早く起きなきゃ。 【おしまい】 134 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/12(木) 21 48 32 ID yMVbCASj ここで終わりです。 では、失礼します。 135 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/12(木) 21 53 02 ID 9KNA1QgK GJ!!! 忍の迷走しちまった感が俺にはウケた! 136 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/12(木) 22 12 07 ID +Zxnwnwr GJ! 男ひでぇ…受け取った手作り弁当をゴミ箱に捨てるとか人間の所業じゃないだろ… 137 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/12(木) 22 46 46 ID 9PaT93C5 GJ! 最初の頃の優しさはどこにいったんだw 138 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/12(木) 23 12 04 ID Ck6E5Rw1 GJ。男が誠にしか見えねぇ。 139 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/12(木) 23 16 20 ID yMVbCASj 感想ありがとうございます。 祐やっぱり人気無いですね。 これ、祐視点だと180度変わります。 勿論、訳があってのことなんですけど、これじゃ見えないですね。 誤植もあるしorz そして、お弁当箱蓋が開いた。→そしてお弁当箱の蓋が開いた。 「食べちゃ駄目って言ってるでしょっ!これはっ、祐くんの何だからっ!」→なんだからっ すみません。 140 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/12(木) 23 25 43 ID ZuP7XTsy 139 乙です 続き待ってます! 何故か楓と忍が被る… 141 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/13(金) 00 38 58 ID HIsa1oAL GJ!! でも忍かわいそう…(´・ω・`) 142 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/13(金) 01 20 09 ID KqmqA3eO 139 頑張って! 続き、楽しみにしてます。 訳かぁ……。食い物を駄目にするほどの事情ってなんじゃろうね? 143 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/13(金) 01 22 11 ID f8Zl1Qkh 133で最後にウインナーをソーセージとか書いてます。 ちゃんと読み返したつもりだったんですが、何で分からなかったのか。 もうちょっとちゃんと修行してからきます。 何度も本当にすみませんでした。 144 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/13(金) 02 01 45 ID f8Zl1Qkh 後、申し訳ありませんが、保管庫への登録を辞退させてください。 理由は上記の為です。 ウインナーと書くべきところとソーセージと7箇所も書き間違えています。 不完全な恥ずかしいSSを保管庫に残すのは、本当に恥ずかしく申し訳ないので。 よろしくお願いします。 145 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/13(金) 02 59 41 ID B7bdDo6+ 待てwikiなら編集もできるよ 146 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/13(金) 06 18 28 ID h6fFAb1z 144 145も言ってるが、 wikiは修正できるから大丈夫だよ 147 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/13(金) 08 19 19 ID 4xfZIvV4 139GJ! 最近投下がちょっと増えたかな? でもやっぱり少ないから続きを頼みます 148 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/13(金) 08 37 51 ID AObGaD/F このスレにタザリアを購読している人いる? リネアがジグに対して最初はSだけだったのに執着しだして、今じゃ片足切断の首輪幽閉とかw 更に切断した片足の骨でペアリングって、病みすぎだろw まあ、男臭い所があるから駄目か…… しかも、メインヒロインじゃ無さそうだから、いずれ退場かも知れないしな 149 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/13(金) 09 10 02 ID dbY0IfdV 133 GJ! 男視点での話も見たいな。コメントが気になる。 しかし、この場合男は完全に忍を切ってるようだから誠とは違うような 150 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/06/13(金) 11 56 33 ID Q8diy22s あと2日でヤンデレ家族の最終回か。一週間って短い。 澄子ちゃんがあまり酷い目に遭わない事を祈りたい。 151 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/13(金) 11 57 20 ID KqmqA3eO 149 そうか? 一方的に別れを切り出して、事情も言わず『切った気になっている』だけなら言いたくはないがmと一緒だぞ。 お互い納得できるまで話しあってこその誠意だろう。 まあ、これ以上の考察は興が削がれるのでやめにするが。 152 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/13(金) 12 20 59 ID uiNhgbuT 150 だからあくまで一部完みたいなもんだと(ry 153 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/13(金) 12 33 30 ID huPE5Xk4 150 最終回ではないと何度言えば(ry 154 名前: ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/06/13(金) 12 36 57 ID uiNhgbuT じゃあまあまともなssがくるまでの繋ぎとして、ぽけもん 第四話、投下します 155 名前:ぽけもん 黒 吉野町と解氷 ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/06/13(金) 12 37 52 ID uiNhgbuT 吉野町に着くと、そのまま町役場へ行き、すぐにポポとのパートナー契約の書類を作って申請した。 ポポは今まで野生だったため住民票が存在せず、そのために若干手続きに手間取ってしまったが、一応つつがなく契約を終えた。 その後は、もうほとんど日が暮れていたこともあり、ポケモンセンターに向かうことにした。 その途中。 通りの左前方に、たくさんの服が陳列されている建物が目に入った。確認するまでもない、服屋だ。 それでようやく思い出した。 ポポ服着てねえ。 危なかった。ここ数日でそれがナチュラルだったもんだからすっかり慣らされていた。 役場の受付の人がやたら不審な目でこっちを見てくると思ったらそういうわけか。 まあ羽毛で素肌はほとんど見えないから問題ないって言ったら問題ないんだけど、気分的なものもあるし。 というわけで、香草さんに頼んでみることにした。 「あのー、香草さん?」 「……なによ」 振り向いた香草さんの顔は夕日で紅に染まっていて、思わずドキッとしてしまう。 それを表面に出さないように押し込んでから、口を開く。 「ポポって服着てないよね」 「うん」 「だからさ、服買ってきて欲しいんだよね」 ほぼ無表情だ。それは拒絶のようにも取れる。 「……予算は?」 一応聞いてみるだけ、という口調で香草さんが聞いてきた。 「に……二千円以内で」 「二千円!? 少ないわよ!」 「だってしょうがないだろ、食料とか道具とか補充しないといけないし。それに、田舎なんだからリーズナブルなものもあるはずだし」 「道具って?」 そういえば、早急に補給する必要のある道具ってあったっけ……? いや、たとえなくてもお金は大事だよ。 「ね、眠り粉とか」 苦し紛れに、つい先日使い切ってしまった眠り粉を挙げてみる。 「いらないわよそんなの」 もちろん一蹴された。まあしょうがない。僕もどうしても今補給しなきゃならないと思っているわけでもないし。 「いるって! アレなければ死人が出てたかもしれなかったんだから」 しかし、一応必要性を強調しておく。これに関しては香草さんも負い目があることだろうし。 「大体アンタは消極的過ぎんのよ! 何で何よりも逃げること優先なのよ!」 う、痛いところを突かれた。確かに、僕は基本的に臆病だ。だから何よりも逃げることを優先して物事を考えてしまう。 「死んだら元も子もないからに決まってんだろ!」 気にしていることを言われたことで、思わず語気が荒くなる。 「ケンカはやめるです! ポポは服いらないです!」 僕達を見かねたのか、ポポが僕らの間に割って入った。 「いや、そうもいかない」 「そうよ、いるに決まってるじゃない」 「なんでです?」 沈黙。なんでって言われても……。 「も、モラル的な問題かな」 「モラルって何です?」 「こう……なんというか、とにかくダメなんだよ」 その後も服屋の前でもめ続けること数分。なんとか香草さんに折れてもらった。 そして待つこと数分。香草さんがビニール袋を提げて店から出てきた。 早速中を見れば、黒のワンピースが一着に、女児用のパンツが二枚。 僕は可愛らしいパンツを見た瞬間、思考と行動が停止した。そして香草さんに目潰しを喰らった。 「ギャー!」 「何女の子の服をチェックしてんのよ、この変態!」 至って正論だ。でも、これはなんというか、不可抗力というか。 袋を受け取ると、僕は激しく瞬きを繰り返しながら歩き出した。痛いが目は無事らしい。 ほどなくして、ポケモンセンターに到着した。 ポケモンセンターはポケモントレーナーとそのパートナーに対して無償で寝床と風呂、そして食事を保障している施設のことだ。まさに僕達旅のトレーナーとポケモンの味方だ。 156 名前:ぽけもん 黒 吉野町と解氷 ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/06/13(金) 12 38 15 ID uiNhgbuT 久々にまともな寝床と食事にありつける。施設に踏み入った僕は、それだけで少し浮かれていた。 ジョーイさんに簡単な施設利用の説明を受けると、そのまま与えられた個室に移動した。 与えられた部屋は二段ベッドが二つあり、それだけでほとんどのスペースが埋まってしまっているくらいの小さな部屋だ。 でも、久々の布団だ。文句はない。 荷物を置くと、すぐに浴場へ向かった。 浴場は当然ながら男女に分かれている。 「じゃあ、ここで。香草さん、悪いんだけどポポのことお願い。今まで風呂に入る、なんて習慣無かっただろうし」 まあ思ったとおり、香草さんは思いっきり顔をしかめている。 「……なんで私がそんなことを」 「香草さんしか頼れる人がいないんだよ。このとおり!」 そう言って頭を深々と下げた。 チラ、と上目遣いで顔を覗き込めば、相変わらずの渋い表情だ。 「……しょうがないわね」 しかし渋々という感じながらも承諾してくれた。 「ホントに!? ありがとう! じゃあよろしくね。ポポ、ちゃんと香草さんの言うことを聞くんだぞ」 「はーいです!」 元気よく返事するポポに、今日買った黒のワンピースと、下着を持たせた。タオルや体を洗うものは備え付けになっているとのことだ。 脱衣所で服を脱いで、浴場の扉を開くと、そこには銭湯のような光景が広がっていた。 先客も数人。皆同じ年頃だ。よく見れば、出発前に見たような、見なかったような顔もある。 簡単に体を流すと、すぐに浴槽に入った。 暖かなお湯が、疲労と怪我の溜まった体を優しく包み込む。 ああ、なんという至福……。 筋肉痛で痛む全身を優しく癒してくれるようだ。 つい目を閉じ、ぼーっとしてしまう。 「コラッ! ちゃんと体洗いなさい!」 「目が染みるです! いやです!」 そこそこに厚いはずの浴室の壁の向こうから聞こえてきた大声で、僕の穏やかな時間は強制終了した。 その後もドタバタという音と黄色い声が断続的に聞こえてくる。 「ダメよ! ちゃんと体洗いなさい!」 「ひゃ! くすぐったいですー」 「暴れないの……きゃ! 何するのよ!」 「お返しですー!」 「く、くすぐったわよ! あっ……」 だんだんこちら側にいる野郎共が前かがみになってきているぞ、オイ。 僕も、前かがみになる前に出よう。 煩悩を鎮めるためと、彼女達との今後の旅を憂う、二重の意味でのため息を吐いて、僕は風呂から上がった。 さっさと体を拭き、さっさと着替え、さっさと備え付けの洗濯機を回し、さっさと部屋へ戻った。どう考えてもあの場に留まることは得策ではない。 部屋に戻った僕は、そのままベッドに仰向けにダイブした。 スプリングが硬めで、少し痛かった。 それでも、地面とは雲泥の差で、快適なのは言うまでも無い。 数日間野宿をしただけで、これほどまでに快適に感じるとは。 このまま眠ってしまいたい。でも夕食は食べたい。それに洗濯物も回収しなきゃ。 そう思っていても、意識は意思とは無関係にどんどんと沈んでいく。 あっという間に僕は心地よいまどろみに呑まれ。 「ゴールドー!」 そのまどろみはドタバタという激しい足音と、バターンという勢いよく扉を開く音と、そして腹部に与えられた衝撃で霧散させられた。代わりに失神という形で意識を失いそうになったけど。 「ど、どうしたんだよ」 僕は激しく咳き込みながら起き上がり、ポポを腹の上から下ろした。最近の僕の腹部にかかる衝撃は明らかに過剰である。 「すごいですー! スースーするですー! 水浴びと違うですー!」 トコトコと静かな足音が部屋に入ってきた。 「石鹸使ったからね、当然よ」 ああそうか、そりゃあ自然界には石鹸なんてないもんなあ。ポポは今まで味わったことの無い感覚にすっかり興奮しているというわけか。ならしょうがない。僕の腹部の痛みもしょうがない。しょうがない……。 「よ、よかったね」 僕は腹部の痛みで引きつる頬をなんとか誤魔化す。 「どうしたの?」 誤魔化しきれてなかったのだろう、香草さんに不思議そうに尋ねられた。 僕は、なんでもないよ、と誤魔化した。 157 名前:ぽけもん 黒 吉野町と解氷 ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/06/13(金) 12 38 58 ID uiNhgbuT 香草さんは納得していないようだったが、それ以上尋ねてくることは無かった。 僕が興奮してはしゃいでいるポポを適当になだめたり相槌を打ったりしていると、食事の時間が来た。腹痛も大分治まってきたことだし、夕食を食べに食堂へ向かうことにした。 食事はポケモンの種族のことを考えてか、野菜オンリーのAコース、野菜肉魚なんでもありのBコース、肉類のみのCコースの三コースに分かれていた。 僕はBコースに、それプラス御飯と味噌汁で定食化する。久々のちゃんとした食事に胸が躍る。考えただけでよだれが出てきた。 ポポと香草さんも僕とまったく同じものを頼んだ。……香草さんはともかく、ポポは箸を使えるんだろうか。 配膳に並んでBコースのおかずを受け取る。肉野菜炒めに鯖の味噌煮のようだ。ああ、なんという真っ当な食事。なんか感動してきた。 僕に続いて、香草さんが受け取り、さらにポポが両の翼で抱えるようにして受け取った。……あれぇ? 冷静に考えたら箸どころの問題じゃないような。そもそもポポには手が無いんだから。 空いているテーブルを見つけ、僕とポポは座った。香草さんはというと、僕達から離れたテーブルに一人で座った。うーん、少しは仲がマシになったと思ったんだけど、中々道は険しいな。 「いただきます」 両手をあわせると、僕は料理に手をつけた。まずは鯖の味噌煮から。 うん、口の中でとろけるようなよく油の乗った鯖に、甘辛い味噌がよくあって……うまい! と、僕が至福に浸っていると、ポポが泣き出しそうな顔で料理と箸と僕とを交互に見ていた。 可愛いからこのまま少しほうって置こうかな、なんて少し意地悪な思考が頭をよぎったが、そんな思考に従うことなく、ポポに声をかけた。 「どれから食べたい?」 ポポは僅かな逡巡の後、鯖の味噌煮を指差した――いや、指じゃなくて翼だから、翼指したとかになるのだろうか。 僕は箸で適当な大きさに鯖の味噌煮を割ると、そのままポポの口に運んであげる。 「はい、あーん」 「あーん…………おいしーです!」 ポポの顔がパアッと明るくなった。うん、やっぱりポポはニコニコしてるのが一番似合うな。なんだかこっちまで和やかな気持ちになってくる。 そんな調子だから食事にいつもの倍以上の時間がかかってしまった。 食事を終えた後、食堂を後にしようと食堂の出入り口へ向かうと、扉の陰から緑の葉っぱが覗いて見えた。 食堂を出ると、そこには不機嫌そうに両腕を組んだ香草さんが立っていた。 僕達が食べ終わるのを待ってくれていたのだろうか。 「ご、ごめん、遅くなっちゃって」 「……いいわよ、別に」 ……いいわよ、と言っている割には、その口調も不機嫌そのもので、まったくいいという感じがしない。 微妙に気まずい空気のまま、三人で部屋に戻った。 そして沈黙。僕は、とか何を言ったらいいのか分からず、あー、とか、えっと、とかしか言えないが故に。ポポはそんな必死な僕と不機嫌そうな香草さんの顔を不安そうに交互に見ているが故に。そして香草さんは……多分話したくないが故に。そういうわけでの沈黙。 「あ! そうだ! もう洗濯と乾燥終わっただろうから、服とってくるよ!」 逃げではない。ちょうど今思い出したんだ。……うん。 「……じゃあ私も取りに行くわ」 ……ほら、逃げではなくなった。 「ポ、ポポもついていくです」 そういうわけで、僕達はまた三人で部屋を出た。 そして無言。沈黙は長引けば長引くほどその痛さを増していく。 「ご、ごめんね」 「……どうして謝るのよ?」 「い、いや、香草さんを怒らせちゃったかなー……なんて」 「……別に怒ってなんか無いわよ」 「……そ、そう」 本当に怒ってないなら、もう少し普通に話して欲しいものだ。……怒ってるんだろうけどさ。 浴場と部屋との往復の間に交わした言葉はそれだけである。 さて、部屋に戻ったわけだが。 することがない。 158 名前:ぽけもん 黒 吉野町と解氷 ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/06/13(金) 12 39 44 ID uiNhgbuT することが無いなら、することは一つだ。 「よし、寝よう。じゃあ僕はここで寝るね」 そう言って、左の二段ベッドの上に上がり、毛布に包まった。 それに続くように、ベッドの梯子を上る音が聞こえた。 そして、その音を発していた物体はそのまま僕の隣で停止した。 「ぽ、ポポ?」 「どうしたです?」 「い、いや、ベッドは四つあるのに、わざわざ僕と一緒に寝なくても」 「……ここがいいです。……だめです?」 ポポは僕が包まっている毛布に半分包まり、潤んだ瞳で僕を見つめながらそう言った。 しかし同時に香草さんの、僕を非難するような鋭い瞳で見つめられているのもひしひしと感じる。 ……ぼ、僕は……僕は! 叫び声を上げながら逃げ出したいという衝動を何とか押さえ、笑顔を作って言った。 「いや、ポポがそうしたいっていうんなら、いいよ」 不安気だったポポの顔がほころんだ。そして一層僕に密着してくる。 香草さんは……見えないのでよく分からないが、多分しばらく僕に対して軽蔑の目を向けた後、音からして右の下段のベッド――つまり僕達のベッドから一番遠いベッドだ――に入って、そのまま蔓の鞭を伸ばして電気を消した。 僕はいろんな意味で眠れなくなりそうなので、できるだけ何も考えないようにしていた。 だが寝れない。隣のポポはすぐにすやすやと安らかな寝息を立てているというのに。 それから、どれくらい経ったのだろう。 「ねえ、起きてる?」 香草さんが、話しかけてきた。 「起きてるよ、どうしたの?」 僕は動揺しつつも、大きな声を出さないように注意しながら答えた。 「……どうしてあの子ばかり大切にするの?」 か細く、弱弱しい声。 「……あの子? もしかしてポポのこと?」 「そうよ」 僕がポポばかり大切にしている? そうなのだろうか。確かに大切にしてはいるだろうけど、だからといって香草さんをぞんざいに扱っているつもりはなかったんだけど……。 「そんな、特にそんなつもりは……というか香草さん、あの子、はないんじゃないか? ちゃんとポポっていう名前があるんだし」 「鳥の名前なんてどうでもいいじゃない」 険のある声が返ってきた。嫌悪の念。よく分からないが、そういうものが滲んでいるように感じられる。 「良くないよ。それに、鳥だとかいうのも良くない……と思うよ」 「な、なによ! そんなにあの子が大事なの?」 冷静だった語気が荒くなった。でもこれは怒っているというより取り乱している、というほうが正しいような感じだ。そんなにまずいことを言っただろうか? 僕は普通のことしか言ってないと思うんだけど……。 「大事といえば大事だよ。長旅のパートナーになるんだし」 「それなら私だってそうじゃない!」 「え……マジで?」 「なによそのリアクション……私と一緒にいたくないってこと? だからあの子……ポポのことばかり」 まずい! 香草さんの声色は今にも泣き出さんばかりな感じだ。いくら驚いたからって、マジで? はないだろ僕! 最低だろ! 「い、いやいやいや、そんなことはないよ! ただ、香草さんは……その……」 「……その?」 どうする? ここで僕の本心を言ってしまっていいものだろうか。しかし、それ以外にこの場をなんとかできるようなものは考え付かないし……。ええい! どうせダメなら同じことだ! 「その……石英高原で殿堂入りするまで一緒に旅する気は無いんじゃないか、って思ったから」 「……私、そんなこと言った?」 泣き出しはしなかったものの、まだ声は潤んでいる。 「い、言ってないよ! でも、その、態度とか、そういうのから、その……」 「私は絶対に殿堂入りするわ。それで、『私の種族こそ最強!』ってことを、草ポケモンは弱いって言っている世間に知らしめるのよ」 思わぬ独白。まさか彼女がこんなことを考えていたなんて。 「そう……なんだ」 「……ごめんなさい」 「え!?」 「私……そんな誤解されるような態度とってたなんて思わなかった。私、自分の種族以外の人とまともに話したこと無くて、それで、人付き合いとか、そういうの、どうしたらいいか分からなくて」 159 名前:ぽけもん 黒 吉野町と解氷 ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/06/13(金) 12 40 50 ID uiNhgbuT 不安そうな声で僕にそう告白した。 ああ、なんだ。 僕は馬鹿だ。 勝手に思い込んで。勝手に決め付けて。 彼女はただ、自分の種族に誇りを持っている、ちょっと不器用なだけの女の子だったんじゃないか。 小手先だけの、額面上だけの知識を身につけて、色々あらぬ想像巡らせて。 そんなので賢しいつもりになっていた。 ……実際は、ただの自信過剰で、無駄に妄想力豊かなだけの、最低なガキじゃないか。 こんなんじゃ、ポケモンの研究に携わるなんて夢のまた夢だ。 「僕のほうこそ、ごめん。勝手に香草さんのことを決め付けて」 「いいわよ。私が悪かったんだから」 もうその声はいつもの彼女のものに戻っている。 「じゃ、じゃあ、悪かったついでに、一つお願いしても……いいかな?」 「何?」 「色々あるし、あったんだと思うけどさ、せめてこの旅の間だけは、種族による差別とか、そういうの、やめようよ。……難しいってことは分かってるけどさ、それでも……」 「…………頑張る」 「え?」 「私、できるだけ頑張るわ」 静かな、しかし凛とした声で彼女は答えてくれた。 香草さんは、それきり黙ってしまった。 「ありがとう!」 僕も気が楽になったのもあって、それからすぐに眠りに落ちてしまったから、本当は何か言っていたのかもしれないが。 「……ねえゴールド? 私、人間もそんなに悪くないかな、って思えてきたの。きっと、ゴールドのお陰かな。……ゴールド? 寝ちゃったの? ……ふふ、まったく、やっぱりダメね、ゴールドは」 160 名前: ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/06/13(金) 12 42 26 ID uiNhgbuT というわけで第四話終わりです 後半が若干手抜き気味な気もしますが、直してもゴチャゴチャするだけな気がするしこのままで 当初の予定では十話くらいで完結するはずでしたが、今のペースだと十話までに病むかどうかも厳しいという…… 161 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/13(金) 12 52 54 ID y/TTA+KU 壱番屋 162 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/06/13(金) 12 55 24 ID i483FMMu やっとデレたか。 163 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/13(金) 13 13 46 ID HIsa1oAL これが繋ぎ…だと… GJ!!だぜ ってか不覚にもポポに萌えてしまった…ヤンデレラー失格だな俺… 164 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/13(金) 13 36 42 ID B7bdDo6+ ポケモンに萌える日が来るとは… 165 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/13(金) 15 35 51 ID vIMuaZm+ 10話までに病まないだと・・・ これは長編を期待してもいいんですね?w 166 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/13(金) 15 42 27 ID ygP0yE6W 何故、ヤンデレスレにポケモンが? 該当スレなら神扱いだろうにもったいない。 167 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/13(金) 15 47 40 ID fr+UWNjj ポケモンスレでヤンデレやっても 「該当スレでやれ」といわれるのは想像に難くない 168 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/13(金) 16 42 55 ID OW9zr7mH ポケモンきた!! いつも楽しみにしてます 169 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/13(金) 17 00 14 ID 18khLeD7 早く6人のヤンデレに囲まれるゴールドが見たいw 170 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/13(金) 19 19 30 ID DzslZQO8 サナギになっている間に主人公争奪戦に出遅れる子とか 171 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/13(金) 20 08 16 ID p3666zGq サナギのなかに主人公を取り込もうとするんですね 172 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/13(金) 21 15 07 ID xMEPr7CR 問6 以下の状況に陥った場合の最善策を答よ。 主人公は追い詰められました。包丁を持ったヤンデレヒロインが薄っすらと笑みを浮かべて、 こちらに近づいています。 DEAD ENDを回避するためにはどうすれば良いか? 173 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/13(金) 21 19 43 ID fy/Ro6wI 窓から123で下の階のベランダにGO!!! ミスったら転落死。 174 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/13(金) 21 19 45 ID Ri3MNRjQ 答 地の果てまで逃げ続ける 175 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/13(金) 21 36 35 ID afDzE8xj 答:そもそもヒロインがどういう娘で主人公はどういう事をしたのか、で最善策は全く異なる。 よって 回答不能 が正解。 176 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/06/13(金) 21 52 19 ID RYVBybrE ヒロインの言うことをなんでも聞く 177 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/13(金) 21 57 16 ID 9l0q0rwz キスをする 178 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/13(金) 22 00 16 ID ntZ3+9nL 暴走してるヤンデレは抱きしめたりしたら大人しくなりそうな気がする。 179 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/13(金) 22 22 28 ID fy/Ro6wI 刺さってナンボのもんじゃい! な感じで押し倒し、ベットへGO。 180 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/13(金) 23 10 54 ID fy/Ro6wI 先生、女の子が散弾銃持って俺のいるスポーツジムに乗り込んで来ました!どーすれば良いですか? 某M容疑者の女みたいな最後は勘弁www 181 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/14(土) 00 01 32 ID HIsa1oAL 抱きしめてあげる ヤンデレは少し精神的に不安定なだけで一途な女の子ですよ 愛された側としては素直に好意を受け取るべき 182 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/14(土) 00 08 24 ID SB1+2Ygw 172 まな板と大根で応戦。もしくは悲鳴を上げてみっともなく這いつくばって逃げる まあそうなる前に選択肢をミスらないことがベストだな。包丁出されたら大抵死ぬ以外に道はない 180 撃たれたらMATRIXばりのアクロバティックな動きで避けろ 183 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/14(土) 00 18 33 ID Zb8irHat 181 問題は受け入れてやっても安定化しない、もしくは安定化してもそれが長続きしないということだな、 物理的に二人っきり無人島コースでもないかぎり、安心できない。 184 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/14(土) 00 21 22 ID /FE3MhbE 心が読める能力者なヤンデレなら大丈夫 185 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/14(土) 00 52 11 ID eOOWNoj4 184 「大丈夫だ! 刺されても僕は君を受け入れるから!」(『刺されたら痛いだろうな……でも彼女の方が大切だ!』) 「○○君……」>包丁を取り落とし駆け寄る 「もう離さないからな……」>ぎゅっ (『あ、今通りかかった娘はなかなか可愛いな。91点』) 「○○君……!」>首をぎゅっ 186 名前: ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/06/14(土) 01 03 24 ID v5L28tL5 166 ちょっと話の流れをぶった切る格好になってしまって申し訳ないのですが 元々この話は前々スレだか前々々スレだかの「アニメのポケモンのチコリータはヤンデレっぽかった」という発言を見て行き当たりばったりで書いたものですので 187 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/14(土) 02 04 22 ID QzlVJG6Q なんか特殊能力持ったヤンデレいる? 188 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/14(土) 02 34 10 ID NUTVIGps 病むまでの過程が大事と考えている俺は、病むまであと何話かかろうがついて行くぜ 189 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/14(土) 07 14 16 ID ZA2Kn7N0 投下します。 133からの続きです。 190 名前:変身少女[sage] 投稿日:2008/06/14(土) 07 14 59 ID ZA2Kn7N0 「立花君、ちょっといい?」 三井が声を掛けて来たのは、3時間目が終わった後の休み時間だった。三井とは高校に入学して、 同じクラスメートという以外は、あまり面識がない。ショートボブの髪に赤い眼鏡。クラスの中でも、 目立たない生徒だ。クラスの委員長をやらされているのも、投票でそれっぽいからという理由で三井に なっていた。 「放課後、相談に乗って欲しいんだけど」 俺に相談?意外な申し出だ。もっといい、適任者ならごまんといるぞ。横に座っている 秀才の石井なんかどうだ?俺が答えられるアドバイスの2倍はいい情報を持っていると思うが。 「う~ん、彼じゃちょっと駄目ね。これは立花君じゃないと解決できないことだから」 そうなのか。俺は放課後に用事があるんだがと、やんわりと拒否反応を出す。 「直ぐに終わるわ。そうね。一時間位かしら」 どうしても今日じゃないと駄目なのか? 「お願い。なるべく早く終わらせるから」 「……わかったよ」 俺がそう言うと、本当にありがとうと言い残し、三井は席に戻って行った。どうせ、プリント 運びだのそういった類いの力仕事をしてくれという相談だろう。クラスで一番暇そうにしてたからなぁ。 「祐くん、優しすぎるよ」 やっぱり。予想通りのリアクションが返ってきた。そうは言ってもな、もう引き受けたんだから 仕方ないだろ。忍はほっぺたをぷぅっと膨らませてすねている。水曜日の昼休み。屋上で俺は忍の 弁当を食べながら、これまでの経緯を説明していた。 「クラス委員長直々のご指名だからな。ちょっと遅れる」 はぁ……と、わざとらしく大きなため息をついて、忍がこちらを睨んだ。 「テストが終わったら、部活は1日休みになる。そうしたらカラオケに付き合ってもいいって 言ったのは、祐くんの方だよ。もしかして、サッカーのヘディングをやり過ぎたせいで、 若年性痴呆症にかかっちゃったのかなぁ?」 いや、俺、まだ高校生なんですけど。 「……チョコレートパフェ、3回分」 マジ?それはきついだろ。せめて1回にしろ。 「じゃあ、間を取って4回」 増えてる。よし、俺がいい案を思いついた。これから先、忍とは一生カラオケには行かない。 そうすれば、チョコレートパフェをおごらずにすむ。 「……ずるい。もう……1回でいいよ。その代わり早く来てね」 忍が甘い声を出した。こうなったら、俺の負けだ。 「あぁ……わかった、終わったらダッシュで行く」 照れ臭い。全く、女はこういう時、得に出来ている。 忍とは小学校以来の腐れ縁だ。小学校の時は目立たない眼鏡の女の子って感じだったのに、女って 言うのは恐ろしい。いつの間にやら、美人になっちまった。腰までのサラリとした黒髪。切れ長の目。 眼鏡も外してコンタクトになった。正に、変身前、変身後という感じだ。まぁ、そこまでなら何処に でもいる美人なんだが、問題はその体型だ。 「忍、またでかくなっただろ」 忍はさっと胸を隠す。最近、忍をからかうのは大抵、この話題だ。 「……ううっ」 「何食ったらそこまで大きく育つんだ?」 「……くっ!」 「脳に行く栄養がそこに集まっているとしか思えん」 「……ばっ、馬鹿、エッチ!」 忍が俺から食いかけの弁当箱を取り上げて走り去った。やべぇ、鳥の唐揚げ、最初に食べて おくんだった。 191 名前:変身少女[sage] 投稿日:2008/06/14(土) 07 15 43 ID ZA2Kn7N0 放課後、掃除が終わった後、俺は三井を待っていた。クラスにいる生徒は、もう数人しかいない。 テストの結果を悲観するもの、好成績に歓喜するもの、どちらもテストという嫌なものから解き 放たれた開放感で足早に学校を後にする生徒が多かった。 「遅いな。三井……」 教室に残っていた最後の生徒がいなくなる頃、三井は教室に入ってきた。 「ごめん。待たせてちゃった」 これでカラオケハウスに行くのは、更に15分は遅れそうだ。こりゃ、今日のカラオケ代も折半って 訳にはいかないだろうな。 「先生がプリントの原本をなかなか用意できなくって」 やっぱり、コピーとそれを運ぶ役目か。 「自分一人じゃちょっと無理だから。立花くん、早速お願いね」 やる事さえ分かっていれば、後は簡単だ。それを完遂するために一生懸命働けばいい。 40分程で全ての作業は終わった。こんなに一生懸命動いたのは、サッカー部でもそうはない。 「凄い。もう終わった……」 そりゃそうだ。今月の俺の小遣いが大ピンチだ。カラオケハウスには、こういう時だけ小悪魔になる 忍が手ぐすね引いて待っている。 「本当にお疲れ様。これ、食堂で買ってきたジュース。先生のおごりだから、遠慮しないで」 サンキュ。でも、俺には落ち着いてそれを飲んでいる時間は無いんだ。じゃあな、アディオス、 ごきげんよう。 「では、本題の立花君への相談をするわね」 一瞬、教室の空気が凍りついたように感じた。おい、今、何とおっしゃいました?冗談にしても 笑えないんですけど。 「立花君じゃなきゃ解決出来ない相談をしたいって、言ったはずだけど」 いや、確かにそうだけどさ、これ、普通の流れだと、今までのプリント作業だって思うだろ。 「こんなの勉強だけが取り得の、石井君にだってできるじゃない」 にっこりと微笑んだ三井は、俺の顔を覗き込んでそう言った。それ、ひでえよ……三井。 石井、泣くぞ。 「それで相談って何だ?手っ取り早く頼む。忙しいんだ」 「ねぇ……立花君ってA組の如月さんと付き合っているの?」 はぁ?なんだそりゃ。それの何処が相談だよ。俺に対する質問じゃねえか。 「それはお前に関係ないことだろ」 「大いに関係する事なんだけど。単刀直入に言うわ。私と付き合わない?」 「悪いな。俺、帰るわ」 「如月さんが美人だから?眼鏡ブスには興味が無いって事かな」 三井、女だからって言っていい事と悪い事がある。俺が忍と付き合っているのは、顔とか関係ない。 告白は嬉しいけど、お前とは付き合えない。 「そう。でも、女は変わるの。それが好きな人の為なら」 「……えっ」 192 名前:変身少女[sage] 投稿日:2008/06/14(土) 07 16 11 ID ZA2Kn7N0 目の前にいる少女に、俺は一瞬、息を呑んだ。眼鏡を取り、ボブショートの髪を掻き揚げた三井。 間違いなく、美少女だった。それも、並大抵のレベルじゃねぇ。モデルって言ったって、普通に 納得するレベルだ。 「中学時代からうっとおしい男子を追い払うために、こうやってカモフラージュしてる。わざわざ ソバカスとか描いてるの。さっきはごめん。立花君が女の子を顔で選ぶような人ではないって 知ってて、ワザと言ったの」 なら、俺がその美人の素顔を晒したって、関係ないって知ってるだろ。 「知ってる。立花君には隠し事の無いようにしておきたかっただけ」 その顔なら、俺よりもずっとマシな男が幾らでも見つかるぜ。じゃあな。 「……そう。やっぱりね。どうしても駄目か……」 ちょっと可哀想な気もするが、俺は二股かけられるほど器用じゃない。急いで教室を出ようと すると、三井がまた声を掛けてきた。 「ここで立花君が帰ると、如月さん、学校を辞める事になるわよ」 おい、今、なんて言った? 「この学校のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)のコミュニティに、今日如月さんの あるファイルが流れる。そのファイルが流れたら、如月さんは終わり」 いい加減な事言うなよ、忍が学校を辞める事になる?冗談はよせ。 「嘘だと思うのなら、これを聞いてごらんなさい」 三井がイヤホンを差し出した。渋々、そのイヤホンを耳に差し込む。 「!?」 ≪祐くん、テスト勉強って言ったって、真面目にやりすぎじゃないのかなぁ。仮にも彼女が自分の 部屋に来ているっていうのに、3日間手を出さずに終わりって信じられないよ≫ これは……。耳から聞こえてきたのは、確かに忍の声だ。 ≪今日で祐くんとの勉強も終わり……。はぁ……寂しいよ。う~ん、買出しってどの位かかるんだろうね≫ 明瞭に聞こえる音声が断続的に流れている。 ≪これ、祐くんのシャツかな。……ん~いい匂い。祐くんの匂いがする≫ やめろよ。何でこんなのがあるんだよ。 ≪…………んっ≫ そこから暫く、忍の声は聞こえ無くなった。微妙な衣擦れの音だけが微かに聞こえる。 ≪んっ……あっ、祐くぅん……これ、祐くんが……ぁんっ……使ってたシャーペン……≫ 「消せよ……」 静まり返る音の中に、淫音が聞こえてくる。 ≪ちゅくっ……ぬちゅ……駄目ぇ……祐くんの部屋で……くちゅっ……こんな事……あっ、ぁっ、んっ≫ 「消せって!」 193 名前:変身少女[sage] 投稿日:2008/06/14(土) 07 16 29 ID ZA2Kn7N0 俺は耳からイヤホンを外した。そして、三井を睨みつける。 「お前、俺の部屋に盗聴器仕掛けたのか?」 「知らないわ。ただ、サッカー部のある人が私に面白いファイルがあるって、持ってきてくれたの」 「聞いたらビックリ。オナニー大好き少女の声が延々と続いているじゃない」 俺の家に遊びに来たサッカー部員……何人もいるな……。 「お前、サッカー部員を……誰だそいつは」 「妙な言いがかりだけはやめてね。さて、ここで立花君だけにしか出来ない相談。このファイルを私が 何とかするから、立花君も私のお願い聞いてくれない?」 脅迫するのか?忍の痴態を収めた音声ファイルをチラつかせて。 「何もそんな酷い事言うわけじゃないわ。3日だけ。そう、3日だけ立花君の彼女にしてよ」 そんな気持ちになれる訳無いだろ。お前が女じゃなければ、とっくに殴っているところだ。 「なら、ここで相談は終わり。でも、もっと凄いファイルがあるかも……映像ファイルなんてあったら、 私なら恥ずかしくて死んじゃうかもね」 おい、まさかそんなものまで、あるんじゃないだろうな。 「立花君が3日我慢してくれれば、私が全部何とかする。そうね、でも、立花君も可哀想だから 彼女って言ったって限定でいいわ。3つだけお願いを聞くだけでいい」 そこまで俺だって馬鹿じゃない。そんなやばい事、承諾できるか。 「疑り深いのね。じゃあ、動詞限定ならどう?拾ってとか、そういうのだけ」 「本当にそれだけなのか」 「勿論、私と居ない時は如月さんと会ってもいいわ。私とは1日1時間だけでいいから」 「本当にファイルは何とかするんだな」 「約束は守るわ。私だって立花君が好きなんだし。そこまで嫌われたくない」 「それなら……3日だけなら。お前の要求を飲んでやる。その代わり、3日経ったら、もう2度と 俺に話しかけるな」 「はぁー。私だって大変なのに。ちょっと位は役得が欲しいなぁ」 「用事はそれだけでいいんだろ。俺はもう行く。明日からでいいんだろ」 「今日からでもいいわ。しかも、今日だったら10分だけでいい」 10分だけか?1時間じゃなくて。嘘じゃないのかと、もう一度聞きなおす。 「そう、10分だけ。立花君、とっても忙しそうだし、手伝ってくれたし。でも、約束は守ってね」 「俺はどうすればいいんだ?」 「そうねぇ。じゃあ、そこに立ってて」 「立ってればいいのか?それだけ?」 「そう。その代わり、絶対に動かないでね」 10分立っているだけ。簡単じゃないか。何なんだ。こいつ。 「いいぜ。そのかわり10分きっかりだ」 194 名前:変身少女[sage] 投稿日:2008/06/14(土) 07 16 52 ID ZA2Kn7N0 俺は指定された場所に立った。何だか変な感じだ。悪い事をして教室に立たされているみたいな。 そして、三井が俺の前に立つ。 「立たされているんだから、直立不動でお願いね」 「ああ、わかっている。今ならどんな地震が来ても10分間は動かない自信がある」 「……立花君。私、今日如月さんと一緒の香水つけているって知ってた?」 そう言うと、三井が目の前に立ち、顔を近づける。思わず顔を背けるが、三井の唇が頬に触れた。 「もう、雰囲気も何も無いのね。まぁ、唇は如月さんのものなんだろうから、許してあげる。でも、 今度動いたら、もう本当にこの話は終わりだからね」 くっ、俺としたことが。でも、不幸中の幸いだ。もし、三井にもう一度立っててという要求を されたら絶対拒否だ。 「唇はあげるわ。でも、こっちは……動いちゃ駄目だからね」 三井が両膝をついた。髪の毛の匂いが鼻腔をくすぐった。そういえば、忍と同じ匂いがする。 「後、7分」 突然、三井が俺のチャックを降ろした。馬鹿野朗、何しやがる。 「結構、大きいんだ。立花君……彼氏で、立花君も変か。祐って呼び捨てにしよ」 「くっ、何してる……」 ≪ちゅぷ、ちゅっ、……レロレロ……祐……おっきい≫ 「お前、ふざけるなっ、よ」 ≪後、5分……ちゅっぱ、ちゅっく、……ぴちゃ、ぴちゃぴちゃ≫ 三井がその小さな唇を俺の咽頭に這わす。陰茎と亀頭と尿道に唾液が溢れ、舌先が上下に往復した。 「うっ、っく」 先ほどの忍の声がまだ耳に残っている。それに、三井の香水。まるで忍にやられているような錯覚 に陥りそうだ。 ≪後、3分……んっく、んっく、ちゅっちゅ、んんっ、んく……祐、すっごく大きくなってきた≫ 自分で呼吸を整えようとするが、それが無意味だって悟る。こいつ、凄く上手い。 ≪後、1分……んっんっ、んっんっんっ……ぷはっ、もう、我慢しないでいっちゃっていいのに≫ 後30秒、後15秒、俺は頭で数を連呼して、その刺激に耐える。くそ、絶対、思い通りには させない。 ≪んっんっ……ちゅっ。時間切れか。凄いね、祐≫ 大きくなったそれを名残惜しそうにズボンにしまうと、三井は立ち上がった。 「もう、10分か。早いなぁ」 もう、直立不動は無しだ。いいな。三井。 「祐がそう言うなら、もう無しにしてあげる。じゃあね」 俺はその言葉を聞き終わる前に、その場から全速力で走り出し学校を出た。 195 名前:変身少女[sage] 投稿日:2008/06/14(土) 07 17 16 ID ZA2Kn7N0 「あっ、祐くん。来た来た。もう、始めちゃってるよ」 忍がカラオケハウスでニコニコしながら話しかける。さっきの事は幻だったのか?俺は、生返事を 繰り返していた。 「もう、さっきからわたしばかり歌わせて。喉がカラカラだよ」 とりあえず後2日。俺が我慢すれば、この話は終わる。でも、忍にその事を悟らせては駄目だ。 忍は見た目しっかりとし、強いようだが実は心が脆い部分もある。だから、三井との事は絶対に 悟られないようにしないと。 「なぁ、忍。ちょっと話があるんだ」 「何?チョコパフェおごるの無しっていうのは、駄目だからね。約束なんだから」 ≪あのさ、俺たち少し距離を置いて付き合わないか≫ そうだ。後2日は距離を置こう。なるべく悟られないようにするには、一番いい。 「えっ?あ……うん」 「俺さ、ずっと忍の事大切な友達だと思っているから。それに、忍は美人だし頭もいいしさ。俺も 羨むくらいの女の子だから、大丈夫」 忍は少しショックを受けたようだ。すまん、2日経ったら元に戻る。それまで、我慢してくれ。 俺はその後、悪いと言ってカラオケハウスを出た。忍の笑顔を見ているのが、何より辛かった。 次の日。三井の要求は夕方の1時間だけのデート。その翌日は昼の1時間、手作り弁当を一緒に食べて 欲しいというものだった。ただ、三井は最終日のこの日、俺が持ってきた忍の弁当を捨ててという 願いをした。最後の思い出に弁当を食べるのに、忍の弁当だけは目の前で見たくないという理由だった。 俺は抗議したが、最後だからと涙目で訴えられて、渋々要求を呑む事になった。 「今日で終わりだ。例のものはどうなんだ」 「そっか、残念。もう、最終日かぁ。早いね。もうちょっとだけ延長する?」 冗談は顔だけにしろよ。俺は三井を睨みつけた。 「酷いなぁ。祐の盗聴器はもう使えないし、ファイルも全消しして貰った。もし、そのファイルが 出てくるようなら、その人訴えてもいいよ。私も証言してあげる」 そうか。なら、お前とはもう終わりだ。二度と話しかけるな。 「了解……。じゃあね」 俺は何も言わず、足早に校舎に戻る。隠しておいた弁当を抱え、忍に返そうと誓う。そして、たくさん 遊ぼう。友達宣言を撤回して。 196 名前:変身少女[sage] 投稿日:2008/06/14(土) 07 17 39 ID ZA2Kn7N0 「…………恋人ゴッコも終わりね」 中庭に三井が立っている。眼鏡を外し、髪を掻き揚げた。 「ねぇ、いる?」 そう言うと、二人の少女が三井の横に現れた。 「私は祐との約束で何も言えない。でも、あなた達は違うわよね」 「……あの、例の件は……」 「あぁ、貴方達の事?勿論、内緒にしてあげる。私を裏切らない限りはね。そうそう、最後の命令。 如月に弁当の事さりげなく伝えてくれない?あのゴミ箱にあるってね」 「……わかりました」 二人の少女が慌てて、校舎に戻っていく。 「祐。確かに如月のファイルは処分してあげた。約束だからね。でも、あの時、鞄から撮影していた ビデオ。そっちは約束の対象外。有意義に使わしてもらうわ。あの時、気がつかなかった? 中学生の時、祐に告白して無残に振られたあたしの事。折角、本当の顔を出してあげたのにね。 気がついてくれれば、祐のおもちゃを壊すまではしなかったのに……残念ね。本当の地獄は これからよ」 クスクスと笑いながら、三井は嬉しそうに校舎に戻っていった。 【おしまい】 197 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/14(土) 07 19 20 ID ZA2Kn7N0 以上です。 時系列がちょっと戻り、祐視点の話です。 まぁ、三井さんはこんな人だったという事で。 では、失礼します。 198 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/14(土) 07 46 55 ID vPQfue9x 朝からGJ!! まさかこんなことがあったなんて…… 199 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/14(土) 08 28 26 ID EalYLaMF 逆恨みと身勝手な妄執の塊ですね 三井 200 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/14(土) 09 18 28 ID VjHVjv5U こいつら、どんな惨めな死に方するんですか? って期待すると、大した報復が行われずストレスだけが残ったりするからなぁ。 201 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/14(土) 09 26 38 ID U8B9aZSA 乙 でも、この手のSSのお約束だが何で男の思考回路はおかしいんだろう ≪あのさ、俺たち少し距離を置いて付き合わないか≫ 普段からべったりひっついていたヒロインにこんなセリフ吐くなんて馬鹿だろ これで頭の良いキャラ設定だったりするから余計違和感が 脅されて精神的に不安定だったという考えもあるがそれでもちょっと… だが、ここで落ち着いた対応を見せるとお話が終わってしまうからしょうがないかw これ、祐視点だと180度変わります。 冷たい糞野郎と感じてたが、お馬鹿な思考回路でどつぼにはまるガキに見方が変わりましたw 202 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/14(土) 11 09 08 ID 0H/r8jVS GJ! まさかこういう裏があるとは思わなかった。 201 まるで自分なら最良の対応が出来るみたいな言い方だね 下衆な茶々入れはやめたら?そういう性格だとリアルで友達減らすよ。 203 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/14(土) 11 26 23 ID x4BtRcXB GJ! 忍が可哀想すぎる 201 地震が起きた時、必要もないのに枕もって逃げる人いるよね。 そんな感じじゃないかな? 204 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/14(土) 11 39 13 ID a0aURn2L ないとは思うけど、NTRやレイプ描写があるなら警告お願いします。 うまく収拾つくといいな。続き、楽しみにしてます。 205 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/14(土) 12 03 55 ID 9RiIC3Wf 201は可哀想な人だな。 何はともあれGJです。祐くん誠じゃなかったや。 206 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/14(土) 12 28 46 ID bZM6KbmT しかしどうしよう 前話の保管断られているから、 これ保管すると話つながらなくなってしまうんだけど。 この作品自体未収録にした方がいいのかな 207 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/14(土) 16 13 09 ID a09jsTKS 保管の際にミスを修正してくれればおk って許可を作者さんが出してくれれば良いんだろうけどね 208 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/14(土) 18 55 11 ID ZA2Kn7N0 感想ありがとうごさいます。 参考になります。 最初、プロットの思いつきだけで書き始めた変身少女も、随分長くなりました。 やっぱり、整合性を取るのは難しいですね。 206 保管庫の管理人さんへ。 いつもお疲れ様です。 もし、よろしければ校正したファイルを上げましたので、こちらを保管庫に 入れていただけませんでしょうか。 大変お手数をお掛けしますが、よろしくお願いいたします。 http //ossan.fam.cx/up/uploda2/loda.cgi?mode=dl file=2156 DLKeyは ヤンデレ です。 209 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/14(土) 20 21 13 ID 0H/r8jVS 208 お疲れ様でっす しかし、こうしてみると続きが気になりますな ええ乳した女性が不幸な目にあうのは許せない性質でさぁ 210 名前:無形 ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2008/06/15(日) 00 46 11 ID r6GuVZQE 投下します。 211 名前:ほトトギす ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2008/06/15(日) 00 48 26 ID r6GuVZQE 広い、と云う感覚は、孤独を認識させられることがある。 僕が通った廊下も、通された一室も。 広く、高く、長く。 どこか心細さを掻き立てられる場所であった。 傍に誰かが欲しくなるような、そんな感覚。 だからと云って、「人外」がそこに在っても、不安が紛れる事は無い。 楢柴綾緒。 今僕の前に居る従妹は、その面に化生を貼り付けている。 ――泣増(なきぞう)。 綾緒が付けている能面は、そう呼ばれるものだ。 広い客間で僕らは相対している。 彼女は僕が座ると、言葉を発するよりも早く。 唯、深深と額を地に着けた。 綾緒は一言も発しない。 僅かに身を振るわせるだけである。 「・・・綾緒」 僕が声をかけると、着物姿の化生は静かに身を起こす。 完成された所作だ。 背筋が通り、風格のある座仕方だった。 「にいさま・・・」 能面越しに籠もる声は、正しく従妹のもの。 綾緒はもう一度にいさまと呟いてから、両手を着いた。 「急な御呼びたて、申し訳ありません。本来ならば兄の君に御足労願う等あってはならぬことですが、 綾緒は楢柴の屋敷を出ること叶わぬ身。どうか御容赦下さいませ」 「・・・何故、面を?」 身体を起こさせた僕は、そう質した。 他に云うべきことはあるはずだけれど、“それ”には触れたくなかったからだ。 「今の綾緒は・・・にいさまにあわせる顔がありません」 「・・・・・」 “どういう意味”で、あわせる顔がないのだろうか。 内罰的な意味か。 外罰的な意味か。 「とうさまには・・・・会われたのですよね?」 「ああ」 「そう――ですか。ならば、にいさまと綾緒の将来も、聞かされたのですよね?」 「将来、と云うことでもないだろう。唯、以前のように戻っただけだ」 そう。 綾緒が僕を呼ぶとしたら、当然婚約の話だろう。 文人氏は僕にこう云った。 あれが罪を自覚できるようになったら謝罪させると。 今、この場に僕を呼んだのは、綾緒だ。 文人氏が同席している訳でもない。 つまり、それは―― 「綾緒は悔しゅう御座います」 この従妹は、何も変わっていないと云う事だ。 彼女はくぐもった声を僕に向ける。 「綾緒は、唯、お慕いするにいさまと共に在りたいだけなのです。その為に、総てを捧げ、一身に尽す つもりです。それだけで、他はいらないのです。とうさまだって、それは理解してくれていたはずなの です。なのに、突然に綾緒とにいさまの仲を裂こうとされた――。理由も告げぬままに。にいさまには 何と云って御詫びをすれば良いか、綾緒には思惟を絶することに御座います。本来ならば、このような 不始末、死して償う事ではありますが、考えているうちに・・・唯、にいさまに逢いたいと・・・」 それは、静かな感情の爆発であった。 ゆらり。 ゆらりと。 感情の爆風が、行動となって顕れる。 ぶるぶると震える腕が伸び、僕の両肩を掴んだ。 力は強い。肩が鬱血しそうな程に。 「綾緒」 「にいさまっ」 212 名前:ほトトギす ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2008/06/15(日) 00 51 03 ID r6GuVZQE 綾緒は僕を抱きしめていた。 息をすることが困難になるくらい、力一杯。 「綾緒、離れてくれ」 「嫌です!綾緒は、にいさまを離したくありません。これ以上、離れることは出来ません」 「・・・・」 そう。 これは確かに爆発だ。 中心が弾けて、周りを巻き込み爆ぜるだけ。 根本的に。 僕と綾緒では考え方が違うのだ。 この娘は狂おしいほどに僕を愛している。 だけど、僕には綾緒に女としての感情を持っていない。 普通ならば、ここで従妹を諭すべきなのだろう。 お前の気持ちには、伯父の存在を抜きにしても答えられないと云うべきなのだろう。 けれど―― 「・・・・・」 爪と、耳が疼く。 云って聞く可能性は、酷く低い。 ここで綾緒が狂乱したとしたら、文人氏は、また心を痛めるだろう。 対処の方法が思いつかない。 ここへ来たのは失敗だったのだろうか? 否。 対応叶わなくても、綾緒の心を鎮める事は出来るはずだ。 鎮めて、心が平らになれば、自己を客観的に見れるはずだ。 そうすれば、綾緒と文人氏の間も、改善に向かうのではないか? そんな脆い期待を抱いてここへ来た。 僕の身体にしっかりと腕を回す従妹に声をかける。 「綾緒。お前とは、きちんと話しをしたい」 「はい。にいさま。綾緒も・・・にいさまとお話をしたいです。ずっと、ずっと、その御声を聞きたい と願っておりました」 従妹の指が、僕の身体に喰い込んで往く。 その痛みが、どれだけ僕を想っていたかを知らせていた。 綾緒と顔を合わせたのは、ついこの間だ。 それなのにこの美しい鶯は、もう渇き餓えている。 「にいさま・・・ここではなく、綾緒の部屋へいらして下さい」 こもった声がそう嘆願した。 盤根錯節に遇わずんば、なんぞもって利器を別たんや。 少し迷ったけれど、僕は頷いて移動する。 鶯の、巣へ。 綾緒の部屋は、和風そのものである。 公家と武家は相反する観念を持つことがあるが、ここでは公武が見事に調和されている。 武を嗜む公家か。 或は、雅を解する武家か。 そのどちらかの娘の部屋と云われれば、即座に了解出来ただろう。 荘重にして明媚な一室は、けれど不必要に広い訳ではなかった。 これは綾緒の考えか。それとも文人氏の意向だろうか。 いずれにせよ、名族楢柴本家令嬢の部屋にしては、狭いと云える。 僕は根っからの中産階級者である。 狭い部屋のほうが断然落ち着く。 この従妹の部屋へ来たことも幾度かある。 だから、唯の一点を除いて、違和感を感じることは無かった。 その一点――僕はそれを指差した。 「綾緒、それは何だ?」 それ。 畳の上に敷かれた、寝具。 つまり、蒲団だ。 従妹は基本的にカッチリした人間なので、敷きっ放しにするとは思えないのだが。 (いや――) 213 名前:ほトトギす ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2008/06/15(日) 00 53 33 ID r6GuVZQE 敷きっ放しにしては、整いすぎている。 まるで、敷いたばかりのように。 「にいさま・・・」 僕が綾緒に顔を向けると、従妹は一歩僕に近づいて面を上げる。 「にいさま、“これ”を外して頂けませんか」 これ――泣き増面である。 意図の読めぬままに、見慣れぬ顔を除いた。 その下にある従妹の姿。 それは、泣き腫らしたかの様に赤い眼をしていた。 事実、泣いていたのだろう。 実情はどうあれ、この娘は僕に愛されていると思っている。不可解に引き裂かれたと思っているのだか ら。 僕が能具を傍らに置くと、堪りかねたかのように綾緒は胸に飛び込んだ。勢い、僕が抱きしめる形にな る。 「にいさま、にいさまぁ・・・・!」 ぽろぽろと。 大きく美しい瞳から、水滴が零れた。 事情を知らなければ、或は“相手”が僕でなければ、すぐにでも慰めてやったことだろう。 しかし―― 「にいさま、綾緒は、綾緒は、悔しゅうございます。初めて御逢いした時から・・・いいえ、生を受け る以前より御慕いしていたにいさまと漸くひとつになれるはずでしたのに・・・、とうさまの・・・と うさまの誤った命で、それも儚いことにされてしまいます・・・」 「・・・・」 何と云うべきだろうか。何と云ったら良いだろうか。 激発させず、鎮めることだけに集中するにせよ、言葉は慎重に選ばなければならない。 綾緒は僕の胸板に頬を擦り付け、涙ながらに不遇を訴え続ける。 「綾緒」 僕は両肩を掴んで、少しだけ距離をとった。このままでは顔が見えないからだ。 綾緒は潤んだ瞳で、じぃっと僕を見上げた。 取り敢えず落ち着かせること。 それだけを決めて口を開こうとした矢先、従妹は僕の首元を凝視した。 「にいさま・・・それは・・・?」 「え?」 そこにあるのは、一ツ橋に貰った御守り。 ある女性から渡された。 そんなこと、云える訳も無く。 落ち着かせようとしているのだ。余計な発言は避けねばならない。 言葉を捜していると、従妹は奇妙に煌いた瞳を僕に向けた。 「にいさま・・・それを・・・綾緒に見せて下さいませ」 「・・・・」 首から外して従妹に手渡す。 すると、彼女は小さく震え始めた。 「あ・・・あ・・・あぁ・・・」 「綾緒?」 泣いていた。 従妹は再び涙を流していた。 泣きながら、御守りを抱きしめるようにその手で包んでいた。 「嬉しい・・・。嬉しいです。にいさまが、綾緒と同じことを考えていて下さったなんて・・・」 「え?」 当惑するのは僕のほうだ。 同じことを考えた?それはどういう意味だろう? 僕は部屋を見渡した。“広いが広くない”部屋には、綾緒の意図を感じさせるような変化は何も無い。 否。 “ひとつ”だけ、あった。 僕の足元。 そこに敷かれているもの。 そして―― 従妹の手の中の御守り。 『それ』は、何を祈願したものであったか。 214 名前:ほトトギす ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2008/06/15(日) 00 56 08 ID r6GuVZQE (まずいぞ!) たとえば。 婚姻関係で揉める親子を是とさせる現象。 僕の母が、どういう理由で険悪な本家との仲を解消させるに至ったか。 「にいさま!!」 思考がそこに辿り着いた時、僕の身体は蒲団へ倒されていた。 従妹は僕に覆い被さり、熱の籠もった顔が近づいて来た。 「待て綾緒!違うんだ!その御守りは、違うん・・・んぅっ!!」 身体が固まった。 今、僕の口に押し付けられているものは、何だ? 口の中を這い回っているものは、何だ? 「ん、んぅ・・・」 「んっ・・・にい・・・さまぁっ・・・」 くちゅり。くちゃりと。 爆ぜた感情が蠢いて往く。 従妹は自らの唇で僕の口を塞ぎ、一心不乱に、舐め、吸っていた。 「や、やめ、んぐっ・・・」 再び口を塞がれた。 何とか抵抗しようとしたが、綾緒の行為は思考を鈍らせた。 脳味噌が蕩ける。 僕にはこういう経験は無いけれど、それでも何故だか判った。 今僕のされている行為は、他の人間とするよりも、ずっと上質で淫靡であるということ。 他人とこういうことをしても、恐らく、ここまで脳は蕩けない。 楢柴綾緒という人間を構成するパーツは恐ろしく出来が良く、その行動は魔性の趣があった。 (やばい・・・) のぼせた様に顔が熱くなる。 血液が沸騰し、“どこか”に血が集まって往くのが判った。 (こんな・・・恋愛感情どころか、男女の感覚も持っていない相手に・・・・) 身体だけが、反応させられている。 天性のものなのだろうが、それだけ上手なのだ。 僕は抵抗を試みるが、 「うぁぁっ」 頬を押さえていた両の手。その片方が、すぐに反応した部位を握っていた。 「にいさま・・・」 綾緒は完全に入り込んでしまっている。 その瞳はどこかとろんとしていて、僕の知らない女としての表情を浮かべていた。 「にいさま。綾緒も・・・こういったことは初めてです・・・。至らない点があるかとは思いますが、 どうか御容赦下さいませ」 初めて? これで初めてなのか? 僕の下腹部に伸びる手は別の生き物のように独立して動き、思考と行動を遮断した。 従兄の表情を見ながら、的確に弱い部分を学習して往く。 このままでは・・・・。 「や、やめてくれ・・・・」 叫んだはずの声は、酷く弱弱しかった。 まるで形だけの抵抗の様に。 「ふ、ふふふふふふ・・・」 綾緒は穏やかに。けれど、どこか淫蕩に微笑む。 「いつもそう・・・」 「うううぅっ」 「いつも、にいさまは口だけは駄目だ、嫌だって云うんですよね?」 ジ、ジジと。 聞き慣れた音がする。 従妹は僕を見据えたまま、ジッパーを引き降ろしていた。 「どの様な時でも、最後は必ず綾緒の願いを聞いてくださるのですよね?今も、そう」 (ち、違う) 従妹は完全に誤解している。 恐怖。 或は痛み。 215 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/15(日) 00 56 28 ID BcFk4sd1 紫煙 216 名前:ほトトギす ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2008/06/15(日) 00 58 39 ID r6GuVZQE 僕がそれに屈してきたことを、良い様に解釈してしまっている。 「だから・・・」 「うぁぁっ」 外気に晒された僕のものを。 綾緒は、丁寧に扱き上げて往く。 「いつもの感謝も籠めて、綾緒が精一杯、御奉仕致しますね?」 「う・・・い、嫌だ・・・やめてくれ・・・」 僕は首を振る。 蒲団から這い出ようともがいた。 けれど綾緒の腕は僕を掴んで、脱出を阻んだ。 「愛しております。綾緒のにいさま」 紅を塗ったような赤い唇を形の良い舌がなぞった。 「だ、駄目だっ!」 これ以上先に進んでしまったら、完全に引き返せなくなる。 「にいさま」 「うわぁっ」 「にいさまは、何も考えなくて良いのです。総て綾緒に御任せ下さいな。にいさまはただ、綾緒を感じ ていてくれればそれで良いのです。幼子のように、綾緒を求めて下されば、それで」 馬乗りになった綾緒は着物をずらして往く。 雪の肌の中に見える女の部分は、しっとりと濡れていた。 「にいさまだって、寂しかったでしょう?そうでなければ、あんなことをしませんよね?」 「あんな、こと?何の話だ・・・?」 「云ったはずですよ?織倉由良を、家にあげないように、と」 「――」 何で・・・。 「そのこと・・・っ」 「それも云ったはずですよ?」 綾緒は乱暴に僕のものを握りこむ。快楽よりも痛みを優先させるように。 「綾緒は何時でも、にいさまを見ています、と」 「う、ぁ・・・」 従妹の表情は淫蕩なそれのまま。 けれど、その瞳は暗く濁っていた。 「罰を与える――本来ならば、そうするところです。でも、綾緒と逢えなくて、にいさまも寂しかった のですよね?とうさまを説得出来なかったのは綾緒の落ち度です。ですから、織倉由良の件でにいさま を責める様な真似は致しません。だって、大切なのは“これから”ですからね・・・」 ゆっくりと。 綾緒は僕のものを自身の中に宛がう。 繋がる。 それはあってはならないこと。 「や、やめろ!やめてくれぇ!」 「やっと・・・やっと愛しいにいさまとひとつに・・・・」 「駄、駄目っ、うあああああ!!」 躊躇は無かった。 僕に跨った綾緒は、全身を重力に任せていた。それは、進んではいけない道へ足を向けることと同じで あった。 「んぅっ・・・にい、さまァ・・・!!」 何かを突き破る様な感覚。それは一瞬のこと。 従妹は顔を歪め、すぐに呆けた笑顔で僕を見おろしていた。 「う、うわぁぁっ」 自分の口から漏れる悲鳴。 それは、起きてしまったことに対する恐怖と、それを上回る快楽からだった。 締め付ける。 そう云う表現は聞いたことがあるけれど、綾緒のそれは、そんな次元を超越していた。 まるで全方向から舌で舐め上げられる様に。絡みつき、僕という存在を絞りつくすかの様に。 男を悦ばせることに特化した器官と動きは、僕の思考を壊すには充分だった。 「んんぅっ・・・にいさま。綾緒の、にいさま・・・」 どこか夢見るような瞳。 念願かなったからか。それとも、行為自体に酔っている為か。 217 名前:ほトトギす ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2008/06/15(日) 01 01 13 ID r6GuVZQE とろんとした表情の従妹は、にいさま、にいさまと呟きながら、一方的に腰を振っていた。 痛みを感じていないのか。 陶酔は、痛みをも甘美な快感へと変質させているのか。 鶯の鳴き声は、どこまでも艶やかだった。 「うああ、うぁぁぁ」 僕は何も考えることが出来ない。 恐怖と、悔恨と、快楽と、自失。 脳内がどろどろに溶けて、叫んでいるのか呻いているのかも判らなかった。 「あ、ぁぁぁ、にいさま。にい、さまぁ・・・!」 綾緒が上下する度に、僕の意識が飛びそうになる。 自分がどの様な表情をしているのかすら判らない。 あるのは奇妙な恐怖と、恐ろしい程の快楽だけ。 「ああぁ、にいさまぁ、にいさまァ!綾緒の中に、にいさまを・・・んっ・・・にいさまを感じます。 もっと、もっともっともっとぉ、もっとにいさまを、綾緒に感じさせて下さい」 綾緒の中は際限なくきつく、気持ち良くなっていく。 限界が訪れるのは、時間の問題だった。 「お願いだ、綾緒、もうっ・・・もうやめてくれ・・・」 「にいさま・・・にいさまも、気持ち良いのですね?綾緒を感じてくれているのですね?」 「こ、こんなの・・・駄目、だ・・・」 「云ったはずですよ?にいさまは・・・にいさま、は、何も考えなくて良いと。唯、唯、綾緒に・・・ 綾緒に、甘えていれば良いのです」 笑う従妹の顔は。 恐ろしく妖艶で、恐ろしく高圧的であった。 綾緒は僕に尽くしているつもりで、どこまでも僕を支配して往く。 今この瞬間も、僕を見定め、思う通りに動かしていた。 恐怖と。痛みと。そして、快楽。 綾緒は従兄をコントロールする術を完全に身につけていた。 どう動き、どう攻めれば良いのか。 知悉し、楽しんでさえいた。 (身体が、おかしくなってる・・・) まるで望んでいない相手としているのに。 (もっと・・・もっと動いて欲しいと思ってる・・・・) 感覚が一点に集中し、その場に齎される快感だけにのめり込んで往く。 知性も。理性も。 何もない。 貪ることだけを身体が欲していた。 日ノ本創という人間が、楢柴綾緒という化生に喰われて往く。 心も、身体も、何もかも。 綾緒の口は僕をしっかりと啄み、“それ”を飲ませろと無言で要求していた。 「さあ、にいさま、にいさまの子種を・・・綾緒に授けて下さいませっ・・・・」 弄ぶことを止め。 絞り尽くすことに集中した従妹に抵抗する術は無い。 「う、うあああああああああ」 僕は泣いていた。 泣きながら、綾緒の中に果てていた。 「んぅぅっ。にいさま、にいさま。まだ、まだまだ足りません。もっと、もっと授けて下さいませっ」 それは、僕の中の僕と、僕の中の綾緒の消滅だった。 218 名前:ほトトギす ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2008/06/15(日) 01 03 30 ID r6GuVZQE 家についたのは、夜になってからだった。 どうやって帰ってきたのか、覚えてもいない。 楢柴の車を断ったことは記憶にあるので、何時間も掛けてふらふらと歩いて来たのだろう。 あの後―― 綾緒は壊れた僕を抱き続けた。 身も心も枯れ果てる程に絞りつくし、満足そうに笑っていたように思う。 愛しそうに自らの腹を撫で、何か呟いていたように見えた。 玄関についた僕は、その場にへたり込んでいた。 家に帰ればホッとするはずなのに、涙が出て止まらなかった。 膝を抱えたまま、ずっとそうしていた。 廊下に置かれた電話が鳴ったのは、その時だ。 普段の習慣がそうさせたのだろう。 僕は受話器を耳に当てていた。 片耳は心同様壊れている。 聞こえる方の耳に、受話器をあてた。 僕の口から声は出ない。 その気力がなかった。 「あ、日ノ本くん?やっと繋がった!さっきからずっと電話してたのよ?」 「・・・・・」 それは誰の声だったか。 親しい先輩・・・いや、僕の恋人だったか。 どちらでもいい。 「日ノ本くん、お昼のことはどういうつもりだったの?朝歌ちゃんには謝罪されたけど、日ノ本くんの 言葉を聞きたいの。ねえ?私の覚悟、まだ伝わってなかった?もう一度命を掛けなきゃ駄目?」 「・・・・・・」 何かを云っている。 よく聞き取れない。 こちらの耳は、壊れていないはずなのに。 「ねえ、日ノ本くん、私、寂しいと死んでしまうのよ?」 「・・・・・・」 「聞いてるの?返事をして!」 「・・・・・・」 「どうして返事をしてくれないの?それとも、何かあったの?」 「・・・・・・」 「何かあったのね?判った。今すぐそっちに往くから待ってて」 電話は一方的に切れた。 何が判ったのだろう。 自分でも自分が判らないのに。 兎も角、誰かがここに来るらしい。 誰が来るかは判らなかったが、逢ってはいけない人のような気がする。 ここも、僕にとっては安住の地では無いのだろう。 壁に掛かっている能面が、じっとこちらを見つめている。 貴方を見ていると、誰かが云った。 心身が摩耗していて、それも誰の言葉か思い出せない。 僕は受話器を澱んだ瞳で見つめると、そのままにして外に出た。 家の鍵は掛けたろうか。 どうでも良いか、そんなこと。 靴も履いていない。 ただ、どこへともなくフラフラと歩いた。 心身悉く吸い尽くされたせいか。 それとも別の理由か。 総てが消耗し、意識が摩耗している。 自分が生きているのか死んでいるのか、それすらも識別出来ないくらいに。 どれくらい歩いたろう。 5分か、10分か、それとも1時間か。 疲労に疲労が重なった頃。 ぎゅっと。 何かが僕の手を握っていた。 いつの間にか、すぐ傍に誰かがいたのだ。 219 名前:ほトトギす ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2008/06/15(日) 01 05 47 ID r6GuVZQE 酷く小さく、華奢な人影がそこに在った。 「何をしているんですか。こんな所で」 抑揚の無い声。 痩身の少女は、じっと僕を見つめている。 「・・・・・」 僕は答えない。 これは誰だったろう。思い出せない。 唯、逃げなければいけない相手では無いような気がした。 少女は僕の手を握ったまま見つめていたが、やがてどこかへ引っ張り始める。 抵抗はしない。 そんな気力は無い。 少女に腕を引かれて、唯のろのろと歩くだけ。 やがて、どこかに到着する。 すぐに着いたような気もするし、結構歩いたような気もする。 時間の感覚も無い。 到着した場所は、どこかの家の中。 澱んだ瞳に映るのは、大量の本。 廊下にも、階段にも、部屋の中にも。 目に入る範囲に、形大小様様な書籍が積まれている。 どこか見覚えのある光景だった。 懐かしい感覚。 僕はここへ来たことがあったようだ。 通された場所は、矢張り本だらけの一室。 なんだか安心する。 そう思った瞬間、力が抜けた。 地面に張り付いて、動くことも出来なかった。 ちいさな誰かが、何か云っているが、答える気力は僕には無い。 深い闇の中へと意識を沈めるだけだった。 意識を取り戻した時視界に入ったのは、本の山。 窓からは陽の光が射し込んでいる。 どうやら僕は眠っていたようだ。 ここはどこかの部屋の中。 大量の本に埋もれた部屋の中。 本の山は綺麗に積まれているが、その量が多すぎるために雑多な印象を受ける。 「どこだ?ここ?」 場所が判らない。 何となく見覚えはあるのだが。 そもそも自分は、何でこんな所にいるのだろう?何でこんな所で寝ていたのだろう。 辺りを見回す。 すると、すぐ傍に気配を感じた。 ちいさな身体が、僕に寄り添う様にして、穏やかに寝息を立てていた。 痩身矮躯を猫の様に丸めて、僕の服を握っている少女の姿があった。 「ひ、一ツ橋?」 何で僕はここにいて、一ツ橋が隣で寝ているんだ? 理解が追いつかないが、兎に角、本人に聞かないことには始まらない。 僕は寝息を立てる後輩の身体を揺さぶった。 「お、おい、一ツ橋?起きてくれ」 「ん・・・」 昔馴染みは僅かな振動で目を覚ます。 無表情だが眠たそうな目のままで身体を起こした。 「おはようございます、お兄ちゃん・・・」 「おはよう。って、何でお前はここで寝てるんだ?」 「私が私の部屋で寝ていることが不思議ですか」 「え?」 僕は改めて周囲を見渡す。 云われてみれば成る程。 220 名前:ほトトギす ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2008/06/15(日) 01 08 33 ID r6GuVZQE ここは博識な教授と、その娘の暮らしている家屋に相違なかった。 「待てよ、じゃあ何で、僕はこんな所にいるんだ?」 目の前の人間に問いかけたのか。 それとも自分の記憶を探ろうとしたのか。 僕がそう云うと、一ツ橋はじっとこちらの目を見つめた。 表情は無い。だけど、真剣さの伝わる瞳だった。 「僕は・・・昨日・・・・」 (!!!) 思い出した。 吐き気の催す様な出来事を。 鶯の巣で起こった、忌むべきことを。 かたかたと身体が震える。 目の前が霞んで、寒気が全身を包み込む。 その瞬間―― 僕の頭を小さな身体が抱きしめていた。 「一ツ橋・・・?」 「大丈夫です」 無機質なのに、穏やかな声。 「大丈夫・・・。怖がらなくて良い」 「ぅ、あ・・・でも、僕は・・・」 綾緒と・・・。 「大丈夫・・・」 一ツ橋は僕の頭を撫でる。 心臓は痛いくらいに鳴り響いているのに、不思議と心が凪いでいた。 「私が護ります」 表情は見えない。 声に抑揚も無い。 けれど、一ツ橋からは強い意思のようなものが感じられた。 「お兄ちゃんを不幸になんてさせません。私の人生と引き換えにしても、幸せにしますから」 だから泣かないで。 一ツ橋はどこまでも静かに。 「っ・・・・」 僕は再び身を震わせる。 涙が出た。 身体の震えが止まらなかった。 221 名前:無形 ◆UHh3YBA8aM [sage] 投稿日:2008/06/15(日) 01 10 38 ID r6GuVZQE 投下ここまでです。 では、また 222 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/15(日) 01 15 35 ID q+d8LvQT GJ!! 223 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/15(日) 01 29 27 ID Wtd2bxHO なんという投下ラッシュ。 作家の皆さん、GJです。 224 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/15(日) 03 03 20 ID GDaLKlsV な ん と い う ヘ タ レ(褒め言葉 そして綾緒の素晴らしいガロード・ランっぷりにヤンデレの光を見た 惜しみないGJを 225 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/15(日) 03 21 02 ID ncTRLDAq ついにきたほトトギす!GJです!兄ちゃん軽く壊れた時の朝歌の慰め方めっちゃ良い。というか、綾緒の親父さんは、死んだということになるのか? 続き待ってます。 あとはことのはぐるま待つだけだぜ 226 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/15(日) 05 13 34 ID GiOiCHHv 久々の朝歌キタワァ* .。..。. *・゚(n‘∀‘)η゚・* .。..。. * ミ ☆ 二体のヤンデレモンスター相手にどう動くか楽しみです。 そして親父さんの安否が気になる… 227 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/06/15(日) 11 44 15 ID VLeSTx3p そろそろヤンデレ家族の時間だな。 228 名前:ヤンデレウィルスに感染してみた[sage] 投稿日:2008/06/15(日) 12 45 12 ID vC+4sfDU 『ゲームソフト』 「さて、ラスボス倒して今日中にクリアだ」カチッ 「あれ、嘘だろ」 うふふ 「データが、ラスボス前のデータが」 まだ終わらないで、もっと遊びましょ 「消えてる・・・・・・」 あは、アハハハ! 「ちくしょおおおおおおお!」 ずっとずっと遊んでね・・・・・・ 229 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/15(日) 12 47 50 ID vC+4sfDU バイトおわたら他のも投下してみる 230 名前:名無しさん@ピンキー[ ] 投稿日:2008/06/15(日) 13 57 50 ID SDpcmFzd 美月のバイトしてるガソリンスタンドってリッターいくら? 231 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/15(日) 15 53 39 ID IxSAScLV 三井死ね三井死ね三井死ね三井死ね三井死ね三井死ね三井死ね三井死ね 232 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/06/15(日) 18 13 42 ID bxuyQO3U 投下します。 前回( 71)ああ言い残しましたが、予想外に長くなったので、予定を変更してお送りします。 233 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/06/15(日) 18 15 15 ID bxuyQO3U *** 『二月十六日 曇りのち雨 降水確率八十パーセント アタシと彼の同棲生活一日目。 彼ったら、新しい家で暮らすのが嫌だって言うの。 今まで住んでいた家の方がいいんだって。 そんなこと言ってえ。本当はアタシがお願いしたらノーとは言えないくせに。 彼はとっても疲れているみたいだったから、早速ベッドに寝かせてあげた。 そうしたら、口ではなんだかんだ言いつつ、ベッドの上で大人しくなった。 彼はずるい。そんな無防備な状態を見せるなんて、アタシを惑わすつもりかしら。 据え膳食わぬは女の恥。 当然体の隅から隅まで、じっくりねっとり味わわせてもらいましたとも。 具体的に言えば、シちゃいました。合体、連結、ドッキング、フュージョン、みたいな。 いやあ、はしたなくも学校でシたのも加えれば、一日に十回以上として、とっくに三十回は越しちゃった。 少ないと自分でも思う。 彼は性欲漲るぎらぎらした十代の高校生だから、もっと多くたっていいはず。 でも、十四日は初めて一緒になれた感動で泣いちゃったからあまりできなかったし。 十五日は授業に出て、さらにお義兄さんと談笑してたから時間がとれなかった。 今日だって、彼を家まで連れて行くのに手間取ってしまって、家にたどり着いたのは正午をちょっとすぎたぐらい。 ごめんね。アタシの友達、時間にルーズだから。 まあ、車を出してくれるだけありがたいんだけど。 明日は彼を連れて、また友達の車で移動。 もうすぐ、彼の育ったこの町から離れられる。邪魔者は足跡を辿れなくなる。 アタシの夢は、もうすぐ叶う。 これからの一生、好きな人と二人っきりで暮らしていける。 それを、誰にも邪魔なんかさせない。 特に、あの金髪の悪魔には。 』 「今日の分は、これでよし」 日記帳を閉じて、留め金具をはめ、誰にも見られないよう南京錠で鍵をかける。 自分一人が読むだけの、同年代の女の子たちがよくやる日記。 鍵がついてるから見た目は無骨だけど。 これでも小中と学校に通ってきたから、宿題として日記を書いたことはもちろんある。 けど高校生になってからは――――というか、あの事件の後からは、自分だけのために書いたことは一度もない。 書くことがなかったわけじゃない。めんどくさかったわけでもない。 彼を好きになってからは、書きたいこと、不満に思ったこと、嬉しかったことがいっぱいあった。 ただ、それを書けなかった。 自分のことを書こうとするたびに、あの男に犯された記憶が蘇って、気持ち悪くなってしまう。 今、日記を書けているのは、彼の愛のおかげ。 彼に抱かれてから、あの男の記憶が薄れた。 きっと、彼が記憶を上書きしてくれたんだ。 そうじゃなきゃ、こんなに体が軽くて、幸せな気持ちになんかなれないもの。 なんだか若返ったみたい。 いやいや、実年齢だって十分若いけど、そういう面のことじゃなくて、精神的に。 自分が世界で一番幸せとか、自分が世界の中心にいる、みたいに思えるようになった。 そういうこと考えてたのは、小学から中学入りたての時期だった。 それが、高校生になった今頃そう思えるようになったのは、やっぱり。 「彼が、アタシの、アタシだけのものに………………」 あー、もうダメ。 叫ばずにはいられないって。歓喜しないわけないって。机だってバンバン叩いちゃう。 アタシ、彼のお嫁さんになったんだ。彼には、アタシだけしか頼れる人居ないもんね。 本当は彼からプロポーズされたかったけど、状況が状況だから仕方ない。 アタシに告白されて、過程はどうあれ彼はアタシを抱いてくれたんだから、オーケーの返事をもらったようなもの。 それに、たっぷり中に注いでもらったから、子供だってできちゃうかもね。 234 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/06/15(日) 18 16 23 ID bxuyQO3U 「…………そう、だったらいいな」 でも、望みは薄い。 あの男に犯されて、一回だけ堕ろしたことがあるから。 考えないようにしてたけど、やっぱり子供をつくれないかも、っていう不安は堪える。 彼に申し訳ない。そりゃ、簡単に妊娠なんてしないものだけど、いつまでも身ごもれないのはアタシが悪いんだと思われそう。 こんな体になった原因はアタシにはないけど、その原因を彼に話していない以上、アタシの責任に思われてしまっても仕方ない。 でも、これから打ち明ける気にはなれない。 彼に嫌われたくないし、それに――――過去は過去だから。 アタシが努めるべきことは、彼の心の奥の奥まで、彼の体の隅から隅まで、アタシの色に染めること。 真心の籠もった『愛してる』を言わせること。 絶対に、言わせてみせる。 アタシは、彼と一緒に幸せになりたいんだ。 「う……ぁ……」 あ、彼が起きたみたい。 「ううう…………い、やだ……こんなの」 なんだかうなされている。 四肢をベッドに縛り付けているのが原因かな。 でも、この方が色々都合がいいから、許して欲しい。 あなたの身の安全を守るためには、アタシの目が届く位置に居てもらう必要がある。 外に出たら、怖い怖い金髪のホルスタインや、畜生みたいに血の繋がりをあっさり無視する妹さんと遭遇しちゃう。 それに、それに…………アタシ、縛られてるあなたが好きなの! 動けないあなたを犯してるのに、実はあなたに体を貫かれて犯されている、っていうのがいい。 あなたの方からアタシを求めてくれれば、こうする必要なんかないんだけど、ね? 「こんな、つもりじゃ…………なかったのに、ごめ……ん」 それにしても、どんな夢を見ているのかな? なんで謝ってるの? その言い方は何かやらかした人間のものでしょう。 「僕は、僕が…………本当に、好き……のは…………」 あら。あらあら? 寝言で告白するつもり? 理想とはほど遠いシチュエーションだけど、好きだと言ってくれるならば甘んじて受け入れましょう。 ふふふ――――さあ、打ち明けなさい。ドーンと! 「は、なび…………だから、ごめん」 ……あのー、花火をドーンと打ち上げてほしいわけじゃないよ。 違うでしょ。あなたが言わなきゃいけないのは、あたしの名前。 忘れちゃった? なら思い出させてあげる。 「僕は、澄子ちゃんが好きだ。澄子ちゃんが最高に好きだ。澄子ちゃんが欲しい。アイウォント澄子。 澄子ちゃんを抱きたい。澄子ちゃんのためなら死ねる。愛してる、澄子!」 さあ、つられて言ってしまいなさい。 アタシのことが好きだと! 「助けて、花火、にいさん…………」 忌々しい金髪女の次は、先輩? 先輩は助けになんか来てくれないよ。 今頃は誰かに発見されているだろうけど、アタシの跡を追うことは不可能。 先輩はアタシの家がどこにあるのか知らない。行き先なんかもちろん教えていない。 理想郷? そんなもの、どこにもない。どんな場所にでも人が住んでいる限り悪意は潜んでる。 でも、たった二人きりの場所だったら、その限りじゃない。 彼さえいれば、アタシにとってはどこだってユートピアになる。 そう思っているのに、あなたはアタシ以外の女にしか興味を抱かない。 告白しても、アタシの気持ちを疑って、気のある素振りを見せない。 たとえ夢の中でも、アタシの割り込む隙間を作らない。 徹底的に、拒み続ける。 そんなことされたら、いつまでもあなたを好きなままのアタシは、強引な手段をとるしかないじゃない。 235 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/06/15(日) 18 17 52 ID bxuyQO3U 彼の頭の左右に手をついて、上から覆い被さる。 まだ彼は気付かない。眉根を寄せて眉間にしわを寄せている。 なんだかなあ。この体勢の時にそんな顔をされたら、アタシにのしかかられるのを嫌がってるみたいで、気分が悪い。 「悪い子には、おしおき……」 右手で彼の顔を正面に。何度見ても可愛い寝顔。 見るだけで、うずうずして抑えが効かなくなる。 頬が熱くなって、眠りの魔法をかけられたみたいに目がトロンとして、夢中になってしまう。 目を逸らせない。 でも、今は逸らさなくてもいい。以前とは違うんだから。 同じクラスで、遠目にあなたを見ている時は、あなたと目があったらすぐに目を逸らしてた。 片思いをしているに過ぎないアタシには、そうするのが精一杯。 それが今じゃ、あなたの命を握るまでの立場になっている。 生殺与奪――――生かすも殺すもアタシ次第。 たまらない。ゾクゾクする。こんな幸福感、普通じゃ絶対に味わえない。 手を繋いでデートしたり、ムード満点の場所で愛を囁かれることに、憧れなかったわけじゃ、ないけど。 それ以上に、あなたを独占できる今の状況は最高。 やっぱり、アタシはどこかがおかしい。世間からズレている。 いつからおかしくなっていたか。 あの男に乱暴された時から、じゃない。 あなたに出会った瞬間から、でもない。 きっと、あなたを好きになった時からだ。 そして、それからあなたの身は危険にさらされていた。 「自分で言うのもなんだけど…………きっと、アタシに出会ったことがあなたの不幸だったのよ」 彼が目を開けて、アタシを見る。 アタシは、彼の目の色が変わる前に、アタシへの拒絶を浮かべる前に、目を閉じて彼の唇を奪った。 「む……っあ、やめ…………」 顔を逸らそうとしても無駄無駄。 どのみち、アタシからは絶対に逃げられないよ。 「ん、ふ……ぁ……ん…………あっ……ん、ふふふ」 舌を絡め、彼の体に抱きついて、股間を撫でる。 縦に動かしたり、こねたり、握ったりしていると、だんだん固くなってきた。 それはアタシの行動を許可してくれた証拠。体は嘘をつかない。 彼は徐々に、しかし確実に、アタシの唇や匂いに反応しはじめている。 知覚した時には、快楽を味わえる、と。 いわゆる条件反射だ。 そういうのも悪くない。 数を数えれば、彼がどれくらいアタシの色の染まっているかの度合いが分かる。 うふふ、ふふふ。 あははは、は。……ははははは! すぐに、アタシに、アタシの与える快楽の奴隷に、してあげる。 葵紋花火のことなんか、数日の間に忘れさせてあげる。 夢にも見られないようにしてあげる。 あなたは一人しかいないから。 あなた以外に、あなたみたいな人はいないから。 何もせずに、他の女のモノになってしまうのを見ているなんて、絶対にできない。 このチャンスは逃さない。 あなたは二度と放さない。死ぬまで、いいえ、死んでも放さない。 アタシが死ぬ時が、あなたが死ぬ時。あなたが死ぬなら、アタシも死ぬ。 あなたは同じ事を思ってくれないだろうけど。 一方通行な、一蓮托生の誓い。 そう思いこむぐらい、あなたが好き。 十分の一でもいいから、あなたに伝わって欲しい。 そうしたらきっと――――アタシのことを好きになる。 236 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/06/15(日) 18 18 47 ID bxuyQO3U 「お願いだから、アタシのことを好きになって…………ね?」 そう言っても、彼は首を振るばかり。 「ごめん」 「どうして、謝るの」 「何度も言ってるように、僕が好きなのは、花火だから。 澄子ちゃんを選んで、花火から離れるなんてこと、僕にはできない。 好きになってくれたのは嬉しいけど、応えられない。だから、ごめん」 言うねー。 とっても傷つくよ、今の言葉。 でも、でもね。 「謝られても、アタシは諦めない。あなたの心が、折れるまで。 また、気絶するまで気持ちよくさせてあげる」 「やめて、くれ」 「やー、よ」 彼は下半身を唯一包んでいる下着をずらす。 明らかに他の箇所とは違う熱を宿らせた陰茎が、存在を主張する。 それを、可愛がるように手で包む。 彼の顔は、それだけで何かをこらえるように固くなり、そっぽを向いた。 「我慢なんか、しなくていいのに」 「違う……澄子ちゃんにこんなことされたくないって、思ってるんだ」 「正直になりなよ。 あなたが耐えるなら、心が折れるまでアタシは続ける。 最初からさあ、受け入れた方が楽だと思わない? もう二度と、アタシから逃げることなんかできないんだし」 「そんなこと、わからない」 「無駄よ。変な希望を抱くだけ、叶わなかったときのショックが大きくなる。 お別れしましょう。今までの環境から。 両親のこと、お兄さんのこと、妹さんのこと、幼なじみのこと。 そんなもの、重荷になるだけよ」 「そんなこと! そんなの……駄目だ。僕には、花火や兄さんが必要なんだ」 「へえ、そう」 指を動かして、彼の陰茎の裏スジに這わす。 柔らかな部分をひとさし指の腹で責める、というか弄る。 続けていると、時々びくびく動いて、硬さも増してきた。 「う……っあ」 「じゃあ、耐えてみたら? 縄の腐りかけた橋を渡ってるときみたいに、いつかは落ちちゃうってびくびくしながら、アタシの責めに耐え続ければいい。 勝てるはずのない戦いだけど――自分の信念を貫いたなら、屈服しても納得できるよ、きっと。 僕は昔花火のことが好きだった、でも今は好きじゃない、とか言うようになる」 「……ない。絶対に、僕は負けたりなんかしない。 曲げられるものと、曲げられないものがあるんだ」 「かっこいいね。ますます、惚れちゃいそう。 これ以上好きにさせてもらっちゃ、本当にもう、困っちゃうよ」 いつか折れちゃうものを、健気にも守っている彼は、アタシの想像通りの人間。 そして、折れるまでじわじわ追い詰めるのが好きなアタシは、かなりサディスティックだ。 237 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/06/15(日) 18 19 33 ID bxuyQO3U 「覚えてる? 昨日の夜、あなたがなんて言ってたか。 気持ちいいって。アタシの体が欲しくて、仕方なくて、動きが止まらないって言ったのよ。 アタシがやめてって言っても、ずっとやめなかったんだよ」 「そんなの、嘘だ」 「嘘じゃ、ありませんよ?」 ふふん、都合の良いアタシの想像に決まってるじゃない。つまり嘘よ。 まあでも、こう言ったら彼の動揺を誘えるから、悪い手じゃない。 それに、まるっきり嘘でもない。 一昨日に比べて、明らかにアタシの体に慣れて、応えるようになってる。 そういうの、受け入れる側の女からすればわかるんだよ。 「あなたはアタシに傾きかけてる。そして、諦め始めてる。 それでいいの。怖いこととか、不安になることとか、これからは一度も起こらないよ」 「嫌だ。僕は……忘れたくなんか、ないんだ!」 「忘れましょう? あなたは一番幸せになれる道を選んだだけ。 誰もあなたを責めないわ。みんな、笑って許してくれる」 優しく包み込み、彼の後ろめたい気持ちを和らげる。 彼は心配してるだけ。 葵紋花火や、お兄さんに怒られるのを。 「アタシと二人で辛いことを分け合えばいい。 大事な人でも、物でも、目的でも、誓いでも、支えになる何かがあるから、人は強くなれる。 そういうの、アタシは素敵なことだと思う。 たとえ世界中の皆があなたを責めても、アタシだけは味方。 どんなになっても、見捨てたりなんかしないよ。 あなたの全てに、アタシは惚れたんだから」 彼は首を振る。 「僕が望むのは……君との未来じゃないんだ。 花火が居ないと、僕は、僕は………………」 はあ。 こりゃ、まだまだ意志は折れそうにないね。 一昨日の夜から、彼との会話はずっと平行線で、交わることがない。 でも時間はたっぷりあるわけだし。 ゆっくりと、気持ちを変えさせてあげましょう――――いただきます。愛しいあなた。 238 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/06/15(日) 18 20 26 ID bxuyQO3U 「うぅん、そこ、イイ……気持ちいいよぅ………………う、ん?」 閉じていた目を開けたら、いきなり快楽から解放された。 というか、単に夢から目が覚めただけか。 …………ちえ。すっごいもったいないことした気分。 寝る前にもいっぱい中に精液を出してもらったけど、そんなものじゃ足りない。 夢でも妄想でもいいから、もっと彼のことを考えていたいのに。 目の前には彼の横顔。彼もアタシとシている最中に眠ってしまったみたいだ。 今すぐ夢の続きをしてやろうかと考えたけど……安眠を妨げるのも気が引けるし、体力が回復しなかったら困る。 体を起こして、両腕を伸ばして伸びをする。 あくびをすると頭に血が巡り、眠気のもやを追い払った。 「…………ふう、今は夕方、かな?」 窓の外を見る。空に浮かぶ雲は灰色で、夕日まで沈んでいる。 時計の短針は六を指しているから、今日はまだ十六日だ。 一日眠りこけていれば十七日だけど、たぶんそれはないだろう。 携帯電話の画面に映る日付は二月十六日だ。 それに、メールも届いてないし、電話も掛かってきてない。 十七日になったら友達から連絡が来るはずだ。……忘れていない限りは。 「不安になってきたわね…………」 もし向こうが忘れてたら、ここから移動するのが遅れちゃう。 ここに留まっていたら、先輩や葵紋花火、その他のイレギュラーに発見される危険が高まる。 そもそも、アタシの頼んだ通り、明日の朝の五時に迎えに来るかが怪しい。 あの子、朝に弱そうだし。 「……連絡して、確認しよ」 彼を起こさないよう、 ベッドからゆっくりと下りる。 安らかに眠る彼。今はうなされた顔をしていない。 眠りを妨げないよう、額と右頬、最後に左頬にキスをして、部屋を後にした。 239 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/06/15(日) 18 22 21 ID bxuyQO3U 「お断りだ」 なぜか知らないけど、初っ端からお断りされた。友達に。 電話をかけ、相手から開口一番にそう言われては、こっちとしても言葉を選ばなければならない。 どうして友達との電話で気兼ねしなきゃならないんだろう。 「あの、まだ何も言ってないんだけど」 「言葉を交わさずとも、伝わるものがある」 「テレパシー?」 「いいや、お前をよく知る人間としての勘だ」 伝わってないじゃん。頼み事する気なんかなかったのに。 それにいきなり断られるってどうなの? 友達って、そういうものかな? 「で、何の用だったんだ、澄子」 「ああ、あのさ、明日何時に迎えに来ればいいか、覚えてる?」 「もちろん。五時だろう」 ……まあ、さすがに覚えてるよね。 「あと、約一日もあるわけだから、昼寝しても大丈夫だな」 「わかってない! 覚えてないよ! 夕方の五時じゃなく、朝の五時!」 「なに! よりによって日曜の朝に早起きして、しかもヒーロータイムを見逃せと!?」 「約束したじゃん! この間一本三万円するタイヤおごる代わりに協力してくれるって! しかも四本だよ!? 高校生に十二万円も払わせといて契約破棄するつもり?」 「そん、な……そうと分かっていれば、断ったものを。ああ、私のライドピンクの活躍が……」 「しかも断るんだ……時間ずらすよう頼むとか、しないんだ……」 彼もそうだけど、高校生以上の年齢層が夢中になれるほど面白いものなのかな。 アタシなんか小学生の頃でも戦隊ものに興味なかったのに。 「録画しておけば後で見られるじゃない」 「わかってない! リアルタイムで見る興奮をお前はわかっていない! いいか、録画じゃ、興奮が三割減少するんだ!」 「いや、そんなことを主張されても」 「早起きしてテレビの前に座り、CMが明けるまでの待ち遠しさ。 前回のラストシーンから始まり、続けて流れるオープニングテーマを聞いたときの、童心に帰る心地。 番組関連の玩具やソーセージのCMを挟んで見る、流れるような本編の展開。 次回予告を見る時の、もの悲しさと期待。来週もまた元気に生きようって、そう、思えるのに……」 うわあ……結構深刻そう。 そっか。この子にとって、きっとヒーロータイムは、アタシにとっての彼みたいな存在なんだ。 しょうがないなあ、もう。 「わかったわよ。何時からだっけ? 八時?」 「……七時、三十分」 「その時間になったら、途中のサービスエリアに寄って見ていいから」 「…………本当に?」 「本当、本気、真剣、マジ、嘘じゃない。だから落ち込まないの。事故ってもらっちゃ困るし」 「澄子」 「なによ?」 「愛してる」 「あっそう。アタシはあんたじゃなくて、他の男が好きなの。ごめん」 「なるほど、ツンデレか」 「アタシはツンデレじゃないんだけどね……」 あえて言うなら、彼に対してのみデレデレって感じ。 それに、どのへんがツンだってのよ。デレてもいないし。 240 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/06/15(日) 18 24 10 ID bxuyQO3U 「で、電話をかけてきたのは確認のためだけか?」 「え? えーっと、ね」 初めはそのつもりだったけど、今はなんだかお腹が減ってる。 「迎えに来てくれない? 今から」 「お断りだ」 「振り出しに戻らないでよ……」 またさっきの会話をリフレインさせる気はない。 向こうには、試しに会話を振ったらノってきそうな気配がある。 「どーーしても、迎えに来る気はないわけ?」 「最初から約束していたならともかく、澄子の腹の虫の面倒まで見る気はない。 歩いていけばいいだろう。コンビニが近くにあったはずだぞ」 「その距離を歩いているうちに襲われる可能性もあると、思わない?」 「それなら、また去年の文化祭の時みたく、忍者の格好でもして行けばいい」 「……ヤなこと思い出させるわね、こんな時に」 「なんの話だ?」 「いいえ、なんでも」 この子、去年の文化祭でアタシのコスプレ見てるのよね。 その日の晩に衣装ボロボロ、体をボコボコにされたことまでは知らないでしょうけど。 今回先輩を拉致監禁したのはアタシだけど、先輩がばらさない限り葉月さんが襲ってくることはないはず。 先輩の性格からして、アタシをかばって口を割らないのは予想がつく。 ああいう人って優しいから、利用しやすい。 「……ま、いいわ。自転車で行ってくるわよ」 「ああ、気をつけて行ってくるんだぞ」 「そう思うなら迎えに来なさいよ」 この子は、いちいち心にもないことを。 「気をつけて帰ってくるんだぞ。家に帰ってくるまでがお遣いだ」 「あんたは、いちいち心にもないことを!」 叫び、電話を切る。 「あ、やば」 今ので彼、起きちゃったかな? 部屋のドアを開けて見る。……よかった、まだ寝てる。 「ごめんね。ちょっとだけ一人にしちゃうけど、すぐに帰ってくるから。 寂しがらないでね? 帰ったら晩ご飯、食べさせてあげるから」 もちろん、全部あーん、で。 それとも、口移しがいいかなあ? うーん……よし決めた! 出血大サービス。両方やろう。 澄子ちゃんの愛、文字通りお腹いっぱいに味わっていただきましょう。 「うっふふふ。くっちうっつし。くっちうっつし」 足取りも軽く玄関へ。 新婚の旦那さんって、こんな気持ちなのかもなあ。アタシの場合は奥さんだけど。 二月の夜の肌寒さもなんのその。平気、へっちゃらです。 「じゃ、行ってきまーす!」 元気よく言い残し、鍵を掛けて家を出た。 241 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/15(日) 18 27 36 ID bxuyQO3U 今回はここで終了です。 いろいろと、ごめんなさい。 次回で死闘編は終わります。 242 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/15(日) 18 48 31 ID dgQtzPSU 乙。 もう何も言わない。 243 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/15(日) 18 50 25 ID hyoyIzed 一番槍GJ! 新キャラを交えてストーリーがどんな結末を迎えるのか! wktkwktkしながら続きを待ちます! 244 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/15(日) 18 51 49 ID n5lHQZS7 乙 来週がただただ待ち遠しいです。 245 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/15(日) 18 53 06 ID hyoyIzed 一番槍じゃのうたorz うぅ、悔しいのう、恥ずかしいのう 246 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/15(日) 19 00 19 ID NdWtfWKX 弟―――――ッ!! 夢オチかと思ったけど違ったか… サービスエリアってことは高速だし2時間は走るからどこまで行くんだコレ。 兄貴は出てこないしどう転がるか全く想像がつかない。 そして死闘編は何をもって完結なんだ… とにかく週刊傍観者、GJでした。来週も楽しみにしております。 247 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/15(日) 19 10 54 ID IxSAScLV お兄ちゃんがどうなったのか気になる。 ともかくGJ!! 248 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/15(日) 19 23 45 ID D33g6xvz GJ!弟より兄貴のほうが心配だwww これって俺だけ? 249 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/15(日) 19 27 13 ID jaictH/u 澄子ちゃん、夜道には気をつけろよ。(花火的な意味で) 250 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/06/15(日) 19 39 26 ID AUk4Kyj4 正直、弟なんかより兄貴が気になるな。
https://w.atwiki.jp/i_am_a_yandere/pages/1085.html
601 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/31(月) 19 44 32 ID mHzd0mal なんつーかこれ俺の急所にあたってたまらないんだがwww GJ 602 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/31(月) 20 26 27 ID UM8F8DbA 投下乙であります。 怖ええええええええええええ!! 先輩といい綾緒といいなんかもう病みが深くなりすぎて良い意味で怖くて怖くてたまらないんですが。 朝歌派としては果たして朝歌が傍観者で終えるのか、最後の最後に牙を剥くのかが楽しみです。 603 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/31(月) 20 31 01 ID OWcQZZ6f ただただ私はいう。 素晴らしいと。 604 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/31(月) 20 39 37 ID 7WOvt1eO >>598 God Job! >>601 おティンティンにクリティカルヒットするんですね、わかります 605 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/31(月) 21 15 03 ID OhdLDIr1 GJ! 俺も朝歌派だからなぁ… 続きwktk 606 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/31(月) 22 10 24 ID eFia5zsl 綾緒派だけど今回で初めて朝歌に萌えた。 >「私を叩くのは構いません。ですが、兄に手を上げるなら話は別です」 この台詞とかすごく(・∀・)イイ!! 607 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/31(月) 23 02 48 ID RugEicNh GJ! だけど朝歌派としてはこの先の展開が不安過ぎる キモウトスレの朝歌とはパラレルワールドの可能性もあるけど 608 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/31(月) 23 08 55 ID /A1foQ6v 598 相も変わらず野GJでした。 続きものんびりと待ってます。 保管庫の中の人の仕事ぶりには本当に脱帽。もうほトトギすが 掲載されているし。いつも本当に乙です。 これからもどうぞよろしくです。 609 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/01(火) 03 27 03 ID S2sX103B ようやく、ようやく一ツ橋の病みが見れた 彼女には聖域でいてほしかった気もするけど、やっぱ嬉しい 610 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/01(火) 04 46 31 ID 2IkzQAS0 朝歌が良すぎるんだが…なんつーかここまで気に入るとは思わなんだ。 なんか呼び方もお兄ちゃん固定になってるしだんだん病んできたのかとwktkしてます。 611 名前: ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/04/01(火) 13 45 28 ID ovaSZsBM 結構間が空いてしまいましたが、これから投下します ヤンデレになるのはいつの日になることやらか…… 612 名前:ぽけもん 黒 鳥と草むら ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/04/01(火) 13 46 56 ID ovaSZsBM 僕達は他愛の無い話をしながら歩き――話の内容は本当にただの世間話だったが、彼女の口調は強いものの、ちゃんと会話が成立した。 つまり話もしたくないほど僕を嫌っているというわけじゃないようだということが確認でき、少し安心した――、町のはずれの草むらの前に着いた。 人間の子供は皆、危険だから町からは絶対に出ちゃダメ! もし草むらに入ったりしたらこわーいポケモンにさらわれちゃうわよ! と親から耳にたこができるほど言われたものだ。無論、僕も例外ではなかった。 ポケモンも子供は同様だろう。田舎町だからあまり危険なポケモンはいないとはいえ、もしいきなり複数の大きなポケモンに襲われたら逃げることもままならないだろう。 少し不安になって、香草さんに話しかける。 「えーっと、これから草むらに入るわけだけど、大丈夫だよね?」 「私を誰だと思ってるの? エリートなのよ? その辺の雑魚なんか相手にもならないんだから」 彼女は胸を張り、自信満々に答えた。 エリートとは。確かに彼女は御三家と呼ばれることもあるあのメガニウム系の純系のように見える。もしかしたら、それなりに良家のお嬢様だったりするのだろうか。 「それは頼もしいね」 「当たり前でしょ! 弱い人間なんかと訳が違うんだから!」 むむ、中々に聞き捨てなら無い発言が。やはり彼女は差別主義者なのだろうか。先ほど覚えた僅かな安心がすぐに不安に覆い隠される。 彼女はそういうと、僕の不安をよそに足早に草むらに分け入った。僕も慌てて彼女の後を追った。 しばらくはただの虫かねずみくらいしかいなかった。あれだけ危険と言われていた草むらなのに、町の中の草むらと変わらぬあまりの平穏さに拍子抜けしてしまった。 しかし、油断したのがまずかった。僕は何かの羽音を聞いたかと思うと、次の瞬間には地面にねじ伏せられていた。 「うわぁ!」 「何!? 鳥ポケモンじゃない!」 「当面の食べ物ゲットですー」 聞こえてきたのは香草さんの慌てた声と、間延びした可愛らしい女の子の声。 背中にしっかりと感じる重さと香草さんの言葉の意味。 つまり僕は、鳥ポケモンに背後から飛び掛られたのだろう。 いや、そんな冷静に分析してる場合じゃないぞ! あまりに暢気な口調だからついつい油断してしまうが、よく考えれば食べ物ゲットとか不穏な台詞が聞こえたぞ! もしかしてこのままさらわれてそのまま……うわあああああ!! まずい、それはまずいぞ! 「た、助けてー!」 僕は必死に手足をバタバタと動かし暴れる。しかしびくともしない。 「落ち着きなさい! 『蔓の鞭!』」 香草さんの大声の後、何かが空気を裂く音が聞こえ、僕の背中が軽くなった。 急いで飛び起きると、香草さん手首の辺りから指くらいの太さの濃緑の蔓が飛び出していた。 後ろを向けば深い茶髪と鋭い黒い目をした、全身が卵色の羽毛に包まれている、腕が翼になっている少女がいた。 鉤爪になっている赤褐色の右足と左の翼を蔓で絡めとられている。 そして……なんと言ったらいいのか……服を着ていない。 これは……ピジョット系の子供かな? 翼の表地が見えればそうだと断定できるんだけども。 「『風起こし』ですー!」 と、ぼんやりしていたら、彼女は激しく羽ばたき始め、瞬間突風が巻き起こった。 「うわあああ!」 「きゃああああああああ!」 僕は再び地面に這い蹲り、香草さんは蔓が千切られた上に数メートル飛ばされた。 子供とはいえ鳥ポケモン。草タイプでは相性が悪い。 ならばやはり、僕のやるべきことは一つだろう。 僕は立ち上がると、リュックを下ろし、そして走って彼女に飛び掛った。 「きゃあ! な、なにするですー!」 彼女は油断していたのか、あっさりと僕に押し倒された。そして当然慌てて僕をどかそうと暴れる。 翼で叩かれる背中が痛い。こんなにあっさりいくんだったらリュック下ろさなかったらよかったな。しかし頭一つ分も小さい彼女では僕をどかすことは出来ない。 「あのさ! 僕とパートナー契約しない!」 僕はバサバサという騒音に負けないように、声を張り上げて言った。 それを聞いた彼女の攻撃の手が少し弱まった。 613 名前:ぽけもん 黒 鳥と草むら ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/04/01(火) 13 47 23 ID ovaSZsBM 「ぱぁとなぁけいやく? それ食べれるですぅ?」 彼女はキョトンとして僕を見つめる。正直、かなりこれはやばい。主に僕の理性的な問題で。 「食べれないけど、食べ物は保障するよ!」 「本当です? ならするですー!」 そう言って、彼女は拍子抜けするくらいあっさりと攻撃の手を止めた。満面の笑みとともに。 「ありがとう! これからよろしくね!」 僕は彼女の上からどけ――少し彼女の感触が名残惜しかったが――、彼女の翼をとって起こした。 さて、これからが問題だ。 後ろを向けば、ちょうど香草さんが上体を起こしたところだった。 ああ、赤い双眸が彼女の憤怒の表情によく栄える。 「は、話聞こえてたよね? そういうことだからさ、お、落ち着いて」 「黙りなさい」 音量は小さいが、その声はどんな怒声にも劣らぬ迫力を持っている。 予想よりも遥かにまずい事態だ。 「落ち着こう! とりあえず落ち着い」 「黙れ!」 それ自体で空気を裂けるような、鋭く尖った大音声が発せられた。 僕と彼女のビクンッと体を竦ませる。 「たかが……たかが小鳥の……それも低脳な野生のポケモンの分際で……よくもこの私に傷を負わせてくれたわね……! 殺す……殺してやる!」 彼女は立ち上がると共に、両の手首から十本近い数の蔦を出した。 あの鳥ポケモンは僕を殺して食べようとしていたみたいだから正当防衛が成立しなくもないだろうけど、今の香草さんに、そこまでの理性的思考が出来ているとは思えない。 「話を聞いてよ!」 ああダメだ、彼女は完全に聞く耳を持っていない。 しょうがない、こんなことに使うことになるなんて思ってもなかったが……。 「ええと、僕はゴールド。君、名前は?」 僕は背後の彼女に呼びかける。 「はい! ポポというです!」 「ポポさん、少しの間だけ、なんとかあいつから逃げてくれ」 僕はそう彼女――ポポに指示すると、自身はバッグに向けて走りだした。 僕のバッグに入っている奥の手を使うために。 ポケモン商品で業界最大手であるシルフスコープ社製の眠り粉。 あたれば九割以上の確率で相手を眠りに落とす。僕が野生のポケモンから逃げるために用意した最後の手段だ。それをまさかこんな形で使うことになろうとは。 僕が走り出した後、すぐにバサバサという羽音が聞こえた。 ナイス判断だ、ポポ。 あの数の蔦では地面を走るという2Dの動きではすぐに捕らえられてしまうだろうが、空を飛ぶという3Dの動きでは捕まえるのは容易ではないはずだ。 その様子を確認しようと顔を上げる。 その瞬間、僕の脳に衝撃が走った。 速い! 香草さんの蔦はそれぞれが意思を持っているかのようにそれぞれが独立して無軌道に動き回っていて、しかもその速度は風圧だけで草が薙げるほどのものだ。 一方のポポも、複雑な軌道を描いて飛び回っていて、あたりそうで中々あたらない、という絶妙な距離をとっていた。どうしても避けられないものは翼で起こした風で切り裂いている。 二人のレベルの高さに驚かされる。 こういっては何だが、普通に町で暮らしているポケモンとは格が違う。 と、彼女らのバトルに見とれている場合ではない。 今僕は観客ではなく選手なのだから。 僕は大回りに彼女の後ろまで回りこむと、そのままそろそろと彼女に近づいていく。 幸いにも彼女は自らの蔦を捌くので精一杯で、周囲に対しては気が回っていないようだ。 「えいっ!」 僕は一気に彼女に接近すると、彼女の頭上で眠り粉をぶちまけた。 振り向いた彼女と視線が合った、と思った次の瞬間には、僕は地面に横たわっていた。 同時に、全身を強い痛みが襲う。 痛みに耐え、なんとか目を開くと、数メートル先に僕を見下ろしている香草さんがいた。 振り向きざまに何かされたのだろうけど、何をされたかすら分からない。 彼女は一歩、また一歩と僕の方に歩いてくる。 614 名前:ぽけもん 黒 鳥と草むら ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/04/01(火) 13 48 16 ID ovaSZsBM 背筋に寒いものが走った。全身の痛みは引いてきていたが、腹部の痛みだけは引くどころかいっそう強く主張してくる。そのせいで、体が強張って立つことすらままならない。逃げることなんて出来るはずもない。 彼女は僕の足元まで来ると歩みを止めて、何かを言おうとしているのか、口を開いた。 が、口は言葉を紡ぐことなく、そのまま彼女は僕の上にダイブした。 「……………………!」 僕の腹部に彼女の腕が勢いよくめり込み、僕は言葉にならない悲鳴を上げた。そして、そのまま意識を飛ばされた。 ―――――――――――――――――――――― 目を開けると、僅かな光が感じ取れるのみだった。 日暮れか明け方か。いずれにせよ、太陽の姿は見えなかった。 暫し待つと、脳と視界にかかってた靄は晴れてきた。 現状を確認しようと上体を起こそうとして気づいた。 僕の上には、まだ香草さんが乗ったままだった。 よく考えてみれば、眠り粉は二十回分以上あったはずだもんなあ。それを一度に、それももろに受けて、なおかつ強い刺激が与えられなければしばらく意識を覚ましていなくても不思議はない。 それでも、まだ香草さんが寝てるってことはその日の内ってことだろう。 つまり、今は日暮れの時間であり、僕は数時間ほど気絶していたみたいだ。 「香草さん、起きて」 香草さんの肩を揺する。 程なくして彼女は意識を取り戻した。 無言でコシコシと目をこすると、再び僕の上に倒れこんだ。 「……暗い」 先ほどまで辺りを僅かに照らしていた残光はもうなく、光源といえば星明りくらいしかなくなっている。つまり、彼女にとってしてみれば、もう休眠の時間なのだろう。 しかしそれでは僕が困る。 というわけで、僕は彼女を僕の上から下ろすと、目を凝らしてなんとかリュックを見つけ、そして中から野営用の道具を取り出した。 固形燃料に火をつけ、辺りにあった枯れ草や枯れ木を集めて火を起こす。野生のポケモンや害虫に対する対策と、料理のためだ。火の上に水筒の水を移したなべをくべた。 「ゴールド、目を覚ましたです?」 何を食べようかとリュックの中をあさっていると、上からバサバサという羽音と共にポポが降りてきた。 「ポポ! 一体どこ行ってたんだ?」 僕が目を覚まして以来姿が見えなかったから、あの騒ぎで怯えて逃げてしまったかと思っていた。 「ポポ、空から二人見てたですー。そしたら暗くなって降りられなくなったですー」 そうか、野生のポケモンに襲われることの無いように見張ってくれてたのか。でも日が暮れてしまうと鳥目だから、何も見えなくなってしまって途方にくれてた、って時に僕が焚き火をして、それを目印に降りてきたって訳か。おかしくて僕はクスクスと笑ってしまった。 「そうなんだ、ありがとう。ところでお腹減ってるよね、何食べる? 人間の肉はさすがに無いけどさ」 「人間? ポポは人間なんか食べたりしないです! パンなら食べるです!」 ポポは翼をパタパタさせて抗議する。 「でも、僕に飛び掛って『食べ物ゲット』とか言ってなかった?」 僕はパンの缶詰を開封して、彼女に手渡しながら問う。 「それは、大きなリュック背負ってる人間はみんな食べ物持ってるからですー」 ああ! そういうことか! 彼女の狙いば僕じゃなくて僕の持ってるリュックだったのか! はあ、そりゃそうだよな。そもそもポポは人を裂けるほど鋭い鉤爪を持っているわけでもないし、人を食いちぎれるほど立派な牙を持っているわけでもない。よく考えれば人間を食うために襲うわけがない。 急に気が抜けてしまった。いや、ちょっと前までは気どころか意識さえ抜けていた訳だけれども。 「なぁに? 騒がしいわね……」 香草さんがこの騒ぎで起きたみたいだ。ちょうどいい、説明してしまおう。 「いやあ、実はかくかく」 「しかじかというわけなんですー」 「……なにそれ。どうしてそんなこと」 今の彼女はそもそもが感情の起伏に乏しく、僕達の話を聞いて何を思ったかがまったく分からない。昼間の元気すぎるのも困り者だが、こういうときはあまりに元気がなさ過ぎるのも困り者だ。 615 名前:ぽけもん 黒 鳥と草むら ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/04/01(火) 13 49 36 ID ovaSZsBM 「説明したとおりさ。ポポにはなんの問題もないわけだし。あ、香草さんはパンと御飯どっちがいい?」 「……パン」 僕がパンの缶詰を手わたすと、彼女は無言で開け、そのまま黙々と食べだした。 僕もパンの缶詰を開け、食べると、沸いたお湯でインスタントのスープを作り皆に配った。 それを食べ終えると、ポポはすぐに寝てしまった。鳥ポケモンの大半は基本的に朝型だから無理も無い。 「……歯磨きたいんだけど」 一方の香草さんは、朝型とはいえ衛生状況を気にかけるくらいの余裕はあるようだ。 「はい」 「……なにこれ?」 「知らない? シルフスコープ社製の『キシリトール配合メタモンガム』。五分くらい噛んでると歯を磨いたのと同じ効果があるとか」 「……知ってるわよ。私は歯を磨きたいって言ったんだけど」 「しょうがないじゃないか、水は貴重なんだから。吉野町に着くまでどれくらいかかるか分からないし」 彼女はしばらく不服そうにメタモンガムを眺めていたが、諦めたようにため息を一つ吐くと、包装を向いて噛みだした。 僕もメタモンガムを噛みながら、寝袋を取り出すと、一つを彼女に手渡した。 二人のガムを噛むクチャクチャという音だけが沈黙を埋めていた。 しばらくして二人ともガムを口からだし、包装に包んでリュックのゴミスペースに入れた。 僕はその後寝袋に包まり、ボーっと空を眺めていた。 野外で寝て空を眺めるなんていつ以来だろうか。 「ねえ……起きてる?」 僕のそんな懐古は、香草さんの呼びかけによって中断された。 「起きてるよ。どうかした?」 「……どうしてあんな子と契約するの?」 僕はつい吐きそうになったため息を慌てて飲み込んだ。まだ引きずっていたのか。 「さっきも言っただろ? 彼女には何の問題もないんだから」 それに香草さんに石英高原で四天王を倒して殿堂入りまで旅をする気があるように思えない、ということは言わなかった。 「私一人だと不安なの?」 言い切ってからでよかった。言葉の途中に挟まれたなら確実に言葉に詰まってしまっただろうから。 この言葉はある意味、核心を突いている。 「私、強いのよ? ……誰にだって、絶対に負けないんだから」 「強くたってタイプの相性とかあるだろ? やっぱりそれをカバーする仲間が」 「相性なんて関係ないわ。どんな相手だって、私は負けない」 凛とした強い言葉だった。僕は言葉を失ってしまった。 これで分かった。彼女は人間を差別しているわけではない。自分の種族以外の全てを差別しているのだ。自分の種族に対する圧倒的なプライドが拗れた形、か。 後はそのままずっと無言だった。 聞こえる音は虫の鳴き声と香草さんの息の音と、時々聞こえてくるポポの寝言だけ。 あまりの静けさにそのままうとうとしてしまった。 慌てて、なんとか意識を覚醒させ、そのまま寝袋から抜け出した。 必ず一人は火の番が必要だ。でも、香草さんはポポには出来そうもない。今日はとりあえず僕がやるとして、明日からどうしようか。 僕は一つため息を吐くと、近くの木の根元に、木を背もたれにして、火のほうを向いて座り込んだ。この姿勢なら負担も少ないし、うとうとすることはあるだろうが火が消えたり燃え広がったりしていないことの確認くらいは出来るだろう。 上着をペロンとまくってみる。予想通り、腹部には大きな青あざが出来ていた。 はあ、ともう一つため息を吐く。前途多難どころじゃないぞ、これは。 これからどうしようか。 そんなとりとめも無いことを考えたり、小さくなった焚き火に枝を放り込んだり、うとうとしたりしながら、僕は夜をすごしていった。 616 名前: ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/04/01(火) 13 50 22 ID ovaSZsBM 今回の分は投下終了です 617 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/01(火) 14 17 55 ID bnS9KDIk 616 GJ! 楽しみがまた増えたよ 618 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/01(火) 15 28 29 ID Uo1UDhti 616 GJ! wktkが止まらないw 619 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/01(火) 17 02 09 ID w6yDn/QG 616 ポケモンを一度もまともに観たことのない俺がGJをお贈りします。 放送はごらんのスポンサーの提供でした 620 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/01(火) 17 28 54 ID Ki2bDz1l 616 GJ! ところどころに小ネタが織り込まれていて素晴らしかった。 621 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/01(火) 22 22 35 ID OycTah3d 616 GJ!チコ可愛いよチコ そして……なんと言ったらいいのか……服を着ていない。 その発想は無かったわ ということは 最終的にはゴールドは六人のヤンデレ娘に囲まれながら 老若男女問わず全裸のポケモンが跋扈するカオスワールドを 冒険するわけですね! 622 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/04/01(火) 22 51 24 ID QCPgck/h part14からの今北産業なんだが この板のレベルすごいな 623 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/01(火) 23 48 34 ID wekgogX/ 無形氏が来ていた…だと…? 一日遅れだが乙です! 624 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/02(水) 00 20 13 ID SgQ5+kb7 朝歌は徳川家康ということですね、わかります 625 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/02(水) 01 25 37 ID hKolcGLT 誰か甘えん坊なヤンデレを書いて俺を殺してくれ… 626 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/02(水) 02 02 06 ID qf1e772I 「625お兄ちゃん…625お兄ちゃん…」 夜、寝ているとふと妹の声が聞こえた。…またか? もそもそとベットから這い出て部屋のドアを開けるとそこにはぬいぐるみを持ってべそをかいた妹。 「どうしたんだい?」 「ひっく、ひっく、625お兄ちゃんごめんなさい…こわいゆめ見たの…ひっく」 「そうまた見たのか、よしお兄ちゃんが寝付くまで手を握っててあげよう」 「ひっく、ありがとう625お兄ちゃん♪」 ニコッ とべそをかきながらも笑った妹を部屋に入れて一緒にベッドに入る。 こうやって泣き虫の妹と一緒に寝るのはいつものことだ。 だから俺は妹がぬいぐるみの中に隠したものに気がつかなかった… 「お兄ちゃん…まだ起きてる?」 「ん…なんだい?」 「あたしが見たこわいゆめってね、お兄ちゃんがしらない女の人とけっこんして、 あたしのこときらいになるゆめだったの…」 「そうか…大丈夫、お兄ちゃんはおまえが一人立ちするまで一緒に居るよ」 「ほんとう?ほんとうのほんとうに?」 「ああ、本当だ。だから今日はもう寝ような」 「ううん、言質が取れたから寝る前にやることができよ」 「やること…?」 「えへへ、あたしと一緒に居てくれるんだよね? あんな恋人気取りの雌豚のところには行かないんだよね? ずっとあたしの、あたしだけのものになってくれるんだよね?」 なんだ、この空気は…!?うぁぁぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!! く、首に、首になにか、さ、刺さって、刺さってる!!いだだだだだだだあ゛あ゛ぁぁあ゛あ゛!! 「えへへへへ、本できちんと調べたんだよ。 首のうしろのここにある神経を破壊すれば人間って半身不随になるってね。 大丈夫大丈夫。刺したのは特注の畳針だから傷穴は小さいし血もすぐ止まるよ♪ …625お兄ちゃん?ねぇ、眼を開けてよっ!半身が不随になるだけだよ?殺すつもりはないんだよ?」 625お兄ちゃん!625お兄ちゃん!625お兄ちゃん!625お兄ちゃん!625お兄ちゃん!」 こうして 625は死んでしまった。 だが彼は幸せなのだろう。 627 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/02(水) 08 17 46 ID UQo+fRay 616 GJ。 ただ、時々出て来る社名はシルフカンパニーじゃなかったっけ? 作品内での名前はシルフスコープ社って事になってるんだったら、申し訳ない。 628 名前: ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/04/02(水) 10 40 39 ID 8xO1p88/ 627 うへあ うっかりしてました 次回からはちゃんと直しときます 629 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/02(水) 18 31 43 ID kZ6tv3L3 http //yaruomatome.blog10.fc2.com/blog-entry-185.html 630 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/04/02(水) 21 52 47 ID 59IWgLj2 世にもに割りと王道なヤンデレ女がwww 631 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/02(水) 21 55 45 ID C0e03Pdm フジテレビwwww 632 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/02(水) 21 57 27 ID zgyUsCaV 3次元に萌えたの初めてww 633 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/02(水) 21 59 34 ID w2+U9/hF 戸田恵梨香かわええwwwwww 修羅場のとことかマジ最高wwwwww 634 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/02(水) 23 03 16 ID ECKwon3q どんな内容だったんだ? 635 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/02(水) 23 09 42 ID zgyUsCaV ヤンデレ分の所だけを言うと 男に弁当作ったりして恋人ですよみたいな流れだったんだが 実はストーカーでしたみたいな? 最後は多分男と彼女がそのストーカーに刺されて終わり …説明下手ですみませんorz 636 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/02(水) 23 11 25 ID 3mWrsdIG 629 前から思ってたんだがこれ正直ただの釣りだろ 637 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/02(水) 23 26 21 ID SgQ5+kb7 釣りと創作と人を楽しませるという点で何が違うというのかね 638 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/02(水) 23 36 01 ID HKRg4PH9 いや、キモいだろ?戸田恵梨香棒読みだし、何より三次元でやるとただムカつくだけだ。と姉と共に話し合っていました。 639 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/03(木) 00 32 49 ID t2lhbXSd 638 姉・・・? 640 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/03(木) 00 35 20 ID TCdknWxx 637 632みたいなのが出てくるから言っただけ 641 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/03(木) 00 54 43 ID K8IBNpac 嘘つき自重。俺640じゃねぇwwww 642 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/03(木) 00 59 11 ID K8IBNpac ちなみに姉は腐女子じゃないからな 643 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/03(木) 01 00 54 ID 3ShlSqq5 どうでもいい 644 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/03(木) 02 10 59 ID eaND1FtN 綺麗だったよ 645 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/03(木) 10 59 06 ID kXpaUr/r どうでもいい 646 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/03(木) 12 36 44 ID 2JA/jQ1t (ドラマ) 世にも奇妙な物語 2008-04-02 春の特別編 「これ #8230; #8230;見て #8230; #8230;」 戸田恵梨香 [704x396 DivX521].avi 146,031,828 865f44680d103956ce9b106761dd988334d44f95 四の五の言わずにコレ見て判断 647 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/03(木) 12 41 18 ID vKBPr9zQ 全く無意味なリアル情報アピールお疲れ様です そして二度と来なくて結構です 648 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/03(木) 18 20 45 ID 7bY5Aa5w どっちも邪魔 649 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/03(木) 20 25 38 ID aw18P7ZH 二次オンリー板でないわけだから、過剰反応してる奴の方が気持ち悪く見えるな 650 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/03(木) 20 30 17 ID 0Hss4d2E ←←←右から左に受け流します←←← 651 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/03(木) 20 34 07 ID TCdknWxx 虹賛辞の問題じゃないのが分からないのが春厨 652 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/03(木) 21 32 03 ID i2cIDldx 三次にヤンデレは存在しません 653 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/03(木) 22 55 43 ID 0Hss4d2E 652 一瞬「にゃんデレ」に見えたぞ! どうしてくれる! 654 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/03(木) 23 04 07 ID guIgz/kS 629の名言 107 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/01(火) 23 47 14.91 ID jLLGVA1l0 ヤンデレとメンヘラは同義語でいいの? ちょっと束縛するくらいじゃん 可愛いじゃん 109 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/01(火) 23 48 36.27 ID JwuRALkAO 107 別物 ヤンデレは愛故に メンヘラ基地は人格故に 655 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/04(金) 00 07 44 ID aDQH8iOg 653 それただのデレデレじゃね?m9(ОДО)デュワー 656 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/04(金) 01 11 32 ID VkPZRYNj 「刺します」 優しさと不安に塗り固められた声が耳に届いた。 多分、僕も同じような気持ちだったのだと思う。 命を奪われかねない獲物を向けられて、なお全面的に彼女を信用していた。 けれどそれは皮膚を貫通し、痛みが走り、それによる僕の呼吸の乱れは声にのぼってきそうだった。 彼女を見ると、弱々しげな目尻を表情の中で際立たせている。 ふっと涙の粒をそこに幻視できるように。 そして、僕を傷つけたのは彼女のはずなのに大丈夫か、と問うてくる。 戸惑いつつも僕は笑顔で返した。笑顔といっても微笑くらいだ。 彼女の見えないところで脂汗をたっぷりかいていたから、微苦笑だったのかもしれない。 それでも彼女は嬉しそうに笑った。 しばらくたつうちに、僕はだんだんと眠くなってくる。 ごわんごわんと耳元が疼き、それが子守唄のような役目をしていたからだ。 体の力が抜けていきそうになる。時々、傷口がずきんと痛むこともあった。 時間の流れがとてもゆっくりとしたものに感じ始めて、ああ、このまま、彼女の隣で寝てしまいたい。そんな考えも頭に浮かんできた。 しかしそう思ったところで、また声がかけられる。 今度は事務的だった。 「はい、終わりましたよ。ありがとうございました」 マスク越しの声でもそうと分かる綺麗な声を、僕は耳に染み込ませた。 可愛らしい笑顔もそっと盗み見、その日から僕は献血の虜になった。 657 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/04(金) 01 17 58 ID VkPZRYNj 献血中に白衣のヤンデレを夢想した俺は末期。 この後「僕」は献血ナースにアプローチ。 めでたく付き合うも「彼女」の愛情深さは「僕」にとある要求をする。 「怪我をして。あなたが入院すればずっと一緒にいられるから」 というところまで妄想。 誰ぞ頼む( A`) 658 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/04(金) 01 19 51 ID iXVaN4gs つまらん 659 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/04(金) 01 24 31 ID VkPZRYNj 精進するよorz 660 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/04(金) 03 12 07 ID Y2CYAD2P そういう輩の感想は聞き流せ 661 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/04(金) 07 13 58 ID sppuLHQU 俺も刺されたくなってきた! 662 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/04/04(金) 07 20 21 ID oLLn+log うんこ 663 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/04(金) 07 57 51 ID HqxeYt+p ヤンデレなラノベとかってあります?? 664 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/04(金) 08 38 53 ID haFczotQ 文学少女だな 665 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/04(金) 09 44 24 ID qj0JaYTS あれはヤンデレというかメンヘラ しかも他の男とくっつきそうだからやめとけ… 666 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/04/04(金) 10 41 39 ID /aOeuLzR うんこっこ 667 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/04(金) 11 07 24 ID mNS8bz4M , ─ 、 / ⌒ \ / \ / ヽ / , -´  ̄ ̄ ̄ ─ 、| / / , ───── \ | / / ヽ / / |/ / ⌒\ /ヽ ヽ / / / ヽ l / ヽ l / ヽ / l / / ⌒ヽ /⌒ヽ l / | l | (‘l | |(‘l | | メロンパン食ってる場合じゃねえ! / | | l l _ l l l / / l | ` ー ´ (二) ー ´ | / l l ___ ! / / ヽ ヽ ヽ/´ l / // lヽ ヽ ノ─-、 ノ / // /ヽ\ ヽ /____ノ_ / / / / \` ー` ‐─────── イ / / / ` -──/⌒/´ー‐─´\ / / / / \ ヽ_/ #♯# ヽ / ´⌒ヽ ♯# /⌒ヽ / 668 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/04(金) 11 30 04 ID XIuuP3yN デレてこそのヤンデレ ヤン状態すら受け入れられるのはデレがあるからこそ 浮気者が病んでも、それはただのメンヘラだ 一途な想い故に病むからこそ美しい いや、文学少女ほぼ読んだことねえんだけど 必要とすることと愛することとの間には絶対的隔たりがあると思うんだ 669 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/04(金) 12 55 37 ID HqxeYt+p 665 買っちまったじゃん… 670 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/04(金) 14 09 13 ID FxGLE9GV 文学少女はメンヘラ デレはほとんどない 671 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/04(金) 20 26 02 ID 1cHvYFQE だが全員がメンヘラなわけではない。 女同士が揉めている光景が好きな人なら買っても楽しめる本だと思う。 三巻と五巻にそれっぽいのが出ている。 672 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/04(金) 21 34 49 ID NTGWJk0+ むしろあれはツンデレ萌えの人が買う本だと思ってる 673 名前:溶けない雪 ◆g8PxigjYm6 [sage] 投稿日:2008/04/04(金) 21 40 36 ID xtqVsE/d 流れをぶった切って投下します 相変わらずの遅筆なのは・・・・・うん、気にしません 674 名前:溶けない雪 ◆g8PxigjYm6 [sage] 投稿日:2008/04/04(金) 21 41 32 ID xtqVsE/d 11 田村 夏夢視点より 健二に更生…と呼べる様なものをさせてもらった私は、 その頃にもなると沢山の友達を作る事が出来ていた。 多少、小学生で苦労したが、それもが仕方ない。 一度拒絶をしておきながら、自分から歩み寄ったのだから。 しかし、健二を見習って何度も諦めないで歩み寄っていくうちに、 そういった人達とも仲良くなる事が出来た。 仲良くなる日が来るとは思っていなかったので、 そんな人達と笑い合う日常に対しては凄く驚いたりしていたが。 だが、そこらへんは慣れだった。 最初は違和感がある日々も、中学に上がる頃には自然となっていた。 私がその気持ちに気付いたのは、小学校という囲いから、 中学校という囲いに変わって、まだ日も浅い頃だ。 中学に上がってから最初に喜んだ事は、健二と同じクラスになったという事。 小学校の頃は、5年生、6年生共に同じクラスになれたけれど、 小学校より人数が多くなる中学 (ここら辺の地域には他と比べて中学校があんまりないのだ) で一緒のクラスになるのは厳しいだろうなと思っていた。 あの日の運動会以来、健二とはよく話をするようになり、たまに一緒に遊んだりしていた。 遊びと言っても、私は一人以上でやる遊びというものをあまり知らなかったので、 新しい遊びが出る度に、健二からどうやってやるのかを聞く事が多かった。 そんな最初の、二人だけで遊んでいたのが、私がクラスに溶け込むにつれて、二 人が三人に、三人が四人に、四人が五人に…と段々と増えていく。 気がついたら私は、かなりの人数と遊ぶ様になっていた。 しかし、そんな大人数と遊ぶ様になった頃には、健二と遊ぶ事はなくなっていた。 それもそうだ。 女子ばかりの中に一人だけの男子。 そんなもの、居づらいに決まっている。 それでもなお、途中までは遊んでいてくれたのだ。 きっと、ギリギリ一杯まで居てくれたのだろう。 こんな私に付き合ってくれた健二に感謝もしていたし、 本当にギリギリまで付き合ってくれたのもちゃんと分かっている。 それでも、たまに校庭で友達とサッカー等のスポーツを楽しそうにやっている健二を見る度に沸き上がる寂しさというものを、結局私は中学に上がる頃になっても取り除く事は出来なかった。 なので、私は健二とはよく話をした。 遊ぶ事は出来なくとも会話は出来る。 私は必死になって健二と話をした。 何を必死になっていたのかはその時の私には分からなかったが、 それでも私は健二と毎日会話をした。 675 名前:溶けない雪 ◆g8PxigjYm6 [sage] 投稿日:2008/04/04(金) 21 42 39 ID xtqVsE/d そのお陰とも言うべきか、休み時間には健二と話すのが普通になっていた。 健二との会話は、いくら話そうとも飽きる事なく、とても楽しい時間だった。 そんな楽しい時間も、いつまでもいつまでも続くものではない。 健二の友達が誘いを出し、それを健二が承諾して一緒に外へ出ていく。 その背中を見る事が何回も、何回もあった。 その背中を見る度に、よく分からない感情が、胸の中で生まれた。 中学に上がって間もない頃の健二と私の関係は、そういうものだった。 小学校から中学校に上がっても、私と健二の関係は、小学時代から変わっていなかった。 やはり休み時間に話をして、健二の友達人からの誘いが、健二との会話が終わる合図。 そして私から離れる健二を見る度に生まれる、よく分からない感情。 小学校から中学生に変わり、明らかに何もかもが変わった筈だった。 だけど、私と健二の関係は全く変わっていなかった。 健二が去った後は、私も私で友達と談笑をする。 これと言って、大した話をしなかったけれど、これはこれで楽しかった。 ある日、そんな風にいつも通りの談笑をしていた時 「なっちゃんは健二君の事好きなの?」 そう、唐突に聞かれた。 ちなみになっちゃんとは私のあだ名で、友達がつけたものだ。 何でも、背が小さい私にピッタリの愛称だという。 小学生の時は普通だった私の背も、中学生に上がったとたんに、伸びなくなってしまった。 そう聞かれた私の答えは 「分からない…かな」 といったものだった。 友達の質問に、私は否定の答えを出すつもりだったのに、口から出た答えは否定ではなかった。 「一緒に帰ろうよ」 放課後、私は健二を誘った。 誘ったと言っても、一緒に帰ろうといったものだけど。 「え?…うん、まぁたまにはいいか」 最初は私の申し出に面食らったようだったけど、健二は快く承諾した。 帰り道、私と健二は沢山の話をした。 小学生の、あの時の健二の心境、私の心境。 それは出来れば掘り返したくない話だったけれど、 実際に話してみれば笑える良い思い出となっていた。 そんな流れだったからだ。 私がずっと聞こうに聞けなかった事を言ったのは。 「健二の家の両親は…健二の両親は何であの日、運動会に来てなかったの?」 私の質問で、健二の顏が曇ったのが分かる。しかし、それも一瞬で元に戻して言う。 「いや、実は両親が仕事の都合で海外に出てるんだけどさ、 その都合で結構忙しいんだよね。だから運動会もその都合で来れなかったんだよ」 676 名前:溶けない雪 ◆g8PxigjYm6 [sage] 投稿日:2008/04/04(金) 21 43 32 ID xtqVsE/d そう答えた目の前に居る人の、いつも通りの調子で話すのを見て、 簡単に分かってしまった。 何かを…隠していると。 「本当にそれだけなの?」 当たり前だ。 そんな単純な事なら何で…何であの時 「…何でそんな事を訊くの?」 あの運動会の、教室ので 「じゃあ、何であの時教室で、健二は泣いていたの?」 何で、健二は泣いていたのか。 「………そうか。あの時、その場面も見ていたのか」 健二は少しの沈黙の後、そう独り言を言って、直ぐに隠していた事を話始めた。 「僕にはね…妹が居たんだよ」 「えっ?」 私が声を上げてしまったのも無理はない。 決して長いとは言えないが、2年位の付き合いになる。 その間に、少ないとはいえ、健二の家に何回か行った事もある。 それでも、妹に会った事もないし、妹が居る等といった話を聞いた記憶もない。 いや……、妹が「いた」? 「両親は妹を溺愛していてね…親ばかここに極めたり、といってもいい位だった。 でもだからといって、妹を溺愛しているから、 僕が疎外されていた、なんて事はなかった。 ただ、妹の方をよく可愛がっていただけで、僕も親の愛情をもらったよ。 それでも小さい頃は、妹ばかり構われている事に対してたまに羨ましいなと思ってた。 でも、ある程度の年齢になると、慣れだったのかもしれないけど、 そんな家の風景も悪くないなと思える様になっていたけどね」 昔を懐かしむ様に、昔を羨む様に、健二は続けた。 「だけど、そんな家の日常も、妹が事故にあって…死んでからは壊れた。 妹が死んだのは…小学4年生の時だった。 車が妹に直撃。 よくあるような交通事故…。 妹が死んでから両親は、その事を忘れる様に仕事に入れ込む様になってね。 海外ばかりに行って、家に帰ってくる事なんてほとんどなくなった」 「健二…」 その時の私が発した彼の名前は、果たしてちゃんと届いていたのだろうか。 喋れば喋る程に、健二の顏からは懐かしむという感情が薄れ、 悲しみという感情が表に出てきている。 それでも私は、そんな健二を止める事は出来なかった。 喋るのも辛い事、それでも私に話してくれている。 「親が居ない間は、近所の優しいおばあちゃんに面倒を見てもらってくれていたんだ。 おばあちゃんは本当に僕に優しくしてくれてね、運動会なんかにもちゃんと来てくれた。 年甲斐もなく行事が好きな人でね、僕が徒競走なんかで一位を取ると、凄く褒めてくれた。 あんまりこういう事は言いたくないけれど、いつもいない家にいない両親なんかよりもずっと、 家族らしかった。 だけど、それでも両親も運動会に来て欲しかった。 用事があっておばあちゃんが来る事が出来なかった小学5年の運動会、 あの場所で、その事に気付いた」 677 名前:溶けない雪 ◆g8PxigjYm6 [sage] 投稿日:2008/04/04(金) 21 44 27 ID xtqVsE/d 小学5年生の時の運動会。 昼休み。 独りで教室に居た、あの日、あの時間。 「昼食時になると、皆が皆、親の所に向かう。 そんな中で一人だけ、どこにも行けないやつ。 それが僕だった。 校庭には、どこにも僕の居場所がなかった。 だから、誰も居なさそうな場所…立ち入り禁止の教室で、僕は昼休みを過ごした。 夏夢が言う様に、確かに僕はあの時教室で泣いていたよ。 だってそうだろう? 確かに両親は、僕にも愛情を注いでくれた。 だけど、結局は妹とどちらか選べと言われたら妹をとる。 そんな両親だったんだよ。 それは妹が死んでも変わらない。 今生きている僕を見向きもしないで、死んだ妹の事ばかり気にして… その事に気付いて、どうして堪えられる。 強い人なら、それでも堪えられるかもしれないけど、僕には堪える事なんて無理だった。 弱い人間だからね」 まるであたかも、堪える事が出来なかった自分を悔いている様な表情。 あぁ…自分は、聞かなければ良かった話を聞いているんだな、と思う。 別に、私がそれで悲しくなるとか、そんな理由からではない。 健二にそんな顔をさせてしまった事に、私はそう思った。 「だけど、あの時は夏「健二はさ…」……何?」 それでも、一つだけ、どうしても聞きたい事があった。 その問いに対する健二の答えも分かるし、その答えに対して私が思う事についても、分かっている。 それでも、聞いてみたかった。 「健二は……その事で誰かが憎かったりする?」 「ないよ」 やっぱり。 しかも即答だったではないか。 「確かに、妹が死んでから家に帰ってくる事がなくなった両親や、 車で妹をはねた運転手を最初は憎んでいた。 だけどね、それは仕方がない事だ。 両親は結局僕より妹を優先しただけ。 運転手については、妹が自ら当たりにいった様なものだったからね。 だから、今の家庭状況は、どうしようもない事だ。 誰も悪くない…誰もね」 これで話は終わりとばかりに口を閉ざす。 気がつけば、もう別れ道だ。 「じゃあね、夏夢。また明日」 「うん、また明日」 つい先ほどまでの空気取り繕う様に別れの言葉を言う健二に、 私も同じ様にして別れの言葉を言った。 678 名前:溶けない雪 ◆g8PxigjYm6 [sage] 投稿日:2008/04/04(金) 21 45 25 ID xtqVsE/d そして別れ道で、私と健二は別れた。 帰路につく途中で考えていたのは、先ほどの話。 いや、正確に言うと、あの話で私が分かった事だ。 健二の話を聞いて、今まで分からなかった秘密を知って、 ようやく分かったのは、私は健二が好きだという事。 きっと、この気持ちは、あの時の教室で健二を見た時から続いていたのだろう。 その事の認識については、ある意味予定調和ともいえた。 それとは別に、さっきの話で抱いた気持ちがあった。 それは………………………自分でも戸惑ってしまうほどの、 健二の両親と妹に対する憎しみだった。 投下終了 ようやく次回でヤンが出てきます 視点変更もこれで終わりです 679 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/04(金) 21 47 30 ID EUQsmw9S 溶けない雪キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!! 680 名前:溶けない雪 ◆g8PxigjYm6 [sage] 投稿日:2008/04/04(金) 21 47 43 ID xtqVsE/d そして誤字発見orz 677 下から2行目 空気取り繕う× 空気を取り繕う○ です 失礼しました 681 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/04(金) 22 11 21 ID mbrHm5Jk GJ! とうとう次回から本番ですね、続きに期待してます。 682 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/04(金) 22 21 23 ID sppuLHQU ぐっじょぶ 683 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/04(金) 22 37 52 ID ZFO3F5jO 水無月さん派だが、思わず夏夢に転びそうになってしまった…… 684 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/04/04(金) 23 42 41 ID R//NWJ8A 678 GJ!! そろそろ夏夢の初ヤンが出てくるか? 685 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/04(金) 23 48 19 ID R//NWJ8A sage忘れた……マジスマソ 686 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/04/05(土) 01 51 22 ID laTy91Qh うんこっこw 687 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/05(土) 02 40 55 ID hnlJ3tco 678 GJ! 夏夢の闇がいい感じに出てきましたね 688 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/05(土) 04 45 05 ID Lhd2YAZO うおおお久しぶりに溶けない雪キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!! 689 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/05(土) 22 26 50 ID SofpzrgT 紅の崩月夕乃って 素質があると思わない? 漫画版しか読んでないんだが。 病んでくれないかなぁ。紅だけに 690 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/05(土) 22 37 38 ID oD2xuLW9 紅は好きじゃないがその人とロリだけは好きだ ただヤンデレとは違う気がする 691 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/05(土) 22 42 43 ID mB94j0+4 紅好きな人が少なくて悲しい アニメ板でもボロクソ言われてるし 銀子がヤンデレになってくれれば… 692 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/05(土) 23 12 55 ID 2l1TMMBG 紅は好きだ。特に銀子が好きだ。 だがヤンデレになって欲しくはない。そのままの銀子でいてほしい。 しっかりした性格の夕乃が病むとしたら、真九郎が紫と(性的な意味で)くっついた時ぐらいじゃないだろうか。 いつまでも子供だと思っていたら、いつの間にか奪われていた……みたいな。 693 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/05(土) 23 28 40 ID +m9oivD+ 691 好きだから酷評なんだよ 694 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/06(日) 00 02 53 ID P4dDj9bg 紅で思い出したが戯言シリーズの巫女子って若干ヤンデレ要素あったよね? 695 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/06(日) 00 13 57 ID rxzrQdAJ 紅見たけどいまいち設定が理解できなかったぜ! 696 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/06(日) 00 16 38 ID BKHv8Oy9 一言いわせてもらうとここから先はよそでやれ 雑談もいいがほどほどにしろよ 697 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/06(日) 02 02 40 ID VM8sY3Ym ヤンデレの歌 ボクの名前はヤン坊♪ ボクの名前はデレ坊♪ 2人合わせてヤンデレだ~ キ~ミとボクとでヤンデレだ~♪ 小さな鋸(ノコ)から 大きな鉈(ナタ)まで 血を出せモツ出せ ヤンマーディーゼルー♪ (提供:ヤンマーディーゼル) 698 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/06(日) 04 54 56 ID ylz4z6rb 697L M乙 699 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/06(日) 08 41 28 ID /IUyOyaQ 渡瀬草一郎の「輪環の魔導師」のヒロインはヤンデレの素質が十分 700 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/06(日) 10 16 33 ID FfBc3aFk ヤンデレに正座させられたい 701 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/06(日) 10 34 58 ID 93ERfAMt キモ姉でよろしければ心当たりが 702 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/06(日) 11 40 38 ID e89bKf8T 困ったことになった ヤンデレを優先すればストーリーが立ち行かず、ストーリーを優先すればヤンデレが薄味になる 703 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/06(日) 11 42 03 ID u9yZjj/X 自分でどうにかしろ 704 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/04/06(日) 12 53 04 ID jn0rGM8V 自分語りでなれ合おうとするなカス 死ね 705 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/06(日) 13 13 52 ID 93ERfAMt 704 そーゆう発言はsageてから言えよ 706 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/06(日) 13 22 00 ID i0D14iH1 702 薄味でもヤンデレはヤンデレじゃね? 707 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/06(日) 22 23 26 ID vtlb37ey 705 ただ病んでるだけの人間にレスするのはヤンデレ好きとは言わん 708 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/06(日) 23 31 39 ID VGGzxdAI 702 薄味の方が好きな子だっているよ? 709 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/04/08(火) 15 47 06 ID 0H0plSbJ ほ 710 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/04/08(火) 17 34 53 ID MLSyLoq2 っ 711 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/08(火) 19 41 58 ID PP3qkPE2 たらかし 712 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/08(火) 22 43 54 ID 7Tucocz6 にされたら 713 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/08(火) 22 44 24 ID dKYqChdE ほうちょう 714 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/08(火) 23 04 52 ID Se1pyFg4 でどろぼうねこ 715 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/08(火) 23 14 28 ID 3Qjo+Xd3 を刺 716 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/08(火) 23 22 13 ID qM1NbmZN し続け 717 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/09(水) 00 22 50 ID 6+oABejT 愛しの 718 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/09(水) 00 43 17 ID nyD4KJRp 彼にも 719 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/09(水) 00 45 52 ID f7r6/Vwh ボンバヘッ 720 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/09(水) 01 55 46 ID LI644C3E 719 何か違うなwwww 721 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/09(水) 08 10 14 ID +BiOMbeB 719 フイタwww 722 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/09(水) 10 54 49 ID 5mN/Qzn/ ボ ン バ ヘ ェ ! ,へ ● へ o o / o オ オ \ ォ゚ オ // 723 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/09(水) 12 00 06 ID 20G3deVn 719 お大事にwwww 724 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/09(水) 17 19 53 ID +kAEz2HW メンヘラのSSを読んだり、投下していいスレって蟻鱒蚊? 725 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/09(水) 19 42 48 ID 0VEwU1Jn メンヘラ≠ヤンデレ 726 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/09(水) 21 01 27 ID eK6DDsk5 前に「ヤンデレだ! 」って騒がれてたNASAの女性宇宙飛行士の特集組まれてるけれど ただのビッチだったぜ…… 727 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/09(水) 21 32 41 ID wW8R3BiW ただのビッチとヤンデレなんてどうやって間違ったんだ? 728 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/09(水) 21 54 39 ID 2zOQygIF オムツを付けて1500㌔車で爆走、泥棒猫の乗った飛行機を待ち伏せ って行動自体はぶっ飛んでてヤンデレっぽかった 729 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/09(水) 23 15 05 ID 8FFlKLEB 新歓と黒化って相性がいいかも 730 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/09(水) 23 31 14 ID tE6r/pGx 新しい人間関係が生まれるってことは新しい泥棒猫出現の可能性をはらむってことだからな 731 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/10(木) 00 49 29 ID MPfRmceK 沙耶の歌やったけど ヤンデレ云々よりストーリーがきつかった 732 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/10(木) 01 13 46 ID 3koAJVky グロ耐性ないときついかもねー 733 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/10(木) 01 20 38 ID MPyP1e2h 以前ここのスレであったヤンデレ喫茶ならぬヤンデレリフレとかないかな・・・。 いや秋葉原とかにあるメイドさんがリフレクソロジーとか肩たたきとかしてくれる ののヤンデレバージョンとかあるかなって思っただけなんだが。 ・・・疲れてるだけだな、俺orz 734 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/10(木) 07 17 03 ID NeuYoOPF いや、そんなことよりヤンデレ喫茶だろう。あれは神すぎる。 735 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/10(木) 20 31 41 ID zSHFEP6Y そんな喫茶があるのか 736 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/10(木) 20 48 03 ID 3koAJVky 三次のヤンデレとかまじありえない 737 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/10(木) 21 20 34 ID NeuYoOPF お前ら、保管庫を読め保管庫を 738 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/10(木) 21 22 33 ID NeuYoOPF お前ら、保管庫を読め保管庫を。『ヤンデレ喫茶は実在する~』みたいなのがあるから1度目を通して見ろ。良作だから。 739 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/04/10(木) 21 52 32 ID 3PTnDTjo お兄ちゃんどいてそいつ殺せない 740 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/10(木) 22 20 33 ID VlqIJNPq つーかあれを知らん奴がここにいたのか 741 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/10(木) 22 47 48 ID +r5YIlus 馬鹿あんまり刺激するな そういう雰囲気になるとあそこ思い出しそうでいやなんだよ・・・ 742 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/10(木) 23 03 21 ID HLssP2nl 毎回この手の話になるNE! 知らん人には勧めれば良いだけのこと、「これを知らない奴は居ちゃいけない」みたいに取れることを言うのは良くないぜ? まあ、俺変な拡大解釈乙 743 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/10(木) 23 15 47 ID fibeP2vc この場を和ますジョークでも 「あれ、いつの間にか雨がヤンデレ!」 744 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/10(木) 23 23 46 ID aH2xQ5jG 743 コイツをどうすればいいか悩ンデレ 745 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/10(木) 23 37 01 ID fibeP2vc 我ながら酷いもんだと悔ヤンデレ 746 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/11(金) 00 09 17 ID 968YealY この板はじめてきたんですが投稿していいですか?携帯からですが… 747 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/11(金) 00 15 00 ID 1Jv91LJ6 いいんじゃないのか。 ただ、書きながら投下は止めたほうがいい。 投下するときは、書き上げてからまとめて投下するほうが無難。 748 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/11(金) 00 16 08 ID sMkAG+Yz 746 you投稿しちゃいなよ 749 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/11(金) 00 20 06 ID 9JhslUri 是非投稿して下さい あと、次回から誘い受けはやめておいた方がいい スレによっては叩きの対象になったりするからね 携帯からなら改行も気をつけると良いよ 750 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/11(金) 15 34 17 ID WB9DNt2S 大口叩いといて糞みたいなもの投下しやがったらやっぱり叩かれるけどな あまり甘く見ないほうがいい 751 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/11(金) 18 11 11 ID hltbFLg7 そうやって悪い空気にもってくのが一番すきじゃないかな 752 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/11(金) 18 20 38 ID VgvsVe5E 反応してそれを引きずるのも好きじゃない で投下はどうなったのかな? 753 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/11(金) 18 52 42 ID Qf+4fLzs そういや、本保管庫が更新されなくなって久しいね 夏まで行ったらまるまる一年止まってる事になるんじゃね? とりあえず更新しないならしないで新保管庫へのリンクや更新停止宣言してもらいたいなぁ ……メールでも送ってみようかしらん? 754 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/11(金) 19 00 58 ID 968YealY すいません大口を叩くつもりはなかったんですが…不快にさせてすみませんでした。 書きためたほうがいいとのアドバイスをいただいたのでまた後日にします。 ご迷惑をおかけしました 755 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/11(金) 19 07 39 ID 3Qoy7446 754 自分の納得いくように書いてください。お待ちしてますよー 756 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/04/11(金) 21 23 26 ID YkN6srT4 叩かれても文句言うなよ・・・ あらかじめ叩くって警告してるんだからな 757 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/11(金) 22 04 47 ID hltbFLg7 756 そのまえにあげないでくださいw 758 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/12(土) 03 17 09 ID fzsvzCQN なんだか春だなあ こんな感じで職人が減ったら嫌だなあ 759 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/12(土) 05 00 12 ID 2LC9LI0y 息子はもう入学式とっくに終わったんだがなぁ… 他の春房も早く現実で忙殺されないかなぁ… 760 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/12(土) 07 03 12 ID jIrPchjB 759 ちょ、親wwwwwwww なんか普通に驚いちゃったよ・・・・。 761 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/12(土) 08 09 18 ID u6vZJl25 ワシの孫はとっくに入学式も終わったというのに… なんて言うおじいちゃんもこのスレを見てるかもしれないぞ 762 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/12(土) 10 11 38 ID 2RV9RQr6 759 むしろ職人のほうが忙殺されてそうだけどな 763 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/12(土) 13 03 14 ID XIndT0uu むしろ今暇なのは入学式終わって友達が出来ず大量の必修授業の鬱憤を晴らしたい大学生だろう つ~わけで友達とか出来ず、偶然声をかけてくれた男にベタボレのヤンデレ娘を希望 764 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/12(土) 17 54 58 ID 6othDKGm 763 俺はその逆がいいな~。友達が居ない男に声かけた女がヤンデレでだんだんその男にはまっていくやつ。 765 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/13(日) 02 17 46 ID PMQ93Ca0 私がいてあげないと…ってなっちゃうんだな。 766 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/04/13(日) 14 33 06 ID PLpNUcyv 767 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/13(日) 18 25 38 ID ryKIahhi 765 そうそう、それでその男にもう一人女のお友達が出来て病んでいくってストーリー。 こういうのまだー?(・∀・) 768 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/13(日) 19 30 24 ID m4bYDGPD 男「最近できた友達B子って言うんだけど、A子の話したら…」 女A「誰よそれッ!?私とだけ話してればいいじゃないのよ!」 男「前に話したA子にお前の事話したら何か怒っちゃってさー」 女B「そう…そんなにA子さんが大事…?」 男「(・ω・`)」 こんな展開だな 769 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/13(日) 19 50 52 ID mIhiO5lh 768 そして男に友達がいないことで安心しきっていた妹がツンデレ→ヤンデレに…… 770 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/13(日) 19 57 25 ID y61rW8Ip ふと思ったんだけどさ、クーデレとかデレデレってある意味ヤンデレに分類できないか? 771 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/13(日) 20 19 59 ID ENY5GNZU 定義の話は荒れやすいからやめたほうが… 772 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/13(日) 20 26 18 ID y61rW8Ip スマソ 忘れてくれ 773 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/13(日) 21 17 33 ID e9ZIBen1 ヤンデレとしては料理が上手い子とそうでない子だとどっちがいい? 774 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/13(日) 22 14 15 ID QZy4dJ0W 『ヤンデレ喫茶は実在する~』 ググったら出て来た 良かった~ 775 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/13(日) 22 26 39 ID sVvYec6n まずい料理を無理矢理食わせるとかでなければどっちでもいい 776 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/13(日) 22 46 26 ID u3JhQOjt 「ヤンデレ喫茶は実在する~」は世にも奇妙な物語にでてきそうな内容だったね。 タイトルは「ヤンデレ喫茶」とかでね。 777 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/13(日) 23 02 16 ID Jtsa3Cla 776 「お持ち帰られます」というタイトルが思い浮かんだ 778 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/13(日) 23 34 59 ID ZzV6+8uJ ヤンデレって単語にこだわらなければありそう 779 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/04/13(日) 23 51 15 ID r5qd/qfh 778ジュドー乙 780 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/13(日) 23 52 36 ID r5qd/qfh 781 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/14(月) 01 26 20 ID vUrR/FCK 好きな歌でヤンデレ小説書こうと思ったらプロットすら練れないからご飯作りに行っていいですか? イイデスヨね? 782 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/14(月) 07 18 24 ID 2D7ZrXfU ディスプレイから手が… 783 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/14(月) 10 38 51 ID 8VceWvzc ディスプレイ「私の事だけ見て。あなたの書く淫らな物語を、私にだけ見せて?」 784 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/14(月) 12 38 09 ID pye1yHOf こうして職人達はディスプレイに呑み込まれていくのであった 785 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/14(月) 13 50 03 ID itjcycHa 次はあなたかもしれない・・・ 786 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/14(月) 15 01 01 ID 0XoDggo9 二次元に行く方法ついに発見! とかニュースになってお祭り騒ぎだな 787 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/14(月) 15 50 24 ID ZbYqMZd1 このスレとキモ姉妹スレは神だな。 788 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/14(月) 19 43 22 ID oqnBxiYL 他スレのことはどうでもいいです 789 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/14(月) 20 14 50 ID ZbYqMZd1 別にお前に聞いたつもりはないんだが・・・。 どうでもよかったらスルーが基本ですぜ。 790 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/14(月) 20 18 26 ID zpgLp0y9 789 矛盾してるよ 791 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/04/14(月) 21 41 09 ID arSeNSVz ヤンデレがヤンデレに愛されたらどうなるんだろうな 女1→女2→男 こんな感じで 792 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/14(月) 21 45 06 ID 28tic25p 百合はアンチが多いからきをつけたほうがいい 793 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/14(月) 22 15 52 ID PrPFazkq 妹もヒロインとしてありですか? 794 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/14(月) 22 19 12 ID H0GHukay なら 女1→男→女2では? 最初はヤンデレな女1が男を追うが、女2の事を好きな男は相手にしない。 頭にきた女1は女2を攻撃するが、潜在ヤンデレな女2が…… 795 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/14(月) 22 24 33 ID JShc+Lnd 男1→女→男2の構図なら鬼哭街やカルタグラで見れる 男1がめっちゃかわいそうだったw 796 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/14(月) 22 30 42 ID Jw/kvDyj 妹もヒロイン?もちろんありさ!でも、その場合キモウトって分類されちゃうかな? 797 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/14(月) 22 59 49 ID iUw5U/BS 何度も言うが、ヤンデレ男は萌えない 798 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/14(月) 23 10 43 ID JShc+Lnd 別に萌える必要はなかろう 799 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/14(月) 23 27 36 ID iUw5U/BS 訂正しよう、殺意が沸く 800 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/14(月) 23 55 19 ID ZbYqMZd1 ヤンデレ男=キモい、うんこ、ゴミ、存在自体が犯罪。 ヤンデレ男は1970年代に生まれた男に多い(たぶん・・・ニュースとかドラマとか)。 それ以降の人は女自体に興味がない、または怖いと言う人が多い。 801 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/15(火) 00 10 13 ID Tx1Ra2mA ヤンデレ女vsヤンデレ女2 で、精神分裂症と思われてる男(実際はホントにストーカー被害を二人から受けてる)が発狂してヤンデレ二人を殺すんですね、わかります。 大筋が決まりました。 じゃぁご飯作りに行きますね? 802 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/15(火) 00 12 36 ID umauOvek 夜食を用意してまで徹夜で作品を書くとは、見上げた根性だ 803 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/15(火) 00 17 50 ID Tx1Ra2mA あぁ、駄目だ、歌詞通りだと男がヤンデレになってしまう。 精神分裂症なんて書けないよ! 804 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/15(火) 00 22 24 ID JzKOp+xL 精神分裂してるけどどっちもある1人男のことがすきだというのはどうだ? 体の主導権を巡って誰もいないところで自問自答?するんだぜ 805 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/15(火) 00 30 46 ID wLxz8nXL 精神分裂症って、最近は統合失調症と言い換えされている症状であって、 多重人格とは違うような気がするが 806 名前:sage[] 投稿日:2008/04/15(火) 01 06 54 ID eE9dacPr 女1→女2→男 の場合だと女1は男を消して 女2を監禁ですね、わかります。 807 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/15(火) 01 23 23 ID Tx1Ra2mA 805 そう 他人からは被害妄想だと冷やかされる男と、その男をストーカーするヤンデレとか考えたんだけど 808 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/15(火) 02 06 31 ID wmghlt+x ttp //www.nhk.or.jp/nagasaki/lnews/03.html 809 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/15(火) 02 31 14 ID 3SUy27Ig 808 ぞくぞくしたぜ。まさかリアルであの名言を言う女がいるとはな 810 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/15(火) 06 03 28 ID 2/zUqovS 年齢が…… 811 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/15(火) 08 59 01 ID VAcS7+Mx 葉月かわいいよ葉月 812 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/15(火) 09 13 33 ID F58mZi7B ここはヤンデレさえあったら二次も行けるのだろうか? 813 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/15(火) 10 05 30 ID o68QueU/ っていうかここはヤンデレの二次が基本だと思うんだが 814 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/15(火) 11 57 16 ID LRQrZyZI シチュスレなんだし現に二次は少数派じゃないか? 815 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/15(火) 12 13 23 ID 4GRmkwKg 二次創作てこと? 816 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/15(火) 14 50 28 ID 3SUy27Ig 個人的には全然おKだけど、他の人はどうなんだろな 817 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/15(火) 15 04 55 ID FlAXf7Ul この話題定期的にでるne! 818 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/15(火) 15 12 51 ID IdpjXWeC テンプレに > ・版権モノは専用スレでお願いします。 って書いてあるからだめなんじゃね 819 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/15(火) 15 13 47 ID pMKEBo3d 二次創作は原作見てないとわからんこともあるから別でやってほしい 820 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/15(火) 16 25 40 ID +T3eeVF0 ヤンデレCD2弾の双子ってブラクラの双子がモデルなのか? 821 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/15(火) 17 54 54 ID nXUrNRmo ローゼンかと思った 822 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/15(火) 18 01 31 ID +T3eeVF0 ブラクラスレでも言われた でも設定が似てるし、片っぽの声優と武器は同じだし… 823 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/15(火) 20 20 58 ID /TSHyEqn 見てきたが、完全にアウトだな つーかまたヤンデレ物ってより猟奇殺人物になってんじゃねえか 824 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/15(火) 20 57 21 ID pMKEBo3d 殺せばいいとでもおもってるのか? 825 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/15(火) 21 03 43 ID 78w1rWNg ヤンデレキャラは皆が殺人・暴力衝動があると一部の人に誤解されている現実が悲しい。 スクールデイズとかは思い悩んだ末にようやく凶行に及んでいたのに。 だから、このスレのSSに俺は期待している。 826 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/15(火) 21 50 23 ID C1p1rceX 前にも誰かが言っていたけど 凶行という中でわかりやすいのが殺人なんだよね 所詮殺人は手段にすぎないってだけで 殺人=ヤンデレなわけではない そこらへんを誤解してる人がレナやら朝倉をヤンデレヤンデレ言ってるんだよね デレはどこにあるのかと問い詰めたいわ 827 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/15(火) 22 34 48 ID LSjvhZ// 確かに。どちらもそうだが、特にレナの場合ただ圭一が見た幻覚の様なものだからアニメやマンガしかやったことない厨房が勘違いしているんだろうな。 828 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/15(火) 22 52 56 ID pMKEBo3d 圭一に対する好意はあるが、原因はあくまで病気だしな 829 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/15(火) 22 56 15 ID lOwEqOK/ その他にもメンヘラとヤンデレが混同されるが、 ヤンデレ→相手原理主義 メンヘラ→自分原理主義 という大きな違いがある、とか。 830 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/16(水) 00 52 29 ID 5gM4qTLh ツンデレみたくはなりたくないがこのままだと確実にそうなる 831 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/16(水) 02 06 39 ID u7xgrF9L もし、ヤンデレ娘の体が酷く弱かったら 人を使うのか、無理して行動するのか。 832 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/16(水) 02 18 14 ID bPVGtUki ひぐらしの詩音は症候群関係なしにヤンデレだと思うんだが 833 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/16(水) 02 53 37 ID hBfzUXZv 832 あれはL5補正があるし愛しの彼を手に入れるための行動じゃないかなあ ヤンデレだったら彼が死んだら後を追うと思う それか生きてると信じてどこにいる?って探し続けたりとか まあ死んでないけど死んだ前提だったし 834 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/16(水) 03 03 46 ID bPVGtUki でもL5補正があっても詩音は6人も殺してるからな… もともと攻撃的な性格なのもあるけど 835 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/16(水) 04 18 57 ID EHOgJxZV 別にヤンデレとメンヘラは同居できない属性じゃないから両方ってことでいいんじゃね? 836 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/16(水) 05 22 44 ID PQm5QT6/ いや、ヤンデレとメンヘラは別物。 同居なんて絶対無理だろ。なんでも混ぜるなよ 837 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/16(水) 05 32 45 ID KrbTb/7l 10レスも経ってないのになw 838 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/04/16(水) 08 39 55 ID kqUt4BAm ∧_∧ (´Д`) /⌒ ⌒ヽ / /へヘ/ / / \ヾミ / `-イ `-イ /y ) // / / / ( く |\ ヽ | |\ ⌒i | | ヽ〈 ノ ) (_ノ (_/\ 839 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/16(水) 09 15 58 ID hBfzUXZv 834 それはただ殺しただけじゃんか 「さとこはさとしを縛ってる」はさとしが生きてればヤンデレだけど復讐の一環じゃただの猟奇 それに何人殺そうがヤンデレになるかとは関係ない 第一、クイーンの言葉様はザ・ワールドさんしか殺してないし楓様なんて鍋とバインダーだけだぜ? 840 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/16(水) 10 22 21 ID 27tBTzIb 別に定義なんぞどうでもいいがな 841 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/16(水) 10 22 33 ID wmrj5XTw この話定期的に出るな 最終的に荒れるからここらで終了しときなよ 842 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/16(水) 17 18 29 ID FJQb2A1x いや、むしろこう言う流れが荒らしを追放してんだろ。 荒れだす→この流れが来る→荒らしつきいるスキなし 無限ループ だからどんどん来い! 843 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/16(水) 17 45 59 ID EHOgJxZV ひぐらしだけにループ!! 844 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/04/16(水) 19 44 28 ID fPILe6RQ 843 誰がうまいこと言えと 845 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/17(木) 12 59 23 ID jpVcSRhf 大体、ヤンデレヤンデレといわれるが、 個人的に最近のヤンデレキャラをさらに細かく分けるとこうなる感じがする 1:下衆デレ 愛のためなら何をやってもかまわない、 愛のためならどんな惨劇を生み出しても許されるといった下衆っぽいデレ 2:エゴデレ 周りの人間や相手の事を考えない、まさしくエゴイズムによるデレ 1と似ているが、1が恋のためなのに対し、これは自分のためによるデレ 3:重デレ 愛の度合いが重すぎることによるデレ 愛のために自分を狂わし、愛のために追い詰められ、 愛のために全てを投げ打つ重々しいデレ にわかがヤンデレヤンデレと呼ぶキャラの殆どが1と2だったりするんだよな 846 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/17(木) 13 42 06 ID R349LUJE 最近じゃひぐらしをヤンデレっていうくらいだからなあ とループしてみる 847 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/17(木) 14 09 15 ID 2GDths/H 2番なんかはタカビーキャラによくあるな。 そういう間違ったツンデレキャラが、さらに間違ったヤンデレをするものを喜ぶ。 おおなんという志の低さよ。 でもリンゴより美味しいリンゴジュースって時々あるよね。 848 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/17(木) 14 18 41 ID UhpKlEMR 俺は大抵のりんごジュースは甘すぎて飲めたモンじゃないと思うけどな 甘けりゃいいってモンじゃないんだ甘けりゃ 849 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/17(木) 14 34 41 ID jMWqgNfF いない君といる誰か読み返すと いつもの議論で言われているヤンデレの対象から外れてるような… アレ追い出したい人がいて自演でもしてんのか? 850 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/17(木) 14 53 22 ID JvF07Qi0 あれはヤンデレ以外の部分でも十分に読ませてくれるからな 851 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/17(木) 15 05 04 ID 1Bvrvz0c 849 定義厨は荒らしだろ 構わなくていい 852 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/17(木) 18 45 00 ID oRFwsQLR そもそも全然分類になってないしな。 848 水で割れ。 853 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/17(木) 19 07 40 ID mZy8bzRU ジャーン!ジャーン! 854 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/17(木) 19 12 24 ID 6yf8mShC げえっ!ヤンデレ! 855 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/17(木) 19 24 31 ID pNArkP+i スラングの定義を求めること自体が間違いじゃね? ネット・オタクの間での常用語になった「ツンデレ」も元来の意からは遠く離れたモノに成り代わってる。 ・精神を病む ・誰かを好き の二要素を含めば即「ヤンデレ」判定が現状。 この第一要素の判定があいまいで ・元来精神を病んでいる(先天性メンヘラ ・恋愛と無関係な部分で精神に異状を来たす(突発性メンヘラ がヤンデレ判定されてて混乱を生んでいる。 前者も恋愛関係で異常行動を示す場合線引きが難しい。(例:ストーカー気質、コレクター気質) ここから先は極個人的な意見になるが 「これは萌えらんねー」→「こんなのヤンデレじゃねー」 って意見の人間も多い気がする 個人の好みや主義で範囲が変わるなら、もはや制御は不可能 そこに在るモノ全てを受け入れる、ってぐらいの心の余裕がないとスレが排他気質→戦場→荒野となるんじゃないか 余計な心配かもしれないが、ただの戦闘狂(戦闘気質ヒロインスキーではなく)も呼び寄せたらスレ存続に関わるし ヤンデレスキーの懐の深さを見せてやろうぜ 856 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/17(木) 19 30 07 ID pNArkP+i 853-854 あれこれ思考して阿呆な長文書いてる間に仲いいなお前ら 俺浮いてるじゃん つまりあれか、これも孔明の罠か 857 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/17(木) 20 54 13 ID rbNTn83M 小説を書くスレなのに自説を書いてる人たちって何なの? 858 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/17(木) 21 02 47 ID KIjfQsLs 857みたいなやつがいるから荒れるんだよな… 859 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/17(木) 21 23 26 ID XhBAhrGC 858みたいなやつがいるから荒れるんだよな… 860 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/17(木) 21 23 58 ID jpVcSRhf 855 ツンデレ自体も元はちゃんとした定義があったのに、 外からやってきたにわかが定義を好き勝手変えてしまった挙句、 ツンデレに定義はないと無理矢理結論付けてしまった 今ではヤンデレでも同じ事が発生している わかりやすく言えば、丼好きが丼のちゃんとした定義を理解していたのに、 丼のどの字も知らん奴が勝手にカレーライスを丼だと言い張り、 挙句の果てには丼の定義自体を米と具を同時に装えばいいとしてしまった つまりはそういうことだ 861 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/17(木) 21 45 03 ID kDNsgLr9 ひぐらしキャラがヤンデレにはあたらない、という意見には同意なんだけど そうでなくとも、ひぐらしの場合、作者がヤンデレに対して 「プライドの下がりきった男へ媚びてる」と批判的なわけでしょ。 御高尚なひぐらしのキャラがヤンデレだ、なんて、そのファンがいくら頑張ったところで 教祖の竜騎士にはいい迷惑なんじゃねーの。 862 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/17(木) 21 56 49 ID 8z5+O2uZ で、今日は何レス定義の議論に費やされるんだ? ここ最近更新したら伸びていて投下来たのかと思えば雑談・議論で伸びているだけだし…… そんなに議論したかったら本保管庫のBBSでやってくれよ。 863 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/17(木) 22 00 29 ID pNArkP+i 860 一行で要約すると カレー好き「計画通り!!(ニヤリ」 ってことですね わかります 862 わかりました 864 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/18(金) 00 52 54 ID rSzTcIJQ SS以外で5行以上書かれても…… 865 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/18(金) 02 00 03 ID BmKnsaqX 864レスで312KBしか使ってないからくだらない議論に長文を使うんですね、わかります 866 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/18(金) 05 14 50 ID P++eIhaS まあにわかがどれだけ迷惑かってことがよくわかるってことだたな 興味出たから来たってにわかは半年ROMるだけでも平和になると思うよ 867 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/18(金) 13 28 52 ID UJ+2l6Hx 古参の自己主張もウザい このスレ自体がそんなに古くないスレなのに何言ってんだコイツらは わからなかったら黙ってる。でも、わかっていても語らないのが大人な対応だと思います 868 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/18(金) 14 45 42 ID eC2yRS8r もうじきこのスレも三年目に突入ですね 869 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/18(金) 15 01 35 ID P++eIhaS 867 866が古参の自己主張だと思うならあと数年待った方がいい 870 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/18(金) 16 01 32 ID IniuZiYt 今度は自分を棚上げにした自治議論でつね。 871 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/18(金) 16 19 54 ID A2BrV60S うんこ 872 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/18(金) 18 04 20 ID /dmvwGUm 868 まだ二年ぐらいだと思う 俺が初代スレ見たときは確か2006年の夏だったような あの頃はお茶会の人しかいなくて酷い荒らしが普通にいたな よくここまで成長したもんだ、2スレ目がたつとは思えないぐらい荒れてた 873 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/18(金) 18 14 22 ID /dmvwGUm ごめん、3年だった 8-6の要領で2006年入れるの忘れてた 874 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/18(金) 18 19 30 ID nND0KPxZ 三年B組ー!ヤンデレ先生ー! 875 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/18(金) 18 43 51 ID p2q4r5wC 869 釣りだよな? 876 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/18(金) 19 14 37 ID jxHvGw94 873 初代スレが06年なら2年であってる 2周年が終わって3周年目に突入ってことだな 877 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/18(金) 19 53 02 ID /XyqZxjU ヤンデレ先生か… ・高校に入学式してきた男とヤンデレ先生の話 授業態度が悪く性格がルーズな男は遅刻ばかりする。自然ヤンデレ先生は男に厳しくなる。 愛情の裏返し、男に接するための理由でことある事に男に注意するヤンデレ先生(でも怒鳴らない) しかし、自分が男に惹かれていることに気付き、好きだと自覚した頃には男に彼女ができていた 男を諦められないヤンデレ先生。男の隣に居る男の彼女がヤンデレ先生を見て笑う 次第に病んでいく先生。今まで遅刻していた男は彼女と登校するために遅刻しなくなる。授業態度 も真面目になってきて、それがまた彼女の影響なのかとヤンデレ先生は思いつめて考えてしまう 「ねぇ男、どうして遅刻しないの? いつもみたいに遅刻してきたらいいじゃない。 遅刻しなくなるなんて誰の影響かな? 男は不真面目でだらしなくて多少問題を起こしてばかり じゃないと先生落ち着かないな。不真面目じゃないのは男らしくないよ…」なんて教壇でブツブツ と呟いて傍目にもヤベーんじゃね?みたいな目で見られるくらいに酷くなる (または家で独りきりになった時にだけおかしくなって誰も気づかない) そんなある日、男が友達に次にどこで彼女とデートするか話しているのを聞いてしまう。 既にアレな人になってしまっているヤンデレ先生が暗い微笑を浮かべる。後のヤンデレ孔明の誕生である。 男と彼女のデートにヤンデレ先生はこっそりストーキングをして写真を何枚も隠し撮りする。 デートの翌日学校に行くと男は生活指導室に呼ばれ、彼女とラブホテルに入っていく現場の写真を 先生から見せられ停学になる。 ヤンデレ先生が作った合成写真は学校にばら撒かれ、それを先生達が見て問題になったのだ。 停学になり、周囲から人望があり人気もあった男は次第に孤立していく。 いろいろな根拠のない噂が学校中に広まっていたが、誰もその噂の出所は知らない。 それでも男は彼女と別れず健気に頑張る。 一向に別れない男と彼女を憎らしげに見るヤンデレ先生。廊下の影から顔を半分出してこっそり男 を観察するその姿は某岩本道場の先生の如き形相である。 心が病んだ先生に既に善悪の判断はなく、薄暗くなった夕暮れの帰り道、遂に凶行に走る。 とここまで考えた。他にも3通りルートがある。 堅物美人教師が病んでいく様とか超興奮するんですけど誰か書いてくれませんね? 878 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/18(金) 19 54 33 ID /XyqZxjU ちなみに別ルートは ・ヤンデレ先生が男にまとわりつく女達を排除しながら影で見守っていくルート (堅物だから男女の関係は高校を卒業してからの事と考え、男が卒業するまで何かを待っている) ・先生が病んでいく様とありふれた日常を描くハートフルな暗黒小説ルート (誰も居ない教室で一人で授業をしたり誰もいない机に向かって注意したり黒板に延々と男の 名前を書いたりオナったりと病みっぷり満載) ・監禁ルート (個人授業・課外授業・調教ルートともいう) 879 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/18(金) 20 09 10 ID f8JXxrEv 土手で天を仰ぎながら「3年B組!」と声をあげる美人で男子生徒に人気のある坂本先生(仮名)。 そして集まってくる女生徒たち。しかし生徒たちの手には包丁・ナイフ・日本刀・ノコギリetc... わーっしょい!わーっしょい!わーっしょい!わーっしょい… 「勝鬨を上げるわよー!」 「あたしたちの彼氏を寝取ったババァの首級(みしるし)よ!」 「シねシねシねシねシねシねシねシねシねシねシねシね…」 「あんたさえ、あんたさえいなければ・・・」 わーっしょい!わーっしょい!わーっしょい!わーっしょい… その胴上げは異常を察知した婦警の大森さん(仮名)に発見され一時止まったが 彼女が手持ちの拳銃弾を死体の頭部に全て打ち込んだあと、彼女の音頭で再開された。 わーっしょい!わーっしょい!わーっしょい!わーっしょい… 880 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/18(金) 20 34 32 ID SxPwGP+3 877ちょwそこまで考えてるなら自分で書けよwww 他人のプロットでやるのは正直結構めんどいんだぞ・・・ 本人が書き忘れor気づいてない先入観的なイメージがあるからな 881 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/18(金) 21 21 45 ID d6ooqwkr まぁ実際に書き上げるのが一番大変だしなぁ。 882 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/18(金) 22 15 09 ID 85OVWaoW 877と逆の話を考えてた。 主人公は新任の男性教師で、授業やら担任の仕事やらがうまくいかずに意気消沈しているところを真面目な学級委員(女子生徒)に励ましてもらう。 委員長の手助けを受けながら、主人公は少しずつ教師生活に慣れていく。 やがて委員長は自分から放課後に職員室へ話し込みにくるなど、だんだん二人の距離が縮まっていく。 主人公は委員長に感謝しながらも、教師と生徒以上の感情は持っていなかった。委員長も真面目故に不器用な若い先生に親近感を抱いているだけのつもりだった。 しかし主人公には学生時代から友達以上恋人未満の女友達がいた。彼女と過ごしている休日を委員長が目撃してしまったその日から、世界が歪み始める…… そんな話。 忙しくて書く時間がないから、誰でもこのネタを使ってもらってかまわない。 睡眠時間削ってでも書きたいという気持ちになったら自分で書くかもしれんが。 883 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/18(金) 23 49 30 ID /XyqZxjU 880 モルダー、わたし疲れてるのよ… 俺は自分が書くよか人が書いたのを読みたい派ですから 俺としては堅物で真面目な美人教師がじわじわ病んでいく様を描いたSSが読みたいです ヤンデレとは病んでいく過程が面白い。それがより病的であればあるほど素晴らしいと思うのです 884 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/19(土) 01 06 33 ID lePuzouM 昭和初期の空気はヤンデレによく似合う 時代そのものが病んでいると、病んだおにゃのこがより病んで見えていい 885 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/19(土) 01 14 55 ID PSZHl/lV 883 それだけ精密なプロットが書けるなら書くべきだ アレだよ? 自分の手でヤンデレっ子が創造されるのはそれはそれで興奮するぜ? 884 演歌って結構ヤンデレの歌多いしな 886 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/19(土) 13 01 14 ID jRJc+pnH 885 プロットじゃなくて妄想を書いただけですから… 基本的には他力本願の男です。他人任せの卑しい人間なんです 書くと言って書けなかったり完成できなくて投げ出したりと口だけの男になった時の恥ずかしさを 考えたら恐ろしくて書けない矮小な人間なんです。 期待されると心臓が止まりそうになってハゲるんです。期待を裏切る男で有名なんです 887 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/19(土) 15 22 05 ID iKRNB0KU 男も女もヤンデレなカップルを書きたいと思ってたらそれじゃただのバカップルになることに気がついた 888 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/19(土) 15 46 05 ID MmNN+Bha 887 お互いにストーカーしあったり監禁しあったりするんですねわかります^q^ 889 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/19(土) 15 53 57 ID EzgLap7O 女「あの女の臭いがするッ!!」 男「君のほうこそ、男物の香水の臭いがついてるぞ!」 女「えっ…やだ、触られてた…?」 男「うげ、このハンカチか…」 女「消臭しよう!」 男「消臭しよう!」 ギシギシアンアン こうですか?わかりません! 890 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/19(土) 17 27 02 ID kDxo5az2 男のヤンデレは警察にタイ―ホされる可能性が高いが女のほうは警察に逮捕される可能性が少ない。 つまり女のほうがレベルが高い。 891 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/19(土) 17 53 54 ID ntGl6zy+ 887 面白そうw 892 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/19(土) 17 56 53 ID yvNpMyLl 887 SSにしてみてくれw 893 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/19(土) 21 27 06 ID tJ9GvpPn ヤンデレ家族と傍観者の兄の続きまだー? 894 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/19(土) 21 45 26 ID bEPt7q5h それは確かに待ち遠しいなぁ。あれ、兄ちゃん少し報われてない(?)よな。これからどうなるだろう? 895 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/19(土) 23 12 29 ID y27fzcAF 1000いきそうだなコレ 896 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/20(日) 02 17 42 ID Dxe2igAZ じゃあ1000いく前に質問!ヤンデレとドMって両立できる? 897 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/20(日) 02 55 49 ID Vhw0RUs2 ぶっちゃけ弟が主人公みたいになって(ry 898 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/20(日) 02 56 30 ID F5ji2GT5 どっちも可能ではあるんだが、ドMゆえにSな恋人に躾けられてるうちにヤンデレになっちゃったのか、 好きな相手に構ってもらってるという証としてM的なことをされることを欲し始めちゃったのでは大分違うな そもこの場合のSMってのは言葉で攻めるとか多少拘束するとかのソフト系? 本当に傷とかつけるハード系? いやSMには詳しく無いからよくわかんないけど。 899 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/20(日) 03 35 11 ID g1rDtAc4 SMとは、相手に深刻なケガを負わせたりしない&深刻な傷を受けたりはしないという信頼の元に成り立つプレイなので とにかく構われたいタイプのヤンデレか、SMしてるうちに相手にベタぼれしちゃったM子あたりなら両立は可能ではないかと。 自傷癖の延長とかなら、むしろ物足りないんじゃね 900 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/04/20(日) 06 18 30 ID WWUQ5a6O 投下します。第十話です。 901 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/04/20(日) 06 21 37 ID WWUQ5a6O 葉月さんと二人きりで歩く通学路。 それは、同じ高校に通う男子生徒垂涎のシチュエーションである。 ここ最近はほぼ毎日葉月さんと登校している俺であるが、飽きたと思ったことは一度もない。 嬉しいに決まっている。可愛い女の子と一緒に肩を並べて歩くなんて、 少し前の俺だったらうさんくさいまじないに頼ってでも叶えたい願いだったのだ。 だがしかし、今日はどうもいい気分になれない。 嬉しくはあるのだが、それ以上に気に掛かることがあってどうしようもないのだ。 ――弟は今、どこにいるんだ? 「でね、昨日お父さんにチョコレートあげたら、いきなり道場に行っちゃったの」 「へえ……」 「なにするつもりかなと思って見に行ったら、明かりもつけずに一人で正座して黙想してたの。 すっごい喜んでたみたいだけど、もらえてそんなに嬉しかったのかな、チョコレート」 「……ああ、たぶんね」 チョコレート。昨日はバレンタインだった。 なんだろう。最近ではバレンタインにチョコをあげた男子を誘拐するのが流行っているのか? 弟がモテているということは知っている。 弟が中学に上がってきたときいきなり大量のラブレターやら熱烈な告白を受けているということも風の噂に聞いた。 弟を誘拐して飼いたがる女子が居てもまあおかしくはないな、と思っている。 だが今まではこんなことは無かった。 せいぜい着衣に乱れのある状態で帰ってくるか、両手に紙袋を持って帰ってくるぐらい。 十四日が過ぎて、翌朝になっても帰ってこないなんて初めてだ。例外だ。 無断で外泊しているだけかもしれないが、弟の性格からしてそれは考えにくい。 そもそも、今生の別れを匂わせるようなメールを送るなんて冗談が過ぎる。 しかも、俺宛に送ったメールとは対照的に、両親には外泊するから心配要らないという内容のメールを送っていた。 周到な。おかげで両親は弟が友人の家に泊まっていると信じて疑わなかった。 弟はこんなことしないはずだ。頭の出来がどうこうじゃなくて、こんな意味不明なことはしない、という意味で。 待てよ、携帯電話を誰かに奪われているなら―――― 902 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/04/20(日) 06 22 37 ID WWUQ5a6O 「ねえ。……ねえってば!」 耳のすぐそばから聞こえてきた声に思考を留められた。 声のした方向、左を向く。葉月さんが俺の肩を掴んで揺さぶっていた。 「どうかしたの?」 「話、ちゃんと聞いてた?」 「あー……うん。もちろん。お父さんの話でしょ。 そりゃ、嬉しいに決まってるよ。男はいくつになってもバレンタインチョコをもらえたら嬉しいものだから」 「ふーん、聞いてはいたんだ。それなのにいまいち反応が良くないのは……」 突然葉月さんが前に回り込んだ。正面から向かい合う形になり、立ち止まる俺。 葉月さんがいたずらを企んでいそうな笑い顔をしてのぞき込んでくる。 「ふふふ。……もしかして、拗ねてる?」 「なんで?」 今の会話のどの部分に不平不満を覚えるというのだろう。 ただ葉月さんが父親にチョコレートを渡した、というだけの話だったはずだ。 俺がいつまでも黙り込んでいると、葉月さんは不思議そうな目で見つめてきた。 「え……と、あれ? ほ、本当にわからない? 何か不公平さを感じたりしない?」 「いや、特には」 「だって私、昨日あなたにあげてないよ? チョコレート」 ――ああ、そういうことか。 父親にあげてどうして自分にはくれないのかと俺が思っている、と。 ふうむ。言われてみれば少し悔しさが沸いてくる。 昨日もらえたのは、弟から押しつけられたチョコレートの箱と何故か入れ替えに鞄に入っていたオレンジ色の箱のみ。 昨晩は弟の帰宅を待っていたせいで開けられなかった。よって、昨日のカカオ摂取量はゼロ。 もし葉月さんからもらえていたのなら食べていたのだろうが、もらえなかったものは仕方がない。 それに、チョコをもらなかっただけで心を乱しているように思われたらかっこ悪い。 ここは平静な振りをするとしよう。 「俺は昨日葉月さんと一緒に帰れたから。それで十分だよ」 「え、ホント!? ――っじゃ、ない。違う違う、そういうことじゃなくって、その……あのね」 「ん?」 「……ううん、なんでもない」 葉月さんは短いため息を吐き出し、再び隣について歩き出した。 903 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/04/20(日) 06 23 48 ID WWUQ5a6O * * * 昼休み。昼食を食べ終わった後で携帯電話を取り出して開き、何度かボタンを操作する。 指を止め画面をじっと見ていると、合体させた机を挟んで向かい側に座る高橋に話しかけられた。 「何をやっているんだ君は。今日はずいぶんと熱い眼差しで携帯電話を見つめているじゃないか」 「ん……そうだったか?」 「うむ。数学の時間に暇だったから君の行動をじっと観察していた。 そうしたら君は授業開始、それから十分後、次に五分後、その後は数分も経たないうちに携帯電話を操作していた。 君がそこまでするなんて滅多にないからね。で、何をしていたんだ?」 「メールの問い合わせ」 「誰からの連絡を心待ちにしているんだ?」 「それはもちろん、誘拐されたお……」 「……誘拐?」 あ――しまった。 変なことを言ってどうする。そもそも誘拐されたかどうかすらはっきりしていないんだぞ。 「すまん口が滑った。今の無し。忘れてくれ」 「誘拐とは穏やかじゃないな」 高橋が神妙な顔をしながら腕を組んだ。失言を忘れてくれそうな気配、一切無し。 気にしないでくれ、頼むから。変に話を大きくされたら困るんだ。 「誰がさらわれた? 君の周りにいる誰かか? もしや――一年女子の間でダントツの人気を誇る弟君ではあるまいな?」 思わず息を呑んだ。 こいつ、どうしてそんなことがわかるんだ? もしかして俺の顔に書いてある、とかか? まずい。ごまかさないと。 「違う違う! そういう物騒な話じゃないんだって!」 「しかし日常的に誘拐という単語を口にするのはその道のプロかアマチュアか、物書きぐらいだろう。 君が物作りに並々ならぬ熱意を持っているのは知っているが、犯罪や小説の執筆に関しては門外漢じゃないか。 正直に白状したまえ。何かあってからでは遅いんだぞ」 「むぐっ……」 何かあったから正直に白状できないのだが、そういう場合はなんと言ったものだろうか。 前言撤回、高橋には通用しない。 最近サスペンスドラマにはまっている、なんて言ってしまって深く追求されたら答えられない。 こちとらテレビはバラエティしか見ていないのだ。 こんな時は対象の興味を他に向けるのが一番。 よし、いちかばちかだが、高橋の後ろを指さして「あ! 篤子先生がスカートをたくし上げて潤んだ眼差しでこっちを見ている!」でいこう。 こんな手を使うのは初めてだ。高橋の篤子先生への情熱を考えれば、成功率は五分といったところ。 やってみよう。勇気を振り絞って。恥を我慢して。 904 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/20(日) 06 27 57 ID U7h/b+ze つ④? 905 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/04/20(日) 06 28 24 ID WWUQ5a6O 高速で右手の人差し指で高橋の肩の後ろの何もない空間を指して叫ぶ。 「ああ! 篤子先生が――――あ?」 狙いをつけずに指した方向には見知らぬ女子生徒が居た。場所は教室の黒板側の入り口。 女子生徒と視線がぶつかる。そりゃ、いきなり指さされたら不審に思うわな。 なんとなく悪いことをした気分になりながら腕を下ろしていく。 すると、なんということだろう。さっきまで視線を交わしていた女子生徒がこちらに向かって来るではないか。しかも表情が険しい。 もしや葉月さんを慕う、石鹸の香り芳しい多年草的な嗜好を持ち合わせている人たちの一人? またピンチかよ。しかも高橋に問い詰められるよりやばい。 女子に問い詰められたら反撃できない。もし泣かれたらうろたえるしかできない。 そんなことを考えているうちに女子生徒はすぐ目の前にやってきていた。 机の上に手をつき、拳二つ分ほど空けた距離まで顔を近づけてくる。 相変わらず表情は険しいままであったが、近くで見たその顔は俺への嫌悪を宿してはいなかった。 むしろ追い詰められ、俺に救済を求めているようである。 「先輩、正直に答えてください。とっても大事なことなんです」 後輩らしき女子の問い詰めに対して俺は頷きで返事した。ここで首を振るほど俺は愚かではない。 顔つきだけでなく声の調子まで緊迫しているのだ。言うとおりに大事な用件なんだろう。 「先輩の弟さん、今どこに居ますか?」 「え……。弟?」 弟の所在を聞いてくる、ということは。 「君、もしかして弟の?」 「同じクラスです。それと、あと……」 女子生徒はそこで斜め下に視線を逸らした。 なるほど。この子、弟のことが好きなのか。例の弟のファンクラブの一人かも。 「悪いけど、弟がどこにいるのかは俺にもわからないんだ。あいつ、昨日からどこかに出かけているみたいで」 「嘘……じゃあ、本当に居なく……? 手がかりとか、行きそうな場所とか」 首を横に振る。もしわかっているならここでじっとして考え込んでいない。 突然肩を掴まれた。強く掴まれたが痛みは覚えない。 女の子の腕が震えているのは弟が居なくなった恐怖からきたものか? 本当に、たったそれだけでここまで青ざめた顔をするだろうか? 「お願いします、もう少しだけ、深く思い出してください。じゃないと私、私たち……」 「ねえ、どうしたの? 弟が学校を休んでいるだけでそこまで心配しなくても」 「違うんです! 先輩が思い出してくれないと、私まで危ないんです! 消されちゃいます!」 「け、消されるう?」 それは眉毛に引いた線を消されるとかいう意味じゃなくて、存在自体ってこと? 弟が消えたから、今度は自分の番だと? まさか、神隠しでもあるまいし。 女子生徒を安心させるための言葉を選んでいると、複数の視線を感じた。 昼休みの教室内だから人の目はもちろんある。だが、特に強いものが一つある。 左に目を向けると高橋の顔がある。眼鏡の向こうの瞳にあるのは静観の意志。気になるほどのものではない。 とすると一体誰が? 次は右側へ顔を向ける。 すると、いきなり鋭い眼光を放っている人物と視線がぶつかった。 906 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/04/20(日) 06 29 51 ID WWUQ5a6O 葉月さんだ。女友達との話を止めて俺を見つめている。 女友達の輪の中でも際だつ美しさを彼女は持っている。が、今は瞳の中で炎をごうごうと燃やしていそうなご様子。 あれは怒っているのか? 俺に対して? 女の子に対して? 両方? いずれにせよあの状態はまずい。既視感、既知感、嫌な予感。 まるで弟の勉強を見ている最中に睨み付けてくる妹のよう。 葉月さんから目を逸らす。じっと見ていても事態は解決しない。 まずは肩を掴んで俯く後輩をなんとか帰さなければ。 「とにかく落ち着いて。弟ならきっと明日には何事もなかった顔で登校してくるはずだから」 「駄目です。それじゃ遅いんです!」 「どうして?」 「だって明日まで、ううん、きっと今日中に私たち……皆居なくなっちゃいます」 「だから、なんで居なくなるの?」 「あの女は待ちません! きっと腹いせに私たちに言えないような……ことを、してきます。絶対そうです! そうじゃなきゃ、あんな。あんな、血がいっぱい出るようなこと……」 カチカチと音が鳴る。歯と歯が当たる音を立てているのは後輩の女の子。 相当な恐ろしい目に遭ったことに違いない。そしてそれをやったのは同性である女の子。 誰だ? 弟が居なくなったことに動揺し、暴力を振るう人間。そして、そいつは弟の行方を気にしている。 あれ――どうしてそいつは直接俺のところに来ない? 行けない理由がある? 俺と顔を合わせたくない? 俺とは会いたくもない? もしそうだったとしたら、そいつは俺を嫌っている。 女の子で、弟のことが好きで、俺のことが嫌いで、他人に暴力を振るえるやつ。 一人だけ心当たりがある。あいつだ。 後輩の女子に声をかけようとしたら、突然彼女が顔を上げた。 いや、無理矢理上げられたと言った方が正しい。彼女は前髪を引っ張られていたのだ。 「いっ……たい。やめて、もう許し、て……」 「遅い。もう待てない。お前のせいで顔を出すことになっただろう。……どけ」 頭を引っ張られて女の子が倒れる。高橋の方に倒れたおかげで床にはぶつからなかった。 闖入者と対峙する。さっきの予測通りだった。 髪は金色で長く、白い絆創膏で頬を隠していて、瞳に俺への憎悪を漲らせていた。 喉が締め付けられる。俺はそいつが怖かった。 目とか行動とか口調とか、どれかが怖いんじゃなくて、いずれも怖ろしかった。 だけど逃げることもできない。ただ俺は黙るしかできなかった。 ふと、頭の中に疑問が浮かんだ。そしてすぐにそれは解決した。 どうしてこいつが、二度と顔を見せるなと言ったこいつが俺の前に顔を出したのか? 決まってる。そんなの、たった一つの答えを求めているから。 「アニキ。あんたの弟――あいつは今、どこにいる?」 葵紋花火が一番に気にかけるのは、弟のことだから。 907 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/04/20(日) 06 31 50 ID WWUQ5a6O 今回はここまで。 最近書いていなかったので、少しずつペースを取り戻すつもりで短めの投下です。 あと、ミス情報。 903の下から7行目の 前言撤回、高橋には通用しない。 は 前言撤回、は高橋には通用しない。 でした。ごめんなさい。 908 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/20(日) 07 09 43 ID CU9IwQJ8 おお リアルタイムに遭遇したw GJ 909 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/20(日) 09 14 30 ID hnwgHXxF お久しぶり グッジョブルゴーニュ 910 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/20(日) 10 08 55 ID txa9OQed GJ 911 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/20(日) 10 54 55 ID UcrLSDdr GJ! 912 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/20(日) 11 41 40 ID 34bszVtQ 相変わらず緊張感あふれる話GJ。 913 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/20(日) 14 48 16 ID JLvvD+8o おいおい…俺が出掛ける前に確認した5分後に投稿されちまったよ。でもGJ!本当に楽しみにしていました!続きもまた楽しみにしているので、じっくり書いといてください! 914 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/04/20(日) 16 14 45 ID TX/cIHvp 915 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/20(日) 16 32 04 ID uS9UXXEQ おお傍観者の兄来てた! GJ! 相変わらず次の話がwktkだぜ ってか葉月さんが可愛すぎるw 916 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/20(日) 16 39 30 ID 1fjKjUSh これは葉月さんvs花火にwktk 917 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/20(日) 16 57 31 ID ucgutHcy GJ! アニキはマジで理不尽な目によくあうな…幸せを願わずにはいられない。 918 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/20(日) 18 12 12 ID +YC0cGu/ バカ野郎、兄貴は葉月さんといういい人に想われてるじゃないか、幸せ者だぜ ヤンデレ予備軍? いいえ、一途なだけです 919 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/20(日) 20 55 10 ID 1XEz4lx3 兄貴逃げてー!弟に関わっちゃダメー! 920 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/21(月) 05 21 16 ID b7eaewG+ GJ! だが兄貴自分が物凄いヤバイ位置にいることに気づけw 921 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/21(月) 06 04 46 ID TbaMmDOz http //blog.livedoor.jp/pasoku_matome/archives/51114821.html ↑ここを見ていたら特に気になったレス 幼馴染を振る→幼馴染が社会人と交際(当時中学生)→ 幼馴染処女喪失→高校で再度付き合う→処女じゃない事を知る 俺後悔してもしきれないほど悩んで泣いた なんで振ったんだろうって泣いた でも処女じゃないし若干調教されてる(てた)の知っても 別れる気にはならなかった 結局はその人が好きか好きじゃないか 本気なら処女非処女関係なく付き合える 俺ならその女になんて言ってやるだろうと思って、とあるヤンデレの有名な台詞が頭に浮かんだ。 「例えばお前等がその昔・・・幼き頃、捨てられて凍えている子犬を助けたことがあるとしよう・・・でも死ね。」 ヤンデレの一途さを一度味わったら、簡単に他の男に移る現実の女で童貞なんか捨てられないな。 922 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/21(月) 09 16 39 ID A5xCnPb+ 921 それ実際はかなり辛いよなあ でもヤンデレならって考えちゃうあたり俺ももう手遅れだな 923 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/21(月) 10 16 19 ID hUGgvNlj 921 というかこのパターンは男が自業自得だよな、どんな理由であれ振ったなら別の男に行くのは仕方ないね しかし割り切って一歩進んでるわけだし偉いと思うよ、てか俺もリアルでは付き合うのに処女とか関係ないね むしろ経験のあるひとにセックスを教えてもらいた…まぁスレ違いだな、すまん 924 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/21(月) 10 53 08 ID TbaMmDOz まあ確かに世間一般の倫理では振られたら素直に諦めるのが相手に対する誠意なんだが、 ここではそれじゃあビッチ扱い、ストーキングする事が相手に対する敬意であり誠意なんだよな。 925 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/21(月) 11 28 35 ID +RBXkFrz 自分が悪いだけに男はやりきれないな 926 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/21(月) 13 20 30 ID RXKZ1T/a 921 処女非処女とかで悩んで泣くなんて・・・。 そしたら風俗嬢と結婚した兄貴なんて大変よ。 927 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/21(月) 15 31 39 ID eiuI+4Pl 926 全俺が泣いた 928 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/21(月) 17 49 39 ID usX4L/a0 926 兄ちゃんかっこいいな、北の国からの純みたいじゃん!まぁ、純は別れたけど・・ 929 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/21(月) 18 10 55 ID vRomEwn1 926 というか処女非処女って発想自体が童貞くさいよな。 あげくに泣くとかどんだけw 930 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/21(月) 19 43 33 ID kef2E0xM ここから先ラス投下ラッシュ 931 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/21(月) 22 33 43 ID RXKZ1T/a 929 兄貴は関係ないけど俺は処女に拘ってますがなにか(´;ω;`) 932 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/21(月) 22 36 02 ID 1iMmkZdf 二次元の世界でこだわるのは分かるんだが 現実で処女にこだわる奴の気持ちが分からん 933 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/21(月) 22 39 04 ID ezsU377b おまえらスレチだぜ自重しろ 934 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/21(月) 22 58 48 ID x/CuoINb ヤンデレ娘は処女が合うか、非処女が合うか・・・ まあ、非処女でも血は出るし、痛がるし、 処女膜なんて関係なくて、要は男が如何に女を感じさせて 膣内を濡らしてるかがポイントらしい 935 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/21(月) 23 40 51 ID xpf5kd97 ー 936 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/22(火) 00 55 03 ID yYUOAElU ヤンデレ娘は小学生の時に男の持ち物で辞意をしたから非処女です 937 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/22(火) 01 40 17 ID oUKZ6soz それエロ漫画でもたまに見るけど、主人公を思って破ったとはいえ残念な設定だな 何故待てなかったんだ…とか思う 938 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/22(火) 02 03 20 ID 95lE8xk6 愛ゆえに 939 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/22(火) 03 11 08 ID Fxg7zdXL 「こんなに苦しいのなら、膜などいらぬ!」 悲しい女よ。誰よりも愛深きゆえに。 940 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/22(火) 05 43 43 ID JDMXZ0Wa 裸王 乙 941 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/22(火) 08 24 17 ID RrOs48yL 裸王ではなくて、性帝だがな。 942 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/22(火) 11 31 29 ID ZXx6iWhO 「男君……もう一度ぬくもりを」 ででででーでんでででででん♪ ボーナス、確定ッ!! 943 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/22(火) 11 39 39 ID Z9IHIfLh 退かぬ (男に)媚びるが 省みぬ!! 誰よりも愛深き故に愛に狂った女か…でかいピラミッドを男のために造らせるんだな 944 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/22(火) 12 13 00 ID wKTj/ttw 942 スロッター自重しろww 945 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/22(火) 12 17 40 ID 95lE8xk6 はーい、今週も始まりました、性帝のヤンデレラジオ GO-SHO-HA! 946 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/22(火) 12 27 41 ID ez61WH4Z お前達どんだけ北斗好きなんだよw 947 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/22(火) 13 55 31 ID 76t1WKgj 北斗にはシンを筆頭にヤンデレ多いからな。 惜しむらくは全員男だという点 948 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/22(火) 18 04 42 ID ddPvQCNt 947 「このラオウの思い届かねば、ユリアにも死あるのみ」とかかw この発言もいつもの定義厨に言わせれば自分中心の考え方はヤンデレじゃない、とか騒ぎ立てるんだろうけど 949 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/22(火) 18 23 09 ID FeBJn2YY ジュウザとか性別逆ならかなり萌えるんだがなw 950 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/22(火) 19 26 01 ID Smign5jC ユダは間違いなくヤンデレ 951 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/22(火) 20 24 12 ID a1svpmS2 フドウは外せないでしょ。暴れ物の本性を隠しての道化芝居は何かやってくれそう。 952 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/22(火) 22 24 35 ID wsaVpxaf 947 リハクの娘のトウもけっこうヤンデレ(攻撃性は皆無) ユリアの代わりにおもちゃにしてくれてもいいです! ダメなら自殺します! 953 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/22(火) 22 39 10 ID crqNDyc0 そろそろスレチだな。もうおまえらジョジョ板で話してこい。 954 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/23(水) 01 01 56 ID ScD05Zc0 俺が好きなヤンデレ言葉 「あなたの彼女は、私なんですよ?」 955 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/23(水) 01 05 31 ID deJm60V/ 俺が好きなヤンデレ言葉 「ずっと一緒です」 956 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/23(水) 01 21 14 ID nE7DAgvz 超短編 「安曇君……」 また、やってしまった。 グラウンドで部活をしている安曇君の姿を見ながら 誰もいない教室で自慰にふける。 我ながら、どこかおかしいことも自覚している。 でも、ヤメラレナイ。 安曇君……。 安曇君が私の思いに気づいてくれないのが悪いんだよ? こんなにこんなにこんなに思ってるのに。 教室でオナニーしちゃう変態さんなっちゃったのも安曇君のせいだよ? だから せきにんとってくれるよね? 957 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/23(水) 02 11 08 ID FMrzXYQ8 一番大事なのは好きになった相手を「思う過程で」病んでしまう事 結果的に精神病のようになったのならともかく 元々精神病だった子は(少なくとも狭義の意味には)含むべきじゃないのも確か 958 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/23(水) 08 47 59 ID z4w6aGQF 956 なんていう短編 でも萌える(´∀`) 959 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/23(水) 19 18 54 ID mtTSZ6jn 1970年代の映画見てたんだけど、ヤンデレが多いのはいいが髪型ダサくてなんだかな(´・ω・) 960 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/23(水) 20 02 36 ID H/UguVVZ それはヤンキー姉ちゃんがツンデレしてるだけ 961 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/23(水) 20 59 31 ID z4w6aGQF このスレはもう少しだからいいけど次スレからは議論はやめにしてくれ…… 962 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/23(水) 21 11 25 ID mtTSZ6jn 961 素人か?スルー覚えようぜ。 963 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/23(水) 21 17 06 ID zNJTcDvn 962 お前がいうことではないなw 964 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/04/23(水) 21 50 05 ID RC30XAmd 喧嘩はやめよう 965 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/23(水) 22 00 36 ID z4w6aGQF けんかするつもりはなかったですが……スレ汚しすみませんでした 966 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/23(水) 23 11 46 ID 5oIZeY6k スレ汚してしまったからこれ以降浄化するため神が現れるでしょう 967 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/23(水) 23 33 28 ID sNl+0M+K 次スレ http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1208961158/ 968 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/24(木) 22 05 24 ID MIC/HPD9 ヤンデレカルタのPVがでてる http //www.nicovideo.jp/watch/nm3086125 969 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/26(土) 01 23 11 ID zn3invok あーあ、誰か ヤンデレの武闘派愛情表現を全て力ずくでねじ伏せ、弟を狙うヤンデレを猛烈に支援してて、いつの間にかヤンデレが弟ヤンデレに勘違いして命を狙う構図になっていて、一時はヤンデレvs弟ヤンデレになるんだけど それも武力行使で制圧して ヤンデレに刺されてもサラシで止血して終わりな そもそもヤンデレを病んでると思わない程心の広くて、馬鹿で普段は冷血だけど興味を持つと一途で面白いこと大好きで超人な主人公 の小説書いてくれねーかなー 970 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/26(土) 01 27 46 ID pmqktdo9 日本語でおk 971 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/26(土) 15 08 29 ID k9CC72Vh たぶん、ヤンデレに巻き込まれない主人公のSSが読みたいと言っているんだろう。 主人公最強設定の中二病漫画的SSになりそうだが…。 972 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/26(土) 18 34 28 ID fV925+VN 確かにヤンデレに勝てる主人公ってのは読んでみたい 973 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/26(土) 19 10 16 ID TERLz9OD 勝てるのはベクトルの違う基地GUYだろw 974 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/26(土) 19 15 11 ID zVyaCUYy ヤンデレに勝てる主人公ならNao2をオススメする 射殺したり奴隷にしたりするよ 975 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/26(土) 23 33 25 ID UvqDZ014 そうゆうのじゃなくて、向けられる愛を上手に捌ける主人公がいい 976 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/27(日) 00 56 22 ID lac1+xMT ヤンデレを最終的には癒してしまう、超男前主人公ということか? 977 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/27(日) 06 34 06 ID nMo5woZf ひぐらしのレナはヤンデレじゃないが、例えるならそんな感じか?罪滅し編みたいな 978 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/27(日) 10 51 00 ID nMo5woZf 文の主旨間違えた。レナじゃなくて罪滅し編そのものだった。あーゆー話が欲しいんじゃないか? 979 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/27(日) 13 01 41 ID dHJVDZqA 977 978 ヤンデレ的に言うとBAD ENDだろ・・・常考 980 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/28(月) 11 42 23 ID BuOZBwvN いや、別に癒されなくても物語にはなるだろうし、 上手く書けば割とほのぼの(謀略その他が空回り)したヤンデレ話になるんでは? 981 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/28(月) 13 44 14 ID BxtaRLEZ 981ヤンドジ思い出した 982 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/04/28(月) 15 04 17 ID URl3Lesh 981 なるほど、参考になった
https://w.atwiki.jp/i_am_a_yandere/pages/1083.html
201 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/14(金) 19 08 01 ID bhJyyyIG いえいえそんなお返しだなんていいんですよ気を遣わなくて! 一ヶ月前、チョコと一緒に入れておいた書類さえもらえれば…ね。 202 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/14(金) 20 42 29 ID F/HSB6Ll 今年度は我々ヤンデレスキーにとって飛躍の年でありました。 ヤンデレ大全の販売、コミックマーケットで販売されたヤンデレキャラを主にしたゲームの登場、 SNSの有志が主催する同人誌即売会の開催など、ヤンデレの知名度は上がるばかりであります。 しかしながら、ヤンデレ属性のキャラクターに対する誤解も広がってもおります。 刃物などの凶器を振り回している、高笑いしているだけ、男につきまとっているなど、 一般的な感覚から見て過剰ととれる行いをするだけでもヤンデレと認識されるのが現状です。 また、我々ヤンデレスキーに対しても同様です。 ヤンデレ好きの人間は、刺し殺されたいという願望を持っている、刃物を振りかざす女性が好きである、 凶行に走る女性の手助けをする、自身も犯罪を犯す可能性がある、と心ない人々に思われています。 精神を病んでさえいればデレが無くてもヤンデレである、と認める人達もおります。 このように我々を取り巻く環境は厳しくなっております。 今後もヤンデレ属性に対する誤解の拡大が懸念されます。 我々の活力の源はヤンデレ属性の女性の存在です。 返答を間違うだけで命の危険にさらされるほど強力なヤンデレから愛されることを望みます。 我々の精神の安定・安心をはかるには、最低でも隣の家に住むヤンデレに目覚めた幼なじみと、 同じ家に住む過保護な姉、もしくはツンデレな妹が必要であると考えられます。 我々ヤンデレスキーは一致団結し、ヤンデレ抜きの生活の改革を実現する構えであります。 203 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/14(金) 20 57 48 ID UnHzYT4O 「○○は私のもの」っていうのと 「○○には何されてもいい」っていうのは タイプが違うヤンデレなのかな? 一人のヤンデレがどっちの台詞とも言ったりするかなぁ。 204 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/14(金) 21 16 27 ID Cv5LnGUV もともと病んでる人が他人を好きになるみたいなのは違うように思うんだ どっかのまーとかみーとかパーとかペーとかいうラノベを読んでいるとどうしても違和感が付きまとう 205 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/14(金) 21 51 53 ID UnHzYT4O てことは>>「○○は私のもの」とか>>「○○には何されてもいい」とか いう思考回路はヤンデレにはあまりみられるものじゃなかったりする? 206 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/14(金) 22 08 26 ID BhN2NzJy パーとかペーて誰のことだ? 207 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/14(金) 22 12 02 ID RgAL6XXe 206 林家だろjk それともそれはまさかギャグで言っているのか? 208 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/14(金) 22 12 05 ID KEVPcaQ6 ピンクのおっさんとおばさんが頭に浮かんで他を想像できねぇw 209 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/14(金) 23 05 58 ID 8Kt9MiTH 202近年稀にみる演説に拍手を送りたい。 210 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/14(金) 23 19 21 ID ju6rT4iZ 私はかつて、マナマナという名で呼ばれたこともある女だ 211 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/15(土) 00 45 44 ID hHZZFRkG 210 総帥こんなとこで何やってんスかw 212 名前:名無しさん@ピンキー[age] 投稿日:2008/03/15(土) 08 36 26 ID 4dsk07Ss ヤンデレっ娘に「別れよう」と言ってみよう。 ヤンデレっ娘の目の前で、他の女性とキスやセックスをしてみよう。 ヤンデレっ娘の目の前で「俺お前の事嫌いなんだ」or「俺他に好きな人いるんだ」と言ってみよう。 ヤンデレっ娘に内緒で遠い場所に引っ越してみよう。 ヤンデレっ娘に「俺ツンデレ以外好きになれないんだ」と言ってみよう。 ヤンデレっ娘に【堂々と】「キャバクラ逝ってくる」といってみよう。 ヤンデレっ娘の事を命が続く限り無視してみよう。 ヤンデレっ娘に「俺BLスキーなんだ」と言ってみよう。 ヤンデレっ娘に内緒でエロDVDやエロ雑誌を集めてみよう。 ヤンデレっ娘を監禁して自由に恋愛してみよう。 ヤンデレっ娘の娘を溺愛してみよう。 ヤンデレっ娘の事を【何があっても】絶対に拒絶し続けよう。 友達がレポートのために全部やってみようと言ってるんですが、どうするべきですかね? 213 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/15(土) 09 48 15 ID OLXVT0jm 212 それを全部やるってのは、空を飛びながら地表を歩きながら水中を進めって言ってるようなもんだぞ 214 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/15(土) 09 57 00 ID UrOuOBzV とりあえず100人で行う事をおすすめする。 何人生き残れるか? 215 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/15(土) 10 04 21 ID tInMXHwm 213-214 の流れを見てレミングス思い出した。 216 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/15(土) 10 25 27 ID mrI5qiSB あのなぁ、ヤンデレっ娘って実は共生体なんだ。 対象となる男がいて、始めてヤンデレっ娘になる。 つがいでしか成立しないんだ。 貴重なヤンデレっ娘をそんなくだらんレポートで失う訳には行かん!! 217 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/15(土) 12 20 43 ID GCastQuK 212の内容を全て検証するのは不可能だろう。 ヤンデレっ娘はたった一人しか愛せないから、男が百人居ようとも 212の友人しか見ないはず。 どれか一つ実行した時点で監禁 調教されることは間違いない。 その無謀な友人は 212、君が体を張って止めるべきだ。 友人がオリバさん並に頑強な男ならばもしかしたら、という望みはあるが。 218 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/15(土) 12 29 30 ID hHZZFRkG てことは、件のヤンデレ娘はジャバ・ザ・ハットみたいなアレか…。 219 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/15(土) 12 46 02 ID iHWfz5do つまんないからやめてくれ 220 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/15(土) 14 59 25 ID +b50LJmP リアルで好きな子に首絞められて目覚めてしまった・・・ 221 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/15(土) 15 06 00 ID +b50LJmP 寺誤爆・・・ごめんね もう・・・7年も前の話・。。。 222 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/15(土) 15 23 27 ID Twly2CQK 人生はつまらないからこそ、くだらないことが面白い って姉さんが言ってた 223 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/15(土) 16 48 00 ID UrOuOBzV グゥレイトォな姉だな。 大切にしろよ。 224 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/15(土) 23 39 05 ID 0genp+2h ヤンデレっ娘に内緒で遠い場所に引っ越してみよう。 ヤンデレっ娘に「俺ツンデレ以外好きになれないんだ」と言ってみよう。 ヤンデレっ娘に【堂々と】「キャバクラ逝ってくる」といってみよう。 ヤンデレっ娘の事を命が続く限り無視してみよう。 ヤンデレっ娘に「俺BLスキーなんだ」と言ってみよう。 ヤンデレっ娘に内緒でエロDVDやエロ雑誌を集めてみよう。 とりあいず命だけ助かりそうなのをリストup 225 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/15(土) 23 46 38 ID 7Oq+mqRn 鳥会津? 226 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/15(土) 23 49 41 ID qjPdj1AZ ヤンデレっ娘に内緒で遠い場所に引っ越してみよう。 ヤンデレっ娘に【堂々と】「キャバクラ逝ってくる」といってみよう。 ヤンデレっ娘に内緒でエロDVDやエロ雑誌を集めてみよう。 この三つはちょっとやってみたいな 227 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/16(日) 01 16 28 ID LPjtezr5 俺の部屋にあったエロDVDがひとつ残らず消えてたことがあった 家族に聞く訳にもいかないからそのままだが 228 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/16(日) 02 18 42 ID fM3rbUZ+ なんで創作スレでリアルの話になるん? 229 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/16(日) 03 08 04 ID vTOFb/SQ 今日読んだ海外のSF小説のヒロイン(顔に傷あり)が、 主人公が他の女とキスしてるところを目撃してしまって、 「わたしには彼しかいないのに」とさめざめ泣いた後、 彼らが滞在している都市を敵方に売っ払って、ピンチになった主人公を助けることにより もう一度彼の心を自分の方に向けさせようと画策していた。 ヤンデレは世界共通の萌え要素なのだと確信できたぜ。 230 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/16(日) 11 10 23 ID 3w/k4qVp なぁ、アニメのワンピースに出ているカバってヤンデレ? 231 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/16(日) 11 12 37 ID jaOKC1v+ なんでもかんでもヤンデレってなぁ・・・ 232 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/16(日) 12 10 16 ID Vb7PNAGQ 勘違いヤンデレが増えるくらいならブームにならずマイノリティのほうがいいや… 233 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/16(日) 12 21 39 ID PrNHcmtC ↑同意せざるを得ない 234 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/16(日) 12 23 08 ID BBHWAhYH ちょっとストーカーすればヤンデレ リストカットで脅せばヤンデレ ヤンデレは相手のことを第一に考えるんだよ 相手の事脅したりはしない 235 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/16(日) 13 20 51 ID uZKU5xYj 確かに脅しはないな でも嫉妬から派生する暴力は場合にもよるが個人的にはアリだと思う 236 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/16(日) 17 09 45 ID Oiubn1GM 「別れるっていうんなら、死んでやる!」 と言いながら手首にカッターの刃を立てるんじゃなくて、 「お願いだから別れないで」とか、 「馬鹿なこと言わないで。私はずーっと、あなたの彼女なんだから」 という内容の電話やメールを送り続けたりするわけだな。 うん、脅されるよりもお願いされる方が健気で可愛いね。 237 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/16(日) 17 35 30 ID YZucyE3+ 積極的に脅すのと、結果的に脅してるのとでは、やっぱりちょっと違うよね 238 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/16(日) 18 20 21 ID OsZMSLsO ヤンデレ道は奥が深い… という訳で 新作及び連載の続編と、俺に惚れてくれるヤンデレを全裸で待つか。 239 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/16(日) 18 45 10 ID PrNHcmtC なんか最近定期的に来て下さる作者達が来ないよな まさかヤンデレに監禁…いや、まさかね…… 240 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/16(日) 19 20 53 ID H/3Daq1J 俺はゆっくり病んでいくのが好きだから、そういう作品書いてるんだが、途中まではヤンデレじゃないからこのスレに投下しても叩かれそうだから投下できない 全部書き上げてから投下という手もあるがその気力は無い 241 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/16(日) 19 33 03 ID Oiubn1GM 240 結果的に黒化するのなら問題なし。 むしろ、最初から病んでいない方が病む過程を楽しめるからお得な気分になる。 それに、今までも最初から病んでいないヒロインは居た。 242 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/16(日) 19 35 11 ID H/3Daq1J 一万字書いてもヤミ要素0なんだぜ? というか六万字超えた辺りからしか病まない予定なんだぜ? 243 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/16(日) 19 44 41 ID ZyfP2B7w 242 私はいっこうに構わん!! …他の人は分からんけど 244 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/16(日) 19 47 48 ID xMJjZTFw 超大作警告だせばおk しかし病みに入らずに断念したなら叩かれるだろうな 245 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/16(日) 20 18 17 ID mvQqPl3Y 240 最初に注意がきとして書いとけば大丈夫と思うがね。 個人的には投下してほしいです。 246 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/16(日) 20 22 57 ID PhHg6yDw 言葉様が理想です>< 247 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/16(日) 20 56 25 ID BCEy1vps ヤンデレとかくれんぼしてそのまま放置したい 248 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/16(日) 21 04 02 ID H/3Daq1J むしろ俺はヤンデレっ子から隠れていると、 「あ、分かった! かくれんぼがしたいんだね! もう、○○君は子供だなぁ」 とか言ってその辺をガッサガッサ差がされたほうが興奮する 249 名前:同族元素:長夜の闇 ◆6PgigpU576 [sage] 投稿日:2008/03/16(日) 21 33 08 ID w4xuIDnz 投下します。第一話目です。 同族元素:回帰日蝕 と関連(時系列では続き)していますので 保管庫でざっと目を通していただけると、より分かり易いかと思います。 250 名前:同族元素:長夜の闇 ◆6PgigpU576 [sage] 投稿日:2008/03/16(日) 21 34 25 ID w4xuIDnz 先日、俺は、無二の親友と、その双子の妹である友人を、失った―― 高校に入って一ヶ月程経った頃、親友が同級生の女からストーカー紛いの被害を受け、 親友側についた俺も、少なからず被害にあった。 頭を殴られ階段から突き落とされ、幸い頭の方には異常は無かったものの、脚の骨に 罅(ひび)が入り、入院を余儀なくされた。 入院して途中リタイアとなった俺には事の顛末を知る術は無く、病院から方々に掛けた 電話も、当事者の誰一人として捕まえる事は出来なかった。 そして長い入院期間も六週目を迎えた面会時間終了間際、今まで消息が掴めなかった 親友が病室に現れた。 少し痩せたようだが、五体満足な親友の姿に安堵する。 しかし親友は、こちらが訊いた事には一切答えずに、唐突な別れを切り出した。 一方的に告げられた別れの言葉は、到底納得できるものではなかったが、それだけ告げ ると親友は制止の声を振り切って、病室を出て行ってしまう。 治りかけとはいえ、脚の骨に罅がはいっていた状態では満足に追いかける事も出来ず、 結局退院するまで何も出来ないでいた。 悶々と過ごした入院生活も終わり、退院すると直に親友の家に向かった。 別れを言って去った以上、電話が通じるとは思わなかったし、何より直接会って話さな いと俺の気が済まない。 だが家は誰も居らず、近隣の人に尋ねると、あの事件辺りから居ないようだった。 親友の両親にも連絡を取ったが、親戚の所にいるとの一点張りで要領を得ない。 八方塞。 途方に暮れ、親友の家の前で座り込んでいると、一人の女がやってきた。 「また、お会いできると信じておりましたわ」 美しい女だった。 漆黒の髪は腰まで真っ直ぐに流れ、やや切れ長の大きな目に長い睫毛、陶磁器のような 白い肌に頬の桜色と唇の薔薇色。胸が大きすぎる気もするが、モデルのような長い手足の 体型は均整がとれ、自然と目が惹き付けられる。 そう、忘れもしない、親友が別れを言いに来た際、脚の怪我を圧して追いかけた結果、 不様にも転倒した、その時、俺を助け起し親友と車で去っていった女。 「アンタ……」 「わたくしは、湖杜(こと)と申します。陽太(ようた)さんとは親戚になりますわ」 優雅な立ち振る舞いで、そう名乗った女、湖杜はこちらが名乗るのを待っている。 「俺は、前園東尉(まえぞの とうい)。陽太の親友だ」 これが、この美しい女、湖杜との再会だった。 湖杜は親友の清水陽太(しみず ようた)と親戚で、彼らがもうここには居ないと告げた。 行き先を尋ねても、教えられないとの一点張りで埒が明かない。 「俺は、事の顛末を知りたい。というか、知る権利があると思うんだが」 「そうですわね……お気持ちはよく解ります。けれど、お教えする事は出来ませんわ」 しかしどうしてもと粘ると、湖杜は近況や様子を教えるくらいならと譲歩してきた。 それから俺は湖杜と週に一度、こうしてこのカフェで会っている。 251 名前:同族元素:長夜の闇 ◆6PgigpU576 [sage] 投稿日:2008/03/16(日) 21 35 43 ID w4xuIDnz 半ば指定席となったいつもの席に、いつもの様に向かい合わせで座ると、何も訊かず さっさと注文を済ませ、黙ったまま注文の品を待つ。 いつものアイスコーヒーとエスプレッソがきて、一口、口をつけると湖杜が挨拶をし、 陽太とその双子の妹、夏月(なつき)の様子を教えてくれる。 ここまでが、いつもの定番となった、一連の流れだった。 「東尉様……もう、お身体の方は、よろしいんですの?」 「……ああ、もう大丈夫だ」 梅雨の長雨は、完治した筈の脚をじくりと痛ませ、蒸し暑さと共に不快指数を跳ね上げ るが、それを湖杜に言っても仕方が無い。 「温めると良い、と聞きますわ。来週には梅雨明けでしょうから、もう少しですわね」 美しく微笑むと、優雅に音一つ立てず、湖杜はカップに口をつける。 こちらが言わなくても湖杜は全てを読み取り、そして決して厭らしい言い方ではなく、 当然の様にさらりとした気遣いを見せる。 それは、ともすれば厭味や不快に感じる事だが、不思議と湖杜相手だとそんな感情が 湧かず、寧ろ心地良く感じてしまう。 「なぁ……もう少し、会える日を増やせないか?」 だからだろうか、こんな台詞を口にしてしまったのは。 高校はテスト休みに入っていて、残すは終業式だけだったが、家に居ても妹が喧しく、 両親とは顔を会わせたくなかった。 離婚とまではいかないが、どうやら親父の仕事が上手くいってないようで、ここ最近、 親父とお袋は喧嘩が絶えず、見苦しい事この上ない。 そんな家は寝る時だけ居ればいい。しかし外で時間を潰すと言っても、陽太が去ってか ら倦怠感が付き纏い、何のやる気も起きない。 そんな時思い掛けない事から、外で時間を潰すのに格好の場所を紹介されたが、そこは 夕方に差しかかるような時間からしか開いておらず、それまでの時間を持て余していた。 何となく独りになりたくはなかった、だからといって誰でも良い訳でもない。 「構いませんわ。どの位増やされます?」 やはり湖杜は理由を訊いてくる事もなく、すんなりとこちらの要求を飲んでくる。 「どの位増やせる?」 「毎日でも構いませんわ」 参った。本当に考えてる事を読まれているんじゃないかと思う程、言って欲しい返事が 返ってきやがる。 「いいのか? 毎日なんて……」 「ええ。このカフェも夏の間は休み無しだそうですし、問題はないですわね」 問題はそこではない気もするが、何でも無い事の様に微笑まれてはしょうがない。 降参して甘える事にしよう。 「ありがとう」 「わたくしの方こそ、毎日東尉様にお会い出来るなんて、嬉しい限りですわ」 「そう言って貰えると助かる。けど……」 どうして湖杜がここまでしてくれるのか、正直解らない。 その疑問が顔に出ていたのだろう。湖杜はまるで全てを解っているような、そんな 笑みを浮べると、口を開いた。 252 名前:同族元素:長夜の闇 ◆6PgigpU576 [sage] 投稿日:2008/03/16(日) 21 37 16 ID w4xuIDnz 「簡単な事ですわ。わたくしは、東尉様が、好きなんです」 その密やかに艶を含んだ涼やかな声が紡いだ告白は、僅かな歓喜と優越感をもたらし、 そしてそれが当然の事の様に、俺の中に納まった。 けれど、告白を受ける気は無い。 確かに湖杜の事は、嫌いではない。寧ろ、好意的に思っている。 しかし陽太の一件や両親の事、それらが二の足を踏ませ、何より俺自身、今に満足している。 告白を受けて、この関係が状況が変わる事が嫌だった。 「流石に今すぐに、とは考えておりませんわ。わたくし自身も急過ぎると思いますし」 そう言って、ゆるりと微笑む湖杜は、やはり俺の答えを解っているのだろう。 断れば、この時間を亡くしてしまう。 受けても、この時間を亡くしてしまう。 しかし、どうするべきか、問題はそこだった。 告白をされた今、現状維持は無理だろう。いくらこちらが望んでも、それは余りに 湖杜を馬鹿にしている事になる。 言葉に詰まった俺のテーブルの上に投げ出してあった右手を、湖杜は両手で掴むと 身を乗り出し、始めて見る切迫した表情で迫ってきた。 「今は、このままで構いませんわ。 ……ですから、わたくしの東尉様へのこの想いを、否定なさらないで。 わたくしを嫌いにならないで。距離を置こうなどと、離れてなど、いかないで下さい」 「……湖杜……」 その大きな瞳には薄っすらと水の膜が張り、眉を寄せ、俺の右手に縋るように湖杜は 艶やかな唇を戦慄かせ、真摯に言葉を想いを訴えかける。 「東尉様……申し訳ありません…… 今、この想いを告げても、東尉様が困る事は解っていましたの」 「……けれど、わたくしは、この想いを、胸に秘めておくことが、難しかったのです」 美しかった。 そう言って伏せた瞳が、色彩る長い睫毛が震えるのを、引き結んだ薔薇色の唇を、 湖杜を形作る全てが、美しく、魅了された。 253 名前:同族元素:長夜の闇 ◆6PgigpU576 [sage] 投稿日:2008/03/16(日) 21 38 39 ID w4xuIDnz また俺は、湖杜に甘えようとしている。 いくら湖杜自身が望んでくれているとしても、告白の返事もしないで現状を維持したい など、卑怯な逃げでしかない。 だけど、俺には湖杜が必要だった。 今、湖杜までも失ったら、俺には、ただただ空虚な時間しか残らない。 それも、いいと思っていた。 湖杜に再会して同じ時間を共有するまでは。 しかし、知ってしまった。味わってしまった。湖杜と共に過ごすこの時間の甘美さを。 この満ち足りた時間を手放す事は出来ない。卑怯だと解っていても。 掴まれた右手に力を込め、湖杜の細くたおやかな手を握り返すと、湖杜はゆるりと伏せ た目を上げた。瞬間、耐え切れず遂に零れた一滴を、空いた左手でそっと拭ってやる。 初めて触れた陶磁器のような頬は、温かく滑らかだった。 何となく、そのまま柔らかい頬に指を滑らせ感触を楽しむ。 「……東尉様……」 「湖杜……」 じっと見詰めていた湖杜の吸い込まれそうな漆黒の瞳が、ふっと弛み、固い表情が柔ら かく解けた事で、こちらの意図を正しく理解されたのだと解り、安堵の息を漏らした。 「東尉様、明日も同じ時間に、こちらでお待ちしてますわ」 「……ありがとう」 謝罪の言葉が出掛かったが、感謝の言葉だけを何とか口にし、そのまま別れの時間まで 俺の右手を握り締めている湖杜を、ただ黙って見詰めていた。 街は黄昏に染まり、湖杜と居れる時間が終ってしまった俺は、関係者以外立入禁止の ひっそりとした通路を、先日知り合いになったタカシに教えてもらった、時間潰しの格好 の場所、植物園の中にある温室に向かうため、音を立てない様静かに歩いていた。 タカシとの出会いは可笑しなもので、有り余る時間を前に途方に暮れていた俺を、ヤツ がナンパしたのが切っ掛けだった。 タカシは鋭い切れ長な目と髪を後ろに流し露になった額、180cmある俺よりも10cm程高い 長身で鍛えていそうな体躯が、知的で硬質な雰囲気を醸し出していて、何となく視線を向 けた俺と目が合うと真っ直ぐに近付いてきて「モデルになって欲しい」と、にこりともせ ず言い放った。 何故OKしたのか自分でもよく解らないが、写真のモデルになる代わりに、この温室に 毎日タダで入り浸る事を許された。 辿り着いた温室の硝子の扉を開け、指定席となったベンチに腰掛ける。 カシャと、小さなシャッター音がして、首を巡らせるとタカシがカメラを構えていた。 「よう、トーイ。今日は読書はしないのか?」 「ああ。今日は寝る」 254 名前:同族元素:長夜の闇 ◆6PgigpU576 [sage] 投稿日:2008/03/16(日) 21 40 04 ID w4xuIDnz タカシと短い挨拶を交わすと、視線を戻してからベンチに深く座り直し目を閉じた。 断続的なシャッター音が、タカシが写真を撮っている事を告げていたが、別段気にする 事もなく、ゆるりと訪れた睡魔に身を委ねる。 写真のモデルといっても、特にポーズを取らされる事もなく、自由にしていていいと その代わりこちらも適当に撮らせてもらう、と最初に言われていたからだ。 タカシが、どんな漢字なのかも知らない。 苗字も歳も何をしているヤツなのかも、何も知らない。 それはタカシも同じ事で、俺の名がトーイという事以外、何も知らない。 詮索してこないタカシの距離感が心地良かった。 寝ている間に、すっかり夜になっていた。 「じゃ、またな」 「ああ。また、な」 日付が変わる前には家に着けるかギリギリだな、と思いながら、少し固まった身体を ぐっと伸ばすと、そう短い挨拶をタカシと交わし、温室を後にした。 自宅には日付が変わる前に着いた。 鍵を開けて家に入ると静まりかえっていて、親父とお袋の醜い言い争いは休戦中らしい 事が解り、少し気が楽になった。が、 「お帰り」 「……ああ」 自室のドアを開けようとした所で、後ろから声が掛かった。 三つ下の妹、秋佳(しゅうか)だった。 陽太と夏月の兄妹と違って、俺達兄妹の仲は非常に悪い。 秋佳は眉間に皺を寄せ、俺を睨みつけている。その生意気な態度にうんざりした。 どうせいつもの厭味か罵りだろう。 「お兄ちゃん、最近随分と帰りが遅いけど、どこで何してるワケ?」 「お前には関係ない」 「変な人とつるんでるんじゃないでしょうね? やめてよね、お兄ちゃんが警察のお世話 なんかになったら、迷惑なんだけど!?」 「警察の世話になるような事はしてねぇし、するつもりもねぇよ」 「じゃあ、どこで何してるのよ?」 「…………」 本当にウザイ。 これ以上聞いていたら、いい加減殴ってしまいそうなので、無視して部屋に入った。 廊下でまだ何か言っているようだが、知ったことじゃない。 全てを意識の外に追い遣ると、明日の湖杜との時間を思いながら、一番速く時間が過ぎ る方法、寝る事に専念した。 「折角、邪魔だった清水陽太と夏月の兄妹がいなくなったのに……どこの誰よ? あたしの お兄ちゃんを誑かしてるのは!?」 だから俺は知らない。 秋佳がそんな事を言いながら、俺の部屋を睨みつけていた事など。 -続- 255 名前:同族元素:長夜の闇 ◆6PgigpU576 [sage] 投稿日:2008/03/16(日) 21 41 20 ID w4xuIDnz 以上、続きます。また暫く宜しくお願いします。 以前コメくれた方々、ありがとうございました。 256 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/16(日) 22 13 45 ID urBGvGN9 255 GJ!!どうやら東尉はヤンデレに包囲されているようですね。 ただ、気になるのは、タカシが男なのか女なのか……。名前からすると男のようだが。 257 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/16(日) 22 28 41 ID 32S8pDld 255 リアルタイムは初めてだw 乙です!! 258 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/16(日) 23 20 05 ID BCEy1vps 255 GJ!まさか続くとは…! 259 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/03/16(日) 23 28 26 ID fm+Jfdsp 最近思ったが、レナみたいなのがヤンデレだなんて言われる理由は、 何をするかわからない、手に負えないというが、ヤンデレのイメージになってるからだと思う。 きっと一般人からすればヤンデレの目的より手段の方だけが強く印象に残ってるんだろう。 だが本来は、ヤンデレの目的の方がヤンデレの正しいイメージであるべきだと思う。 俺のイメージ ↓ 何をするかはっきりしていて(主人公を手に入れるため)、手に負える(絶対に自分の事を愛してくれる)、 260 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/16(日) 23 56 26 ID O/pCZ2xn ラブラブ相思相愛相手のおっとり家庭的娘が、 実はヤンデレの冷酷超切れ者で、 二人の幸せの障壁は完全犯罪で潰して行きかねないことを知って 主人公が(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブルしながら 今の平穏を守っていこうとするパターンが好きです。 261 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/17(月) 00 11 47 ID VR7X/rDz 260 おっきした 262 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/17(月) 00 40 38 ID Yt8HvTIo 255 GJ 東尉にも陽太と夏月みたいに幸せになってほしい 263 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/17(月) 03 32 31 ID aCdeT5WN 255秋佳はキモウトか。こりゃ危ないなぁ。そして湖杜の方も何かが隠れているという気がしてならない。 2人のこの先がとても気になる。wktkして続き待ってる。GJ!! 264 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/17(月) 07 45 49 ID X7Zzh6v9 255GJだぜ! 俺はホワイトデーのおかえしって言われて3日間姉妹に雑用させられてたぜ おかげでPCすら使えずじまいだったよ 三倍返しが3日間雑用ってないだろ たかがチョコ2つだぞ? 265 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/17(月) 11 18 40 ID qLOxYyO3 264 とりあえず自慢は外でやってくれ 266 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/03/17(月) 11 35 25 ID Q39I77TL 255 続きktkr 前作で東尉は良いヤツだったからなあ、幸せになってほしいが 267 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/17(月) 11 37 04 ID Q39I77TL sage忘れた;; スマン 268 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/17(月) 16 19 22 ID S34fQ3NA とりあえず、タカシが実は女だったに10ペリカ程賭けさせてもらうぜ 269 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/03/18(火) 00 15 15 ID hl8QSvWo 255 続編ktkr GJ 270 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/18(火) 00 23 05 ID hl8QSvWo あれ?いつのまにかsageが消えてた・・・・。 吊ってきます。 271 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/18(火) 00 55 49 ID n/tu84KE 259 レナは暴走するとアレだけど普段は普通だからなあ その辺のギャップをヤンデレと混同してるのもあるかも 272 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/18(火) 02 36 01 ID oy4ELj9b 今ここ見てたら外でアハハハハ らしき声?(結構高めの感じで)が聞こえて本気でびびった。なんか普通に笑って出す声じゃない感じでちょっと鳥肌たった。 273 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/18(火) 07 09 01 ID fpX8/hsy だからそういうのはSSスレでやるなって 雑談でもないしさ 274 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/18(火) 09 10 03 ID O5HGhvY2 255 包囲網ktkr ツンの底にドス黒い独占欲… 275 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/19(水) 14 10 44 ID QBK7jRTF ポケモンのチコリータは独占欲強いよね。嫉妬もするしまさにヤンデレ! 276 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/19(水) 20 03 59 ID 2KMtAsPl 投下失礼します。壁に耳あり障子に目あり、というものを書いてみました。 ご容赦の程ををを。 277 名前:壁に耳あり障子に目あり[sage] 投稿日:2008/03/19(水) 20 04 54 ID 2KMtAsPl 「――それで信仰の為にこの聖書を買って勉強会に参加しませんこと?」 「いえ、ですから僕には必要ないんですって」 ファンデーションと香水のダブルパンチは僕にはキツイ。鼻が曲がりそうだ。 「でも神様を信じていらっしゃるんでしょ?」 神様を信じてたらみんなソレを買うのが当然、と言いたいのだろうか?この老婆は。 「あの……自分で言うのも何か嫌なんですけど、――僕目が見えないんです」 「……え、本当に? ……嘘吐いてるわけじゃないですよねぇ?」 声色は疑惑だが察する雰囲気は断定だ。 ここで法的な言い訳でもして帰ってもらおうと口を開いたところを他の声が遮った。 「おいババア、てめぇが調べる権利もこっちが胡散くせぇ本を買う権利もねぇ。それでも何かいいてぇなら今から来る警察に話してくれよ」 ピッ、と軽い電子音が聞こえた。多分うちの子機の電源を切る音だと思う。 「あ、あらそう? ごめんなさいね? 変なこと聞いちゃって。それじゃあごめんあそばせ」 重めの音を立てて床をすべる音が聞こえる。太った? なんて聞いたら関節技をきめられるので止そう。うん。 その乱暴な音の主は、これまた乱暴に戸に鍵をかけ乱暴に振り向いた。 「姉さん、このえ姉さん。目上の人は労わらなきゃ駄目だよ」 「いいんだよ。年寄りってのは自分が年寄りってことに甘えてるんだからよ。ってかお前もお前だ。女の私が男らしくて男のお前が女らしくてどうすんだ。情けない」 「姉さん、それは姉さんも情けないってことだよ」 腰に手を当てて深く溜息を吐く姉が見える。 「真二、お前は私と違って随分と頭が良いんだろう? だったら持ち前の頭脳であんなババアはささっと追いやれよ。」 それをやろうとしたんだけど姉さんが……とは言えない。 「さあ、将棋の続きしよう。茶入れてる間にお前が逃げたかと思ったぜ。勝ったら何でもいう事を利くんだよな?」 「分かってる。逃げないしいうことも利くよ。勝てたら、だけど」 「何でも……何でもかぁ。お風呂、いや恋人デイ……うんこれだな!」 何か一人で唸っている姉さんは放置。しかしなんか鼻息荒いね、姉さん。風邪? 「だあああ、何で勝てねえ! 飛車角銀無しだぞ!? ええ? それで勝てないってのはアレか? 遠まわしに馬鹿だと言われてるのか私は!」 「なんていうか、姉さんは直情型過ぎるんだよ。だって自分の陣地全然守らないし。王手って言われた時だけ守るとかどうかと思うよ」 「それはなぁ、攻撃は最大の防御って奴だよ」 ニヤリと自慢げにいうこのえ姉さん。アホくさ。 「まあ、そんなアレな自論はどうでもいいから、片付けと晩御飯宜しくね」 ちっ、という舌打ちとともにカラカラと駒を片付ける心地よい音が聞こえる。 「なあ、毎回聞くけどよ。お前本当に目見えてないのか?」 またか。これで何度目か分からない言葉を繰り返す。これからはテープに録音して聞かせようか。 「本当に見えないよ。僕はただ『音で分かるだけ』だから」 「そうは言うけどよ。お前普通に戸を空けるし階段上るし……本当にその鈴鳴らすだけで周りが分かるのか?」 そういって姉さんは僕の手首についた鈴を指で弾く。 「そうだ、としか言いようが無いよ。それより姉さん、歩が一個床に落ちてるよ」 むっ、と少し唸って眉を寄せる姉さんの顔が僕の頭の中で浮かび、段々と消えていった。 変な能力だと自身ですら思う。しかし医者に聞いたところ超能力的なものではなく、意外と科学的なことらしい。訓練次第でできる人間もいるとか。僕にはそれが先天的に使えた。それだけだ。 下の方からくぐもった声が聞こえる。いつものように耳を澄ましてみると姉さんが机の下に居るのがおぼろげに見えた。 「しかし私にはやっぱ普通に見えてるようにしか思えねぇな。普通に瞬きするし、こうやってチェスや将棋もするしな。違うのはその手首の鈴だけだ」 「そんなことないよ。僕は色が分からないしテレビや本は見れない。まあ本は姉さんが読んでくれる、色は思い出せばいいけど、やっぱテレビは少し気になるかな。なんか方法考えないとね」 「例えば?」 「……姉さんが実演してくれるとか?」 音はずれてるのに必死になって合わせようとしている姉さんを想像して僕は笑った。でもそれもいいのかもしれない。 「お前は本当に酷い奴だな。いいだろう! やってやるよ。主にホラー映画をな!」 278 名前:壁に耳あり障子に目あり[sage] 投稿日:2008/03/19(水) 20 05 47 ID 2KMtAsPl 「ねえ、このえ姉さん」 「なんだ想像して怖くなったのか?」 フフンと勝利を確信したような音が聞こえる。 「僕の股の逆方向に歩が落ちてるんだ。そっちは近づいても何にも無いよ?」 ゴンと低い音がなった。合わせてテーブルのコップが倒れる。何も入ってなくて僥倖。 「ななな何を言うんだこの弟は。分かってるに決まってるだろ? ま、まったくもう」 云々唸っている姉は放置して今日の献立を予想する。コロッケか唐揚げ、どっちだろう? 卵かけご飯だった。手抜きここに極めり。 279 名前:壁に耳あり障子に目あり[sage] 投稿日:2008/03/19(水) 20 07 45 ID 2KMtAsPl 短いですが投下終了です。まだヤンでないのであれかも知れませんが 大体方向性はわかるんじゃないかなぁなんて。 それでは失礼します。 280 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/19(水) 23 08 13 ID f/fe44d5 279 短いのとちょっと状況がわかりにくかったのが残念かな でも題材は面白そう、次に期待してます 281 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/19(水) 23 12 19 ID zfNSe3F0 GJ! 男前な姉に萌えた 弟のは、ちょっと前にテレビでやってた音の反射でわかる人ですね 282 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 00 19 52 ID s/HlyuSl イルカみたいな奴だな 283 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/03/20(木) 05 16 17 ID Nf3qKroH 疑問なんだが わざわざ自分の時間を割いて、低レベルの駄文を晒して 悦に入る心理ってどうなの? 自己顕示欲もろだしなのがうざいんだけど? 反応あっても1、2レスってむなしくないか? まあそのレスもかなり自演臭いんだけどなw 小説家気取りの馬鹿は困ったものだよねぇ? 284 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 06 06 38 ID qShsNQgn と、ヤンデレさんが申しております 285 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 06 38 04 ID 4dCMY6hF 疑問なんだが わざわざ自分の時間を割いて、低レベルの批判レスを晒して 悦に入る心理ってどうなの? 自己顕示欲もろだしなのがうざいんだけど? 反応あっても1、2レスってむなしくないか? まあそのレスもかなり自演臭いんだけどなw 評論家気取りの馬鹿は困ったものだよねぇ? 286 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 07 09 16 ID I6xrH0ni 春ですねえ 287 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 08 13 18 ID Gxf96Gx6 春だなぁ 288 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 09 05 41 ID s/HlyuSl 285 ああ、隣りの国のことね 289 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 09 26 11 ID Rn3OOMzo ヤンデレに膝枕されたい で、うっかり名前を間違えたい 290 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 10 28 45 ID F0XAUius 286-287 なんか妙に平和だなwww なんか和んだw 291 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/03/20(木) 11 15 27 ID IjztZp5a 自演うざ きめぇw 292 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/03/20(木) 11 17 33 ID IjztZp5a きもw うんこwサ 293 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 11 46 25 ID QHGbxfNC いまどき小学生でもこんな低レベルそうそうおらんやろ…… 294 名前:名無しさん@ピンキー[kyd2enj] 投稿日:2008/03/20(木) 12 36 37 ID j00Iggue そういえば、友人に勧められて「未来日記」という漫画を読んだんだが、 物凄い、ヒロインが、怖かった…。 漫画でヤンデレヒロイン久しぶりに見たな…。 我妻由乃(がさい ゆの)とか言うんだけど、みんな知ってる? 295 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 12 45 44 ID 8aPvl787 多分このスレではかなりメジャーかと 前話題出てたような覚えがある 296 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 12 50 35 ID Szh87agw むしろこのスレの住人で知らない奴いるのか? 297 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 14 30 36 ID /vdaBtTd 初代から出てたな 298 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 16 50 47 ID 99X7zExf すみませんねぇ、うちのスレの住民がおかしなのをこちらのスレに誘導しちゃいまして 以前から民度の低いスレだと思っていましたが、まさかこれほど常識がないとは・・・ やってはいけないことをやってしまったようです 本当に申し訳ない 今度こそ本当に愛想がつきました 299 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 16 51 53 ID mmu04+Pl ヤンデレがある程度の知名度をえた一因だと思うぞ由乃は 300 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 16 58 35 ID 1p2oQEjk まあ、阿修羅さんにしても潮時だったことだし、幕を引くのに丁度いい機会なんじゃない? 301 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 17 12 43 ID kpgUeTsC ゆのかわいいよゆの 302 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 17 37 12 ID XQaO7gSy ゆのがかわいいと思った俺は異端ですか 303 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 17 57 44 ID Szh87agw このスレに限っては正当 304 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 17 59 38 ID mmu04+Pl 302 由乃が可愛くない人はあんまりこのスレには来ないと思うが 305 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 18 30 20 ID QHGbxfNC 空鍋→由乃→ナイスボート のステップでヤンデレがメジャーになった感 306 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 19 28 12 ID gv73oaMF 305 Nice boat なんかうろ覚え綴りだから絶対間違ってると思う突っ込め誰かっ さて、スレ住人のみなさんどんなヤンデレが好きか聞いてみる 俺は嫌われたくないからと尽くしてくれる子とかが好きだ 307 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 19 30 35 ID cbpyfK1G 由乃ってメジャーか? 空鍋とNice boat.はニコニコ動画のせいで有名になってしまったが 308 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 19 32 45 ID Szh87agw 306 俺もそういうのが好きだなあ 307 >由乃ってメジャーか? このスレの住人に聞いても正当な答えとはいえないだろw 309 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 19 37 09 ID zNAwzwNw 前からそれなりに知名度はあったような まぁどっちかと言うと最近のヤンデレブームというか そういうので有名になったと思うが 310 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 20 16 29 ID Gxf96Gx6 そんな空気の中あえて言おう ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆ、と 311 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 20 21 04 ID cbpyfK1G 俺は未来日記一巻しか読んでないからわからん 312 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 20 23 37 ID Gxf96Gx6 311 最近のヤンデレってどっかサイコデレと混じってる感あるじゃん でも未来日記は実にヤンデレらしいっていうか、ヤンデレキャラの教科書って感じ 313 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 20 24 03 ID mmu04+Pl 311 一巻の時点でかなりレベルの高いヤンデレだったような 314 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 20 27 17 ID rw88VOBP 俺はどんなことがあっても、ひたすら側にいてくれるヤンデレが好きだ ヤンデレの基本じゃんと思われるかもしれないが、邪魔者の排除や監禁なんてなくてもいい それだけあれば、俺には十分だ 315 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 20 29 35 ID pgHy65xQ 314 同意。他に魅力的な女が現れた~って場合でも、排除しようって考えるよりは 「やっぱりわたしじゃダメなんだ」と過剰な自己嫌悪に陥るような病み方が好き。 まあそういうのってヤンデレとは言わないのかもしれないが……どうなんだろう? 316 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 20 44 09 ID LDiiyDFn 人間の数だけ病み方が違っても良いと思うんだ 317 名前:幼馴染[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 21 05 03 ID IONC9RsG ――暑いな……。 俺は事に至る前に設定した暖房の温度に汗をかきながら、眼下にいる女に 抽迭を繰り返していた。ベッドのシーツは俺と彼女の汗と淫らな液体で、所々 にしみを作っている。 うっすらと日焼けした彼女――最近付き合いだした俺の彼女・玲菜も全身を うっすらと紅く染め、俺が突き上げるたびに快楽の声を放ち、霧のような汗を 飛び散らせている。 「あぁん……! 浩一郎っ……! す、すっごく熱いよぉ! あ、あたし……、も、 もう……んはっ!」 玲菜が俺の背中に爪をつきたてる。そろそろ玲菜は達するらしい。 ……後で背中に引っかき傷ができていないか、鏡で確認しないとな。 俺はそんな事を頭の隅で考えつつ、まずは玲菜を達しさせて俺もフィニッシ ュを決めようと、両肩に抱えた玲菜の脚をさらに高く広げるように持ち上げる。 俺と玲菜の結合部分から、白っぽい泡のような液体が ぬらぬらと艶かしく 光を放っているのがよく見える。 脚を広げた事により、いくらか締め付けが緩くなった玲菜のそこに、俺は力 いっぱいいきり立った俺自身を突き上げる。 「……っっ! んぁああっ! 浩一郎! あ……たし……イ、イくぅっっ!」 玲菜の身体が小刻みに痙攣し、一瞬硬直した後、全身から力が抜けて行く のがわかる。達したのだ。 では、今度は俺の番だ。ぐったりとした玲菜の上に押しかぶさり、玲菜の奥 深くまで、何度も何度も俺自身を力任せに打ち付ける。 かすれた玲菜の小さな喘ぎを、湿った肌同士がぶつかり合う音が打ち消し てゆく。淫らな水音と、互いの肌が奏で合う音が部屋の中を満たしていた。 玲菜の秘所の奥深くにある 少しざらついた天井を、熱く滾った俺自身の先 端で突き上げる度に、半分朦朧としながら玲菜自身も腰を動かし、小さな悲 鳴に近い歓喜の声をあげる。 「……玲菜。俺もイくぞ!」 ガクガクと玲菜の体を揺さぶりながら、俺は最後の抽迭を急がせる。 湿ったリズムの速度と音量がぐんぐん上がり、ついに俺も頂点迄上り詰めた。 一瞬、頭の中がスパークし、俺は痺れるような感覚で玲菜の中に熱い性欲 を解き放つ。 精を解き放った瞬間、玲菜の脚に力が篭り、背中に回した腕と絡めた足で 俺を締め付けてきた。玲菜の秘所は、結合部をより深く咥えこみ、離そうとし ない。まるで俺の全てを喰らい尽くそうとする、別の生き物のようだ。 俺はそんな性に淫らで貪欲さを示す玲菜の反応が気に入っている。体の相 性がいいのだろう。 一滴残らず射精した後、俺は一息つくと玲菜の上からゆっくり横に寝転がる。 そして、まずは手探りで暖房のリモコンの電源を切る。 きちんとベッドメイクされていたシーツはもうぐしゃぐしゃだ。汗と俺達の液で 乱れており、マットの下に織り込んだ部分までベッドの上にずり上がっている。 俺はそのマットから外れたシーツの端を無造作につかむと、汗まみれにな った顔を拭った。 しわになったシーツは、今まで俺達がセックスをしていた証の淫らな匂いが 染みついていた。 318 名前:幼馴染[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 21 06 23 ID IONC9RsG しばらく脱力していた玲菜が、のろのろと上半身を起こし、ベッドスタンドに置 かれたバージンスリムという煙草に手を伸ばす。 細い煙草を咥えると、整った爪先でライターから煙草に点火する。 「玲菜、お前煙草吸うんだっけ?」 玲菜は煙草を吸う、というよりは吹かしつつ、悪戯っぽく笑う。 「えへっ……。この間見た映画の真似。なんだか大人っぽい雰囲気でしょ?」 俺は無言で玲菜から煙草を奪い取り、灰皿の上で火を消した。 「玲菜には似合わないよ。少なくとも俺は、愛し合った後に女が煙草を吸うの はあんまり好きじゃない」 ……ちょっと格好付けすぎたか? 一瞬俺は思ったが、玲菜の方はしゅんと して、俺を上目遣いに見上げている。 「……ごめん。浩一郎が嫌ならやめるよ。もう煙草なんか吸わない。美味しく なかったしね」 一見、今風の割り切った女性のように見えるが、そんなしおらしさが玲那に はある。付き合い始めて半年、俺はそんな玲菜に惹かれ続けている。 「浩一郎? あたしの事、嫌いになる?」 玲菜が再び俺に抱きついてきた。 普段なら、ここで第二ラウンド開始なのだが、残念ながら今日はスキンの残 りがもうない。 それに、今日俺はこれからちょっとした用事があるんだ。 「嫌いになんかならないさ。でも今日はこれでおしまい。スキンも在庫切れ。 残念だけど、続きはまた今度な。それと、夕方からちょっとした用事があるん だよ。悪いけど、シャワー浴びたら今日は帰ってくれないか?」 『帰れ』という言葉に玲菜がぴくんと反応する。 「用事って何? まさか女じゃないでしょうね!?」 割と鋭いなと苦笑するが、そんな色気のある話じゃない。 「一応、来るのは女だけどさ。ただの従妹だよ。今度うちの大学に入学するん で、同じマンションに部屋を借りるから、面倒見てやらなきゃいけないんだ。 そのうち、玲菜にも紹介するよ」 玲菜は不審そうに俺を見つめるが、諦めたように裸のままベッドから降りる。 「ちゃんと紹介してよ? 美人なの、その子って?」 「さぁなぁ……。俺ももう何年も会ってないし。色白の日本人形みたいな記憶 はあるが、女は年月で変わるからな。さぁ、急いだ、急いだ!」 俺は裸のまま振り向いている玲菜の尻を軽く叩いた。玲菜はやや不機嫌そ うに肩をすくめ、浴室へと消えて行く。 とりあえず従妹が駅に着くのは17 45予定。 それまでにこの乱れたシーツだけでも洗濯機に放り込んでおかないとな。 自分も起き上がると、まだ己自身にスキンがへばりついているのに気づき、 無造作にそれを外すと ティッシュに包んでゴミ箱に投げ込んだ。 そして、淫欲で汚れたシーツを換えるべく、ベッドからやや乱暴に剥ぎ取った。 319 名前:幼馴染[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 21 07 15 ID IONC9RsG ――上京してくる従妹。確か、名前は藤堂美佳。 子供の頃は、何度か彼女のお屋敷で遊んだ記憶がある。 俺の家は藤堂の分家だが、彼女は藤堂本家の一人娘だ。確か最初は兄貴 もいて、一緒に遊んだ記憶はあるが、俺達がまだ幼い頃に不慮の事故か病 で亡くなっている。当時、悲しくてわんわん泣いた記憶はあるが、何故死んだ のかについては記憶が曖昧で覚えてはいない。 つまり美佳は唯一残された、藤堂本家を継ぐ娘なのだが、その大事な跡取 りをよく四年も娘一人で上京させる事を許したな……とやや不思議ではある。 その位、藤堂家は由緒ある古い家柄なのだ。 まぁ、俺には関係ないさ。分家の親父達の言いつけで、しばらく兄貴として お嬢様が都会に慣れるまでのお守りをするだけだ。 俺は新しいシーツでベッドマットを包みながら、これからやってくる従妹につ いて反芻していた。 玲菜は相変わらず不満そうにブツブツ言いながら、ストッキングが伝線した だのとグズグズしている。作業を続けながら、ご機嫌取りの会話をし、なんと か部屋の玄関まで追い立てる事に成功した。 「夜、きっと電話してね。浩一郎。忘れたら、直接ここに来ちゃうからね!」 「わかった、わかったって。謝るからさ、玲菜」 「じゃ、約束のキスして!」 部屋の玄関口でとんでもない要求をしてくる。外国じゃあるまいし、そんな所 をご近所に見られたらどうするんだ!? 俺はやや狼狽した。 しかし、要求に応じてやらないと素直に帰ってくれそうにもない。俺は軽く辺 りを見回すと、玲菜を抱き寄せて唇を重ねた。その途端、玲菜は俺の頭に腕 を絡ませ、ねっとりと舌を絡ませてきた。 これじゃ挨拶代わりのフレンチ・キスどころかディープ・キスだ。 しばらくの間俺の口内をむしゃぶった玲菜は、やっと納得してエレベーター に乗り込んだ。玲菜を見送った後、口の周りについた彼女のルージュに気づ き、慌ててシャツの袖で拭う。 ――やれやれ。女の嫉妬は可愛いだけでもないんだな……。 俺は紅く染まった自分の袖口を見下ろしつつ苦笑すると、性の臭いが篭っ た部屋の換気作業と掃除機をかける為に部屋に戻った。 少し急がないと、お嬢様をお待たせしてしまう事になる。 「……間もなく、○○線が当駅に到着いたします」 無機質な駅のアナウンスが流れてくる。さて、会ったら呼び名はどうしよう? 美佳ちゃん、でいいのかな。年下にさん付けも変だしな。 俺はそんなどうでもいい事を考えながら、ホームに入ってくる新幹線を見つ めていた。 確か6番線のグリーン車から降りてくるはずだ。 「6番線、6番線……っと。この辺か」 下を見ながら歩いていると、新幹線の扉が開く。さぁ、数年ぶりの再会だ。 十年以上前の写真を握り締め、俺は降りてくる乗客の顔を眺めていた。 「浩ちゃん! 浩ちゃんでしょう!?」 突然、鈴を転がすように澄んだ声が、昔懐かしい呼び名で俺に呼びかける。 声の主の方を振り向いて、俺は一瞬硬直する。 昔から日本人形みたいな顔立ちだったと記憶していたが、陶磁器のように 真っ白な肌、艶やかで真っ直ぐと伸びた長い黒髪、黒曜石の瞳が赤い唇を際 立たせている。紛れもない美少女が、俺に向かって駆け寄ってきた。 320 名前:幼馴染[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 21 08 15 ID IONC9RsG 群青色のツーピースに白い手袋をしていた彼女は、俺のそばまで駆け寄る と、真っ白な手袋を惜しげもなく投げ捨て、俺に抱きついてきた。 「ああ、浩ちゃんだ! すごく会いたかった! 私の事、覚えてますか?」 俺の首に飛びついた彼女は、背丈が足りないせいか脚が宙に浮いている。 それでも不思議と体重を感じなかった。こんなに再会を喜ばれるとも思って いなかった俺は当惑し、間抜けなセリフしか出てこなかった。 「えっと……。美佳ちゃん……? 大きくなったねぇ」 少女は俺に抱きついたまま、顔を俺に近づける。 「嫌。浩ちゃんったら、そんな他人行儀な呼び方して! 私の事は美佳って呼 んでくれてたでしょう?」 今にも紅い唇が触れ合いそうな距離だ。俺は益々どぎまぎした。 「そ、そうだっけ……?じ、じゃあ。美佳。よく来たね。迷わなかったか?」 美佳は相変わらず唇が触れ合いそうな距離でくすりと笑う。甘い吐息が俺 の顔にかかっているのに気がつかないのだろうか? 「嫌やわ。浩ちゃんったら。美佳はもう大人です! 浩ちゃんのお嫁さんにだっ てなれるんよ?」 ――へっ!? いきなり冗談か? 俺はとりあえず聞き逃しておく事にした。 すると、美佳は俺のとぼけぶりに 形のよい眉を片方吊り上げた。 「……忘れちゃったの? 大人になったら、美佳をお嫁さんにしてくれるって。 浩ちゃん、美佳と約束したでしょう? 私、ずっと楽しみにしてたんよ!?」 そんな昔の事を持ち出されてもなぁ……。きっと久しぶりの再会で、はしゃい だ美佳が、俺をからかっているだけだろう。たまに方言っぽい発音が混じって いるのも、きっとはしゃいで気がついていないんだろうな。 いきなり先手を取られっぱなしだが、いつまでも抱き合っているのも気まず い。俺は美佳を降ろすと、投げ捨てた手袋を拾ってやり、彼女に渡した。 「さ、さぁ。じゃ、いつまでもここにいるのもなんだし、美香の部屋に行こうか。 荷物は他にあるのかい?」 小さな(多分)ブランド物のバッグと、ちょっと少女趣味な小ぶりのトランクケ ース。美佳の所持品はそれだけだった。 降ろされた美佳は、ちょっと物足りなさそうだったが、荷物は他にはない、と 答えると、今度は俺の腕に彼女の腕を絡ませてきた。 いきなり腕を組んでくる美佳の大胆さに、俺はまたも居心地が悪くなって、 思わず周囲を見回してしまう。 「おいおい。美佳はもう大人なんだろ? 従妹同士で腕組むか? 普通?」 「誰も従妹とかなんて知らないでしょ。浩ちゃんたら相変わらず照れ屋さんな のねぇ。でもね、美佳は浩ちゃんとずっとこうして歩きたかったの! ダメ?」 黒い瞳が、俺を吸い込みそうに見つめる。まだ、あどけなさを残す瞳に、俺 はなんだか拒む理由がない気がしてきたので、美佳の思うようにさせる事に した。 美佳は嬉しそうに俺の片腕に体を押し付け、ぴったりと寄り添う。 俺は残った方の手で、小ぶりなトランクケースを持ってやる事にした。 「ふふ……。こうしてたら、私と浩ちゃんって、恋人同士に見えるかな? 見え るよね? 早速、最初の夢が叶っちゃったぁ~」 美佳は嬉しそうに、俺の腕に頬ずりをしながら小声で囁く。 俺は相槌を打つように笑いながら、美佳を連れてタクシー乗り場に急いだ。 321 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 21 10 11 ID IONC9RsG 先にタクシーから降りた美佳は、俺達のマンションを嬉しそうに見上げた。 「浩ちゃんのお部屋は406号室だよね? 美佳は506号だから……浩ちゃ んのお部屋の真上になるのかな?」 まだ住人不在のマンションには、明かりが灯っていない。 暗い部屋の窓を、美佳は指差しながら探していた。 確か506号室は私立の医大に通う学生が先月まで借りていたのだが、い つの間にか空室になり、美佳が借りる事になったのだ。 藤堂家の力が動いたのか、他だの偶然か。それもどうでもいい事だった。 「美佳、オートロックの使い方とかは読んできたのか?」 「ううん。浩ちゃんが教えてくれるだろうと思って。暗証番号だけはメモしてきた」 美佳は笑いながらバッグの中に入れていたメモを手渡してくる。 やれやれ……。大変なお守りを任されちゃったなぁ。 メモを見ながら、美佳の郵便受けをまずチェックする。実家から手紙やら届 いているかもしれない。 「いいか、美佳。郵便受けはこうやってロック解除するんだぞ?」 「はぁ~い!」 俺はなんとなく家庭教師気分で、美佳の郵便受けの扉を開いた。 DMが数通と、茶色い袋に入った封筒が1通。 DMは屑篭に捨てると、茶色い封筒を美香に手渡した。 美佳は封筒を受け取って、差出人を見ると、興味なさそうに破ろうとする。 俺は差出人の名前がちらりと見えて、慌ててその手を引きとめた。 「ちょっと待った! 美佳! それ……T大の通知じゃないのか!?」 思わず美佳から封筒をひったくる。 「いいんだってば。浩ちゃん! そんなの受けてみただけなんだから。 私は浩ちゃんと同じ大学に行きたいの!」 美佳が迷惑そうに封筒を取り返そうとする。俺は悪い事だと自覚しつつ、そ の封筒を勝手に開けてしまった。 ――藤堂美佳。右の者、T大理Ⅲに合格とする。2***年*月*日……―― ……T大合格!? それも理Ⅲ!? 俺の通ってるのは平凡な私大だぞ!? 「返してっ! 浩ちゃんのバカッ! 実家にばれないようにって、ここの住所書 いておいたんよ!」 呆然としている俺から便箋を奪い取ると、美佳は急いで破り捨てた。 「お、おい! 勿体無い事するなって! 親に黙って大学決めたのか?」 修復不能なほど紙を細かくちぎった後、美佳は真っ直ぐと俺を見つめて言う。 「だから言ったでしょ! 私は浩ちゃんと一緒にいたいの! そこは義理で受 けただけなんだってば! 行く気なんか最初からなかったんだもん!」 「……」 T大といえば、誰しも憧れる難門なのに、平然と合格を蹴る美佳。 離れていた年月の間に、美佳に何があったのだろう? 「もういいでしょ。浩ちゃん、寒いよ!早く中に入ろ? ドア開けてよぉ~」 「あ、ああ……」 いわれて見れば、受かったのは美佳であって俺じゃない。美佳の意思が決 まっているなら、俺には何も言う権利はない。 しかし、なんだか美佳に対する敗北感が陰鬱に俺を襲っていた……。 俺はのろのろとオートロックを開け、エレベーター呼び出しボタンを押した。 322 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 21 11 54 ID IONC9RsG なんだかいつもよりエレベーターの動きが遅い気がした。 やっと5回に着くと、506号室の前で立ち止まる。 「美佳、鍵は?」 「え~と……。ちょっと待って。あ、これこれ」 やはりブランド品らしいキーケースごと俺に手渡す。 「鍵くらい、自分で開けろよ。美佳」 「だって~。なんだか緊張するんだもん。じゃぁ、浩ちゃん、一緒に開けよ?」 ……はぁ? 俺は意味がわからず、美佳を見つめた。 「ほら~! ウェディング・ケーキの執刀みたいにやろうよ! これもやってみ たかったんだぁ~。美佳」 美佳はキーケースから部屋の鍵をえり分けると、俺に握らせ、その手の上 に、自分の小さな手を添えた。 なんだか馬鹿馬鹿しい茶番を演じているようで、俺はさっさと事を済ませてし まいたかった。 「じゃ~ん! これから美佳と浩ちゃんのお城の門を開けま~す!」 はしゃいでいる美佳に、ややげんなりしながら部屋の扉をあける。 「……当たり前だけど、真っ暗だね……。浩ちゃん、電気のスィッチはどこ?」 「へいへい……。お前も早く覚えろよ? 毎回呼ばれるんじゃかなわないぞ?」 すっかり主導権を握られている。俺はめんどくさそうに、俺の部屋のスィッチ と同じ位置をまさぐった。 しかし、さすがに今日上京したばかりの少女をホテルに置いてくる訳にも行 かないだろう。 「今夜だけだぞ? それと、俺の部屋には何も食うもんなんかないからな!」 美佳は嬉しそうに笑うと、またも俺に抱きついてきた。 「心配しないで! どっちにしろ、今夜は浩ちゃんのお部屋で再会のパーティ ーするつもりだったから、ケータリングの手配はしてあるの!」 ……やられた! こいつは高級ホテルなんて泊まり慣れてるお嬢様だった んだ! 「さ、浩ちゃん。お部屋に連れてって。男の人のお部屋なんてはじめて!」 俺は美佳に引っ張られながら、部屋はきちんと片付けていたかを気にしつ つ、俺の部屋へと足取りも重く歩き出した。 俺の部屋の前には、既に某有名ホテルのケータリングサービスが待ち構え ていた。 「藤堂様ですね。ケータリングサービスをお持ちいたしました。お手数ですが、 お部屋に通していただけますでしょうか? セッティングさせていただきます」 いかにもホテルマンらしいサービス営業口調だ。 「浩ちゃん。はよ、お部屋開けてあげて!」 俺はむすっとしながら、自室の鍵を開ける。 サービスマン達は素早く部屋に侵入すると、手際よくテーブルセッティングを 開始した。 「お待ちの間に、コーヒーなどはいかがでしょうか?藤堂様」 「そうやね……。私はロシアン・ミルクティーでいいわ。浩ちゃんは?」 「……ビール!」 不機嫌そうに言ってみると、高級なグラスに盛られたビールが差し出された のには閉口した。 323 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 21 12 52 ID IONC9RsG 「ワインくらいしか用意してないと思ったのに……」 精一杯の我儘だったのだが、美佳は事もなく笑う。 「いやねぇ……、浩ちゃん。彼らだってプロなんよ? 芋焼酎だってあるわよねぇ?」 「い、いえ……。さすがにそこまで今回は……。次回からはご用意させていた だきます! 藤堂様!」 このホテルも、藤堂の名前は知れ渡っているという事か。 「では、失礼いたします。藤堂様、またのご用命をお待ちしております!」 手馴れた手つきで美佳が請求書にサインをし、サービスマン達は去って行った。 「浩ちゃん。これでやっと二人きりになれたね。あ、鴨のロースト切り分ける?」 いそいそと小皿に盛り付けてくれている美佳を、俺はやはり不思議そうに見 つめていた。 そこに、いきなり俺の携帯が鳴り響く。 着信通知を見る迄もない。この着メロは、いつも俺からの電話を待ちきれず に電話してくる怜奈だった。 「なぁに? 浩ちゃん。それ、何のメロディやの?」 ナプキンの上に小皿を置いた美佳が、俺の胸ポケットで鳴っている携帯音 に訝しそうに首をかしげる。 「ん? ああ、携帯が鳴ってるみたいだ。……ちょっとごめん、美佳」 俺はなんだか美佳の傍で携帯に出る事に対して、なぜか俺の中で危険信 号が働くのを感じた。 「へぇぇ……。最近の携帯はいろんな音楽が出るんやねぇ」 背後で美佳が不思議そうに言う。美佳は一体いつの携帯を使っているんだ? 旧家の育ちだから、新機種などは興味ないのかもしれない。いや、そもそも 携帯など持ち歩いていないのか。何しろ旧家のお嬢様だ、直接電話になんか 出る事も少ないだろう。 実家では送り迎えのSPが付き添って息が詰まると報告してきていた、毎年 何度か来ていた他愛のない挨拶葉書にも、写メール画像はおろか、携帯番 号やメルアドさえ書いてなかった事を思い出す。 だが今はそれ所じゃなかった。 胸ポケットを押さえたまま、洗面所へと場所を移して携帯を取り出す。 電話の向うで玲菜の不機嫌そうな顔が浮かんでくるようだった。 「もしもし!? 浩一郎? なんですぐ出てくれないのよ! 電話するって言っ たじゃない!」 ……やっぱりな。留守電機能をセットしておくほうがいいかもしれない。 「あ、ああ、ごめん。ちょっと電波状態が悪くてさ。こっちから電話するって言っ ただろう?」 一瞬、玲菜が黙り込む。しかし、そのまま黙ったままでいないのが玲菜だ。 「だって、いくら待ってもかかってこないんだもん! 従妹さんとは会えたわけ? あんまり可愛い子なんで、あたしの事なんて忘れてたんじゃないの?」 ――そう来たか。 「ああ、さっき駅まで迎えに行って、部屋に送り届けたよ。なんでそういう話に なるんだ? ちゃんと紹介するって言っただろ。変な邪推はよしてくれよ……」 俺を挑発しては怒らせ、すぐに玲菜が謝っては、甘い会話に持ち込む。 これがいつもの玲菜と俺の電話のやり取りだった。 だが、今日は少し事情が違う。あまり長電話をしていると、美佳が見に来そ うな気がしていた。 うぬぼれかも知れないが、今日の美佳の態度を見た限りでは、いきなり玲 菜の存在を知らせるのはまずい、と俺は感じている。 324 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 21 14 33 ID IONC9RsG 玲菜が俺のご機嫌取りを始める前に、俺はシャワーのコックを捻って水音 が玲菜に聞こえるようにすると、手短に玲菜に言った。 「ごめん、本当にごめん。今日はもう疲れてるんでまた明日な。風呂の中だか らもう切るぞ。明日、いつものところでまたな」 「え……?ちょ、ちょっとぉ! 浩一ろ……」 プツッ。ツー……ツー……。 一方的に携帯をオフにした。明日にでも謝ってご機嫌を取ろうと決めた。 明日は大量にスキンを買い込んで、玲菜を満足させてやればいい。 口やかましく我儘な事も多いが、玲菜の体は正直だ。 俺はそのまま携帯の電源を切ると、胸ポケットにしまって洗面所から出よう としてぎょっとした。洗面所の入り口に、美佳が立っていたのだ。 「な、なんだよ、美佳……! びっくりするじゃないか!」 美佳は手に自分のタオルを握り締めて伏目がちに俺を見上げた。 「だって……。食事の用意ができてるのにシャワーの音がしたんやもん……。 浩ちゃん、シャワー浴びるんなら、タオル使うかなぁ、って思って……」 瞬きをすれば、音が出るんじゃないかと思える程 黒くて長い睫毛が美佳の 瞳を隠している。一瞬、泣いているのかと思って、なぜか俺の胸が痛んだ。 「ああ、ごめん。電話してたら風呂場の汚れが目に付いてさ。話ながらシャワ ーで洗い流してたんだ。風呂は美佳の後でいいんだ。今日はお客様だもんな。 さぁ、食事にしようか」 我ながら驚くほどさらりと嘘が口から出る。そして俺は美佳の背中に手を当 てて、ケータリングの食卓へと促そうとした。が、美佳は顔を紅く染めたまま動 こうとしない。 「……美佳? どうした?」 「浩ちゃんより先にお風呂入るなんて、恥ずかしい……。男の人を差し置いて なんて、私、入った事ないんよ。浩ちゃん……」 抱きついてきた時の大胆さの微塵もない。古風な家で育った少女は皆こうな んだろうか? そりゃ、お嬢様は専用風呂をお持ちだろうから、後から他人が 使う事もないだろう。 俺は美佳の謙虚なのか天然なのかも不明な言葉に、奇妙な新鮮さを感じた。 「そ、そっか……。恥ずかしいか。じゃ、いっそ一緒に入るか? 美佳?」 つい冗談めいた言葉を発してしまう。その言葉で美佳がもっと紅くなるのが、 なんだかとても可愛らしかった。白い肌を耳まで紅く染めて俯いている。 「……」 「じょ、冗談だって! さあ、せっかくのご馳走が冷めちゃうから食べようぜ?」 頬を染めて無言のままの美佳の肩を抱くと、美佳はピクリと震えながら頷き、 益々顔を上気させながら、俺と一緒に食卓に戻った。 ――つづく 325 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 21 35 33 ID rw88VOBP 324 GJ! 話は非常に面白そう だけど、投下前に投下宣言と投下後に投下終了を告げた方がいいよ 326 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 21 44 55 ID qWtkzPtP 325 志村ー、ぐぐれ、ぐぐれー! したらばのヤンデレスレからの転載だぞ 327 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 21 57 45 ID cbpyfK1G 326 それってどこすか? 328 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 22 01 05 ID Gxf96Gx6 なんだよ他人の褌かよ ってか最近多いな転載房 329 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 22 01 54 ID zNAwzwNw てかしたらばにヤンデレスレとかあったのか 330 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 22 06 36 ID qWtkzPtP 327 つttp //jbbs.livedoor.jp/bbs/i.cgi/otaku/10206/1201790799/ 今携帯なんでURLおかしいかも(´・ω・`) 331 名前:Pinks ◆PinkSk5pfw [sage] 投稿日:2008/03/20(木) 22 19 38 ID j1V9ivVq すいません、そのSS書いた本人ですが……。 あそこはあくまで下書きスレで、エロパロに投下する段階では全くありません。 それにまだまだ終了のめども立っていません。 どういうつもりか知りませんが、無断転載はお断りします。 332 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 22 32 50 ID ZU0f1mlK (´_ゝ`) 333 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/20(木) 23 16 37 ID An0gVjzW 330 つーか、ここにURL出していいもんじゃないだろ・・・ 334 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 00 14 06 ID fXMvFcdx 331氏… 晒されたお気持ちは察してあまりありますが… すごい連載なんです! 消さないでいただけないでしょうか。 GJなんです! 335 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 00 53 11 ID C+CzHub8 ID IONC9RsGを著作権侵害で告訴すればいいと思うわけだが 勝手に自分の作品を著作者の許可なしに貼り付けているわけだし 被害届を提出すればいい。今の時代、簡単に見つけられるから、 逮捕してもらえばいい 336 名前:Pinks ◆PinkSk5pfw [sage] 投稿日:2008/03/21(金) 01 24 15 ID /+K4WVHH え~とですね……。 告訴するほどの立派な作品ではありませんし、平日昼間に仕事を休んでまで、 趣味で書いてることで家裁に行く暇もありません。 それに、本当にこれってまだ、ただの下書きレベルのものなのです。 知り合いレベルに見てもらって、誤字とかを直したり僻地でのんびりやってたのですよ。 プロットは最後まで決まっているのですが、なかなか進展せずにずるずるときてしまい、 ともかく書き上げてから修正しようと思っていたものです。 ただ、かなり欝展開になるので、投下するつもりはありませんでした。 こちらが驚いてここに伺ったのは、今日もダラダラと自分のスレに投下するかと開いたら、 晒されてますよという書き込みを見て吃驚したからです。 あんな中途半端なもののコピペやURLを晒して、何がしたいのか、不思議でなりません。 ただ、他に書き込みに来てくれている現役の職人さんにまで、迷惑が及ばない事を祈っています。 長文にて失礼しました。 スレ住人の皆様にも、ご迷惑をおかけして申し訳ありません。 337 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 01 34 47 ID My4xHj1C 336 悪いのは荒らしとこちらのスレの住人の不注意な行動です こちらこそ本当に申し訳ありませんでした 338 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 02 01 19 ID 7PH7kIAE 294 よう、俺w 俺もこないだ友人に薦められて読んだばかりww 中々楽しめたよ 楓には及ばんがなw 339 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 05 48 06 ID hscLdnKA 331 きめぇんだよ 小説家気取りの先生さんよ 340 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 06 29 50 ID e2Cdi4WG 339 転載房乙。 もうすんなよ。お前がネ申になれるわけじゃないんだ。 341 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 08 24 12 ID CJeuTJJe 339 黙れカス ばれなきゃあのまま続ける気でいたんだろクズが 密かにあそこの更新を楽しみにしてたのを台無しにしやがって氏ねよ 342 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 09 07 04 ID Gn3YQp4q 331様 もしこのスレを見ていらしたらすみません。 自分もリンクからあなたのスレを見に行きました。 全て読ませていただいてしまいました。 …あまりの素晴らしさに感動しました。 お願いします。引越しと削除は思いとどまってください。 できればあのまま連載を続けていただきたいです。 343 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 09 25 08 ID jUxAgTUN 荒れそうだからこの話題終了な 344 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 10 44 18 ID JkfdVpAI ヤンデレの元祖は改蔵の羽美ちゃんだと思うわけですよ あれはただの不思議さんだとは自分でもわかってはいるが 345 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 10 56 06 ID EH6HI3oB 少なくとも元祖ではないとオモ 346 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 10 58 51 ID E+Kqwl1y 元祖とか言うと神話からになっちゃうだろうしな 347 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 11 20 26 ID VDzHzOSa 元祖とか言うても、ヤンデレじみた逸話は大昔からあるしな 348 名前:名無しさん@ピンキー[kyd2enj] 投稿日:2008/03/21(金) 11 50 35 ID dCrJ/O/y 例えば、……何かあったっけ? 349 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 11 51 00 ID ZYPk2+6v 荒れそうじゃなくて荒れてんだよ! だいたいなんで即レス付けたんだ? 326 330 お前いつもこことそのサイト見てるからだろ 携帯でまでチェックしてるほどかのサイトに固執してたんだろ 339の転載厨= 326 #160; 330 >きめぇんだよ #160; >小説家気取りの先生さんよ #160; 馬鹿じゃね?醜い負け犬根性丸出しで吠えてんじゃねーよ その二言でお前のチンケな劣等感がもろに見えてるんだよ! 少なくとも俺はずっと楽しみにしてたんだ! ここに投下してない職人になら何しても問題ないみたいな発言はやめろ すっげ腹立つ 350 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 11 55 17 ID VDzHzOSa ↓↓↓以下何事もなかったかのように再開↓↓↓ 351 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 12 03 24 ID fXMvFcdx 何事もなかった事にはできないでしょ…さすがにやりすぎだよ 今回の件は 352 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 12 11 07 ID xJvvMSca 嫉妬スレが崩壊した理由は住人がバカすぎて、 荒らしの自作自演を見抜けなかったことにある さて、ヤンデレスレ住人はバカではないことを証明できるか 353 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 12 23 33 ID ZYPk2+6v 以下荒らしの釣りと自演 317-324 326 #160; 330 #160; 332 339 352 他所のスレ住人をバカ呼ばわりとはお前何様だ? 下手糞な釣りはやめとけ 354 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 12 28 53 ID E+Kqwl1y 神話のヤンデレで有名なのって誰だ? ヘラとか? 355 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 12 33 01 ID /fT/TFIB ギリシャ神話はヤンデレ多いって聞いたことあるけどなあ。 昨日からの流れ見て驚いたんだが、未来日記ってあんまり知られてないのか? ここの住人なら当然抑えてると思ってたんだが。 まあ個人的には由乃はあんまり萌えなかったが 普通にかわいい女の子に見えてしまって 356 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 12 44 18 ID mhN7SY9O 俺も知らんかった まぁ俺はあまり漫画とか小説はチェックしてなかったからあれだけど 357 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/03/21(金) 12 50 04 ID jhVYtIDj 347 #160; 350以外全て単発IDな件について 必死だな 358 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 12 57 58 ID gLS6D3GR 擁護で騒ぐのもいい加減にやめろ 336氏が自作自演でここを荒らしている、 という結論にもって行きたい荒らしの目論見にまんまとはまってるのがわからないのか? 過去ログよく読み返してみろ なんでこんな事ぐらいにも気がつかないんだ その程度もわからない厨なら、氏のファンなどとおこがましい事をほざくな 359 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 13 06 01 ID jjrKLG/8 いい加減長文でスレ消費すんのやめたら? さっさと忘れろよ 360 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 13 19 05 ID /fT/TFIB 356 ん~。 ヤンデレ大全ぐらいしかまとめてくれているところって無いからしかたないかなあ。 もうちょっと系統立ててまとめられればいいんだけどねえ。 といっても定義するだけで議論になるぐらいだから難しいかもしれんが 361 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 13 23 18 ID LwSJqL/8 じゃお前が責任もってレス削除依頼出してこいよ。 ID変えてる暇があるんだからさ。 362 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 13 38 36 ID VDzHzOSa 無様 363 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 13 45 40 ID LwSJqL/8 362 携帯厨に言われたかねえな 一人芝居乙。 364 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 13 52 13 ID xJvvMSca 何か嫉妬スレみたいに自作自演で荒れてきたな 荒らしは粘着で頭がおかしいからスルーしていても、 住人を装った荒らしがすぐに話を振り返るから 完全にスルーしてヤンデレ話をすればいい 365 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 14 02 57 ID LwSJqL/8 誤爆で自慢してやがるのもお前だろ 366 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 14 15 08 ID fXMvFcdx 364 素直な質問なんだけど、自作自演ってどのレス? アンカーつけて説明してくれない? 367 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 14 18 23 ID ci1TlVYZ 単発IDで擁護したり叩いている奴は自作自演の荒らし 正直に言うと、本当に手口とかは幼稚すぎる。 368 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 14 19 23 ID w+LrACgH 「あなたがいないとダメなの!」って感じに男に依存 するのもヤンデレなのか? 369 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 14 22 48 ID fV2Zze0E 367 だからなんで違うIDが答えるんだよ 具体的にアンカーつけてどれが擁護でどれが叩きなのかそこまでやれよ ID変えてる暇があるんだから(ry 370 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 14 25 36 ID fV2Zze0E 353はちゃんとアンカーつけて荒らし指定してるじゃないか それと携帯厨のID VDzHzOSaな どうみても追い詰められて話をそらそうとしてるようにしか見えない 371 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 14 28 39 ID fV2Zze0E 364 >自作自演で荒れてきた 自作自演も荒らしてるもお前だろ PCからのID VDzHzOSa 372 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 14 32 53 ID xLEVKPVk ヤンデレに愛されて眠れないCD聞いたが ありゃヤンデレっていうか猟奇娘だよな 373 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 14 34 15 ID w+LrACgH 372 kwsk 374 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 14 35 56 ID LpcOAw1A 372 禿同 ヤンデレ大全といい、あのCDといい、どうしてこう分かってないのか いや、商業主義的に考えてインパクトが無い、と普通のヤンデレ案では却下されたのかもしれないが 375 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 14 36 00 ID EOKPgj40 372 その辺わかってない人多いよな 376 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 14 41 33 ID W2UwLP4F 取り敢えず刺せばヤンデレ、取り敢えず流血沙汰を起こせばヤンデレ、取り敢えず病んでりゃヤンデレ こんな風に勘違いしてる奴が増えてきたとは思う 別に「カリフォルニア巻きは寿司じゃない」みたいなことは言わないが 「米を使えばみんな寿司」みたいな風潮は勘弁して欲しい 377 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 14 42 05 ID EH6HI3oB 裏でネチネチと謀略をめぐらすより 刃物持ち出したりした方が受けがいいのかね 378 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 14 44 38 ID OGG09y47 刃物なんて出すなんてキチガイすぎるw 更に愛しい彼よりも泥棒猫を惨殺しなきゃダメだろw 379 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 14 45 17 ID jjrKLG/8 結局インパクトなんだろうな 「わかりやすい、目に見えやすい」ってことが重要なんじゃね 380 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 14 46 14 ID w+LrACgH その辺はやっぱメディアのアレだろう。地味で分かりづらいものより派手で分かりやすいものの方が人多く惹き付けるから でもそれが氾濫すると辟易する。 381 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 14 51 18 ID OGG09y47 せめて、ヤンデレヒロインが病んで行く描写の過程をちゃんとしてから ヤンデレ化→主人公にアプローチ→HAPPYEND 空鍋ヒロインと鋸ヒロインには軽い工程だなw 382 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 14 51 22 ID xLEVKPVk 妹→凄み入れるとこで笑ったが全体的に良 幼なじみ→五寸釘笑ったwww 同級生→静かに狂ってるある意味一番病んでる 個人的にはこんな感想 383 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 14 59 32 ID LpcOAw1A だから三パートになんかせず、46分通しで一人のヒロインを描けばよかったんだよ、アレは 大体登場キャラは病んではいるけどデレがねえよ あるとしても自分に対するデレだ、ありゃあ 384 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 15 02 55 ID WzoRcdTx 前スレだったか前々スレだったか忘れたが、日本書紀にヤンデレがいるとかいないとか議論されてた 385 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 15 08 25 ID 7pCmFfvk >ヤンデレ化→主人公にアプローチ→HAPPYEND #160; 軽い・・・軽すぎる ライトポップなヤンデラーなんか真のヤンデラーじゃない! とことん泥沼化しヤンデレヒロイン一人にとってのハッピーエンド、周囲にはバッドエンド これぞ真のヤンデレ道だ! 386 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 15 09 28 ID My4xHj1C 372 俺は嫉妬深い女の子って感じで聞いてたけどな 387 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 15 11 01 ID jjrKLG/8 385 待て、HAPPYENDが誰にとってのものかを考えてみるんだ 388 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 15 15 15 ID 7pCmFfvk 世界観が破綻してもヤンデレ娘にとって幸福と思える環境 HAPPYENDはヤンデレ娘のためにあるんだー 精神病院の一室に閉じ込められても、男を独占していると思い込めればそれで幸せなヤンデレ娘に萌え サイコっぽいヤンデレ娘に惹かれるものこそ真のヤンデラーだと俺は力説する!(鼻血 389 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 15 18 11 ID EOKPgj40 387 愛する彼の為のものに決まっておろう 390 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 15 23 04 ID jjrKLG/8 389 だとしたら 「愛する彼は私と一緒にいれば幸せになれる」 「あの女の所へ行けば不幸になる」 とか言って 主人公もそれに染まっていく…のはどうなんだ? ちょっと混乱してきた 391 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 15 56 32 ID EOKPgj40 390 彼の幸せはヤンデレ娘の認める幸せしか存在しないから それもまたHAPPYENDかもしれないってことじゃないかね 392 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/03/21(金) 16 03 30 ID Q9cc5D5p 自演雑談の撒き餌バレバレワロスw うんこSS早く投下しろクズ うんこw 393 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/03/21(金) 16 05 06 ID Q9cc5D5p うんこSSまだああああああああああ!? まちきれないのおおおおおおおおおおおおおwwwwww うんこおおおおおおおおwwww うんこっこw 394 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 16 08 52 ID xLEVKPVk 春だなぁ 395 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 16 09 55 ID qM136tbo やはりヤンデレ道は奥が深いですな・・ 396 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/03/21(金) 16 09 59 ID Q9cc5D5p 自己顕示欲だけは旺盛な小説家気取りのうんこの行動は見てて笑えるおw 早くご自慢の必死こいて書いたうんこ駄文投下するおw 自演の2、3レスしかつかないけどうんこw 」 うんっこおおおおおおおおおwwww うんこっこw 397 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 16 12 45 ID jjrKLG/8 391 なるほど、thx まだまだ俺は修行が足りんな… しゃっほー第一話から見直してくるわ 398 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 16 21 13 ID JkfdVpAI というかヤンデレは自分の幸せ=頭の中の彼の幸せだと思う 399 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 16 25 33 ID W2UwLP4F 398 それだな 少しずれてる幸福論だから世間には悲劇だとか言われちゃうわけですね 400 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 16 35 14 ID jjrKLG/8 398 一気に解決した よし、これで妄想し放題だぜヒャッハァ!
https://w.atwiki.jp/i_am_a_yandere/pages/1165.html
1 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/08/24(日) 11 52 33 ID T9Tk6IB4 ここは、ヤンデレの小説を書いて投稿するためのスレッドです。 ○小説以外にも、ヤンデレ系のネタなら大歓迎。(プロット投下、ニュースネタなど) ○ぶつ切りでの作品投下もアリ。 ■ヤンデレとは? ・主人公が好きだが(デレ)、愛するあまりに心を病んでしまった(ヤン)状態、またその状態のヒロインの事をさします。 →(別名:黒化、黒姫化など) ・転じて、病ん(ヤン)だ愛情表現(デレ)、またそれを行うヒロイン全般も含みます。 ■関連サイト ヤンデレの小説を書こう!SS保管庫 @ ウィキ http //www42.atwiki.jp/i_am_a_yandere/ ■前スレ ヤンデレの小説を書こう!Part17 http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1215971239/ ■お約束 ・sage進行でお願いします。 ・荒らしはスルーしましょう。 削除対象ですが、もし反応した場合削除人に「荒らしにかまっている」と判断され、 削除されない場合があります。必ずスルーでお願いします。 ・趣味嗜好に合わない作品は読み飛ばすようにしてください。 ・作者さんへの意見は実になるものを。罵倒、バッシングはお門違いです。議論にならないよう、控えめに。 ■投稿のお約束 ・名前欄にはなるべく作品タイトルを。 ・長編になる場合は見分けやすくするためトリップ使用推奨。 ・投稿の前後には、「投稿します」「投稿終わりです」の一言をお願いします。(投稿への割り込み防止のため) ・苦手な人がいるかな、と思うような表現がある場合は、投稿のはじめに宣言してください。お願いします。 ・作品はできるだけ完結させるようにしてください。 ・版権モノは専用スレでお願いします。 ・男のヤンデレは基本的にNGです。 2 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/24(日) 11 56 43 ID OMBpQQEJ 1 乙です。 3 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/24(日) 11 58 58 ID +LpHqxU9 1 これは乙じゃなくてあなたを縛るためのロープなんだから勘違いしないでよね! 4 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/24(日) 12 35 16 ID nP/eTqrV 1さんの穴という穴に私の髪の毛を挿しこんで・・・。 うふふっ! まあそんな感じです。 5 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/24(日) 12 51 45 ID FHrY/1a+ 1 乙 6 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/24(日) 13 58 04 ID ZoIIsnK0 由花子さん乙 7 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/24(日) 20 10 38 ID RU1p3rEH いちょう2 8 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/25(月) 00 26 26 ID 1rpRdGGY 1さんは私だけの物ですよ?皆さん勘違いしないでください だから 1乙って言って良いのも私だけなんです 9 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/25(月) 20 34 00 ID fTqC++eQ 1 乙。 10 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/25(月) 23 51 37 ID n+8zzsYy 1 よし、うちの姉を嫁に持って行っていいぞ 11 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/26(火) 00 22 27 ID JXONKGWZ 8 2getしてから言ってくれるかしら? 1乙 12 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/26(火) 11 53 21 ID LT/INwNh 嫉妬スレの住人立ち入り禁止 13 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/27(水) 00 11 56 ID D0kZWc5Z 修羅場統合から来ました 14 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/27(水) 00 44 17 ID 7hwsBngm 監禁されてた廃屋から逃げてきました 15 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/27(水) 01 39 04 ID lkxi6ra5 14 帰れ あの娘の下に 16 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/27(水) 12 48 41 ID D0kZWc5Z VIPから来ますた 17 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/27(水) 12 56 07 ID OArEmfUi まあ夏休みももうすぐ終わりですから 18 名前: ◆QMmp63tnmg [sage] 投稿日:2008/08/27(水) 22 49 35 ID o2brc7s7 ヤンデレの娘の親父やお袋視点のネタ、誰か実験作として投下してくれんものか… 言い出しっぺネタ 親父の日記 ●月二日 娘が一心不乱にノートに何か書いていた。 「雌豚死ね、■愛してる」雌なんて漢字が書けるようになったのか‥何してるんだ! ●月三日 娘が男の子を連れて来た。娘の笑顔の裏に狂気を見た気がした。 男の子は心なしかおびえている。 ●月十日 保護者集会が開かれた。同級生の女の子が飛び降り自殺を図ったらしい。 不謹慎だが、何かが起こっているのかもしれない。 ●月十二日、妻が携帯ばかりする娘を叱った。 送信文面は…男の子の動向を問い詰める物だった。三分毎に送ってる様だ… ■年▲月十七日 娘が男の子と結婚した。馴れ初めを聞いた震えだした。 初孫が楽しみ…ん?新郎席の妹さんに何殴り掛かろうとしてるんだ! 理由は、お互い気に食わなかったかららしい…両家の未来に不安を感じた 19 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/28(木) 01 31 02 ID plKMGiy/ 死ね 20 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/28(木) 07 58 07 ID fhc60ISV 18おもしろいなw親父も心配性で笑えた 21 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/28(木) 08 54 18 ID 9JqqVHVf 死ね 22 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/28(木) 15 09 51 ID 1yrXvsLt 稚拙ですな。 もっと紳士的にできないものか。 23 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/28(木) 15 40 21 ID 71AND8nq 紳士的……? し、死ぬがよい 24 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/28(木) 15 58 28 ID sr303+7a 某大往生なんてこのスレの住人が知ってるのか? 25 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/28(木) 18 02 23 ID 30p4voz7 18 こういう視点もなかなか面白いな 26 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/28(木) 18 21 14 ID UVkSfNUx 19,21 12 27 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/28(木) 20 55 08 ID 15sGF9ct 死ね 28 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/28(木) 22 06 30 ID 1yrXvsLt 単発IDで嵐か。 胎児以下だな 29 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/28(木) 22 11 09 ID tyJ/kUYH ヤンデレになる女の子の特徴は 1・内気で暗い女の子(友達がおらず、いつも一人で孤独な時間を過ごしている) 2・好きになる人は自分を助けてくれた人又は自分に好きって言ってくれた人 3・恋人同士になるとだんだんと彼に依存してしまう。(そして、疑心暗鬼になってしまう) ぐらいなもんか? で、ヤンデレ化すると一騎当千の戦闘力で泥棒猫を撃破できる 30 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/28(木) 22 21 50 ID pnUVu04+ 29 それただのメンヘラじゃん 31 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/28(木) 23 03 55 ID fP9L9f11 ずっとROMしてたが今年は例年以上に夏厨がひどいな 何か住人は皆退散してるぽいし 32 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/28(木) 23 28 21 ID FjsqrJ0D 大丈夫夏休みもあと数日 一部のやつらは宿題に追われてるだろう 33 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/28(木) 23 32 31 ID lJQ4DXoB このスレに限って、(美しい)女性は誰しもがヤンデレになる可能性を秘めている。 個人的には、しつけが厳しいor世話焼き女房っぽい女の子が黒化していくのが好き。 「この家の門限が7時までというのは知っていますよね。 守れないのはなぜなんです?」とか、 「せっかく夕食を作って待ってたのに……私の料理、嫌いになった?」 とか言われたいね。 34 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/28(木) 23 38 30 ID zTfP7GxX 夏休みが終わってから宿題を始める人種がいることをしらないようですね 35 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/28(木) 23 52 33 ID 4qYeGI7W 31 32 34 夏だなぁ厨 【なつだなぁちゅう】 夏厨が出没すると放置ができず「夏だなぁ」と言い出し 荒れの元となりスレ住民全体に迷惑をかける存在。 【特徴】 ・とにかく文中に「夏だなぁ」を入れないと気がすまない ・スレの流れや空気を読めず、反応してしまう ・普通のスレ住人は夏厨を放置しているのに自分だけが過剰に反応してしまう ・夏厨に反応している時点で夏厨と同類であることに気づいていない 一々構うんじゃありません、自重しなされ 36 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/29(金) 00 07 48 ID wNWDc9FV ふと思い出したけれど最近の小中高生って土日が休みなんだろ? その分部活につぎ込むならともかく、エロパロに出入りするような暇人なら 夏休みが始まる前に終わらせるのも楽勝じゃね? 37 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/29(金) 00 10 09 ID U3UWpS88 俺は捨てないで!系が好き んでそういう子をいじめたりたまに可愛がったりして弄びたい 38 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/29(金) 00 40 48 ID zXDZcY+j 個人的には捨てられたら、子犬のような目でストーカーになる展開が好きだな 39 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/29(金) 21 16 25 ID boUbB7i/ 38 子犬のような目でストーカーってものすごい矛盾だな。 たまらんのぅ。 40 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/30(土) 14 44 46 ID m4a1eZGH 37 おまえ「いたいけな彼女」とか好きだろ 41 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/30(土) 20 18 20 ID 0610wgei ひとーりでーいきてーゆーくーんだとー 42 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/30(土) 20 53 41 ID ob86vCJj 保存庫変わったな~ 止マナイ雨ニ病ミナガラと雰囲気を合わせたのか いつも管理人ありがとうGJ 43 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/31(日) 00 44 18 ID BgycZvbI ヤンデレスレの女の子はキチガイばっかだな…… 44 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/31(日) 05 26 22 ID zp4v3LgF 死んじゃえ 45 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/31(日) 05 43 30 ID kY2/2w86 なにそれ?本スレ? 少なくともここでは無いな、うん 46 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/31(日) 22 09 35 ID lIF5/uXW ヤンデレ家族石マダー? 47 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/31(日) 22 23 29 ID /C4focgQ 待てない奴は何なんだ? 何も言わずに正座してろ 48 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/31(日) 22 37 18 ID uQz/iSqq ちゃんと服脱いどけよ。 靴下は……趣味に任す 49 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/31(日) 22 48 34 ID JjbOncz7 上だけ一枚着て後は裸で座って待ってるよ 50 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/31(日) 23 08 05 ID ZsooHM7Y ネクタイは忘れるなよ。紳士の嗜みだ 51 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/31(日) 23 38 55 ID hucst2kT なんで・・・・・・なんで正座して待ってられないんですか? ちゃんと「正座して待っててくださいね」って言ったのに・・・・・・ 52 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/31(日) 23 56 48 ID C9bx++Eb 新の紳士の嗜みは蝶ネクタイだと何度言えば 53 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/01(月) 00 01 02 ID uQz/iSqq ニュータイプか 54 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/01(月) 00 39 13 ID 9AXaz80y ・・・あ。 そっか、そうやって私から逃げたんだね。 でもね、私だってそこへ行けるんだよ? 今から行くからね・・・うふふふふ そう呟いて、彼女は飛んだ。 ------- もういやだ。 あの女がずっと、ずっと、ずーっと付き纏う。 今までに何人があの女のせいで死んだだろう。 はは、両手を使っても足りないな。 これ以上生きていても周りに迷惑を掛けるだけだ。 ・・・飛び降りようか。 あいつともこれでお別れだ。 あいつのせいで死んだ友達には謝りに行かなきゃな。 誤解されて死んだあの子に、なんて謝ろうかな。 飛びながら考えればいいか。 男は飛び降りた。 ---次回予告 女さん(仮名)と鬼とのバトル! 余裕で勝利した女さん(仮名)は愛する男のいる天国へと向かうのであった。 続かない。 55 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/01(月) 01 53 48 ID 4QKcpuF0 全裸で待っていたがそろそろ服を着るよ ところで、俺のちんこの亀頭にほくろがあるんだが。知らなかった。 それも上から見た亀頭のちょうど真ん中。長年一緒のちんこにも知らないとこがあるんだな 56 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/01(月) 02 15 59 ID NPWgEq7E そんな事言うとヤンデレがチンコにヤキモチ妬くぞ 57 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/01(月) 02 48 10 ID DESX+vgc 俺なんてきんたまの後ろに2つだ 風呂なんて特に恥ずかしいから イッツも隠してた 58 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/09/01(月) 10 05 12 ID SlN+IDyI 週刊ヤンデレ家族と傍観者はどこ行った? 59 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/01(月) 14 04 45 ID vXWpzvJZ 58 合併号です 60 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/01(月) 14 31 51 ID 9zuMEmhN 妙に納得してしまった 61 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/01(月) 16 00 33 ID A9t4Smy8 じゃあ今週は赤丸が出てていいはず 62 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/01(月) 16 55 49 ID YBT5ZqRz エロパロのヤンデレ二大スレはどこも最高だな。 63 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/02(火) 00 50 48 ID czuN4+Re ここと後一個どこだ? 64 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/02(火) 08 11 05 ID kEB2+t88 キモウトキモ姉スレだろうな あれも神だな確かに 65 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/02(火) 11 54 34 ID m2dFLfd2 他スレは他スレです 他所の話をここに持って来ないでね 66 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/02(火) 18 53 44 ID 2Hs7cTqT 63 キモ姉キモウトスレに決まってるじゃん・・・。 半角二次元のほうにあるスレはエロパロじゃないし。 67 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/02(火) 18 59 15 ID WlepUYvj いいから(・∀・)デテイケ! キモスレ住人は巣に帰ってろ 68 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/02(火) 19 14 36 ID CxhdNLEx 他の人はいいが 67お前だけはデテイケ!ピンポイントで 69 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/02(火) 19 23 30 ID kEB2+t88 たまには妹でも良いと思うんだ 70 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/02(火) 20 01 40 ID sT5sNnrE 他スレの話はそのスレで語った方がお互いのためだと思うんだ 妹や姉もいいものだけどね 71 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/02(火) 21 58 13 ID oh+vkRP6 こじきにレスが付かずに他スレの話をレスが付くのね 72 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/02(火) 22 20 41 ID VgfQ7KqI 同族元素の続きが気になりはじめた今日この頃 73 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/03(水) 16 00 15 ID t6c+ax1p 東尉が前作では男らしくていいヤツというこのスレでは割と珍しいキャラだったな 再開を気長に待ってるが 74 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/04(木) 01 20 50 ID LIgeAWI5 【ドラマ】“悪女”米倉涼子 夫の浮気相手に毒盛る…テレビ朝日開局50周年記念ドラマ「氷の華」完成披露試写会 http //schiphol.2ch.net/test/read.cgi/mnewsplus/1220395793/ これは期待できそうなのか? 75 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/04(木) 01 29 12 ID Q99mUBz+ ここSSスレだし3次とかスレチすぎだろ 76 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/04(木) 01 39 51 ID LIgeAWI5 >【この板の趣旨】 >一般向け作品(漫画/アニメ/ゲーム/小説/ドラマ等)のエロ妄想・萌え談義、 >およびオリジナル・パロディを問わないエロ小説創作等を行う板です。 いや、確認してるんだが。 どう見てもドラマの話題だろ。 77 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/04(木) 01 43 02 ID Q99mUBz+ 76 板ちがいではなくスレチ 78 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/04(木) 01 47 49 ID b45ZZuj3 ここはヤンデレネタならなんでも愛でるスレだったぞ。 この程度でスレ違いってわけわからん 79 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/04(木) 01 53 05 ID 7CX8Ttqe 自治厨こそお帰りください 80 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/04(木) 02 52 05 ID A38+j2IH ちょうどテレビつけたら宣伝がやっていた なんとタイムリーなんだろうか 81 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/04(木) 09 25 25 ID Fo477Mq7 ここはSSスレだから他のスレでやれ 住み分けもできないバカは死ね 82 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/04(木) 09 28 54 ID b45ZZuj3 >○小説以外にも、ヤンデレ系のネタなら大歓迎。(プロット投下、ニュースネタなど) まあテンプレぐらい読もうな 83 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/04(木) 11 19 45 ID CbRvp5dE おまえら、前スレ埋めようよ 84 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/05(金) 01 52 51 ID R2MOU9+L ぶっちゃけ言うとさ、無限のリヴァイアスのキャラって、全員病んでねぇ? 85 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/05(金) 03 17 13 ID ZbvmbPkX ぶっちゃけ言うとさ、死ねよ 86 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/05(金) 12 01 02 ID 9wMe8Z7e 知らなかったからぐぐったらずいぶん古いアニメだな。 面白いのか、これ? 87 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/05(金) 12 49 10 ID QGzrYv6h 86 http //changi.2ch.net/ranimeh/ 88 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/05(金) 13 00 45 ID GK0rNIaq テンプレ嫁 と言っても俺も知らないから 86の期待には答えられないんだがw ヤンデレって意外と昔からあるんだよな、 ジャンルが確立されたのは最近だが 89 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/05(金) 13 16 16 ID Ngdl79Fj つーか平安時代にすでにヤンデレが物語に登場してるんだから当たり前だろjk 90 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/05(金) 13 22 28 ID 9wMe8Z7e 知ってるよw ただそうなるとまだ知られてない過去作品とかもあるんだろうな、と思ったんだ 91 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/05(金) 13 24 16 ID 9wMe8Z7e 連レススマソ だから 84とか興味湧いたんだが……そんなにマイナーなのか、これ 92 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/05(金) 19 26 42 ID QGzrYv6h 死ね 93 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/05(金) 21 47 49 ID UZXw/h5b 生きろ 94 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/05(金) 22 41 22 ID 0nrGIili リヴァイアスはヤンデレとか関係なしに見ればいい 95 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/05(金) 22 54 43 ID YXI4uei4 こずえがレイプされたことよりも、タクミが実の姉と肉体関係を持っていた方がショックだわw ちなみに夕方の6時のアニメにレイプと近親ですよ 96 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/05(金) 23 50 00 ID iwjhtX26 深夜42時アニメだから仕方ない 97 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/06(土) 11 30 31 ID 6dUQxkzL ブラコンシスコンショタコンホモヤンデレ何でもござれだったな>リヴァイアス その後がビーストってのが救われたw 98 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/06(土) 18 27 28 ID iWMcouTR なんど読んでもブラの後あたりが中々頭に入ってこないな 99 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/06(土) 22 59 25 ID EKcScYLZ ハハン鳥頭め 100 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/07(日) 23 26 42 ID uPDGxxI0 今週はヤンデレ家族くるかなー 焦らしプレイでもいいけどね! 101 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/07(日) 23 39 48 ID xcvji2dP 100 とりあえず全裸で正座をしながら待機だ・・・ 102 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/07(日) 23 44 13 ID iyxqpwdd 97 ビースト最終回のダイノボットの台詞はリヴァイアスに喧嘩売ってるとしか思えなかったなw 103 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/08(月) 00 24 39 ID eNrp8APr よしじゃあ裸ネクタイに正座で待機していよう 足が痺れても涙目で待ってる 104 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/08(月) 01 01 22 ID wUR5E8qh 待てと言われて全裸にネクタイで待つヤンデレ淑女 105 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 01 40 30 ID btGIRyZm こんばんは。 とっくに日付が変わって月曜日ですね。 それは置いといて、清算編その二を投下します。 106 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 01 41 28 ID btGIRyZm *** 妹の様子が少し変わっていることに気付いたのは、風邪で体調を崩した妹が久々に居間に下りてきたのを見た時だった。 妹は回復したのが嬉しいのか、朝の挨拶の声まで弾んでいた。 でも、機嫌が良い理由は風邪が治ったからなのだろうか。 妹が普段と違う。 何か、こう……表情に余裕のようなものが感じられる。 以前はぴりぴりとしていたのに、今ではすっかりそれが和らいでいる。 妹が私から積極的に目を逸らそうとしないなんて、何かが変。 そりゃまあ、今みたいな方が私は嬉しいんだけど。 弟は珍しく朝早くから出かけていて、姿を見せていない。 できれば妹に何があったのか聞きたかったけど……一緒に下校する時にでも聞けばいいかな。 妹と二人、肩を並べて学校に向かう。 実は二人っきりでこうやって歩くのは、五六年ぶりぐらいになる。いや、もっと前からだったかも。 私の記憶が曖昧だから思い出せないけど、妹は中学に上がった頃、弟と一緒に登下校するようになった。 もちろん私もついていくんだけど、どうも二人の会話に割り込めない。 弟は相手してくれるんだけど、妹が生返事しかしてくれない。 だから仕方なく、長女として身を引くことにした。 弟と妹が仲良くしている姿を見られれば私は充分満たされた気分になれた。 でも、時々つまらなくなって、弟と示し合わせて妹を置いて学校に行ったりもした。 それをすると妹が三日ぐらい家族の誰とも口を聞いてくれなくなるから、最近は自重している。 うちの妹は可愛いわ。お兄ちゃんを独占できなかったからって拗ねるなんて。 できるなら、こう…………抱きしめて、頬摺りして、体をこねくり回してやりたい。 添い寝させてくれなくなったのはいつからだったかしら。 昔は、お姉ちゃん一緒に寝よ、って枕を抱きながら言ってくれたのに。 今だって、一緒に歩いてくれても話しかけてはくれないし。 在りし日の妹はもう居ない、か。 冴子お姉ちゃん、悲しいわ。 107 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 01 44 01 ID btGIRyZm *** 「ではみなさん、明日からは土日と休みが続きますが、不摂生をしないように」 篤子女史の締めの言葉が終わり、日直の号令に従ってクラスメイト全員が起立礼をしたら、教室内は次第に騒がしくなる。 明日から休みとはいえ、実際にはこの時から休日が始まると言っても過言ではない。 かく言う俺も開放感に包まれている。 そう、この感覚こそが喜び。 黙々と授業をこなし、甘美な睡魔の誘惑と胃袋の乾きに耐え、ようやく得られた休日である。 こういう喜びは学校に通っていなければ味わえない。 何日もぶっ通しで自宅や病院に籠もっていたら、余暇の貴重さなど無に等しくなる。 明日と明後日は何をしようか――なんて考えるのが楽しい。 だが、まずはやるべきことをやってからだ。 鞄を置き去りにしたまま、クラスメイトの流れに乗り教室から出る。 しかし向かう先は校舎の出口ではない。目的地は別にある。 二階から一階へ下り、いつもなら左へ行くところで右へ曲がる。 方向転換したところで、背後から話しかけられた。 「おや、どこに行くんだ?」 振り向けば、学校指定のコートを纏った高橋が居た。 「ちょいとした野暮用。一年の教室に用があるんだ」 「ふうん? 君の弟と何か約束でもしてたのか?」 「そういうわけじゃないが……そうだな、心配事を片づけに、ってところか」 高橋は数秒間無言で居続け、唐突に沈黙をため息でぶち破った。 「……なんだわざとらしい。今のはちょっとむかつくぞ」 「いや失敬。大したことじゃないんだ。 実は昨日、僕の家の冷凍庫から冷凍食品の炒飯が無くなっていてね」 「ほう」 「どうしてかと思って首を傾げていたら、突然海外に出かけているはずの姉から着信があったんだ」 「おい、何さりげなくカミングアウトをしてる。お前に姉が居るなんて初耳だぞ」 「故意に隠していたから、当然だ」 なぜこいつは、あえてどうでもいい情報を隠しやがる。 普通、担任の女教師に恋してることを隠すだろ。 「……で、お前のお姉さんとさっきのため息がどう関係しているんだ」 「うむ。驚きつつ僕は携帯電話を手に取った。 そして覚悟を決めて――――携帯電話の電源ボタンを一回、ポチッと押したんだ」 「……なんで?」 「考えてもみろ。国際電話や電子メールで連絡してくる姉が、いきなり僕の携帯電話に電話して来たんだぞ? 僕は携帯電話の番号なんて姉には教えていない。不審に思って当然だろう」 「すまんが、同意しかねる」 「そうか。まあそれはいい。 電話を取らなかったら、今度は家の方の電話に着信があってね。 相手はなんとなく予想したとおりに姉だった。 姉弟らしく手短に挨拶を交わした後、姉はこう言ったよ。 ぷりぷりのエビが入った炒飯って美味しいわよね、って。 そう言い残して、姉は電話を切ったんだ」 「あー……、なるほど。犯人はお姉さんだったわけか」 「さっきのため息は姉の行動を笑ってのことさ。 あと二年は帰ってこないとか言っていたくせに、突然日本に帰ってきて、 気ままな一人暮らしを送る弟の部屋に勝手に上がり込み、炒飯を食べてから帰る。 そしてそれからは何の連絡もよこさない。また海外に行ったのか、この町のどこかに居るのかもわからない。 勝手気まま過ぎる姉だよ。僕が君に話したがらないのも当然だろう?」 「うん、まあ……俺ではお前のお姉さんの行動を理解できないことはわかった」 「そうか。僕の姉がちょっと変わっているということがわかってもらえたならそれでいい。 ではまた。来週会おう。怪我しているんだからあまり無茶するんじゃないぞ」 「ああ、またな……」 108 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 01 45 07 ID btGIRyZm 高橋はそのまま振り返りもせず校舎の出口へ向かっていった。 さっきの話の流れは、高橋お得意の話の焦点をずらして煙に巻く手法だ。 今まで内緒にしていた姉の存在を明らかにしたのは、奴なりに焦っていたからなのだろうか。 それとも実は姉など存在せず、逃れるために即興で話を捏造したのか。 なんだか、欠席理由におばあちゃんの三回忌だったんですって言うのに似てるな……。 だが、俺にとっては高橋に姉が居ようと居まいとどうでもいいのだ。 上手い具合に乗せられている気がするが、それもどうでもいいと納得しておく。 今重要なのは、心配事を片づけることだ。 先週の事件の唯一人の首謀者にして実行犯、澄子ちゃんの様子を確かめること。 今日あえて学校をさぼらなかった理由の一つである。 自分でもおかしいと思う。なぜ、俺を短期間とはいえ監禁した澄子ちゃんに怒りを覚えないのか。 俺が花火に怒りを向けないのは、きっと頬に傷を負わせたからだ。 熱くなっても、花火の顔を脳裏に描く度に冷めてしまう。 これは、精神的な負い目によるものだろう。 しかし、澄子ちゃんに対しても同じというのは、どういうわけだ。 彼女の性格? すぐに解放してくれたから? 監禁する理由を説明したから? いや――どれでもない。 そもそも、監禁されても怒りを覚えていないんだ。 どうしてだ? 昔伯母に虐待されていたから、か? そういった痛みに対して鈍感なのか? だとしたら、我ながら……嫌な鈍感っぷりだな。 天性、いや後天性のマゾなのか。 一応、否定しておくとしよう。あまりにも悲しすぎる。 109 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 01 47 19 ID btGIRyZm 一年の教室が並ぶ廊下に来ることは、二年に進級してからはなかなか無い。 自分の居場所が無い、違う言い方をすれば、すでに空気が変わっている。 そんな空間へ文化祭の準備期間に飛び込んでいった去年の俺は少々浮かれすぎていた。 こうして個人的な用件で訪ねていくと、そのことをひしひしと実感する。 いや、衣装を作りたいからって手伝いに行くのも個人的意志からだけど。 ともあれ、俺は弟のクラスの前まで辿り着いた。 何やら入り口で女子二人がお喋りしている。ううむ、入りづらい。 だがここで引き返すわけにも行かぬ。先輩に逃走は無いのだ。 話しやすい距離まで近づき、努めて明るい声で話しかける。 「ねえ、ちょっといいかな」 「はい? ……誰、この人?」 ぬう、やはり俺のことなど覚えていないか。 あからさまに邪魔者に向けるような眼差しだ。 仕方ない。できるならば顔パスでいきたかったのだが、奥の手を出すとしよう。 「実は俺、このクラスの男子の兄貴なんだけどさ」 生徒手帳の名前欄を見せつつ言ってみる。 果たして、効果は即座に現れた。 「ああ、彼のお兄さん!」 「あー、思い出した! 去年は文化祭の準備手伝ってくれてありがとうございました!」 「いえいえ、どういたしまして」 はっはっは。便利だな-、クラスの人気者の兄貴というポジションは。 こうまで警戒心が解けてくれるとは思わなんだ。 別に顔を覚えられてないのが悲しいなんて思わないぞ。こちとらとっくに慣れっこだ。 「弟は居るかな?」 「いえ、もう帰っちゃいました。隣のクラスの、あの……金髪の人と一緒に」 「そう。まあ、あいつが居ても居なくてもいいんだけど。 ちょっと聞きたいんだけど、このクラスに木之内澄子って子が居たよね。 その子は今日学校に来てた?」 「えっ……澄子ちゃんですか?」 「そう」 女の子たちはお互いの顔を見合った。 「来てないよね?」 「うん、先週からずっと。なんで休んでるか知ってる?」 「ううん、聞いてない。ずっと無断欠席」 ――ふうむ。 「じゃあ、その子と仲の良かった友達は居ないかな?」 「居ますよ。でも、たぶん知らないと思いますよ」 「それでもいいんだ。何か情報が掴めればいいし、なければないで構わない」 「そうなんですか。ん、あれ? 先輩ってもしかして――――」 右手にいる女の子が、もう一人の子に耳打ちしている。 右の子は面白そうな顔。左の子は目を拡げて口を押さえている。 「どうかした?」 「いえいえ、何でもないですよ。 そうなんですかー。先輩が……まさかそうだったなんて。 心配ですよね。澄子ちゃんが学校に来ていないと」 「ん……どちらかと言えばそうかもね」 「へええええ。なるほどなるほど。 そういうことなら協力しないわけにはいきませんね。 澄子ちゃんと仲の良かった子なら、窓際の席に居ますよ。 それでは先輩、どうぞごゆっくりー」 二人してにこにこと笑顔を浮かべ、教室へと手で導いている。 やけにノリがいい子たちだ。 ちょっと不気味だが、警戒されるよりはマシと思おう。 110 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/08(月) 01 47 43 ID 4DFh8iwT CYEN 111 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 01 49 24 ID btGIRyZm 教室に入ると、澄子ちゃんの友達はすぐに見つかった。 校庭側の窓際の席で話している女の子が二人いる。 一人は澄子ちゃんと似たセミロング。男の庇護欲をかき立てる、大人しそうな顔つきをしてる。 もう一人は背中を向けているので顔はわからない。 乱れのない黒のロングから、しっかりした女の子だろうと推測する。 どちらか、もしくは二人ともが澄子ちゃんの友達なのだろう。 俺が接近していることに最初に気付いたのはセミロングの子だった。 「あ、の……何か……?」 「ちょっと聞きたいことがあるんだけど……って、あのさ」 「は、はい……?」 「何もしないから、そんなに逃げ腰にならなくてもいいよ?」 そんな、俺が現れた途端に顔を強張らせて椅子をずりずり引いて後退しなくても。 この子にとってはどうしようもない対人反応だったとしても、やられた方はいい気分がしない。 「は、はい。えっと、二年の先輩ですよね。私に、いったい何を……?」 「うん、君の友達の――」 突然の机を叩く轟音に台詞を遮られた。 教師が生徒を黙らせるために教卓を叩く音よりでかい。 天井から机に着地すればこんな音が出るかもしれない。 教室内には俺たち三人しか居ない。 必然、俺以外の女の子が立てた音ということになる。 おそらく音の発生源は、二人の女の子の中間地点にある机。 見ると、そこには拳が一つ乗っていた。 固く握りしめられていて、わずかに震えている。 ついでに言うと、セミロングの子の唇も震えている。というか全身が震えている。 無理もない。何せ、自分と向かい合って座っている女の子こそが、拳の主だったのだから。 「あ、あの……俺、何かしましたか?」 思わず拳を振るった女の子の背中に敬語で話しかけてしまった。 仕方あるまい。だって怖いんだから。 「いいえ、あなたは何も悪くない。ただ机の上に季節外れの蚊が止まっていたからつい、ね」 「そ、そうですか。はは、蚊なら仕方ありませんよね。刺された嫌ですもんね」 「ええ。放っておいて、大切なものを吸い取られちゃ、たまらないもの」 「ですよね。まったく蚊にも困ったもんですよ」 「そうよね。…………いっそのこと、害虫なんか全て消え去ってしまえばいいのに。 いいえ、どこか一箇所に集中させて、私自らの手で一思いに葬ってあげたい。 どうして捕まってくれないのかしら。抵抗しない限り、私は優しくしてあげるのに」 これはまずい。何やら俺は最悪のタイミングで二人の会話に割り込んでしまったようだ。 もう澄子ちゃんについて聞くなんて無理だ。 それよりも無事にここから脱出する方が重要だ。 「話の邪魔してすいません。じゃあ俺はこれで……」 「ああ、ちょっと待ってくれないかしら」 ……引き止められちゃいましたか。 勘弁してください。こちとら右腕がいかれてるだけで大変なんだから。 112 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 01 50 24 ID btGIRyZm 「あなたはこの教室に来たら不幸になるわ。だからもう来ない方がいい」 「それは、何故?」 「あなたは去年の文化祭の準備期間、この教室の手伝いにやってきて、八面六臂の働きをした。 私も知っているわ。うふふ……格好良かったわよ、あなたは」 「それは、どうも、ありがとうございます」 「だから、ここにはあなたに好意を抱く人が一杯居るの。 でもそれに比例して、あなたを嫌う人も居る。 世の中はバランスで成り立っているの。分かる?」 「ヒット商品の法則ですね。分かります」 「そうよ。でもあなたは一人しかいないの。 あなたが仮に時計だったとしたら、大事にしてくれる持ち主の元へ行きたいでしょう?」 「それはもちろん」 「あなたにふさわしいのは、あなたのやりたいことを分かっていて、あなたの意志を汲んでくれる人よ。 そんな人に出会えたら素敵でしょう?」 「夢じゃなくて現実で会えたら素敵ですね」 「いいえ、もうあなたは出会っている。これは予想じゃない。すでに実現している。 私は占い師じゃないけど、あなたの未来を言い当てることができる。 ――あなたは世界最高のパートナーと結ばれるわ。他の誰にも負けない、頼りになる女性と」 「あの、その人と結ばれるには、どうすれば?」 「クーリングオフ、がキーワードよ」 「えっと、それって、一定期間のうちならタダで返品できるってシステムのことですよね」 「そう。騙された消費者を救済するためのもの。 そのシステムがあるんだから、過剰に警戒するのはやめなさい。 使わない限りは、いつでもできるんだから。――――そう、一回も使わない限りは、ね。 私の話はこれで終わり。あなたに幸せが訪れることを祈っているわ。うふふふふ……」 113 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/08(月) 01 52 11 ID 4DFh8iwT しぇーんこねり 114 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 02 02 03 ID btGIRyZm スリルあふれる教室から脱出し、慣れた二年D組の教室に入り、俺はようやく安堵の息を吐き出した。 「こ、怖かった……」 まさか弟のクラスにあんな怖くて不気味な子がいるとは知らなかった。 少なくとも去年は居なかったと思う。 転校生、なんだろうか。 でもあんな子がいるなら弟が話してくれているだろうし。 しかし……何だったんだ、さっきの忠告は。 クーリングオフだと? それがあるんだから女の子と気軽に付き合え、と? それができれば苦労しない。 そもそも、訪ねてくれる女の子が居ない。 俺は弟とは違う。ニヤニヤしながら見ていられる甘いラブコメの主人公にはなれない。 「あ、まだ帰ってなかったんだ。よければ一緒に帰らない?」 「葉月さん? ……うん、いいよ。ちょっとだけ待っててね」 「ゆっくりでいいよ。怪我してるんだから」 「平気平気……っと。お待たせ、じゃあ帰ろうか」 「うん!」 こうやって声をかけてくれるのが、俺が一度ならず二度までも振ってしまったせいで、 今ではただの友達になってしまった葉月さんだけなのだから。 あの子の言うその最高のパートナーとやらが身近にいるのならぜひとも会ってみたいものだと、 腰まで伸びる葉月さんの黒髪を見ながら思った。 115 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 02 05 41 ID btGIRyZm 終わりです。 101 103 夏風邪注意! 今年の風邪はしつこいんだぜ! 116 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/08(月) 02 08 47 ID OU7TFTZK GJ! また難解そーな新キャラが出てきたな そして相変わらずまるで話が進まない 117 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/08(月) 02 11 32 ID 4DFh8iwT ヤンデレ家族きた!これ! 兄貴無防備っていうかポジティブっていうか 全身全霊でヤンデレフラグを立てに言ってるぜさすがだ 118 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/08(月) 02 21 52 ID G82YQL5z GJ! 教室にいたの葉月さんじゃね? 顔見えてないし髪ロングだし。 あ、でも声でバレるかorz 119 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/08(月) 02 23 20 ID 54rx6twT さすがにストーリーを把握するのはあきらめた。 兄の何の考えもない言動だけでも十分楽しめるけど。 120 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/08(月) 03 20 05 ID 4tHgVlHn みんな、考えずジミーになりきって読むんだ 121 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/08(月) 04 16 39 ID VamCCj5/ よくわかんなかったけどGJ 若干、風呂敷を広げ過ぎてる気がするがちゃんとたためるのだろうか 122 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/08(月) 04 41 02 ID YMug5KE/ 121 一応、プログでは終らせる隙があると言ってたけど… それより兄に好意を持ってるのは葉月さんだけじゃなくて他にも居るって事か 123 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/08(月) 05 01 16 ID QBN22nKO フツメン以上で優しいなら好意を抱く人が数人いても、おかしくはない てか、ジミーはもてる要素たっぷりだろ 周りのスペックが異常なだけだな、タイトル通りにw 124 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/08(月) 05 20 22 ID 4VzdTKzn これは・・・葉月さん再フラグ、と考えていいんだな? 125 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/08(月) 08 29 05 ID 4tHgVlHn 何を言うか。葉月さんはあんなのでは挫けないぞ。 それにしてもブログあったのか。 126 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/08(月) 09 58 09 ID Imp5Muu2 ニューキャラ登場かっ!! 今回もGJっすよ! ああっ!葉月さんに付きまとわれたいっ! 127 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/08(月) 11 55 35 ID 11ll33th クーリングオフをするには商品を持っていなければならない。 さてジミーはどこに行けば持っている物を見つけられるのだろうか。 128 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/08(月) 15 27 37 ID Xy7iN6Zz GJ! しかしお兄さんの場合はクーリングオフしようとしても 品物のほうにさせてもらえないだろうw 129 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/08(月) 18 32 11 ID wUmISumg いいパンチ持ってる方は新キャラとしてもう1人の方は再登場、かな 死闘編3頁目からの 130 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/08(月) 20 02 13 ID TYJtcVXh 118 ヤンデレは不可能すら可能に出来るんだから 声色変えるくらい簡単じゃないか あと、ジミーは超が数えきれない程の鈍感だし 葉月さんがジミーを諦めてないようで良かった 131 名前:トライデント ◆J7GMgIOEyA [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 20 57 34 ID zlaROVGP では投下致します 132 名前:幽霊の日々 ◆J7GMgIOEyA [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 21 00 30 ID zlaROVGP 最終話 幽霊の日々へ 今、物凄く背筋から悪寒が走ったような気がする。藤寺さんと優雅なお昼を過ごした後、商店街辺りでショッピングを楽しんでいた。 夕方頃になると遊び疲れたので藤寺さんと俺は駅前で別れることになった。 そして、藤寺さんは当たり前のように忘れた鋸(包装して隠してる)を持って、俺は自宅の帰路に着いている途中であった。 嫌な予感がする。 すでに陽が暮れて、周囲が薄暗くなっている。頭のおかしい人が現れる暖かな季節を迎えているせいか、 変質者が大量に出現している。男の変質者など鋸があるおかげで撃退することが容易に可能だが。 女の変質者ならそうはいかない。ヤンデレ症候群の影響のせいか、一般人の男性が凶器を持っていたとしても 簡単に女の変質者に拘束されるであろう。それ程に現代の女性による変質者の戦闘能力は飛躍的に上がっているのだ。 逮捕するならば、どこかの特殊部隊が出動しなければ事件は解決しない。 だが、この予感は変質者が潜んでいるというわけでもない。そう、これは自分にとって身近な人物が 些細なことで人を殺すまで憎悪に発展してしまったそんな感じ。 アパートの前に辿り着くと、禍禍しい殺気に当てられる。 その瞬間、俺の足は震え、恐怖という感情が体全体に行き渡っていることを体感する。 一体、俺が借りているボロいアパートの一室で何が起きているんだ。 浮気した男が妻に何かもバレている中で帰宅するのはこういう心境だろうか。 俺は恐る恐るとドアを開けた。 「お帰りなさい。光一さん」 「ああ、ただいま。由姫さん」 ドアを開けると飛び出すように現れて、にこやかな笑顔で由姫さんは俺を迎えてくれた。 ただ、その笑顔の裏には隠し切れない殺気など、目が全然笑ってない状態で来るとさすがに怖い。 幽霊というのは夏の怪談に欠かせないキャラであり、本来はこの存在に畏怖するはずだったのが、 彼女の穏やかな口調と人畜無害な人格のおかげでそういうことは感じることがなかったが。 今は、由姫さんがとんでもなく怖い。 これは幽霊というか、幽霊より怖い存在に彼女が進化していた場合。俺の命はある意味 失われる寸前に追い詰められた可能性すらもある。 やばい。 「どうしたんですか?」 「あの、何か由姫さん怒っていますか?」 「お、怒ってないですよ。健気な幽霊を置いといて、他の女の子とデートしていたなんて。 全く、もう怒っていませんよ。ううん、むしろ、二人の将来を血の雨で祝福したいですよ」 「いや、待て、血の雨って……。やっぱり、怒っているだろ!!」 額に怒りマークが再現されている由姫さんが冷笑している。というか、怒りマークが再現されるって、幽霊ってなんでもありかよ。 133 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/08(月) 21 00 44 ID /NmWyX6M wktk 134 名前:幽霊の日々 ◆J7GMgIOEyA [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 21 02 20 ID zlaROVGP 「何度でも言いますが。怒っていません。二人の関係がどんな薄汚れた関係だったとしても 私は冷たいマフラーであなたたちの幸せを見守ってあげます」 「ありえないほどに怒っているでしょ」 「そうですね。光一さんの怯え方が1とすると、私の怒りは富士山大爆発です。 噴火したら、火砕流が下々の庶民を巻き込み大災害に発展します」 「富士山って」 「どうかしましたか?」 怒ってるじゃん!! 思い切り。 普段は穏やかで蟻も殺さないような優しい笑顔と頭にブルーベリージャムが詰まっているだろう 由姫さんがこれまでもなく怒っているのだ。 恐らく、怒りの原因は幽霊を放っておいて藤寺さんと今まで遊んでいたせいだろうか。 「あの愚かな自分に由姫さんが怒り狂っている原因を教えてくれないでしょうか?」 「光一さんの胸に聞いてみたらどうですか? 休日なのに幽霊の私を完全に放置して他の女の子とデートしていたら……殺されても文句ないですよね?」 「殺すなんて物騒な」 「私は本気です。決めたんです」 と、幽霊は俺が持って帰ってきた藤寺さんの忘れ物の鋸の包装を乱暴に破る。 銀色に輝くギザギザな刃の光が眩しく映る。柄を震えた両手で強く握ると素人丸出しの太刀筋で襲ってきた。 俺は軽く避けるが、散らばっているヤンデレコミックに足を取られ、無様に尻餅をついていた。 幽霊の最初の一撃をかわせたのは本当に運が良かったのか、彼女にその気がなかったのかわからないが、 現状は俺の命の危機に直面したことだけは事実である。 同居人である由姫さんが何の理由もなく襲ってくるとは。 全く、意味がわからない。 待て、親に生命保険をかけられているので、解約してから殺してくれ。って違う!! 「ゆ、由姫さん。血迷ったか!!」 「血迷ってません。私とあなたは違うんです」 理由になってないし、意味不明で殺されるこっちの身になってみろ。 「私はすでに他界した死者。そして、光一さんは現代を懸命に生きる生者。 私たちは一緒に居ることができないだもん。だから、殺すしか道はないじゃないですか。 光一さんは私以外の女の子と一緒に居るだけで胸が痛むもん。痛いの。とっても。痛いんだから」 と、また由姫さんが鋸で襲ってきたが、尻餅をついている俺は避けることはできなかったが。 刃が自分の体に直撃する寸前に無我夢中に両手を前に出した。 135 名前:幽霊の日々 ◆J7GMgIOEyA [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 21 03 51 ID zlaROVGP 「はうわー!!」 鋸の刃は俺の顔の直前で止まっていた。 俺が必死にタイミング良く、刃を掴んでいた。俗に言う真剣白刃取りという火事場のバカ力が起こした奇跡がそこに実在していた。 まだ、安心することはできない。体勢を取り戻していない俺が鋸の刃を受け止めるよりも幽霊が押し切る力の方が優勢なのだから。 由姫さんは金切り声を上げながら、俺を殺すために鋸を引く。 「痛いのは一瞬だけです。お願いだから死んでください」 「死ねるかボケ」 「幽霊になって、ずっと、二人で一緒にいましょうよ。それが二人にとって幸せなんですよ」 「幸せだと……ふざけやがって」 自然と俺の胸の奥深くから怒りが沸いて来たようだ。理不尽な理由だけで人の命を奪う のは許してはいけない。許すわけにはいかなかった。 「由姫さんは誰でも良かったんでしょ!! ここに引っ越した相手がアパートを借りて、 幽霊の由姫さんを拒まなかったら、それで良かったんでしょ。『俺』じゃなければ理由はなかったんだろ?」 「違います。私にとって光一さんが必要なんです」 「必要なのは一緒に死んでくれる誰かだろうか!!」 「だから、違うんです。私は光一さんだから。 こんな私に優しく接してくれた光一さんだから、死んで欲しかったんです。一緒にいるために」 「何で俺なんだよ……」 「光一さんは幽霊で誰もが恐がっていた私を恐れずに一緒に居てくれる。 あなたの一緒に居るだけで私は幸せな気持ちになれる。 生前、あれだけ求めても手に入らなかった物がここにあるんです。 だったら、好きになるしかないじゃないですか!!」 「恋もしたこともなくて…… まだまだ、たくさんやりたいことがあったのに 死んじゃって……。 この世に未練を残して幽霊の日々を送っていても 私の心を満たすこともなく、孤独な日々ばかり。 もう嫌になっていたんですよ。本当は。 光一さんと出会ってから、毎日、毎日が幸せで楽しくて。 だから、他の女に光一さんを渡したくないの。渡したくないんです。 もう、独りぼっちなのは嫌っっっ!!!!!」 由姫さんの瞼から涙が零れ落ちて、その雫が俺の頬に当たっていた。 溢れる気持ちが抑えきれずに彼女は声を抑えて泣き出してしまっていた。 殺そうとする彼女の泣き顔を呆然と俺は見上げていた。 136 名前:幽霊の日々 ◆J7GMgIOEyA [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 21 05 16 ID zlaROVGP 「人の命を奪っていい理由にはならないだろ」 「わかってます。自分が傲慢で卑劣で我侭なことぐらいは。 でも、心があなたを求めているの。淀んだ心が光一さんを独占したくてたまらないんです。 この気持ちを抑えることはできません」 「俺の気持ちを考えないのか」 「考えません。だって、光一さんは死んだ女の子よりも生身の女の子の方がいいんでしょう。 そう、藤寺音梨沙みたいな女の子の方がお好みなんでしょ。幽霊の宮野由姫を好きになってくれないなら……」 「殺すのか?」 「はい」 「俺の気持ちを聞かないのか?」 「聞きたくないです。あの女に惚れていることを悠長に語る光一さんなんて見たくありませんから」 唇を尖らせて、すねるように由姫さんは言う。 そろそろ、俺の両腕が痺れてきて、だんだんと力が抜けてくる。やばいかもしんない。 「いいから、聞け。年増幽霊。俺は別に藤寺さんが好きなわけじゃあない。 ただ、お付き合いすればいいなってぐらいにしか思っていないんだ。 普通はそうだろ。 相手が運命の相手なんて考える奴はただの妄想壁だ。 出会いと別れがあり、そこに自分と相性のいい異性を選ぶんだ」 「で、肝心な私のことをどう想っているんですか?」 「嫌いじゃない。というか、年増は俺の好みじゃあない」 「うふふふ、そうですか。光一さんの気持ちはよーーーーくわかったので、キルします」 「待てっっ!!」 由姫さんの人離れした強い力がすでに痺れていた俺の両手を崩した時に、偶然にも俺の頚動脈を切り裂いた。 声にならない悲鳴を上げるが、幽霊は躊躇せずに俺の腹部を鋸で切り裂いた。 鋭い痛みが体全体を襲うはずだが、脳内に耐えられる痛覚を軽く通り越しているせいか、全く痛みを感じることはなかった。 松山光一が最後に見た姿は自分の血で汚れている幸せそうな由姫さんの笑顔だった。 137 名前:幽霊の日々 ◆J7GMgIOEyA [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 21 06 31 ID zlaROVGP ボロアパート浪人生殺人事件ファイルA 松山光一 享年××(ソフ倫指定なら18才以上は確実) 死因 メッタ刺し(かなり怨恨がありそうな殺し方だ) 犯人 最重要容疑者 藤寺 音梨沙 被害者を殺した凶器にはべったりと藤寺音梨沙の指紋が発見。 ついでに被害者の指紋も付着されているが、その件には警部的にはどうでもいい。 問題は1週間前以上にホームセンターで藤寺音梨沙が鋸を購入している。 動機はなんとなく恋愛沙汰。 被害者が通っている予備校では親密な関係だったと予備校教師や予備校生徒が証言している。 ただし、死亡推定時刻に藤寺音梨沙には駅内をうろついている所を防犯カメラで録画されているので 事実上は無罪確定というか、起訴出来ません。逮捕されることなく、事情を聞いてあっさりと釈放された。 無残な死体を見る限りでは上記の最重要容疑者以外の人物の犯人がいるとするならば、 捜査本部はヤンデレ症候群感染者の犯行以外はありえない。 だが、犯人の有力の情報は見つからずにこの事件は何の進展もなく時効を迎えることになる。 余談だが、浪人生が住んでいる部屋には幽霊が住み着いているという噂があるが、 大家は今回の事件を境に古くなったアパートを売り払い、 他の不動産会社が土地と建物の権利を持つが、その場所はすでに取り壊されたために噂を確かめることはできない。 今、そのアパートだった土地は今でも空地になっていると言う 138 名前:幽霊の日々 ◆J7GMgIOEyA [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 21 09 08 ID zlaROVGP 見慣れた自分の姿を見下ろしていた。酷い表情をしている。 いかにも、恐ろしい目に遭ったかのように口から情けなく血が吐き出しており、鼻水を垂らしている。 腹部から容赦ない血液が出血しており、水平に凶器であろう鋸が勝利の証と言わんばかりに突き刺さっていた。 これが生前の松山光一の哀れな姿であった。 自分が死んだ事実が全く受け止めることが出来る人間は大人しく病院に行け。 俺は殺害した犯人を横目で睨んでいた。 「ううっ、私は悪くないもん。光一さんが女の子のタブーの年齢のことを言うから悪いんですよ。 年頃の女の子の求愛に年増だから好みじゃないなんて絶対に言ったらダメですからね。 来世の課題です。言えば、こんな風に殺されるんです」 「殺した犯人が笑顔でサラリと言うな。このボケ幽霊!!」 「ふふふ。光一さんも立派な幽霊の仲間なんですよ。 そう、私と一緒でこの世に彷徨う幽霊さん。きゃは……光一さんとずっと一緒。てれりこてれりこ」 そう、年増幽霊が言った通りに俺は死んでしまったせいか、幽霊になっていた。 幽霊になるとこの世の物理法則の枷が外れるのか、自分の体は浮遊しちゃったり、 自分が着ていた洋服が由姫さんとお揃いの白い着物を着てしまっていたり、 だんだんと幽霊になったという現実を受け入れるしかないようだ。 特に人を殺したくせに由姫さんは蔓延なる笑顔を浮かべて、何だか幸せそうであった。 ああ、幽霊同士の物理干渉が出来るんだったら、頬を引っ張ってやりたい。 「で、他に何か言いたいことは?」 「あの世で結婚式をやりましょう!! 幽霊同士でも婚姻届を提出できるんですよ」 「結婚できると思っているのか? 人を殺しておいて」 「てへっ。ごめんなさい!!」 「ごめんですむなら、警察も鑑識も名探偵も葬式もいらねぇ!! 返せ人の青春!! というか、大学に受かれば数多なる出会いの日々を!!」 と、俺は由姫さんの襟首を掴んで思い切り揺らした。彼女は声にならない悲鳴をあげるが、 そんなもんは俺の知ったことじゃあない。青春の日々、ヤンデレゲーの最新作を遊ぶ機会を永遠に失ったのだから、 これぐらいのことは当然である。 「そんなに幽霊になることは嫌なんですか?」 「嫌に決まってるだろ」 「幽霊になれば、夜は毎日墓場で運動会が出来ます。それに学校も試験も何にもありません」 「それ、妖怪の話ですから!!!!」 「むぅ、幽霊の特権は他にありますよ。え、えっと、とりあえず、死なない?」 「すでに死んでるじゃん」 「そういえば、そうですね。だったら、特権として光一さんは私の恋人になれます。それで何とか納得してください」 「納得ね……」 生きている時は結ばれるはずがなかった運命が死ぬことによって、新たな可能性を導き出した。 多くの大切な物を失ったが。失ったが。失ったが。ってか、失いすぎだ!! 「由姫さんの事は今まで家賃が安くなるための年増幽霊程度にしか思っていなかったけど、 これからは一人の異性として見るよ」 「と、と、年増ね……」 と、由姫さんは額に青筋を立てて、不機嫌そうに言った。 「でも、光一さんも見た目は少年でも、中身はおっさんのようになるんだからね」 「おっさん幽霊と呼ばれるのは物凄く嫌だな」 まだ、気分は大人になっていない浪人生気分なので年数が経つと心が中年のおっさんに老けていく運命なんだろうか。 仮に15年ぐらいの月日が経てば、、由姫さんみたくおっさん幽霊と呼ばれるんだろうな。 139 名前:幽霊の日々 ◆J7GMgIOEyA [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 21 11 54 ID zlaROVGP 「これから、どうするの? 幽霊になって自縛霊としてボロいアパートに縛り付けられるのは嫌だぜ」 「大丈夫です。光一さんという恋人が出来た以上は私も自由ですし、 光一さんは特にこの世に強い未練を残して死んだわけではないので、二人揃ってあの世に行けます」 「あの世って、死んだ人間が行くとこか?」 「そうです。死者が成仏できる場所で閻魔様の審判を受けて、天国行きのパスポートを貰うんですよ。 ちなみに地獄行きになると針山地獄や浄化の炎に焼かれたりと恐ろしいらしいですよ」 「何で、そんなに詳しいんだ」 「これです。自縛霊のための天国と地獄の観光ツアーガイドブックです。 あの世に行けない人のために無料で送ってくるんです。配達してくるあの世の人に聞いてみると親切に教えてくれますよ」 「色んな意味であの世も現実とそう変わらないよな」 渡されたガイドブックの内容を見ると、天国の内容は翼を生えやした天使のような人間が楽しそうに鋸を持った女性たちに 追われている姿がある。地獄の方は鬼女どもが金棒を持って、縞々のパンツに縞々のブラだけで 露出度が多い奴らが暴れているような描写がある。 針山地獄や血の池と言った有名な観光地は人気が高く、100年程の予約がいるなど、 殆ど想像していたあの世とは当たり前だが全然違っていた。 「天国の方は鋸を持った女の人たちに追われているのは……一体」 「多分、未来永劫の愛を誓った人が他の女の人と浮気したとかで、神聖なるアイテムである 『聖剣コトノハガリバー』で穢れを払っているかもしれませんね。 とはいえ、すでに死人ですので、鋸で100等分切断しても死ぬことはありませんし、思う存分に好きな人を独占できますね」 「いや、待て。この天国というのは」 140 名前:幽霊の日々 ◆J7GMgIOEyA [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 21 12 38 ID zlaROVGP 「そうです。朽ちることがない愛しい人を永遠に監禁できる場所なんですよね。 生前は100年程度ぐらいしか愛しい人と一緒に居られませんけど、 あの世に行き、天国のパスポートさえ貰えば、光一さんを永遠に独占できます。 例え、五体満足じゃなくても、顔や足や腕を胴体さえ切り裂かれたとしても一緒に無限の時を過ごすことができるんです」 「なんて、恐ろしい場所だ。天国。というわけで、地獄の方に行こう」 「地獄の方はもっと悲惨です。想いを届かずに散った女の怨念が想い人と誤認して、鬼女たちが襲ってきます。 彼女たちは生前に愛しい人の争いが敗れて、殺されたり自殺した人ばかりで構成されていますので、 その恐怖と不安のあまりに金棒で光一さんの頭を軽く砕きますよ。砕いて砕いて砕いて、砕ききった骨を飲み干します。 でも、死ぬことができませんから、無限に鬼女のトラウマによる監禁されますよ」 「恐るべし、鬼女の執念。天国と地獄……どちらも地雷だな」 「そうですか。どちらも私にとっては幸せですよ。ずっと、これからは光一さんと一緒にいられるもん」 「そうですか」 と、俺はどちらを選んだとしても幽霊になった自分のこれからの日々は暗雲の日々が待っているような気がして、嘆息する。 果たして、好きな人と無限の時を一緒にいることが幸せであろうか。 毎日毎日、コロッケを食べていると飽きてくることと同じで、最愛の人と無限に居られることが幸福なのであろうか。 男という生き物は同じ女性ばかりだと息が詰まるのだ。 ガイドブックのように鋸を持った女性に追われるのは日常的なことかもしれない。 だけど。 由姫さんの場合は天国と地獄をどちらかを選んだとしても、 俺を狭い籠に押し込めて、一生懸命に愛情たっぷりの監禁をするので、 俺が他の女の人に目を奪われることがないかもしれない。そんな気がするのだ。人の生存本能がそう訴えているのだ。 「では。そろそろ、行きましょうか?」 「ああ。どこでもいい。俺を連れて行ってくれ」 「あの世に無事に辿り着いたら、光一さんを、光一さんを、光一さんを。きゃあ、これ以上考えたら鼻血が出そうになります」 「下手な妄想しないでください。ってか、鼻血出てるー!!」 こうして、俺と由姫さんの幽霊の日々は始まったばかり。 閻魔様、どうか、理解のある審判をよろしく。 幽霊の日々 完 141 名前:トライデント ◆J7GMgIOEyA [sage] 投稿日:2008/09/08(月) 21 13 32 ID zlaROVGP 以上で投下終了です。 今回も短い間でしたが、お世話になりました。 また、機会があれば投稿をしたいと思います。 藤寺さんのヤンデレ化は残念ながら没になりました。いや、本来のENDのネタは 畜生道に転生した光一と由姫さんが犬として仲良く暮らしている最中に ヤンデレ化した藤寺さんの輪廻転生の力で転生した光一の居場所を探し出して、 自分から光一を奪い取った由姫さんを絞殺して焼却するというような残虐な描写ありで 「これからは松山くんは私と一緒に暮らすんだよ」 という感じで光一を飼うENDで終わりの予定でした。 それだと後味が悪かったので無限の監禁ENDに変更。 やっぱり、最後はHAPPYENDじゃなきゃね。 それでは。 142 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/08(月) 21 16 18 ID p67QEolx リアルタイムGJ! やべえほのぼのしたwヤンデレなのにw 超個人的には 141の展開も見てみ…ゲフンゲフン 143 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/08(月) 21 23 34 ID 4IOdXtmf 115 141 どっちもGJ! 144 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/08(月) 23 12 53 ID VmdwBO3z 115 141 お二方、乙! そしてGJ! 今日は二本投下。いい日だったなー。 145 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/09(火) 12 38 29 ID mMrUDRBA トライデント氏、超GJ! しかし、彼がこのスレに投下するSSと、あのしょっちゅう荒れるスレに投下するSSでは 明らかにこのスレに投下してるSSの方が読みやすい気がするんだけどナゼだろうか 作風が変わってるわけじゃないと思うんだけど… やっぱ、ついて行けないテンションと、なんか寒いギャグが少ないからかな 146 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/09(火) 13 37 49 ID QfcZfnUT ついて行けないテンションと、なんか寒いギャグ って遠回りで言うと嫌味だろそれw 147 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/09(火) 13 38 26 ID mPRO17SK 嫉妬スレに帰れ 148 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/09(火) 14 16 20 ID mMrUDRBA なんか荒れそうなこと言ってスマソ 保管庫にある「黒の領域」とか、かなり好きだったからトライデント氏はギャグ分を少し薄めれば もっと万人受けするんだろうなと思ったんだ 149 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/09(火) 14 56 59 ID Bi3l1+3x ちょっと同意できるけど、作者が書きやすい様に書いた方が綺麗だから良いんだよ 150 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/09(火) 15 34 35 ID nKG8ZxXy ヤンデレを万人受けにしたいのですね、わかります。 穴掘るのつかれた。 「死ねばいいのに」連呼しながらほるのも限界 151 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/09(火) 16 04 29 ID PIxn7c7v 死ね 152 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/09(火) 19 14 21 ID Ab4FRI82 150の話がどういう意味かわからない。 だれか俺にわかりやすく説明してくれ。 153 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/09(火) 22 54 07 ID JRu4Axo6 あまりにも長すぎるチンポなので 一部尻の穴の中に収納したらなんか気持ちよくなって そのままフィニッシュ あまりの情けなさに 「死ねばいいのに」を連呼しながらチンポ出し入れしてるらしいよ 154 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/09(火) 23 16 08 ID iht3KMXV 153 貴様このスレの住人じゃないな? どこの回し者だ このスレの住人なら確実にヤンデレの娘があの人にまとわりつく薄汚い雌豚を埋めるための穴を掘ってるんだなあ、と思うはずだからな 155 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/09(火) 23 17 32 ID +GSS4Jj3 思いません 156 名前: ◆QMmp63tnmg [sage] 投稿日:2008/09/09(火) 23 51 43 ID N+xJ5yGs …思わずピンクの髪のアノお嬢を思い出した俺はエース読者 157 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/10(水) 00 03 08 ID mSOrNjQT 何故鳥 158 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/10(水) 01 14 44 ID 917weD3Y 保管庫にあるぽけもん黒ってもう投下無いのかな 159 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/10(水) 01 23 19 ID vZvamScs うわあ…なんて露骨な催促 160 名前:ヤンデレウィルスに感染してみた[sage] 投稿日:2008/09/10(水) 03 51 51 ID puacegMt 眠たアアアアアイ 久々に二つ投下 161 名前:ヤンデレウィルスに感染してみた[sage] 投稿日:2008/09/10(水) 03 52 45 ID puacegMt 「WARZONE」 小高い丘に登り地に伏せスコープを除く。 スコープ越しに広がる廃墟、今は戦場となったビル群。 大通りに視線を移し、私はあるものを探す。……発見。 朽ちて色あせたコンクリを背に一人の男が立っていた。 M4カービンを手に息を殺し壁の向こうを伺う味方の兵士。 近くには誰もいないよ、まったくもう、怖がりなんだから。 その行動があんまりに可愛らしくて、つい口元が緩む。 もっと、もっとかわいい姿が見たい……! 引き金を引く。1発の銃弾がコンクリの壁に突き刺さる。 敵襲と勘違いした男は、パニックを起こし大通りへ駆け出してしまった。 ……ふへへ、慌ててる慌ててる。漏らさなかったみたい、えらいえらい。 でも……その行動、バッドネイチャー……だよー。 大通りに面したビルのひとつ、その屋上に敵のスナイパーを一人確認。 銃口の先にいるのはもちろん、彼。 敵よりも、早く、引き金を、引く。 脳漿を撒き散らし、彼はその場に崩れ落ちた。 撃ったのはもちろん、わたし。 獲物が突然死んで呆然とする敵兵も、ついでに殺しておく。 弱いとこ見せちゃ死ぬの、残酷だけどそれが戦闘なの……。 とぉるるるるるる! こんなときに電話だ誰からか想像がつく。相手はどうやら怒っているようで。 「おい……お前いま撃ったろ?」 TVモニターを見るといつの間にか彼が目の前に立っていた。 ショットガンの銃口を突きつけて。 「クラス変えたんだぁー、でもショットガン苦手でしょー?」 「質問に質問で返すな。言ったろ!味方を撃つなって!」 「撃たなきゃ殺られちゃってたよー」 「殺ったのはお前だろ!」 「クスクス、だってぇ、クスクス、あなたが他の人に殺されるなんてぇ、我慢できなかったから……」 「……」 相手が電話を切ると同時にショットガンが火を噴く……ことはなかった。 私がBボタンを押してナイフで斬り付けるほうが早かった。 これくらいで死んでしまう……ゲームはゲーム。 さあ、このラウンドは後5分。十分逆転できる。 勝てば褒めてくれるかな……? 162 名前:ヤンデレウィルスに感染してみた[sage] 投稿日:2008/09/10(水) 03 55 51 ID puacegMt 『ふたり』 「ねぇー、呪いって信じるー?」 「なんだよ突然、んなもんねえよ、ないない」 「クスクス、ほんとにほんとに、そうい言い切れるぅ?」 「また新しいゲームでも買ったのか?」 「ニヤニヤ、違うよー、最近二人っきりになれないからー」 「最近も何も一度もんなシチェーションはねえよ、幸運にな」 「クスクス、ほんとにぃ?」 「二人っきりになりたいから皆呪えばいいと?」 「ニヤニヤ、みんな呪っちゃおうかなぁ……クスクス」 「キメェ!ったく今日はギアーズな。ああそれと教室で話しかけるなよな!」 「ばいばーい、クスクス」 翌日 「おっはー……って誰もいねぇ!?」 「いるよー、ニヤニヤ」 「うわッ! 急にニヤケ顔で話しかけんな!キメェ!」 「クスクス、おはよぉ、ニヤニヤ」 「……後5分で授業始まるってのに、何で誰もいねぇんだ?」 「私がいるよぉ、ニヤニヤ」 「隣は……いる。うちのクラスだけ居ない」 「ニヤニヤ」 「……まさか、いやそんなはずは」 「クスクス」 「まさかお前、呪ったのか!?」 「…………」 「二人っきりになりたいからって!?」 「……なに言ってるの?呪いなんてあるわけないじゃない」 「だって昨日お前……」 「のろいなんてそんなもの、あるわけないよ」 「……そ、そっか、そうだよな、当たりまえだよな、は、ははは」 「クスクス、たぶんきっと食中毒か何かだよ、ニヤニヤ」 「…………」 「今日はサボっちゃおー、誰も来ないんだし、ねぇー、ニヤニヤ」 「ああ、そうだな……」 「クスクス、じゃ、じゃあウチ来て一緒にギアーズしよっ、チェンソー楽しいよ?ね?」 「いや……帰るわ」 「……ニヤニヤ……ニヤニヤ…………」 「わかったよ!いきゃあいいんだろ!」 「クスクス、うん、いこ、すぐいこ、はやくやろ!」 「ったく、のろい、ねぇ……」 「わーい、ふたりっきりだぁ、二人っきり、クスクス」 163 名前:ヤンデレウィルスに感染してみた[sage] 投稿日:2008/09/10(水) 04 00 54 ID puacegMt 以上 呪田さんはヤンデレに入るのだろうか超知りたい超ユンファ 164 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/10(水) 15 28 07 ID v7RePtK6 ヤンデレは男のためなら、鼻から蟻を吸い込めるのか? 吸い込めるのだ 165 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/10(水) 15 29 53 ID /t6ALpph そこは 吸い込める、吸い込めるのだ だろ 166 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/10(水) 15 56 24 ID d8INvi+c 出来る 出来るのだ 167 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/10(水) 18 44 11 ID v7RePtK6 男がヤンデレに鼻から蟻を吸い込ませたことがある。 蟻酸の匂いが嗅覚を衝いたが ヤンデレは手を休めることなく、鼻に蟻を運んでいた。 マリリン・マンソン「彼女だけには敵わない」 168 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/10(水) 19 31 46 ID dycK1c4g ギアーズやんのかww 箱○ユーザーの女さもいいな 169 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/10(水) 23 37 17 ID LTxNDjdx チェーンソーは楽しいwww 一つめのはCOD? まあGJ! 170 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/11(木) 21 16 06 ID FIUo3y9l ttp //ascii.jp/elem/000/000/167/167075/ 興味深い感じの記事が まあ部分的には釈然としないけど 171 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/11(木) 23 31 56 ID iniRfEf3 タイプCだけ例えが具体的でなんか吹いたw 前者が言葉で後者が冬子か 172 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/11(木) 23 38 22 ID TaL7HXDM ヤンデレの見本としてひぐらしを扱ってる時点でなにもわかっちゃない 173 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/11(木) 23 48 11 ID Zd5y+sMG 4.雪輝とその友達が野犬に襲われたとき、友達を囮にして、雪輝と一緒に逃げる。 # ヤンデレ度 ゼロ これはアリでしょう。正常です。 糞フイタwww 174 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/12(金) 00 25 04 ID SORsvI7z 172 落ち着け、あくまで「猟奇的なヒロイン」の代表としてしか扱っていないはず。全体的には言葉様と由乃っちメイン。 ねーちんを出すあたり分かっている……のかも知れないが、悪く言えばヤンデレ大全から進歩してないな。 175 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/12(金) 11 13 54 ID x85bFpTH 173 それがユノにとってはただの他人だからな 囮がユノの家族や友人としたらまた違ってくるんじゃないか? そういえば今週からチャンピオンでヤンデレ漫画が集中連載してるな これはヤンデレ好きには見逃せない漫画だ 176 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/12(金) 12 51 11 ID LCQtyGbg チャンピオンはバキしか読まないゲソ 177 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/12(金) 13 02 08 ID bsLTL1v0 176 じゃあその語尾はなんなんだー! 178 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/12(金) 15 19 27 ID XPcRsVXW 175 kwsk 179 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/12(金) 17 00 39 ID x85bFpTH 178 スクール人魚とい題名で 真夜中の学校である儀式をするとスクール水着を着た人魚が出てきて 夜が明ける前にその人魚の肉を食べると好きな人と結ばれるという ただし、人魚にイニシャルが書かれて同じイニシャルを持った人しか効果はない 二人以上で儀式を行うと一人しかその効果はない 現在、人魚の肉をめぐって女生徒二人が金属バットと刃物で対決中 少しわかりにくいがこんな感じ わかりにくかったら直接、チャンピオンを見た方が速い 180 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/12(金) 18 42 16 ID x2nqVSXh 179 前回の読み切りも読んだ俺としてはアレはヤンデレじゃないと思う アレをヤンデレとして扱ったらなんでもかんでもヤンデレになっちまう 恋を成就させるための手段として人間にしか見えない人魚の肉を食べるって部分と ライバルより先に食べなければいけないって状況なだけで、そこにヤンデレとしての『病み』は感じない 『病み』がないヤンデレってどうよ?モツの入ってないモツ鍋みたいなもんだろうが 恋を成就させるための内容と手段がスプラッターなだけで本人もライバルも病んでいないぞ しかしヤンデレではないが内容は面白い。それとチャンピオンで連載中のマイティなんちゃらって 漫画に最近出てきた女郎蜘蛛の女怪人がちょいヤンデレ気味。俺としてはそっちのほうも勧めたい だが先々週と先週と…っつーか最初から読んでないと意味不明だから結局お勧めはできないな まあそんなことはどうでもいいから誰かヤンデレのおっぱいを揉ませてくれ 181 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/12(金) 19 59 57 ID rmdvK3pU うむ、あれをどう見たらヤンデレと認識できたんだろう? 謎すぎる 182 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/12(金) 20 19 40 ID x85bFpTH いや、俺はあれはヤンデレと思う 病みがないと言うが あの弱そうな女の子は強そうな女の子に普段から虐められてそうで 病み要素がある それに凶器は刃物一つで足りるのに 大量にを隠し持って 「あんな女にわたさない」といってるので俺は十分病みポイント思うぞ 183 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/12(金) 20 45 26 ID lWxZIFgj それ読んでないけどデレはあるの? 184 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/12(金) 21 13 28 ID x2nqVSXh 183 読み切りの短期連載でまだデレ描写はない。ただ好きな人がいるって描写はある 好きな人がいて両想いになりたいと言うのが人魚を食う理由 デレ描写がどうとかって内容じゃないと思う これ以上ここで語っても読んでない人には分からないしスレも荒れそうだから止めるけど 知りたい人は立ち読みでもしてヤンデレかどうか判断してくれ。立ち読みなら10分で済むからさ ただ俺としてはアレをヤンデレとは認められないって話だ。ひぐらしのレナがヤンデレか ヤンデレじゃないかって話よりも全否定だね。まだ舞HiMEの静流のほうがヤンデレだとry そんなことより誰かおっぱい揉ませてくれよ 185 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/12(金) 21 22 24 ID LCQtyGbg 俺の胸を貸そう 186 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/12(金) 22 04 51 ID x2nqVSXh (´・ω・`) ┃ω・`) ┃ミ サッ 187 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/12(金) 22 40 35 ID gcvggTHK 死ね 188 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/13(土) 01 57 34 ID dpGGtiv5 184 あれ、静留がヤンデレかは微妙なとこなのか? 系統樹の方は一途な百合っ娘って感じだけど、アニメの方は結構キテた気がする…もううろ覚えだけど 189 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/13(土) 02 07 42 ID dvDF7NcV 「病んでる人がデレる」じゃなくて 「病むほどデレる」だと何度言えば 190 名前: ◆AZUNJTAzwE [] 投稿日:2008/09/13(土) 03 12 51 ID TLvbeUqe 投下します。 191 名前:??? 1/13 ◆AZUNJTAzwE [sage] 投稿日:2008/09/13(土) 03 14 25 ID TLvbeUqe マガジン編集部。 ここにはある特殊な使命を帯びた者達がいる。 それがマガジンミステリー調査班、通称MMRだ。 彼らは少年マガジン編集者で作られた組織であり、その活動目的は人類滅亡の可能性を調査し、 それをマガジンに載せることで読者に警告することにある。 しかし、そんな彼らの活動を良く思わない連中も居たことも事実である。 宇宙人に誘拐されたこともあった。 秘密結社の妨害にも遭い、隊員の命を狙われたこともあった。 1999年には、人類が滅亡しなかったじゃないかという、抗議の電話が来たこともあった。 裁判に掛けられ、サイバンチョに有罪にされそうになったこともあった。 しかし、そんな様々な妨害にも屈せず、今日も彼らはあきらめない。 それが唯一の戦い方なのだから。 192 名前:??? 2/13 ◆AZUNJTAzwE [sage] 投稿日:2008/09/13(土) 03 15 21 ID TLvbeUqe 人類滅亡の恐怖は未だに終わっていない――――。 にもかかわらずヨネムラ率いる新MMRの発足に伴い、闇に消えてしまった旧MMR。 キバヤシ達に何があったのか、今こそ真相を伝えなければならない!! 緊急報告 「MMR マガジンミステリー調査班」 『14.マガジンデイズ ~~ヤンデレブームの裏に潜む陰謀を暴け!!!~~ 』 193 名前:マガジンデイズ 3/13 ◆AZUNJTAzwE [sage] 投稿日:2008/09/13(土) 03 19 10 ID TLvbeUqe ―― 2008年2月 講談社本社ビル内 マガジン編集部 ―― とある昼下がり。 ここが職場であろうと、世間がいかに忙しかろうと、今日もマガジン編集部には暇人が集う。 しかし、その中でもこの男は格別であった。 「やはり、由乃はかわいいな。僕の担当の漫画家に無理矢理ヤンデレキャラを書かせてみるか」 彼は一心不乱に漫画を読んでいる。 よほどその漫画のキャラクターに心の底まで骨抜きにされているらしい。 緩みきった顔で、漫画を読みながら独り言を呟いている。 周囲には、まるでイチャイチャしている新婚のカップルのような、 シロップより甘い空気が漂っていた。 彼の名はイケダ。 MMRの隊員の一人である。 そんなイケダの呟きを聞いた、ある眼鏡の男が居た。 彼はイケダの様子に興味を持ち、声を掛ける。 「なんだ、その漫画は?」 「ん、ああ。キバヤシさん。」 イケダに声をかけたのが、MMRのリーダー、キバヤシだ。 身長182cm、体重は77kg、血液型O型。 眼鏡を掛け聡明な印象を与える姿をしているが、それに負けないだけの知性を備えている。 IQ170の超天才であるばかりでなく、日本語・英語・フランス語の三ヶ国語を扱える。 しかし彼が何よりも得意としているのは、超常現象・ノストラダムス解釈などの知識を生かし、 人類滅亡の可能性を探ることである。 キバヤシの質問にイケダが答える。 「これ、角川書店の月刊エースに連載している、未来日記ですよ。 今はやりのヤンデレヒロインが登場する漫画なんです。」 「ヤンデレ?ああ、確かひぐらしのレナとかの刃物持って暴れるような、病んでるヒロインだったか?」 「違います!」 突然、イケダが大声で怒鳴り散らす。 その反応に、キバヤシは驚愕した。 「レナなんて全然違いますよ!何言ってるんですか!デレの部分がないじゃないですか! いいですか!?病んだ愛情表現を行うヒロインのことです! 最近は2ちゃんのヤンデレ関係のスレでも、レナがヤンデレとか言う奴が現れてスレが荒れるし、 これだから素人は」 「病んだ愛情表現?」 キバヤシは、なんでイケダ如きに怒鳴られなきゃいけないんだと内心思いつつも、 イケダの迫力に屈して、ただ聞き返すしか出来なかった。 ここで、キバヤシに声をかけるものが現れた。 194 名前:マガジンデイズ 4/13 ◆AZUNJTAzwE [sage] 投稿日:2008/09/13(土) 03 21 29 ID TLvbeUqe 「そうだって、キバヤシ。」 敬語ではなくタメ口でキバヤシに声を掛けたのは、 同じくマガジン編集部員で、女好きのナワヤだ。 彼もまたMMRの隊員であり、MMRの副リーダー格である。 ナワヤはキバヤシに問い掛ける。 「スクールデイズって知ってるか?」 「いや、知らん。俺はヤンデレなんかに興味はないからな。」 「一応俺達は漫画編集者ってことになってるんだぞ。そんな最近の有名作品も知らないのか? 一昔前のマガジンはDQN向け漫画の掲載誌だったが、今はオタク向けの作品が増えてるし、 そういう所も勉強しとけよ。」 「俺は人類滅亡の調査で忙しいんだよ…………。」 ナワヤにも馬鹿にされたと、キバヤシが落胆していると、 ここでまたキバヤシに声をかける者が現れた。 「キバヤシさん。今、みんなヤンデレにハマッているんですよ。」 もう一人のMMR隊員、タナカだ。 「スクールデイズっていうのはですね。 まあ簡単に説明しますと、ゲロ以下のクズ、伊藤誠が ヤンデレさせる、ヒロインの桂言葉が有名なんですよ。 18禁のゲーム版のみならずアニメ版まで容赦がない展開で、 特に最後あたりが凄かったですよ。」 「最後?」 「ええ、生首抱えて、夕陽に向かって船を進める。正気とは思えない展開でしたね。」 タナカは軽く笑いを浮かべながら話した。 しかしタナカのこの言葉を聞いた途端、何故か突然キバヤシの顔色が変わった。 先程までの興味なさそうに弛緩しきった顔が、みるみるうちに思いつめた真剣な表情に変わってゆく。 「あれ?キバヤシさん、どうかしましたか?」 「船に乗って夕陽へ…………。 なあ、そのアニメを見てみたいんだが、ここにあるか? 「ああ、キバヤシさんも見ますか?ちょっと待って下さい。」 タナカは自分の机の所まで行くと、一番下の引き出しからアニメのDVDボックスと、ゲームの箱を持ってきた。 「じゃあこのDVDを貸しますね。あと、こっちのゲーム版の方はキバヤシさんにあげますからやってみて下さい。」 195 名前:マガジンデイズ 前編 5/13 ◆AZUNJTAzwE [sage] 投稿日:2008/09/13(土) 03 25 48 ID TLvbeUqe ―― 数日後 マガジン編集部 ―― 「ああ、もう!また、2ちゃんのヤンデレ関連のスレでレナはヤンデレとか、 朝倉涼子はヤンデレとか抜かしている奴が居る! お前らみたいな、勘違いがスレを荒らすんじゃない!」 イケダはモニターに対して罵詈雑言をがなり立てている。その横の机で、ふとナワヤが呟いた。 「ここんとこ、キバヤシが出社しねえな。何かあったのか?」 ふと漏らしたボヤキに、タナカが答える。 「そうですね。もしかしてこないだ、僕が貸したスクールデイズに嵌ったのかも。」 続いて先程からモニターに当たり散らしていたイケダも、自身の苛つきをぶつけるように口を開いた。 「そもそも、キバヤシさんはとっくの昔に講談社をやめてフリーライター…………おっと。」 イケダは悪気も無さそうに口を押さえる。 この行動につられるかのようにナワヤもキバヤシをからかう発言を始める。 「まあ、あいつなら嵌るだろ。 ほら。ひぐらしの竜騎士が、何もわかって無い記者にレナはヤンデレですかと聞かれた時、こう答えていたろ。 プライドの下がりきった男性が、自分無しでは生きていけない「恋愛依存症の女の子」 を求めた結果がヤンデレであるってさ。 キバヤシの奴、さんざん1999年に人類滅亡すると煽っといてあの有様だからな。 抗議の電話が来た時なんか『何も起こらなくて良かったですね』と堂々と答えたり、 動揺してないように見えたけど、 内心は凄く堪えてたんだろ。で、誰かに認めてもらいたいって 願望がついにヤンデレ好きという性癖になったわけだ。」 「…………い。」 「プライドの下がりきったキバヤシはヤンデレに愛されるのが嬉しくてたまらなかったってことだな。」 「……おい。」 「これで自信をつけたら、また滅茶苦茶な事を言い出すんじゃねーの、ははは。」 ん? お前らどうかしたのか?」 気が付けば、何故かイケダとタナカは気まずそうに頬を引きつらせていた。 ナワヤは少しの間彼らを見続けて、ようやく彼らが自分の後ろを見ていることに気付き、 ゆっくりと振り返った。 196 名前:マガジンデイズ 前編 6/13 ◆AZUNJTAzwE [sage] 投稿日:2008/09/13(土) 03 27 43 ID TLvbeUqe 「………………うおっ!!!!」 「おい、ナワヤ。」 キバヤシだ。 鬼気迫る表情のキバヤシが、そこに居た。 何日も徹夜したのか、充血しきった目の下には大きな隈が出来ている。 「な、なんだ、来てたのか!?急に現れるなよ!」 ナワヤは、自分が言った事を聞かれた為にキバヤシが怒っていると思い、気が気ではない。 しかし次にキバヤシの口から出たのは、予想していた咎めの言葉ではなかった。 「ナワヤ、タナカ、イケダ。今から取材に行くぞ。既にアポは取ってある。MMR出動だ!」 「え、MMR出動って…………取材ってどこに?」 「スクールデイズの制作会社、オーバーフローだ。」 197 名前:マガジンデイズ 前編 7/13 ◆AZUNJTAzwE [sage] 投稿日:2008/09/13(土) 03 30 33 ID TLvbeUqe ―― 数時間後 オーバーフロー本社前 ―― 「全く、キバヤシさんは何でこんな所に取材する気になったんだろ? 人類滅亡にでもなんか関係があるんですかね?」 オーバーフローの社屋を見ながら、イケダが愚痴をこぼす。 するとナワヤが、手を叩いた。 「あっ、そうか。あいつもヤンデレにハマッたんだよ。 だから取材って名目で、色々聞いてみたくなったんだよ。」 少し遠くで、オーバーフロー本社を見上げているキバヤシを指差して、 ナワヤはほくそ笑む。 しかし、そんなナワヤに意義を唱える者があった。 「それは違うと思います。」 タナカだ。 「思い出して下さい。キバヤシさんはMMR出動だって言ってました。 つまり今回の取材は人類滅亡に関することでしょう。それに」 タナカがオーバーフロー本社へ向き直り、ビルを見上げた。 この新宿の高層ビル群にそびえたつ威風堂々した数十階立てのビルは、 天高くそびえ立ち、威圧するようにこちらを見下ろしている。 「以前、アニメ放送中止の危機の時にオーバーフローの建物で試写会やりましたよね? スクールデイズの新品をまた買わせようって言うのかと、さんざん叩かれた奴です。 実はその時、僕は試写会に行ったんです。しかし」 「試写会って、お前まさか、わざわざ新品のスクールデイズ買ったのか? って、もしかしてキバヤシにあげたのがそれか?」 ナワヤの指摘に、タナカは少し恥ずかしそうに笑った。 「ええ、実は。で、その時オーバーフローの会社に行ったんですが、 ここじゃなくてもっと普通のアダルトゲームの会社と同様で、小さい建物でしたよ。 それなのにほら。」 ビルの前の、トマルが指差した場所には看板がある。そこにはオーバーフロー本社ビルと書かれていた。 「数日前にこのビルに引っ越したらしいですが、 今じゃこの巨大なビルが、全て丸ごとオーバーフローの本社ですよ。 なにかアダルトゲーム以外の巨額な収入があるとしか思えません。」 「まあ、確かにな。」 ナワヤが呟くと、他のMMRメンバーもただ黙ってビルをじっと見上げた。 198 名前:マガジンデイズ 前編 8/13 ◆AZUNJTAzwE [sage] 投稿日:2008/09/13(土) 03 33 36 ID TLvbeUqe ―― 数分後 オーバーフロー本社 応接室 ―― 「どうもこんにちわ。メイザーズぬまきちです。」 「マガジン編集部のキバヤシです、取材にご協力頂き、ありがとうございます。」 「なんでも、ヤンデレについての話をお聞きしたいとか。」 「はい。それなら昨今のヤンデレブームの発端であるスクールデイズのシナリオを書いた、 あなたに聞くのが最善と思いまして。」 「なるほど。では何から話しましょうかね…………。」 通された部屋は、こじんまりとした応接室だった。 MMRの5人のメンバーと取材相手のぬまきちが丁度入れるぐらいの大きさである。 しかし、ここに通されるまでに見た会社の様子は想像以上だった。 引っ越し直後のためか、社内には未開封のダンボールが置いてあったりと雑多であるものの、 まるで大企業にすら思える程の数の社員が働いており、とてもアダルトゲーム会社とは思えない活気である。 普通アダルトゲームの会社など、社員がせいぜい10人居ればいい方であるのにだ。 インタビューは長い間、続いた。 ぬまきちの応対は丁寧で、好感が持てるものだった。 MMRのメンバーも取材とは名ばかりで、各自聞きたい事を質問している。 この場にいる誰もが笑みを絶やさず、和やかな雰囲気がこの場に満ちていた。 ただ一人、浮かない顔をしているキバヤシを除いては。 そのキバヤシが、ふと言葉を発した。 「あの。質問させてもらっても構いませんか?」 「ああ、キバヤシさん、でしたね。なんですか?」 キバヤシは詰問するような眼差しで、ぬまきちを見据えた。 「あなたの考えをお聞きしたいんですが、 昨今のヤンデレブームって、もしかして誰かが仕組んだものだとは思いませんか?」 「な、何を言ってるんですか。」 それまでの和やかな談笑の場に、唐突に放たれた疑念の篭ったキバヤシの声。 気圧されたのか、ぬまきちの顔に若干の焦りが浮かぶ。 「それにもう一つ聞きたいんですが、この会社の事業、本当にアダルトゲームだけなんですか? 最近になって、急にこんな大きなビルに引っ越して従業員を大量に増やしたりしてますよね。 もしかして、この会社は他に何か巨額の収入が得られる事業でも始めるんじゃないですか?」 「……っ!!」 ぬまきちは顔を暗くしたまま、沈黙する。 居たたまれなくなるような重い空気が場に満ちていく。 それがしばらく続いた後、ぬまきちは顔を背けたままポツリと呟いた。 199 名前:マガジンデイズ 前編 9/13 ◆AZUNJTAzwE [sage] 投稿日:2008/09/13(土) 03 35 31 ID TLvbeUqe 「…………帰ってくれ。あんたらに話すことはもう無い。」 「しかし――」 「この後に用事があるんだ。これ以上話す時間は無い!!!」 ぬまきちは大声で怒鳴ると、力任せに扉を閉め、出て行った。 その場に居る誰もが沈黙し続け、しばらく経った後、ようやく各々が口を開き始めた。 「キバヤシさん。さっきの発言で怒らせちゃいましたかね。」 「キバヤシ!お前のせいだぞ!もっと聞きたいことあったのに!」 「それにしたって、急にあんなに怒ったりして…………妙ですね。 キバヤシさん。ぬまきちさんって、もしかしてなにか隠しているんですかね。」 MMRの面々は口々にキバヤシに対して言いたい事を口にする。 しかしキバヤシはそのどれも意に介さずに言った。 「確か、さっきのインタビューの最中にぬまきちはこう言っていたな。 このビルに移ってからは、開発室の自分の机の他に、自分専用の仮眠室があると。」 「ああ、さっき確かに言ってたが。どうかしたのか、キバヤシ?」 200 名前:マガジンデイズ 前編 10/13 ◆AZUNJTAzwE [sage] 投稿日:2008/09/13(土) 03 38 21 ID TLvbeUqe ―― 十数分後 ぬまきちの仮眠室 ―― 「まずくないか、キバヤシ!? 勝手に入っちゃって…………。」 怯えた声でナワヤが言った。 先程のインタビューの後キバヤシが、ぬまきちの部屋を調べてみようと言い出したのだ。 そして勝手に社内を歩き回り、ぬまきちの仮眠室を見つけ出したキバヤシ達は、 ぬまきちが居ないのを確認したのち、室内に入った。 小ざっぱりとした室内を見渡すと、そこにあるのは仮眠用らしきベッドとパソコンの置かれたデスクだけ。 タナカが言う。 「ここにあるのはパソコンくらいのようですね。キバヤシさん、ちょっと調べてみましょうか?」 「ああ。」 キバヤシの同意を聞くと、タナカは椅子に座り、パソコンの電源を入れた。 セキュリティ意識が甘いのかパスワードも設定されていなかったために、 あっけなくデスクトップの画面が映る。 「随分あっけないな。」 「外側からのハッキング等は警戒しても、こうやって直接進入されるのを警戒しない人間は多いですからね。 じゃあ、とりあえず…………メールから調べてみましょうか。」 タナカはマウスを動かすと、メールソフトを立ち上げた。 「まずは、送信済みトレイから…………お。今日送ったメールがあるな。 じゃあこれから開いて…………ん、なんだこれは? 最新のメールには件名が書かれておらず、送信者が『RS』とだけ書かれていた。 本文にはこう書かれている。 『明日、言葉の会議には出席する。5時にはそちらに着く。』 「『言葉の会議』? なんですかね、この予定。この『言葉』ってやっぱり言葉様のことですかね? もしかして言葉様ファンの集会に招かれたとか?」 タナカの指摘にMMRの面々はその意味を考え込む。 そのため、メンバーの中に気付いた者は一人もいなかった。 彼らの後ろで、画面を食い入るように見つめながら青ざめているキバヤシの様子に。 201 名前:マガジンデイズ 前編 11/13 ◆AZUNJTAzwE [sage] 投稿日:2008/09/13(土) 03 42 09 ID TLvbeUqe 「まあそれはそれとして、まずメールの宛先を調べてみましょう。 えーっと、宛先は……あれ? アドレスの末尾が .go.jpになってますよ。 宛先は日本の政府機関ですね。」 「政府機関?」 ナワヤが聞き返す。 「ええ。メールアドレスの末尾で属性がわかるんです。例えば .coなら通常の株式会社 .acなら学校等の教育機関。で、.goなら国の機関です。 まあ、とりあえずググってみましょう。」 イケダはマウスを握ると、グーグルを開き、メールアドレスの@マークから後ろ、 ドメインの部分を検索にかける。 一瞬の後に検索結果が表示された。 一番上のサイトをキャッシュで開く。 Webサイトの画面に切り替わり、徐々に全体が表示されていく。 病院等のWebサイトに主によくみられる、白を基調とした清潔感を感じさせるページだ。 一番上には、こう書かれていた。 国立遺伝子研究所、と。 「国立遺伝子研究所?」 タナカはマウスを動かし、画面を下の方にスクロールさせる。 検索したドメインと一致した部分が、色が変わって表示されていた。 問い合わせ用と書かれた、メールアドレスの部分だ。 「ここの問い合わせ用のメールアドレスと、ぬまきちさんのメールの宛先のアドレスは ドメインの部分が一緒ですね……。 つまりあのメールは、この研究所の人間に向けて送ったものでしょうね。 まあ、誰に宛てて送ったのかはわかりませんがね。」 「ますます、『言葉の会議』の意味がわからねえな。 理系の研究者とかってオタが多いとはいえ、 まさかここでファンの集会なんかやるわけないよな。」 「まあ、考えても埒があきませんし、他のメールもありますから、そっちを読んでみましょうよ。」 タナカはナワヤとの会話を打ち切り、別のメールを開いてみようとする。 だが、そうされることは無かった。 彼の後ろに居るキバヤシの携帯電話が、突然鳴ったからだ。 キバヤシは誰からの電話なのか、確認もせずにすぐに電話に出た。 「イケダか?」 「キバヤシさん、ぬまきちさんが戻ってきました!」 「わかった!」 ぬまきちが戻ってくることを警戒して、エレベーターの見える所で見張りをさせていたイケダ からの連絡だった。 キバヤシはすぐに電話の内容をメンバー全員に告げる。 「ぬまきちが来た! 気づかれる前に非常階段から逃げるぞ!」 202 名前:マガジンデイズ 前編 12/13 ◆AZUNJTAzwE [sage] 投稿日:2008/09/13(土) 03 49 56 ID TLvbeUqe ビルの合間の路地裏で、全員が大きく呼吸し、必死に酸素を取り込んでいる。 どこをどう走ったのかは、分からない。 気がつけば全員がオーバーフロー本社から遠く離れた場所の、この路地裏に居た。 追っ手の姿は無い。 どうやら無事に逃げ切れたようだ。 タナカが口を開く。 「はぁ……なんとか逃げられたみたいですね。 あれ、キバヤシさん?」 不審な様子のキバヤシにタナカが声を掛けたが、 地面を見つめたまま全く意に介そうともしない。 そのままの姿勢で、言った。 「そうか……そういうことだったのか。」 「え? どうしたんだ、キバヤシ?」 キバヤシは顔を上げ、メンバーの方を見据る。 そしてありったけの大声を言い放ち、断言した。 「やはり間違いない!人類滅亡の危機はまだ終わっていなかったんだ! 昨今ヤンデレという言葉が生み出されたのは、ただの偶然じゃない! 影で恐ろしい陰謀が進められていたんだよ!」 恐ろしい陰謀!? MMRのメンバー全員の頭の中で、キバヤシの言葉がこだまする。 そんな彼らの姿を、頭上のビルの監視カメラは、ただひたすらに凝視していた。 203 名前:マガジンデイズ 前編 13/13 ◆AZUNJTAzwE [sage] 投稿日:2008/09/13(土) 03 51 03 ID TLvbeUqe ヤンデレブームの陰で暗躍する、恐るべき者達――――。 真相に辿り着いた我らMMRに、戦慄の結末が訪れる! ★次号(後編)に続く★ 204 名前: ◆AZUNJTAzwE [sage] 投稿日:2008/09/13(土) 03 55 21 ID TLvbeUqe 投下終了。 この作品はフィクションです。 実在の人物、団体、事件などにはいっさい関係ありません。 仮に抗議が来たら、キバヤシ隊長の如く「何も起こらなくてよかったですね」と答えます。 これを書くに当たって資料としてMMRが欲しかったんですが、 新品もどこの書店に行っても無いし、通販でも扱ってないし、 しかもどこのブックオフに行ってもやはり置いてなくて困りました。 よって自分の記憶と、後はググって書き上げました。 それでも、多分MMRのお約束は守れていると思います。 205 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/13(土) 03 56 21 ID 3bf2SBFn ・版権モノは専用スレでお願いします。 206 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/13(土) 04 26 43 ID XdsmM4t6 投下するとこ間違えてますよ 207 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/13(土) 04 27 29 ID Y3StGh6J 噴いたwwww 続き期待して待ってます 208 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/13(土) 08 59 41 ID 3Mfp/wfL GJ しかしこの作品はどのスレ担当になるんだw 専用スレがないスレ辺りに続きを投下して誘導という形がいいんじゃないかなぁと 209 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/13(土) 10 00 00 ID yg8bGxMO 面白いからここで良いよ。前編と後編で違うとこに書くのもナンだし。 210 名前:( ゚∀゚)o彡゜おっぱい!おっぱい! ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/09/13(土) 10 07 59 ID UzyiGj37 「話は聞いたわ! お姉ちゃんのおっぱいなら死ぬほど揉んでいいわよ!」 俺の部屋のドアをバーンと開け放ちながら姉ちゃんが入ってきた。その発言の異常さもさることながら、彼女の目はその発言以上に異常な熱を帯びているから困る。 理由は単純だ。俺がとある掲示板に『そんなことより誰かおっぱい揉ませてくれよ』なんて書き込んだからだろう。あれほど人のパソコンを勝手に同期するなと言っているのに。 「はいはい、分かったから帰ってね。俺忙しいから」 俺はそういいながら追い払うように手を振る。しかし姉ちゃんはまるで聞く耳を持たない。持つような人間だったら最初から苦労してないが。 「そうよね! お姉ちゃんのおっぱい揉むのに忙しくなるのよね! 好きなだけお姉ちゃんのおっぱい揉ませてあげるから、だからこの網外して!」 姉ちゃんはフローリングの床の上をじたばたとのた打ち回りながら相変わらず気の狂った台詞をはいてくる。ちなみに彼女は今ワイヤーの編みこまれた網に絡まっている。 こんなことが日常茶飯事だから、俺は自分の身を守るために常にいろんなトラップを自分の部屋から学校の自分の机の中まで張り巡らしているわけだ。 んでもって彼女はそのトラップに見事にかかってくれたわけだ。姉ちゃんの行動は俺一直線だから実に読みやすい。 ちなみにこの間までワイヤー無しのただの網だったが、「愛の力よ!」なって言いながら引きちぎられてしまったために現在はワイヤー入りになっている。どんな腕力だ。 「お姉ちゃんはか弱き乙女なの……。でも恋する乙女はか弱いだけじゃだめなのよ。愛する人を抱きしめる力強さが必要なの!」 これは姉ちゃんの弁だ。ちなみに、もし俺だったら網を引きちぎるほど力強く抱きしめられたら即別れを切り出すと思う。 でもそんなことを言ったら、 「もう、私が抱きしめるのは弟くんだけよ。焼き餅焼いちゃってー」 なんて返されるのだろう。まるで話が通じない。餅なんて焼いてない。というかお前を焼いてやろうか。 「俺、巨乳より貧乳が好みなんだよね」 俺はもがく姉ちゃんにそう言ってやった。 「もーう、弟くんったらお姉ちゃんをからかってー。お姉ちゃんは知ってるんですからねー。弟くんは大きな胸が好きだってこと。だからお姉ちゃん頑張ったんだからね。 牛乳飲んで、運動して、弟くんのことを想いながらたーくさんオナニーして……もう、恥ずかしいこと言わせないでよっ」 姉ちゃんは頬を赤く染めながらくねくねしている。言わせてねえよ馬鹿。 「でも、この胸はあなた専用なんだからね、好きなだけ揉んでいいのよ。……キャー、言っちゃったー! 恥ずかしー!!」 そう言って網に絡まったまま器用に胸を寄せてアピールする。 確かに姉ちゃんの胸は大きい。スイカ、姉の胸、スイカ、と並べられたら、姉ちゃんの胸が分裂したかと誤解するほどだ。 …………ごめん、それはさすがに嘘だ。だが、かなり大きいことは紛れも無い事実である。 「姉ちゃん、人の嗜好ってのは変わるもんなんだよ。確かに俺は昔は巨乳が好きだったさ。しかしそれは母性を求める幼児性の表れだよ。少年は男へと成長し、母性の象徴である豊かな胸よりも、若さの象徴であるちっぱいを求めるようになるんだよ」 211 名前:( ゚∀゚)o彡゜おっぱい!おっぱい! ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/09/13(土) 10 08 33 ID UzyiGj37 俺のその言葉で、先ほどまでじたばたしていた姉ちゃんの動きがぱったりと止まった。うつぶせなので表情は見えないが、おそらくこの世の終わりを告げられたかのような表情をしていることだろう。いつものことだ。 「……嘘……。そんなの嘘よっ!」 姉ちゃんは感情的に大声を上げた。俺はそんな姉に止めを刺すべく、耳元でささやく。 「ちっぱいには無限の可能性が詰まっているのさ。脂肪の詰まった巨乳とは大違い。無駄な努力、ご苦労様」 姉ちゃんの体がビクンと跳ねた。 「あぁああぁあああああああぁあああああああああああああああああ!!」 おおよそ姉ちゃんの風体からは想像もつかないような絶叫が俺の部屋に木霊する。網の糸がブチブチとちぎれ、ワイヤーさえも悲鳴を上げる。 「弟くん間違ってるよちっぱいは犯罪なんだよ弟くんが犯罪者になっちゃうそんなのダメだよお姉ちゃんのおっぱいで弟くんを正気に戻してあげなくちゃそうそうだよまったく弟くんはお姉ちゃんがいなきゃホントにダメなんだから……」 姉ちゃんは肺の空気一杯叫び終えた後、深く息を吸い込むと今度は支離滅裂なことをノンストップで口走り始めた。 やりすぎた。 俺は慌てて改造スタンガンを姉に押し当てた。姉ちゃんの体がビクビクと痙攣し、あっさりと停止した。姉ちゃんは「あ……」とか「う……」とか言葉にならない言葉を漏らしている。 俺は姉ちゃんを網から出すと姉ちゃんを抱え上げた。 そして姉ちゃんの部屋に入る。姉ちゃんの部屋はぱっと見は女の子らしいとても可愛らしい感じの部屋だが、それは俺の嗜好にを意識しての工作だ。 実際には本棚から一冊本を引き抜けばそこには無数の俺の写真が挟まっているし、ぬいぐるみの背中を開けてみれば俺の髪の毛やらなんやらが入っていたりするというとても恐ろしい仕様になっている。 まあそんなことは今更なのでほうっておいて、姉ちゃんをベッドに寝かせると、姉ちゃんの机の引き出しからおそらく俺を拘束するために用意したと思われるロープを取り出して姉ちゃんの両手両足を縛っておいた。 まあ姉ちゃんは「私たちの愛はどんなものでも縛ることなんてできないのよ!」なんて言ってあっさりと抜けてしまうから意味はあまりないんだが、気休めにはなる。 「弟……くん」 俺が部屋を後にしようとすると、姉ちゃんから声をかけられた。熊でも一撃昏倒、人間だったらこれ死ぬんじゃね? クラスの電流を喰らっておいてまだ意識があるとは。今更ながら恐ろしい姉だ。 「何? 姉ちゃん」 「ちっぱいが好きだなんて……嘘だよね?」 姉ちゃんは半ばうわごとのように俺に尋ねる。よっぽどショックだったのか。 「もちろん、ただの冗談さ。俺が好きなのはあくまで巨乳だよ」 「ホントに!? よかった……」 俺のその言葉を聞くと、姉ちゃんは満面の笑みを浮かべながら気絶した。ま、数時間もしたらケロッとしてまた俺の部屋に突撃してくることだろう。 「あー、おっぱい揉みてえ……」 俺は自分の部屋で一人、そう呟いた。 212 名前: ◆wzYAo8XQT. [sage] 投稿日:2008/09/13(土) 10 09 52 ID UzyiGj37 上のほうの書きこみを見てついやってしまった。もう言わなくても分かると思うけど続かない 今回はいろいろとやっちゃった感があるけど、まあセーフだよね。……だよね? 213 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/13(土) 10 17 48 ID OPFAypqc 212 姉ちゃん可愛いよ姉ちゃんw 姉スキーにはたまらないのでもっとや……続かないのかw でもGJ 214 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/13(土) 13 50 22 ID rXVw1V3Z つまりあれだな、ID x2nqVSXhがうらやまけしからんということだな 215 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/13(土) 14 16 05 ID H3IZlOS0 211 これにスパーハッカーな幼馴染もいたらいいな 216 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/13(土) 14 43 22 ID EF/3wNzJ ┃ ┃ω・`) …… ┃ω・`) 212ありがとうGJ! ┃ω・`) でも俺まだおっぱい揉んでなくて手が寂しいんだ…… ┃ω・`) ……自分の尻でも揉んで我慢するか…… ┃ω・`) ……… ┃ミ サッ 217 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/13(土) 18 11 35 ID prCPEsXs 216 次は妹が突撃してくるぞ。 218 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/13(土) 21 48 06 ID yVjDf/Fz 204 ↓こちらへどうぞ ttp //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1208076450/ 219 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/14(日) 01 50 39 ID 76Ol/BaA 弟は結局巨乳が好きなのか? 220 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/14(日) 02 58 37 ID 79Zh4Ude 巨乳が好きとかそういう次元じゃなくおっぱいのことごとくを愛してるんだよ 221 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/14(日) 10 57 42 ID qA86AwDW 大きいおっぱい、 小さいおっぱい、そんなの人の勝手。 本当におっぱい好きな男なら、どんなおっぱいでもイけるよう頑張るべき。 222 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/14(日) 19 20 31 ID y+z487IM 貴方の様な紳士になりたい 223 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/14(日) 23 21 47 ID xu8KrL31 そのおっぱいへの情熱はすばらしいが 我々はヤンデレのおっぱいでしか興奮してはならない事を忘れてはいけない 224 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/14(日) 23 22 56 ID TyLsae3V だがあえて泥棒猫のおっぱいで興奮してみる 225 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/14(日) 23 48 23 ID 5ExV2EJi そろそろ半裸になって座って待つか 226 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/15(月) 00 51 04 ID CZOjpQV0 おっと私としたことが相棒のティッシュを忘れてしまった 227 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/15(月) 01 03 06 ID UF4cmeCh いったい貴様はそれをなんに使うつもりだ 228 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/15(月) 01 08 27 ID SxTjEsq0 兄に同情して泣くんだよ 229 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/15(月) 01 17 42 ID nFWLKRhi ジミーカワイソスジミー ふぅ… 230 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/15(月) 05 24 34 ID GI7En7iG 229 お前、まさかジミーで!? ヤンデレではなくジミーで!? う、裏切り者!! ふぅ 231 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/09/15(月) 06 15 02 ID 9MUG/176 おはようございます。 清算編第三話(累計で二十六話)を投下します。 232 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/09/15(月) 06 17 19 ID 9MUG/176 *** 「え、もう帰った?」 放課後になって、一年の妹のクラスへすぐに向かったら妹の姿は無かった。 それならばと弟のクラスへ行ったら、妹と同じく弟も居なかった。 で、クラスメイトの子に聞いたら、もう帰った、ですって。……何よそれ。 詳しく聞いたら、帰りの教師からの連絡を聞いた後、誰よりも早く教室から出て行ったらしい。 ちなみに、今日の弟は日直だったわけでも、何かの当番だったわけでもないという。 おかしいわね。それじゃあ、なんで朝食も食べずに一人で登校したのかしら。 これじゃ、まるで避けられてるみたいじゃない。 ……けど、まさか。 弟が私を嫌いになるとかそんなこと…………ある訳無いわよ、ね? 「ふあぁ………………たーいくつぅ……」 はしたないぐらい大口を開けてあくびしてしまう。 こうして一人で歩いて帰るって言うのも久しぶりだわ。 いつもなら弟と妹が一緒に居るところ、もしくは弟を掴まえて一緒に帰っていたから。 ちなみに妹はあえて探さない。弟を掴まえてしまえば後で追いかけてくるんだもの。 二人が居ない時は、クラスに残っている友達と一緒に帰ってたし。 下校途中、妹はよく言ってたわね。 姉さんもそろそろ彼氏でも作ったらどう? とか。 おおかた、弟と二人きりで帰りたいからそんなこと言ったんでしょうけど。 簡単に言わないで欲しいわよ。できそうにないのよ、恋人なんて。 誤解しないでね、妹。これでも私、結構告白されたりするんだから。 ラブレター渡されたりとか、修学旅行とか文化祭の最中に呼び出されて。 いい返事をしたことは一度も無いけど。 女友達には、弟君よりもむしろあんたに彼氏ができないことの方が問題よ、ガード固すぎ、なんて言われてる。 そう言われてもね……付き合おうって気分にならないんだからしょうがないじゃないの。 深い関係になろうと思えない。遊ぶだけなら友達でもできるし。 友達のままじゃできないことをするために付き合うのかもしれないけど、そういうの、私にはまだ早い。 だって、自分の体を男の人に全て委ねるなんて考えられないわ。 キスされたりとか、おっぱい揉まれたり、お尻を撫でられたり……クラスの男の子にそんなことされたら、まず叫んで、次に殴るわね。 そういうことされても許せる男の人って、見たことがない。 顔のつくりなら弟、男らしさならお父さん、っていう基準があるから、そこを超えないと特別に見られない。 テレビに映る人ならそんな人も居るけど、身近には居ない。 それはつまり、男の人に恋したことが無いってことなんでしょうね。 ああ、これじゃあ恋人ができないのも当たり前か……。 ぼんやり考え事をしているうちに、自宅の前まで辿り着いていたらしい。 腕時計で時刻を確認すると、いつもより少しだけ早い時間に帰宅していたことがわかった。 一人で帰ると会話をする相手が居ない分、早く歩いてしまうらしい。 玄関を開ける。 まっさきに見えたのは投げ出された二つの鞄と、ひっくりかえった二足の靴。 きっかり二つずつということは、弟と妹の物ね。 あの子達、私を置いて二人きりで帰っていたわけ。 はあ……親離れならぬ姉離れ、ってやつかしら。お姉ちゃん寂しいわ。 でも、そろそろそんな時期なのかもね。 高校を卒業したら私はこの家から離れた大学に通うから、一人暮らししないといけない。 そうしたらもちろん家族とは毎日会えなくなる。 勉強を真剣にする気になれないのは、たぶんどこかで今の生活を手放したくないと思っているからなんでしょうね。 友達の言うとおり、やっぱり私はブラコンでシスコンだわ。 ま、悪いとは思ってないから、今更性格を変えるつもりなんかないけど。 233 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/09/15(月) 06 19 32 ID 9MUG/176 二人の靴を揃えてから、鞄を二つとも抱えて二人の部屋へ向かう。 ……姉離れ、か。 じゃあ部屋に入るのも自重しなきゃいけないのね。 しょうがない。こっそりドアを開けて鞄を中に置いておこう。 ノックせずにドアノブをゆっくり回して、音を立てないよう開く。 そのまま隙間から鞄を入れようとしたところで、異変を耳が捉えた。 ――泣き声? この声、妹よね。 ということは、今の妹は泣いているの? ……ここは引いて放っておく? それともあえて踏み込んで慰める? 逡巡する時間、呼吸一回分。 慰めることを決断して、ドアを開き部屋へと足を踏み入れる。 ――そして、私は凍り付いた。 予想だにしなかった光景を目にして、自分が果てしなく遠い世界に立っているような感覚に囚われた。 「え? ……な、何? いきなり、何なの、これ……?」 制服のシャツ一枚の弟と、制服をはだけさせた妹が、ベッドの上で絡み合ってた。 妹はうつぶせのまま腰を上げてた。スカートをめくれ上がらせたままで、ショーツを穿かず。 ふとももとお尻をさらけだした、半裸の状態。 妹のお尻に弟の腰がくっついてる。 二人の下半身がくっついて、離れて、くっついて、離れて、くっついて、離れて……それがずっと続く。 パンパンっていう、ぶつかる音が聞こえる。 弟は妹の腰を掴んで離さない。引き寄せて、乱暴に、執拗に、妹を下半身で突き続ける。 妹は弟の名前を呼びながら、切ない声で鳴いてる。 気持ちいいとか、もっと突いてとか、卑猥な叫び。 今まで聞いたこともない、妹の――女の部分が上げる声だった。 二人とも私に背中を向けていて、私が居ることに気付いていない。 誰だか知らない人間二人が忍び込んで行為に浸っているなら、まだ良かった。その方が救いがあった。 でも、泣き声は妹のもので、荒い息づかいは弟のものだった。 何より、その背中が――ずっと見続けていた二人の背中とそっくりだった。 何をやっているの……兄妹で、家族同士で。 違うでしょう? 二人ともそんな子じゃなかったはずでしょう? どうして、どうしてどうして、どうして、なのよっ! 234 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/09/15(月) 06 20 09 ID 9MUG/176 「何やっているのよ、あんたたちはっ!」 叫ばずにいられなかった。 叫ばないと、痴態をとる弟と妹に何もしないまま、言いたいことも言えないまま、その場から逃げてしまいそうだった。 自分の口から吐き出された言葉は、もはや思考のフィルターを介していなかった。 振り向いた二人の顔が見えない。 黒く塗りつぶされて、ぐにゃぐにゃに歪んでいて、私には理解できない。 「兄妹で! 弟と、妹なのに! こんな、おかしい……絶対に、しちゃいけないこと! こんなの! 嘘でしょう?! 冗談でしょう?! 嘘って言いなさい、全部が、嘘だって! ただの、悪ふざけだって……言ってよ! …………お願いだから、お姉ちゃんの、お願い、聞いて…………」 膝から力が抜けた。壁にしがみついて、倒れないようこらえる。 吼えても、怒鳴っても、泣いても、乱れた感情が治まらない。 涙が勝手にあふれ出てくる。併せて情けない嗚咽の声が漏れ出でる。 一体、何がいけなかったっていうの? 私はただ、仲の良い姉弟で居たかったのに。……たった、それだけなのに。 そんな単純な願いさえ、私は願うことが許されないの? 「…………たすけ、て……」 誰か、助けて。 喉がせき止められて呼吸ができない。 鼓動がどんどん早まっていく。 目眩がして、視界が歪み、霞んでいく。 体が床にぶつかった。 立ち上がる気力が無い。 何もする気が起きない。 私はもう、二人を止められない。 235 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/09/15(月) 06 21 23 ID 9MUG/176 *** 「髪が黒のロングの、後輩の女の子?」 「そう。たぶん葉月さんと同じぐらいの長さなんだけど、見たことない?」 約一週間ぶりとなるごくありふれた下校風景の中に俺は居た。 しかし同時に、あまりにも以前と変わらないこの状況に、違和感も覚えていた。 下校時間、一緒に帰る人は葉月さん、二人とも制服姿。 違うところがあるとすれば俺の腕にギプスががっちりと装着されているぐらい。 それ以外は、全く何ら変わりない。 そう――――不気味なぐらいに。 「んーー……知らないなあ。一年生って言っても全員知ってるわけじゃないし。 それ、葵紋って子が髪を黒く染めただけじゃないの?」 「まあ、あいつの髪の色は元々黒だけど。 朝にあいつを見た時は紛れもなく金髪だったから、放課後までに染め直すとは、ちょっとね」 「へー、そうなんだ……」 葉月さんはそこで唇に指を当て斜め上に視線を向けた。 これは葉月さんが何か考えている時の仕草である。 「ねえ、一つ聞いていいかな?」 「いいよ。答えられないことじゃなければ」 「どうしてその子と話をしたの?」 ……どうして、と言われましても。 俺が後輩と会話しちゃまずいのか? 「後輩の女の子と話すために、放課後になったらすぐに教室を飛び出していったの? いつからその子と知り合ってたの? どれぐらい仲を深めたの?」 質問が増えている気がするが、そんなつっこみも入れにくい。 というか、葉月さんは何か勘違いしているみたいだ。 「俺がその子と会ったのは今日が初めてだよ。 だって去年の文化祭から一度も一年の教室なんか行ってないんだから」 「……本当に?」 「本当だって。そんなことで嘘吐いて俺に何の得があるのさ?」 「得はないかもしれないけど、ごまかすことはできるじゃない。 私だってあなたのこと全部把握しているわけじゃないんだから」 まあ、そりゃそうでしょう。 というか、全部把握してもらっちゃ困る。 俺が家で何をしてるかなんて、絶対に知られたくない。 変なことしてるから、じゃない。 例えば、俺が風呂で体を洗う時どんな動きをしているかとか、改めて考えると恥ずかしくなってしまうことを知られたくないだけだ。 「だいたい、今日会ったのも偶然だし。 それに話をしたって言っても、なんだかよくわからないこと言われただけで終わったし」 「よくわからないことって? 例えば?」 「ん……俺の運命の相手とか、その人とすでに会っているとか、そういう話」 236 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/09/15(月) 06 25 07 ID 9MUG/176 突然、左を歩いていた葉月さんの姿が消えた。 振り返る。葉月さんは右足を踏み出した姿勢のまま一時停止していた。 これは――振りか? 「…………だるまさんが転んだ」 「いえ、別にそういう遊びをしてるつもりはないんだけど。 ちょっと待ってよ…………私にその女の子のことを聞いてきたってことは、 正体も何もさっぱりわからないからなの?」 「そうだよ。じゃなきゃ、わざわざこんなこと聞いたりしないって」 「えっと、あれ、あれ? 待って待って。そこで止まってて。考え直すから」 眉間を揉みながら考える仕草をする葉月さん。 わけがわからない。 なぜ俺でなく葉月さんが考え込んでいるのだろう。 俺はそんなに難しい話や、的外れなことを言ったりしたのか? 思い返す。 …………しかし、思い返してもわからない。 「私が放課後あなたに話しかけるまで何をしていたか、知ってる?」 「さあ? 何か用事でもあったの? 図書室で担任に本の整理させられたりとか」 「いえ、そうじゃないの。実は、一年生のクラスに行ってたの。 そこで私は…………さすがにここまで言えば、わかるよね?」 「そうだったんだ。でも何してたのかはわからないよ。 弟でも探してた? 弟なら今日は花火と帰ってたみたいだよ」 「違うわよ! えっと、私、私は…………」 そんな何か言いたげな顔をしなくても、言ってしまえばいいのに。 俺が正答することを期待してもらっても、生憎葉月さんの行動などわからないのだから答えられない。 俺だって葉月さんのことを全て把握しているわけではないのだ。 「あう、あー、あああああ……………………まさかここまで鈍いだなんて思わなかった。 てっきり気付いてると、ノッてくれてるんだとばかり……」 ため息をつかれてしまった。肩までがっくりと下がっている。 どうやら俺は葉月さんの期待に応えられなかったようだ。 だからって、ここまで落ち込まなくても。 「ごめんなさい。今日はここで」 「いや、どうせだから葉月さんの家まで送っていくよ」 「ううん、いいの。予定が狂っちゃ……変わっちゃったから。 …………今日はちょうど良い日だから、別の日は駄目だし」 「ん? 何か言った?」 「ううん、なんでもない。また今度送ってね。それじゃあ、バイバイ」 俺を置き去りにして葉月さんは駆け出した。 路地を曲がり、姿が見えなくなるまで、俺の足は動かなかった。 そういえば、俺って葉月さんを傷つけてたんだっけ。 それなら、家まで送ってもらいたくなくなるのも無理はない。 下校時は送るのが習慣になってたから、すっかり忘れてしまっていた。 いかんな、こんなことじゃ。早く今の環境に溶け込まないと。 それにしても、ネタばれとはなんのことだったんだろう? 237 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/09/15(月) 06 27 14 ID 9MUG/176 家に到着し、真っ先に向かうはマイルーム。 制服を脱ぎ、左手を使ってハンガーにかける。 ここまでは概ねいつも通り。 さて、この次は…………何をしよう? 考えてみると、今の俺は何もすることがない、いや何もできない。 だって、右腕が使えないのだ。 学校から家に帰って最初にやることと言えば、俺の場合はその日の授業の復習と課せられた宿題をこなすこと。 が、筆記用具を持てなくてはそのどちらもできない。 俺の左手ができることと言えば、せいぜい本のページをめくるぐらいのもの。 試しに左手で文字を書いてみたら、いつのまにかこの世の誰にも読めないような図形が二行にわたって記されていた。 何せアラビア数字の一が三角形になってしまうのだ。 それを消そうとして消しゴムで擦ると、上手く消せないときたもんだ。 ノートなどとらなくても勉強できる人はできるのだろう。 だが俺は違う。 自慢にならないが、むしろ隠すべきことだが、メモやノートをとらないと勉強できないのである。 ノートに書き写すのだって、自分がわかりやすいように書いているだけで黒板を丸写ししているわけではない。 家で復習する時、ああこんな内容だったなと思い出せるように書いている。 先生のコメントがページの隅っこに書かれていたり、自分なりの解釈が書かれていたり。 よって、俺のノートは俺以外の人間が見てもほぼ理解できない。高橋すら例外ではない。 そんな高橋のノートはというと、黒板丸写しだった。 しかもあの男、黒板に合わせてノートを横書きしている。 これはこれで、本人にしか理解できないノートだ。 しかし、借りてきた以上は有効活用せねば。昼休み時間にジュースを奢る約束もしているわけだし。 高橋ノートと格闘しつつ、今日受けた教科の復習を終えた頃には、外の景色は夕方を通り過ぎていた。 二月中旬の日の暮れは早い。 さて、せっかくノートを借りたのだ。お次はこいつをコピーしよう。 コピーするとなれば、我が家ではコンビニを活用せねばならない。 そのコンビニは歩いて二十分以上かかる距離にある。 とてもではないが、行く気分ではない。 ここは兄の強権を発動するとしよう。弟の出番だ。 玄関に弟の靴があったから、きっと花火とアレやコレをすることなく帰宅しているはずだ。 そういえば……あの二人、今はどういう関係なんだろう。 今朝の様子を見る限りでは、ちょっとだけ仲を深めているように見えた。 でもあの時は人目があったからお互いに遠慮していたはず。 澄子ちゃんの件を機に何らかの変化が生まれたのは間違いない。 今日二人一緒に帰ったのだって無関係ではあるまい。 弟が身の回りに警戒して花火と一緒に帰るようになった。 そして、花火は弟を守るために他の人間を近づけないようにしている。 少なくとも何の変化もないというのはありえない。 せっかくだから、付き合っているのか聞いてみようか。 弟は前々から花火のことが好きだと言っていたのだから、隠したりはしないだろう。 嬉々として交際している事実を話されたら、もしかしたらジャブをお見舞いするかもしれんが。 言葉ではなく、拳的な意味で。 決してお前が羨ましいからではない。これは俺なりの祝砲だ。 その辺を誤解するなよ、弟。 238 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/09/15(月) 06 28 35 ID 9MUG/176 弟と妹の部屋のドアをノックしても返事は無かった。 部屋を覗いてみる。やけに内装がすっきりしていた。 忘れていた。弟を捜しに花火の奴が来て、部屋をひっくり返していったんだった。 二人分の机はそのまま。床に置きっぱなしの本はかつて本棚に収まっていたものだろう。 それ以外にはテレビの配置が変わっていたり――おや、ベッドの代わりに布団が二組ある。 さすがに二段ベッドの手配まではしていないか。 あるいはこれからは布団を敷いて寝なさいと両親が言ったか。 まあ、その辺は弟と妹の意志次第。 ベッドの方がいいと意志を通すなら、両親との交渉をするだろう。 布団派の俺は味方などしない。 むしろ布団にしろ。天井から布団が落ちてきてもせいぜい床に倒れるぐらい。安全だ。 次に向かうはリビング。 リビングのドアから漏れる光が、暗い廊下を部分的に照らしている。 おそらくは二人ともリビングでくつろぎモードに入っているはずだ。 しかし――――何かがおかしい。 静かすぎる。 弟と妹が一緒に居て、ここまで静かになることなどありえない。 とすると、今朝の一件で機嫌を損ねた妹が弟を責めている、ってのも無いな。 ……ただごとではない予感がする。 先の事件で俺が物事を深刻に考えすぎているなら、それでいい。 しかし、もしも勘が的中していたら、どうする? 今の俺にできるのは説得か、通報ぐらい。 決してとっ組みあいをしてはならない。 この右腕は問題ないレベルまで回復する。ただし、無茶をしなければ。 ちくしょうめ。どうして安息の場のはずの我が家でこんな緊張感に包まれなければならんのだ。 あー、前にも似たようなことあったよな。 葉月さんが家に来て、妹が逆上して、俺が投げられた去年の出来事。 せめて、あの時よりはまともでありますように。 そんな願いを込めて、床に膝を着き、ドアに嵌っているガラスからリビングを覗き込む。 最初に見えたのは、俺の居る方――入り口へと伸ばされた弟の手だった。 239 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/09/15(月) 06 32 41 ID 9MUG/176 息を呑む程度の反応で済んだのは、あらかじめ覚悟をしていたからだろう。 のほほんと部屋に入ろうとしていたら間違いなく駆け寄っていた。 弟の手は、ドアまであと五十センチというところまで達していた。 見た限りでは部屋が荒れている様子はない。 弟の顔色も普通だ。ただ寝ているだけにも見える。 異常な点をあげるなら、上半身に半袖シャツ一枚しか身につけていないところ。 弟は手の届く距離に居る。じゃあ――妹はどこに居る? リビングの窓際に動きがあることに気付いた。 窓が開いたままだ。カーテンが風に煽られて、時折なびき、鎮まる。 弟も妹も、この季節に窓を開けっぱなしにしたりしない。 つまり、何者かが侵入した形跡。もしくはすでに脱出した形跡か。 座ったままではよく見えない。立ち上がって、再度覗き込む。 「い――――!」 妹が居た。ソファの上に。 さっきは死角になっていて見えなかったのだ。 弟とは違い、目隠しと猿ぐつわをされている。両手両足は細い紐で何重にも縛られている。 倒れた弟、縛られた妹。 誰かがやった。俺の家に、俺の生活の中に、土足で入り込んで荒らしていった。 左の拳が震える。右腕が熱くなる。痛みを脳に訴えてくる。 肘の痛みが、己の無力さを思い出させる。 分かってる。ここで飛び込んでいくのは間違いだ。何よりも先に通報すべきだ。 でも、冷静に行動できない。 怒りが全身の血を滾らせ、頭に上らせてくる。 歯を食いしばって壁伝いに下がる。 携帯電話は部屋に置いてある。部屋に着くまで十歩も必要ない。 落ち着け。落ち着いてこのまま警察に電話をするんだ。 自分の部屋のドアノブに手をかけた、その瞬間だった。 「あら、ここに居たの」 「……あ…………」 リビングのドアが開き、弟でも妹でもない、別の人物が現れた。 顔を何か黒いもので覆い、長い黒髪をさらけだし、群青の服を体に纏っている。 弟と妹が倒れているリビングから出てきた。加えて、怪しい格好をしている。 もう考える必要はない。 こいつは、このクズは、紛れもなく――俺の敵だ! 240 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/09/15(月) 06 35 15 ID 9MUG/176 「ようやく見つけたわ。 私はあなたを探してた。さっきは危ないところだったのよ。あなたの妹さんが」 「……見つけたのは」 「弟さんを眠らせて、体にのし掛かって服を脱がせ……って、え?」 「見つけたのはこっちだ。この――」 右足、踏み込む。左足、跳ぶ。 右足で床を踏み締める。左足と左拳を思い切り伸ばす。 そして、叫ぶ。 「こんの腐れ外道があっ!」 拳から、肘、肩、背中に突き抜ける確かな手応え。 突如現れたそいつは、顔面のど真ん中に拳を受けて後ろに倒れた。 拳の表面に残る痛みからして、顔に防具らしきものをつけているらしい。 ぐるりと後転し、そいつが言う。 「ちょ、あなた、いきなり何を」 「黙れ阿呆!」 「なっ、阿呆ですって?!」 「人の家に勝手に上がり込んで、俺の弟妹に好き勝手して! 阿呆じゃなきゃなんだ! 大馬鹿野郎か!」 「何よ! 大馬鹿野郎はあなたじゃない! 人の気持ちは無視するわ、人並み外れて鈍いわ、弟妹の異変には気付かないわ! さっきは弟さんの貞操の危機だったのよ!」 「誰がそんなこと信じるか!」 左足を踏み出し、右足で蹴りを放つ。 仮面の女の頭部を刈るつもりで放った蹴りは、いとも容易く避けられた。 勢い余って背中を向けた隙を逃さず、そいつは左足を払い、軸を折った。 尻を床に強かに打ち付けた。 あっという間に俺は右肩と左腕を押さえられ、床に押し倒された。 「くっそ、てめえ……」 「形勢逆転ね。さっきの一撃は良かったわ。でも……あれで倒せなかったのは失敗ね」 もがいても仮面の女のホールドは解けない。 むしろ動く度に四肢を床に縫い付けられている感じがする。 こいつの着ている服、道着か。 そして被っているのは……なんだこれ。ヘッドギアとか言うのか、こういうの。 顔全体が黒で覆われていて、目だけしか露出してない。 「……何の真似だよその格好。馬鹿っぽくてお似合いだけど」 「う、うるさいわね! 顔を隠すものがこれしかなかったんだからしょうがないじゃない! これだって本当はあなたに被せるつもりで持ってきたんだから!」 「じゃあ、その格好は?」 「勝負服よ!」 ……うん、たしかに勝負服だ。実戦的な意味で。 「住居不法侵入の犯罪者で、その上ファッションセンス無しか。 可哀想な女なんだな、お前」 「色々迷った末にこうなっちゃっただけよ! 他にも普通の服はあるわ!」 「いや、見栄張らなくてもいいぞ?」 なんだか、話してるうちに可哀想になってきた。 そうか。きっと実家の道場を継ぐために毎日毎日修行に明け暮れて、女らしさを磨く暇が無かったんだな。 これまでは一家で力を合わせて頑張ってきたけど、他の道場に門下生をとられてにっちもさっちもいかなくなった。 そしてとうとう門下生は自分一人になり、心労で師範の父が倒れ、道場の看板を下ろすことになった。 でもこいつはそれをよしとせず、道場再建のために活動を開始する。 お金が無いから食事は自給自足。休日は山菜採りで午前中を潰す。 時々出会う中年夫婦とは仲良しで、会う度に昼食を恵んでもらっている。 家に帰ったら、父の看病をして、山菜料理を作って、道場で一人稽古に励む。 たった一人で、涙を堪えるために空手で汗を流す。 どうしよう。こいつの目を見ていたら……そんな想像が湧いてきた。 241 名前:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms [sage] 投稿日:2008/09/15(月) 06 36 22 ID 9MUG/176 「え? なんで涙目になってるの? そんなに痛い? 緩めようか?」 首を横に振る。 「そうじゃない……お前の、事情がわかってしまったんだ。そしたら、なんだか悲しくなった」 「嘘?! ちょっと、今ばれたら私、あわわわわ、まず、やば、どうしよ!」 「お前、今日一年の教室で俺に話しかけてきた女の子、だろ?」 「………………………………は?」 「とぼけなくてもいい。そんな綺麗な長い髪の人はお前以外には一人しか心当たりがない。 その人は間違いなく人の家に無断で上がり込んだりしない。消去法でいって、お前しかいない」 「無断で上がり込まないって…………あう、あう、あう」 「ストレス溜まってたんだろ。だから机を叩いた。俺に八つ当たりしたくなった。 気にするな。俺は怒ってない。事情を理解した今の俺は、お前の友達だ。 怖くなんかないぞ? なんならこれから一緒に晩ご飯を食べよう。 弟と妹のことは水に流してやるからさ」 「そんな目で見つめないで! やめて! 私がここに来たのは、あなたを、あなたを…………好きにしようと……して! 罪悪感が、罪悪感が…………うわあああああ!」 突然叫ぶと、仮面の女は俺から離れた。 開けっ放しのリビングへ一目散に駆け込んだ。 しかし何を思ったか、再び廊下に仮面に包まれた顔を出した。 「ごめんなさい! 今日のことは忘れて! 私のことも忘れて……忘れてください! もう二度としません! さよなら、すいません、さようなら!」 そう言い残し、仮面の女は姿を消した。 リビングを覗き込んだら、窓もすっかり閉めきられていた。 「うっ……んん、あれ、兄さん? お帰り、ってどうして僕、上に肌着しか着てないの?!」 「んんー! んん、んんんんんんんーー!」 あの子はこの寒さの中、無事に家まで帰り着けただろうか。 午後七時、いつもなら夕食をとるこの時間。 半袖の弟と、拘束された妹の声に気付くまで、俺は可哀想な仮面の女の子に思いを馳せた。 242 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/15(月) 06 40 50 ID 9MUG/176 今回はここで終了です。 それでは、また。 243 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/15(月) 07 13 14 ID q82sb8Fq 一番槍GJ! 仮面の女の正体は一体誰だ!!! 244 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/15(月) 07 19 36 ID sVb74MS+ 面白くなってきたじゃねーかww 葉月さんカワイソス... GJ!! 245 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/15(月) 07 20 02 ID RRpZzR38 一番槍GJ! 逆レイプフラグを華麗にスルーwwwさすがジミーwww それにしても葉月さんは一年生になったり仮面になったりと本当に忙しい女の子だなw 246 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/15(月) 07 36 37 ID Mqstk9Aq 245 あえてハッキリと言わないもんだろ?やぼ天だなあ。 247 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/15(月) 07 58 51 ID ARH+kSWc あにき は フラグクラッシャー の 称号 を て に いれた ! 葉月「間違っているのは私じゃない!あの人(ジミー)の方よ!!!」 248 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/15(月) 08 01 34 ID jZon9FGQ ジミーきてたー! 惜しみないGJをあなたに。葉月さん可愛いよ葉月さん。 ……にしても仮面の女、か。一体誰なんだ……?もしかして謎の一年と関係が……? 249 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/15(月) 08 12 03 ID eYopINQh 俺とした事が兄さんの日を忘れてたぜ・・ GJ!葉月さん報われないなぁw 250 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/15(月) 09 31 57 ID nFWLKRhi 待っていたらガチで寝てた。ジミー可愛いよジミー。冒頭のあれは、 冴子さんじゃなくジミーの父、母世代って事かな? ていうかジミーモテてきたなw
https://w.atwiki.jp/i_am_a_yandere/pages/1172.html
651 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/08(土) 23 14 22 ID 2lKKbm48 バンホーテンココアフイタ 652 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/09(日) 00 14 13 ID KM5y4rDc まさかのバンホーテンwww 653 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/09(日) 00 34 46 ID Sq8w59Qs 投下GJでした クソルアミバ自重wwwww 654 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/09(日) 01 48 53 ID 5RvSt8vX クソル VS QMZですねwwwww分かりますwwwww 655 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/09(日) 01 50 06 ID 4ArDNZ+S VIPじゃねーんだから草生やすなよ 656 名前: ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/09(日) 01 54 18 ID Hb+DCbze 続きです。 超ロリ注意。エロ注意。 657 名前:わいやーどみにまむ2 後 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/09(日) 01 55 11 ID Hb+DCbze 「この馬鹿。ここにいたのか。千歳とさんざん探したんだぞ」 路地裏で泣いていたここあの背中に、ナギさんの声が投げかけられた。 「私に負けた程度でここまで落ち込むとはな。子供らしいとは思うが、あまり褒められたものじゃない」 ナギさんはここあの腕を掴み、引っ張る。 「放して!」 思わず、強引に振りほどいてしまった。 「……なにを怒っている。私が手加減してしまったから、プライドに傷がついたのか? なら、謝罪はするが……」 「そうじゃない……そうじゃなくて……」 「なら、なんなんだ」 「ちとせおにーちゃんを、取らないで……」 「……」 意味がわからない。なんでこんなこと、言っちゃってるんだろう。 ここあは、年齢の割りにはかしこい。なのに、なんでこんな、変なこと。 だって、ちとせおにーちゃんがナギさんのこと好きなのに……。 なんで、ここあはナギさんのこと、恨んでるの……? 「お前も、『そう』なのか……」 「え……」 「不幸だとは思う。だから、私はもう、擦り切れたよ。でも、お前は諦めていないんだな」 理解できない。 ナギさんが何を言っているのか。 「そんなんじゃ……そんなんじゃ、わかんないよ!!」 分からない。 ここあがこうして、ナギさんに殴りかかってく理由。 分からない。 658 名前:わいやーどみにまむ2 後 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/09(日) 01 55 41 ID Hb+DCbze 「っ!」 ナギさんは素早い身のこなしで初撃をかわし、距離を取った。 「逃げないでよ……ちとせおにーちゃんを奪って、逃げないで……!」 なんでだろう。 なんで、ここあはこんなにわがままなんだろう。 分からない。 だけど、ナギさんを殺してしまいたい。そんな気持ちが今は、何よりも重要だった。 ナギさんを倒しても、ちとせおにーちゃんが自分のものになるわけじゃない。 でも、負けたくなかった。 負けたままじゃ、ここあは前に進めない。 「蒼天院炎雷拳……瞬影烈脚!」 縮地法と攻撃技の同時使用。 加速から蹴りに繋げる、ここあの得意技。 常人では目視不可能の速度でナギさんに迫り、右斜め下から蹴り上げる。 「それがどうした」 ナギさんは全く動じずにかがみこみ、ひょいとかわす。 「遅すぎるぞ」 ナギさんの脚がここあの軸足である左足をちょいと蹴り、ここあはバランスを崩した。 「くっ!」 ここあはとっさに身体を後ろに逸らし、後方に空中回転してさがった。 着地して、体勢を整える。 「何を混乱している。私を倒しても、千歳を手に入れることはできない」 「でも……でも……!」 話が頭に入ってこない。 659 名前:わいやーどみにまむ2 後 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/09(日) 01 56 12 ID Hb+DCbze こいつは敵だ。そんな囁きがここあの頭のなかで渦巻いて、それ以外の声を全て掻き消していた。 「でも……ここで勝たなきゃ……前に進めない!」 構え。これは大技。 危険だから、理科子おねーちゃんも教えてくれなかった。だから勝手に見て覚えた。 「蒼天院炎雷拳奥義……」 再び高速で接近する。縮地法はあくまで移動技であり、攻撃技との併用はかなり限定される。 けど、ここあはほとんどの技を移動中に出すことができる。 これは、理科子おねーちゃんにもちとせおにーちゃんにもできない、自分だけの力。 付け焼き刃の大技でも、予備動作を高速移動でかき消せば当たる。 『攻撃を当てるスピード』。このことに関しては、ここあは誰にも負ける気は無い……! 「天翔……神雷覇!!!」 全身の闘気を凝縮し熱にまで転化されるほどの圧倒的な衝撃。 空気を一瞬で膨張させ、その爆音は『雷』にも似た力強さを感じさせる。 これが、『蒼天院炎雷拳奥義 天翔神雷覇』。 これが当たれば、人体くらい余裕でこなごなになる。 ナギさんはこのおそらく反応している。しかし、この技の性質までは見切っていない。 余裕の表情で、防御姿勢すらとっていない。 ――殺せる!! 見事に計算されたコースで、ここあの拳がナギさんの腹部にめり込んだ。 凄まじい爆音。ナギさんの華奢な身体は、一瞬で吹き飛んでしまうだろう。 660 名前:わいやーどみにまむ2 後 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/09(日) 01 56 42 ID Hb+DCbze ……? ナギさんは、顔をここあにむけ、さっきと同じ。 ――意地の悪い、笑み。 「これが、お前の本気か」 ……そんな。 「教えてやる。『一撃必殺』とは、こういうことだ」 ナギさんが拳を握りなおす。 まずい、防御しないと―― 「――ぇ?」 そう思考したときには既に、ナギさんの拳がここあの腹部を捉えていた。 人間の脳の伝達速度ではおよそ捉えられない、ここあの縮地法なんて比較対照にすらならない。 暴力的な速度。 「……負けちゃった」 十五メートルほどふっとばされて、水たまりに落ちた。 路地裏で、しかも舗装されていたから、少し前の降水が乾いていなかったのだろう。 冬だから、当然冷たい。 でも、今のここあのこころのほうが、ずっと冷たかった。 ――ここあ、負けたんだ。 661 名前:わいやーどみにまむ2 後 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/09(日) 01 57 13 ID Hb+DCbze 「おーい、ここあー!」 ちとせおにーちゃんの声。ここあを探しに来てくれたんだ。うれしい。 「千歳か。こっちだ」 ナギさんがちとせおにーちゃんを呼んだ。すぐに、ちとせおにーちゃんは路地裏に姿をあらわした。 「……ここあ! なんでこんな濡れて……!」 「それは私が……」 「えへっ、ちょっと転んじゃって、水たまりに……」 ナギさんの言葉を遮って、嘘をついた。 ナギさんに負けたなんて、知られたくなかった。 たぶん、真実を知ったら、ちとせおにーちゃんはナギさんの方を叱るだろう。 でも……だからこそ、言いたくなかった。 「そうか、すまん。俺がちゃんとしてれば……」 ちとせおにーちゃんは、全然悪くないのに謝った。 わからない。全然わからないよ。 悪いのはここあで、ちとせおにーちゃんは悪くない。 「……なんにしろ、そろそろ私は失礼する。まだ山田と戦っていないんでな」 ナギさんはそう言うと、さっさと歩いてシューティングスターに帰った。 ずぶぬれのここあと、おにーちゃんだけが残された。 662 名前:わいやーどみにまむ2 後 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/09(日) 01 58 00 ID Hb+DCbze 「……くちゅん!」 「あーあ。お前、風邪ひいたんじゃないのか?」 「そうかも……くちゅん!」 恥ずかしい。ちとせおにーちゃんにずぶぬれで風邪っぴきの、こんな惨めなとこを見せちゃった。 負け犬で、わがままで、最低だ。 自分では賢いと思ってたのに、ここあはとんだお馬鹿さん。 「ったく、しゃーない。家まで送ってやる。ほら、背中に乗れ」 「……でも」 「子供なんだから、わがままになれ」 「……うん」 ちとせおにーちゃんにおぶさると、ちとせおにーちゃんはいきなり全速力を出した。 ちとせおにーちゃんの縮地法。速い。ここあとは大違い。 すぐにここあのうちに着いた。 「おとーさん、おかーさん。……まだ、帰ってないの?」 鍵を開けると、電気がついていなくて、人の気配も無かった。 玄関の外で待っていたちとせおにーちゃんに、事情を説明する。 「……だから、ちとせおにーちゃん、ここあと一緒にいて……」 また、わがままを言った。 ここあは、駄目な奴だ。ちとせおにーちゃんのこと好きなのに、頼ってるだけ。 弱い。 何もできない。 「……わかったよ。俺は、保護者だからな」 ちとせおにーちゃんは、凄く優しい目をここあに向けながら言った。 その姿に、ここあの心臓はどきんと跳ねた。 663 名前:わいやーどみにまむ2 後 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/09(日) 01 58 31 ID Hb+DCbze 「こけちゃったから、身体、痛くてうごかないよぅ……。ちとせおにーちゃん、脱がせて」 濡れた服は脱ぎにくい。半分は本音だった。 でも、もう半分はただのわがままだった。 「脱がせろって、お前、俺に捕まれってか?」 「……くちゅん!」 「……」 震えるここあを見て、ちとせおにーちゃんは困った顔をしながらも、ここあの服に手をかけてくれた。 べったりと重くなって張り付く冬ものの上着を脱がし、洗濯籠に入れていく。 ひらひらした子供っぽいスカートも、今は脚に張り付いている。それもちとせおにーちゃんはゆっくりと脱がした。 上は肌着、下はぱんつ。まだブラをつけていないから、これで残り一枚ずつ。 ここで、またちとせおにーちゃんは躊躇した。 「……おにーちゃん……さむいよう」 震える声で言った。半分、演技だった。 ちとせおにーちゃんは、意を決した様子でここあの肌着に手をかける。 「ほら、ばんざいしろ」 ここあが両腕を上げると、一気に取り去った。 ここあの膨らみかけの胸が、今はかがんでいるちとせおに―ちゃんの眼前に晒しだされた。 ちとせおにーちゃんはそれをばっちりと見てしまったと自覚したあと、急に顔を赤くして目をそらした。 「ぱんつも……お願い」 ここあの懇願に、ちとせおにーちゃんはまたここあを見た。そうしないと脱がせられない。 664 名前:わいやーどみにまむ2 後 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/09(日) 01 59 01 ID Hb+DCbze ああ……ちとせおにーちゃんがここあの裸の胸をみてる。 なんだか、恥ずかしくて。むずがゆくて……。 でも、ちょこっとだけうれしくなった。 濡れて透け透けになって、しかも肌にしっかり張り付いた白いぱんつ。たぶん脱がすのは難しい。 いちいち引っ掛かるのを、ちとせおにーちゃんは強引にじゃなく、丁寧におろしていく。 ゆっくり、ゆっくりと、ここあのぱんつを脱がしていく。 ちとせおにーちゃんの視界には、もうここあの大事なところが見えているかもしれない。 恥ずかしい……。 「足上げろ」 「う、うん」 一番下までおろされたぱんつから、脚をひきぬく。脚を上げると、本当にちとせおにーちゃんの位置からここあの大切なところが丸見えだった。 むずがゆい。胸の奥になにかもやもやしたものが湧き上がってくる。 緊張感から介抱されたのか、ちとせおにーちゃんはふぅと息をつき、下着を洗濯籠に放り込んだ。 「全裸のままじゃこじらせるぞ。さっさとシャワー浴びてこい。そのあと寝ろ」 「うん」 一緒に入ろうって言おうとしたけど、それは無理だと思った。 それに、今のここあは変だ。ちとせおにーちゃんに近づきすぎたら、もしかしたら……。 おかしく、なっちゃうかも。 665 名前:わいやーどみにまむ2 後 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/09(日) 01 59 36 ID Hb+DCbze シャワー室。ぺたりと座り込み、シャワーを出す。 あったかいお湯が気持ちいい。 「……やっぱり、もやもやする」 ぽつりと呟く。お風呂場の中で響いて、ここあの耳の中で無意味に反響する。 「……おまた、あついよぉ」 分からない。 なぜこんなことになるのか。 さっき、ちとせおにーちゃんに服を脱がせてもらったとき。 たしかに、感じたもやもや。 それは今、ここあの女の子の部分に影響を及ぼしていた。 触って確認する。 じめっとしめっている。 さっきの水たまりのせいじゃない。指にからみつくこの液体。 「……これが、あいえきっていうのかな……?」 気持ちよかったらでるお汁。ここあはおませさんだから、知っていた。 「さっきちとせおにーちゃんに服脱がされて、おっぱい見られて……気持ち、良かったんだ……」 ここあは、変態さんなのかな。 不安になる。 でも、もう後戻りはできない。 指で、そこを撫でる。今まではほとんど触ったことが無い。 「はぅ!」 びくっと、新鮮な快感にここあの身体が跳ねた。 「ふぅ……ふぅ……」 だめだ。こんなの……。普通に、身体洗って、さっさと寝よう。 息が荒くなってきた。たぶん、風邪がこじれる前兆。興奮なんてしてないもん……! ここあは、えっちな娘じゃないもん。こんな、こんなこと……。 666 名前:わいやーどみにまむ2 後 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/09(日) 02 00 06 ID Hb+DCbze シャワーを再び当てる。 暖かくて、やっぱり気持ちいい。皮膚を撫でるそのお湯の感触が、たまらない。 ――これ、おまたにあてたら、どうなるかな……? 一瞬、邪悪な考えが脳裏を過ぎった。 なんでこんなこと考えてしまったんだろう。 シャワーはそんなことのために使うものじゃない。これは、悪いことだ。 でも……。その誘惑に、ここあは耐えられなかった。 脚をゆっくりと広げる。そんな背徳的な行動にも、自分で興奮してしまった。 そう、ここあは興奮しきってしまっている。 ちとせおにーちゃんに服を脱がされて、たぶん「えっちをこれからする気分」と錯覚しちゃったんだ。 恋人でもないちとせおにーちゃんで、勝手に変な妄想しちゃったんだ。 ……馬鹿だ、ここあは。 でも、やめることができない。 広げてあらわになった大切な場所に、シャワーを当てる。 「んあっ!!」 全身が大きく跳ねた。さっき指で触ったときよりも、何倍も大きな快感。 「うっ……ん、あぁ……ひっ……ぐぅ……うん……!」 今まで出したことの無いような声を漏らしてしまう。 肺から空気が押し出され、自然に声が出るんだ。それほど、気持ちいい。 「ひぁあん……!!」 浴槽内に寝そべってしまう。不潔だとはわかってる。変だって分かってる。 でも、とまんないよ。 「ちとせ……ちとせおにーちゃん……気持ち良いよぉ……ここあ、変態さんだよぉ……!」 腰が浮いて、脚を思いっきり広げてシャワーを近距離で当てていく。 その部分から全身につたわる、電気みたいな衝撃。 脳をとろけさせて、ここあを駄目な子にしていってしまう。 「だめぇ……こんな……ここあ、だめだよぉ……」 でも、勝手に身体が動く。片手でシャワーを押し付けながら、あいた手で胸を掴んだ。 乱暴に刺激する。乳首をつまみ、くりくりと弄りたおす。 ちとせおにーちゃんの視線の跡が、焼けるように快感を押し付けてくる。 腰も勝手に動き出した。行き場の無い欲望をどこかに求めるように、くねくねと前後運動を始める。 たぶん、男の人を――ちとせおにーちゃんを、もとめている。 667 名前:わいやーどみにまむ2 後 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/09(日) 02 00 36 ID Hb+DCbze 「ちとせおにーちゃん……みないでぇ……」 見せたくなかった。こんなここあの駄目なところ。 おまたをひらいて、シャワーで快感をむさぼって、ちとせおにーちゃんに見られた胸を弄って、腰を勝手に動かして。 まるで、動物みたいな、馬鹿みたいな光景。見せたくない。 でも、同時に見せたくもあった。 ちとせおにーちゃんに裸を見られて、ここあはその気持ちよさに気付いてしまった。 その快感が、今のここあの行動を導いてる。 何よりも気持ちが良かったのは、たぶん今のこの行動自体より、ちとせおにーちゃんに見られたという事実。 なら、今この瞬間の痴態を見られたら、どうなってしまうのだろうか。 想像しても足りない。 「……ふぅ……あ、ふあぁ……ん……なんか、きちゃううぅ……!」 何かが。 もやもやしたものが、全ておまたの中に集まってる。 子宮らしきところがきゅうきゅうと『何か』をもとめ収縮して、その中でここあの欲望も渦巻き始めた。 「ふぁ……あぁああぁ……ひぃあああああああああああああああん!!!」 とてつもない大声をだして、ここあはのけぞった。 浴槽のなかでのたうち回り、唾液を撒き散らしながら身体を痙攣させ、叫んだ。 「だめぇ……だめっ!!! あああああああああ!!!」 668 名前:わいやーどみにまむ2 後 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/09(日) 02 01 07 ID Hb+DCbze 長い、長い痙攣。頭の中が真っ白になって、冷静さを失う。 おまたが凄く熱くなって、そこからどろっとした液体が流れる。 ――汚い、流さないと……。 どうして、そんなことを考えてしまったのだろうか。 ここあは、シャワーをさらに押し付けた。 「――っ!? そんなぁ、だめえええええええええええ!!!」 第二波。 ここあは、まだ自慰に関する知識と、絶頂が連続してくる状態を知らなかった。 だから、異様に快感を長引かせてしまった。 「ふぐぅ……うあ、はっうぅ……ぅああああん……あああああああああああ!!!」 獣のように激しく、乱暴に自らの身体をむさぼった。 乳首を指ではさみ、ひっぱる。シャワーを放して、手で直接おまたを触る。 再び絶頂。 手がどろどろにぬらされていた。これは、シャワーのお湯じゃない。 でも、あつい液体。 ぐちゅぐちゅと乱暴に割れ目に指をねじ込む。若干痛かったけど、快感がそれに勝った。 「ひっ……ひぃあああああああん!!!」 四度目の絶頂。 「はぁ……はぁ……」 浴槽の中で倒れながら、ここあは働かない頭を必死で再起動しようと努力した。 結論から言って、とりあえず身体はあったまった。 そういうことにした。 もう、何も考えたくは無かった。 669 名前:わいやーどみにまむ2 後 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/09(日) 02 01 37 ID Hb+DCbze 「おい、なんか悲鳴がしたけど、大丈夫か? 浴槽の中でもこけたのか?」 脱衣所の扉を開き、ちとせおにーちゃんがここあに呼びかけた。 シルエットがみえる。 ここあはとっさに平静をとりつくろって、ちとせおにーちゃんに、そうではないと―― ――そうだ。嘘をつこう。 「えっと、やっぱり身体が動かなくて」 「おいおい、大丈夫かよ。マジで、医者とかつれてってやろうか?」 「う、ううん。ちょっとのぼせちゃっただけだから。大丈夫だよ。それよりちとせおにーちゃん……もう、あがるから、身体……拭いて」 お願い。 弱弱しい、病人らしい声で懇願する。 ちとせおにーちゃんの性格はよーくしってる。これでは断れない。 「……わかったよ」 脱衣所で、ちとせおにーちゃんはここあの身体をバスタオルで拭き始めた。 髪は、あまり長くないとはいえ、丁寧に拭かなければならないし時間がかかるから、少し水をとっただけで後回しにする。 まずは身体から。 首筋から丁寧に張り付いていた水滴を取っていく。 ちとせおにーちゃんには中のいい妹がいるらしい。たぶん、それで同じようなことをしてなれているんだろう。 気持ちがいい。ちとせおにーちゃんの手は丁寧で、優しい。 触られているだけで、おまたがしめってくる気がする。 ちとせおにーちゃんは、また目を逸らしながら胸を拭く。 今回は、どうしても触れなければならない。バスタオル越しとは言え、その感触は伝わる。 ここあの胸を拭く。ちとせおにーちゃん。 ここあのふくらみかけの胸を撫でるその手が、気持ちいい。 ふにふにと、柔らかいその部分が変形する。 バスタオルと乳首がすれて硬くなる。まだそこまで大きくないから、硬くなってきたのはばれなかった。 「――ぁっ」 すこし、ぴくんと震えてしまった。こえももれた。まずい。 670 名前:わいやーどみにまむ2 後 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/09(日) 02 02 08 ID Hb+DCbze 「っ! すまん、痛かったか!?」 ちとせおにーちゃんは慌てた様子でここあを気遣った。ほんとに、優しいんだね。 「ううん。大丈夫。続けて……」 「ああ……」 ちとせおに―ちゃんは、背中を拭き始めた。そのまま、下にすすみ、ここあのおしりに到達する。 ふにふにと、バスタオルで撫でる。ぴくぴくと、身体がまた震える。 今回は、隠しとおさないと。 おしりを撫でられて、おまたがまたじんじんする。 ちょっとずつ、また息が速くなってくる。でも、必死で隠しとおす。 ちとせおにーちゃんは後ろからここあの脚をさっと拭いて、やっと完了したと、立ち上がった。 「まだ……残ってるよ、ちとせおにーちゃん」 勇気。 これは、勇気だった。 でも、限りなく邪悪で、後ろ向きな勇気。 「ほら、ここあのおまた、拭いてないよ。ここ、おしっこするところなんだから、ちゃんとしないと」 ――色々大変なんだから。 わざと、何も知らない子供のように振る舞う。 しかし、ここあのそこは、もう子供らしい無邪気さなんてなかった。 ちとせおにーちゃんに触って欲しいって、ずっと泣いてる。 涙が、出てる。 涙は、おまたからとろとろと流れ落ちて、脚を伝って床にまで落ちていた。 今なら……全身まだ少しずつ湿っている今なら、拭いていない所の水滴が落ちたって言い逃れできる。 「……」 ちとせおにーちゃんは、顔を真っ赤にしながら従った。 たぶん、こう思ってる。 相手は純粋な子供なんだ。過剰に女扱いしてしまったら、逆にロリコンになってしまう。と。 それはただしいよ、ちとせおにーちゃん。 でも、ここあの思う壺だった。 671 名前:わいやーどみにまむ2 後 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/09(日) 02 02 38 ID Hb+DCbze バスタオルを持ち、手を、脚と脚の間に差し込む。 「――っ!」 ぴくん。身体が跳ねた。ちとせおにーちゃんは緊張のあまり気付いていない。助かった。 そっとおまたを撫でる。 愛液がバスタオルに絡み付いていく。でも、あとからあとから溢れてくる。 気持ちいい……。気持ち良いよぉ……。 ちとせおに―ちゃんは、なかなかとれない水気と格闘している。 ごめんね。これ、ここあの中からでてくるんだ。だから、とまんないよ。 ここあは、今、全裸でたっていて、大好きなちとせおにーちゃんにおまたを撫でられている。 ちとせおにーちゃんは気付いていない。けど、これはここあにとって、一番興奮する状況なんだ。 あんまり自信は無い、膨らみかけの胸が見られて、恥ずかしい。 幼稚な体系を見られて……ちょっとぽっこりしたおなかを見られて、恥ずかしい。 おまたを撫でられて、そこから愛液をとろとろに出して、恥ずかしい。 声出しちゃいそうで、聞かれたら恥ずかしい。 恥ずかしいだらけのこんなことが、こんなに気持ちが良いだなんて……! びくびくと、また絶頂に達した。 愛液が一気にかきだされ、これで打ち止めとなる。 ここあの愛液も無尽蔵じゃないし、たぶんこのまま隠しとおすのは困難。 ここらで切り上げよう。 「はぁ……はぁ……ありがと、ちとせおにーちゃん。あとは、パジャマ着せて。そうしたら、寝るよ」 ちとせおに―ちゃんは安堵して息をつき、下着をここあに穿かせた。 そのとき、また脚をあげたからおまたがちとせおにーちゃんに見られてしまったかもしれない。 愛液でぐちゃぐちゃになったおまた。 みられたら、頭が沸騰しちゃう。 でも、いやじゃない。それは、気持ちがいいことなんだ。 672 名前:わいやーどみにまむ2 後 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/09(日) 02 03 09 ID Hb+DCbze そうこうしているうちに、パジャマを全て着せられ、ベッドまで運ばれた。 「じゃあ、俺はもう帰るから、親が帰ってくるまでは少なくとも大人しくしとけ」 「うん、ばいばい、ちとせおにーちゃん。今日は、ありがとう」 ありがとう。 記憶では、ちとせおにーちゃんはこの言葉がとっても好きで、言われたらどんなことがあろうと許せる。 今日の我が侭も、これで許してくれるだろう。 「ああ、しばらくは無茶すんなよ。じゃあな」 ちとせおにーちゃんもうれしそうな顔をして、ついにここあの家から出て行ってしまった。 「……ちとせおにーちゃん」 呟く。あの人の名前。 愛しい。 全部。 ちとせおにーちゃんの全てが、いとおしい。 欲しい。 ナギさんには、渡したくない。 理科子おにーちゃんにも、渡したくない。 もしあの二人がちとせおにーちゃんを奪ってしまうようなことがあれば、ここあは……。 ここあは、たぶん殺してしまうかもしれない。 でも、まだその力が無い。 理科子おねーちゃんも、ナギさんも、ここあよりもずっと強い。 実力行使では、勝てない。 でも、ちとせおにーちゃんを普通に魅力で落とせるかといえば……。 そこまででもない。 今日、ここまでアピールしたんだ。たぶん、理科子おねーちゃんが同じことをしてたら……。 ――ちとせおにーちゃんは、おちちゃっただろう。 673 名前:わいやーどみにまむ2 後 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/09(日) 02 03 39 ID Hb+DCbze 「勝ちたいよ……」 いつの間にか、また手がおまたを撫でていた。 はしたない。馬鹿っぽい。そう自分を罵る。 でも、止まらなかった。 「ちとせおにーちゃん……欲しいよぉ……」 いつか。 いつか、強くなって。 ちとせおにーちゃんの周りにいる女全員を殺して。 たぶんちとせおにーちゃんはここあに振り向いてくれないけど。 その時はなにがなんでも……汚いことをいくらしてでも。監禁でも誘拐でも、なんでもしてやる。 ちとせおにーちゃんを手に入れたい。 永遠に、ここあのものにしたい。 いや、絶対にする。 この思いは、永遠なんだ。一緒にいなきゃ、壊れちゃうんだ。 ここあがここあでいるためには、もう、ちとせおにーちゃんは欠かせないんだ。 絶対に……他の女には渡さない。 誓う。 ちとせおにーちゃんは、この盤宝典ここあが手に入れる、と。 それがここあの、ただひとつ、生きていく方法だったから。 674 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/09(日) 02 04 37 ID ieksx22V 支援 675 名前:わいやーどみにまむ2 後 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/09(日) 02 06 04 ID Hb+DCbze 終了です。 北斗ネタに反応してくださる方がいて嬉しいのですが、 ここはヤンデレスレなので、あまり偏りすぎにならないよう、お願いします。 分からない方にはあまりよくない流れになってしまうと思いますから。 こんなこと僕がいうのもなんなのですが、お願いします。すみません。 では、また。 676 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/09(日) 03 42 39 ID tSAU6jmY ワーイここあタソも病み始めたぞ でもロリから脱却する位まで成長する頃には全てが決着済みになってるよなぁ… 677 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/09(日) 06 49 55 ID YQM+8/UP GJ 678 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/11/09(日) 10 59 59 ID vjLtT5fJ GJ!!としかいいようがない! 679 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/09(日) 13 44 30 ID ieksx22V gj! しかし、今回は作品が多いな。もう450kbだぜ 680 名前: ◆UDPETPayJA [sage] 投稿日:2008/11/09(日) 19 31 39 ID ZLAFCsLQ 投下します。ワイヤード氏へのレスは僕をすっ飛ばしてお願いします。 681 名前:天使のような悪魔たち 第6話 ◆UDPETPayJA [sage] 投稿日:2008/11/09(日) 19 32 39 ID ZLAFCsLQ 午後8時、結意と別れた俺は夕食の買い物をするために最寄りのスーパーを訪れていた。入り口付近から順当に歩き、目当ての品々をかごに入れてゆく。 さすがに時間が遅かったから、残っていた品揃えも微妙だが…。今日のメニューは…そうだな、明日香の好きなオムライスにでもしようか。 明日香は…まだふさぎこんでるだろうか?俺とて、明日香のことが嫌いなわけじゃない。むしろ、愛している。だが結局、あくまで家族としてのそれでしかない。 俺は…どうすればよかったんだろう。あのまま明日香の気持ちに応えればよかったか?それとも、もっと冷たく突き放せばよかったのか? 馬鹿な俺にだってわかる。このまま中途半端にずるずると引っ張ることがもっとも残酷であることぐらいは。 だから…いずれはっきりさせなければいけない。もう、答えは決まっているんだから。 ♪♪♪♪~♪♪~♪♪♪~ 焼き芋の機械に備えつけられたスピーカーから鳴る軽快な音楽によって俺の思考は現実に引き戻された。 そのまま、とりあえず会計を済ませることにした。今は早く家に帰ろう。その上ではっきりと言わなければならない。 俺は…家を出る。 夜の闇を薄暗い電灯が照らしている、人気の少ない道をひとり歩く。一歩踏みしめるたびに決意を反芻する。 今度こそ逃げちゃだめだ。明日香がどんなに悲しもうと、はっきり言う。それがきっとお互いのためだから。 明日香だってこれから先いくらでも出会いがあるだろう。俺よりもいいやつなんかごまんといる。 だから…きっといつか傷は癒えるはずだ。自分勝手な願望ではあるが、今の俺にはそうなってくれることを祈るしかできない。 そんなことを考えているうちに、とうとう家の前に着いた。一度深呼吸をし、ドアノブに手をかける。 「ただいま、明日香。」と、決まりの挨拶をする。が…当然返事はない。俺は靴を脱ぎ、中へと上がった。ふいに、あることに気付いた。 682 名前:天使のような悪魔たち 第6話 ◆UDPETPayJA [sage] 投稿日:2008/11/09(日) 19 33 27 ID ZLAFCsLQ ―――明日香の靴がない。外出しているのか…こんな遅くに、一体どこへ? いろいろと思案してみる。まず昨日のこと…あんなことがあったからにはやはり家には居づらかったのだろうか? そこで、俺の思考はひとつの可能性にたどり着いた。…家出か? とにかく、明日香が心配だ。俺は再び靴をはき、外に出ようとした。 「待ちなさい、飛鳥。」 誰かに呼び止められた。俺は声がした方へ向き直る。そこにいたのは…明日香そっくりの少女だった。 もし髪がストレートではなくツインテールであれば、明日香にしか見えないだろう。けど、俺はこの少女を知っていた。 「亜朱架姉ちゃん…?なんでここに?」 俺が疑問に思ったのは当然だ。なぜなら姉ちゃんは父さんたちと一緒に海外へ行っていたはずだから。 「帰ってきたのよ…久しぶりね、飛鳥。」 亜朱架姉ちゃんは、神坂家の長女だ。今年でたしか20になる…が、どうみても幼女だ。最後に会ったのが四年前だけど、その時から全く変わってない。ただ、やはり言動は大人びいているが…。 「明日香を探すんでしょ?私わかるわよ、居場所。」 「どこにいるんだ!?姉ちゃん!」 「あんたの彼女のとこよ、間違いないわ。」 …おかしい。なんでついさっき再会したばっかなのに結意のことを知ってるんだ?それに、明日香の居場所も…だめだ、今はそれどころじゃない。 俺はすぐさま結意の家に向けて走り出した。 683 名前:天使のような悪魔たち 第6話 ◆UDPETPayJA [sage] 投稿日:2008/11/09(日) 19 34 31 ID ZLAFCsLQ それから数分後、目的の場所へたどり着いた。ドアを引く。…鍵がかかっていた。俺は乱暴に呼び鈴を数回押し、怒鳴った。 「開けろ結意!俺だ、飛鳥だ!」 だが、いっこうに開かれる気配がない。 「どきなさい、飛鳥。」 あとを追ってきた姉ちゃんが俺を押し退け、ドアに正対する。すると、目を閉じて手をドアにかざした。 直後、閃光がまたたいた。いや、正確には光と言うより…闇。さしずめ黒い光、か?それからドアは、音もなく開いた。 「姉ちゃん…今のは?」 「鍵を破壊したのよ。緊急事態だし…。」 「そうじゃねえよ!今の光はなんなんだ!?」 「…後で話すわ。それより……」 そう言って姉ちゃんは部屋の中を指さす。俺は黙ってうなずき、部屋へと上がり込んだ。なにか声がする。…どうやら、明日香は本当に来ていたようだ。 「この泥棒猫!あんたなんかがいるから兄貴は…兄貴は私を見てくれないのよ!」 「あなたは飛鳥くんの妹なのよ?私がいなくても、飛鳥くんはあなたには振り向かないわ。」 「うるさい!あんたなんか…死んじゃえ!」 684 名前:天使のような悪魔たち 第6話 ◆UDPETPayJA [sage] 投稿日:2008/11/09(日) 19 36 19 ID ZLAFCsLQ 明日香は激昂し、手にもったナイフを結意に差し向けた。俺はすかさず止めに入る。 「やめろ明日香!こんなことしてなんになる!」 「どいてよお兄ちゃん!そいつ殺してやるわ!」 結意に向けてナイフごと突貫せんとばかりの明日香。とりあえず、後ろから羽交い締めにした。 「離して!あの泥棒猫殺さなきゃいけないの!」 こんな小さな体のどこにそんな力があったのか、今にも振りほどかれそうだった。 ―――――そのとき、再び黒い光がまたたいた。その一瞬で、ナイフは失せていた。明日香も、気を失っていた。 「…間に合ったわね。」 肩で息をしながら姉ちゃんが近づいてきた。どうやらあの光を放つのは体力を消耗するみたいだ。そのまま明日香の額に手をかざし、三たび黒い光を放つ。 「飛鳥くん…この子は?」 いきなりの明日香に瓜二つな幼女(?)の登場に結意は戸惑っていたようだ。 「俺の姉ちゃんだよ。亜朱架ってんだ。」 「…また あすか ?」 「ああ…親父たちもなんたってこんな紛らわしい名前つけたんだろな?」と、少しでも場をなごませようとおどけて見せる。 「飛鳥、もう行きましょう。あ…結意さんでしたっけ。鍵、壊しちゃったから。明日すぐ業者をうちから手配するから今夜はチェーンロックで代用してね。 …ごめんなさいね?」 姉ちゃんは丁寧に謝り、軽くお辞儀をした。俺は、明日香を担いで結意の家を後にした。 685 名前:天使のような悪魔たち 第6話 ◆UDPETPayJA [sage] 投稿日:2008/11/09(日) 19 37 40 ID ZLAFCsLQ 「なあ…さっき明日香になにをしたんだ?」俺は姉ちゃんへそう問いかけた。至極当然な質問だ。 「記憶を奪ったわ。正確には、明日香があんたに拒絶された日の記憶をね。」と、姉ちゃんは答えた。 「じゃあ、あの光はなんなんだ?鍵を壊したり、ナイフを消し去ったり…普通じゃないだろ、あれは!」 すると姉ちゃんは一考したあと、語りだした。 「私…人間じゃないのよね。」 「…はぁ?だって姉ちゃんは…」 「普通に見れば人間と変わりないわ。でも、厳密には違うの。あんた、生物の授業で習わなかった。2n=46って。」 「それなら習った。人間の染色体の数だよな。」 「そうよ。でも私は…49本あるの。」 「…多くねえか?なんでそんなにあるんだよ。」 普通に考えて意味が分からなかった。人間の染色体が49本なんて、聞いたことない。 「たぶん…いえ、絶対お父さんのせい。あんた、お父さんがなんの研究してか知ってる?」 「いや…興味なかったからな。」 「…私の遺伝子の研究よ。普通なら、こういうのは染色体異常の類として扱われるんだけど…ダウン症とかがそのいい例ね。でも私はなんの欠陥も今現在は見当たらないわ。そのかわり……」 はぁ、とため息をつき、姉ちゃんは続けた。 「年とらないのよ、私。それに、さっきの光。見たでしょ?あれは…そうね、 消去の光 ってとこかしら。」 「消去の光?なんだそりゃ。」 「任意のものを消し去れるのよ。さっきのナイフみたいに……。記憶だって、この光で奪えるわ。………こんなのって、人間じゃないでしょ?」 少し哀しそうな表情で微笑みながら姉ちゃんはそう言った。 686 名前:天使のような悪魔たち 第6話 ◆UDPETPayJA [sage] 投稿日:2008/11/09(日) 19 38 59 ID ZLAFCsLQ 「お父さんたちの研究テーマは…そうね、 新人類 とでもいったところかしら。今も、日本のとある極秘の施設で研究してるはずよ。海外なんてのはたんなるカモフラージュ。それとね……」 そこで切り、俺…いや、俺たちへと向き直る姉ちゃん。 「あんたたちもそうなのよ。49本。」 「……俺たちも?でも…」 「なんの変化も見られない、でしょ?それもそうよ。それこそが私だけが研究材料として適任だった理由なんだから。でもね…一つ問題があるのよ。」 「…? 言ってみろよ。」 「………飛鳥、もう結意さんとはセックスした?」 ―――――な、なんてことを訊いてくるんだ姉ちゃん!あまりに突然だったため、どう答えたらいいかわっかんなくなってしまった! まあ…それだけで見抜かれたみたいだけど。 「…やっぱり。」 ほら、 やっぱり ! 「飛鳥……言っとくけどあんた、結意さんとのあいだに子供つくれないわよ。」 ……今度は、姉ちゃんの言ってることの意味がわからなくて沈黙してしまった。子供ができない?俺と結意の? 687 名前:天使のような悪魔たち 第6話 ◆UDPETPayJA [sage] 投稿日:2008/11/09(日) 19 40 00 ID ZLAFCsLQ 「まだ授業で教わってないのね…ほんと、ゆとり教育ってダメね。いい?たとえば、犬とネコが交尾したとしても子供はできない。これはわかるでしょう?」 「ああ。」 「それと同じ。 種 が違うの。わかりやすくいうと…おたがいの染色体の本数が一致しないと子供はできないの。つまり、ヒトと猿が交配しても子供はできない。 だから……私たちは普通の人間とのあいだには子供はつくれない。わかった?」 「……なんとか。」実際頭のなかごっちゃだけど…言いたいことはわかった。 「一応、方法はあるわ。」再び姉ちゃん。「それはいったい?」とりあえず尋ねてみる。 「近親相姦なら子孫を残せるわ。あんたと明日香がくっつけばいいのよ。」 「…………!?あ、明日香と!?」 「そ、明日香とよ。私、べつに子供ほしくないし…でも明日香はその気満々みたいだし。はやいとこくっついちゃいなさい。うん、それがいいわ。」 なんかとんでもないことを言ってる気がするが………いや、言ってる! 「でも、俺たち兄妹だぞ!そんなこと―――――」 「あんた、明日香が嫌いなの?私はどうしてもあんたと明日香がくっついてもらわなくちゃ困るのよ!」 …なんで困るんだ?とは言い返せなかった。姉ちゃんの鬼気迫る表情に怖気ついてしまったからだ。 「どうしてもっていうなら…しかたないわね。」俺に手をかざす姉ちゃん。 瞬間、黒い光がまたたいた。対象は…どうやら俺みたいだ。 688 名前:天使のような悪魔たち 第6話 ◆UDPETPayJA [sage] 投稿日:2008/11/09(日) 19 41 06 ID ZLAFCsLQ * * * * * 「…あれ、姉ちゃん。俺何してたんだ?」 「なんか、ぼーっと考え事してたわよ。しゃきっとしなさいしゃきっと!」 なんだ…?このもやもやした感覚。まるで、 「ねえ奥さん、こないだのアレお買い得だったわよねぇ!」「アレって?」「だから、アレよアレ!えっと…なんていったかしら?」みたいな感じだ。 まあ、いいか。明日になればまた結意特製の怪しさマックスの弁当箱が下駄箱に入っていることだろう。そして繰り返される日々、か。 そう思うと足取りが重く感じられたが…まあめげずにがんばろう、俺! 「飛鳥…ごめんなさいね?」突然謝りだした姉さん。 「何がだ?」と思わず聞き返す。理由がわからなかった。何を謝ってるんだ? 「ううん…なんでもないわ。ただいま、飛鳥(明日香)!」 689 名前: ◆UDPETPayJA [sage] 投稿日:2008/11/09(日) 19 43 53 ID ZLAFCsLQ 終了です。 染色体のくだりは…つつけばいくらでもボロが出てきそうなのでノータッチでお願いします。 675 GJ! 690 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/09(日) 19 54 41 ID Hb+DCbze 今回も面白かったです。 でもネタかぶりました、ごめんなさいw これ以降ワイヤードでパクッてるっぽいとこが出ても見逃して欲しいです。 黒い光って、強いですね。もしかしてバトル展開になるのでしょうか。なら大好物です。 なんにしろ、続きが楽しみです。期待してます。がんばってください。 691 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/09(日) 20 29 46 ID PkVWcNKA 今日も大漁、大漁。 おなかいっぱいだ、。 692 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/09(日) 20 39 14 ID tSAU6jmY GJ。なんだが… この展開だとアレがああなってるから結意が可哀想すぎる… 報われる事を祈るしかない 693 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/09(日) 21 15 11 ID s5GgjPPY GJ! 694 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/09(日) 21 25 01 ID YQM+8/UP GJ 695 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/09(日) 22 20 59 ID R2q+e33y GJ! ところでヤンデレ家族ずいぶん見てないと思うんだけど作者さん忙しいのかな 696 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/09(日) 22 40 47 ID yqSsMytb 695 気長に待とうぜ 俺もその一人だ 697 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/09(日) 23 04 13 ID ecGUupnG 心配ならブログ見に行けばいい 698 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/09(日) 23 51 42 ID qmKrK4Qm なんでもブログによれば、展開に詰まってしまったんだそうな。 さあ、気長に待とうか。 699 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/09(日) 23 51 57 ID vHuxCQOy 697そういえばブログもってる人他にもちらほらいたな 700 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/10(月) 00 06 36 ID oji113CX 誰か代わりに書いてくれ とにかく続きが読みたいんだ! 701 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/10(月) 00 09 08 ID h72ogn5B 700 作者さんを素直に応援しようぜ 702 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/10(月) 00 10 02 ID vUHbK0iq 700 代わりに書けって、修羅場スレみたくなったらどうするんだよ お前少し自重しろ 703 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/10(月) 00 12 33 ID UhrdKCoH おっと修羅場スレの話はそこまでだ 704 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/10(月) 00 31 39 ID o+jOjcQZ ヤンデレに『付き合うかどうかをコイントスで決める』とか言ってみたい 705 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/10(月) 00 31 39 ID CjTaLOsA 寒さも厳しくなってきたが全裸に正座で待機の心はまげないつもりだ さぁ、今日も待機だ… 706 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/10(月) 00 39 52 ID Svu7qbUM 704 ヤンデレがサイコキネシスを会得します 707 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/10(月) 00 48 22 ID ZmyGMAA/ 704 いつのまにか両方が表のコインとすり替えられてます 708 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/10(月) 00 51 04 ID FKElutJp 704 ヤンデレなら運命までもあやつりそうだ 709 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/10(月) 01 13 18 ID MsvpAtYZ 704 ヤンデレが刃物片手に「○○君、もちろんコインはオモテだよね?ね?ね?」 710 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/10(月) 01 30 16 ID Yu9vWArA 707 ばれなきゃイカサマじゃない 711 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/10(月) 02 07 20 ID ZsrE4n/b わんわん泣きながら好き好き言ってくるよ 712 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/10(月) 02 14 39 ID mk758T1a 705 俺は最近寒いから裸に靴下とマフラーをつけて正座してる 713 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/10(月) 02 33 30 ID RIWkHEIL 彼女の異常な愛情 ~または私は如何にして心配するのを止めて彼を愛するようになったか~ ストーリー ある都心のマッドな女子高校生が一人の少年を愛す。 彼は虐められており、怒った彼女は独断で相手を謀殺するが、彼に幼なじみが接近した。 幼なじみは彼女を爆殺しようと手作り爆弾を仕掛ける。 彼女はサリンを充填した皆殺し装置を町中に仕掛ける。 発動条件は彼女の死亡、スイッチ一押し。 少年は未曾有のサリン事件を防ぐ為彼女と幼なじみを説得しご機嫌を取ろうとするが… 元ネタ…今日借りた映画 714 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/10(月) 03 03 24 ID Yw67nDpZ ところで男も女もヤンデレなカップルってどうなるんだ? 715 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/10(月) 03 47 40 ID Jy7KsUFu 心中? 716 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/10(月) 03 51 18 ID VQW4ZWtv 女「あなたさえいればそれでいい」 男「お前さえいればそれでいい」 幸せじゃね? 717 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/10(月) 04 10 20 ID h72ogn5B ただの周りを巻き込む迷惑なバカップルになるかと 718 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/10(月) 06 29 04 ID cCMMZPTE 716 しかし、人はそれだけでは生きていけないのだよ しかも男は合理的な生き物だ 女のためにしたことが裏目に…… 719 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/10(月) 23 00 28 ID 8wQ3NxIf …修羅場スレが消えた? 720 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/10(月) 23 04 12 ID xXPy3ME6 719 あるじゃん 721 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/10(月) 23 46 49 ID 7oBAd9Ph 源氏物語アニメ化か・・・ ヤンデレの始祖の登場だな 722 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 00 33 43 ID AMwX7wsr 721 幼女をさらってきてセクロスとな? つーか源氏物語はエロすぎて漫画化すら不可能だろ 723 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 00 41 45 ID 1CON9MLX 722 いや、六条の御息所のこと言ったつもりだったんだが 724 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 00 52 17 ID dEmuc9G5 722 津田塾の創始者が「ポルノ本読ませるんじゃない!!!」って切れたぐらいだしな 725 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 01 52 06 ID VFXbPmbT 722 漫画化は江川達也がやったが、たしかにセクロスしっぱなしだったな 726 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 08 46 50 ID X5OzDSas 722 「あさきゆめみし」って有名な漫画があってだな…… 727 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 13 18 16 ID 817ESDQM 726 そのアニメ化が中止になって源氏物語がアニメ化なんだよ 728 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 18 11 44 ID Jc2wLUvC ヒント:あさきゆめみし=マンガ版源氏物語 729 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 18 19 59 ID VA7OTHTa あさきゆめみし:アニメ化の企画が中止に 出崎監督オリジナルの「源氏物語」に変更 フジテレビで09年1月から木曜深夜のアニメ枠「ノイタミナ」で放送予定だった、「源氏物語」の世界を描くテレビアニメ「あさきゆめみし」のアニメ化が中止となり、 「源氏物語」を原作としたオリジナル作品「源氏物語千年紀 Genji」を制作することに変更されたことが10日、分かった。 宣伝のアスミック・エースによると、監督の出崎統さんの制作上の意向のためという。 アニメは当初、79~93年に講談社の月刊マンガ誌「mimi」などで連載された大和和紀さんのマンガ「あさきゆめみし」を原作とする作品を制作する予定だったが、 出崎監督の「『源氏物語』をきちんと描きたい」という意向から企画が変更されたという。 出崎監督は「誰もが魅入ってしまう『源氏物語』は魔物である。自分自身の手で新しい表現の境地に挑んでみたい」とのコメントを発表している。【渡辺圭】 730 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 19 32 56 ID e1POl/0z これでコケたら、アホだなこの監督 731 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 20 38 42 ID Jc2wLUvC なん…だと……っ! ようするににわかは俺なんですね。 吊ってくる…。 732 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 21 12 25 ID s8ichCn4 もちろん会話は古語なんだな もしくは普通に現代語か 下手に妙な間違いだらけのそれっぽいセリフを話させたら承知せんぞ 733 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 21 51 31 ID FSF+epur 734君、逃がさないよ? 734 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 21 54 04 ID OWR1wx77 \早くお兄ちゃんに見せたくて、急いで走ってきたんだよ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ⊂二 ̄⌒\ ハァハァ ノ) )\ ( ∧_∧ / \ /__ )*´Д`) _ / /^\) //// / ⌒ ̄_/ / / / // ̄\ | ̄ ̄ / / / (/ \ \___ ((/ ( _ ) / / ̄ ̄/ / / / / / / / ( / / / ) / / / し′ ( / ) / し 735 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 21 54 36 ID OWR1wx77 すいません誤爆です 736 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 22 05 20 ID bdGnlpRw ワロタww 737 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 22 07 28 ID FSF+epur キャッチアンドリリースするか・・・ 738 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 23 06 11 ID jliBBwk0 痛くて熱くて苦しくて悲しくて辛くて泣きたくて耐えられなくて逃げられなくて逆らえな くて終わらなくて背けたくて叫びたくてもがきたくて吐きたくて止めたくて抵抗したくて 刃向かいたくて抗いたくて逃げ出したくて ____ 隠れたくて避けたくて篭りたくて 拒絶したくて噛み付きたくて跳ね除けた /ノ ヽ、_\ くて振り払いたくて追い詰め られて捕らえられて引きずり出されて /( ○)}liil{(○)\ 攻め立てられて強制され て赦されなくて束縛されて締め付 / (__人__) \ けられて押し付けられ て引き千切られて投げつけられ | ヽ |!!il|!|!l| / | て虐げられて呻きたく て喚きたくて狂いたくて堪えられ .| |!!il|!|!l| | なくて掴まれて殴られて 裂かれて砕かれて蹴られて焼か | |!!il|!|!l| | れて刻まれて焦がされ て穢されて破られて荒らされて | |!!il|!|!l| | 壊されて嬲られて弄ば れて潰されて踏みにじられて飽 | |!!il|!|!l| | きられて放り出されて 打ち捨てられて気を失って痛み | |!!il|!|!l| | も麻痺して心が壊れて 涙も出なくてでもまた拾われてま \ |ェェェェ| / た掴まれてまた殴られ てまた穢されてまた破られてまた砕かれてまた切られてまた刻まれてまた焼き焦が されて嫌なのに嫌なのに嫌なのに嫌なのに嫌なのに嫌なのに嫌なのに嫌なのに嫌 なのに嫌なのに嫌なのに嫌なのに嫌なのに嫌なのに嫌なのに嫌なのに嫌なのに 嫌なのに嫌なのに嫌なのに嫌なのに嫌なのに嫌なのに嫌なのに嫌なのに嫌なのに 739 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 23 56 36 ID TY99UoT/ 角煮でやれ 740 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/12(水) 00 27 57 ID 6NoLAE3/ スレストくらって落ちたもよう 741 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/12(水) 20 14 44 ID RZ/Zb+t6 角煮って何? 742 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/12(水) 20 26 24 ID YWdA4qPK 741 18歳未満は(・∀・)カエレ 743 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/12(水) 21 36 58 ID FT4OW6fK 741 料理デスw 744 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/12(水) 21 58 31 ID nAl5eVNp ・デス料理 ヤンデレが主人公の家に来た泥棒猫に出す料理のこと 745 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/12(水) 23 08 52 ID 9+gQ9KMP ヤンデレに勝てるヤツはいるのか? 女「大層、自分に自身があるようだけど、あなたは『私を殺せる人がいる?』と三回言えるかな?」 ヤンデレ「そんなのは何万回でも」 ヤンデレ「私を殺せる人がいる?」 「私を殺せる人がいる?」 「私を殺せる人が――」 馬岱『ここにいるぞ!』 ヤンデレ「げぇっ、馬岱!」 746 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/12(水) 23 24 29 ID Pmm5YSzy 先生!僕はデス料理を食べられますか!? 747 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/12(水) 23 59 57 ID 2XkBLaFi 745そこで馬岱はねえよwww 748 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/13(木) 00 07 54 ID w+PG5uBN ヤンデレ=魏延ですね 749 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/13(木) 06 50 33 ID SDiDKRZF それは反骨です 750 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/13(木) 17 13 01 ID yAKrSubE ヤンデレなら張春華だろ…常識的に考えて、司馬懿はいい嫁に恵まれたな 751 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/14(金) 00 09 19 ID XlZkQgRP 中世の封建主義に刃向かう女、反逆のヤンデレ ヤンデレが公爵令嬢をメス猫呼ばわりしたとのことで訴えられた。 裁判長はヤンデレに言った。 「あなたには罰金を科す。二度と公爵令嬢のことをビッチなどと言うのではないぞ」 「わかりました裁判長様。二度と公爵令嬢のことをカントとはいいませんが、 娼婦のことを公爵令嬢と呼ぶのもいけないのでしょうか」 「それはあなたの勝手だ」 「わかりました。さようなら、公爵令嬢」 752 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/14(金) 00 15 19 ID XlZkQgRP ヤンデレが、死の床につく友人の手を握っている。 ヤン友:「ヤンデレ、わたし・・・・わたし、お別れする前にどうしてもあなたに言っておきたいことがあるの」 ヤンデレ:「言いたまえ、どんなことをしたにせよ、わたしはもう怒ってはいない。 何も心配することはない」 ヤン友:「いいえ、ヤンデレ。わたしは長い間、この秘密を抱いて苦しんできたの。 でも、もう白状しなければならないわ。わたし・・・わたしずっとあなたを裏切っていたの。 あなたの彼氏の男くんと、あなたの目をしのんで何度もやってたの。 本当に、本当にごめんなさい」 ヤンデレ:「それは分かっていた。わたしがなぜあなたにポロニウムを盛ったと思う?」 753 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/14(金) 00 44 46 ID paGb54vU 751が妙につぼにはまったw 754 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/14(金) 02 11 40 ID rDqUy8Kl 751 ブラックジョークだな 755 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/14(金) 04 37 54 ID YKYQWTw5 ってかブラックジョークのコピペ改変やん 756 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/14(金) 11 58 56 ID 7lsx03sP ちょうど480KBか。 次スレ立てたほうがいいかな? 反対なかったら一時間後に立てる 757 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/14(金) 12 58 55 ID 7lsx03sP 立てた ヤンデレの小説を書こう!Part20 http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1226635080/l50 758 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/14(金) 13 04 24 ID i8wvpIaU もつ煮込み 759 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/14(金) 13 58 14 ID XlZkQgRP 特攻隊は陛下にヤンデレ 760 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/14(金) 15 44 38 ID 7O0PiuKV っ♂×♂ 761 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/14(金) 16 34 49 ID XlZkQgRP お国にヤンデレ 762 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/14(金) 16 48 24 ID 5knKdxX9 FUKINSHIN 763 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/11/14(金) 17 28 03 ID KTERV6vH てかお前らの紳士度には脱帽するわ……。 ずっと裸なんだろ? 764 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/14(金) 20 06 31 ID XlZkQgRP 男「ヤンデレの料理より美味ーい」 男「ヤンデレよりもかわいいよ」 男「いいなあ、ヤンデレより胸が大きいし」 男「ヤンデレよりはやーい」 ヤンデレと他の女を比べて、他の女を持ち上げることなかれ 765 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/14(金) 20 46 08 ID tV/64shO 一番下… 彼女がエンディングにてナイフで刺されるのが確定したな 766 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/14(金) 20 52 41 ID N9lgGBbm ヨヨはトラウマ 767 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/15(土) 00 18 44 ID MzquCprt 750 お前とはいいハンガーストライキができそうだ 768 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/15(土) 17 38 41 ID IOVHgHqD 757 乙 769 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/16(日) 01 53 41 ID CHBpoi2H 最近のファイアーエムブレム風のヤンデレを妄想 男:ヤンデレと支援レベルA、女ユニットと支援レベルC ヤンデレ:男と支援レベルA 女ユニット:男と支援レベルC ↓ ヤンデレが女ユニットを撃破するのかな と思っていたら、マジであった。私怨レベルとは上手いことを言ったもんだ ttp //www.pegasusknight.com/cgi-bin/bbs/search.cgi?room=fe10_clear query=%BB%E4%B1%E5%A5%EC%A5%D9%A5%EB 770 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/16(日) 02 37 08 ID /h3SvxHr 版権モノは専用スレでお願いします 771 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/16(日) 02 41 48 ID Hu4icJ2P 769 自演乙 772 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/16(日) 10 18 08 ID V85YKKw0 お前も飽きないなー…とつられてみる 773 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/16(日) 10 20 09 ID N9puVh4P ほトトギすを全裸で待ってるのだが… 最近夜さむいよ… 全裸の方々は風邪に気をつけてくださいね 774 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/16(日) 12 41 55 ID GpG7/v8R ネクタイとくつ下で防寒対策ばっちりです 775 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/16(日) 13 43 42 ID gEwLM05l かちかち山の続きを野球帽だけを被って待ってるんだ 776 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/16(日) 17 07 38 ID g1Bglg8R よづりの続きを全裸で… 777 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/16(日) 17 08 18 ID npdvOGuT 網タイツ・・・ゴクリ 778 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/16(日) 17 19 18 ID sPcrH6oE お前らどんだけ服持ってないんだよw 俺はリッチに段ボール敷いてるから全裸でも暖かいしww 779 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/16(日) 20 21 25 ID 8tFAtTzr 778 分かってないな。 全裸正座にネクタイと靴下は紳士の正装なんだよ。 780 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/16(日) 23 53 15 ID KXwGlHEt 俺はヤンデレを椅子にしてるよ 781 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/17(月) 00 33 41 ID O1ds2/98 779 ネクタイは蝶ネクタイでもいいですか? 782 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/17(月) 01 27 20 ID zTwt96Cp 分かってないな。 紳士の手袋にシルクハット。これだけだろ。 783 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/17(月) 01 44 16 ID 9W6iecPa 流派の違いを云々しても詮無いこと それぞれの全裸道にしたがい、SSの投下をお待ち申し上げるのが よろしかろう 784 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/17(月) 01 47 55 ID 7bgirFil 何だ…この全裸待機ネタの流れ… どうでも良いが、悩み相談に乗ってやってくれないか? 某県M.I君からのお便り。 僕の彼女は、鋸の扱いが異常に上手いです。木を一瞬で切り落とします。 この間、クラスのSさん(仮名)にキスされました。 Sさんと性行為に及んでしまい彼女にしました。 すると元カノになったKさん(仮名)は私の彼女だと言い張りました。 Kは周囲から孤立してなお主張し続けました。 ある朝、Sと二人で歩いているとKの得意技である鋸一文字がSに炸裂しました。 彼女と一緒に海外に高飛びするべきでしょうか? 785 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/17(月) 01 56 57 ID PchDqWdS Sさんが照英で、Kさんがケインか 786 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/17(月) 02 02 00 ID EgZWSKRO 785 それは俺もヤンデレにならざるを得ないな 787 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/17(月) 18 27 13 ID A6jINbBe 催促するわけじゃない、催促するわけじゃないんだが傍観者の人はまだだろうか 788 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/17(月) 21 32 10 ID ZbznvJrE 787 あの人は今までがハイペースすぎたんだ。じっくりと腰をすえて待つべし。 読み手のなかでも話がよくわからなくなってきてる人がいたが、作者氏も そうなってたのかもしれんね。 展開に詰まってしまったってことは。 とにかく、紳士ならじっくりと腰をすえて待つべし。 789 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/17(月) 22 51 14 ID LYEhs4TK 傍観者の作者は生存確認ができるだけで安心できるしねえ。 790 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/18(火) 12 14 01 ID jYvTo3Kf 待つなんて事はとうに慣れたさ 毎週日曜日、今日は来るかな?来るかな?と待つ事さえ苦ではないとも 791 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/18(火) 22 59 21 ID RMcZLcJ1 ヤンデレの“待ち”に比べりゃ俺たちはまだまだだろうよ 「どうしてわたしのところに来てくれないの?ずっとずっと待ってるんだよ? 幼稚園からずうっと一緒だったのに、夫婦みたいだってからかわれるくらい仲良かったのに・・・ 大人になったらお嫁さんにしてくれるって約束、まさか忘れちゃったの? ねえ、いつまで待てばいいの? ・・・・そうか、大事な約束を忘れて道に迷っちゃったんだ・・・ なら、わたしが思い出させてあげるね そして迷子にならないようにずうっと手をつないであげるからね だからシラナイヒトとかホカノヒトについていっちゃダメだよ ソコにいて、イイコでまっていてね・・・」 792 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/18(火) 23 06 02 ID bIrZXnUt 「待ち」でも結局自分から会いに行くのね 793 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/20(木) 02 13 06 ID B14DBDRr 痴漢と被害者から“強制”痴漢者と病んだ女という電波が… 少年最初の痴漢は、その少女だった。毎朝会うその娘はいつしか、彼に愛情を抱いた。 そして、出会いから数カ月後、彼は彼女専属の痴漢にさせられていた。 立場はストーカーと元痴漢に変わってしまった。 794 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/20(木) 20 03 49 ID hitG+2it よし、その電波を受信して文にしてくる 795 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/11/21(金) 20 42 06 ID jhVxUc0C . 796 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/22(土) 00 07 03 ID jteNKyO4 埋めヶ丘 797 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/22(土) 10 24 00 ID jteNKyO4 梅梅梅梅梅 梅梅梅梅梅 梅梅梅梅梅 梅梅梅梅梅 梅梅梅梅梅 梅梅梅梅梅 梅梅梅梅梅 梅梅梅梅梅 梅梅梅梅梅梅梅梅梅梅梅梅梅梅梅 798 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/22(土) 19 56 00 ID 3r/ZDq4I 梅? 799 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2008/11/22(土) 20 11 03 ID p6iiTmOv ヤンデレな子は梅が好きそう 800 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/22(土) 20 41 08 ID azLRwfSS こういうのうざい 801 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/23(日) 00 31 07 ID JEjPvlm5 うざいって言うヤツがうざい 802 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/23(日) 01 45 41 ID wgkoTSJJ 794はまだか!! 803 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/23(日) 09 42 41 ID a0NqhCmj 「お兄ちゃんどいて! ソイツ殺せない!!」 「そんなのダメだ!! それは駄目だケンシロウ……ラオウを倒すのは私の柔の拳!!」 「ぬはははははっ! 愚弟が揃っても、このラオウに勝つ事などできぬわ!!」 804 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/23(日) 09 53 38 ID KHxkzEwD ワロタwww 805 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/23(日) 17 35 06 ID ytm4ntKd ヤンデレ=クラウザー二世 「私は男くんに感謝している。男くんがいなかったら 猟奇殺人者になっていたから……」 曲目リスト 1. ヘルズ・ヤンデレルーム 2. KANKIN 3, マッド・ブッチャー 4, あの女を解体 5, デスガール 6, ビッチキラー 7, 暴力的シーンを含みます 8, 恋の恨みはらさでおくべきか 9, デスアックス 10, 病女王 11, メス豚葬送曲 12, 私の恋人 「ヤンデレさん…やめて下さい。その女とっくに…死んでますから!!」 806 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/23(日) 17 42 53 ID ytm4ntKd 私は学校のテロリスト 昨日は素クール殺したぜ 明日はツンデレ轢いてやる 殺せ殺せ殺せ ビッチなど冷やせ TENCHU下せよ TENCHU下せよ 教室を血で染めてやれー 次回には依存子大食いねぇ それは私が殺したから 次回には男と雌猫いねぇ それは私が殺したから TENCHU下せよ TENCHU下せよ 807 名前: ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/24(月) 21 36 09 ID HOJieKTt 埋めネタ落としてみます 808 名前:埋めネタ ヤンデレ茸にご注意 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/24(月) 21 36 49 ID HOJieKTt 1.ヤンデレ茸カタログ ある日、鷹野百歌は非常に困っていた。 「今日のお夕飯、どうしよう……」 一大事である。 「お兄ちゃんにおしいいご飯を食べさせるのが私の存在意義なのに、これじゃあ、だめだよぉ……」 涙目になりながら、必死で打開策を考えた。 兄に、鷹野千歳に出すメニューが全く思いつかない。 この時期旬の食材などはひとしきり使い切ったし、もはや兄の舌を楽しませることができない。新鮮さがない。 もっとも、その考えは全くの思い込みであり、千歳は百歌の作った料理ならなんでも喜ぶのだが、百歌の認識は違った。 「お兄ちゃんに、つまんない女だって思われたら、百歌、死んじゃう……」 料理番組を見たり本を見たり、ネットでいろいろ探したりしても、ピンと来るものが無い。 新鮮というか、奇抜なメニューはあっても、兄の口に入るに足るようなレベルのレシピが見つからない。 今までは、百歌はその若い発想力でこのような苦境も乗り切ってきたのだが、今日ばかりは完全にお手上げだった。 「せめて、何かおもしろい食材でも……」 ガコン。 そのとき、郵便受けに何かが入る音がした。 「ん、夕刊かな?」 気分転換にもなるだろうと、郵便受けに向かう。しかし、中にあったのは新聞ではなく、チラシだった。 「なんだろう、これ……。きのこ……?」 いくつかの茸の写真が並んでいる。見たことの無い色と形。 「ヤンデレ……茸?」 チラシによると、ヤンデレ茸などという高級食材を近くのスーパーが入荷したらしい。 しかも、国産なのに値段は手ごろだという。 ピンときた。 「そうだ、これを買いに行って、今日のお夕飯にしよう!」 809 名前:埋めネタ ヤンデレ茸にご注意 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/24(月) 21 37 24 ID HOJieKTt 2.ヤンデレ茸・媚薬型 「たくさん種類があったけど、全部買っちゃった♪」 買い物袋に、色とりどりの怪しい茸を入れて、百歌はるんるん気分で家のキッチンに立った。 「やっぱり、色々あるけど、これがおいしそうかな」 ひとつを拾い上げ、見つめる。ごつごつとして、卑猥な形状をしている。 くんくんと匂いをかぐ。独特の匂い。人間の体臭――いや、兄の体臭と似ている。 思わず目がうっとりとなり、百歌は顔を赤くしてぶんぶんと振った。 「だめだめ! いきなりしゃぶりつきそうになっちゃった!」 茸にフェラをしようとしていた自分に気付く。 「お兄ちゃんの匂いににてたからって、やりすぎだよぉ……」 しかし、その魅力的な形状と匂いに、心を惹かれてしまうのも事実。 「ちょこっと……ちょこっとだけなら、いいよね」 その誘惑に耐え切れず、端のほうにかじりつき、少しだけ飲み込んだ。 「ん……お兄ちゃんのせーえきの味だぁ……」 また、うっとりとして身体が熱くなる。 「あはっ、あはははは……! お兄ちゃんが身体の中に広がって……気持ちいい!!」 その場にしゃがみ込み、自分の腕で自分自身を抱きしめる。 「あははははははは!! 気持ちいいよぉ!!」 いつの間にか手が股間をまさぐっていた。もはや止める術は無かった。 「……」 賢者タイム。 「……ま、まあ、この茸はお兄ちゃんに後で食べさせるとして」 ――性欲が増強されて、百歌を襲ってくれるかもしれないし。 「とにかく、今のことは忘れよう。うん、そうしよう!」 自分の秘所に出し入れした茸など、自分自身で食べる気にはなれなかった。 810 名前:埋めネタ ヤンデレ茸にご注意 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/24(月) 21 37 54 ID HOJieKTt 3.ヤンデレ茸・病み型 「とにかく、他のもお兄ちゃんに食べさせる前に『毒見』しないと……」 適当に袋から出す。 地味な色と地味な形状のものがあったので、それを手に取った。 「こういうのがむしろ安全なんだよね。マツタケみたいでおいしそうだし」 端をちょっと切って口に放り込む。 「うん、味はなかなか。香りもいいし。これならお兄ちゃんも喜んで……。っ!?」 がくがくと身体が震えだす。 ――まさか、毒……!? 身体の力が抜けて、百歌は崩れ落ちた。 しかし、すぐに立ち上がった。 「ふふ……ふふふ……」 明らかに尋常な様子ではない。 「お料理なんてまどろっこしいことをするのは、もうやめよう。うん、そうしよう……ふふっ」 ニヤニヤと笑いながら、包丁を持ち、ぶんぶんとい振り回す。 「お兄ちゃんがいつか私を愛してくれるなんて、幻想なんだよ。私は妹。所詮、妹なんだから……。ちょっとくらい強引じゃないとガンダムは口説けないって、私の心の師匠も言ってたもん」 冷蔵庫から生肉を取り出し、包丁を突き立てる。 「ふふふっ……やっぱり、お兄ちゃんに近づく雌猫を全員ぶっ殺して、そのあとお兄ちゃんを監禁して調教しちゃえば一番早いんだよ……」 ざくっ、ざくっ。小気味のいい音を立てて、生肉が穴だらけになる。 「そうだよ、お兄ちゃんは世界一かっこよくて優しいから、勘違いした雌どもが擦り寄ってきちゃうんだ……。お兄ちゃんがそんな輩に騙されちゃう前に、消さないと……」 くっくっと笑い、百歌は包丁を持ったまま身支度をする。 「早速、お兄ちゃんとの仲を取り持ってなんて私に頼んじゃったあのお馬鹿さんから殺しに行っちゃおうかな♪」 靴を履く。が、なんだか上手く履けない。目の焦点が合わない。靴が三つに見える。 「んっ……頭が……」 くらくらする。そのまま力が抜けて倒れた。しかし、またすぐ立ち上がった。 「あれ、私何を……。そうだ、夕飯作らないと、お兄ちゃんが帰ってきちゃう」 811 名前:埋めネタ ヤンデレ茸にご注意 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/24(月) 21 38 25 ID HOJieKTt 4.ヤンデレ茸・自律型 「他にはどんなのがあるかなー」 がさがさと、なにかのゲーム感覚で買い物袋をあさる。 「これだっ!」 取り出したのは、これまた奇妙な茸だった。某ドコモのマスコットのように、人間的なデフォルメを加えられている。 人間っぽい手足がついていたり、目のような部分があったりする。 「なに、これ……」 『ふふふっ、やっと私に気付いてくれたのね』 「喋った!?」 『驚くことないじゃない。私、あなたとスーパーで目が合ってから、ずっと好きだったのよ。だから、あなたに食べられるためにあなたの手にしがみついたの』 「私に、食べられるため……?」 『くくくっ、やっと、茸としての本懐を遂げられるわ……。愛するあなたに食べられることで、あなたの血となり、肉となる……あはははは!! 最高の死に様だわ!!』 「……」 『さあ、早く私を食べて! その可憐な唇でむしゃぶりつき、その白い歯で噛み千切り、蹂躙しなさい! そうして私はあなたと永遠に同化する……そう、私達の愛が永遠になるのよ!』 「……気持ちわるーい」 百歌は、茸をぽいとゴミ箱に投げ捨てた。 『ちょっと、出しなさい! 私とあなたの愛は……!』 「気持ち悪いよぉ……まさか、喋る茸があるなんて」 『出せー! ちょ、マジで出してください! 生ゴミとして朽ち果てるのは嫌なのよ! 後生ですから!』 「しかたないなぁ、近所の猫の餌にするけど、それでもいいよね」 ゴミ箱から救出する。すると、茸は再び高飛車になった。 『ふふふ……やはり、口では生意気でも、心の奥底では私を愛しているのよね。分かっているわ。さあ、私を喰らいなさい……!』 「気持ちわるーい」 ぽいっ。 『きゃー!』 812 名前:埋めネタ ヤンデレ茸にご注意 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/24(月) 21 38 55 ID HOJieKTt 5.ヤンデレ茸・幻覚型 「もう、ろくなのが無いよ……。最後のこれは、どうなんだろう」 端を少し切り取り、口の中で咀嚼する。 「うん。これは今までで一番おいしい。マツタケ以上かも……」 百歌は笑顔になり、料理を始めた。 「じゃあ、これと、最初のあの媚薬みたいなやつで今日は炊き込み御飯とお吸い物でもつくろうっと♪」 「お帰りお兄ちゃん。ご飯できてるよ」 「おお、じゃあ早速食うか。……今日のは美味いな」 「今日は変わった食材を使ったから(ふふっ、それは媚薬茸入りのお吸い物……さあ、私の身体を求めて、お兄ちゃん!)」 「ん、なんだか、俺……身体が熱くなって……」 「お兄ちゃん、大丈夫?(きたきたきたー!!)」 「百歌……お前、可愛いな」 「え、急にどうしたの、お兄ちゃん?(もしかして、これは非常に美味しい展開!?)」 「百歌、俺もう、我慢できない!」 がばっ。 「きゃ、お兄ちゃん、私達兄妹だよっ!(あくまでお兄ちゃんから襲ったという形にすれば、これ以降もお兄ちゃんに責任を取ってもらえる……♪)」 「悪い兄貴ですまん! でも、お前が可愛すぎて、もう我慢できない! 入れるぞ!」 「お、おにいちゃん、そんな、いきなり……いたいよぅ……」 「動くぞ、百歌!」 「ああ、お兄ちゃんに無理矢理犯されてる……♪」 「百歌……俺、もう、出る……!」 「だめ……だめだよぉ……(くく……くははははは!!! 計画どおり! 思い通り! ここまで上手くいくなんて!)」 「うおぉ!!!」 「お、お兄ちゃんに無理矢理中だしされてるよぉ……!!! ……責任、取ってよね」 「ああ、百歌とちゃんと結婚して、子供を産むよ。愛する百歌と一緒に生きていく」 「お兄ちゃん……! 私も愛してる!!」 「……って、ドリームか!!!」 はっと意識が戻ると、さっきから全然時間がたっていなかった。 「早くお料理作らないと……! でも、今の夢いいなぁ……げへへ」 思わず、変な笑い声が出てしまった。非常に下品である。いけない、よだれも出ている。 813 名前:埋めネタ ヤンデレ茸にご注意 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/24(月) 21 39 28 ID HOJieKTt 6.平和が一番 「ただいまー」 「お帰りお兄ちゃん。ご飯できてるよー」 「そうか。ならすぐ食わないとな」 兄はそう言うと、荷物を降ろして手を洗い、すぐに食卓に座った。 「いただきまーす」 「いただいてくださーい♪」 炊き込み御飯に箸をつける千歳と、それを見つめる百歌。 「ん、どうした? 食わないのか?」 「うん。味見して、おなか一杯になっちゃった」 ――お兄ちゃんの顔を見てて、おなか一杯になっちゃった。 とは、照れるのでいえなかった。 「ど、どうかな。今日のお夕飯」 「ん、美味い。いつもより手間がかかっている感じだ。それに茸も変わってるな」 「そ、そうかな……えへっ」 そのとき――千歳の手が百歌の頭に触れた。 「お兄ちゃん……?」 「いつも、ありがとな。家事が全然できないから、俺は。役立たずな兄貴のために……。感謝してるぞ、百歌」 「お兄ちゃん……そんな、私がしたくてしてることだし」 「でも、お前はえらいよ。早くに母さんが死んで、家族の皆は……ほら、あんなだったし……。そんな中で、お前は良い子になった。俺は、嬉しいんだ」 「なら……ごほーび、ちょうだい」 「なんだ? バイト代も入ったし、なんでも買ってやるぞ」 「百歌に、『好き』って、言って」 「なんだ、そんなことか」 勇気をもって提案したのに、千歳は簡単に承諾してしまった。 「百歌、俺はお前が大好きだぞ」 にっこりとして言う千歳。 「お兄ちゃん……! 私も好き!!」 そんな兄に、百歌は飛びついた。 なにもかもが、平和だった。 めでたしめでたし 814 名前:埋めネタ ヤンデレ茸にご注意 ◆.DrVLAlxBI [sage] 投稿日:2008/11/24(月) 21 40 03 ID HOJieKTt 終了です。元ネタは、言うまでもなくこのスレの上のほうにある話題です。 815 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/24(月) 21 55 16 ID PAUjoIRi 面白すぎる…まともな人でも食ったら(思考が)イッてしまいそうだな。 816 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/24(月) 22 09 57 ID PFjMM0vu 百歌の心の師匠と俺の心の師匠同じだ!! 817 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/24(月) 22 33 39 ID oNp1k0iO 君の存在に心奪われたものだ!アッ――――!! 818 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/24(月) 23 54 13 ID OUz7LRZ4 こいつが書く『ヤンデレ』ってメンヘラじゃん。愛が無い
https://w.atwiki.jp/i_am_a_yandere/pages/1812.html
669 :名無しさん@ピンキー [sage] :2010/08/25(水) 09 44 51 ID uJmQMA4y 死の際にヤンデレが見るのはどの夢か。 彼とのファーストコンタクトか。 彼との嬉し恥ずかし連絡先交換か。 文化祭の準備で彼と居残りして作業をした夢のような時間か。 それとも、朝早く彼のためを思って手作り弁当を作ったことか。 いや、昼休みに他の女に弁当を食べさせられてもらっている光景かもしれない。 ヤンデレは最初から病んでいたわけではない。 愛する男を奪われる不安に苛まれた、またはいつまでも振り向いてくれない男に業を煮やし、その結果病んだのだ。 彼女たちが病んでしまったのは、いわば不幸な出来事だったのだ。 望んで病んだわけではない。 同じ男を好きになった女が、他にも居ただけだ。 好きな男が酷い鈍感で、彼女の思いに気づかなかっただけだ。 いつか彼女たちに救いが与えられることを願い、この言葉を贈ろう。 彼女たちに限らず、誰にでもいつかやってくる最期。 散っていった三十三の彼女たちと、いままさに消えんとしている三十四人目の彼女のために。 「これが私の、最高の埋めだ」